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お酒を飲むと低血糖を起こしやすくなるのはなぜ?アルコールによる低血糖症の原因と対策について、分子栄養学的アプローチを解説

飲酒と低血糖症には肝臓の機能低下が深く関係する

お酒って美味しいですよね。筆者もお酒が大好きで、会食の時などはついつい飲み過ぎてしまうことがあります。しかし、その後に疲れやだるさを感じたり、食欲不振やめまいなどの症状が出た経験はありませんか?

それらは、もしかすると飲酒による低血糖症が原因かもしれません。実は、飲酒と低血糖症は密接な関係があります。

この記事では、アルコールがどのように低血糖症を引き起こすのか、また、飲酒によって引き起こされる疾病がどのように低血糖症を引き起こすのかについて、その対処法と併せて分子栄養学的観点から解説していきます。

目次

飲酒をするとなぜ低血糖を起こしやすくなる? 飲酒と低血糖症との関係とは

ナンナン

うぃ〜飲み過ぎちった

はる かおる

あーあー💧
そんなに飲み過ぎると身体に悪いよ

ナンナン

いいのいいの。
なんたって人生は今しか楽しめないからね♪

はる かおる

そう言ってお酒飲んだ後はいつも調子悪くなってるクセに💧

ナンナン

うっ・・・
き、きもちわるい・・・

はる かおる

ほら。
言わんこっちゃない。

ナンナン

しかも、何だかクラクラして動悸がして・・・嫌な汗が出てきたよ💧
どうしようどうしよう、このまま死ぬのかな

はる かおる

大丈夫大丈夫、落ち着いて。その症状はもしかすると低血糖症かもね。

ナンナン

て、低血糖症・・・?

はる かおる

うん、飲酒と低血糖症には深い関係があるんだ。
ほら、これをちょっと食べてみて。

ナンナン

ふぅ・・・ちょっと落ち着いたよ。
でもなんで、お酒を飲むと低血糖症になるの?

はる かおる

お酒を飲むことで、色々と糖代謝が悪化する理由があるんだよ。ちょっと休んだら詳しく教えてあげるね。

風呂上がりのビールや仲間内との宴会、忘年会や新年会など、ついついお酒を飲みすぎてしまう事って沢山ありますよね。そんなお酒を飲んだ後に、決まって調子が悪くなる事はありませんか?

お酒を飲んだ後に、手の震えや動悸、めまいや冷や汗をかいたり、抑えきれないほど不安な気持ちやイライラした気持ちになったりする場合は、もしかするとそれは低血糖症の症状かもしれません。低血糖症とは、血糖値が基準値よりも大きく下がってしまった状態のこと。この状態では血液中の血糖値が下がりすぎてしまうことから脳で使えるエネルギーが足りなくなり、心身共に様々な不調が引き起こされる状態です。

このような低血糖症が発症する原因には、飲酒と飲酒におけるアルコール代謝が深く関係しています。飲酒における低血糖症の発症原因にはいくつかありますが、その中でも最も低血糖症を引き起こしやすい原因が「何も食べずにお酒を飲むこと」です。

例えば、お酒のお供と言えば「おつまみ」ですよね。しかし、中にはおつまみなど食べずにお酒を飲む方も一定数存在します。特に最近では健康やダイエットのために「糖質制限」も流行っていて、糖質制限など食事制限をしながらお酒を楽しんでいる方も多くなってきました。この何も食べずにお酒を飲むことが、最も飲酒後低血糖症を発症しやすくなる原因になるのです。

この理由としては、主に肝臓におけるアルコール代謝と糖代謝が関係しています。私達が飲んだお酒に含まれるアルコールは、肝臓で処理されることはなんとなく聞いたことがありますよね。

肝臓はアルコールを無害な形に解毒してくれる働きがある

肝臓は、私達が飲んだアルコールを無害な形に解毒してくれる働きがあります。具体的には、上図のようにお酒に含まれるエチルアルコールが、肝臓で分泌されるアルコール脱水素酵素などの働きによってアセトアルデヒドに変化します。その後、アセトアルデヒド脱水素酵素の働きによって酢酸という無害な物質に変換され、酢酸はTCA回路というエネルギー生成回路に入った後に水と二酸化炭素に分解されます。

この水と二酸化炭素は血中に放出されて、最終的には尿や呼吸、汗などから排泄されています。これが、肝臓がアルコールを無害な形に解毒してくれる仕組みです。このあたりの働きについては、割と色々なところで言われていますよね。

この肝臓では、上述したアルコールの代謝以外にも血糖値の調節に必要なグルコース(ブドウ糖)を合成して血中に放出する働きを担っています。具体的には、私達が摂ったブドウ糖(グルコース)を貯蔵型のグリコーゲンという物質に変えて貯えてくれたり、このグリコーゲンからグルコースに分解し、必要に応じて体内に放出することで血糖値を一定に保つ働きをしています。

肝臓は糖を貯えたり放出したりして血中のグルコース濃度を一定に保つ働きがある

しかし、私達がお酒を飲むと、肝臓ではアルコール代謝をすることに集中してしまうため、このようなグリコーゲンからグルコースへの分解やグルコースの合成、体内への放出が後回しになってしまいます。この結果、血糖値が下がりすぎても血糖値が上げられなくなり、低血糖症に陥ってしまうのです。

このような状態は、何も食べずにお酒を飲んだり糖質制限食をしながらお酒を飲んだりすることで、更に低血糖症を発症しやすくなります。理由としては単純で、糖として利用出来る食べ物を口にしないことで血糖が上げられなくなり、低血糖症に陥りやすくなるためですね。

他にも、アルコールを代謝する際に必要な「アルコール脱水素酵素」「ミクロソーム・エタノール酵素」「アセトアルデヒド脱水素酵素」などはタンパク質やビタミン、ミネラルを材料に作られています。何も食べずにお酒を飲むと、これらアルコールを解毒するための栄養も補給することが出来ません。肝臓でアルコールが十分に解毒できないと、肝臓にダメージを与えて肝硬変や肝がん等へと発展する恐れもあります。このような状態では肝臓での糖代謝が更に悪化するため、低血糖症が進行してしまう原因になります。

なので、お酒を飲むときは必ず糖として利用出来る食べ物を必ず食べることが重要です。おつまみを食べながらお酒を飲むとか、食事をした後にお酒を飲むなど、低血糖症防止のためにも必ず食事と組み合わせてお酒を楽しむようにしましょう。

この他、飲酒と低血糖症の関係ではアルコール代謝と亜鉛不足が関係しています。先ほど解説した肝臓でのアルコール代謝ですが、アルコールを代謝する際に必要な「アルコール脱水素酵素」には亜鉛を含んでいます。つまり、お酒を飲むほどアルコール脱水素酵素の分泌が多くなり、これに伴って亜鉛の消費量も増加します。

また、アルコールの摂取は尿中で排泄される亜鉛の量を増加させます。これは、アルコールが血中亜鉛濃度を高める作用と、利尿作用があるためです。このように、日頃からの飲酒は亜鉛の消耗と排泄量を増加させ、亜鉛不足に陥りやすいのです。

この亜鉛不足は、血糖コントロール機能の低下と低血糖症の発症に大きく関係しています。主に亜鉛は血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の合成、作用に不可欠で、不足するとインスリン分泌や機能の低下を招きます。

亜鉛はインスリンの働きに必要な栄養素で、不足した場合はインスリンの分泌・機能低下を招く

例えば正常な人の場合、すい臓でインスリンが分泌されるときは、亜鉛も同時に分泌されています。この亜鉛がインスリンを保護することで、肝臓でインスリンが分解されてしまうことを防いでいるのです。
しかし、亜鉛が不足している場合、すい臓はインスリンだけを分泌します。

すると、亜鉛に保護されていないインスリンは肝臓で分解されてしまい、全身インスリン濃度が低くなってしまいます。この結果、インスリンの血中濃度低下が引き起こされ、そのぶんだけ血糖値が上昇しやすくなってしまうわけです。つまり、低血糖症は飲酒による亜鉛不足も大きな原因の1つですね。

このような原因以外にも、飲酒によって低血糖症が発症する原因は、他にも様々な疾病が関係しています。例えば、飲酒によって発症する疾病と低血糖症との関連があるものは、次のようなものがあります。

飲酒によって引き起こされる疾病と、低血糖症との関連がある症状

  • アルコール性脂肪肝
  • アルコール代謝の低下、アルコール依存症
  • 肝機能低下、糖代謝悪化に伴う肥満、筋肉量の低下
  • 飲酒による胃腸機能の低下、SIBOやリーキーガット症候群など
  • 自律神経の悪化、バランスの乱れ
  • 副腎疲労
  • 貧血
  • 甲状腺機能障害
  • 脂質代謝異常や動脈硬化進行による血流の悪化

これらの疾病は飲酒と深い関係があり、同時に低血糖症を引き起こす原因でもあります。つまり、飲酒によって低血糖症が引き起こされる原因は、直接的にも間接的にも、様々な原因が複雑に関係しているのです。

飲酒によって低血糖症が発症している状態では、これらの疾病が無いかどうかを確認する為にも検査を受けることが大切です。そして、それぞれの状態に応じた適切なアプローチを行っていく事が重要になります。このような個別の状態を血液検査で確認し、それぞれの状態に併せて適切な栄養アプローチを行っていくのがオーソモレキュラー療法であり、分子栄養学です。

はる かおる

飲酒によって発症する低血糖症の原因は1つだけじゃ無いよ❗他にも飲酒から引き起こされる疾病が低血糖症を引き起こすから、それらの状態をきちんと調べて適切なアプローチを行う事が大切なんだ。

そもそも低血糖症とは? 飲酒によって引き起こされる低血糖症の症状とその種類

そもそも、低血糖症とはどのような症状なのでしょうか。飲酒と低血糖症の大まかな関係がわかったところで、次に低血糖症についてのおさらいをしておきましょう。

まず、低血糖症とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事です。通常血糖値は80〜100前後に保たれていますが、何らかの原因で血糖値が80以下を下回っている状態が続いていると、低血糖症と判断することが出来ます。低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。

他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。それ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.htmlより

そして、低血糖症と一言で言っても、この低血糖症には状態によって異なる3つの種類があります。1つが「糖尿病の人が血糖降下剤やインスリン注射を使用する事による低血糖症」と、糖尿病とは認められない人でも低血糖症に陥る「無反応性低血糖症」「機能性低血糖症、乱高下型低血糖症」です。乱高下型低血糖症は機能性低血糖症の延長線上にあります。

飲酒によって低血糖症に陥る方の殆どは「無反応性低血糖症」か「機能性低血糖症」のどちらかになります。無反応性低血糖症とは、何か食べ物を食べても殆ど血糖値が上がらず、常に血糖値が80を下回っているような状態のこと。これは飲酒によって引き起こされる自律神経の乱れや胃腸機能の低下から腸内環境の悪化を引き起こし、腸内環境の悪化から消化吸収に問題が起こってしまった場合や、代謝機能に異常が起きた場合に陥りやすい低血糖症です。

対して機能性低血糖症とは、空腹時血糖は正常値あたりになっているのにもかかわらず、何か物を食べたり甘い物を食べたりすると急激に血糖値が上昇し、その後急降下してしまう状態の事。この血糖値の上昇と下降を繰り返してしまうことから、血糖値が乱高下してしまう低血糖症になります。イメージとしては、下図のような感じです。

機能性低血糖症は血糖値の急激な上昇と下降を繰り返してしまう病気

例えば、上図の①〜③のように甘い物や炭水化物の摂りすぎによって血糖値が急上昇し、その後すい臓から血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンが大量に分泌されます。インスリンが大量に分泌されたことによって④のように血糖値が急降下し、低血糖に陥ります。

この時、低血糖は脳を動かすためのエネルギーが足りなくなるため、耐えがたいほどの眠気や動機、冷や汗や息苦しさ、不安感や気分の落ち込み、頭痛など様々な不調が表れます。さらに、意識を失ったり命を失うリスクがあることから、身体は血糖値を上げるために副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリン等の血糖値を上げる作用のあるホルモンを分泌。これら血糖値を上げる作用のあるホルモンは、同時に交感神経を刺激するため、イライラしたり不眠になったり、ちょっとしたことで爆発的な怒りが湧いてきたり等の精神症状、身体症状を引き起こしてしまうのです。

このような血糖値の乱高下を引き起こしてしまう状態を「反応性低血糖症」もしくは「機能性低血糖症」「血糖値スパイク」や「隠れ低血糖症」といいます。これら機能性低血糖症では、血糖値の波の状態に応じて精神症状や自律神経症状を伴うのが最大の特徴です。そして、飲酒によって引き起こされる低血糖症は、どちらかと言えば機能性低血糖症を抱えている人の方が多い印象があります。

これは、飲酒によって肝臓が悪くなることで糖代謝が悪化したり、亜鉛不足によってインスリンの働き悪くなったりする事が関係しています。例えば、お酒を飲んだ後に無性にラーメンが食べたくなるときがありませんか?このような飲酒後に無性に炭水化物や甘い物が食べたくなるのは、飲酒によって血糖値が乱高下し、低血糖に陥った際の症状の1つです。

また、飲酒は貧血を引き起こす原因であり、貧血は低血糖症の原因になります。これは、貧血によって糖分をエネルギーとして十分に使えなくなることが関係していることから、エネルギーとして使えなかった糖が血管内に溢れることによって血糖値が上昇、急降下しやすくなるためです。

また、日常的な飲酒は「すい臓」にも大きなダメージを与えます。すい臓はインスリンを分泌し、血糖値を調整する重要な臓器です。このすい臓が、肝臓でのアルコール代謝によって生じた毒素によってダメージを受けると、すい臓が炎症を起こしてしまいます。すい臓に炎症が発生するとインスリンを分泌する細胞に障害が起き、インスリンの分泌を低下させます。このような場合、糖代謝にも大きな影響を及ぼし、低血糖症を発症することにも繋がります。

特に飲酒においては、「アルコール性脂肪肝」の発症と切っては切り離せません。このアルコール性脂肪肝が、飲酒における低血糖症を発症する大きな原因となります。

はる かおる

飲酒によって肝臓機能低下やインスリン抵抗性を引き起こすと、血糖値が乱高下する「機能性低血糖症」を引き起こしやすくなるよ。この低血糖症は空腹時血糖が正常値の範囲内である事が多いことから、別名「隠れ低血糖」とも言われてるんだ。血液検査で低血糖症と診断されていなくても低血糖症を発症している場合があるから気をつけてね❗

飲酒による低血糖症の最大原因は肝機能の悪化。アルコール性脂肪肝が糖代謝の悪化と万病の引き金に。

ここからは、飲酒によってアルコール性脂肪肝が発症する理由と、このアルコール性脂肪肝がなぜ糖代謝の悪化と低血糖症の原因になるのかについて解説していきましょう。

肝臓は、アルコールの解毒に関係していることは最初に解説しましたよね。これ以外にも、肝臓は栄養素の代謝や胆汁の生成、造血や血液量の調節、タンパク質やアルコール分解酵素など酵素の産生や、ビタミンやグルコースなどを貯蔵するなど様々な働きを担っています。

肝臓は栄養素の代謝や胆汁の生成、造血や血液量の調節、タンパク質やアルコール分解酵素など酵素の産生や、ビタミンやグルコースなどを貯蔵するなど様々な役割を持つ

この肝臓は栄養を吸収する小腸と血管で繋がっていて、私達が食べたタンパク質や糖質、脂質は小腸で吸収された後にすべて肝臓へと運ばれています。肝臓は運ばれて来た栄養素を元に、身体に必要な様々な物質や酵素を合成するのが仕事です。

例えば、肝臓ではコレステロールを合成したり、アルコール分解酵素やタンパク質分解酵素などの合成、貯蔵型のブドウ糖であるグリコーゲンなどを合成して貯蔵しています。このように、私達が食べた食べ物は必ず肝臓で様々な状態に加工されてから利用されています。

肝臓はアルコール代謝以外にも、タンパク質や脂質、糖質の代謝を担っている。

この時、過剰なアルコール摂取や過剰な糖質、脂質の摂取により肝臓での処理が間に合わなくなると、肝臓の細胞に中性脂肪が蓄積し、肝臓にベッタリと脂肪が付いてしまいます。これが、脂肪肝が発症するメカニズムです。

お酒に含まれる糖類や、糖質過剰、脂質過剰の食事、おつまみなどをとり続けることで肝臓の処理が間に合わなくなり、脂肪肝を発症する。

この脂肪肝は、特に習慣的な飲酒において発症しやすくなります。理由としては、飲酒によって糖質や脂質などの摂取が過剰になりやすい事と、肝臓でアルコールが代謝され、無毒化するときに肝臓に大きな負担がかかるためです。

例えば、アルコールには7kcalのカロリーが含まれており、これに加えてカクテルやサワーなど味を付けるための果汁や糖質などが含まれている物があります。さらに、飲酒と同時に糖質や脂質が多いおつまみや食事などを摂取する事で、想像以上に糖質や脂質を過剰摂取しているのです。

また、最初にも説明しましたが、飲酒を行った場合はこれら脂質や糖質の代謝よりもアルコール代謝が優先されます。この事も肝臓に脂肪が付きやすくなる原因です。加えて、アルコール分解の際には有毒なアセトアルデヒドが発生し、このアセトアルデヒドが肝臓で分解しきれなくなるとその毒素によって肝細胞に大きなダメージを与えます。このダメージが蓄積することで肝細胞が繊維化を引き起こし、肝機能低下や肝硬変、肝がんへと進行してしまうことに繋がってしまうのです。

肝臓でアルコールを解毒する際には大きな負担がかかり、同時に発生する毒素によって肝細胞に大きなダメージを受ける

肝機能が低下すると、当然ながらタンパク質や糖質、脂質などの代謝が悪くなります。肝臓ではアルコール分解酵素やタンパク質分解酵素などの合成、貯蔵型のブドウ糖であるグリコーゲンなどを合成して貯蔵していることは先ほども説明しましたよね。脂肪肝や肝炎、肝硬変などが進行するとこれらの働きもドンドン低下していき、アルコール分解酵素の合成量やグリコーゲンの貯蔵量、栄養素の代謝量なども低下していきます。

この状態でお酒を飲み続けると、アルコールの代謝力が低下していることから、飲酒がますます肝臓に負担をかける事に繋がるのです。また、肝機能の低下は更なる脂肪肝の悪化と低栄養状態を引き起こしやすくなります。これは、脂肪肝によって肝臓での処理能力が低下したために、処理しきれなかった糖質や脂質は中性脂肪として肝臓に貯えられてしまい、更なる脂肪肝の進行や低栄養状態が進行しやすくなるためです。

加えて、アルコール分解酵素の合成材料にはタンパク質やビタミン、ミネラルが必要な事から、肝機能低下は更なるアルコール解毒能力の低下に繋がります。

つまり、アルコール性脂肪肝の発症は、アルコールによって肝機能が悪化→肝機能悪化によってタンパク質等の代謝が低下→タンパク質等の不足と肝機能悪化によってアルコール分解酵素の合成量が低下→アルコールによって更に肝機能悪化という悪循環を生み出しやすくなってしまうわけです。

アルコール性脂肪肝と肥満がインスリン抵抗性を引き起こす

しかも、この脂肪肝を抱えている場合は、脂肪肝が無い人と比べてインスリン抵抗性が高くなる事が分かっています。インスリンは血糖値を下げてくれるホルモンのこと。インスリン抵抗性とはこのインスリンの効きが悪くなってしまうことで、血糖値のコントロールがうまくいかなくなってしまう状態です。

内臓脂肪がある事よりも脂肪肝がある方が糖尿病になりやすい

順天堂大学の研究グループが調べたところ、内臓脂肪が無くても脂肪肝があると脂肪と筋肉のインスリン抵抗性が高く、逆に内臓脂肪があっても脂肪肝が無ければインスリン抵抗性が低いという事が分かりました。これはつまり、体重やBMI値、見た目が正常範囲だったとしても、アルコール性脂肪肝を抱えている場合は糖尿病や低血糖症のリスクが高まってしまうという結果です。

また、習慣的な飲酒は内臓脂肪が付く以外にも肥満を引き起こしやすくなります。肥満とは、いわゆる体脂肪が身体につきすぎてしまった状態です。体脂肪自体は飢餓から命を守るために備えられた身体の機能ですが、この体脂肪がつきすぎることによって炎症が発生し、インスリンが効きにくくなってしまうのです。

肥満が慢性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を発生させる

具体的な肥満への流れとしては、身体には脂肪を蓄える「脂肪細胞」と呼ばれる細胞があり、過剰な糖質摂取や飲酒、高カロリー食、運動不足などによってこの脂肪細胞が徐々に肥大化していきます。この肥大化した脂肪細胞は一定の大きさになるとそれ以上の大きさになる事は出来ず、細胞分裂することで増加します。この一連のサイクルが進むことで肥満が進んでいきます。

ただ、この脂肪細胞自体は悪者ではありません。脂肪細胞には炎症を抑えるための生理活性物質や炎症を促進させる生理活性物質等を分泌してバランスをとっています。しかし、この脂肪細胞があまりにも増えすぎてしまった状態だと、この脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスが崩れ、炎症を抑えるための生理活性物質の分泌が低下してしまいます。すると、炎症を亢進させる生理活性物質の分泌が増加して、結果として慢性炎症を引き起こしてしまうのです。

この慢性炎症が引き起こされると脂肪細胞が弱ったり死んでしまったりしてしまいます。すると、その脂肪細胞からDNAの断片が血管中に離脱し、これを異物と捉えた免疫細胞の一種、マクロファージが異物を除去するために活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモン(TNF-α)を放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうのです。

ですので、飲酒によってアルコール性脂肪肝と肥満を抱えていた場合は、これらが進行すればするほど慢性炎症が発生し、インスリン抵抗性がドンドン進行してしまいます。お酒を飲んでいる方の中には、体重増加やお腹のポッコリが気になっている方も多いと思います。心当たりがある方は、もしかするとアルコール性脂肪肝や肥満が低血糖症の原因になっているかも知れません。

また、習慣的な飲酒においては「太っているようには全く見えない」ような人でも注意が必要です。アルコールによって肝機能が低下している場合は、肝臓が脂肪を正常に代謝できなくなり、脂肪が肝臓以外の組織や臓器に蓄積されるようになります。見かけでは太っていないように見えても、実は筋肉やすい臓などに脂肪がベッタリ付いている「隠れ肥満」の状態も考えられるのです。

この隠れ肥満の状態になってしまっている方も、肥満の方と同じようにインスリンの機能が低下し、機能性低血糖症や無反応性低血糖症を発症してしまう原因になります。

太っているように見えなくても、実は内臓に脂肪がベッタリ付いているかも

このような脂肪が本来蓄積されるべき場所以外の組織や臓器に脂肪が蓄積されることを異所性脂肪と言い、近年、日本人に多いと言われている肥満です。例えば、筋肉に脂肪が付いてしまった場合は筋肉へ糖が取り込めなくなり、食べた糖が筋肉で使えなくなって血中に溢れて高血糖になってしまいます。

また、インスリンを分泌する働きをしているすい臓に脂肪が付くと、インスリンの分泌が正常に出来なくなり、血糖値が乱高下する原因となってしまいます。このように、筋肉や肝臓、すい臓などに異所性脂肪が付く事は糖代謝が悪化する大きな原因です。

気がついたときにはもう手遅れかも・・・沈黙の臓器「肝臓」

このように、飲酒においてはアルコール性脂肪肝など様々な臓器に脂肪が付くことで糖代謝が悪化し、低血糖症の原因へと繋がっていきます。特に肝機能低下に伴う代謝低下は異所性脂肪や肥満を引き起こし、更なる糖代謝の悪化と低血糖症の悪化を引き起こす原因です。加えて、飲酒による病気のリスクは低血糖症だけではありません。

習慣的な飲酒は脂質異常症や脳卒中、ガン、高血圧、糖尿病のリスクも高めます。低血糖症は糖尿病の前段階と言われていますので、このまま低血糖症を放置していれば糖尿病へと進行するリスクも高いです。このような病気を防ぐためにも、これ以上の肝機能低下はなんとしてでも避けたいところです。

特に肝臓は沈黙の臓器と言われており、病状が進行していても特に痛みや不快感などの症状は起こりません。そのため、何らかの自覚症状を感じていたときには病状は既に悪化してしまっている可能性が高いです。

肝臓は悪くなっていても自覚症状が殆ど無い。そのため、沈黙の臓器と呼ばれている。

大抵の場合は健康診断において肝臓の悪化を指摘されて気がつくことが大半ですが、その時点ではかなり状態が悪化している事がほとんど。そもそも低血糖症の症状がある時点で肝機能が悪化している可能性が高いです。というのも、肝機能が悪化していないと低血糖症の発症までには至らないからですね。「健康診断で発見したときにはもう遅かった・・・」とならないためにも、普段からお酒を飲んでいる方は健康診断だけに頼らず、ご自身で肝臓の状態をチェック出来るようにしておきましょう。

肝機能をチェックする一般的な方法としては、血液検査があります。肝臓の状態をチェックする項目としては、GOT(AST)とGPT(ALT)などがあります。GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)とGPT(グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)は共にエネルギー代謝に関わる酵素であり、肝臓や筋肉細胞などに多く存在する酵素です。

通常、GOTやGPTは肝臓や心臓、筋肉などの細胞内で働いているため、細胞膜に固定されていて血液中に出てくることはありません。しかし、肝臓や心臓などの臓器が炎症や障害を起こすと、細胞膜が傷ついたり、細胞自体が壊死したりすることがあります。

この場合、細胞内に存在していたGOTやGPTが細胞膜を通じて血液中に漏れ出し、血中濃度が上昇することになります。このようなことから、GOTとGPTの検査項目は、肝臓の状態を見る指標としても使われています。

血液検査結果による肝臓の関連項目。数値によって肝臓の大まかな状態が把握できる

具体的には、GPTとGPTが共に20前後の数値であれば正常です。20よりも高すぎたり低すぎたりした場合は、何らかの状態異常を疑いましょう。特にアルコール性脂肪肝では肝臓に炎症が起きることからGOTとGPTが上昇しやすく、50以上や100以上になることも多いです。この時、GOTよりもGPTのほうが数値が高い場合は脂肪肝が進行していると考えられます。

例えば、GOTが50でGPTが100のような場合です。また、アルコールを飲んでいる場合はγ-GPTの数値も上昇する傾向にあります。γ-GPTも20前後が正常で、20よりも高すぎる場合はアルコールや薬などによる肝機能障害が起きていると判断出来ます。このようにGOTよりもGPTの方が高い場合と、γ-GPTが上昇している場合は、アルコールによる脂肪肝の発生と肝細胞の損傷を引き起こしている恐れがあり、注意が必要です。

また、健康診断や保険診療などの血液検査では数値が高いことばかりが問題視されていますが、逆に数値が基準値よりも低かった場合にも注意が必要です。例えば先ほど肝臓の状態を見る指標としてGPT(AST)やGPT(ALT)をあげました。

これら以外にも、肝臓の状態を見る数値としては「アルブミン」や「コリンエステラーゼ」「コレステロール」などがあります。これらは肝臓でのみ合成されることから、数値が低下している場合は肝機能の低下が考えられます。

肝臓が悪くなると数値が上昇するが、それ以上に悪くなると肝細胞の数が減少するために数値が低下する。

アルブミンは、血液中で水分や栄養素、薬物などを運搬するトラックのような役割を持ち、コリンエステラーゼは「アセチルコリン」を分解して神経伝達物質のバランスを保つ働きをする酵素です。「アセチルコリン」は運動機能や学習機能を司る神経伝達物質の1つで、増えすぎると運動機能や学習機能、消化吸収に異常をきたします。

コレステロールは血液検査でもおなじみの数値で、タンパク質と結合した脂質の一種です。コレステロールが増えすぎると血管壁に蓄積し、動脈硬化や心血管疾患の原因となる可能性があることから、数値が高いことは悪だといわれていますよね。しかし、コレステロールは脳細胞を保護したり、男性ホルモンや女性ホルモン、ストレスに対抗するための「コルチゾール」など各種ホルモンの材料となる物質です。

そのため、むしろ数値が低い方が健康を損なうリスクが高く、数値が低くて喜べるようなものではありません。余談ですが、コレステロールが悪さするのは酸化した状態の酸化LDLコレステロールになりますので、コレステロールを評価する際は「酸化LDLコレステロール」の検査を受けて判断することが大切です。

これらの合成は肝臓でのみ行われているため、数値が低下している場合は肝機能が低下していることが考えられます。これは、肝細胞の数が減少するために合成する酵素の量なども減少するためですね。

先ほどのGOT、GPT、コリンエステラーゼなどは肝臓に炎症が発生していたり、脂質代謝異常があったりした際に上昇する場合がありますが、肝硬変などで肝臓の障害が進行し、肝細胞の減少が進むとむしろ数値は低下していきます。なので、数値が基準範囲内だったとしても油断は出来ません。これらの数値は、高値ばかり気にするのでは無く、低値も気にするようにしましょう。

ナンナン

低血糖症の原因は、アルコール脂肪肝が関係しているのか・・・💧
確かに、お酒を飲みすぎて肝臓が悪くなっているかも💦

はる かおる

お酒を飲みすぎることで肝臓に負担がかかり、結果的に糖の代謝が悪くなって低血糖症になってしまうんだ。だから、低血糖症を改善させるためには適量の飲酒を守り、同時に肝臓をケアする栄養補給を行う事がキーポイントだね。

飲酒による低血糖症は糖代謝の悪化が根本に。 アルコールの摂取によって引き起こされる疾病が、更なる血糖症の悪化に繋がる恐れあり。

ここまで、アルコール摂取とアルコール性脂肪肝、それと肝機能悪化に伴う低血糖症発症との関連について解説してきました。実は、飲酒における低血糖症の発症原因はまだまだこれだけではありません。飲酒は、肝臓に負担がかかる以外にも、胃や腸など消化器系にも大きな負担がかかります。これら胃や腸に負担がかかることで消化吸収能が低下し、更なる低血糖症の悪化に繋がる恐れがあるのです。

飲酒は胃の働きを低下させ、SIBO、リーキーガット症候群の原因となる。

飲酒は、アルコール性脂肪肝を引き起こす以外にも胃腸機能低下を招きます。この理由は、アルコールによって胃の粘膜にダメージを与えてしまい、胃酸を分泌する細胞に障害が起きることで胃酸(ペプシノーゲン)の分泌量が減ってしまうためです。私達が食べたタンパク質は、胃で分泌されるペプシノーゲンと呼ばれる消化酵素と、すい臓から分泌される「すい液」によってタンパク質をアミノ酸まで消化し、小腸で吸収しています。

アルコールはこの胃粘膜にダメージを与えることから、タンパク質の消化に必要なペプシノーゲンの分泌量を減少させてしまう原因となります。また、アルコールの代謝途中で発生する毒素が肝臓やすい臓にダメージを与えることで、胃酸(ペプシノーゲン)の材料となるタンパク質の代謝低下や、すい液の分泌量低下を招きます。

タンパク質の消化吸収の過程。主に胃で分解され、次に膵液によりアミノ酸まで消化。アミノ酸が小腸上皮細胞から吸収される。

胃や、すい臓の働きが低下すると特に大きなダメージを受けるのが、小腸や大腸などの内臓です。胃や十二指腸で十分に消化されなかったタンパク質は、小腸や大腸に生息する悪玉菌のエサになってしまいます。悪玉菌は、未消化のタンパク質をエサにドンドン増殖。この悪玉菌が増えることで善玉菌と悪玉菌とのバランスが乱れ、腸内環境が悪化していきます。この腸内環境が悪化することで肥満になりやすくなったり、アレルギーを引き起こしやすくなったり、感染症や認知症、動脈硬化や糖尿病、低血糖症の悪化など、様々な疾患が引き起こされるリスクが高くなるのです。

腸内細菌叢の乱れは、身体の様々な疾病と深い関係がある

そして、腸内細菌のバランスが乱れる原因としては、タンパク質の消化不足以外にも飲酒によるアルコールの摂取も直接腸内環境を悪化させる原因です。アルコールが腸内に入ると有害菌がこれをエサにし、腸内細菌のバランスを崩します。また、アルコールが直接小腸など腸粘膜の細胞を傷つけることから、腸粘膜に炎症と隙間が出来て腸漏れを引き起こす原因になります。腸漏れが起こると、本来吸収されるはずのない物質や腸内細菌が腸壁から血管内に漏れ出し、身体全体に炎症を引き起こす原因となるのです。

そして、この腸内環境が悪くなるとインスリンの効きが悪くなり、糖代謝が悪化することが分かってきました。この理由は、悪玉菌が出す毒素や、飲酒による腸粘膜へのダメージ、善玉菌の不足から善玉菌が出してくれる「短鎖脂肪酸」量の低下が関係しています。悪玉菌が出す毒素は腸粘膜にダメージを与え、腸粘膜に炎症を発生させます。この腸粘膜に炎症が続くと、いずれ腸粘膜が弱って「SIBO(腸内細菌増殖症)」や「リーキーガット症候群(腸漏れ症候群)」と呼ばれる状態に進行してしまいます。

腸粘膜同士の繋がりが弱まることで、未消化の食べ物や細菌が血管内に侵入してしまう状態

リーキーガット症候群とは、食べ物の栄養を吸収する小腸の粘膜が炎症によって弱り、腸粘膜の細胞同士の間に隙間が出来てしまう状態。この隙間から本来吸収されるはずのない未消化の食べ物や細菌などが血液中に入り込み、免疫が過剰に反応してアレルギー反応や慢性的な炎症を引き起こしてしまう状態です。慢性的な炎症状態や免疫細胞が過剰に反応した状態では、マクロファージがTNF-αと呼ばれるサイトカインの一種を分泌します。このTNF-αが過剰に分泌されると、インスリン受容体に対する抵抗性を引き起こし、糖代謝の悪化や低血糖症につながります。

加えてリーキーガット症候群では、消化吸収能の低下と腸内環境の悪化、腸粘膜の炎症を発生させることから、小腸から分泌されるGLP-1というホルモンの分泌低下も招きます。GLP-1は、インスリンの分泌を促してくれるホルモンです。この分泌量が減ることでインスリンの分泌量が低下し、糖代謝の悪化や低血糖症を引き起こします。

また、飲酒はSIBOも招きます。SIBO(小腸内細菌増殖症)とは、本来腸内細菌がわずかしか生息していない小腸に、大量の腸内細菌が住みついてしまった状態です。この腸内細菌は未消化のタンパク質や発酵性の糖質をエサにメタンガスや水素ガスを大量に発生させ、お腹の膨満感やゲップ、オナラが大量に出る、臭くなるなどの症状を引き起こします。

この状態では小腸内に大量のガスが発生することから小腸が風船のように膨らみ、小腸粘膜が引き伸ばされてダメージを受けます。ダメージを受けた小腸粘膜には隙間が出来てしまい、その隙間から本来吸収されるはずのない未消化の物質や細菌、毒素などが血管内へ漏れ出てしまいます。つまり、SIBOはリーキガット症候群へと発展しやすく、リーキーガット症候群の前段階とも言える病気です。

このリーキーガット症候群は機能性低血糖症や無反応性低血糖症の原因にもなっており、現時点で何らかのお腹の不調を抱えている状態なら、既にリーキーガット症候群になってしまっている可能性が高いです。特に下記の症状に当てはまる項目が多いようでしたら、リーキーガット症候群も疑いましょう。

リーキーガット症候群で引き起こされる主な症状。低血糖症や糖尿病の原因にもなる

加えて、飲酒以外にも抗生物質や鎮痛剤、ステロイドやピルなどの薬剤を使用している方は要注意です。これら薬剤も腸内環境の悪化を招き、リーキーガット症候群の原因になります。特に女性の方は毎月生理がある度に鎮痛剤を飲んだり、生理痛が重い方やPMSが酷い方は低用量ピルの服用によって生理を止めたりしますよね。このような慢性的な服薬がさらに胃の機能を低下させ、腸内環境を悪化させる原因になります。

さらに、飲酒は栄養状態の悪化や腸内環境の悪化を招くことから、免疫力の低下を招きます。免疫力が低くなると風邪を引きやすくなるので、風邪を引いたらすぐに病院に行く方も多いはず。風邪の時に病院で処方される薬と言ったら、抗生剤です。この抗生剤の服用も、腸内環境を悪化させる原因になります。実は、風邪に対して抗生剤は全くと言って良いほど役に立ちません。その理由は、風邪は細菌感染では無くウィルス感染によって起こるものだからです。インフルエンザウィルスやコロナウィルスなどがその代表格ですね。このウィルスに対して抗生物質は全く効きません。

にもかかわらず、病院ではただの風邪に対しても抗生物質が安易に処方されている現状があります。この抗生物質は、腸内細菌にとってみれば原爆を落とされるようなもの。このようなただの風邪に対しても抗生物質を服用することで、腸内に生息するいい菌も悪い菌も含めて殺菌され、腸内環境が悪化してしまうのです。

このように、飲酒は腸内環境の悪化や栄養状態の悪化、インスリン抵抗性をはじめとした糖代謝の悪化を招きます。もしかすると、あなたの低血糖症は飲酒や腸内環境の悪化によって引き起こされたリーキーガット症候群が関係しているかもしれません。リーキーガット症候群かどうかは、オーソモレキュラー療法のうちの1つであるリーキーガット症候群検査を受ける事で分かります。心当たりがある方は、後述するオーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

ただし、リーキーガット症候群は先ほど解説した肝機能悪化とも関係しており、その他にも貧血や自律神経の乱れ、口腔内の環境悪化等も関係しています。基本的に、リーキーガット症候群だけが単独で発症するということはあり得ません。もしリーキーガット症候群だった場合は、貧血も含めて口腔内や肝臓のケアなど総合的に対策するようにしましょう。オーソモレキュラー療法では、これらも含めて総合的にアプローチすることが可能です。興味ある方は是非受けてみて下さい。

ナンナン

飲酒は胃と腸も悪くして、これが低血糖症の原因になっちゃうのか💧

はる かおる

そうだよ。飲酒が間接的に低血糖症を引き起こす原因として、胃や腸の悪化は一番大きな原因だね。過剰なアルコールは肝臓以外にも内臓系に大きなダメージを与えるから、色々な病気を引き起こしやすいんだ。胃が悪くなると、次に説明する貧血も引き起こしやすくなるよ。

飲酒は鉄不足と貧血の原因に。 貧血と低血糖症の深い関係

次に、飲酒が貧血の原因となることと、貧血が低血糖症の原因になる事について解説します。貧血にも様々な種類がありますが、飲酒によって引き起こしやすいのは主に「鉄欠乏性貧血」と「大球性貧血」「溶血性貧血」の3つです。

鉄欠乏性貧血とはその名の通り鉄分の摂取不足や吸収不全によって引き起こされる貧血で、貧血の中でも最も多い原因の1つです。飲酒は上述したように小腸内の粘膜を傷つけ、腸内環境を悪化させることから、鉄の吸収を妨げる原因になります。また、鉄の吸収には胃酸の助けが必要で、飲酒によって胃酸の分泌量が減少していた場合は、鉄分が十分に吸収出来ません。この結果、飲酒においては鉄欠乏性貧血を引き起こしやすくなります。

また、飲酒は大球性貧血を引き起こしやすくなります。大急性貧血とは、酸素を運ぶ役割を持つ赤血球の1つあたりの大きさが通常よりも大きくなることで、赤血球の寿命が短くなったり壊れやすくなったりして、酸素が全身に運べなくなる貧血のことです。大球性貧血に陥る原因は主にビタミンB12と葉酸の不足による物ですが、これもアルコールによる胃腸機能の低下と関連があります。

ビタミンB12は肉に多く含まれているビタミンで、葉酸は葉物の野菜に含まれているビタミンです。どちらも体内に吸収するためには胃酸による助けが必要で、胃酸の分泌量が低下している場合にはこれら栄養素が十分に吸収出来ません。その結果、ビタミンB12と葉酸の不足が加速し、大球性貧血を引き起こす原因となります。

加えて、大球性貧血では溶血性貧血も引き起こしやすくなります。溶血性貧血とは、飲酒によって血流が悪化したり、赤血球が大きくなりすぎることで赤血球と血管がこすれ、そのダメージによって赤血球が壊れてしまう貧血です。アルコールには利尿作用があり、体内の水分量が減ることで血液が濃くなります。血液が濃くなると血液の流れも悪くなり、赤血球が血管とこすれて壊れてしまいます。

また、亜鉛が不足すると赤血球の膜が弱くなる事も原因です。最初に、肝臓がアルコールを分解する際には「アルコール脱水素酵素」が必要で、この酵素には亜鉛が必要である事は解説しましたよね。この亜鉛が不足すると、赤血球の膜が弱くなってしまうことが知られています。この亜鉛が不足したり、赤血球の形成に必要なビタミンB12や葉酸が不足したりすることで、赤血球が壊れやすくなり、溶血性貧血を引き起こしてしまうのです。

では、これらの貧血が何故低血糖症と関係があるのでしょうか? ここからは貧血と鉄不足がなぜ低血糖症の原因になるのかについての具体的な解説に移りましょう。この関係を理解しておくことは、今後低血糖症と貧血の改善を行っていく上で役に立つはずです。

まず、鉄分が私達の身体の中でどのように働いているのかについて解説します。鉄分は、全身に酸素を運ぶためのヘモグロビンの材料して使われる以外にも、全身の細胞がエネルギーを生み出す際の補酵素として使われています。具体的には、私達が食べた糖質や脂質、タンパク質などは胃で消化され、小腸で吸収された後に血液中にのって全身へと運ばれます。

全身へと運ばれた栄養素は細胞内のミトコンドリアへと運ばれ、このミトコンドリアがATPと呼ばれるエネルギーを産生することで、私達は筋肉を動かしたり体温となる熱をエネルギーを生み出しています。

このミトコンドリアがエネルギーを生み出すときには鉄分を始めとしたミネラルやビタミンB群などが必要で、鉄が足りないとミトコンドリアはエネルギーを作り出す事が出来ません。

鉄はミトコンドリアのエネルギー産生(ATP産生)に重要な役割をもつ

このエネルギーが十分に作れなくなるということは、私達が食べた糖質などがエネルギーとして利用しづらくなるということです。糖分(グルコース)は貯蔵型の糖であるグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯えられ、運動時や低血糖時などに必要に応じて使われています。これら糖をエネルギーとして使えない状態だと、そのぶんだけ血管内に余分な糖が溢れることになり、機能性低血糖症のような血糖値の乱高下に繋がります。

また、貯えたグリコーゲンが低血糖時や運動時など必要に応じて使えない場合は、血糖値が下がったときに血糖値を十分に上げられません。このようなことも、無反応性低血糖症のような血糖値を上げられない状態になってしまう原因です。

それから、鉄分から作られるヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ役割も担っています。ミトコンドリアがエネルギーを産生するときには、この酸素も欠かせません。酸素が不足することで更にエネルギー産生能力が低下し、糖のエネルギー利用や糖代謝が更に低下してしまうことに繋がります。

血液中のヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を持つ。酸欠になるとミトコンドリアがエネルギーを作れなくなり、全身のエネルギー産生量が減る

つまり、貧血になってしまうと①糖質、脂質、タンパク質などの栄養を細胞の隅々まで運ぶ能力が低下し、鉄が不足することでミトコンドリアがエネルギーを作り出せなくなります。さらに、③貧血状態では酸素の運ぶ量が低下し、ミトコンドリアが利用出来る酸素も減ってしまうのです。

この3つが重なる事で糖質や脂質、タンパク質などがエネルギーとして利用出来なくなってしまい、全身の細胞の働きや臓器の働き、糖の代謝が落ちて低血糖症へと繋がってしまいます。

加えて、貧血は肥満や異所性脂肪、脂肪肝などを発症させる原因となり、さらなる血糖コントロール障害へと進行するきっかけになっています。これは、ミトコンドリアがエネルギーとして使えなかった糖質や脂質などのエネルギーは、インスリンなどの働きによって中性脂肪に貯えられてしまうためです。よく「貧血になるとあまり食べていないのに太りやすくなる」と言われるのはこのためですね。

このように貧血による代謝低下は、肥満や異所性脂肪、脂肪肝などへ発展し、更なる血糖コントロール障害へと進行するきっかけになっています。

また、鉄分はミトコンドリアのエネルギーとして使われる以外にも、脳の神経伝達物質の材料としても使われています。脳の神経伝達物質とは、分泌されると幸せな気分になったり、感情をコントロールしている物質のこと。うつ病の原因と関係があると言われている「セロトニン」などが有名です。このセロトニン以外にも「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」など様々な神経伝達物質がバランス良く分泌されて、私達の精神や自律神経が保たれています。

神経伝達物質にはノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどがあり、セロトニンはこの2つを調節する役割がある

この神経伝達物質の材料には、鉄分が欠かせません。下の図は神経伝達物質が合成されるまでの経路と必要な栄養素を表した物です。

まず、神経伝達物質を合成するためには、材料として「アミノ酸」が必要です。このアミノ酸は、肉や魚などのタンパク質を胃で分解し、小腸で吸収することで補給しています。このアミノ酸にはおよそ20種類ありますが、そのうち脳の神経伝達物質として利用出来るのは「L-グルタミン」と「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」です。

脳の神経伝達物質の合成経路と合成に必要な栄養素。合成の第一段階で鉄が必要になっていることが分かる

そして、この3つのアミノ酸がそれぞれ「鉄」や「葉酸」「ナイアシン」などを利用して「L-グルタミン酸」や「L-チロシン」「5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)」などに合成され、最終的に「GABA」や「ドーパミン」「セロトニン」や「メラトニン」などに合成されて利用されています。

この脳の神経伝達物質を合成する際には、必ず鉄が必要です。例えば、「L-フェニルアラニン」から「L-チロシン」に合成する際には鉄が必要ですし、「L-トリプトファン」から「5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)」に合成する時にも鉄が必要です。

この時に体内で鉄分が不足していると、脳の神経伝達物質を合成するための材料が足りなくなってしまい、自律神経の乱れやうつ症状、感情が抑えられない、ストレスの増加、頭痛やめまいPMS(月経前症候群)や腸内環境の悪化など様々な体調不良へと繋がってしまうのです。

貧血は自律神経の乱れに繋がる

それから、「セロトニンは幸せホルモン」だということをどこかで聞いたことがありませんか?セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンなどを調節する以外にも、分泌されることで多幸感を得られるホルモンでもあります。
このセロトニンから合成される「メラトニン」は、体内時計を司っていたり質の良い睡眠を司っており、リラックスするための副交感神経を優位にするホルモンでもあります。

これら脳の神経伝達物質合成が出来なくなってしまうということは、副交感神経を優位にする事が出来なくなってしまうということ。副交感神経が優位に出来ない場合は、リラックス出来ない緊張状態が続いてしまうということです。この状態では常に交感神経が優位の状態に陥り、交感神経優位の状態では胃や腸の働きが低下してしまいます。

加えて、交感神経優位の状態では常に神経が高ぶって身体がストレスを受け続け、副腎からストレスに対抗するためのホルモン(コルチゾール)が大量に分泌されます。このことから、副腎が疲れて副腎疲労や慢性疲労症候群などへ進行し、結果的に低血糖症へと繋がってしまうのです。

はる かおる

飲酒をすると貧血になりやすくなり、貧血になると代謝能力低下から低血糖症になりやすくなるよ。その他にも自律神経が乱れたり、胃や腸の働きが落ちることで低血糖症の原因にもなる。飲酒と貧血、貧血と低血糖症は関連が深い病気なんだ

飲酒と貧血は副腎疲労と低血糖症の原因に。

飲酒が機能性低血糖症や無反応性低血糖症を引き起こす原因として「副腎疲労」も関係しています。副腎疲労は、副腎から血糖値を上げる作用のホルモンである「コルチゾール」や「アドレナリン」「ノルアドレナリン」などの分泌が出来なくなり、下がった血糖値を上げられなくなってしまった状態のこと。無反応性低血糖症では、DHEASというホルモンの低下も含めて極度の副腎疲労の状態に陥っている場合があります。

副腎疲労を発症する原因としては、「ストレス」や「カフェインの摂りすぎ」「睡眠不足など生活習慣の悪化」「アレルギー」などがが関係しており、他にも「飲酒」や先ほど解説した「貧血」も関係していると言われています。特副腎から分泌される「コルチゾール」については、血糖値を上げる作用の他にもストレスに対抗するために分泌されるホルモンです。このコルチゾールは、飲酒によって分泌が促進することが知られています。

加えて、アルコール性脂肪肝など肝機能が低下している場合は、タンパク質の代謝も低下します。タンパク質は副腎皮質ホルモンであるコルチゾールや副腎髄質ホルモンであるアドレナリンなど材料であり、タンパク質不足はこれらのホルモン不足に繋がります。この事により、飲酒はコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンの分泌量低下に繋がりやすくなる原因です。

また、先ほど解説した貧血によって自律神経が乱れると、身体がストレスを受け続けてコルチゾールが大量に分泌されます。この貧血によってストレスが過剰にかかっている状態や、日常的な飲酒を行っている状態では、慢性的にコルチゾールが分泌され、副腎が疲れ切ってコルチゾールなどのホルモンが分泌出来なくなってしまいます。このような貧血や自律神経の乱れも副腎が疲れてしまう原因です。

この他、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンやアドレナリンなどの副腎髄質ホルモンは、アレルギー症状を抑える働きがある事から、アレルギー症状を抱えている場合も分泌されています。アレルギー症状が重くなるほど大量のコルチゾールやアドレナリンなどが分泌されることから、慢性的なアレルギーも副腎疲労を引き起こしやすい病気です。

この一種のアレルギー症状は、リーキーガット症候群などで未消化の分子の大きいタンパク質が血管内に入り込んだ場合にも引き起こされます。これは、体内の免疫細胞が腸漏れによって血管内に入った異物を排除するために活性化するためです。先ほど、飲酒によって胃腸機能が低下している場合は、リーキーガット症候群など腸内環境の悪化を引き起こしやすいことについて解説しましたよね。このリーキーガット症候群がアレルギーを引き起こす原因となり、アレルギーが副腎疲労を引き起こすことに繋がります。つまり、飲酒は直接的にも間接的にも、副腎疲労を引き起こしやすくなるのです。

アレルギーは未消化のタンパク質が腸から吸収されてしまうことで引き起こされる。

もし副腎疲労が起きていた場合は、副腎も同時にケアしていくことになります。副腎の一般的なケアの方法しては、コルチゾールなどホルモンの材料となるDHEAを補給したり、ストレス対策をしたり、副腎機能を消耗するカフェイン、アルコールなどを避けるようにすることです。このようなアプローチは、低血糖症の治療を行っているクリニックの一部でも同じようなアプローチをされる場合があります。

しかし、実際にはDHEAを補給するだけでは機能性低血糖症や無反応性低血糖症の改善は出来ません。この理由としては、副腎疲労やアレルギーには先ほど説明した「リーキーガット症候群」など腸内環境の悪化や消化吸収の低下、貧血などの代謝不良が関係していることと、そもそも炎症によってインスリン抵抗性が発生している場合は、この炎症を改善しなければインスリン抵抗性が改善出来ず、低血糖症に陥ってしまうこと、インスリンやコルチゾール、アドレナリンなどを始めとしたホルモンや副腎機能などは、すべて私達が摂取した栄養を利用して機能しています。このことから、消化吸収や肝機能の改善をしなければそもそもホルモンなどの材料を得られないからです。

つまり、副腎疲労の原因はコルチゾールの分泌不足だけで無く、様々な原因が関係しています。これらを改善しない限り、いくらDHEAを補給しても血糖コントロール機能の異常は改善出来ません。
特に飲酒においては、上述したようにリーキーガット症候群、SIBOやアルコール性脂肪肝など様々な原因が副腎疲労と関係しています。

このことから、副腎疲労は低血糖症の原因ではあるものの、根本原因ではありません。副腎が疲れてしまったり機能しないのには、必ず原因が隠れているのです。副腎機能が低下する原因としては、上述した原因以外にも甲状腺機能障害や貧血も関係しています。副腎をケアしていくことも重要ですが、副腎が疲労してしまう根本原因も調べて、しっかりケアしていくようにしましょう。

ナンナン

低血糖症の原因として副腎疲労は有名だけど
副腎疲労が根本原因じゃないんだね💧

はる かおる

そうだよ。
副腎疲労になるにも必ず原因がある。
だからこそ、その原因からアプローチ
していくことが大切なんだ。

飲酒は甲状腺機能障害の原因に。甲状腺機能障害は代謝異常型と消化吸収能低下型の低血糖症を引き起こす

続いて、飲酒が甲状腺機能障害を引き起こす原因となる理由と、甲状腺機能障害が低血糖症を引き起こす理由についてです。甲状腺とは、喉仏の下あたりにある「チョウチョ型」の臓器のこと。この甲状腺から「甲状腺ホルモン」という物質が分泌されています。甲状腺ホルモンは、主に私達の代謝機能を司っています。

甲状腺の場所と形状

私達が食べたたんぱく質、脂肪、炭水化物は胃で消化され、腸で吸収、肝臓で代謝された後に体の組織を作る材料や体を動かすエネルギー源として使われています。 甲状腺ホルモンには、これら新陳代謝の過程を刺激し促進する作用があります。もし、この甲状腺ホルモンの働きが強すぎたり弱すぎてしまったりすると、糖の代謝機能に異常が発生し、機能性低血糖症や無反応性低血糖症といった低血糖症を引き起こしてしまう原因になってしまうのです。

甲状腺ホルモンの分泌異常によって、身体に様々な不調が起こる

甲状腺機能障害には大きく分けて二種類があり、甲状腺ホルモンが出過ぎて働き過ぎてしまう「甲状腺機能亢進症」「バセドウ病」と甲状腺ホルモンが出なさすぎて代謝機能が落ちてしまう「甲状腺機能低下症」「橋本病」があります。バセドウ病と橋本病は自己免疫性疾患の一種で、本来細菌感染やウィルス感染から身体を守ってくれるはずの免疫機能が、何らかの原因で自分の臓器や甲状腺を標的にしてしまうことで引き起こされる病気です。
バセドウ病や橋本病は甲状腺機能亢進症や低下症を引き起こしますが、甲状腺機能が亢進していたり低下していたからと言って必ずしもバセドウ病や橋本病であるとは限りません。これら自己免疫疾患でなくても、甲状腺機能低下症になったり、甲状腺機能亢進症になってしまう可能性は十分にあります。

その主な例が、飲酒による消化吸収能の低下や過剰な糖質制限などのダイエット、飲酒による自律神経の乱れや貧血です。特に飲酒においては、甲状腺機能低下を引き起こしやすくなります。これは、何も食べずにお酒を飲んだり、アルコールによって胃腸がダメージを受けて消化吸収機能が低下することから、身体が飢餓状態になってしまうためです。この場合、身体は飢餓から身を守るために代謝機能を低下させて省エネモードに移行し、身を守ろうとします。この時に甲状腺ホルモンの分泌量が低下し、代謝量が低下します。これがいわゆる甲状腺機能低下症です。

これは特に、SIBO(小腸内細菌増殖症)や上述したリーキーガット症候群など、消化吸収能に問題がある場合に甲状腺機能が低下する可能性が高くなります。理由としては、消化吸収能が低下することから十分な栄養吸収が出来なくなり、食べていても身体が飢餓状態になってしまうためです。特にSIBOやリーキーガット症候群などは甲状腺機能障害と関係が深いと言われていますので、心当たりのある方は短鎖脂肪酸検査と合わせて甲状腺機能もチェックしてみて下さい。

https://ochanai.com/hypothyroidism/より

では、甲状腺機能が亢進しているかや低下しているかは、どのような基準で分かるのでしょうか?
1つの大きな目安となるのは、その症状です。甲状腺機能低下症は先ほど言ったように糖質や脂質、タンパク質などの栄養をうまく利用出来なくなるため、身体の代謝やエネルギー産生量、修復力が低下します。この結果、皮膚が乾燥したり髪の毛や眉毛が薄くなったり、脂質異常症や太りやすくなる、便秘がちになる、生理不順になる、集中力が無い、疲れやすいなどの症状が現れます。

逆に甲状腺機能亢進症では、私達が食べた糖質や脂質、タンパク質が代謝されすぎて消耗が激しくなってしまう状態です。飲酒では、アルコールによって心拍数が上昇するなど自律神経が乱れることから、甲状腺機能亢進症を引き起こす1つの原因として考えられています。この場合、体温などのエネルギー産生が過剰になり、細胞の破壊や再生が活発になることで栄養素を過剰に消費し、様々なトラブルが発生します。

具体的には、暑がりになった、心臓がドキドキする、脈が速くなる、食べているのにドンドン痩せていく、落ち着きがない、夜に眠れなくなるなどの症状が現れます。

これらの症状から判断する以外にも、甲状腺の状態は血液検査を受けることで調べることが出来ます。
甲状腺の検査項目には甲状腺ホルモンの合成、分泌を促すTSHというホルモンと、活性型の甲状腺ホルモンとして働くFT3、非活性型として待機しているFT4ホルモンがあり、FT4ホルモンは必要に応じてFT3ホルモンに変換されて利用されています。

この他、甲状腺ホルモンの元になるタンパク質として「サイログロブリン」があり、こちらはいわゆる甲状腺ホルモンの貯金です。サイログロブリンが異常に上昇していた場合は、バセドウ病や橋本病、甲状腺炎、甲状腺ガンなどを疑う指標として用いられています。

甲状腺機能障害の見分け方。近年では潜在性甲状腺機能低下症が問題視されている

甲状腺の検査自体は、割とどこでも受けられる検査です。しかし、保険適用の甲状腺検査では、その決まりからTSHとFT4の検査くらいしか出来ません。甲状腺機能の異常を確認する上で重要なのは、FT3ホルモンも検査することです。

実は、FT4ホルモンの値が問題ない場合でも、「FT3ホルモンの量が低下してしまっている低T3症候群」という甲状腺機能低下症が発生している場合も考えられます。他にも、FT4ホルモンの値が問題無い場合でもTSHが高くなっている「潜在性甲状腺機能低下症」を抱えている方も増えているのです。

その状態を判断するのが、上図の表になります。縦軸がTSHで、横軸がFT3とFT4ホルモンです。TSHはFT3やFT4ホルモンに「働きなさい」と命令するホルモンで、このTSHが高くてFT3もしくはFT4が正常値の範囲に収まっている場合は、潜在性甲状腺機能低下症と見ることが出来ます。これは、TSHがFT3とFT4に「働きなさい」という甲状腺刺激ホルモンを多く出しているにも関わらず、FT3とFT4ホルモンが正常値の範囲内で働くのがやっとの状態になっていると判断出来るからです。

逆に潜在性甲状腺機能亢進症では、TSHが「働かなくても良いよ」と命令を出してTSHの分泌量が減っているにも関わらず、FT3とFT4が正常範囲の数値まで出過ぎてしまっている状態です。

このような潜在性甲状腺機能低下症の判断には、下図のフローチャートも用いられています。少し難しいと思いますが、興味ある方は参考にしてみて下さい。

https://www.city.hiroshima.med.or.jp/hma/center-tayori/200605/center200605-06.pdfより

ただ、このような潜在性の甲状腺機能障害についてはまだまだ認知度が低く、一般の病院で検査を受けても「問題なし」と言われてしまうことが多く発生しているのが現状です。

また、先ほども触れましたが保険診療ではTSHとFT4の検査くらいしか受けられません。甲状腺ホルモンとして実際に働くのはFT3ホルモンであり、FT4ホルモンはFT3に変換されて初めて機能します。つまり、FT4が正常範囲内だったとしても、FT3ホルモンの量が正常とは限りません。栄養不足や何らかの原因によってFT4からFT3への変換がうまく出来なくなっている状態では、FT4が正常値であってもFT3が下がって甲状腺機能が低下している事も考えられるのです。

このFT3の検査を受けるには、既に橋本病やバセドウ病などの病気を抱えていて、医師が必要と判断した場合に限り保険診療で受ける事が出来ます。しかし、現在甲状腺の病気と診断されていない人や必要と判断されない人が、FT3の検査を保険診療で受ける事は出来ません。

そのため、現在甲状腺の病気と診断されていない人が甲状腺機能の状態や潜在性甲状腺機能障害の有無を知りたい場合は、自費にて検査を受ける必要があります。自費検査であれば、甲状腺の病気と診断されていなくてもTSHやFT3、FT4、サイログロブリンなどを含めた項目の検査を受けることが可能です。

費用も1万円程度で検査可能ですので、上述した症状に当てはまる方やリーキーガット症候群などお腹の調子が悪い方は、是非検査を受けてみて下さい。

はる かおる

潜在性甲状腺機能低下症は特に女性に多く、日本国民の4~20%の人に認められると言われているよ。飲酒と甲状腺機能低下症には関連があり、甲状腺機能低下症は低血糖症の原因にもなるから、気になる人は是非一度しっかりと調べて見てね。

お酒を控えただけでは低血糖症を改善することは不可能。飲酒による低血糖症を改善するための分子栄養学的アプローチ

長くなりましたが、ここまで飲酒が低血糖症を引き起こす原因と、飲酒によって引き起こされる疾病が低血糖症を引き起こす理由について解説してきました。ここからは、いよいよ低血糖症の具体的な治し方、分子栄養学的アプローチを解説します。

低血糖症を改善させるための主なアプローチは以下の通り。低血糖症を改善させる場合は、まず先に原因となっている日常的な飲酒や、低血糖症と関連のある疾患を改善させることが優先です。
必要に応じて、次のようなアプローチを行っていきましょう。

  • 適度な飲酒量に控える、休肝日をもうける
  • お酒を飲むときはアルコールの解毒に必要な栄養も同時に摂る
  • 甘い物、炭水化物の摂りすぎを控える
  • よく噛む
  • 食べたら動く、運動する
  • 口腔内のケアをする(歯周病)
  • 腸内環境を改善する
  • インスリンの働きを高める栄養補給をする
  • アルコール脂肪肝対策、炎症対策、抗酸化栄養を補給する
  • 副腎疲労を回復し、副腎を元気にする
  • 貧血を改善する
  • 甲状腺機能障害を改善する
はる かおる

ここからはいよいよ改善方法を説明するよ。飲酒による低血糖症を改善させたいときは、第一にお酒の飲み過ぎを減らして適切な量を楽しむことがポイント。お酒の量が減らせない、止められない場合は栄養不足も関係しているから、まずは栄養補給からはじめてみてね❗

適切な飲酒量が低血糖症改善のための第一歩! 週に二日間は休肝日を設けましょう。

飲酒による低血糖症を改善する上で、最も手っ取り早く効果が高いのが「禁酒をすること」です。もう今日から一切お酒を一滴たりとも飲まないと決めて、ストックしてあるビールや焼酎などのお酒は全部捨てる。禁酒をしてアルコール性脂肪肝を改善出来れば、ほぼ問題は解決です。

ですが、いきなり「今まで楽しんできたお酒を今日から一切絶ちましょう」と言われても難しいですよね。禁酒をしろと言う方は簡単ですが、いざ禁酒する側では、そんな一言で簡単に止められるものではありません。

ではどうすればいいのかというと、今まで飲み過ぎていたお酒の量を適度な量に抑えることと、お酒を飲むならアルコールの代謝、解毒に必要な栄養をしっかり補給することです。加えて、週に二日程度は休肝日を設けると良いですね。休肝日とは、その日一日全くお酒を飲まない日を作る事です。これさえ守っていれば、ほどほどにお酒を楽しみながら健康状態も改善させていけることが出来ます。

なにより、お酒は飲みすぎれば体に悪いですが、少量ではむしろ身体に良い効果もあります。金輪際一切お酒を断つ必要は全くありません。また、お酒は飲み会や祝い事などで仲間とのコミュニケーションの手段にもなりますし、利き酒やお酒の歴史、文化や製法の違いなどを楽しむ趣味でもあります。これらをすべて絶ってしまうことは、むしろ人生を生きる意味を無くしたり、逆にストレスが増加して身体を壊してしまいかねません。

この記事の筆者である僕自身も酒が好きで、地方に行ったときには利き酒をよくやっています。日本酒は奥が深く、同じ酒造元でも材料が違ったり磨き具合が違ったりして、時期や発酵具合で色々な香りや味が楽しめるんですよね。その地域の独特な製法や文化や、職人さんの思い入れやこだわりなどに触れることも、また楽しみでもあります。

このような人間性を豊かにする面からも、むしろお酒は積極的に楽しんでいく事が大切だと思っています。ただし、ここで重要になるのがお酒を飲む量です。自分の中でお酒を飲む理由があったとしても、飲み過ぎれば身体に毒になります。お酒を飲むときは、ほどほどに控えましょう。

日本酒で言えば、1回の量が1合〜2合程度、ビールや発泡酒なら500ml缶一本、チューハイなら350ml缶一本、ワインなら200ml、焼酎なら100mlが適当です。大体、コップ一杯から二杯程度の量ですね。これらの量を意識して、飲み過ぎないように調節してみてください。

加えて、お酒を飲むときはアルコールの代謝、解毒力を高めることが重要です。アルコールの解毒には肝臓の働きが関係しており、アルコール脱水素酵素など酵素が十分に分泌されていることが必要になります。この酵素は栄養で作られている事から、お酒を飲むときはアルコールの解毒を助けてくれる栄養も同時に摂るようにしましょう。アルコールの解毒を助けてくれる栄養素としては、次のような物があります。

アルコールの解毒を助けてくれる栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ナイアシン
  • グルタチオン
  • 亜鉛
アルコールの解毒にはビタミンB群とナイアシンが欠かせない。

これらの栄養素は、アルコールを解毒するための酵素の材料や、アルコールの解毒を助けてくれます。特にグルタチオンはアルコールを分解する際に発生する毒素のアセトアルデヒドを包んで体外に排泄する作用があります。ナイアシンは、アルコールを分解する酵素の働きに必要です。

ビタミンBは、8種類のビタミンBの仲間(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)を総称してビタミンB群と言います。これらはお互いに助け合って働くことから、ビタミンBを摂る際は必ずB群として摂取しましょう。これらの栄養素を、お酒を飲む前と後に補給すると効果的です。

もし、お酒を飲む量を減らせない、止められない場合は、アルコール代謝力の低下によってアルコールの依存度が高まっている可能性があります。アルコールの代謝力が低下すると、その分体内でのアルコール濃度が高く長時間維持される事になります。この状態では脳の機能や神経系に悪影響を及ぼし、アルコールへの適応、依存が生じる可能性があります。

もし、お酒を飲む量を減らせない場合は、先ほど上げた栄養をしっかり摂取してアルコールの代謝力を上げてみてください。アルコールの代謝力を高めていけば、脳や神経系への影響も減り、お酒を飲む量を減らしていける可能性があります。低血糖症やアルコール性脂肪肝改善のためにも、まずはお酒の量を減らせるようになる事からはじめてみましょう。

ナンナン

なるほど、お酒も飲みすぎなければ大丈夫なんだね。飲んだらしっかり栄養補給か・・・、これなら出来そうな気がするよ❗

はる かおる

うん、いくら飲酒が脂肪肝の原因になると言っても、お酒をすべて断つ必要は無いよ。肝臓にちゃんと栄養を与えてあげれば、アルコールもきちんと解毒が出来るからね。むしろ無理にお酒を断つことはストレスに繋がってしまう。そんな事をするよりも肝臓を元気にする方がストレスが少ないんだ。

お酒を飲むときは必ず食事をとりいれる。バランスの良い食事をすることが低血糖症改善の鍵。

次に、飲酒による低血糖症の改善として行うべきは食事方法の改善です。
この記事の最初に、飲酒による低血糖症の原因として何も食べずにお酒を飲む事をあげました。これは、何も食べずにお酒を飲むことで肝臓がアルコールの解毒にかかりっきりになり、血糖値の調節が出来なくなってしまうためです。

肝臓は、血糖値を保つためにブドウ糖(グルコース)を貯えたり血液中に放出する働きをしています。お酒を飲むことで肝臓はアルコールの解毒を優先させ、血糖値のコントロールが出来なくなることから、お酒を飲むときは必ず食事をしてからお酒を飲んだり、おつまみを食べたりしながら楽しみましょう。

ただし、この時食べる食事は何でも良いわけではありません。血糖値を上げるためとはいえ、ラーメンやパスタ、うどんやパンなどの炭水化物や糖質が多い食事では、逆に血糖値の乱高下と低血糖を引き起こすリスクが高くなります。また、アルコールを解毒する酵素の材料にはタンパク質やビタミン、ミネラルが必要な事から、食事はバランス良く摂ることが大切です。ですので、食事内容のポイントは、和定食や地中海料理など野菜やタンパク質、炭水化物、ビタミンミネラルをバランス良く摂れるメニューを心がけるようにしましょう。

これら和食や地中海料理は、おかずの種類も多く、野菜も多く摂れるのでタンパク質やビタミン、ミネラルがバランス良く摂れます。また、適度な炭水化物の量を摂取出来るので、飲酒時の低血糖症の改善にはもってこいの食事内容です。お米の量も食べ過ぎなければ問題ありません。

それから、食べ方にもポイントがあります。血糖値を急激に上げないようにするために、まずは野菜サラダなど食物繊維から先に食べるようにして下さい。そして、次にお肉などの副菜、タンパク質を食べて、最後にお米などの主食を食べるようにしましょう。こうすることで糖の消化吸収が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

また、お酒を飲みながらおつまみを取り入れることも有効です。おつまみには比較的高タンパクでよく噛める物が多く、栄養価も高い傾向にあります。例えば、ナッツやスルメ、タコなどのおつまみです。これらは高タンパクに加え、アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類にはビタミンEや亜鉛などビタミンやミネラルを含む物があります。これらも取り入れて、飲酒時に不足しやすい栄養素を補っていきましょう。

アルコールの解毒に役立つ栄養素が豊富なおつまみの例

  • 枝豆
  • 野菜スティック(ニンジン、セロリ、ピーマン、キュウリなど)
  • ナッツ類(アーモンド、ウォールナッツ、カシューナッツなど)
  • 焼き鳥
  • 青魚の刺身や焼き魚(サバ、サンマ、イワシなど)
  • サラダ(野菜たっぷり、シンプルなドレッシング使用)
  • スルメ(干しイカ)
  • タコ(刺身や煮物、酢だこ)
  • エビの塩焼き
  • チーズ
  • 豆腐(冷奴、焼き豆腐、味噌漬けなど)

これらは、アルコールの解毒に役立つタンパク質やビタミン、ミネラルを補給出来るおつまみの例です。例えば、枝豆は、ビタミンB1と食物繊維が豊富でアルコールの分解を助ける効果があります。カシューナッツやアーモンドなどのナッツ類はビタミンB群や亜鉛ミネラルが豊富で、アルコールの解毒に必要な栄養素が手軽に摂れます。

また、焼き鳥やスルメ、タコは、高タンパクでよく噛むことができ、よく噛むことでインスリンの分泌を促すことが出来ます。チーズも割と優秀で、高タンパクでありながらビタミンB群やカルシウムも豊富です。豆腐もタンパク質豊富ですので、夏場は冷や奴にして食べるのもいいですね。

お酒を飲むときはこれらのおつまみも取り入れることで、アルコールの解毒を促したり低血糖を防いだりする事が出来ます。お酒を飲むときは、是非これらのおつまみも取り入れてみましょう。

ナンナン

お酒を飲むときはちゃんと食べてから飲む方が体に良いんだね。

はる かおる

そうだよ。何も食べずにお酒を飲むとかなり肝臓に負担がかかってしまうんだ。最近ではおつまみなんかもスーパーで手軽に買えるから、これらのおつまみもストックしておくと良いね。

アルコール性脂肪肝対策、炎症対策、抗酸化栄養を補給する

次に対策したいのが、飲酒によって起こりやすいアルコール性脂肪肝の改善です。この記事の途中では、低血糖症になる原因として肥満やアルコール性脂肪肝が関係している事を解説しました。

肝臓は、体内のエネルギーや酵素などの製造工場です。私達が食べたタンパク質や脂質、糖質などの食べ物は消化吸収され、すべて肝臓に運ばれてから利用されています。この肝臓がアルコールによって機能が低下していたり、代謝量が落ちて脂肪がベッタリ付いた状態だったりしていると、食事から摂取した栄養素が肝臓でうまく利用出来なくなってしまいます。

また、肝臓の機能が低下している場合は更にアルコールの解毒力が低下するので、低血糖症も酷くなりやすいです。この肝臓機能を改善して低血糖症を改善させるためにも、肝臓を元気にする栄養や炎症対策となる栄養素も同時に摂取していきましょう。

アルコール性脂肪肝の対策をする際は、まず現在の肝臓の機能がどうなっているかを血液検査で確認してみて下さい。肝臓の状態は、ASTとALT、γ-GPTの数値でおおよそ分かります。

ASTやALT、γ-GPTが20を超えていた場合は、肝臓に炎症が発生して機能が低下しています。また、ASTよりもALTの方が数値が高い場合は、アルコール性脂肪肝や脂肪肝が疑われます。この場合は、タンパク質とビタミンB群を中心とした栄養を積極的に補給するようにしましょう。

血液検査結果による肝臓の関連項目。数値によって肝臓の大まかな状態が把握できる

もし、ASTよりもALTの方が高かった場合や、γ-GPTが高い場合「アルコール性脂肪肝」が疑われますので、血液検査以外にも腹部エコーなどの検査を受けて、脂肪肝の状態を目視で確認して貰うようにして下さい。

これは、血液検査だけでは肝臓にどの程度炎症が発生しているかや、繊維化しているかなどの状態が分からないためです。必要に応じて、医療機関を受診しましょう。

もし、血液検査の結果などで肝機能が低下していることが明らかな場合は、肝機能を正常に戻すことが最優先です。肝機能が低下している主な原因は「栄養欠損」ですので、栄養補給が欠かせません。具体的な栄養素としては以下のようなものがあります。

  • タンパク質、BCAA
  • ビタミンA
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ナイアシンまたはイノシトール
  • ウコン
  • シリマリン
  • グルタチオン

肝臓自体もタンパク質で出来ていますので、肝臓を修復するためにはタンパク質の補給は欠かせません。また、タンパク質を利用するための補酵素であるビタミンB群も重要です。

脂肪肝は炎症の一種になりますので、炎症対策としてEPAやビタミンE、ビタミンC、αリポ酸など抗酸化アプローチも有効になります。肝機能を高めてくれるウコンやマリアアザミなどの栄養素も必要に応じて摂取すると良いですね。

はる かおる

肝臓を元気にすることがすべての病気改善に繋がるよ。
肝臓の状態は必ずチェックしてね❗

アルコール性脂肪肝の改善と糖代謝の改善には運動も必須

加えて、アルコール性脂肪肝の改善には運動も欠かせません。これは、脂肪として肝臓に一度蓄積してしまったものは、運動によるエネルギー消費によって消費していくことが効果的だからです。

また、糖代謝を改善させるためにも運動は必須です。運動することによって糖が肝臓や筋肉に取り込まれ、エネルギーとして代謝されます。この糖を肝臓や筋肉に取り込む際に使われる出入り口がGLUT4(グルートフォー)と呼ばれるもの。このGLUT4が多いほど肝臓や筋肉への糖の取り込み量が増えていきます。糖の取り込み量が増えると、その分だけ糖が筋肉や肝臓で消費され、肝臓に脂肪として貯えられる量が減ります。

このGLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、運動を続けることが脂肪肝の改善や、インスリン抵抗性と低血糖症の改善へ繋がります。糖代謝をを改善させるためにも、是非日頃からの運動を習慣にしてみて下さい。

食後の高血糖は、筋肉と肝臓への取り込み量と消費量を増やすことで改善出来る

この運動は、軽いウォーキングやストレッチでも十分です。毎日の習慣や食後の習慣として、最低でも30分は歩いたり運動したりして下さい。逆に、有酸素運動など激しい筋トレやマラソンは身体に負担をかけ過ぎてしまい、糖代謝が追いつかなくて低血糖になってしまうリスクがあります。

このような運動はもっと低血糖症が改善してきてから行う方が効果的ですので、まずは軽い運動からスタートしていきましょう。

このような食事改善と運動に加えて、更に筋肉量をアップさせたり糖の代謝をアップさせたりする栄養補給が重要です。特に、運動前後にしっかりタンパク質やビタミン、ミネラルを補給しないと、運動によって筋肉が壊されたまま修復できなくなってしまいます。

運動後に筋肉をしっかり付けるためにも、下記のような栄養補給を心がけてみて下さい。

筋肉量を増やし、糖代謝を上げるために必要な栄養素

  • タンパク質
  • BCAA(運動前後)
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • 亜鉛
  • αリポ酸

このような栄養補給に加えて、よく噛むことと、回数頻回食を実践することも有効です。必要に応じて組み合わせて行ってみましょう。

はる かおる

運動前後に適切な栄養補給をしないと逆効果になるよ❗
食事内容の改善とあわせてやってみてね。

インスリン構成の材料となる栄養を摂取し、インスリン抵抗性を改善させる

アルコール性脂肪肝やSIBO、リーキーガット症候群などを抱えている方は、炎症によってインスリンの働きが低下してしまっています。低血糖症を改善させるためには、上記運動に加えてインスリンの働きを助ける栄養素の摂取も重要です。食事改善や運動に加えて、インスリンの構成成分となる栄養も同時に補給していきましょう。

インスリンの働きを助ける栄養素としては、

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • カルシウム・マグネシウム
  • クロム
  • 亜鉛


などがあります。

インスリンはタンパク質を元に、ビタミンやミネラルを使って合成されています。これら材料となるタンパク質やビタミンB、亜鉛などをしっかり補給することで、インスリンの働きを助けます。

また、マグネシウムやクロムなどの摂取によってインスリン抵抗性の改善が見られる研究結果もある事から、併せて摂ることも効果的でしょう。他にも、マンガン・リン・カリウム 等の栄養素も糖代謝を助けてくれる栄養素です。
バランスの良い食事を心がけ、足りない分はサプリメントで補うようにしてみて下さい。

はる かおる

必要な栄養素がカブって解説されるけどその栄養素はそれだけ重要だってこと。特にタンパク質は身体を構成する唯一の栄養素だから、積極的に摂るようにしてね。

飲酒によって低下した消化能力と腸内環境を改善する。

この記事でも解説したように、飲酒によるアルコールの摂取は胃の粘膜にダメージを与え、消化能力を低下させます。この消化能力が低下すると悪玉菌が増殖する原因となり、小腸や大腸にダメージを与えることから、食事をする際や飲酒をする際は、必ず消化サポートも同時に行うようにしましょう。

胃の粘膜の状態やタンパク質の消化能力は、血液検査で概ね知ることができます。具体的には、次のような検査項目です。

タンパク質の消化吸収能力は胃のチェックで分かる

胃の状態を知る血液検査項目としては、胃酸の分泌量を表すPG1や、粘膜の炎症程度を表すPG2、胃粘膜萎縮の程度を見るPG1/2比などがあります。このPG1の数値が低い場合は胃酸の分泌量が少なく、タンパク質をしっかり消化吸収することが出来ません。タンパク質がしっかり消化できていない状態だと、未消化のタンパク質が腸に流れて悪玉菌が増える原因となります。

また、ピロリ菌に感染していたり、胃粘膜の炎症や萎縮があるとタンパク質が上手く吸収できなくなってしまいます。これらの検査を参考に、タンパク質がしっかり消化吸収出来ているかや、胃の健康状態も同時に確認してみましょう。

もし胃の状態や腸の状態に問題がある場合は、胃や腸の粘膜を強化したり、消化を助けるための栄養素が必要になります。必要に応じて、次のような栄養素も組み合わせてみて下さい。これらの栄養素は、SIBOやリーキーガット症候群などによってダメージを受けた腸粘膜を修復するためにも必要です。

アルコールによってダメージを受けた胃粘膜、消化能力を強化する栄養素

  • 消化酵素
  • タンパク質
  • グルタミン
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンA
  • 亜鉛
  • ヘム鉄
  • レシチン
  • カルシウム・マグネシウム

これら消化サポートや胃粘膜の強化に加えて、腸内環境を整えるアプローチも必要になります。飲酒によって消化能力が長期間低下していた場合は、SIBO(小腸内細菌増殖症)やリーキーガット症候群(腸漏れ症候群)などの発生につながり、これらは総じて腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の乱れによって引き起こされます。
腸内には善玉菌と悪玉菌が住んでいますが、悪玉菌よりも善玉菌の方が多い状態が理想です。これが逆転して善玉菌よりも悪玉菌の量が多くなってしまうと、お腹の調子が崩れたり太りやすくなったりと様々な不調へと繋がってしまいます。

腸内細菌叢は日和見菌を味方に付けられるかどうかが鍵

この腸内細菌叢には、悪玉菌と善玉菌以外にも日和見菌(ひよりみきん)といって、悪玉菌にも善玉菌にもどちらにもなれる菌が多数を占めています。この日和見菌は、悪玉菌が優勢であれば悪玉菌と同じような活動をし、善玉菌が優勢であれば善玉菌と同じような活動をするという特徴があります。

つまり、腸内の健康状態を保つためには、善玉菌を多くして日和見菌を味方に付けることが最大のポイントです。この善玉菌や悪玉菌、日和見菌のバランスは善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌が1割という比率が最もバランスが良いと言われていて、その優劣は日々、私達が食べた物や体調によって影響を受けています。特にアルコールは悪玉菌の増殖を招きやすく、腸内細菌のバランスを乱す原因です。日頃から飲酒をしていた方は腸内細菌のバランスも乱れていますので、積極的に善玉菌を増やすよう努めましょう。

この腸内細菌のバランスを整え、善玉菌を増やすために最も重要な栄養素が、「食物繊維」です。
食物繊維とは、胃で消化されずに腸まで届く繊維質や難消化性の糖質のこと。大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」があります。これらは主にワカメや昆布等の海藻類や、お米、トウモロコシなどの穀物類、フルーツや野菜などに多く含まれています。

これら食物繊維を多く含む食べ物を食べるとお腹の中で善玉菌の餌となり、餌を食べた善玉菌は腸に有益な働きを持つ「短鎖脂肪酸」を生成してくれます。短鎖脂肪酸には「酢酸」や「プロピオン酸」「酪酸」などがあり、それぞれ腸内や身体にとって有益な働きをしてくれます。この短鎖脂肪酸の量と質が、腸内の健康状態を決定づけてくれるのです。

腸内環境の改善は、短鎖脂肪酸の量とバランスを意識する

ですので、腸内環境の改善を行う際はこの短鎖脂肪酸を意識するようにしましょう。
最近流行りの腸活では、乳酸菌やビフィズス菌などの菌(プロバイオティクス)を摂ることばかりが言われていますよね。しかし、いくらいい菌を摂ったとしても、いい菌の餌になる食物繊維(プレバイオティクス)が無ければ短鎖脂肪酸は作られません。

重要なのは、いい菌であるプロバイオティクスと、そのエサとなるプレバイオティクスを両方同時に摂ること。
こうして善玉菌を増やしていけば、短鎖脂肪酸の生成量も増えていきます。短鎖脂肪酸には腸内を酸性に傾けてくれる作用もあり、酸性に弱い有害菌やカンジダ菌の増殖抑制効果や有害物質の発生抑制、体内への侵入抑制効果もあります。

このような事から、腸内環境を改善させるためにも有用菌とそのエサとなる食物繊維を同時に摂っていきましょう。
食物繊維が多く含まれる食べ物としては、以下のような物があります。

食物繊維が多く含まれる食べ物

  • こんにゃく
  • きくらげ
  • 寒天
  • 切り干し大根
  • 椎茸、干し椎茸
  • ドライプルーン、ドライいちじく
  • いりごま
  • おから
  • グリーンピース
  • 納豆
  • ゴボウ
  • アボカド
  • ブロッコリー
  • 枝豆
  • オクラ

このリスト以外にもワカメや昆布、キャベツなど食物繊維が多く含まれる食べ物は沢山ありますので、献立を色々と工夫してみて下さい。
また、食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維などをバランス良く十分な量を摂取する事が大切です。食べ物からではこれら食物繊維をバランス良く十分な量を食べることが難しい上、有用菌が生きたまま補給することも難しいので、サプリメントからも補給していくことがオススメです。短鎖脂肪酸を増やすアプローチとしては、次のようなプロバイオティクス、プレバイオティクスが配合されたサプリメントを選びましょう。

短鎖脂肪酸の量とバランスを整える栄養素

  • 乳酸菌(有胞子性乳酸菌)
  • ビフィズス菌
  • 酪酸菌
  • 納豆菌
  • 食物繊維(水溶性、不溶性両方)

ただし、乳酸菌などのサプリメントは様々な会社から販売されていますが、その殆どは生きて腸まで届きません。乳酸菌やビフィズス菌などは胃酸に弱く、その殆どが胃酸や胆汁酸の影響で死滅してしまいます。このようなサプリメントを飲み続けても、腸内環境の改善には繋がりません。これはヨーグルトや発酵食品などから摂れる乳酸菌なども一緒です。

ですので、乳酸菌など有用菌は、生きて腸まで届く「有胞子性乳酸菌」が配合されている物がオススメです。有胞子性乳酸菌とは、硬い殻に覆われている乳酸菌のこと。硬い殻に覆われていることで胃酸や胆汁酸から身を守り、生きて腸まで届きます。

また、プロバイオティクスとして最も摂りたいのが「酪酸菌」です。酪酸菌は「酪酸」という短鎖脂肪酸を作ってくれる菌で、腸内の健康状態に非常に重要な役割を担っています。これらをバランス良く含めたプロバイオティクス製品と、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれたプレバイオティクス製品を同時に摂るようにしてみて下さい。これら腸内環境改善のために専用に設計された製品は、オーソモレキュラー療法でも用いられています。ご興味ある方は、最後にご説明するオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

もし、ご自身の腸内でどれだけ短鎖脂肪酸が作られているか知りたい場合は、便中短鎖脂肪酸検査を受けることで分かります。

腸内環境が健康かどうかは、便中短鎖脂肪酸検査で分かる

便中短鎖脂肪酸検査では、短鎖脂肪酸のバランスや量を測定することができ、腸内環境の健康度や食生活が適正かどうかが分かります。
お腹の調子があまり良くない方や、前述したリーキーガット症候群の傾向がある方など、腸内の環境を良くしたい方は是非一度受けてみて下さい。便中短鎖脂肪酸検査と胃の状態を知る検査は、後述するオーソモレキュラー療法にて受ける事が出来ます。

はる かおる

飲酒は胃粘膜にダメージを与えるから、消化サポートと粘膜ケアが重要だよ❗単に食べ物を食べるだけではきちんと消化できずに逆効果になるから、栄養補給と消化サポート、腸ケアはセットで行ってね❗

口腔内をケアし、糖尿病と低血糖症の悪化を防ぐ

低血糖症の改善には、食事内容の改善や運動、消化サポートや腸ケアに加えて口腔内のケアも重要です。アルコールによって胃や腸の機能が低下していた場合は体全体が栄養不足になっている事が多く、栄養不足の状態では歯肉の状態も悪くなります。特に歯肉はコラーゲンから出来ており、コラーゲンを作る材料にはタンパク質やビタミン、鉄などのミネラルが欠かせません。

飲酒によってタンパク質不足やビタミン不足、貧血などによるミネラル不足が引き起こされることから、口腔内の環境も悪くなりがちです。歯肉の健康状態が悪くなると歯周病菌などが住みつきやすくなることから、歯周病も進行しやすくなります。歯周病が進行すると、歯周病菌が出す毒素によってインスリン抵抗性が悪化したり、歯周病による炎症によって更にインスリン抵抗性が悪化したりする原因になります。

また、口腔内の環境が悪い場合は口腔内に住みつく悪玉菌を唾液と一緒に絶えず飲み込むことになる事から、腸内環境が悪化してしまう原因です。この事からも、先ほどの腸ケアや消化サポートに加え、口腔ケアもしっかり行うようにして下さい。

口腔内が悪化する最も多い原因としては歯垢の磨き残しです。磨き残しをなくすためにも、電動歯ブラシやウォーターピックなどを使って歯と歯の隙間もしっかりケアしていきましょう。
ここでは、オススメの口腔ケアグッズをいくつかご紹介します。

電動歯ブラシ

磨き残しが多く残る原因は、やはり手磨きによるもの。手磨きだと適切な磨き方が求められる上に、歯垢をしっかり落としきるまで磨くには時間がかかります。

このような問題を解決するためにも、是非電動歯ブラシを取り入れてみて下さい。電動歯ブラシであれば、短時間で確実に歯垢を落とすことが出来ます。電動歯ブラシには音波式など振動するタイプのものとブラシが回転する回転式がありますが、歯垢をしっかり落とすなら回転式ブラシがオススメ。歯垢は細菌が出すネバネバ物質に覆われており、これを物理的にそぎ落とせる回転式ブラシが最も効果的です。

この回転式の電動歯ブラシにもピンからキリまでありますが、あまり高いものを選ぶ必要はありません。機能面と価格面のバランスが良い真ん中あたりのモデルを選ぶと良いでしょう。オススメは、ブラウンのOral-Bシリーズです。僕自身も、ブラウンのOral-B io9シリーズを愛用しています。予算や形、お好きな色で選んでみて下さい。

プロポリス、マヌカハニー入り歯磨き粉

次に、歯磨き粉です。これは特に何でも大丈夫ですが、歯周病対策用に作られたある程度の値段がしている物を選びましょう。研磨剤が配合されている物は歯と歯肉を傷つけてしまう可能性がありますので、選ばないようにして下さい。
オススメは、プロポリス、マヌカハニー配合の歯磨き粉です。プロポリスやマヌカハニーには天然の殺菌成分が含まれており、歯周病菌の殺菌にも有効です。これら天然の殺菌成分は口腔内の有用菌に対してダメージを与えすぎないので、口腔内の細菌バランスを保つ上でもオススメです。
逆に、マウスウォッシュや殺菌成分が強すぎる歯磨き粉では口腔内の有用菌も殺菌してしまいますので注意しましょう。

ウォーターピック

電動歯ブラシは短時間で歯垢を落としてくれるものの、やはり歯と歯の隙間の汚れまではしっかり落としきることが出来ません。この歯と歯の隙間をしっかり落とすのに有効なのが、「ウォーターピック」や「ジェットウォッシャー」と呼ばれているものです。

仕組みとしては、高圧の水流を歯や歯肉に当てて汚れを落とすというもの。高圧洗浄機で有名な「ケルヒャー」の口腔版といった感じですね。文字で説明するよりも、動画の方がわかりやすいかと思います。

ジェットウォッシャー

このように、高圧の水流を当てて歯と歯の隙間にある汚れを効率よく落とします。電動歯ブラシだけでは落とせない汚れもしっかり落とせますので、歯ブラシ後にウォーターピックやジェットウォッシャーを併用するようにしましょう。ジェットウォッシャーは、僕自身も毎日愛用しています。今では、人生の中でも買ってよかった物ナンバーワンに入るほど気に入っていますね。

歯周病の状態によっては、これらジェットウォッシャーの使い始めに出血するかも知れませんが、使っている内にだんだんと出血量が減ってきます。およそ3ヶ月程度使用すれば殆ど出血も収まり、歯周病の状態も改善してきますので、始めは出血したり痛みがあっても根気強く続けるようにしてみて下さい。

ウォーターピックやジェットウォッシャーには類似品が安く売られていますが、水圧など機能面から見てもちゃんとしたメーカー品を購入するのがオススメです。メーカー品の値段は高めですが、使いやすさや機能面、耐久性や汚れの落ちやすさなどしっかり考えられています。これで今後、歯の治療費や病気の治療費が減ると考えると、かなり安い投資かと思います。一度買うと家族で使える上にずっと使える物ですので、是非勇気を持って購入してみて下さい。

【25%オフ】正規品 2年保証 歯垢除去率99.9%!世界No.1ブランドでオーラルケア(YA-MAN)ウォーターピック ウルトラプロフェッショナル

口腔内環境改善サプリメント

歯の汚れをしっかり落としたら、次に口腔内の細菌バランスを整えていきましょう。
細菌バランスと言えば腸内環境を思い浮かべるかも知れませんが、実は口腔内にも悪玉菌と善玉菌が生息しています。
悪玉菌の代表は虫歯菌や歯周病菌などで、これらが善玉菌よりも多くなってしまうと口の中で悪さをし始めるのです。

ですので、歯周病などの悪玉菌が増えないように、善玉菌を増やしていく事が重要になってきます。
口腔内の善玉菌としては、「ストレプトコッカス・オラリス菌」や「ストレプトコッカス・ウベリス菌」「ストレプトコッカス・ラッタス菌」などです。これらの有用菌は虫歯菌や歯周病菌のすみかを奪い、過酸化水素を微量に産生することで歯周病菌の殺菌作用をもたらします。

歯磨き後は口腔内の有用菌のバランスを整える事が大切

特にストレプトコッカス・オラリス菌とストレプトコッカス・ウベリス菌が歯周病対策に有効な菌で、これら菌が歯周病菌の住処を奪って過酸化水素を産生することで歯周病菌の増殖を防ぎます。ストレプトコッカス・ラッタス菌は虫歯の原因となるミュータンス菌と住処と栄養源を奪い合うことで、ミュータンス菌に対して増殖抑制作用を示します。

歯ブラシとウォーターピックなどでしっかり汚れを落とした後は、これらの菌が含まれている口腔環境改善サプリメントも利用して、口腔内をケアしてみて下さい。実際に口腔環境改善タブレットを4週間使用した方は、虫歯の原因菌や歯周病の原因菌が減少した結果が出ています。

口腔内環境改善タブレットを4週間使用後、悪玉菌が有意に減少した

この口腔環境改善タブレットの具体的な製品については、オーソモレキュラー療法の一環として用いられています。
ご興味ある方は、最後にご説明するオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

それから、歯周病菌の出す毒素や炎症によって弱ってしまった歯肉を修復するためにも、歯肉の材料となる栄養補給も同時に行いましょう。歯肉がダメージを受けたままや出血している状態では、悪玉菌が増殖しやすくなります。
歯肉は「コラーゲン」繊維で出来ており、コラーゲンはタンパク質やビタミンC、鉄などを材料に作られます。有用菌の補給に加えて、これら栄養も補給して歯肉の修復を行うようにして下さい。

歯肉を強くする栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • コエンザイムQ10
はる かおる

低血糖症対策において歯のケアは特に重要だよ❗ここにはできる限りお金と手間をかけるようにしてね。

副腎機能を回復させる分子栄養学的アプローチ

飲酒はコルチゾールの分泌量を増加させることから、副腎疲労にもなりやすくなります。また、花粉症などアレルギー症状が酷い場合や、低血糖症が酷い方、ストレスや自律神経の乱れを抱えている方は副腎が疲労している可能性も高いです。副腎が疲労していると、「アドレナリン」や「コルチゾール」など血糖を上げる作用のあるホルモンが分泌出来なくなって低血糖症を引き起こします。この場合も、副腎を元気にするアプローチを行っていきましょう。

副腎疲労を回復する基本的なアプローチとしては、上述した適切な飲酒量に抑えることに加え、「ストレスをかけないこと」です。ストレスと言えば精神的なストレスが思い浮かびますが、これ以外にも身体は様々なストレスを受けています。例えば、騒音だったり異臭だったり、気温の変化や湿度の変化、睡眠不足や偏った食生活、運動不足や喫煙、ウィルス感染や病原菌などの感染症もストレスと関係しています。

免疫力の低下とストレスには関連がある。特に現代はストレスとなる環境的、生活習慣的要因が大きい

これらストレスは免疫を低下させる要因でもあり、その他にもストレスが高まると下図のような身体機能にダメージを与えることが分かっています。特にストレスがかかった際には甲状腺刺激ホルモンの分泌異常が発生し、前述した甲状腺機能にもダメージを与えますつまり、副腎疲労の方は甲状腺機能にも異常が発生しやすくなってしまうのです。

ストレスは身体の様々な機能に深刻なダメージを与える

また、過剰なストレスや副腎疲労の状態では交感神経が常に有意な状態となり、胃腸の機能が低下します。胃腸の機能が低下するとタンパク質などが上手く消化できなくなり、未消化のタンパク質が腸に流れて腸内環境を荒らします。このことから、副腎疲労はSIBOやリーキーガット症候群とも関係が深い病気です。もし甲状腺機能に異常があったり、リーキーガット症候群などの症状が感じられたりする場合は、副腎も疲れている可能性があります。心当たりがある方は、副腎機能を検査する「DHEA-S」の検査を受けてみて下さい。

「DHEA」とは、コルチゾールなどストレスホルモンの材料となるホルモンのことです。これが低い場合は副腎がコルチゾールなどを分泌しすぎて疲れている可能性があります。「DHEA-S」の検査は後述するオーソモレキュラー療法の血液検査で受けられますので、ご希望の方はご相談下さい。

次に、副腎機能を回復する栄養素についてです。ストレスがかかると様々な栄養素を消耗することから、ストレスに対抗するためには栄養素の摂取が重要になります。ストレスを感じている方や副腎疲労がある方は、次の栄養素の摂取も積極的に行ってみて下さい。

ストレスはビタミンとミネラルをはじめ大量の栄養を消耗する。ストレスに負けないためには、消費量よりも多くの栄養を摂取する

ストレスに対抗するための分子栄養学的アプローチ

  • 糖質
  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ヘム鉄
  • カルシウム・マグネシウム

これら栄養補給に加え、生活習慣の乱れや睡眠不足もストレスを増加させたり栄養を消耗する原因になります。
加えて暴飲暴食や飲酒、喫煙、コーヒーや紅茶などのカフェインも副腎が疲れている方にとっては悪影響です。これらの生活習慣も見直してみて下さい。

特に、ストレスに対抗するためにはタンパク質摂取が重要になります。これは、ストレスがかかったり低血糖になることによってコルチゾールやアドレナリンなどの異化ホルモンが分泌され、タンパク質の消耗量が多くなってしまうためです。

この仕組みは、糖新生と言ってタンパク質からブドウ糖に作り替える機能が働くことが関係しています。アドレナリンやコルチゾール、副腎皮質ホルモンなどが分泌されると、筋肉のタンパク質が壊されてアミノ酸に分解されます。このアミノ酸はブドウ糖に作り替えることが出来るので、身体は筋肉を壊してブドウ糖を作り、血糖値を調節しようとします。この結果、低血糖に陥ると筋肉がどんどん壊されてしまうのです。

ストレスを受けるとタンパク質の消費量が増えてしまう。この時にタンパク質を積極的に摂ることが重要

このような悪循環を防ぐためにも、タンパク質はしっかり補給しましょう。タンパク質は肉や魚などからも摂取する事が出来ますが、飲酒をしている方や低血糖症の方、副腎疲労を抱えている方等は胃腸機能が低下しており、肉や魚などを食べてもしっかり消化吸収することが出来ません。これら肉や魚などきちんと消化できなかったものは悪玉菌のエサになり、腸内環境を荒らす原因になってしまいます。

ですので、そのような消化に負担がかかる肉や魚などのタンパク質を摂るよりも、既に消化吸収しやすくした「プロテイン」や「アミノ酸」からタンパク質を補給するのがオススメです。プロテインの中にはタンパク質を分解した「ペプタイド状」のプロテインも存在し、このようなプロテインは通常のプロテインよりも消化吸収しやすくなっています。

また、このような消化吸収しやすいプロテインでも消化できないほど消化吸収能が弱ってしまっている場合は、消化酵素を足したりアミノ酸やグルタミンなどで粘膜を修復したりするアプローチも有効です。

このあたりのアプローチは人によって異なりますので、是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法では、一人一人の消化能力や状態に合わせてプロテインや消化酵素、アミノ酸などをアドバイスしています。加えて、オーソモレキュラー療法で使われるこれら栄養素は、消化吸収能が低下している方など病態を抱えている方向けに特化した設計になっていますので、副腎疲労や低血糖症を抱える方にもオススメです。
市販のプロテインやサプリメントは「スポーツ用」に開発されたものであり、病態を抱えている方や消化吸収能に異常がある方向けには設計、開発されていません。これら市販のサプリを用いた場合は、上手く消化吸収出来ずに腸や肝臓にダメージを与え手しまうことがありますので注意して下さい。栄養素を補給する際は、必ず病態を抱えた方向けに設計された専用の製品で補給するようにしましょう。

最後に、副腎を元気にするための栄養素についてです。副腎から分泌されるホルモンや副腎自体はタンパク質から出来ていますので、タンパク質補給は欠かせません。また、タンパク質以外にも次のような栄養素も重要です。

副腎疲労、慢性疲労症候群からの回復には栄養補給が欠かせない

副腎を元気にする栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンE

特に副腎はビタミンCを大量に消費する臓器でもあり、ビタミンCはストレスホルモンの材料でもあります。
この事からビタミンCは「抗ストレスビタミン」とも呼ばれ、ストレス対策には欠かせません。副腎を元気にするためにもビタミンCをしっかり補給するようにしましょう。

ビタミンCは最強の抗ストレスビタミンと言われている

ビタミンCの補給量については個人差がありますが、およそ一日に3,000mg程度は最低でも摂りたいところです。
人によってはビタミンCの摂取によって下痢になってしまう場合があります。この場合は量の調節が必要です。
また、ビタミンCを補給する際は質の良いしっかりとした製品を選びましょう。エナジードリンクやお菓子にもビタミンCが添加されている物がありますが、これらはビタミンCの補給にはなりません。ビタミンCは熱や水分に弱く、ジュースやお菓子に添加されている物は活性を失って効力を失ってしまっているからです。

また、薬局などで売られている食品添加物用のビタミンCやサプリメントなども同様です。ビタミンCが体内で十分に効果を発揮するためには、ビタミンPが必要な事に加えて、製造段階や保管段階でビタミンCの活性が失われないよう厳重な製造管理体制が必要になります。安く販売されているビタミンCはこのような製造管理体制下で作られていませんので、十分な効果が発揮出来るかどうかは不明です。医薬品にもビタミンC製剤が売られていますが、こちらも「アスコルビン酸カルシウム」など通常のアスコルビン酸とは分子構造が異なっています。
ビタミンCと一言で言っても何でも良いわけではありませんので、しっかりと生体内で利用出来るよう設計、製造されたビタミンC製品を選んで下さい。

はる かおる

副腎機能回復にはストレスに対抗するために糖質とタンパク質とビタミンB,C,Eの補給が鍵を握っているよ❗ただ、市販のプロテインやサプリメントは消化吸収や生体内利用効率の考慮がされてない。これらを摂るとむしろ逆効果にもなるから気をつけてね❗

貧血の場合は必ず貧血改善も同時進行を!

日常的な飲酒を行っている方は胃腸機能の低下から鉄不足や貧血を引き起こしやすくなります。また、有経の若い女性の方は、生理による毎月の出血により、気をつけていても貧血になりがちです。貧血は、代謝機能低下や自律神経の乱れから上述した副腎疲労や肥満、脂肪肝に繋がり、低血糖症を発症する原因にもなります。
現在貧血と診断されていなくても貧血になっている「隠れ貧血」の場合もありますし、貧血で無くても日々生理などで鉄分は消費してしまいます。また、血流の悪化で気がつかないまま溶血性貧血が進行していることもありますので、貧血改善は必ず行っておきましょう。

貧血と診断された場合や治療と言えば、真っ先に「鉄剤」が思い浮かびますよね。「鉄欠乏性貧血」と言われているくらいですから、鉄を補給すれば貧血が改善出来る。そう思われています。
しかし、病院で処方される鉄剤を飲んでも、貧血を改善することは出来ません。むしろ、鉄剤を摂取する事により大量の活性酸素が発生し、胃や腸の粘膜にキズを付けてしまう可能性があるのです。

病院で処方される鉄剤は体内で活性酸素を発生させる原因となり、細胞や粘膜にダメージを受けてしまう

この原因は、病院で処方される鉄剤の多くが「無機の鉄そのもの」であるか、吸収効率が非常に悪い事が原因です。無機の鉄とは、タンパク質などと結合していない「鉄そのもの」の状態のもの。鉄は、酸素と結びつきやすく、錆びやすいことはご存じですよね。このサビが悪さをすることから、身体の中で使われる鉄は必ずタンパク質でコーティングされた状態になっています。

対して、この無機の鉄や鉄剤に含まれている鉄は、酸素とたくさん結合しています。この酸素と結合している鉄を大量に飲むことによって「活性酸素」を大量に発生させてしまうのです。活性酸素とは、酸素の一部が通常よりも活性化された状態になること。活性酸素の事を「フリーラジカル」とも呼びます。この活性酸素はその活性の高さから細胞を傷つけてしまい、むしろ胃粘膜や腸粘膜を傷つけ、消化吸収能の低下や、SIBO、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群(IBS)など炎症性の腸疾患や肝炎、非アルコール性脂肪肝などに進行してしまう可能性があるのです。この事から、病院で処方される鉄剤で貧血対策を行う事はオススメしません。

病院で処方される鉄剤の例としては、次のような物があります。

病院で処方される非ヘム鉄の例

  • フェロム (フマル酸第一鉄) 有機鉄
  • フェロミア (クエン酸第一鉄) 有機鉄
  • リオナ (クエン酸第二鉄) 有機鉄
  • インクレミンシロップ (溶性ピロリン酸第二鉄) 有機鉄(食品添加物としても使われる)
  • フェロ・グラデュメット(硫酸第一鉄)無機鉄 発色剤の一種。食品添加物としても使われる。
病院で処方される鉄剤は「非ヘム鉄」であり、吸収率が非常に悪い。

特に処方が多い鉄剤としては、「フェロム」や「フェロミア」などがあります。これらは1回の服用量が100mgとかなり多く、これだけ飲んだとしてもたった5mg程度しか吸収することが出来ません。かなり吸収率が低い割には身体へのダメージが大きく、人によっては胃がムカムカしたり便秘になったりと副作用が出る場合があります。

対して、このような胃腸障害や活性酸素を引き起こしにくく、吸収率が高い鉄が「ヘム鉄」です。鉄には大きく分けて、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。ヘム鉄とは肉や魚などに含まれている動物性の有機鉄のことで、ポルフィリン環というタンパク質の一種と結合しているのが特徴です。それ以外の鉄は、クエン酸などと結合させた有機鉄と、硫酸第一鉄のような有機酸と結合していない無機鉄があります。

鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と野菜や果物などに含まれる「非ヘム鉄」がある

鉄剤の中には「第一鉄」や「第二鉄」と書かれている物がありますが、これは鉄イオンの状態を表しています。
第一鉄がFe2+、第二鉄がFe3+です。何だか難しい話しですが、簡単に言えば鉄が元気をちょっと失った状態(電子2個分)が第一鉄であり、二価鉄やFe2+と表されます。第二鉄は鉄が元気をもっと失った状態(電子3個分)で、三価の鉄やFe3+と表されます。二価や三価は、失った元気(電子)の数だと思ってください。この二価の鉄が酸素と反応すると、酸素が二価の鉄から元気(電子)を1つ奪っていきます。すると、二価の鉄は元気(電子)をさらに1つ失って、三価の鉄になります。逆に、三価の鉄がビタミンCや水素などによって元気(電子)1つ受け取ると、ちょっと元気になって二価の鉄になります。これを酸化還元反応と言います。

つまり、酸化とは電子を失うこと、奪われることであり、還元とは電子を得ること、奪うことです。二価鉄と三価の鉄は、この違いから二価の鉄は水に溶けやすく、腸から吸収されやすい性質を持ちます。逆に、三価の鉄は水に溶けにくく、腸から吸収しにくい性質があります。これは、鉄と水を友達のように考えると分かりやすいかと思います。例えば、二価の鉄は、ちょっとだけ元気(電子)を失った鉄の友達。三価の鉄は、もう少し元気(電子)を失った鉄の友達です。水は二価の鉄君と仲良くなるのが上手ですが、三価の鉄君とはあまり仲良く出来ません。これは、二価の鉄君はちょっとだけ元気(電子)を失っているから、水と元気(電子)を分け合いやすいことが関係しています。

逆に三価の鉄君はもっと元気(電子)を失っているから、水と元気(電子)を分け合うのが難しくなります。この理由から、三価の鉄君は水とあまり仲良くなれず、水に溶けにくくなります。要するに、二価の鉄君は水と元気(電子)を分け合いやすくて、水に溶けやすい。逆に、三価の鉄君は水と元気(電子)を分け合うのが難しくて、水に溶けにくい。この違いが、二価の鉄が水に溶けやすく、三価の鉄が水に溶けにくい理由です。先ほどの鉄剤の一覧を見ると、第二鉄であるFe3+が混ざっていることが分かりますよね。この第二鉄であるFe3+は、水に溶けにくいためにそのままの状態では小腸粘膜から吸収することが出来ません。一度Fe2+の状態に還元して初めて吸収することが出来ます。この鉄の吸収メカニズムを表したものが次の図です。

鉄剤やホウレン草などに含まれるFe3+は、一度Fe2+に変化させないと吸収することが出来ない

Fe3+の非ヘム鉄では、ビタミンCや小腸粘膜から分泌される鉄還元酵素によってFe2+に還元されて吸収されます。
ただ、この時にすべてのFe3+をFe2+に還元して吸収することは出来ません。吸収出来なかった鉄分が腸内に流れると、それが腸内細菌のエサとなり、この腸内細菌が活性酸素を発生させる原因になります。また、このFe3+は他の物質を酸化させる力が強く、Fe3+の鉄を大量に飲むこと自体も活性酸素を大量に発生させてしまうことに繋がります。この時に発生した活性酸素が細胞を傷つけ、胃や腸粘膜を傷つけてしまうのです。

また、これは第一鉄であるFe2+も同じです。Fe2+の一部は一度胃酸によってFe3+の状態に変換し、すい臓から分泌されるすい液中の酵素によって小腸で再び二価の状態に戻されます。この過程は、鉄が小腸で吸収されるのを助けるために必要です。また、ほとんどの二価鉄は変換する必要が無く吸収されるため、その分吸収効率は三価鉄であるFe3+に比べて高くなっています。しかし、それでも吸収率としてはごく僅か。大半は吸収出来ずに大腸へ流れ、活性酸素の発生原因やカンジダ菌のエサになってしまいます。

このように、これら鉄剤や非ヘム鉄は吸収効率が非常に悪く、活性酸素を発生させる大きな原因です。特に非ヘム鉄は吸収率が悪く、ヘム鉄の吸収効率が10%〜30%程度あるのに対し非ヘム鉄は僅か5%以下しかありません
このことから、鉄分を補給する際は「ヘム鉄」から補給するのがオススメです。ヘム鉄とは、肉や魚に多く含まれる鉄分のこと。ヘム鉄はポルフィリン環と呼ばれるタンパク質のカプセルのような物に包まれており、上述した非ヘム鉄に比べて活性酸素を殆ど発生させません。また、非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと結合し、吸収率が落ちてしまいますが、ヘム鉄であればこれらの影響を受けずに吸収することが出来ます加えて、ヘム鉄は吸収率が高いことから大腸へと流れる量が少なく、しかもヘム鉄自体が腸内細菌のエサになりにくいという特徴があります。逆に非ヘム鉄を大量に摂取してしまうと、吸収出来なかった鉄が大腸へ大量に流れることから、更なる腸内環境の悪化を招く原因となりかねません。

ヘム鉄は専用の吸収経路があり、タンニンなどの吸収阻害要因からの影響も受けにくい。

加えて、ヘム鉄には「ヘムトランスポーター」と呼ばれる専用の吸収経路が腸に存在しています。この専用の吸収経路から効率的に吸収されることで、非ヘム鉄よりも効率的な吸収が可能になっているのです。
ちなみに、非ヘム鉄の吸収経路はDMT1という経路を使って行われています。この吸収経路は亜鉛や銅など他のミネラルを吸収経路と共通になっているため、鉄剤を多く飲めば飲むほど亜鉛など他のミネラルの吸収を阻害してしまい、亜鉛が欠乏することによって「亜鉛欠乏性貧血」という貧血を引き起こしてしまう原因になります。

この事は海外製のサプリメントとしてよく販売されている「アミノ酸キレート鉄」にも同じです。
アミノ酸キレート鉄とは、本来吸収効率の悪い鉄を「グリシン」と呼ばれるアミノ酸でサンドイッチする事で、飛躍的に吸収効率を高めた鉄サプリメントです。

海外サプリメント通販で手軽に入手出来るアミノ酸キレート鉄。吸収率が高い代わりに鉄過剰のリスクが高い

一見すると、鉄分の吸収率がとても高い事は良いことのように思えますよね。しかし、この吸収率の高さが問題となります。鉄の吸収経路には先ほど解説したようにミネラル全般を吸収するための DMT1と、ヘム鉄専用のヘムトランスポーターがあります。アミノ酸キレート鉄は、このどちらでも無くアミノ酸の吸収経路から無理矢理吸収させているようなのです。

このため、体内で鉄が過剰になりやすく、無理矢理吸収させているために利用効率がとても悪くなるといった問題が発生します。本来、DMT1やヘムトランスポーターでは、体内に鉄が十分にあるとこれ以上鉄を吸収しないようコントロールする能力が備わっています。アミノ酸キレート鉄ではこれら吸収経路を迂回してしまうため、吸収量をコントロールする事が出来ません。この結果、体内で鉄が過剰になり、肝臓に負担がかかったり、腸粘膜を傷つけたり、貧血改善していないのにフェリチンだけが高くなっていくといった弊害が多く発生してしまっているのです。

また、アミノ酸キレート鉄は鉄分だけを無理矢理大量に吸収させるため、とても利用効率が悪くなります。造血には鉄以外にも亜鉛や銅、セレンやマンガン、タンパク質なども必要で、これらが足りない場合は造血することが出来ません。また、鉄は体内で活性酸素を発生させる原因になる事から、必ずタンパク質と結合して安全に利用されています。アミノ酸キレート鉄は、タンパク質不足などで鉄が体内で安全に利用出来ない状態でも無理矢理吸収させてしまい、これが体内で活性酸素を発生させる原因となるのです。この事から、日本では「天然に存在しない鉄」としてアミノ酸キレート鉄は製造・販売が認められていません。

特に、アミノ酸キレート鉄では鉄だけを大量に吸収させるため、他のミネラルとのバランスを崩しやすくなります。
鉄を多く摂取すれば貧血が改善出来るような気がしますが、鉄だけ大量に補給しても造血することは出来ません。造血するには「亜鉛」も必要で、鉄欠乏性貧血の方は同時に亜鉛欠乏性貧血も抱えています。このような理由から、アミノ酸キレート鉄及び病院から処方される非ヘム鉄の摂取は、むしろ亜鉛欠乏性貧血を招く原因となってしまうのです。

貧血は「鉄欠乏」だけじゃない!貧血改善に大きな役割を果たす亜鉛の重要性

貧血は「鉄分だけが不足している」というイメージが強いですが、鉄不足だけが原因ではありません。鉄以外にも様々なミネラルやタンパク質が関係していて、その中でも特に「亜鉛」が重要な働きをしています。亜鉛はヘモグロビンの材料となる「ポルフィリン環」の合成に必要な材料であるほか、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの合成にも必要です。この亜鉛が不足してしまうと、貧血が改善出来なかったり、亜鉛欠乏性貧血を引き起こしたり、糖尿病や低血糖症を引き起こしてしまう原因になります。

ヘモグロビンの構造とポルフィリン環の構造

この図は、赤血球を構成しているヘモグロビンの構成を表した物です。ヘモグロビンは「ヘム」というポルフィリン環と鉄がくっついた物で、グロビンはタンパク質です。この2つが組み合わさることで、ヘモグロビンは構成されています。
よく見ると、ヘム鉄の元になる「ポルフィリン環」の材料に亜鉛が必要と書いてありますよね。ポルフィリン環とはタンパク質のカプセルのような物で、ヘム鉄はこのタンパク質に包まれていることが最大の特徴です。私達が摂った鉄分はこのポルフィリン環に包まれた「ヘム鉄」と呼ばれる状態に合成され、ヘモグロビンの合成などに利用されています。この時に亜鉛が不足しているとポルフィリン環が十分に合成できなくなり、ヘモグロビンの合成量低下に繋がります。このことから、亜鉛は造血をする際にも必要な栄養素です。

亜鉛欠乏性貧血では赤血球の膜が弱くなり、血管とこすれて赤血球が破壊されてしまう

また、亜鉛が不足している場合は「亜鉛欠乏性貧血」を引き起こしやすくなります。亜鉛欠乏性貧血とは、赤血球の膜が壊れやすくなり、赤血球と血管がこすれることで赤血球が破裂してしまう状態のこと。これが繰り返されることで、貧血が進行してしまいます。赤血球は、酸素を運搬してくれる血液中の成分のことで、この赤血球の中にはヘモグロビンが大量に含まれています。赤血球が壊されることで酸素を運ぶ量も低下し、貧血の状態に陥ってしまうのです。

このことから、亜鉛欠乏と鉄欠乏性貧血には相関関係があり、鉄欠乏性貧血を抱える女性のおよそ90%に亜鉛欠乏が見られています。また、アルコールの解毒には亜鉛も必要である事から、鉄欠乏以外にも亜鉛欠乏を抱えているケースが多くあります。このことから、鉄欠乏性貧血を改善させるためには「亜鉛」を同時に摂ることも重要です。アミノ酸キレート鉄や病院から処方される鉄剤は鉄のみしか補給出来ず、ミネラルバランスを崩す原因になりますので注意しましょう。

貧血を改善させるための具体的な分子栄養学的アプローチ

では、貧血を改善させるためにはどのようなアプローチをすれば良いのでしょうか? ここからは、具体的な鉄分の摂取目安や貧血改善に必要な栄養について解説します。

まず、鉄分を補給する際に選ぶべき鉄の種類は「ヘム鉄」です。この理由は、先ほど解説した通りになります。
ヘム鉄をベースに、鉄代謝や造血に必要なミネラル等も併せて摂るようにしましょう。貧血改善に必要な栄養素の目安は次の通りです。

貧血改善に必要な栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • 亜鉛
  • マンガン
  • セレン

この中でも、最も重要なのは「タンパク質」です。先ほども解説したように、無機の鉄そのものの状態が体内で存在すると、活性酸素を発生させてしまってむしろ身体や細胞にダメージを与えてしまいかねません。
身体はこの鉄から発生する活性酸素から身を守るために、鉄を運搬、利用する際は必ずタンパク質で出来たカプセルに鉄分子を入れて利用しています。これが、ポルフィリン環やフェリチンなどですね。

つまり、鉄を安全に運搬、利用するためにはタンパク質が絶対に欠かせません。いくら鉄分を多く補給しても、安全に貯蔵、運搬、利用出来るためのタンパク質がない状態では、貧血を改善させることが出来ないのです。
このことから、貧血改善をするためには鉄分摂取に加えて「タンパク質」もしっかり摂るようにしましょう。最低でも一食当たり100g〜200g程度の肉や魚は取り入れたいところです。足りない分は、プロテインなどを活用するのも良いですね。加えて、タンパク質を利用するために必要な補酵素である「ビタミンB群」も積極的に補給するようにして下さい。

そして、次に「ヘム鉄」です。ヘム鉄の摂取量目安は、血清フェリチン値を目安に判断します。血清フェリチン値の検査はオーソモレキュラー療法の血液検査を受けることで調べることが出来ますので、気になる方は受けてみて下さい。また、一部の病院では「フェリチン値を図ってほしい」とお願いすると検査してくれるところもあります。大抵の場合はフェリチン値の検査を追加したい理由を尋ねられますので、「貧血の参考にしたい」としっかり説明出来るようになっておくと良いですよ。

血清フェリチン値は男女で基準値の違いがありますが、おおよそ40ng/mL未満では貧血と判断することが出来ます。
この場合は、ヘム鉄として一日45mgを目安に摂取してみて下さい。
また、血清フェリチン値が40〜100ng/mLの間では、貧血では無いものの貯蔵鉄がやや不足している状態です。この場合も、十分な貯蔵鉄が貯えられるよう、一日あたりヘム鉄として15mg程度補給してみて下さい。継続して行くにつれてフェリチン値は徐々に上がっていき、血清フェリチン値が125ng/mL程度になるのが理想と言われています。

フェリチンに対するヘム鉄摂取量目安。40ng/mL以下では積極的な補給が望まれる。

ただし、有経女性の場合は毎月月経があるのでフェリチン値はなかなか上昇しない傾向があります。有経女性の場合は血清フェリチン値が60ng/mL前後を保てていれば大丈夫ですので、それ以上フェリチンが下がらないようキープして下さい。また、男性の場合でフェリチンがなかなか上がらない場合や貧血が改善出来ない場合は、消化管から出血していることも考えられます。この場合は、胃カメラや大腸カメラ、便潜血検査などで消化管に出血が無いかどうかも確認してみてください。

それから、フェリチン値は貧血の判断以外にも「炎症」を見るためのマーカーでもあります。フェリチン値は体内で炎症が発生していても上昇することがあり、ガンなどでは著しく上昇する場合もあります。
特に、鉄分を補給していないのにフェリチン値が200ng/mLを超えていたり、フェリチン値が高くてヘモグロビン値が低い場合は何らかの炎症が関与している可能性大です。この場合は、炎症の原因となっている原因を調べ、適切に対処するようにして下さい。

市販の安いヘム鉄サプリにはご注意!

ヘム鉄のサプリと言えば、ドラッグストアーなどで安く販売されている物を見かけることがありますよね。
ヘム鉄が補給出来るなら、安くて量が摂れるに越したことはありません。しかし、同じヘム鉄といえどその質にはピンからキリまであります。特に、「ヘム鉄パウダーの量」と「ヘム鉄含有量」は全く違うものですので注意して下さい。
ヘム鉄は豚の血液を精製して作られており、ヘム鉄パウダーと呼ばれるパウダー状の中にヘム鉄が1%もしくは2%含有している物が一般的です。例えば「一粒でヘム鉄50mg」と書かれていても、これはヘム鉄パウダーが50mg含まれているだけであり、実際にはその中の1%〜2%である0.5mg〜1mgしかヘム鉄が含まれていない計算になります。このように、多く含まれているように見せかけて、実際にはヘム鉄が殆ど含まれていない物がありますので注意して下さい。

また、繰り返しますが貧血改善にはヘム鉄以外にも微量ミネラルと呼ばれるセレンやマンガン、銅や亜鉛など他のミネラルの補給も重要です。ヘム鉄として市販されている商品の多くはヘム鉄のみなど鉄分の補給しか出来ません。この事から、ヘム鉄であっても体内での利用効率が悪く、貧血が改善出来ない場合も多くあります。これを避けるためにも、ヘム鉄を摂取する際は生体内のミネラルバランスや鉄の利用効率などを考慮した設計のものを選ぶようにして下さい。分子整合栄養医学で使われているヘム鉄製品は、「鉄の取り込み」「利用」「貯蔵」「排泄」など貧血改善における鉄分本来の働きが安全に出来るよう考慮されています。ヘム鉄を選ぶ際は、値段や含有量にとらわれず、体内で安全に利用出来る安心、安全な製品を選びましょう。

貧血改善には、サプリメントの質が重要。鉄単体の補給はむしろ逆効果となる。
はる かおる

貧血は、単に鉄を補給しているだけじゃ改善出来ないよ❗
貧血にも必ず原因があるから、原因も突き止めて
アプローチするようにしてね❗

甲状腺機能低下症、亢進症にはこのアプローチ

最後に、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症に対する分子栄養学的アプローチのご紹介です。
前述したとおり、飲酒や貧血、副腎疲労やリーキーガット症候群などは甲状腺機能障害を引き起こしやすくなります。甲状腺機能障害は低血糖症と関連が深いため、飲酒をしている方は是非一度甲状腺の検査を受けてみて下さい。もし、甲状腺機能亢進症だった場合は、体内の代謝機能が活発に働き過ぎてしまうため、エネルギーを消費しすぎて低血糖症になりやすくなります。逆に、甲状腺機能低下症だった場合は、代謝機能が低下するために糖質などのエネルギーをうまく使えなくなってしまうことから、低血糖症に陥りやすくなってしまいます。これらを改善させるためにも、代謝機能をサポートする栄養をしっかりと補給するようにしましょう。

まず、甲状腺機能亢進症に対する分子栄養学的アプローチは以下の通りです。

甲状腺機能亢進症に対する分子栄養学的アプローチ

  • タンパク質 (タンパク質異化亢進対策)
  • ビタミンB群 (エネルギー代謝促進)
  • ビタミンC (抗酸化対策)
  • ビタミンE (抗酸化対策)
  • ヘム鉄 (甲状腺ペルオキシターゼ酵素合成に必要)
  • ビタミンA (甲状腺ホルモンの相互協調作用)
  • ビタミンD (骨代謝・ホルモンインバランスの改善)
  • カルシウム・マグネシウム (低CaMg血症抑制、骨粗しょう症対策)
  • EPA (心房細動発作時の抗血栓対策)
  • CoQ10 (心筋エネルギー代謝亢進に対処)

甲状腺機能亢進症では、エネルギー消費量が大きくなることから糖質や脂質などのエネルギーをすぐに使い果たし、タンパク質をエネルギー源として使ってしまう可能性が高くなります。タンパク質がエネルギー源として使われてしまうと更なる代謝悪化によって悪循環を引き起こすことから、タンパク質の補給量は十分に確保して下さい。
加えて、エネルギー代謝をサポートするためにも補酵素であるビタミンB群もしっかり補給しましょう。

また、エネルギー代謝が活発になる事から心臓機能にも負担がかかり、活性酸素も発生しやすくなります。このあたりの対策の為に、抗酸化対策や血栓対策、心筋エネルギー確保のためにCoQ10やEPAなども補給してみてください。
これら対策に加えて、人によっては甲状腺ホルモン薬などのお薬を使う必要があるかと思います。その場合は、甲状腺のかかりつけ医と相談しながら慎重に行うようにして下さい。

次に、甲状腺機能低下症に対する分子栄養学的アプローチです。

甲状腺機能低下症に対する分子栄養学的アプローチ

  • ビタミンE (甲状腺薬の副作用抑制、動脈硬化抑制)
  • ビタミンB群 (甲状腺薬によるエネルギー代謝亢進に対処)
  • CoQ10 (服薬による心筋代謝亢進に対応)
  • ビタミンC (抗酸化対策)
  • カルシウム・マグネシウム (骨吸収促進の抑制)
  • ビタミンD (骨吸収促進の抑制、ホルモンインバランスの改善)
  • タンパク質 (基礎代謝を亢進)
  • ヘム鉄 (貧血対策、甲状腺ペルオキシターゼ酵素合成に必要)
  • 亜鉛 (T4からT3への代謝促進)
  • ビタミンA (皮膚の乾燥対策、甲状腺ホルモン相互協調作用)
  • EPA (抗血栓対策)

甲状腺機能低下症では、甲状腺機能亢進症と逆でエネルギー代謝が落ちてしまっています。このエネルギー代謝をアップさせるためにも、積極的な栄養補給が必要です。特に、ビタミンB群はエネルギー代謝をサポートする補酵素ですので、十分に摂取するようにして下さい。
また、甲状腺機能低下症では脂質異常症とも併発しやすく、虚血性心疾患や動脈硬化が特に進行しやすい状態にもなっています。これら命に関わる病気を防ぐためにも、抗酸化対策であるビタミンEやビタミンC、ビタミンAやEPA等は積極的に補給した方が良いですね。
これら対策に加えて、人によっては甲状腺ホルモン薬などのお薬を使う必要があるかと思います。その場合は、甲状腺のかかりつけ医と相談しながら慎重に行うようにして下さい。

これらが、甲状腺機能低下症や亢進症に対する分子栄養学的アプローチになります。具体的な摂取目安については個人差が大きいですので、詳しく知りたい方はオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。
また、甲状腺機能障害はこの記事の途中でも解説した通り、SIBOやリーキーガット症候群、貧血や副腎疲労などのホルモンバランスの乱れなど他の疾病との関連が深い病気です。上述した分子栄養学アプローチだけがすべてとは限りません。他にもご自身の状態に合わせて分子栄養学的アプローチや治療法などを組み合わせていく必要があります。
特に低血糖症に関しては複数の病気が複雑に関係している場合が多いことから、自己判断で栄養療法を行うのは危険です。サプリメントや薬などの飲み合わせもありますので、自己判断で行わずに必ずオーソモレキュラー療法など医療を通してアプローチしていくようにして下さい。

はる かおる

甲状腺機能障害は、低血糖症以外にも消化吸収能の低下など他の疾病との関連が深い病気だよお薬と栄養素の併用は飲み合わせに注意が必要な場合があるから絶対に自己判断で栄養アプローチは行わないでね。

まずはあなたの状態をよく知ること。最適なアプローチを知るためにも、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けましょう。

ここまで、飲酒による低血糖症との関連と、低血糖症と関連の深い疾病への分子栄養学的アプローチについて解説してきました。低血糖症には飲酒によって直接引き起こされる以外にも、飲酒によるアルコール性脂肪肝が糖代謝の悪化と関係しています。また、飲酒によって引き起こされる消化吸収能の低下は、SIBOやリーキーガット症候群、甲状腺機能障害や貧血などを引き起こし、これらも低血糖症を発症する原因となっています。
これらは人によって状態が異なり、複数の原因が複雑に絡み合っていることも多くあることから、検査もなしに適切な栄養アプローチを行うのは困難です。

例えば、「甲状腺機能低下症」と「アルコール性脂肪肝」が組み合わさって低血糖症になっている方と、「アルコール性脂肪肝」と「リーキーガット症候群」「貧血」が組み合わさって低血糖症が引き起こされている方とのアプローチは全く違います。また、この記事で紹介した原因以外にも、心理的なストレスや生活環境、遺伝的な問題があるかなどの問題も関係してきます。

低血糖症の発症には必ず原因がある

このように一言で飲酒による低血糖症と言っても様々な原因があり、個人個人バラバラに組み合わさって引き起こされています。同じ低血糖症に見えても対処法は全く異なりますので、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査項目に加え、低血糖症の状態や甲状腺の検査、副腎疲労や酸化ストレス、短鎖脂肪酸検査やリーキーガット症候群検査や肝臓の状態チェックなどを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの低血糖症の根本原因がどこから来ているのかが分かります。

また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。
根本原因からきちんと対処していくことが出来れば、飲酒によって引き起こされた無反応性低血糖症や機能性低血糖症なども改善出来る可能性があります。同じように見える低血糖症でも人によって全くアプローチが違いますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記リンクか記事最後尾のプロフィールに記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みページ」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

❗質の悪いサプリでのアプローチはむしろ低血糖を悪化させる❗

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。この際、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して行っていきたい」と思うかも知れません。しかし、市販されているサプリメントやアイハーブなどで販売されているサプリメントで栄養アプローチをするのは非常に危険です。

特に海外で販売されているサプリメントやプロテインについては、日本人向けには設計されていません。
加えて、主な目的が「スポーツ用」として開発された物ばかりで、治療を目的とした利用には不向きです。
また、人工甘味料を始めとした添加物も多い上、栄養素が酸化して効力を失っている物や、自然界に存在しない化学構造に加工された物、摂取しても胃や腸で全く溶けない粗悪品も多くあります。
これらを大量に摂取することでむしろ身体や肝臓にダメージを与えてしまい、低血糖症がさらに酷くなる可能性も高いです。ですので、栄養アプローチを行うときは市販サプリや海外サプリで代用せず、オーソモレキュラー療法専用のサプリメントでアプローチするようにしましょう。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある
はる かおる

サプリメントはどれも同じじゃ無いよ❗
質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、オーソモレキュラー療法用に作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね❗

分子栄養学実践のために専用設計されたケンビックスシリーズ

お酒を飲むと低血糖を起こしやすくなるのはなぜ?飲酒による低血糖症の原因と対策について、分子栄養学的アプローチを解説まとめ

飲酒による低血糖症は、肝機能悪化と消化吸収能の低下から様々な低血糖症と関連のある疾病を引き起こす。

以上が、飲酒によって低血糖症が引き起こされる原因と、その対処方法のご紹介でした。

飲酒と低血糖症の関係については以前から関連が知られていたものの、飲酒によって低血糖症と関連がある貧血やリーキーガット症候群などが引き起こされることまでは殆ど知られていません。そのため、現在における低血糖症の対処法としては、飲酒を控えるように言われることと、カロリーなど糖質を取り過ぎないように指導されるところが大半です。しかし、これでは低血糖症は良くなるどころかむしろ悪くなってしまいますよね。低血糖症には消化吸収能の低下や貧血、甲状腺機能障害など様々な疾病が複雑に関係していますので、単にお酒の摂取量を減らしただけでは良くなる訳がありません。

また、肝臓は沈黙の臓器と言われることから重度の障害にならないと気がつかないことも多く、健康診断で脂肪肝の傾向があったとしても殆ど何も対処しない方も多くいます。これでは低血糖症とアルコール性脂肪肝が進行し、いずれは肝硬変や糖尿病を発症するリスクが高いです。加えて、飲酒による低血糖症にも「隠れ低血糖症」に陥っている方がおり、保険診療の血液検査で低血糖症と診断されない場合は、精神疾患として扱われたり間違われたりしてしまう場合もあります。低血糖症は自律神経の乱れを引き起こすことから、精神疾患と間違えられやすい病気の1つです。
もし、精神疾患として扱われた場合は、もちろん精神薬を処方されます。しかし、元々は精神疾患ではないので精神薬が効くことはありません。むしろ、精神薬を服用することで依存症になったり副作用の問題が発生したりして更なる体調悪化を招きます。このような問題もあることから、低血糖症の治療に対して病院での保険診療は殆ど役に立ちません。

人の身体には、元々糖質などの栄養素や血糖値を上手く利用したりコントロールしたりする機能が備わっています。飲酒による低血糖症は、この機能が正常に働けなくなってしまったことが一番の問題です。この機能を元に戻すことが出来れば、機能性低血糖症や無反応性低血糖症も改善出来る可能性が高いです。

是非、このあたりの原因をしっかり調べて適切なアプローチを行っていきましょう。今回ご紹介した原因や対策、検査方法は根本原因から低血糖症を解決する際の大きな手助けになるはずです。お酒の摂取量や糖質の摂取量だけで血糖値をコントロールしようとせず、低血糖症が引き起こされている根本の原因からアプローチしていくようにしてください。

ナンナン

低血糖症の改善方法は人それぞれ違うんだね❗分かった、オーソモレキュラー療法を受けてみるよ❗

はる かおる

うん、是非受けてみて❗オーソモレキュラー療法を行っている方には、無料で栄養カウンセリングも行っているよ❗利用してみてね❗

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