低血糖症を判断する基準値はいくつ?血液検査の数値から低血糖症の疑いがあるかどうかを判断する方法
低血糖症は、重篤になると意識を失ったり、最悪の場合は命を落としたりしてしまう恐ろしい病気です。もし重症化まで至らなくても、低血糖になってしまった場合は、精神的不調や行動力の低下など様々な辛い症状が引き起こされることもあります。
この低血糖症になっているかどうかは、自分で判断する事は出来るのでしょうか?
一般的に血糖値に異常があるかどうかは病院や健康診断での血液検査で判断されています。しかし、血糖値については基本的に高血糖や糖尿病かどうかを判断しているため、低血糖については殆ど触れられることはありません。
また、空腹時の血糖値は正常でも、何か甘い物や炭水化物などを食べたときに血糖値が乱高下して低血糖症に陥ってしまう「隠れ低血糖」の方もいます。このような低血糖症に対し、病院や健康診断では知識や理解が無い場合も多く、きちんと調べられないまま原因不明の不調とされてしまうこともあります。
そのため、いつもの病院や健康診断で受けた血液検査結果を基に、自分で低血糖症かどうかを判断したいと思っている方も多いですよね。今回は、健康診断や血液検査結果から低血糖かどうかを判断する方法についてご紹介します。
低血糖症とは? 低血糖症の症状と低血糖症の判断基準
うぅ・・・なんだかフラフラする💦
ナンナン、どうしたの❓
うぅ・・・実は、最近あまり調子が良くなくって💧
寝付きも悪いし、寝ても途中で起きちゃうし・・・。何だか疲れやすいし、気分も上がらないし、毎日が不安で仕方が無いんだ💧 オマケに甘い物の欲求が強くて、ついつい食べちゃうんだよね・・・何が原因なんだろう❓❓
うーん、それは困ったね💧
その症状からすると、もしかしたら「低血糖症」かもしれないよ
てっ・・・低血糖症❓❓
でも前に病院で血液検査を受けたときは、何も異常なしって言われたよ💦
確かに、病院での検査や健康診断では「異常なし」と言われてしまう人も多いね。でも、空腹時の血糖値は正常でも、何か食べたときに血糖値が乱高下して低血糖症に陥ってしまう「隠れ低血糖」になってしまっている人もいるんだ
か、隠れ低血糖❗❓
低血糖が隠れてるの❓❓
そう、だから普通の血液検査だけでは見つけられない事も多いんだ
そうなのか・・・💧
じゃあ、どうやって見つければ良いのかな❓
そうだね、そのあたりの所を詳しく解説してあげるよ
まず、低血糖症とはどのような病気なのでしょうか? 低血糖症とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事です。通常、血糖値は80〜100mg/dl前後に保たれていますが、何らかの原因で血糖値が80〜70mg/dl以下を下回っている状態が続いていると、低血糖症と判断することが出来ます。
低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。
それ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。
低血糖症の主な症状
- 全身の倦怠感、疲れやすい
- 集中力が無い
- 眠気が強く、朝起きられない
- 寒がり、低体温
- 動悸がする
- めまいがする
- 冷や汗をかく
- 不眠
- イライラする
- 頭痛
- 神経過敏
- 不安、恐怖感が強くなる
- 太りやすくなった
では、実際に低血糖かどうかを調べるためには、どのような検査を受ければ良いのでしょうか? 血糖値自体は「血液」によって直接調べることが可能なので、基本的に血糖値の異常に対しては血液検査で判断する事が一般的です。
例えば、血糖値や血糖値の異常を調べる血液検査項目としては、血糖値(グルコース)とHB1c(ヘモグロビンエーワンシー)の2つがあります。
- 血糖値(グルコース)
- HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
血糖値とは、血中のブドウ糖(グルコース)濃度のことで、食事や食べ物による影響を大きく受けます。HBA1cとは、直前の食事や運動などの影響を受けない過去1〜3ヶ月の血糖の平均値のことです。基本的にこの2つを見る事で、血糖値に異常があるかどうかを確認することが出来ます。
例えば、この2つの検査結果が単純に低値を示していた場合は、低血糖症の疑いがあると言えるでしょう。
血糖値(グルコース)・・・・空腹時血糖値が80台〜70mg/dl以下
HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)・・・・5.0%〜4.5%以下
※10時間以上絶食した状態で計測
しかし、単に血糖値やHBA1cが低値を示していたからと言って、それが必ずしも病気であるとは限りません。また、血糖値やHBA1cが基準値内に収まっていたり、基準値より高かったとしても、それだけで低血糖症が無いと判断する事は出来ません。
何故なら、血糖値は常に変動しているため、健康な人であっても状況によっては一時的に血糖値が低値や高値を示してしまうことはよくあります。そのため、血糖値の検査結果が通常より低かったとしても、それだけで低血糖症であると判断することは出来ないのです。
また、血糖値は食事や食べ物にも影響を受けますが、その他にも甲状腺機能亢進症やバセドウ病でも上昇することがあります1。これは、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では、甲状腺ホルモンの上昇により肝臓における糖新生が亢進し、その結果血糖値が増加するためです。(糖新生とは、筋肉などに含まれる体タンパク質を分解してブドウ糖に変換し、それをエネルギーとして使用する反応のことです)
加えてHBA1cの場合、貧血の状態では偽高値を示すことがあり、逆に貧血が改善されている途中のHBA1cは低くなるという傾向があります2。これは、HBA1cと貧血では、どちらも同じ「ヘモグロビン」というタンパク質を測定しているためで、ヘモグロビンの状態によってはHBA1cが高く見えたり低く見えたりすることがあります。
そのため、単に血糖値やHBA1cが基準値に収まっているからといって低血糖症ではないと判断する事は出来ません。逆に血糖値やHBA1cが基準値より下回っていたとしても、それだけで低血糖症であると断言することは出来ないのです。
HBA1cは血糖、ヘモグロビンは貧血。同じヘモグロビンなのになぜ? HBA1cと貧血の関係
HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は主に過去1〜3ヶ月の血糖の平均値を見る値として、貧血かどうかは血液中の「ヘモグロビン」の濃度を調べています。
どちらも「ヘモグロビン」と名前が付いていますが、この2つは一体何が違うのでしょうか?
実は、HBA1cもヘモグロビンも、どちらも同じヘモグロビンを調べています。このヘモグロビンとは、ヘム鉄とグロビンというタンパク質が結合したもので、ヘモグロビンは酸素と結びついて全身の細胞に酸素を届ける働きをしています。
貧血かどうかを調べる際は、このヘモグロビンがどれだけ血中にあるかの「濃度」を測って、貧血かどうかを調べています。対してHBA1cの場合は、このヘモグロビンにどれだけ「ブドウ糖(グルコース)」が結びついてしまっているかを図っている検査です。
具体的には、このヘモグロビンは酸素と結びつく以外にも、血液中にブドウ糖(グルコース)が多いときにはヘモグロビンとブドウ糖(グルコース)が結びついてしまうことがあります。このヘモグロビンに結びついたブドウ糖は簡単には離れない性質があり、赤血球が寿命を迎えるまでヘモグロビンとブドウ糖は結びついたままになります。(ヘモグロビンは赤血球の主要な構成要素で、ヘモグロビンが集まって赤血球が作られています)
このブドウ糖と結びついたヘモグロビンの割合を測定しているのが「HBA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」です。つまり、貧血の時に検査するヘモグロビンと、糖尿病などの指標として使われているHBA1cはどちらも同じヘモグロビンを調べている検査になります。
では、なぜこのヘモグロビンと貧血は、HBA1cの数値と関係があるのでしょうか?
先ほども解説した様に、ヘモグロビンが少ないとHbA1cは高くなる傾向があり、貧血が改善されている途中のHbA1cは低くなる傾向があると言われています。
この理由は、赤血球がどれだけ長く生きているかに関係しているためです。赤血球の寿命は約4ヶ月(120日)といわれ、血液検査ではこの寿命を迎える前の赤血球数を測っています。
貧血の場合では、この赤血球が新しく作られにくくなってしまうため、今存在している赤血球の寿命を延長して出来るだけ長く働いてもらおうとします。すると、赤血球の寿命が長くなる分、糖と結合する量も増えてしまうことから、HBA1cは本来の数値より高い偽高値を示しやすくなります。
逆に、貧血が改善している途中では新しい赤血球が作られ、赤血球の平均寿命が短縮します。すると、糖と結合していないヘモグロビンの量も増えることから、平均よりも低い偽低値を示しやすくなります。
そのため、単純に血糖値やHBA1cだけで血糖コントロール指標を判断する事は出来ません。血糖コントロール指標を判断する際は、他の関連項目を含め様々な角度から判断する事が必要です。
て、低血糖かどうかを調べるのに、血糖値やHBA1cを見るだけでは分からないの❓❓
そうだよ。特に血糖値は食べた物や絶食時間によって影響を受けるから、これら数値だけで低血糖症かどうかを判断する事は出来ないんだ。
空腹時血糖が正常でも低血糖症? 隠れ低血糖・血糖値スパイクに注意!
上述したように、血液検査項目の血糖値やHB1cは様々な影響を受けるので、これらの値だけをみて低血糖症かどうかを判断する事は出来ません。
特に空腹時血糖が正常でも、甘い物や食べ物を食べたときに血糖値が乱高下し、低血糖症に陥ってしまう「隠れ低血糖」を抱えている方もいます。
隠れ低血糖とは、ラーメンやパスタ、うどん、パン、お菓子、ジュースなど、精製された糖や糖質を大量に摂取してしまうことで血糖値が一気に上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」と呼ばれる状態が起こることです。
血糖値スパイクが引き起こされると、通常よりも血糖値が下がりすぎて低血糖に陥ってしまいます。このような低血糖症は、空腹時の血糖値が通常の範囲内にあって見逃されてしまう場合が多いことから、「隠れ低血糖」と呼ばれるようになりました。
この隠れ低血糖は、別名「機能性低血糖症」などとも呼ばれています。機能性低血糖症では、低血糖に陥った際に、イライラしたり、ダルくなったりやる気が起きなくなったりなどの精神症状が現れることも特徴の1つです。
この隠れ低血糖が引き起こされる具体的な流れとしては、例えば上図の①〜②の様にお菓子やジュースなどを甘いものやラーメン、パスタなどの炭水化物を摂ると血糖値が急激に上昇します。
その後、身体は血糖値を下げるためにインスリンというホルモンをすい臓から大量に分泌します(③)。このインスリンが大量に分泌されることによって血糖値が急激に下がり始め、今度はインスリンが効き過ぎることによって血糖値が下がりすぎて低血糖に陥ってしまいます(④)。
この時、低血糖の状態では脳のエネルギー源となる「ブドウ糖」が足りなくなることから、耐えられないほどの眠気が急激に襲ってきたり、甘い物の欲求が異常に強くなったりすることがあります。その他、ダルくなったりやる気が起きなくなったり、最悪の場合には意識を失ったり、命を落としてしまう事もあります。
そのため、身体は命を守るために全力で血糖値を上げようとします(⑤)。このときに分泌されるのが副腎皮質から分泌される「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」「コルチゾール」などです。これらホルモンは筋肉などに含まれるタンパク質を分解し、タンパク質からブドウ糖を合成するよう働きかけます。(タンパク質からブドウ糖を合成することを糖新生と言います)
そして下がりすぎた血糖値を上昇させるのですが、これらホルモンには同時に交感神経を刺激し、攻撃性を高める作用もあります。これにより、イライラしたり落ち着かなくなったり、人によってはキレやすくなったり攻撃的になったりと、様々な精神的不調や身体的不調が引き起こされてしまうことがあるのです。
このような普段の状態では正常の血糖値の範囲内に収まっているのに、食事をすると血糖値が乱高下し、低血糖症に陥ってしまう事を、「血糖値スパイク」や「かくれ低血糖症」といいます。
血糖値スパイクや隠れ低血糖症を抱えているかどうかは、血液検査項目の血糖値やHBA1cだけでは判断する事が出来ません。これらは主にインスリンの働きや分泌量が関係している事があるため、別途インスリンの働きを知ることも必要です。インスリンの働きや分泌量に関しては、「1.5AG (1.5アンヒドロ-D-グルシトール)」やCPR(Cペプチド)」があります。
1.5AGはブドウ糖(グルコース)と構造が似た糖アルコールの一種で、自然界に広く存在しています。殆どの食品に含まれており、吸収されて体内に入ります。その後は代謝を受ける事無くそのまま体内に蓄積し、一部が尿中に排泄され、血中濃度は安定しています。
しかし、高血糖状態では尿中排泄量が増えることから、1.5AGは低下します。そのため、食後にどれだけ血糖が高いかを見るマーカーとして役立ちます。主に糖尿病の早期発見や血糖コントロール不良を調べるための検査項目です。
もう一つのCPR(Cペプチド)はインスリンの前駆体である「プロインスリン」が分解される際に発生する物質です。インスリンとCPRは同程度血中に分泌されますが、インスリンは消費されてしまうため直接の測定に適していません。対してCPRは消費されずに尿中へ排泄されるため、測定に適しています。CPRは主に、インスリンの分泌能を評価するために用いられています。
1.5AG (1.5アンヒドロ-D-グルシトール)・・・・14μg/mL以上
CPR(Cペプチド)・・・・0.8〜1.8ng/mL
※10時間以上絶食した状態で計測
どちらもインスリンの働きや分泌に関わる検査で、これらに異常がある場合は血糖コントロールに問題があると推測することが出来ます。
ただ、1.5AGは肝臓や腎臓に問題があったり、過剰な糖質制限によって低栄養状態になっていると値が低下することがあります。また、CPRは食事や飲酒などの生活習慣、服薬などによっても影響を受けます。そのため、低血糖症の状態を知るためには、これら検査に加えて持続グルコース濃度測定検査を行う事も必要です。
血糖値スパイクや血糖コントロール不良に心当たりがある方は、是非持続グルコース濃度測定検査も受けてみて下さい。
僕の低血糖症のタイプはこれかも・・・
今は甘いものや炭水化物に偏った食事をしている人が多いから、このような「隠れ低血糖」に陥っている人は多いかもね
うう・・・💧
どうやって調べれば良いのかな❓
血糖値スパイク・かくれ低血糖症かどうかを確認するには、持続グルコース濃度測定検査を受けると良いよ。ただ、低血糖症は他にも後述する疾病なども関係している事があるから、治療なども必要に応じて同時に行うようにしてね
隠れ低血糖かどうかは、持続グルコース濃度測定検査で確認可能です
隠れ低血糖や血糖値スパイクが引き起こされているかどうかは、持続グルコース濃度測定検査を受けることで確認が可能です。
持続グルコース濃度測定検査とは、針の付いたセンサーを装着し、そこから血中のブドウ糖濃度(グルコース)を継続的に測定していく検査です。測定されたグルコース濃度はグラフ化され、どの時間帯や食べ物で血糖値の乱高下が起きているのかや、どのような低血糖が起こっているのかが分かります。
例えば、
空腹時血糖が80〜70mg/dlを下回る時間が長かったら低血糖症の可能性あり。
食後血糖値が160mg/dlを超えるようなら血糖値スパイクの疑いあり。
空腹時血糖が130mg/dlを超えているようなら糖尿病の疑いあり。
夜間や朝方など特定の時間に低血糖が起こる場合は、夜間低血糖の疑いあり。
食後血糖値が60~80mg/dl前後から上がらない場合は、血糖値を上げられない無反応性低血糖症の疑いあり。
といったように、読み取ったグラフや血糖値の傾向からどのような低血糖や血糖コントロールの異常があるのかが分かってきます。
例えば、低血糖と一言で言っても様々な種類があり、「夜間低血糖」がある方や「血糖値スパイク」を引き起こしている方、何を食べても血糖値が上がらない「無反応低血糖症」の方もいます。このような低血糖の種類や状態によってそれぞれ原因や対処法が異なってきますので、ご自身の原因や対処法を知るためにも是非持続グルコース濃度測定検査を受けてみて下さい。
持続グルコース濃度測定検査の受け方
では、具体的な持続グルコース濃度測定の受け方についてですが、後述するオーソモレキュラー療法と同時に受ける事が可能です。
オーソモレキュラー療法とは、オーソモレキュラー療法に対応するクリニックで専用の採血や検査を行い、その結果を基にサプリメントを用いてアプローチしていく療法です。オーソモレキュラー療法では主に68項目にも及ぶ血液検査が受けられるほか、副腎や甲状腺の検査、糖尿病や酸化ストレスなどの検査を必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。
実は、低血糖症が引き起こされる背景には甲状腺機能障害や副腎疲労など、疾病が関係している事があります。これら疾病からもアプローチしていく必要があるため、持続グルコース濃度測定検査を受ける際は必ずオーソモレキュラー療法の検査と同時に受けて頂くのがオススメです。
また、持続グルコース濃度測定検査自体はオーソモレキュラー療法に対応したクリニックが提供していますが、わざわざ病院まで検査を受けに行く必要はありません。測定に必要な測定器とセンサーは申し込み後に宅配で送られてくるため、ご自宅にて測定可能です。
測定した結果はクリニックに自動的に送られ、検査終了後は医師の解析や解説もセットで提供されています。解説は電話で受ける事が出来ますので、ご自宅に居ながらより詳しく状態を知ることが出来ます。
ですので、低血糖症でお悩みの方はオーソモレキュラー療法の検査とあわせて持続グルコース濃度測定検査も受けてみて下さい。
また、血糖値の測定自体は病院など医療を通さなくてもご自身で必要な機材を揃えて頂ければ測定可能です。
「リブレ」と呼ばれるセンサーと読み取り装置を準備し、ご自身で装着すればお好きなタイミングで血糖値をモニタリングすることが可能になります。
持続グルコース濃度測定に用いるリブレのセンサーと読み取り装置については、楽天やアマゾンでも販売されていますので興味ある方はご自身で揃えてみて下さい。
ただし、ご自身で行う場合は医師からの解析はありません。測定結果は、全てご自身の判断の下で利用して頂くことになります。
持続グルコース濃度測定検査は、血糖値の上がり下がりを単に見ているだけで無く、その根本にある糖代謝異常の原因を探る検査になります。ご自身で測定しても、そのデータを活用出来なければ全く意味がありません。データの読み方が分からない方は、きちんと医療を通して医師に解析して貰いましょう。
オーソモレキュラー療法で受けられる持続グルコース濃度測定検査の料金やシステムについては、オーソモレキュラー療法血液検査概要・料金一覧ページにてご案内しています。下記のお申し込みページをよくご覧頂き、よく理解した上でお申し込み下さい。
なるほど、低血糖にも人によって原因が違ったり、色々な種類があるんだね
そうだよ、だからこそ検査を受けるのが重要なんだ。
食事をしてもどのくらい血糖が上がってるのかも分からないし・・・
状態を知るためにも、持続グルコース濃度測定検査を受けた方が良さそうだね
もし隠れ低血糖だった場合の対策は? まずは食生活を見直してみましょう
では、もし血糖値スパイクやかくれ低血糖症だった場合には、どのような対策を行えば良いのでしょうか?
まず大前提として行いたいのは、「甘い物の撮りすぎや炭水化物の過剰摂取をしない」事です。お菓子やジュースなど、加工された甘い物には大量の砂糖が含まれています。また、ラーメンやうどん、パスタやパンなどは炭水化物と言われ、消化されると糖分に変わります。
これらを摂りすぎることによって血糖値が急激に上昇する原因となりますので、まずはこれらを摂りすぎないようにしましょう。また、バランスの良い食事を心がける、よく噛んで食べる、食べたら運動するなどの習慣を取り入れることも大切です。
これらを行う事によって、血糖値の急激な上昇を防ぎ、血糖値スパイクを防ぐことが出来ます。
血糖値スパイク・かくれ低血糖症対策に必要なこと
- 甘い物、炭水化物の摂りすぎを控える
- バランスの良い食生活を心がける
- よく噛む
- 食べたら動く、運動する習慣を取り入れる
- インスリンの働きを高める栄養補給をする
- 必要に応じて回数頻回食を取り入れる
- 口腔内のケアをする(歯周病など)
具体的には、お菓子やジュースなどの甘いものは極力避け、ラーメンやパン、パスタなどの炭水化物だけでお腹いっぱいにすることは避けるようにしましょう。そして、タンパク質や脂質、炭水化物を含めたバランスの良い食事を心がけるようにして下さい。
オススメの食事内容としては、和食や地中海料理などがオススメです。和食ではご飯に味噌汁、納豆に卵焼き、焼き鮭など複数種類の食べ物を食べるので、炭水化物に脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。
また、地中海料理も、肉や魚などおかずの種類も多く、炭水化物や脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。
このような食事を参考に、ご飯やパンなど炭水化物ばかりに偏らず、スープやサラダなどの前菜、煮物や豆腐などの副菜、そして唐揚げや焼き肉などの主菜、メインの主食となるご飯などをバランス良く食べるように心がけて下さい。
そしてこの時、必ずサラダやスープなどの前菜から食べるようにし、主食であるお米や麺などは最後に食べるようにするのがオススメです。こうすることで炭水化物の消化が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えることが出来ます。
また、食べる時はしっかりと「よく噛んで」食べるようにしましょう。よく噛むことによってインスリンが食事中から分泌され、血糖値の急激な上昇を防いでくれます。
よく噛んで食べると言われてもなかなか難しいかと思いますが、よく噛むコツとしては、一口食べるごとに箸を置くことです。こうすることでワンクッション動作が加わり、早食いを防止できます。もし、あまり噛まずに飲み込んでしまったり、早食いをしてしまうと、その分だけ短時間に大量の食べ物を胃と腸に送り込むことになって血糖値が上昇しやすくなりますので注意して下さい。
それから、バランスの良い食事をよく噛んで食べたら、スグに歩くことも重要です。食べた糖質は、エネルギーとして使っていくことで消費できますので、体を動かせばその分だけ血糖値の急上昇を防ぐことが出来ます。
軽いウォーキングでも構いませんので、食べ終わったら30分から1時間くらいは歩くようにしましょう。間違っても、食べたすぐ後に横になったり寝たりしないようにして下さい。エネルギーとして使われなかった糖質はインスリンによって脂肪に貯えられてしまいます。脂肪が付くことによって余計に糖代謝が悪化する原因になりますので、食べた後はなるべく体を動かす事を心がけて下さい。
なるほど、バランスの良い食事を心がけることが大切なんだね。
でも、頑張って糖質を控えても、どうしても血糖値が上がり過ぎちゃうよ
なるほど、確かに状態によってはそれでも血糖値が上がりすぎてしまう人もいるね。そんな時は回数頻回食にするといいよ
回数頻回食❓
そう、少ない食事をこまめに食べることだよ。
こうすることで血糖値の急激な上昇を抑えてくれるんだ
食事をこまめに摂る回数頻回食を実践する
状態によっては、バランスの良い食事を心がけても低血糖になってしまう場合があります。このような場合は、回数頻回食を実践してみましょう。
回数頻回食とは、1時間や2時間おきに少量の食事を何回も摂取する事です。また、朝昼晩の三食に加えて、間に間食を挟むという方法もあります。こうすることによって食事一回あたりの血糖値の急激な上昇を抑えることができ、血糖値を一定に保てるので低血糖も防ぐことが出来ます。
回数頻回食のコツとしては「吸収が比較的穏やかな糖質を組み合わせる」事と「なるべくこまめに食べる」ことです。こうすることで血糖値の乱高下を防ぎ、更に血糖値を下げないように安定させることが出来ます。
ここで言う吸収が比較的穏やかな糖質とは、お米や芋類などのデンプン質のことです。デンプンは噛むことによって徐々にブドウ糖に分解され、徐々に吸収されていきます。このため、精製された砂糖を補給するよりも、比較的穏やかに血糖値を上昇、維持させることが可能です。
また、いくらお米でも一気に食べると血糖値が急上昇しますので、何回にも分けて食べるようにしましょう。お団子くらいに小さく握ったおにぎりを1時間おきに食べるなど、細かく分けて食べれば、血糖値をなるべく一定以上に保つことが可能になります。
それから、お米などのデンプン質は油でコーティングすると急激な血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。具体的には、チャーハンやピラフなど、お米を油で炒めるものがこれにあたります。
これらも血糖値スパイクや低血糖の予防としてはそれなりに活用出来ますので、吸収の早い糖質と吸収の遅い糖質を組み合わせてなるべく回数頻回を行い、低血糖にならないよう工夫してみて下さい。
バランスの良い食事や運動に加えて、回数頻回食で持続性がある糖を摂ることも大切なんだね。
うん、お米は冷やすと食物繊維に変わってさらに消化が遅くなるよ。油で炒めたり冷やしたり、工夫しながら量を調節して摂っていくことが大事だね。
分かった❗色々試してみるよ❗
極端なダイエット・糖質制限に注意! カロリー不足や栄養不足は低血糖に陥る原因です
次に重要となるのが、極端な糖質制限や食べないダイエットは行わないことです。上述した血糖値スパイクや隠れ低血糖では糖質や炭水化物の摂りすぎが問題でしたが、だからと言って極端に制限しすぎてしまうことも逆効果となります。
特に最近では、健康志向の高まりから極端な糖質制限を行ったり食べないダイエットを行う方も増えてきました。このような極端な糖質制限や食べないダイエットなども、低血糖症に陥りやすくなる原因です。
なぜかというと、人は食べた食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたり、体温を維持したり、消化吸収をしたりしています。この時、過剰な糖質制限や食べないダイエットなどによって摂取カロリーが低くなってしまうと、体内で利用出来る糖やエネルギーが枯渇してしまいます。その結果、低血糖へと陥ってしまうことがあるのです。
そのため、ダイエットや糖質制限を行っている方の栄養アプローチとしては、まず第一に「食べないダイエット」や「ファスティング」「過剰な糖質制限」は行わないようにすることです。
実は、このような食べないダイエットやファスティングを行っても、脂肪はほとんど燃焼されません。これは、糖質制限や食べないダイエット等で体内でブドウ糖が足りなくなってしまったとき(血糖値が下がったとき)は、真っ先に筋肉を壊してブドウ糖を生成し、エネルギーとして使ってしまうためです(糖新生)。
そのため、食べないダイエットや過剰に糖質制限を行っても、実際には脂肪が効率的に燃焼されることは殆どありません。
人によっては、食べないダイエットや糖質制限によって体重が減ることがありますが、これは筋肉量が減ったり体内の水分量が減ったり(脱水)したことによる体重の減少です。筋肉や水分は脂肪よりも重たいため、筋肉量が減ったり脱水になると目に見えて体重が減少する事があります。
しかし、筋肉にはブドウ糖をエネルギーとして使ってくれる組織でもあるため、筋肉量が落ちてしまうとブドウ糖をエネルギーとして上手く使うことが出来なくなってきます。その場合に引き起こされるのが、前述した「血糖値スパイク」や「かくれ低血糖症」などの低血糖症です。
実は、低血糖症を引き起こす原因の1つに、筋肉量の低下があります。筋肉はブドウ糖を取り込んでエネルギーとして使っている臓器ですので、筋肉量が減ってしまうとそのぶんだけブドウ糖がエネルギーとして使いにくくなり、血糖値が上昇しやすくなったり、血糖値の乱高下を引き起こしたりしやすくなるのです。
加えて、食べないダイエットや過剰な糖質制限では、食べる量も噛む量も少なくなるため、消化管の筋肉量低下に繋がります。胃や腸の殆どは筋肉である事から、消化管の筋肉量低下は消化吸収能の低下を招く大きな原因です。この結果、食べ物を上手く消化吸収出来なくなり、さらに低血糖症を深刻化させることに繋がります。
消化吸収能の低下や低血糖症が深刻化した場合、最悪の場合は「甲状腺機能低下症(低T3症候群)」や「SIBO」「リーキーガット症候群」などにも発展する恐れも高いです。また、胃や腸の筋肉が低下すると胃や腸を十分に支えられられなくなり、胃や腸が垂れ下がってしまう「胃下垂」も引き起こしやすくなります3。胃下垂は、更に消化吸収能を低下させ、栄養障害を引き起こしやすくなる原因です。
このため、食べないダイエットや糖質制限はむしろ身体に大きな悪影響を引き起こしますので絶対に行わないようにしましょう。
それから、野菜たっぷりのヘルシーな食事を行っている方は、貧血やタンパク質不足に注意が必要です。野菜たっぷりのヘルシーな食事では、鉄分やタンパク質が十分に摂取出来ないことから貧血が進行したり、筋肉量が低下したりしてしまう危険性があります。
鉄分は肉や魚などの赤身肉に多く含まれていますが、野菜たっぷりのヘルシーな食事ではこれらを避けてしまうため、十分な量の鉄分を補給することが出来ません。特に女性は毎月の月経によって血液が失われてしまうので、十分な鉄分補給しないと貧血がドンドン進行してしまいます。この貧血も代謝を悪化させるため、太りやすくなったり低血糖症を引き起こす原因です。
また、筋肉はタンパク質で出来ているため、肉や魚などのタンパク質の摂取量が不足してしまうと筋肉量の低下にも繋がります。筋肉量の低下は低血糖症と深い関係がありますので、ヘルシーな食事をすればするほど低血糖症に陥ってしまうリスクが高くなります。
ですので、間違ったダイエットや極端な糖質制限、最近流行りの「ファスティング」などは低血糖症や貧血を引き起こす主な原因になりますので、絶対に止めましょう。
間違ったダイエットを行うことによって引き起こされること
- 貧血になりやすくなる
- 甲状腺機能が低下しやすくなる
- 筋肉量が低下する
- 太りやすくなる
- 低血糖症を発症しやすくなる
- 消化吸収能が低下する、胃下垂になる
- PMS(月経前症候群)、生理不順など月経に問題が起こる
- 非アルコール性脂肪肝になりやすくなる
- 腸内環境が悪くなる、便秘、下痢になる
- SIBOやリーキーガット症候群などになりやすくなる
食べないダイエットやファスティング、過剰な糖質制限は貧血や低血糖症を引き起こす主な原因だよ。これらは体に悪いから絶対に止めようね❗
極端なダイエット・糖質制限は行わず、きちんとバランスの良い食事とカロリーの摂取を心がけましょう
こちらの対策としても先ほどの「かくれ低血糖症」や「血糖値スパイク」と同じく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。
繰り返しになりますが、野菜などのヘルシーな食事に偏らず、炭水化物や脂質、タンパク質などバランスよく食べるように心がけて下さい。
オススメの食事内容としては、和食や地中海料理などがオススメです。和食ではご飯に味噌汁、納豆に卵焼き、焼き鮭など複数種類の食べ物を食べるので、炭水化物に脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。また、地中海料理も、肉や魚などおかずの種類も多く、炭水化物や脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。
それから、糖質制限やダイエットを行っている方は朝食を食べない方も多く、もし朝食を抜いてしまうと低血糖症に陥りやすくなってしまいます。低血糖症を引き起こさないようにするためにも、朝食はしっかり食べるようにして下さい。
この時大切なのは、必要な量のカロリーはしっかり摂るようにすることです。カロリーは身体を動かすために必要なエネルギー源のことで、これが足りなくなると低血糖を引き起こしやすくなります。
特に極端なダイエットや糖質制限によって低血糖症を引き起こしている場合は、まず第一にバランスの良い食事と適正なカロリーの摂取を行う事が必要になります。その為には、ご自身に必要なカロリー摂取量を把握し、基礎代謝を下回らないように食事を摂取していきましょう。
必要なカロリー量の計算は、次のサイトで計算することが出来ます。
サイト上で、ご自身の体重と身長、年齢と性別を入力し、活動レベルを「低い」「普通」「高い」の中から選択して「計算」ボタンを押せば、一日に必要なエネルギー量と基礎代謝量が分かります。ここで計算したカロリー量を参考に、一日に必要なエネルギー量は必ず摂取するようにして下さい。
例えば、ある人の基礎代謝量が1320kcal/日、一日に必要なエネルギー量が2292kcal/日だとしましょう。
この基礎代謝量は、「体温など生命維持をするために絶対必要なカロリー」のことです。この基礎代謝を下回ると命の危険に晒されてしまいます。基礎代謝量以上のカロリーは生きる上で最低限必要なカロリーですので、絶対に下回らないよう注意してください。
一日の必要エネルギー量は、基礎代謝に加えて体を動かしたり、頭を使ったり、喋ったりするなど日常生活を送る上で必要なカロリーが足された物です。この一日の必要エネルギー量を十分に摂取する事で、筋肉が壊されてエネルギーとして使われてしまうことを防げます。
ですので、ご自身に必要な一日のエネルギー量を計算し、これを下回らないような食事をするようにしましょう。
逆に、この必要エネルギー量よりも多いカロリーを摂取してしまうと肥満に繋がります。多すぎても少なすぎても体には良くありませんので、適切なカロリー摂取量を心がけて下さいね。
低血糖症を防ぐためには、適切なカロリーの摂取量が大事なんだね❗
その他にも、タンパク質やビタミンB群など栄養素の補給も大事だよ。消化吸収能も弱っている可能性もあるから、血液検査を受けて自分の状態の確認することと、必要な栄養アプローチのアドバイスを受けてみてね
低血糖症には必ず原因がある。低血糖症と関連のある疾病と関連する検査項目
では、ここからは低血糖症と関連のある疾病と、それぞれに対する関連項目のご紹介です。
低血糖症には上述した食生活や生活習慣の問題以外にも、様々な疾病や栄養欠損が関係している事があります。そのため、上述した食生活や生活習慣の改善を行っても、低血糖症が改善出来るわけではありません。
低血糖症を改善させるためには、次のような疾病や栄養欠損が無いかどうかを検査で調べて、適切な分子栄養学的アプローチを行っていく事が大切です。
低血糖症との関連が考えられる疾病
- 糖尿病(治療薬が原因の低血糖は除く)
- 貧血
- 副腎疲労・慢性疲労症候群
- 副腎不全
- 脂肪肝など肝機能障害
- 甲状腺機能障害
- ピロリ菌感染、胃腸障害
- SIBO
- リーキーガット症候群
- 腸カンジダ症
- 口腔内環境の悪化
- 更年期障害、自律神経失調症
- 肥満、痩せすぎ
※上述した疾病はあくまで一例です。上記以外にも、様々な原因が関係しています。
ここでは、主にこれらの疾病が低血糖症とどのような関係があるのかについてと、その疾病が関係している検査項目について解説していきます。お手元に検査結果がありましたら、是非参考にしてみて下さい。
ただし、低血糖症はここで紹介した原因以外にも様々な原因が考えられ、ここですべての疾病に対する分子栄養学をすべてご紹介することは出来ません。また、個々でご紹介する検査項目の解説は、病気を診断するものではありません。最終的なアプローチに関しましてはそれぞれ検査を受けてご自身に合ったアプローチを行っていくことが必要です。
特に、低血糖症は糖尿病などの慢性炎症性疾患や感染症など様々な原因で引き起こされます。絶対に当てずっぽうでは行わないようにして下さい。
血液検査は、受けたクリニックや採血時の状態で結果が異なります。すべての検査結果が参考になるとは限りません。
血液検査は使用する「試薬」や「手法」によって、出てくる検査結果に大幅な違いがあることがあります。また、同じ日に採血した血液でも、受診した医療施設によっては血液検査結果のデータが異なる場合があります。これは、検査の手法や使用する試薬は、医療施設によって異なることがあるためです。4
特に、最近では自宅で検査ができる血液検査キットなども出てきました。これらはクリニックで受ける採血と「手法」や「試薬」などが異なることから、基準値となる値も大きく異なります。
そのため、ここでは当方の指定するオーソモレキュラー療法で受けた血液検査結果を基準として解説しています。かかりつけのクリニックで受けた検査とここで解説している検査項目では、単位の違いや手法の違いによって、一概に比較したり当てはめたり出来ない場合がありますのでご注意下さい。
貧血は低血糖症の主な原因。貧血がある方は第一に貧血改善から始めましょう
まず、低血糖症の対策において真っ先に行っていきたいのが「鉄欠乏性貧血」の改善です。
実は、鉄欠乏性貧血等の貧血と低血糖症には深い関連があります。その理由は、血液には酸素を運搬して細胞に届ける働きを担っており、細胞はこの酸素と糖質などの栄養素を利用してエネルギーを産生しているためです。
もし貧血になってしまうと、酸欠になって身体が作り出せるエネルギー産生量が低下してしまいます。すると、糖の利用や代謝機能に乱れが生じてしまい、血糖値が乱高下したり糖が上手くエネルギーとして使えなくなってしまいます。
このため、貧血がある方は第一に貧血改善から始めましょう。貧血と聞くと「私は病院で貧血と診断されていないから大丈夫」と思われる方が多いかと思いますが、そのような方でも注意が必要です。
中には、病院では貧血と診断されていないけど貧血になっている「かくれ貧血」の方もいます。かくれ貧血とは、別名「潜在性鉄欠乏性貧血」とも言い、貧血の診断でよく使われる「ヘモグロビン値」が正常範囲に収まっていても、貯蔵鉄である「血清フェリチン値」が低下してしまっている状態の事です。
私達の身体には、出血した際にすぐに貧血とならないよう、体内に「フェリチン」という貯蔵鉄を溜めておく機能が備わっています。フェリチンは鉄分を安全に貯蔵できるタンパク質のことで、体内で鉄が不足したときには真っ先にこのフェリチンから鉄分を取りだして使われる仕組みになっています。
しかし、もしこのフェリチンの貯蔵量が足りなくなっていた場合、いざ出血したときにヘモグロビンの材料として使える鉄分が足りません。すると、普段は貧血と診断されていなくても、月経などで出血した場合にすぐに貧血に陥ってしまうのです。
実は、現在の病院では貧血の診断を「ヘモグロビン」や「赤血球」という値が低いかどうかだけで行っています。ヘモグロビン値の低下は確かに貧血を診断する指標となるのですが、この値が一定以下にまで低下していない限り、仮にギリギリ下限の値だったとしても貧血と診断されません。
また、通常の保険診療では血清フェリチン値の検査は殆ど行われていません。このことから、貧血と診断されていなくても貧血の状態になっている「潜在性鉄欠乏貧血」の方が非常に多くいるのです。
この隠れ貧血の状態では、ヘモグロビン値が下がっていなくても貧血と同じような不調が引き起こされていきます。また、貧血が徐々に進行していくことから、貧血だと気がつかないまま徐々に頭痛やめまい、倦怠感や食欲不振などの症状が悪化している場合もあります。
他にも「太りやすくなった」「爪がもろくてすぐ割れる」「喉に違和感があり、物を飲み込みにくい」など、様々な症状が引き起こされることがあります。
このような不調の症状が多岐にわたることから、元々は貧血が原因にも関わらず「うつ病」や「パニック障害」などの精神疾患と間違えられてしまう場合も少なくありません。しかも、貧血と低血糖症の症状は似ている部分もあり、この2つの症状が重なる事で更に症状が酷くなることもあります。
例えば、低血糖症の主な症状を下の表にまとめてみました。鉄欠乏性貧血の症状と見比べてみると、かなり似ていることが分かりますよね。
低血糖症の主な症状
- 全身の倦怠感、疲れやすい
- 集中力が無い
- 眠気が強く、朝起きられない
- 寒がり、低体温
- 動悸がする
- めまいがする
- 冷や汗をかく
- 不眠
- イライラする
- 頭痛
- 神経過敏
- 不安、恐怖感が強くなる
- 太りやすくなった
また、貧血と低血糖症はどちらも症状が似ているので、貧血の裏に低血糖症が隠れていることにも気がつかない場合も多いです。もしくは、どちらも徐々に進行していくことから不調の状態に慣れてしまい、貧血や低血糖を抱えていることにすら気がつかない人もいるほどです。このため、貧血も低血糖症も精神疾患など他の病気と間違えられやすい病気でもあります。
このような貧血と診断されていないけど貧血に陥ってしまっている状態の方はかなり多く、一般的な病院の血液検査ではまず見つけてくれません。このような貧血と診断されていないけど実際には貧血が隠れている「隠れ貧血」や「潜在性鉄欠乏性貧血」の方も、低血糖症になりやすくなるので注意が必要です。
か、かくれ貧血❗❓ そんな状態もあるんだね💦
そうだよ。病院では主に赤血球やヘモグロビンだけを見て貧血かどうかを判断しているから、かくれ貧血の人は貧血と診断され無い事が多いんだ。貧血かどうかを判断するのは、フェリチンも検査することが大切だよ。
貧血・隠れ貧血に関連する血液検査項目
では、そのような貧血や隠れ貧血はどのように見つければ良いのでしょうか?
鉄不足かどうかを確認する検査項目としては、主に赤血球(RBC)、ヘモグロビン(HB)、血清鉄(Fe)、不飽和鉄結合能(UIBC)、そして血清フェリチンがあります。これらの検査項目を確認することで、貧血や隠れ貧血かどうかを判断する目安になります。
例えば、貧血関連項目として分子栄養学的基準値は次のようになっています。貧血では赤血球数とヘモグロビン、血清鉄が減少することが多く、不飽和鉄結合能は上昇することが多いです。また、隠れ鉄欠乏貧血ではフェリチン値のみが低下することが特徴です。
検査項目 | 説明 | 分子栄養学的基準値 |
---|---|---|
RBC 赤血球数 | 酸素を運搬する細胞。低値は貧血 高値は脱水、ストレス、喫煙、多血症など | 430〜500万 /μL |
HB ヘモグロビン | 酸素を結合するタンパク質 低値は貧血、高値は脱水など | 13.0 g/dL |
Fe 血清鉄 | 鉄と結合したタンパク質の濃度 低値は炎症、高度な鉄欠乏、高値は溶血など | 60〜100 μg/dL |
UIBC 不飽和鉄結合能 | 鉄と結合したタンパク質の濃度 低値はタンパク質不足、高値は鉄欠乏など | 250〜300 μg/dL |
血清フェリチン | 体内の鉄貯蔵量 低値は鉄欠乏、高値は炎症など | 60〜100 ng/mL 以上 ※男女・有経女性 かで違いあり |
ただし、赤血球やヘモグロビンなどは脱水による血液濃縮によっても上昇することがあります。また、血清フェリチン値は炎症によっても上昇することがあります。数値が基準値内に収まっていたとしても、それで貧血ではないと断言する事は出来ません。最終的な判断については、自己判断で行わず必ずオーソモレキュラー療法の検査を受けるようにして下さい。
また、貧血と低血糖症との関連については、下記記事でも詳しく解説しています。貧血に対する分子栄養学的アプローチなど更に詳しく知りたい方は、参考にして下さい。
か、隠れ鉄欠乏性貧血なんてあるのか❗
そうだよ。病院で貧血と診断されていなくても貧血に陥っている人も多くいるんだ。だから、血清フェリチンを含めた検査を受けて、しっかり貧血対策した方が良いね。
低血糖症とピロリ菌感染症の関係と、関連する検査項目
次に、低血糖症とピロリ菌感染症の関係と、関連する検査項目についてです。「ピロリ菌の感染がなぜ低血糖症と関係があるの?」と思うかも知れませんが、実はピロリ菌感染症と上述した貧血・低血糖症には深い関連性があることが分かっています。
特に、ピロリ菌感染による慢性炎症は胃腸機能を低下させ、タンパク質不足を招く大きな原因です。このタンパク質不足と慢性炎症が、上述した貧血や低血糖症を引き起こす引き金となります。
そのため、貧血と低血糖症を抱えている方は、まず第一にピロリ菌がいるかどうかを検査で確認し、適切な治療と分子栄養学的アプローチを行いましょう。
まずは、ピロリ菌とはどんな菌なのかについておさらいです。ピロリ菌と言えば、胃がんを引き起こす菌として有名ですよね。ピロリ菌はその正式名称を「ヘリコバクター・ピロリ」といい、胃粘膜に感染する菌のことです。この菌に感染していると、菌が出す毒素によって胃粘膜が傷つき、胃炎や胃潰瘍、胃がんの原因となる事が分かっています。
では、そんなピロリ菌感染と貧血・低血糖症にはどのような関係があるのでしょうか?
ピロリ菌に感染すると引き起こされる主な症状として「胃炎」があります。この胃炎が慢性的に続いてしまうと、免疫機能が過剰に反応(TNF-αの分泌亢進)し、血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の働きが悪くなることが分かっています。5
インスリンの働きが悪くなってしまうと、血糖値を下げるために必要以上のインスリンの分泌が促されてしまいます。このインスリンの効きが悪くなることと、必要以上のインスリン分泌されてしまうことが、血糖値スパイクや隠れ低血糖を引き起こす原因となってしまうのです。
具体的には、ピロリ菌が出す毒素による「慢性胃炎」や「萎縮性胃炎」が関係しています。ピロリ菌と言えば「胃がん」や「胃潰瘍」を発症する原因と言われていますよね。しかし、ピロリ菌に感染したからと言って必ずしも潰瘍や胃がんを発症するわけではありません。これらの疾患を発症しなくても、殆どの人にはピロリ菌の出す毒素によって「胃炎」が発症します。
この胃炎はピロリ菌の感染部位が広がっていくにつれて炎症部位が広がっていき、やがて胃粘膜全体に広がります。胃粘膜全体に炎症が広がると「慢性胃炎」となり、この状態が長く続くことによって萎縮性胃炎や胃潰瘍、胃がんに発展してしまうというわけです。
さらに、ピロリ菌に感染した部位では、ピロリ菌を攻撃しようと白血球の一種であるマクロファージが活性化します。このマクロファージが、TNF-αという更に炎症を起こすサイトカインの一種を放出することでインスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が増加してしまいます。このインスリンの働きが悪くなってしまうと、血糖値を下げる際にはより多くのインスリン分泌量が必要です。6
そして、この多量に分泌されたインスリンが効き過ぎてしまうことで、今度は血糖値が下がりすぎてしまい、低血糖症を引き起こしてしまう事に繋がります。このような原因で引き起こされる低血糖症が「血糖値スパイク」や「隠れ低血糖症」などです。
加えて、炎症反応が慢性的に続いている場合は様々なサイトカインが体内で産生されています。これらが骨髄での造血を抑制したり、赤血球の寿命を短くすることで貧血にも繋がります7。さらに、この慢性胃炎の状態では、ビタミンB12や葉酸の吸収に必要な内因子の分泌も低下するため、ビタミンB12や葉酸不足による「悪性貧血」を引き起こしてしまう原因になります。8
悪性貧血は、赤血球のDNA合成に必要なビタミンB12や葉酸が不足することによって赤血球細胞の成長に異常が起こり、赤血球が大型化したり、異常な形になってしまう貧血です。この未熟な赤血球は成熟した赤血球になる前に壊れてしまい(無効造血)、赤血球が足りなくなって貧血に陥ります9。このように、ピロリ菌による慢性胃炎と貧血・低血糖症には深い関係があります。
また、ピロリ菌感染症における貧血・低血糖症の原因は慢性炎症だけが原因ではありません。他にも、胃粘膜が傷つくことで消化機能が低下し、タンパク質を始めとした栄養欠損を引き起こす原因になる事があります。インスリンなどを始めとした糖代謝に関連するのホルモンはタンパク質を材料にして作られているので、タンパク質不足になってしまうと糖代謝も悪化してしまう原因になってしまいます。
このタンパク質不足は貧血とも関係していて、血液検査などでよく聞く「赤血球」や「ヘモグロビン」などはタンパク質と鉄を材料に作られています。そのため、タンパク質を始めとした栄養が不足してしまうと、造血に必要な栄養が足りなくなってしまい、同時に貧血も引き起こしてしまうというわけです。
例えば、私達が摂ったタンパク質は胃でアミノ酸まで消化し、小腸で吸収されています。このタンパク質をしっかり吸収するためには胃の働きが重要で、胃酸がしっかり分泌されていることが必要です。
健康な人であれば十分な胃の働きと胃酸分泌量がありますが、何らかの原因でピロリ菌に感染していると、ピロリ菌の出す毒素によって胃粘膜に炎症が発生していきます。この炎症が慢性的に続くことによって胃の粘膜がうすくやせてしまう「萎縮」が進み、萎縮が進むと胃の粘膜の胃液や胃酸などを分泌する組織が減少して「萎縮性胃炎」の状態に陥ってしまいます。
萎縮性胃炎の状態では、健康な胃の状態に比べて胃粘膜が薄くなり、胃酸の分泌量が低下します。この胃酸の分泌量が不十分の場合は、タンパク質をアミノ酸の状態まで十分に消化することが出来ません。すると、せっかく摂ったタンパク質が小腸で吸収出来ず、食べていても栄養不足に陥ってしまいます。このタンパク質が体内で不足することによって、低血糖症を始めとした様々な悪影響が引き起こされてしまうのです。
例えば、タンパク質不足が不足することで低血糖症を引き起こす理由の1つとしては、血糖値をコントロールするためのホルモンなどが十分に合成出来なくなってしまうことがあげられます。血糖値を下げてくれる「インスリン」というホルモンや、血糖値を上げてくれる作用のある「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」「コルチゾール」などのホルモンはすべてタンパク質を材料に作られています。タンパク質不足になってしまうということは、これら血糖値をコントロールするためのホルモンが十分に作れなくなってしまう事でもあります。
また、タンパク質不足はインスリンなどホルモンの合成不足を招く以外にも、筋肉量の低下を招く原因です。この筋肉量の低下も低血糖症の原因になり得ます。
理由は、私達の身体は筋肉を動かしたり脳を働かせたりするために「ブドウ糖」をエネルギー源として貯蔵、利用する機能が備わっています(貯蔵型のブドウ糖をグリコーゲンといいます)。このグリコーゲンは筋肉にも貯蔵されており、低血糖になった際には必要に応じて利用することで低血糖症を防ぐ仕組みが備わっています。
この時、ピロリ菌感染などによってタンパク質不足が深刻化していると、筋肉の元となるタンパク質が不足して筋肉量が低下してしまいます。筋肉量が低下すると貯蔵できるグリコーゲンの量や消費量も減少してしまうことから、正常な血糖値を維持することが難しくなってしまうのです。
加えて、先ほども解説した様にタンパク質不足の状態では貧血も起こしやすくなります。血液には酸素を運搬して細胞に届ける働きを担っており、細胞はこの酸素と糖質などの栄養素を利用してエネルギーを産生しています。もし貧血になってしまうと、酸欠になって身体が作り出せるエネルギー産生量も低下し、糖の利用や代謝機能に乱れが生じてしまいます。
このことから、もし今あなたが低血糖症の症状を抱えている状態なら、ピロリ菌感染によって胃腸機能の低下と栄養欠損が深刻化し、これが原因で低血糖症を発症している可能性も考えられます。低血糖症の根本原因から改善させるためにも、まずはご自身にピロリ菌の感染が無いかどうかを調べてみましょう。
ピロリ菌に感染しているかどうかは一般的に「胃カメラ」によって検査します。胃カメラでは鼻や口からカメラを挿入し、胃粘膜の状態を直接目視する検査です。この時に鼻や喉に麻酔を使ってカメラを挿入する際、苦痛を伴う方も少なくありません。
ですが、いきなり無理して胃カメラを受けなくても大丈夫です。ピロリ菌に感染しているかどうかは、血液検査である程度知ることが出来ます。これなら、胃カメラを受けるよりも負担がありません。まずは血液検査を受けて、ピロリ菌の感染状態や胃粘膜の状態、タンパク質の消化能力を調べて見てください。
血液検査の項目としては、胃酸の分泌量を表すPG1や粘膜の炎症程度を表すPG2、胃粘膜萎縮の程度を見るPG1/2比、ピロリ菌感染の有無を調べるHp抗体などがあります。このHp抗体の数値が10以上だった場合は、ピロリ菌に感染している可能性が高いです。Hp抗体は「ヘリコバクター・ピロリ抗体」と言って、免疫機能がピロリ菌と闘っていると増える抗体のことです。もしこの抗体の数値が10以上や、9以上など10に近い場合は次に説明する「胃カメラ」を受けてピロリ菌がいるかどうかを確認してください。
この他、胃の状態を知る方法として、PG1やPG2などがあります。ピロリ菌に感染していると胃粘膜に炎症が発生したり萎縮が発生する事から、PG1は減少、PG2は上昇する傾向にあります。例えば、健康な人であればPG1が50、PG2が5といった数値になっているのに対し、ピロリ菌に感染している場合はPG1が20、PG2が10のようにPG1が減少、PG2が上昇します。このPG1の数値からPG2を割るとPG1/2比となり、この数値が3.1を下回るようなら胃粘膜に萎縮が起きている可能性が高いと判断できます。(例 50÷5=10、20÷10=2)
検査項目 | 説明 | 数値の目安 |
---|---|---|
PGⅠ ペプシノーゲンⅠ | 胃酸の分泌機能を示す | 40ng/mL以上 |
PGⅡ ペプシノーゲンⅡ | 数値の上昇は、炎症の存在を示す | 10ng/mL以下 |
PGⅠ/Ⅱ ワン・ツー比 | ピロリ菌感染者は低下しやすい。 また、低値は高度萎縮性胃炎があり、胃がんのハイリスク。 高値は胃酸分泌抑制剤(偽高値)、慢性腎不全患者 | 3.1以上 |
抗Hp抗体 ピロリ菌抗体 | 陽性はピロリ菌感染の疑いが高い。 ピロリ菌感染後もしばらくは残ることがある。 | 10U/mL未満 |
もしPG1の数値が低い場合は、胃酸の分泌量が少なく、タンパク質をしっかり消化吸収することが出来ていない可能性があります。また、胃粘膜の炎症や萎縮があるとタンパク質が上手く吸収できなくなってしまいます。
ただし、人によってはピロリ菌に感染していなくても何らかの原因でPG1の数値が異常に低かったり、PG2の値が異常に高かったりする場合があります。この場合もピロリ菌に感染しているときと同じく消化能力が落ちている可能性がありますので、自己判断せずオーソモレキュラー療法の検査を受けてタンパク質がしっかり消化吸収出来ているかを確認してみてください。
ちなみに、過去にピロリ菌の除菌をしている場合は、ピロリ菌の除菌に成功していてもピロリ菌抗体が残る場合があります。胃カメラによる目視や呼気検査でピロリ菌感染が否定された場合は、ピロリ菌抗体が10以上あったとしても問題はありません。
また、血液検査によるピロリ菌の検査は、血液中に含まれるピロリ菌の抗体量を調べる検査です。ピロリ菌の有無を直接調べているわけではないので注意して下さい。
このため、ピロリ菌抗体の数値が高かった方や、PG1の胃粘膜の炎症が高かった方、PG1/2比の数値が3.1を下回っている方は、実際にピロリ菌が感染しているかどうかを調べるために胃カメラによる直接の目視が必要です。当てはまった方は、ピロリ菌の感染有無や胃の状態を確認するためにも、必ず専門のクリニックで胃カメラの検査を受けて下さい。
ここでご紹介した血液検査や胃カメラの検査は、後述する「オーソモレキュラー療法」でも受ける事が出来ます。特に胃カメラは検査技師の腕前によって診断が大きく左右されることから、クリニック選びが最も重要です。近いからといって近所のクリニックで安易にピロリ菌の検査や除菌を受けると、技師の腕前によってはピロリ菌が見つけられなかったり除菌に失敗したりする可能性もあります。このようなリスクを減らすためにも。胃カメラやピロリ菌の除菌を受けるクリニックは、技師の腕が良い信頼出来るクリニックを選んで下さい。
ピロリ菌に対する分子栄養学的アプローチなど詳しい事は下記の記事でも解説しています。更に詳しい事を学びたい方は、是非参考にしてみて下さい。
ピロリ菌感染かぁ…確かに胃の検査は今まで受けたことが無いかも💧
ピロリ菌の検査が保険診療になったのは2013年からだからね。それ以前はピロリ菌感染胃炎に対する保険診療は対象外だったから、ピロリ菌の検査を受けたことがない人は多いと思うよ。もし心当たりがある人は、是非ピロリ菌の検査を受けてみてね
肥満・隠れ肥満は糖尿病と低血糖症の原因に。肥満・隠れ肥満と関連がある検査項目
次に、肥満・隠れ肥満と糖尿病・低血糖症の関連についてと、それに関連する検査項目についてです。
現代は飽食の時代と言われるように、食べたいものを食べたいだけ、いつでもどこでも食べられるようになりました。また、交通手段の発展による運動不足やお酒の飲み過ぎなど、あまり動かなくても嗜好品が楽しめる時代になっています。その結果、カロリーや糖質の摂り過ぎを始めとした肥満に繋がる大きな原因となりました。
この肥満が、実は生活習慣病を始めとした二型糖尿病や、低血糖症を引き起こす原因と言われています。肥満とは、いわゆる体脂肪が身体につきすぎてしまった状態のことです。
体脂肪自体は飢餓から命を守るために備えられた身体の機能で、これ自体は悪者ではありません。しかし、この体脂肪がつきすぎてしまうと炎症が発生してしまう原因となります。そして、この炎症が慢性的に続くことによって、インスリンが効きにくくなり糖尿病や低血糖症に繋がってしまうのです。
具体的な肥満への流れとしては、身体には脂肪を蓄える「脂肪細胞」と呼ばれる細胞があり、過剰な糖質摂取や高カロリー食、運動不足などによってこの脂肪細胞が徐々に肥大化していきます。この肥大化した脂肪細胞は一定の大きさになるとそれ以上の大きさになる事は出来ず、細胞分裂することで増加します。この一連のサイクルが進むことで肥満が進んでいきます。
ただ、この脂肪細胞自体は悪者ではありません。脂肪細胞には炎症を抑えるための生理活性物質や炎症を促進させる生理活性物質等を分泌しています。しかし、脂肪細胞があまりにも増えすぎてしまった状態だと、炎症を抑えるための生理活性物質の分泌が低下し、炎症を亢進させる生理活性物質の分泌が亢進します。すると、結果として慢性炎症を引き起こしてしまうのです。
この慢性炎症が引き起こされると脂肪細胞が弱ったり死んでしまったりしてしまいます。すると、その脂肪細胞からDNAの断片が血管中に離脱し、これを異物と捉えた免疫細胞の一種、マクロファージが異物を除去するために活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモンを放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうことが分かってきたのです。10
ですので、肥満と糖尿病・低血糖症の関係は切っても切り離せません。基本的には、肥満が進行すればするほど慢性炎症が発生し、インスリン抵抗性がドンドン進んでしまいます。糖尿病や低血糖症を抱えている方の中には、体重増加やお腹のポッコリが気になっている方は多いのではないでしょうか? もしかすると、あなたの糖尿病や低血糖症も、この肥満が原因になっているかもしれません。
肥満が原因でインスリン抵抗性が増加しているかどうかは、主に次のような検査項目で予測することが出来ます。
CPR(cペプチド)・・・・0.8〜1.8ng/mL
TG(中性脂肪)・・・・60〜150mg/dL
FFA(遊離脂肪酸)・・・・0.5〜0.8mEq/L
体脂肪率・・・・男性17〜24% 女性20%〜30%
指数
BMI・・・・BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
BMIが25以上は肥満でインスリン抵抗性の可能性
HOMA-R・・・・血糖値×インスリン濃度(IRI)÷405
2.5以上はインスリン抵抗性
※10時間以上絶食した状態で計測
特に体脂肪率や中性脂肪が増加している場合は肥満である可能性が高く、BMI値が25を超えていた場合は肥満によるインスリン抵抗性の可能性があります。また、遊離脂肪酸はTG(中性脂肪)が分解される際に分泌されるもので、インスリン抵抗性があると値が上昇します。これら値を調べることで、およその糖代謝異常や低血糖の原因を把握することが可能です。
ただし、糖尿病や低血糖症を抱えている方の中には「太っているようには全く見えない」ような人でも糖尿病や低血糖症になってしまっている方がいます。これは、見かけでは太っていないように見えても、実は内臓や肝臓などに脂肪がベッタリ付いている「隠れ肥満」になっている可能性があります。
この隠れ肥満の状態になってしまっている方も、実は肥満の方と同じようにインスリンの機能が低下し、糖尿病や低血糖症を発症してしまう原因になっていることが分かってきました。
近年、日本人に多いと言われているのが、「異所性脂肪」と呼ばれる脂肪です。異所性脂肪とは、本来脂肪が付くはずが無い肝臓や筋肉、心臓やすい臓などに脂肪が溜まってしまう状態のことです。
近年の日本人の糖尿病患者は、肥満指数として使われるBMI値が23kg/㎡程度であり、肥満とされているBMI値25kg/㎡を超えていなくても、糖尿病を発症しやすいことが分かってきています。11
この異所性脂肪の最も多いものとしては、「脂肪肝」が挙げられます。脂肪肝とは、肝臓の周りに脂肪がベッタリくっついてしまった状態のことです。この脂肪肝がある場合は、脂肪肝が無い人と比べてインスリン抵抗性が高いことが分かり、糖尿病や低血糖症との関連が言われるようになりました。
例えば、順天堂大学の研究グループが正常体型に見える人々を調べたところ、内臓脂肪が無くても脂肪肝があるとインスリン抵抗性が高く、逆に内臓脂肪があっても脂肪肝が無ければインスリン抵抗性が低いという研究結果が出ています。
このため、体重やBMI値が正常範囲だったとしても、異所性脂肪の状態によっては糖尿病や低血糖症のリスクが高まってしまうのです。
従来、この脂肪肝にかかる人と言えば、お酒をよく飲む人がかかるという認識でした。しかし、近年ではお酒を全く飲まない方でも脂肪肝になったり糖尿病にかかってしまう方も増えてきています。この背景には、炭水化物や脂質過多など食生活の悪化、栄養状態の悪化、運動量の低下が関係しています。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、脂肪が溜まっていたり機能が落ちたりしていても殆ど自覚症状がありません。この見えない脂肪肝を放置することで糖代謝が徐々に悪化し、低血糖症の発症や糖尿病の発症に繋がってしまう原因になってしまうのです。
脂肪肝と糖尿病、低血糖症の関係とは?
では、なぜ脂肪肝によって糖代謝が悪化し、低血糖症や糖尿病に発展してしまうのでしょうか?
実は、この肝臓には食べた糖(グルコース)をグリコーゲンとして貯える働きがあります。グリコーゲンとは、貯蔵型のブドウ糖(グルコース)のことで、貯えたグリコーゲンは必要に応じてグルコース(ブドウ糖)に変えられています。そして、必要に応じてグリコーゲンをグルコースに分解し、血中に放出して血中ブドウ糖濃度を一定に保とうとしてくれています。
しかし、肝臓に脂肪が溜まった脂肪肝の状態だったり肝機能に障害があったりすると、グリコーゲンを正常に溜めることが出来ません。その結果、溜められなかった血糖が血中に溢れて高血糖になってしまったり、低血糖になった際に肝臓から適切にグルコースが供給できなかったりして、糖尿病、低血糖症の発症に繋がってしまうのです。
この脂肪肝と言えば、従来はお酒をよく飲む人がかかるという認識でした。しかし近年ではお酒を全く飲まない方でも脂肪肝になったり糖尿病にかかってしまう方も増えてきています。
では、何故お酒を全く飲まない方でも肝臓に脂肪がベッタリ付いてしまうのでしょうか?
この理由については、主にタンパク質やビタミン・ミネラルを始めとした「栄養が不足すること」が1つの原因として関係しています。脂肪肝の例で言えば、肝臓に脂肪がベッタリとくっついてしまう状態の事ですよね。これは一般的に「お酒の飲み過ぎ」や「食べ過ぎが原因」と言われていますが、実際にはそんな事もありません。食べ過ぎとは一切関係が無い、痩せた女性でも脂肪肝になってしまう場合があります。
これはどういう事かというと、栄養不足によって肝機能が低下すると、糖質や脂質などの栄養素がきちんと代謝して利用することが出来なくなってしまいます。すると、余った糖質や脂質などが中性脂肪に変えられ、肝臓の周りにベッタリとくっついて脂肪肝となってしまうためです。
肝臓は、身体で使われる酵素やホルモンなどを生産するいわば製造工場です。私達が食べた食べ物は胃や腸で消化吸収され、血液に乗って肝臓へと運ばれます。そして肝臓では、運ばれて来た栄養を元に体内に必要な酵素やエネルギーが合成され、必要に応じて全身に送り届ける役割を担っています。
この時、肝臓では非常に多くのビタミンB群を消費しています。ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質などありとあらゆる栄養素を利用するためには欠かせない補酵素です。
このビタミンB群が十分に足りていない場合は、酵素を作ったり、糖質や脂質をエネルギーとして燃やすことが十分に出来なくなってしまいます。すると、余分な糖質や脂質が中性脂肪として肝臓に貯えられ、これらが脂肪として肝臓にベッタリくっついて脂肪肝の原因となってしまいます。
つまり、決して食べ過ぎていない痩せている人でも脂肪肝になってしまうのは、このような栄養不足が根本原因として隠れている場合があるのです。
このような肝臓に脂肪が溜まった脂肪肝の状態だったり肝機能に障害があったりすると、グリコーゲンを正常に溜めることが出来なくなってしまいます。その結果、溜められなかった血糖が血中に溢れて高血糖になってしまったり、低血糖になった際に肝臓から適切にグルコースが供給できなかったりして、糖尿病、低血糖症の発症に繋がってしまいます。
他にも、肝臓は身体で使われる酵素やホルモンなどを生産するいわば製造工場です。血糖値を正常にコントロールするためのホルモンであるアドレナリンやグルカゴン、コルチゾール、インスリンなどを作るために必要なタンパク質は必ず肝臓で代謝されてから全身に運ばれています。つまり、栄養が不足した場合や肝機能が低下してしまった場合は、これらホルモンの合成量低下にも繋がってしまう恐れがあるのです。
このように、糖尿病や低血糖症の根本原因には脂肪肝や異所性脂肪が関係しており、これには栄養欠損や食生活などの生活習慣が関係しています。特に、現代の食事はパンやラーメン、パスタやうどんなど炭水化物や脂質に偏った食生活をしてしまいがちですよね。これでは身体を正常に動かすためのタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養が足りなくなってしまいます。
ですので、糖尿病や低血糖症を改善させるためには、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養補給が重要になってきます。この栄養補給を行わずにいくら糖質制限やカロリー制限を行っても、栄養が無ければ肝臓は元気にならず、肝臓が元気にならなければインスリン抵抗性も改善しないので糖代謝は改善出来ません。
糖代謝が悪化する原因となっている脂肪肝や肥満を改善させるためにも、サプリメントなどで十分な栄養補給を心がけましょう。しっかりと十分な栄養素を取り入れることが出来れば、状態にもよりますが糖尿病や低血糖症も改善出来る可能性が高いです。
ただし、適切な栄養補給に加えて運動も必要になります。生活習慣が原因の病気に対しては、単に栄養補給だけを行うのではなく、運動を含めた生活習慣の改善を行っていくことが何よりも重要です。
ですので、分子栄養学的アプローチは、単にサプリメントを飲んで治す療法では無く、あくまで栄養欠損を改善させることと、生活習慣を改善するために必要な栄養素を補給することが目的です。サプリメントを摂るだけで生活習慣病が改善するわけでは無い点に注意して下さい。
糖尿病、低血糖症の根本原因は、栄養不足が関係あるのか・・・💧
確かに、全然栄養が足りてないかもしれない💦
栄養が不足することで結果的に糖の代謝が悪くなり、糖尿病、低血糖症になってしまうんだ。
だから、糖代謝を改善させるためにも、積極的な栄養補給がキーポイントだね。
脂肪肝・隠れ肥満と関連する検査項目
では、隠れ肥満や脂肪肝があるかどうかは、どの血液検査項目を見れば分かるのでしょうか?
まず、肝臓の状態や酵素の働きを見る項目として、ASTとALT、γ-GPTやChE(コリンエステラーゼ)などがあります。これらの項目を確認し、肝臓の状態や酵素の働きが正常かどうかを確認してみて下さい。
特にASTやALT、γ-GPTが20を下回っていた場合は、ビタミンB群を始めとした栄養欠損によって機能が低下している可能性が高いです。この場合は、タンパク質とビタミンB群を始めとした栄養補給を積極的に行っていきましょう。
また、ASTとALTの数値を見たとき、ASTよりもALTの方が高かった場合や、γ-GPTが高い場合は「脂肪肝」が疑われます。腹部エコーなどの検査を受けて、脂肪肝の状態を確認してみて下さい。
脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝がありますが、糖尿病や低血糖症を抱える方はアルコールを飲まない非アルコール性の脂肪肝を抱えている場合も多く見受けられます。この場合も、糖代謝の異常により糖が肝臓で利用出来なくなり、脂肪として肝臓に貯えられてしまった状態です。もしアルコールを飲まれている方でアルコール性の脂肪肝がある場合は、アルコールの摂取を控えていくことが第一選択です。
また、肝臓の状態を把握する検査項目としては、他にもコリンエステラーゼやコレステロール、アルブミンや血小板、肝炎ウィルス抗体などがあります。これらも総合的に見て判断することが重要ですので、きちんと医療機関を受診して判断して貰って下さい。
ここでは、肝疾患と関連のある血液検査項目の一部をご紹介します。
検査項目 | 説明 | 分子栄養学的基準値 |
---|---|---|
GOT (AST) | アミノ酸代謝に関わる酵素。 低値はビタミンB6不足など。高値は肝臓、心臓、筋肉の障害など | 20 U/L前後 |
GPT (ALT) | アミノ酸代謝に関わる酵素。 低値はビタミンB6不足など。高値は肝臓の障害など。 | 20 U/L前後 |
γ-GPT | グルタチオンなどの、γ-グルタミル基の反応に関わる酵素。 低値はタンパク質不足。高値はアルコール多飲、薬物、胆汁うっ滞など。 | 20 U/L前後 |
ChE コリンエステラーゼ | 脂質代謝に関わる酵素。 低値は肝機能低下、低タンパクなど。高値は脂質代謝異常、肥満、脂肪肝など。 | 280 U/L |
ALB アルブミン | 血中の輸送タンパク質。 低値は栄養状態の悪化、肝障害の程度、炎症など。高値は脱水で偽高値 | 4.50〜5.00 g/dL |
T-C 総コレステロール | 全コレステロールの血清濃度。 低値は低栄養、肝機能低下、甲状腺機能障害など。高値は閉経女性、糖尿病、甲状腺機能障害など。 | 200 mg/dL以上 |
γ-グロブリン | 慢性炎症で高値になるタンパク質。免疫不全では低下する。 | 0.7〜1.50 g/dL |
PLT 血小板数 | 止血に関わる細胞。 低値は肝疾患、血液疾患など。高値は貧血、出血、血液疾患など。 | 20.0〜35.0万 /μL |
Ⅳ型コラーゲン | 肝臓の繊維化(肝硬変化)により上昇する。 | 150 ng/mL以下 |
D-BIL 直接ビリルビン | 肝臓で処理されたビリルビンの濃度。 高値は肝細胞障害、胆汁うっ滞など。 | 0.0〜0.2 mg/dL |
これら数値は、数値の目安の範囲内に収まっていれば良いというわけでは無く、あくまで目安です。最終的には腹部エコーなどの検査を受けて、目視で診断を行う事が重要です。
そのため、自己判断で判断せずに必ず医療機関を受診したり、オーソモレキュラー療法の検査を受けてから分子栄養学的アプローチを行うようにして下さい。肝臓に対する分子栄養学的アプローチに関しては、下記記事でも詳しく解説しています。興味ある方は是非ご覧下さい。
なるほど、低血糖症を改善させるためには肝機能を元気にすることが大切なんだね
そうだよ。肝臓は糖代謝と密接な関係があるから、肝臓を元気にすることが色々な病気改善に繋がるんだ。肝臓の状態は必ずチェックして、肝臓を元気にするアプローチも行ってみてね。
口腔内の環境悪化による炎症が糖尿病と低血糖症の引き金に。口腔内の状態を調べる検査項目
次に、糖尿病や低血糖症の原因として切っても切り離せないのが「口腔内環境の悪化」です。
先ほどは脂肪肝など異所性脂肪によってインスリン抵抗性が増し、糖代謝が悪化する事について解説しました。この異所性脂肪と並んで糖代謝が悪化してしまう原因が、歯周病など口腔内環境が悪化することです。
一見すると、糖尿病や低血糖症と歯周病には何の関係性があるの?と思いますよね。実は口腔内環境の悪化は糖尿病に限らず全身の健康状態と関係していて、例えばアルツハイマー病や心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化や関節リウマチなど、様々な病気を発症するキッカケになっているのです。
例えば、歯周病と糖尿病は相互に影響し合っており、歯周病があると糖尿病になりやすくなるという研究結果があります12。また、逆に糖尿病の方は歯周病が進行しやすくなるとも言われています。
この原因としては、主に歯周病菌の出す毒素によって発生する炎症が原因です。歯周病菌は主に食べかすや磨き残しをエサに、歯と歯肉の間で増殖します。この菌がドンドン増殖していくと、そこで大量の毒素を分泌し、毒素によって歯肉に炎症が発生します。
この炎症が進行していくにつれて歯肉が弱くなり、歯肉から出血を伴います。すると、弱くなった歯肉中の血管から歯周病菌の出す毒素が歯槽骨に侵入し、歯を支えている骨を破壊して溶かすなどの影響を与えます。この状態が慢性的に進行したり続いてしまったりすることで全身へ毒素や炎症が飛び火し、先ほどの動脈硬化やアルツハイマー病、糖尿病など全身性の疾患へと進行してしまうのです。
この歯周病菌が出す毒素によって発生する炎症は、先ほどの異所性脂肪や脂肪肝と同じく、インスリン抵抗性を引き起こし、糖代謝を悪化させる事が分かっています。
メカニズムとしては上述した肥満の時と同じく、弱った歯肉組織から侵入した歯周病菌や毒素をやっつけるために、マクロファージが活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモンを放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうというわけです。
この事は、糖尿病と歯周病との関連として最近よく言われるようになってきました。特に糖尿病を抱えている方ほど歯周病が重症化しやすく、歯周病が重症化するほど糖尿病が悪化していきます。つまり歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼし、悪循環を形成してしまうのです。
それから、歯周病による身体への悪影響はこれだけではありません。歯周病は歯を支える歯肉に炎症が起こることから、進行すると歯が抜け落ちたり噛む力が低下などの悪影響を引き起こすことがあります。この噛む力が低下することで、消化不良を引き起こしたり、腸内細菌のバランスが乱れたりして、全身の健康状態が悪化する悪循環が生まれてしまう恐れがあります。
私達は食べ物を食べるときに、「よく噛む」事で唾液が分泌され、唾液に含まれる「アミラーゼ」によってデンプン質をブドウ糖まで分解しています。これと同時によく噛むことでインスリンの分泌が促され、血糖値が上がりすぎないような機能が備わっています。
もし、歯や歯茎が悪くなって噛めなくなったり唾液の分泌量が減ってしまうと、十分に噛むことが出来ません。十分に噛むことが出来なくなってしまった場合は、食べ物を大きい塊のまま飲み込むことになり、胃に負担がかかって消化不良を起こしてしまいます。
その結果、未消化の大きなタンパク質や分子が小腸や大腸に流れ込み、これをエサにする悪玉菌が増殖し始めます。この悪玉菌が体内で悪さをすることで腸に炎症が発生し、更に体内で炎症が促進。この炎症がまた口腔内環境を悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。
このような悪循環が、口腔内の環境悪化が引き金となって引き起こされていきます。ですので、糖尿病と低血糖症を改善するためには口腔内のケアも欠かせません。この口腔内のケアは先ほど解説した脂肪肝や肥満の対策とセットで行う事が望ましく、また腸内環境が悪化してしまっている場合は後述する腸ケアも同時に行う事が望ましいです。
このような口腔環境の悪化と腸内環境を含め全身の状態は、オーソモレキュラー療法の唾液検査と血液検査を受けることで分かります。唾液検査と血液検査はセットで受ける事で初めて意味があり、両方の検査を受けることでより正確な健康状態を把握することが出来ます。
オーソモレキュラー療法の唾液検査による数値の目安は次の通りです。数値が高かったり、歯茎から出血するなどのトラブルがある場合は、速やかに歯科受診を行い、適切なケアを行って下さい。
但し、唾液採取中に頬の粘膜を噛んだときや、歯科治療中、口内炎のあるときは結果が高く出る場合があります(偽陽性)。また、数値が低い場合であっても、慢性疾患のある人は定期的な歯科受診と口腔ケアが必要です。
検査項目 | 説明 | 分子栄養学的基準値 |
---|---|---|
唾液中HB 唾液中ヘモグロビン | 歯肉から出血があると上昇する。 | 1.7μg/mL未満 |
唾液中LDH 唾液中乳酸脱水素酵素 | 口腔内に炎症があると上昇する。 | 270 U/L以下 |
特に、糖尿病や低血糖症を抱えている方は、全身性疾患の予防や糖代謝改善のためにも、日々の口腔ケアを欠かさず行うようにしましょう。口腔ケアと言っても歯磨きだけでは不十分です。ウォーターピックや歯間ブラシなども使用して、なるべく磨き残しがないよう心がけて下さい。
加えて、口腔内の細菌バランスを整える事も口腔内の状態をケアすることに役立ちます。歯磨きやウォーターピックなどを使用してもなかなか改善が見られない場合は、栄養状態の改善に加えて口腔内の細菌バランスを整えるサプリメントも活用してみましょう。さらに詳しい口腔ケアの分子栄養学的アプローチについては、下記記事でも解説しています。興味がある方は是非ご覧下さい。
し、歯周病も糖尿病と低血糖症に関連があるのか…💧
そうそう、一説によると歯周病にかかっている成人の割合はおよそ7割と言われているよ。国民病と言われる糖尿病や生活習慣病も口腔内の環境悪化が原因かもね
なるほどね💧 分かった、今度からちゃんと歯磨きするよ
昔は「芸能人は歯が命」ってフレーズが流行ったけど、芸能人じゃ無くても歯は命だね
ストレス、副腎疲労、不眠も低血糖症の引き金に。関連する血液検査項目
次に、ストレスや不眠、副腎疲労と関連のある血液検査項目です。
低血糖症はストレスが過剰にかかったり、不眠などによって自律神経が乱れてしまった場合にも引き起こされることがあります。このような低血糖症を改善するためには、副腎機能の強化、不眠症の改善、脳の神経伝達物質のバランスを整えるなど自律神経を整える事も重要です。
特にストレスは自律神経を乱し、交感神経が優位になる事から不眠症や副腎疲労に繋がる原因と言われています。ストレスが不眠や副腎疲労に繋がる仕組みとしては、脳がストレスを受けると副腎からストレスに対抗するためにコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンを分泌するためです。
加えて、副腎から分泌されるホルモンには血糖値を上げる作用もあることから、低血糖の状態が続いている方も血糖値を上げるために副腎からアドレナリンやノルアドレナリン等のホルモンが分泌されます。
これらのホルモンは同時に交感神経を刺激することから、自律神経のバランスを乱し、イライラしたり眠れなくなったりしてしまいます。そして、絶えずコルチゾールやアドレナリンなどが分泌されている状態が続くと、いずれ副腎が疲れてホルモンの分泌が十分に出来なくなってしまいます。これが、副腎疲労と呼ばれている状態です。
副腎疲労の状態では、ストレスに対抗するためのコルチゾールやアドレナリンなどの分泌が十分に出来なくなってしまうため、更なる体調不良や低血糖症の悪化を招きます。加えて、本来「性ホルモン」を作るための材料がすべてコルチゾールやアドレナリンなどのストレスに対抗するためのホルモンの合成に使われてしまうことから、女性ホルモンなど性ホルモンの分泌が減ってしまったり、ホルモンバランスが乱れやすくなったります。
この女性ホルモンなど性ホルモンのバランスが乱れることも自律神経の乱れに繋がり、副腎疲労や低血糖症に繋がってしまう1つの原因です。このようなストレスや副腎疲労に対抗するためにも、当てはまる方は副腎を強化する栄養アプローチも同時に行っていきましょう。
また、副腎疲労や糖尿病と、睡眠時無呼吸症候群は関連があるとも言われています。1314この理由としては、寝ている間に無呼吸になるで全身に大きなストレスがかかり、その影響で血糖値を上げるホルモン(アドレナリンなど)が副腎から放出されてしまうためです。この影響で血糖値を下げるホルモン(インスリン)が聞きにくくなるため、血糖値が上昇すると言われています。
また、睡眠の質が低下すると、体のなかでさまざまな変化が起こります。たとえば、アドレナリンなどのホルモンが分泌されることによって交感神経が活性化したり、ストレスホルモンが過剰に分泌されたりします。そうなると、血糖値や血圧が上昇し、脂肪が増加しやすくなります。
また、成長ホルモンの分泌が低下し、筋肉が減って脂肪が蓄積されやすい状態にもなります。先ほどの肥満や隠れ肥満でも解説した様に、脂肪が増えるとインスリンの働きが低下し、正常に働かなくなってしまうことにも繋がります。
このように、ストレスや睡眠の質が悪化することは、糖尿病や低血糖症に繋がる原因です。心当たりがある方は、必要に応じて医療機関を受診したり、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けて適切な分子栄養学的アプローチを行いましょう。
ストレスや副腎疲労、睡眠時無呼吸症候群と関連のある血液検査項目は次のような物が挙げられます。
検査項目 | 説明 | 分子栄養学的基準値 |
---|---|---|
Eosino 好酸球 | アレルギーや寄生虫感染で上昇する細胞。 低値はストレスの持続など。 | 2.0〜7.0 % |
Neut 好中球 | 細菌感染防御に関わる細胞。 低値はウィルス感染など。高値は細菌感染、炎症、ストレスなど。 | 50.0〜60.0 % |
DHEAs | 副腎皮質から分泌されるホルモンの量。 高値はクッシング病など。低値は副腎疲労、アジソン病など。 | 100〜200 μg/dL以上 |
RBC 赤血球数 | 酸素を運搬する細胞。 低値は貧血など。高値は脱水、ストレス、喫煙、多血症など | 430〜500万 /μg |
HB ヘモグロビン | 酸素を結合するタンパク質。 低値は貧血など。高値は脱水など。 | 13.0 g/dL |
HT ヘマトクリット | 血液に占める赤血球の容積(%)。 低値は貧血など。高値は脱水、多血症など。 | 40.0〜45.0 % |
特にストレスが多い状態では好酸球や好中球が低下し、副腎疲労の状態ではDHEAsが低下する傾向にあります。また、睡眠時無呼吸症候群の場合では酸欠状態になる事から造血が促され、多血症を引き起こします。この場合では、赤血球数やヘモグロビン、ヘマトクリット値などが上昇することがあります。
ただし、人によっては数値に問題が無いように見えても睡眠時無呼吸症候群や副腎疲労などの状態に陥っている場合もあります。そのため、自己判断で判断せずに必ず医療機関を受診したり、オーソモレキュラー療法の検査を受けてから分子栄養学的アプローチを行うようにして下さい。
ストレスや副腎疲労対策などについては、下記の記事でも詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧下さい。
低血糖症の改善には、ストレス対策や睡眠をしっかり摂ることも大切なんだね💧 確かに最近は、仕事が忙しくて十分な睡眠がとれてなかったかも💧
そうだね。いくら栄養を摂っても、ストレスが多かったら上手く栄養を使えなくなってしまうし、十分な睡眠がとれていない場合も、身体の修復が出来なくなっちゃうね。低血糖症の改善には、これらアプローチも同時に行っていく事が大切だよ。
甲状腺機能障害も低血糖症との関連あり。関連する血液検査項目
続いて、甲状腺機能障害と低血糖症の関係と、関連する血液検査項目についてです。
甲状腺とは、喉仏の下あたりにある「チョウチョ型」の臓器のことで、この甲状腺から「甲状腺ホルモン」という物質が分泌されています。甲状腺ホルモンは、主に私達の代謝機能を司っています。
例えば、私達が食べたたんぱく質、脂肪、炭水化物は胃で消化され、腸で吸収、肝臓で代謝された後に体の組織を作る材料や体を動かすエネルギー源として使われていますよね。 甲状腺ホルモンには、これら新陳代謝の過程を刺激し促進する作用があります。
私達が食べた食べ物やエネルギー源を上手く利用するためには、この甲状腺から分泌されるホルモンが欠かせません。もし、この甲状腺ホルモンの働きが強すぎたり弱すぎたりすると、胃や腸の蠕動運動に異常が発生し、糖の吸収や代謝に問題が起こって低血糖症を引き起こしてしまう原因になるのです。15
甲状腺ホルモンの働きに影響が起こる原因には大きく分けて二種類があり、甲状腺ホルモンが分泌されすぎてしまう「甲状腺機能亢進症」「バセドウ病」と、甲状腺ホルモンの分泌量が低下して代謝機能が落ちてしまう「甲状腺機能低下症」「橋本病」があります。バセドウ病と橋本病は自己免疫性疾患の一種で、本来細菌感染やウィルス感染から身体を守ってくれるはずの免疫機能が、何らかの原因で自分の臓器や甲状腺を標的にしてしまうことで引き起こされる病気です。
バセドウ病や橋本病は甲状腺機能亢進症や低下症を引き起こしますが、甲状腺機能が亢進していたり低下していたからと言って必ずしもバセドウ病や橋本病であるとは限りません。これら自己免疫疾患でなくても、甲状腺機能が乱れてしまう可能性は十分にあります。
その主な例としては、飲酒や過剰な糖質制限などのダイエット、自律神経の乱れや貧血です。特に過剰な飲酒においては、甲状腺機能障害を引き起こしやすくなります。これは、アルコールによって脳の視床下部にある下垂体と甲状腺(HPT)軸を障害し、中枢性甲状腺機能低下症を引き起こす原因になる他、アルコール性脂肪肝が進行した事によって引き起こされる肝硬変でも甲状腺機能が低下してしまうためです。1617
また、過剰な糖質制限や食べないダイエット、貧血やストレスによる自律神経の乱れなどによっても低T3症候群という甲状腺機能の乱れに繋がることがあり、注意が必要です。
低T3症候群とは、甲状腺機能に問題ないにもかかわらず、甲状腺ホルモンの1つであるT3の分泌量が低下してしまう状態のことです。なぜ食べないダイエットや過剰な糖質制限を行うと低T3症候群になってしまうのかというと、これらを行う事で身体が飢餓状態となり、身体は飢餓から身を守るために代謝機能を低下させて省エネモードに移行します。
この代謝機能を低下させる際に甲状腺ホルモンの分泌量が低下してしまうことから、食べないダイエットや過剰な糖質制限などを行うと、低T3症候群を引き起こしてしまう原因になります18
しかも、この低T3、低T4症候群を引き起こす原因は、食べないダイエットや極端な糖質制限だけが原因ではありません。しっかりと食べていても、何らかの原因で消化吸収能に問題があり、栄養障害(低栄養)を抱えている場合や、糖尿病などの疾患を抱えている場合でも引き起こされることがあります。
特に、ピロリ菌感染症による胃腸機能の低下や、SIBO(小腸内細菌増殖症)やリーキーガット症候群の場合では消化吸収能の低下も関係しており、栄養障害を引き起こしやすくなります。このような消化吸収能に問題がある場合は、場合によって栄養障害を引き起こし、結果的に低T3、低T4症候群に陥ってしまう可能性が高くなります。
また、過剰なストレスによって自律神経が乱れてしまったり、貧血によって自律神経が乱れてしまったりしている状態が続くことによっても、胃腸機能の低下や消化吸収能の低下に繋がります。このような原因による栄養障害にも注意が必要です。19
加えて、貧血や亜鉛欠乏などによる栄養障害でも甲状腺機能障害を引き起こす原因になると言われています。これは、甲状腺ホルモン合成過程における主要な酵素である「甲状腺ペルオキシダーゼ」の合成には、「ヘム蛋白」と言って材料にヘム鉄が必要となるためです。2021
貧血など鉄欠乏の状態では甲状腺ホルモンの合成が低下してしまうことから、貧血を抱えている方や低栄養状態の方は甲状腺機能障害と関係が深いと言われています。このため、心当たりのある方はオーソモレキュラー療法の検査とあわせて甲状腺機能もチェックしてみて下さい。
では、実際に甲状腺機能が亢進しているかや低下しているかは、どのような基準で分かるのでしょうか?
1つの大きな目安となるのは、その症状です。甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの作用が必要よりも低下することから、胃や腸の蠕動運動や栄養の代謝機能が低下します。
すると、糖質や脂質、タンパク質などの栄養をうまく利用出来なくなるため、身体の代謝やエネルギー産生量、修復力が低下します。この結果、皮膚が乾燥したり髪の毛や眉毛が薄くなったり、脂質異常症や太りやすくなる、便秘がちになる、生理不順になる、集中力が無い、疲れやすいなどの症状が現れます。
逆に甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの作用が必要よりも活発に作用してしまうことにより、代謝機能が必要以上に増加してしまう状態です。
代謝機能が必要以上に増加すると、胃や腸の蠕動運動が激しくなりすぎて下痢を引き起こしたり、食べた糖質や脂質、タンパク質などの栄養素が代謝されすぎて消耗が激しくなってしまいます。具体的には、暑がりになった、心臓がドキドキする、脈が速くなる、食べているのにドンドン痩せていく、落ち着きがない、夜に眠れなくなるなどの症状が現れます。
このように、甲状腺機能に問題がある場合は様々な不調が引き起こされることから、症状も1つの判断基準として有効です。
他にも、甲状腺の状態は血液検査を受けることで調べることが出来ます。甲状腺の検査項目には甲状腺ホルモンの合成、分泌を促すTSHというホルモンと、活性型の甲状腺ホルモンとして働くFT3、非活性型として待機しているFT4ホルモンがあり、FT4ホルモンは必要に応じてFT3ホルモンに変換されて利用されています。
この他、甲状腺ホルモンの元になるタンパク質として「サイログロブリン」があり、こちらはいわゆる甲状腺ホルモンの貯金です。サイログロブリンが異常に上昇していた場合は、バセドウ病や橋本病、甲状腺炎、甲状腺ガンなどを疑う指標として用いられています。
このような甲状腺の検査を受けることにより、より具体的に甲状腺の状態を知ることが出来ます。甲状腺の検査自体は、割と多くのクリニックで受けられる検査ですので、心当たりがある方は是非受けてみて下さい。
ただし、保険適用で甲状腺の検査を受ける場合は、その決まりからTSHとFT4の検査くらいしか受けられないことが一般的です。FT3の検査は、甲状腺機能障害と診断された場合など、治療に必要と判断された場合のみ行われています。
そのため、単に甲状腺機能を調べる目的で検査を受けたとしても、保険適用でいきなりFT3の検査までは行ってくれない場合があります。これでは低T3症候群を始めとした甲状腺機能の異常は分かりません。
そこでオススメするのが、自費診療でFT3ホルモンを含めた甲状腺機能の検査を受けることです。低T3症候群を含む甲状腺機能の異常を確認するためには、FT3ホルモンも含めた検査を行う事が重要になります。例えば、甲状腺の状態を調べる検査項目としては次のような物があります。
検査項目 | 説明 | 分子栄養学的基準値 |
---|---|---|
TSH 甲状腺刺激ホルモン | 甲状腺ホルモン(T4、T3)の合成、分泌を促すホルモン。 低値は甲状腺機能亢進、高値は甲状腺機能低下 | 0.4〜4.0 μIU/mL (妊娠希望女性は 低めに設定) |
FT4 フリーT4 | FT3に変換する前の甲状腺ホルモン。 低値は甲状腺機能低下。高値は甲状腺機能亢進症 | 1.0〜1.7 ng/dL |
FT3 フリーT3 | 甲状腺ホルモン。 低値は甲状腺機能低下、飢餓、消耗生疾患。 高値は甲状腺機能亢進 | 2.0〜4.0 pg/mL |
Tg サイログロブリン | 甲状腺ホルモン合成の元となるタンパク質。 高値はバセドウ病、橋本病、甲状腺炎、甲状腺腫、甲状腺ガン | 33 ng/mL以下 |
FT3を含めた自費検査を受けることで、保険診療の検査では見つけにくい低T3症候群の発見にも繋がります。費用も1万円程度で検査可能ですので、上述した症状に当てはまる方や副腎疲労を抱えている方、お腹の調子が悪い方は、是非検査を受けてみて下さい。甲状腺の自費検査は、後述するオーソモレキュラー療法の検査でも受ける事が出来ます。
また、上記の数値はあくまで目安です。甲状腺ホルモンは季節や状態などで絶えず変化したり、最適な値が異なります。そのため、何か異常を感じる方は自己判断で判断せずに、必ず医療機関を受診することと、オーソモレキュラー療法の検査を受けてから分子栄養学的アプローチを行うようにして下さい。
甲状腺機能も低血糖症と関係があるんだね💧 そういえば甲状腺の検査って受けたことがなかったかも💦
低血糖症を改善させるためには、ご自身の状態をしっかり知ることが重要です。まずはオーソモレキュラー療法の検査を受けましょう
ここまで、低血糖症の原因や関連する血液検査項目について解説してきました。
低血糖症は「単に血糖が下がってしまう病気」だと思われがちですが、その原因には様々な疾患が関わっています。そして、低血糖症の改善にはこの根本原因から改善していかなければ意味がありません。
上述した疾患等はまだまだほんの一部で、低血糖症を引き起こす原因は他にも沢山あります。また、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多く、検査もなしに適切な栄養アプローチを行うのは困難です。
例えば、「甲状腺機能低下症」と「副腎疲労」が組み合わさって低血糖症になっている方と、「二型糖尿病によるインスリン抵抗性」と「脂肪肝」によって低血糖が起きている方とのアプローチは全く違います。また、先ほど紹介した原因以外にも、「胃の状態が悪い方」や「貧血」があるか、「肥満かどうか」や「遺伝的な問題」があるかなどの問題も関係してきます。
このように低血糖症には人によって様々な原因があり、個人個人バラバラに組み合わさって引き起こされています。同じ低血糖症に見えても対処法は全く異なりますので、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。
その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の検査を受けてみましょう。
オーソモレキュラー療法とは、オーソモレキュラー療法に対応するクリニックで専用の採血や検査を行い、その結果を基にサプリメントを用いてアプローチしていく療法です。オーソモレキュラー療法では主に68項目にも及ぶ血液検査が受けられるほか、副腎や甲状腺の検査、糖尿病や酸化ストレスなどの検査を必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。
これら複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの低血糖症の根本原因がどこから来ているのかが分かります。
また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。
このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。根本原因からきちんと対処していくことが出来れば、低血糖症も改善出来る可能性があります。
同じ低血糖症でも人によって全くアプローチが違いますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法の詳細については、下記からご覧頂けます。
分子栄養学の実践は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用しましょう
オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。
分子栄養学実践専用サプリメントとは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。
そのため、分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて非常に高価となっています。
しかし中には、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して実践したい」と思っている方も多いかもしれません。市販されているサプリメントや海外サプリメントは、分子栄養学実践専用サプリメントと比べて非常に安価です。
ですが、市販されているサプリメント海外サプリメントなどで販売されているサプリメントで分子栄養学を実践をするのはオススメしません。
市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、そもそも消化吸収能が低下した方や病態を抱えた方が摂取するようには設計されておらず、胃や腸でも全く溶けない粗悪品も流通しています。
また、原材料に人工的に加工されたものや合成されたもの、天然界には存在しない化学構造のものなどが使われていることもあり、これらを大量に摂取することはむしろ生体内の分子を乱してしまうことにも繋がります。
加えて、栄養素が酸化・劣化して効力を失っているものや、そもそも有効成分自体が殆ど含まれていないものなどもあります。このことから、市販されているサプリメントや海外サプリメントを使って分子栄養学を実践することはオススメしていません。
分子栄養学を実践する際は、このようなサプリメントの善し悪しを学ぶことも非常に重要です。分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いについては、下記の記事を参考にして下さい。
そして、分子栄養学・オーソモレキュラー療法を実践する際は必ず「分子栄養学実践専用サプリメント」を使用しましょう。
サプリメントは、きちんと消化吸収・利用されて初めて意味があります。分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。
また、分子栄養学では一般的な量よりも遙かに多くの栄養素を摂取します。この時、栄養素同士が反応して効力を失ってしまったら意味がありません。分子栄養学実践専用サプリメントでは、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。
このことから、分子栄養学を実践する際は、必ず分子栄養学実践専用サプリメントを用いるようにして下さい。
サプリメントは何を選んでもいいわけじゃないのか❗
そうだよ、サプリメントは同じように見えてもその中身や設計や全く異なっているんだ。質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用に作られた作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね
低血糖症を判断する基準値はいくつ?血液検査の数値から低血糖症の疑いがあるかどうかを判断する方法まとめ
以上が、健康診断や血液検査の結果から低血糖症の疑いがあるかどうかを判断する方法でした。
血糖値は、食べたものや疾病の状態などで大きく変動することから、血糖値やHBA1cの数値だけで判断する事は難しい病気です。基準値に当てはめることである程度判別は可能ですが、「隠れ低血糖」などがある可能性を考えると、判断が難しいケースも多いでしょう。
また、血糖値やHBA1cの数値が基準値より下回っていた場合でも、その低血糖が「反応性低血糖」なのか「無反応性低血糖」なのかの判断は出来ません。
ですので、低血糖が疑われる場合は「持続グルコース濃度測定検査」を受けて低血糖の種類を探ってみて下さい。この検査では血糖値の波を見る事によって、いつどのくらい血糖値に異常が起こっているのかを把握することが出来ます。
また、低血糖症の発症には様々な疾患が関わっており、その疾患を改善していくことも必要です。人の身体には、元々糖質などの栄養素や血糖値を上手く利用したりコントロールしたりする機能が備わっています。低血糖症は、この機能が正常に働けなくなってしまったことが一番の問題です。この機能を元に戻すことが出来れば、機能性低血糖症や無反応性低血糖症も改善出来る可能性が高いです。
是非、このあたりの原因をしっかり調べて適切なアプローチを行っていきましょう。糖質の摂取量だけで血糖値をコントロールしようとせず、低血糖症が引き起こされている根本の原因からアプローチしていくようにしてください。今回ご紹介した原因や対策、検査方法は根本原因から低血糖症を解決する際の大きな手助けになるはずです。
オーソモレキュラー療法や持続グルコース濃度測定検査を受けたことが無い方は、この機会に是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。
低血糖症には色々な疾病や原因が関係しているんだね。手持ちの検査結果だけでは項目が足りなくて全然判断出来ないよ💦
保険で受ける検査や健康診断の検査結果では、項目が足りなくて分からないことも多いね。その時は、オーソモレキュラー療法の検査を受けてみるのがオススメだよ。同時に、持続グルコース濃度測定検査も受けてみてね。
なるほど、分かった❗
オーソモレキュラー療法の検査と持続グルコース濃度測定検査を受けてみるよ❗
うん、是非受けてみて❗
オーソモレキュラー療法を行っている方には、無料で栄養カウンセリングも行っているよ❗利用してみてね❗
参考資料
- 糖尿病と甲状腺疾患 ↩︎
- HbA1cと貧血の関係 ↩︎
- 胃下垂について ↩︎
- 受診する医療施設によって検査結果のデータが違うって本当? ↩︎
- 日経メディカル H. ピロリ菌は2型糖尿病にも関与か、非DM感染者で血糖値が高値に ↩︎
- 2型糖尿病の原因の一つであるインスリン抵抗性発症機構の一部を解明 ↩︎
- 鉄代謝と貧血 ↩︎
- ビタミンB12と悪性貧血 ↩︎
- 巨赤芽球性貧血 ↩︎
- 2型糖尿病の原因の一つであるインスリン抵抗性発症機構の一部を解明 ↩︎
- 痩せ型なのに糖尿病?その原因と予防法とは ↩︎
- 歯周病と糖尿病の関係 ↩︎
- 疲労の原因 ↩︎
- 睡眠時無呼吸症候群と糖尿病 ↩︎
- 甲状腺と低血糖 ↩︎
- アルコールと甲状腺・ホルモンの異常 ↩︎
- C型肝炎治療で甲状腺異常・甲状腺癌も発生・B型肝炎・肝硬変 ↩︎
- 低T3症候群・ノンサイロイダルイルネス・ユウサイロイドシック症候群 ↩︎
- 自律神経の乱れが胃腸に影響するワケ ↩︎
- 甲状腺と貧血,鉄欠乏性貧血 ↩︎
- 日本微量栄養素情報センター ↩︎
- 「甲状腺機能低下症」とはどのような病気ですか ↩︎
- 甲状腺と低血糖 ↩︎