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生理前から生理中にかけて低血糖症になりやすくなるのはなぜ? 原因と対策法を分子栄養学的アプローチから解説

女性にとって最も嫌な日と言えば、「月イチ」の日ですよね。日本では、月経のある女性の約70%〜80%が月経前に何らかの症状があると言われています。

その中でも生理前から生理中にかけては、低血糖症の症状に悩む方も少なくありません。低血糖症とは、通常よりも血糖値が下がってしまった状態の事です。低血糖になると、動悸やめまい、イライラするなど様々な不調が引き起こされることがあります。

では、なぜ生理前から生理中にかけて、低血糖症が起こりやすくなるのでしょうか? 今回は、生理前から生理中にかけての低血糖症の原因と、それに深く関係している月経前症候群の分子栄養学的アプローチを解説します。

目次

生理前から生理中にかけて、低血糖症が起こりやすくなる原因とは?

ナンナン

うぅ・・・・またはじまった💧

はる かおる

どうしたの❓ ナンナン

ナンナン

毎月、いつもこの時はすっごく調子が悪くなるんだ💧
特にPMSと低血糖症が酷くって💦

はる かおる

もしかして「月イチ」の日のこと❓
人によってはかなり症状が重い人もいるみたいだね。

ナンナン

うん、そうなの・・・💧
毎月毎月、ホント嫌になっちゃう💦 何か良い対策って無いかな❓

はる かおる

うーん、生理前から生理後にかけての低血糖症は、PMSやホルモンバランスの乱れが関係していると言われているね。他にも、婦人科疾患や貧血が関係している事もあるよ。

ナンナン

そうなの❓じゃあ、具体的にどうしたら良いのかな❓

はる かおる

そうだね、じゃあ生理前から生理後にかけて起こりやすい低血糖症やPMSの原因と解決法を、分子栄養学の観点から解説してあげるね。

女性は、生理前から生理後にかけて低血糖症になりやすいと言われています。この原因としては、女性特有のホルモンバランスの変化が主な原因と言われています。

特に生理前から生理後にかけて、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の分泌量が大きく変化します。この2つのホルモンはそれぞれ、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きに影響を及ぼすため、生理前から生理後は低血糖症を引き起こしやすくなってしまうのです。

https://dm-net.co.jp/dlsnw/information/001/001/02.phpより

具体的には、「エストロゲン」がインスリンの働きを高める作用があり、「プロゲステロン」はインスリンの働きを弱める作用があります。

プロゲステロンは生理前2週間程度から濃度が上昇し始め、生理が始まると急激に減少します。また、生理が終わると今度は排卵にかけてエストロゲンの分泌量が増加し、排卵が終わると減少します。

つまり、生理前2週間前くらいからはプロゲステロンの影響によりインスリンの働きが低下し、血糖値が上昇しやすくなります。また、生理後はエストロゲンの分泌量が増えることから今度はインスリンの効きが良くなります。これは少量のインスリン分泌でもよく効くことから、血糖値の状態としては低めになる事が多いようです。

では、生理の2週間前くらいからプロゲステロンの影響によって血糖値が上昇しやすくなっているのに、低血糖の症状が引き起こされるのは何故でしょうか?

これは、身体は上がりすぎた血糖値を下げるために大量のインスリンを分泌し、これにより血糖値が下がりすぎてしまう「血糖値スパイク」が起こりやすくなるためです。

機能性低血糖症は血糖値の急激な上昇と下降を繰り返してしまう病気

血糖値スパイクとは、何か甘い物や食べ物を食べた後に血糖値が急激に上昇し、その後急激に下降、低血糖状態になってしまう状態の事です。

私達の身体は、何か甘い物や食べ物を食べると、糖を筋肉や細胞に取り込む働きをする「インスリン」というホルモンを分泌します。インスリンは、血液中にあるブドウ糖を細胞内に取り込むことで、血糖値を下げる働きをしています。

このインスリンの働きがプロゲステロンの影響により低下してしまうと、細胞内にブドウ糖がうまく取り込めなくなってしまい、血糖値が急上昇してしまいます。すると、身体は血糖値を下げようと大量のインスリンを分泌し、今度はこのインスリンが効き過ぎることによって低血糖に陥ってしまうというわけです。

通常、血糖値は80〜100mg/dl前後になるよう保たれていますが、血糖値スパイクが引き起こされると正常範囲以下である80〜70mg/dlを下回ってしまう場合もあります。

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.htmlより

低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」「夜寝ていると目が覚めてしまう」「悪夢を見る」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。

これ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。

低血糖症の主な症状

  • 全身の倦怠感、疲れやすい
  • 集中力が無い
  • 眠気が強く、朝起きられない
  • 寒がり、低体温
  • 動悸がする
  • めまいがする
  • 冷や汗をかく
  • 不眠
  • イライラする
  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不安、恐怖感が強くなる
  • 太りやすくなった

これらの症状が引き起こされる要因としては、下がった血糖値を上げるために副腎皮質からアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌されるためです。

これらホルモンは、糖新生と言って筋肉を分解してブドウ糖を作り出す代わりに同時に交感神経も刺激してします。交感神経は、血管を収縮させたり心拍数を上げたりして活動量をアップさせる役割を担っていますが、あまりにも交感神経優位に傾きすぎてしまうと、汗をかいたりイライラしたりなどの症状も引き起こします。低血糖時にはこの交感神経が過剰に刺激されてしまうことから、低血糖に陥ると様々な身体的、精神的不調を引き起こしてしまうのです。

ナンナン

な、なるほど・・・💦
生理前後はホルモンバランスの変化からインスリンの効き方に違いが出てくるんだね

はる かおる

そうそう。それによって引き起こされやすいのが「血糖値スパイク」だね。血糖値スパイクが起こると、血糖値が乱高下して低血糖になりやすくなるんだよ

生理前から生理後にかけての低血糖症対策。何か良い方法はある?

では、生理前から生理後にかけての低血糖症の対策として、どのような対策を行えば良いのでしょうか?

一般的に言われている低血糖対策と言えば、砂糖水や果汁100%ジュース、飴やグミなどを食べて糖分を補給する事です。これらはブドウ糖や果糖が多く含まれているため、摂取する事で血糖値を上昇させることが出来ます。このような低血糖時の糖分補給は、主に医療機関でも一般的にアドバイスがされている行為です。

しかし、生理前の低血糖症では、このような低血糖時に糖分を補給することで、むしろ逆効果になってしまうこともあります。

機能性低血糖症は血糖値の急激な上昇と下降を繰り返してしまう病気

何故かというと、先ほど説明したようにプロゲステロンの影響によりインスリンの働きが低下しているためです。このようなインスリンの働きが低下しているときに吸収の早い糖分を大量に摂ってしまうと、そこからまた血糖値が急上昇し、大量に分泌されたインスリンによって血糖値が急降下してしまいます。

つまり、血糖値スパイクを引き起こしている方の場合では、ブドウ糖などの吸収の早い糖分を補給すると、高血糖と低血糖を繰り返してしまう恐れがあるのです。

そのため、このような血糖値スパイクの対策としては、糖質制限、回数頻回食にする、食物繊維を摂るなどの対策が有効とされています。

糖質制限とはその名の通り、甘い物やお菓子などの糖質を制限することで血糖値の急上昇を防ぐ方法です。特にジュースやお菓子、スイーツなどの甘い物に多く含まれるブドウ糖や果糖などの単糖類は、血糖値を急上昇させやすいことから、これらの摂取量は控えていくことが望ましいです。

次の回数頻回食とは、少量の食事を何回にも分けて食べたり、間食上手く取り入れる方法のことです。血糖値スパイクを引き起こしてしまう方は、一度に大量の食事を摂ると血糖値が急上昇してしまう恐れがあります。これを避けるためには、一度に大量に食べず、こまめに食事を摂るようにすることで血糖値の急上昇を防ぐことが出来ます。

やり方としては、1時間や2時間おきに少量の食事を何回も摂取したり、朝昼晩の三食に加えて、間に間食を挟んだりする方法です。この時「吸収が比較的穏やかな糖質を組み合わせる」事と、「なるべくこまめに食べる」ようにするのがポイントになります。

おにぎりは血糖の持続性がある

この「吸収が比較的穏やかな糖質」とは、お米や芋類などのデンプン質のことです。
デンプンは噛むことによって徐々にブドウ糖に分解され、徐々に吸収されていきます。このため、お菓子やスイーツなどに含まれる精製された砂糖を補給するよりも、比較的穏やかに血糖値を上昇、維持させることが出来ます。

また、いくらお米でも一気に食べると血糖値が急上昇しますので、何回にも分けて食べるようにしましょう。
お団子くらいに小さく握ったおにぎりを1時間おきに食べるなど細かく分けて食べれば、血糖値をなるべく一定以上に保つことが可能です。

加えて、お米などのデンプン質は油でコーティングすると急激な血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。具体的には、チャーハンやピラフなど、お米を油で炒めるものがこれにあたります。これらも血糖値スパイクや低血糖の予防としてはそれなりに活用出来ますので、吸収の早い糖質と吸収の遅い糖質を組み合わせてなるべく回数頻回を行い、低血糖にならないよう工夫してみて下さい。

また、食事の前に食物繊維を摂る事も有効です。食物繊維には糖の吸収を穏やかにする作用があり、食前に食物繊維を摂ることで血糖値の急上昇を抑えてくれます。食事を行う際は、サラダや野菜など食物繊維を多く摂ることも意識してみましょう。

ただし、これら対策は単に血糖値の波を抑えるだけで、根本的な生理前から生理後にかけての低血糖症を引き起こす原因までは改善出来ません。

生理前から生理後にかけての低血糖症を根本から改善させるためにはこの他にもホルモンバランスの乱れを整えたり、PMSの改善や貧血の改善が必要です。

ナンナン

ふむふむ、低血糖になったときは甘い物やジュースを摂るよりも吸収の遅いお米やイモなんかのデンプン質を摂ると良いんだね

はる かおる

そうなんだ。・・・って、ナンナン何飲んでるの❓

ナンナン

これ❓これはタピオカドリンクだよ

はる かおる

タ、タピオカドリンク❗❓
自分が言ってるそばからジュース飲んでどうするの❗

ナンナン

えへへ・・・ちょっと我慢できなくって💦

はる かおる

まー、気持ちは分かるけど、そういうのを控えていくことも低血糖症の改善には必要だよ。これからは気をつけてね。

PMSと低血糖症は切っても切り離せない関係。生理前後の低血糖症の根本解決には、PMSの改善も必要です。

ここまで、生理前後にかけて変化するホルモンが血糖値に与える影響と、その一般的な対策について解説してきました。

実は、このような生理前後に引き起こされる低血糖症の背景には、PMS(月経前症候群)も関係していると言われています。月経前症候群とは、生理が始まる数日前から生理後にかけて引き起こされる様々な身体的、精神的不調のことです。

月経前症候群とは、月経数日前から始まり、月経開始後に焼失する様々な不調のこと。ホルモンバランスの乱れや自律神経の乱れ、鉄欠乏性貧血など栄養欠損などが原因とされている

月経前症候群になると、頭痛や腹痛、便秘やむくみなどの身体的症状に加えて、うつ症状や情緒不安定、不眠など身体的不調が表れます。

特に10代〜40代女性の約半数が重い月経前症候群を抱えていると言われ、寝不足の時やストレスがかかったとき、天候が変化するときなどは、特に症状が重くなる方が多いようです。

日本では月経のある女性の70%〜80%が月経前に何らかの症状があると言われている。特に、天候が変化するときやストレスを受けたとき、寝不足の時は不調が強くなりやすい

この月経前症候群が発症する主な原因としては、周期的に変化するホルモンバランスに身体が対応しきれなくなってしまったことや、ホルモンバランスの乱れなどが関係していると言われています。

先ほども解説したように、女性は周期的にホルモンバランスが変化しています。身体は常にホルモンの影響を受けており、ホルモンの状態によっては気分が明るくなったり落ち込んだりもします。

この変化に身体が対応しきれなくなってしまうと、自律神経の乱れに繋がり、症状が悪化してしまいます。特に寝不足の時やストレスを感じているとき、天候が変化するときは自律神経が乱れやすいことから、自律神経の乱れと生理周期の体調の変化が重なって、重い月経前症候群(PMS)を発症してしまうのです。

生理前後は女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが周期的に変化する。これらホルモンにはそれぞれ良い影響と悪い影響を与える事から、体調の変化が起こりやすい

このPMSは低血糖症と関係があると言われ、PMSがあると低血糖症が悪化し、低血糖症があるとPMSが悪化する傾向にあります。これは、どちらも自律神経の乱れが引き起こされる事から、お互いに悪影響を与えてしまうためです。

自律神経が乱れてしまうと、だるい、疲れやすい、不安感やイライラが治まらない、立ちくらみやめまいがする、不眠、生理不順、気分が落ち込むなど様々な症状が引き起こされます。

生理前後の不調は大きなストレスを受けることから、自律神経が乱れやすい。自律神経の乱れは、PMSと関係が深いと言われている

先ほどのPMSの症状と比べてみると、症状がよく似ていることが分かりますよね。では、なぜこのような自律神経の乱れと低血糖症、PMSが関係あるのでしょうか?

それは、自律神経と女性ホルモンのコントロール、糖代謝など内分泌系のコントロールはすべて繋がっており、1つの機能が乱れると他のすべても乱れてしまう事が関係しています。

自律神経は免疫系とホルモンなどの分泌を調節している内分泌系と密接な関係がある。どれか1つが乱れると、相関して乱れやすい

例えば、身体の中の最適な血糖値の状態や、インスリンの分泌、女性ホルモンの分泌などの内分泌系は、自律神経と密接に繋がっています。

この自律神経には活動量を上げる「交感神経」とリラックスする「副交感神経」があり、互いにバランスを取っている状態が最も良い状態です。

自律神経には活動量を増加させる交感神経と活動量を低下させる副交感神経があり、このバランスがとれているときが最も調子がよい

しかし、精神的なストレスや生理痛など肉体的なストレスが持続した場合、この自律神経のバランスが乱れて交感神経が優位になってしまいます。これは、ストレスに対抗するためのホルモン(アドレナリンやコルチゾールなど)が副腎から大量に分泌され、これらホルモンが交感神経を過剰に刺激してしまうためです。

交感神経が高まると、筋肉や肝臓に貯えられた「グリコーゲン」と呼ばれる貯蔵型の糖が分解され、ブドウ糖に変えられてしまいます。このため、交感神経が優位になると血糖値が上昇しやすく、同時に下がりにくくなります。

この交感神経優位の状態は、低血糖症を引き起こしやすくなる原因です。最初に、生理前後にかけての低血糖症は血糖値が急激に上昇し、急降下する「血糖値スパイク」が関係している事は解説しましたよね。交感神経が有意の状態では、血糖値が上昇しやすく、下がりにくくなることから血糖値の急激な上昇を引き起こしやすくなってしまいます。

そしてその後、血糖値が急激に下がってしまうと、身体は血糖値を上げようと更に副腎からアドレナリンやノルアドレナリン等の交感神経を有意にするホルモンを分泌します。このように、低血糖症があると自律神経が乱れやすくなり、自律神経が乱れていると低血糖症も酷くなってしまうという悪循環に陥ってしまうのです。

また、このような血糖コントロール機能や自律神経は、女性ホルモンや甲状腺ホルモンのバランスなど内分泌系機能とも密接に関係しています。つまり、低血糖症や自律神経の乱れを抱えていると、同時に女性ホルモンのバランスや甲状腺ホルモンのバランスも同時に乱れてしまう可能性があるということです。

女性ホルモンの乱れや甲状腺ホルモンの乱れは、さらに自律神経の乱れを引き起こす原因です。自律神経の乱れは重いPMSに繋がることから、これらホルモンバランスの乱れに比例して月経前症候群であるPMSの症状も酷くなってしまうのです。

PMSは自律神経の乱れが関係している事から、相関関係にある鉄欠乏性貧血や低血糖症、甲状腺機能の乱れなどが根本原因として隠れている場合がある

この事からも、低血糖症とPMSには関係があり、低血糖症とPMSには自律神経の乱れや女性ホルモンの乱れ、甲状腺ホルモンの乱れなどの問題も関係しています。

低血糖症を改善させる場合は、血糖コントロールだけに目を向けず、PMSや自律神経の乱れ、女性ホルモンの乱れや甲状腺ホルモンの問題が無いかどうかもしっかり調べる事が大切です。食べ物だけで血糖コントロールをしようとせず、このような糖代謝が悪化する原因にも目を向けるようにして下さい。

特に、低血糖症とPMS、自律神経の乱れは、鉄欠乏性貧血を抱えていたり、婦人科系などの疾患がある場合もこれら症状の悪化に繋がることが分かっています。

PMSの原因となりえる要因

  • 鉄欠乏性貧血になっていないか?
  • フェリチンのみが低値を示す潜在性鉄欠乏性貧血はないか?
  • 子宮内膜症などの婦人科疾患はないか?
  • 甲状腺機能に問題はないか?
  • 更年期、自律神経の乱れなど女性ホルモンが乱れる原因はないか?
  • 肥満、脂肪肝など他に低血糖症を引き起こす疾患はないか?
  • お腹の調子が悪いなど、消化吸収能に問題は無いか?

このような原因が他にないかも、必ず調べてみましょう。なにか問題があった場合は、先にこれらを改善させていくことが重要です。

また、他にも性格的な要因でPMSになりやすいタイプもあります。PMSになりやすいとしては、真面目で我慢するタイプや、完璧主義の方、生活リズムが不規則な方がPMSになりやすい傾向にあると言われています。

PMSはストレスも関係している事から、我慢するタイプやこだわりが強いタイプ、完璧主義などに当てはまるタイプはPMSになりやすいと言われている

この原因は、主に我慢したり完璧主義のタイプだと心理的ストレスを抱えやすいためです。加えて、生活リズムが不規則な方も自律神経のバランスが乱れやすくなるため、PMSになりやすくなります。

PMSを改善させるためには、このような生活習慣の改善や、なるべくストレスを抱えない考え方に変えていく事も必要です。先ほどの鉄欠乏性貧血の改善や甲状腺機能の改善などとあわせて、なるべくストレスを受けない生活環境や考え方にシフトしていくことも行っていきましょう。

ナンナン

生理前から生理中にかけての低血糖症は、PMSも原因になっているんだね💧 ボクもかなり前からPMSに悩まされてるから、もしかしたらPMSが原因になっているかも・・・💧

はる かおる

そうだね。でも、生理前から生理中にかけての低血糖症はPMSが根本原因と言われているけど、実はPMSにも根本原因が隠れているんだ。だから、PMSを抱えている場合は他に原因になっている要因がないかを調べてアプローチしていくことが大切だよ

低血糖症、PMSの原因には、甲状腺機能の異常も関係あり。

先ほど、生理前後の低血糖症には自律神経の乱れや、それに伴う甲状腺機能の乱れなどが関係している事を解説しました。この甲状腺機能の乱れについて、もう少し深く解説していきましょう。

甲状腺とは、首の前側、のどぼとけのすぐ下にある蝶が羽を広げたような形をしている臓器です。甲状腺からは甲状腺ホルモンという、身体の発育や新陳代謝を促進するホルモンが分泌されています。私達の身体は、この甲状腺ホルモンが適切に分泌されていることによって、正常な生命活動が行える様になっています。

甲状腺はのどぼとけのあたりにあり、身体の代謝や発育を促進するためのホルモンを分泌している重要な臓器

もし、この甲状腺機能が乱れてしまうと、私達の新陳代謝や身体機能には様々な異常が発生してしまいます。この甲状腺ホルモンの分泌に異常をきたしてしまう状態を甲状腺機能障害といい、大きく分けて甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう「甲状腺機能亢進症」と、甲状腺ホルモンの分泌量が少なすぎてしまう「甲状腺機能低下症」があります。

他にも、「バセドウ病」や「橋本病」など、自己免疫機能が自身の甲状腺を攻撃してしまう自己免疫性疾患もあり、バセドウ病では甲状腺機能が亢進し、橋本病では甲状腺機能が低下してしまう病気です。

甲状腺機能亢進症と低下症の違い。亢進症では代謝が上がりすぎることによって動悸や暑がりなどの症状が起き、低下症では代謝が低下することから寒がりになったり抑うつ症状が引き起こされる

この甲状腺機能に異常が起こると、体内の代謝機能が乱れることから様々な身体的、精神的不調が引き起こされます。

例えば、甲状腺機能低下症では、代謝機能が落ちることから食べた食べ物をエネルギーとして上手く使うことが出来なくなります。その結果、寒がりになる、太りやすくなる、食欲が低下する、便秘になる、抑うつ症状がある、記憶力が低下する、むくむ、肌が荒れるなどの症状が現れます。

対して甲状腺機能亢進症では、代謝機能が本来あるべき機能よりも大幅に上がってしまうです。甲状腺機能亢進症では、胃と腸の蠕動運動が過剰になり、食べ物が十分に消化吸収出来なくなって下痢を引き起こしたり、食べた食べ物のエネルギーをすぐに使い切ってしまいます。その結果引き起こされるのが、暑がりになる、汗かきになる、体重が減少する、食欲が抑えられない、排便回数の増加、イライラする、動悸・息切れがするなどの症状です。

これら甲状腺の異常は、先ほど解説した低血糖症や自律神経の乱れ、女性ホルモンの乱れなどとも深く関係しています。

理由としては、甲状腺機能低下症では胃と腸の蠕動運動が低下することから、消化吸収が十分に出来なくなって栄養不足を起こしやすくなります。また、食べた糖質や栄養が体内で上手くエネルギーとして使えなくなることから血糖値が上昇しやすくなり、血糖値の乱高下を引き起こしやすくなるためです。

逆に甲状腺機能亢進症では胃と腸の蠕動運動が活発になりすぎることから消化吸収が不十分になり、下痢を引き起こすことがあります。加えて、食べた糖質や栄養はすぐにエネルギーなどで過剰に使われてしまうことから、体内のグルコース(ブドウ糖)や貯蔵型の糖であるグリコーゲン量が低下し、低血糖症になりやすくなってしまうというわけです。

このような代謝の乱れは自律神経のバランスを乱し、同時に女性ホルモンの乱れも引き起こします。なぜなら、これら糖代謝の異常も自律神経の乱れも、甲状腺機能の異常も女性ホルモンの乱れも、すべて身体の中で繋がっているからですね。

ストレスは自律神経の乱れやホルモンの乱れに繋がることから、身体の様々な機能にダメージを与える

ですので、甲状腺機能に異常がある場合は、低血糖症にもPMSにもなりやすくなります。逆に、PMSや低血糖症を抱えている場合も、甲状腺機能の異常を引き起こしやすくなるといったように、お互いが相関関係にあるのです。

特に、身体的、精神的ストレスが高まると甲状腺機能に異常が引き起こされることが分かっています。これは、ストレスによる自律神経の乱れが女性ホルモンの乱れに影響し、これらが相関して甲状腺機能にも影響を与えてしまうためです。

ですので、低血糖症とPMS、女性ホルモンの乱れや甲状腺機能の乱れは、お互い相互に関係しています。生理前後の低血糖症が酷い場合やPMSが酷い方は、相関して甲状腺機能も乱れている可能性がありますので、まずは甲状腺の機能もチェックしてみて下さい。

特に女性の場合は、甲状腺機能の問題を抱えやすいと言われています。年齢を重ねていくことに甲状腺機能障害のリスクが上がっていきますので、甲状腺のチェックは定期的に行うようにしましょう。

特に女性は甲状腺機能の異常を抱えやすいと言われている。甲状腺機能の乱れは低血糖症や女性ホルモンの乱れ、PMSなどに繋がることから、甲状腺の検査は定期的にチェックすることがオススメ

甲状腺の状態は、超音波検査や血液検査で知ることが出来ます。超音波検査では甲状腺に腫れや異常が無いかをチェックし、血液検査では甲状腺ホルモンの分泌量に異常が無いかをチェックします。

基本的には、最初に血液検査で甲状腺ホルモンの状態を確認してから、何か異常がある場合に超音波検査となりますので、甲状腺の状態を確認する際はまず血液検査から受けましょう。

甲状腺ホルモンには活性型のFT3と、その前駆体であるFT4、そしてこの2つの分泌量を調節しているTSHがあります。これらのバランスをみて、ホルモンの量が多すぎたり少なすぎる場合は、甲状腺機能に異常があると判断することが出来ます。

具体的には、FT3やFT4が正常範囲でもTSHが高い場合は潜在性甲状腺機能低下症、逆にFT3やFT4が正常範囲でTSHが低い場合は潜在性甲状腺機能亢進症といった感じです。

ただし、保険診療の検査では、甲状腺に病気があるなどして必要と判断された場合しかFT3の検査は行ってくれません。健康診断での検査や、甲状腺機能を単にチェックする保険診療の検査では、TSHとFT4の検査しか行ってくれないことが一般的です。

この場合、FT3のみが低値を示す「低T3症候群」と呼ばれる状態の発見を見逃してしまうことに繋がります。この低T3症候群は、甲状腺に異常が無いにもかかわらず、何らかの理由で甲状腺ホルモンが低下してしまう状態です。低T3症候群の場合も、低血糖症の発症や自律神経の乱れ、女性ホルモンの乱れなどに繋がることがあります。

様々な原因により、FT3のみが低値を示す低T3症候群となる事がある。この原因としては、食べないダイエットや過剰な糖質制限による栄養障害、鉄、亜鉛不足などが関係していると言われている

このことからも、甲状腺の機能をチェックするときは必ずFT3を含めた検査を受けるようにして下さい。一般の病院では保険適用の検査しか行ってくれないことから、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けて頂くことがオススメです。こちらの場合は自費検査になりますが、FT3を含めた検査を行ってくれる上、医師からの所見も行ってくれます。

オーソモレキュラー療法の詳細については、この記事の後半で解説していますので、興味がある方は是非チェックしてみて下さい。

ナンナン

生理前後におこる低血糖症やPMSの原因には、甲状腺機能の異常も関係している事があるんだね💧

はる かおる

うん。甲状腺も、糖代謝を司っている重要な臓器だからね。
特に、身体的にも肉体的にもストレスがかかっている女性は甲状腺機能に異常が起こりやすくなるよ。あとは、ダイエットなどで食事制限をし過ぎている女性や、お酒を飲みすぎている女性も甲状腺の病気になりやすいと言われているね。

ナンナン

ダイエットでも甲状腺機能に問題が起こるの❓

はる かおる

うん、食べないダイエットや食事制限などでは、身体が飢餓状態に陥ることから低T3症候群を発症しやすくなるんだ。これは、身体が飢餓状態から身を守るために代謝機能を落として節約モードになるためだよ。

ナンナン

な・・・なるほど・・・💧
そう言われてみれば、体調が悪くなる前は糖質制限や食べないダイエットを頑張っていた覚えがあるよ

はる かおる

やっぱりね・・・💧
女性の場合は、過度な食事制限やダイエットで体調を悪くする方が多いんだ。他にも、自律神経の乱れから消化吸収能が低下して、食べていてもしっかり消化吸収出来ずに低T3症候群に陥っている方もいるよ。

ナンナン

そうなんだ・・・💧
生理前後に低血糖が引き起こされるだけなのに、色々原因があるんだね💦

はる かおる

そう、他にも次に説明する「鉄欠乏性貧血」も、低血糖症やPMS、甲状腺機能の乱れに繋がる原因だよ。
低血糖症は原因が複雑に絡み合っているから、その根本からアプローチしていくことが大切だね。

女性に多い鉄欠乏性貧血や婦人科疾患も低血糖症、PMSの原因です。

ここまで、甲状腺機能の異常が自律神経の乱れや低血糖症を引き起こす原因になる事を解説してきました。

実は、この甲状腺機能の異常や低血糖症、女性ホルモンの乱れを引き起こす大きな原因がもう一つあります。それが、女性に多い鉄欠乏性貧血です。

鉄欠乏性貧血とは、その名の通り鉄の摂取量が少ない場合や不足している場合に起こる貧血のことです。この鉄欠乏性貧血は、全体の貧血原因の約7割を占めていと言われています。

この貧血は、放っておくと様々な不調を引き起こしてしまう原因になります。代表的な不調としては、ダルい、めまいがする、疲れやすい、動悸・息切れがする、イライラする、身体が冷える、鬱っぽくなる、頭痛がするなどです。

貧血状態では、自律神経が乱れることからめまいや耳鳴り、イライラや動悸、息切れ、冷え性など様々な不調が引き起こされる

これら症状以外にも、貧血は万病の元と言えるくらい様々な病気、不調に繋がります。

たかが貧血で?と思うかも知れませんが、上述した低血糖症や自律神経の乱れ、甲状腺機能の乱れや女性ホルモンの乱れは、根本に貧血が関係していると言っていいほど、貧血は様々な不調を引き起こす恐ろしい病気なのです。

この鉄欠乏性貧血は、特に女性がなりやすいと言われており、その原因は主に生理や出産などによる血液の喪失です。他にも、子宮筋腫、過多月経など何かしらの疾病や病気、怪我によって出血量が多くなった場合も鉄欠乏性貧血となります。

また、近年ではダイエットブームによって食べないダイエットやファスティングなどを行う方が増えてきました。このような鉄の摂取量が少ない方も鉄欠乏性貧血に陥りやすくなる原因です。

鉄・亜鉛不足は様々な不調の原因となる。不足する原因は間違ったダイエットや月経、出産など。女性に特に多い

併せて、現代ではコーヒーや紅茶、レトルトやインスタント食品の摂取量も多くなっています。これらには「タンニン」や「リン酸」などが多く含まれていることから、鉄分の吸収を阻害してしまいます。このような事も、余計に鉄欠乏性貧血に陥りやすくなってしまう原因になります。

鉄欠乏性貧血に陥る原因

  • 肉類の摂取量低下、菜食主義
  • コーヒーや紅茶の摂りすぎ(タンニンの影響)
  • レトルトやインスタント食品の摂りすぎ(リン酸の影響)
  • タンパク質不足
  • 胃の消化能力低下
  • ビタミンCやビタミンB群、亜鉛など造血に必要な栄養素の不足

そんな貧血の主な症状としては、「めまいや立ちくらみがする」「太りやすくなった」「爪がもろくてすぐ割れる」「喉に違和感があり、物を飲み込みにくい」など。この他にも、下図のように様々な症状が引き起こされます。

貧血の状態では、イライラなどの精神的不調に加え、疲れやすい、朝起きられないなどの身体的不調も引き起こされる。

このような不調の症状が多岐にわたることから、元々は貧血が原因にも関わらず「うつ病」や「パニック障害」などの精神疾患と間違えられてしまう場合も少なくありません。しかも、貧血と低血糖症の症状は似ている部分もあり、この2つの症状が重なる事で更に症状が酷くなることもあります。

例えば、低血糖症の主な症状を下記の表にまとめてみました。鉄欠乏性貧血の症状と見比べてみると、かなり似ていることが分かりますよね。

低血糖症の主な症状

  • 全身の倦怠感、疲れやすい
  • 集中力が無い
  • 眠気が強く、朝起きられない
  • 寒がり、低体温
  • 動悸がする
  • めまいがする
  • 冷や汗をかく
  • 不眠
  • イライラする
  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不安、恐怖感が強くなる
  • 太りやすくなった

また、貧血と低血糖症はどちらも症状が似ているので、低血糖症の裏に貧血が隠れていることにも気がつかない場合も多いです。もしくは、どちらも徐々に進行していくことから不調の状態に慣れてしまい、貧血や低血糖を抱えていることにすら気がつかない人もいるほどです。このため、貧血も低血糖症も精神疾患など他の病気と間違えられやすい病気でもあります。

では、この鉄欠乏性貧血と低血糖症、PMSにはどのような関係があるのでしょうか?

それは、貧血の状態だと全身に酸素や栄養が十分に届けられなくなってしまうためです。実は、私達が糖質や脂質、タンパク質などをエネルギーとして利用する際は、必ず酸素が必要です。この酸素を運んでいるのが「ヘモグロビン」と呼ばれる血液中の成分です。

このヘモグロビンは主にタンパク質と鉄で出来ていることから、貧血になると全身に酸素や栄養が運べなくなり、糖代謝を含めたすべての代謝が低下します。その結果引き起こされるのが、血糖値スパイクなどの血糖コントロール異常や低血糖症です。

この血糖値スパイクや低血糖、貧血は自律神経のバランスを乱してしまうことから、貧血や低血糖症はPMSと深い関係があります。

ナンナン

ふむふむ・・・貧血も自律神経が乱れて低血糖症やPMSに繋がる原因になるんだね

はる かおる

そうだよ、特に女性は貧血になりやすいから、貧血が低血糖症やPMSの根本原因になっている事も多いんだ。って、ナンナンまた何食べてるの?

ナンナン

これ❓ちょっと小腹が空いたから冷凍のピザをチンして食べようと思って。

はる かおる

うーん、そういう加工食品が多い食生活が、鉄欠乏性貧血になる原因だね💧 貧血は食生活も大きく関係しているから、食生活も治さないと。

ナンナン

そ、そうなの❓
わかった、明日から気をつけるようにするよ💦

なぜ、貧血、鉄不足が低血糖症の原因に? 貧血と低血糖症の深い関係

では、ここからは貧血と鉄不足がなぜ低血糖症の原因になるのかについての具体的な解説に移りましょう。少し難しい話になりますが、この関係を理解しておくことは、今後低血糖症と貧血改善を行っていく上で役に立つはずです。

まず、鉄分が私達の身体の中でどのように働いているのかについてです。鉄分は、全身に酸素を運ぶためのヘモグロビンの材料して使われる以外にも、全身の細胞がエネルギーを生み出す際の補酵素として使われています。

具体的には、私達が食べた糖質や脂質、タンパク質などは胃で消化され、小腸で吸収された後に血液中にのって全身へと運ばれます。全身へと運ばれた栄養素は細胞内のミトコンドリアへと運ばれ、このミトコンドリアがATPと呼ばれるエネルギーを産生することで、私達は筋肉を動かしたり体温となる熱をエネルギーを生み出しています。

このミトコンドリアがエネルギーを生み出すときには、鉄分を始めとしたミネラルやビタミンB群などが必要です。もし、貧血などで鉄が足りないと、ミトコンドリアがエネルギーを作る事が出来なくなってしまいます。

鉄はミトコンドリアのエネルギー産生(ATP産生)に重要な役割をもつ

それから、鉄分から作られるヘモグロビンは体中に酸素を運ぶ役割も担っています。ミトコンドリアがエネルギーを産生するときには、この酸素も欠かせません。酸素が不足してしまうと、更にエネルギー産生能力が低下し、糖のエネルギー利用や糖代謝が更に低下してしまうことに繋がります。

血液中のヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を持つ。酸欠になるとミトコンドリアがエネルギーを作れなくなり、全身のエネルギー産生量が減る

つまり、貧血になってしまうと①糖質、脂質、タンパク質などの栄養を細胞の隅々まで運ぶ能力が低下し、鉄が不足することでミトコンドリアがエネルギーを作り出せなくなります。さらに、③貧血状態では酸素の運ぶ量が低下し、ミトコンドリアが利用出来る酸素も減ってしまうというわけです。

この3つが重なる事でミトコンドリアが糖質や脂質、タンパク質などをエネルギーとして利用出来なくなってしまい、全身の細胞の働きや臓器の働き、糖の代謝が落ちてしまいます。これが、貧血から低血糖症へと繋がってしまう理由です。

加えて、貧血は代謝が低下することから、糖や脂質が使い切れずに余ってしまいます。すると、肥満や脂肪肝などの異所性脂肪へと発展し、さらなる血糖コントロール障害へと進行するきっかけになっています。これは、ミトコンドリアがエネルギーとして使えなかった糖質や脂質などのエネルギーは、インスリンなどの働きによって中性脂肪として身体や臓器に貯えられてしまうためです。

このことから「貧血になるとあまり食べていないのに太りやすくなる」と言われています。貧血が原因で肥満や脂肪肝など異所性脂肪へ発展することもあり、貧血が低血糖症の発症や、更なる血糖コントロール障害へと進行するきっかけになっているのです。

例えば、糖分(グルコース)は貯蔵型の糖であるグリコーゲンとして肝臓や筋肉に貯えられ、運動時や低血糖時などに必要に応じて使われています。これら糖をエネルギーとして使えない状態だと、そのぶんだけ血管内に余分な糖が溢れることになってしまいます。

溢れた血糖は過剰なインスリンの分泌を引き起こし、今度はインスリンの効き過ぎによって血糖値が下がりすぎます。このような状態が、機能性低血糖症や血糖値スパイクのような血糖値の乱高下を引き起こす原因です。

機能性低血糖症や血糖値スパイクとは、最初に解説したように炭水化物や甘い物を食べたときに血糖値が急上昇し、その後急降下して低血糖症に陥ってしまう低血糖症のことです。

機能性低血糖症は血糖値の急激な上昇と下降を繰り返してしまう病気

繰り返しになりますが、イメージとしてはこのように、甘い物や炭水化物の摂りすぎによって血糖値が急上昇します。その後すい臓から血糖値を下げるためのホルモンであるインスリンが大量に分泌し、インスリンが大量に分泌されたことによって④のように血糖値が急降下し、低血糖に陥ります。

この時、低血糖は脳を動かすためのエネルギーが足りなくなるため、耐えがたいほどの眠気や動機、冷や汗や息苦しさ、不安感や気分の落ち込み、頭痛など様々な不調が表れます。さらに、意識を失ったり命を失うリスクがあることから、身体は血糖値を上げるために副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリン等の血糖値を上げる作用のあるホルモンを分泌します。

これら血糖値を上げる作用のあるホルモンは、同時に交感神経を刺激するため、イライラしたり不眠になったり、ちょっとしたことで爆発的な怒りが湧いてきたり等の精神症状、身体症状を引き起こしてしまいます。このような血糖値の乱高下は自律神経の乱れも引き起こすため、重いPMSに繋がる原因です。

この他、鉄分はミトコンドリアのエネルギーとして使われる以外にも、脳の神経伝達物質の材料としても使われています。脳の神経伝達物質とは、分泌されると幸せな気分になったり、感情をコントロールしている物質のことです。よく聞くものとしては、うつ病の原因と関係があると言われている「セロトニン」などが有名ですよね。

このセロトニン以外にも「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」など様々な神経伝達物質がバランス良く分泌されて、私達の精神や自律神経が保たれています。

神経伝達物質にはノルアドレナリンやドーパミン、セロトニンなどがあり、セロトニンはこの2つを調節する役割がある

この神経伝達物質の材料には、鉄分が欠かせません。貧血では脳の神経伝達物質が十分に作れなくなってしまうことから、自律神経の乱れやうつ症状、パニック症状などメンタルに不調を引き起こす原因となってしまうのです。

例えば、下の図は神経伝達物質が合成されるまでの経路と必要な栄養素を表した物になります。

まず、神経伝達物質を合成するためには、材料として「アミノ酸」が必要です。このアミノ酸は、肉や魚などのタンパク質を胃で分解し、小腸で吸収することで補給しています。このアミノ酸にはおよそ20種類ありますが、そのうち脳の神経伝達物質として利用出来るのは「L-グルタミン」と「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」です。

脳の神経伝達物質の合成経路と合成に必要な栄養素。合成の第一段階で鉄が必要になっていることが分かる

そして、この3つのアミノ酸がそれぞれ「鉄」や「葉酸」「ナイアシン」などを利用して「L-グルタミン酸」や「L-チロシン」「5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)」などに合成され、最終的に「GABA」や「ドーパミン」「セロトニン」や「メラトニン」などに合成されて利用されています。

この脳の神経伝達物質を合成する際には、必ず鉄が必要です。例えば、「L-フェニルアラニン」から「L-チロシン」に合成する際には鉄が必要ですし、「L-トリプトファン」から「5-HTP(ヒドロキシトリプトファン)」に合成する時にも鉄が必要です。この時に体内で鉄分が不足していると、脳の神経伝達物質を合成するための材料が足りなくなってしまい、自律神経の乱れやうつ症状、感情が抑えられない、ストレスの増加、頭痛やめまいPMSや消化不良による腸内環境の悪化など様々な体調不良へと繋がってしまうのです。

それから、「セロトニンは幸せホルモン」だということをどこかで聞いたことがありませんか?セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンなどを調節する以外にも、分泌されることで多幸感を得られるホルモンでもあります。

このセロトニンから合成される「メラトニン」は、体内時計を司っていたり質の良い睡眠を司っており、リラックスするための副交感神経を優位にするホルモンです。

これら脳の神経伝達物質合成が出来なくなってしまうということは、副交感神経を優位にする事が出来なくなってしまうということに繋がります。副交感神経が優位に出来ない場合は、リラックス出来ない状態が続いてしまうということです。この状態では常に交感神経が優位の状態に陥り、交感神経優位の状態では胃や腸の働きが低下してしまいます。

加えて、交感神経優位の状態では常に神経が高ぶって身体がストレスを受け続け、副腎という臓器からストレスに対抗するためのホルモン(コルチゾール)が大量に分泌されます。このことから、副腎が疲れて副腎疲労へと進行し、結果的に更なる低血糖症へと繋がったり、自律神経が更に乱れて重いPMSや甲状腺機能の乱れに繋がったりなど、更なる悪循環に陥ってしまうのです。

ナンナン

貧血は、身体にとって良いことなんか全くないんだね💧

はる かおる

うん、貧血になると、代謝能力低下から低血糖症になりやすくなるよ。その他にも自律神経が乱れたり、胃や腸の働きが落ちることで低血糖症の原因にもなる。貧血と低血糖症は関連が深い病気なんだ

しかも、この貧血には必ず原因があるよ。貧血になる原因として婦人科疾患の可能性もあるから、きちんと検査を受けることが大切だね。

貧血の裏には、子宮内膜症など婦人科疾患の可能性あり。婦人科検診は若いときから必ず定期的に受診しましょう。

この貧血を引き起こす原因として、特に気をつけたいのが婦人科疾患です。婦人科疾患の中には過多月経など月経異常を引き起こすものもあり、婦人科疾患が原因で貧血が進行してしまう場合があります。

また、貧血になると自律神経が乱れたり、免疫力が低下したりすることから貧血自体も婦人科疾患を引き起こしやすくなります。

生理前後にかけてPMSなどの不調や低血糖症を抱えている方、貧血を抱えている方は、同時に婦人科疾患を抱えている恐れも高いです。特に下記の症状に当てはまる方は注意して下さい。

性成熟期の代表的な病気や悩み。特に自律神経の乱れと関係が深く、自律神経の乱れは貧血によって引き起こされ玲安いことから、貧血改善が第一のアプローチとなる

この場合はまず婦人科疾患へのアプローチが第一になります。異常が無いかどうかを調べるためにも、必ず検査を受けてみて下さい。代表的な婦人科疾患は「子宮内膜症」「子宮筋腫」「卵巣嚢腫」です。

子宮内膜症は、比較的若い女性に多い。子宮内膜症になると激しい生理痛などを引き起こすことから、PMSの改善にはこれら疾患が無いかどうかを調べることも重要

子宮内膜症は、本来子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内側以外の部分に発生してしまう病気です。主に20~30代の女性に発症する事が多いと言われ、閉経以降には症状が消えていく傾向にあります。

子宮内膜症になると、激しい生理痛や下腹部の痛みを引き起こすことが特徴です。まだハッキリとした発症原因は分かっていませんが、心理的な因子や環境の変化、栄養状態の悪化などが関与していると考えられています。

婦人科疾患の中でも比較的子宮筋腫を抱えている方は多い。子宮筋腫は良性の腫瘍でガンでは無いが、過多月経などが起こる場合は治療が必要

次の子宮筋腫は、子宮を構成している平滑筋という筋肉組織に出来る良性のしこりのことです。しこりというとガンと間違われることがありますが、子宮筋腫はガンではありません。子宮筋腫は、35歳以上の女性の4人に1人は見られる病気で、閉経後には萎縮、縮小していく傾向にあります。

症状としては、過多月経や過長月経、月経困難症、不正出血などがあります。このような症状が酷い場合や、過多月経などで貧血が進行する原因になっている場合は治療を行いますが、特に症状が無い場合には経過観察となる事もあります。

子宮筋腫になる方は交感神経過緊張型が多いと言われ、その根本には貧血による自律神経の乱れやエストロゲンなど女性ホルモンの乱れが関係していると言われています。治療を行う場合は、貧血のアプローチも同時に行っていく事が重要です。

時に命に関わる卵巣嚢腫。大きくなるまで無症状な事から、症状が無くても定期的に検査を受けることが大切

次に、卵巣嚢腫です。卵巣嚢腫は子宮の左右にある卵巣に、液体が入った袋のようなしこりが出来てしまう状態の事です。主に20代から40代〜50代にかけての性成熟期に引き起こされます。

卵巣嚢腫の場合は大きくなるまで無症状の事が多く、嚢腫が大きくなって症状が起きてから気がつくことが大半です。嚢腫が大きくなると、膀胱や腸を圧迫して便秘や排尿痛などの症状が引き起こされます。また、大きくなった嚢腫が破裂して出血を起こすと、命に関わることもあります。この時、下腹部の痛みが出てからは、尋常では無い痛みや吐き気、出血や発熱を伴うこともあります。

この卵巣嚢腫にはいくつかの種類があり、しこりに入った液体の中身によって「粘液性嚢腫」や「卵巣チョコレート嚢胞」などの呼び方に違いがあります。この中でも、卵巣チョコレート嚢腫については子宮内膜症が原因になる事が分かっています。

子宮内膜症と同じく、激しい生理痛や下腹部の痛みを感じている方は婦人科疾患のリスクがありますので、必ず検査を受けるようにしましょう。

女性は、乳がんや子宮体がんなど、女性特有のガンのリスクも高い。これらは早期発見、早期治療が最も効果的なことから、検診は定期的に受けましょう

他にも、乳がん、子宮体がん、卵巣ガン、子宮頸がんなどのリスクがあります。これらは早期発見、早期治療が大切です。

特にガンの場合は、血液検査のみで早期発見する事が難しいことから、超音波検査等における目視確認が重要です。血液検査における腫瘍マーカーは、ガン以外の炎症や感染症でも上昇してしまうことに加え、ガンがある程度まで進行していないと感知できない場合があります。

また、すべての癌腫が特定の腫瘍マーカーを生成するわけでは無いことから、血液検査腫瘍マーカーにおけるガンの早期発見は限定的です。このため、既にどのガンかが判明している術後のモニタリングでのみ、血液検査腫瘍マーカーが用いられています。

この事から、ガンの早期発見には定期的に超音波検査等を受けて頂くことが重要です。特に超音波検査は検査技師の腕と検査時間に左右されることから、腕の良い技師の元でじっくり時間をかけて検査を受けるようにしましょう。

健康診断や人間ドックなどで受ける検査では、検査人数が多いことから検査時間が短くなることが多く、それに伴って発見を見逃してしまうこともあります。

ガン検診を受ける際は、健康診断や人間ドックだけに頼らず、きちんとした医療機関でしっかりと時間をかけて検査を受けることが重要です。婦人科検診やガン検診は、一部オーソモレキュラー療法の対応クリニックでも行っています。オーソモレキュラー療法の血液検査と併せて受けてみて下さい。

ナンナン

げげっ、ボクの生理痛がやたら酷いのも、なにか病気が関係しているかも❓❓

はる かおる

その可能性もあるね。だからこそ、ちゃんと検査を受けることが大切なんだ。検査を受けるときは、専門の所でしっかりと検査を受けるのがオススメだよ。特に超音波検査で発見できるかどうかは、技師の腕と検査時間に左右されるんだ。人間ドックや健康診断の検査では不十分な場合が多いから、必ず専門の所でしっかりと検査を受けるようにしてね。

生理前から生理中にかけての低血糖症を改善させるには?分子栄養学的アプローチ

では、ここからはいよいよ生理前から生理後にかけて引き起こされる低血糖症を改善させるための具体的な分子栄養学的アプローチをご紹介します。

これまでの解説で、生理前から生理中にかけての低血糖症は、月経によるホルモンバランスの変化以外にも、貧血や甲状腺機能の乱れなど、様々な原因が関係している事を解説してきました。

このことから、生理前から生理中に引き起こされる低血糖症を改善させるためには、根本原因となっている疾患や原因を特定し、アプローチしていくことが大切です。

生理前後の低血糖症に対する主なアプローチの流れとしては、次のようになります。

生理前後の低血糖症におけるアプローチの流れ

  • 無理なダイエット、食事制限はやめる。
  • 食事内容を改善し、バランスの良い食事を心がける
  • 婦人科疾患の検査を受ける
  • 甲状腺の検査を受ける
  • 貧血や栄養障害が隠れていないかをオーソモレキュラー療法の血液検査でチェックする
    (特に隠れ鉄欠乏性貧血には注意)
  • 婦人科疾患や貧血があった場合は同時に貧血改善を行う
  • その他、必要に応じて栄養アプローチを行う

この中でも特に食事内容の改善は基本中の基本になりますので、ここはしっかり行うようにして下さい。特に間違ったダイエットや食事制限は、栄養不足から低血糖や貧血を引き起こしやすく、自律神経の乱れやPMS、甲状腺機能の乱れに繋がる原因になることがあります。

これらを防ぐためにも、日頃の食事は野菜や糖質ばかりに偏らず、肉や脂質なども含めてバランスの良い食事内容を心がけましょう。オススメとしては、野菜やタンパク質、炭水化物などがバランス良く摂れる和定食や地中海料理がオススメです。

これら和食や地中海料理は、肉や魚などおかずの種類も多く、野菜もしっかり摂る事が出来ます。身体のベースを整えるためにも、炭水化物やタンパク質、脂質を含めてバランスの良い食事を行って下さい。特に、メインの肉料理や魚料理は、しっかり欠かさず食べるようにすることが大切です。

このメイン料理に使われる肉や魚にはタンパク質が多く含まれています。タンパク質はインスリンを構成したり女性ホルモンを作ったりする際には欠かせない栄養素ですので、毎日欠かさず摂るようにして下さい。

また、血糖値スパイクが発生しやすい方、食後に低血糖症を引き起こしやすい方は、以下の点も気をつけて行ってみましょう。

食後の低血糖症、血糖値スパイクを予防する食事方法

  • 朝食を抜かない
  • 糖質中心の食事にならないようにする
    (甘いもの、スイーツ、ラーメンやパスタなどの炭水化物)
  • バランスの良い食事を心がける
  • 食物繊維を多く摂取する
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 食後は必ず歩く、運動する
  • 補食を取り入れるなど少量頻回で食べる
  • アルコール、カフェインを控える
低血糖対策では、糖質の摂りすぎを控える、食事は抜かない、食べたら歩くなどの対策が効果的。あわせて、糖代謝を改善させるための栄養補給も同時に行う

ただ、いくら健康になるために必要とは言え、カロリーが高いお肉をたくさん食べる事には抵抗がありますよね。一般的には、お肉に含まれている脂質はカロリーが高く、太りやすいと言われています。

しかし、カロリーを気にして肉を避けると、タンパク質が不足して肌荒れや髪の毛の艶が無くなる、爪がもろくなる、貧血になるなどの悪影響が起こります。このような栄養不足が続いている状態では、いくら痩せていても「おばあちゃん」のように身体がボロボロの状態になってしまいます。これではあまり意味がありませんよね。

また、肉や魚などに含まれる脂質は太る原因と言われていますが、脂質は摂りすぎなければ問題ありません。むしろ、脂質は身体にとって良い効果もあり、重要なエネルギー源です。逆にあまりにもカロリーを抑えすぎてしまうと逆に低血糖症や筋肉量の低下に繋がります。筋肉量が低下してしまうことの方が、むしろ太りやすくなってしまう原因です。

低血糖症対策や太りにくい身体を作るためには、タンパク質や脂質、炭水化物などをバランスよく食べて運動することが重要❗

この事からも、タンパク質やカロリーはしっかり摂るようにして下さい。特に気をつける点としては、摂取カロリーの量です。カロリーは多すぎても少なすぎてもダメで、ご自身に必要な量のカロリーを摂取することが重要です。

ご自身に必要なカロリー量については、次のサイトで計算することが出来ます。

基礎代謝量・1日の必要エネルギー量計算式

サイト上で、ご自身の体重と身長、年齢と性別を入力し、活動レベルを「低い」「普通」「高い」の中から選択して「計算」ボタンを押せば、一日に必要なエネルギー量と基礎代謝量が分かります。
ここで計算したカロリー量を参考に、一日に必要なエネルギー量は必ず摂取するようにして下さい。

例えば、ある人の基礎代謝量が1320kcal/日、一日に必要なエネルギー量が2292kcal/日だとしましょう。

この基礎代謝量は、「体温など生命維持をするために絶対必要なカロリー」のことです。この基礎代謝を下回ると命の危険に晒されてしまいます。基礎代謝量以上のカロリーは生きる上で最低限必要なカロリーですので、絶対に下回らないよう注意してください。

一日の必要エネルギー量は、基礎代謝に加えて体を動かしたり、頭を使ったり、喋ったりするなど日常生活を送る上で必要なカロリーが足されたものです。この一日に必要なエネルギーよりも摂取カロリーが足りないと、低血糖症の発症や筋肉量の低下に繋がります。逆に、この一日の必要エネルギー量を十分に摂取する事で、筋肉が壊されてエネルギーとして使われてしまうことを防げます。

そのため、ご自身に必要な一日のエネルギー量を計算し、これを下回らないような食事をするようにしましょう。

逆に、この必要エネルギー量よりも多いカロリーを摂取してしまうと肥満に繋がります。多すぎても少なすぎても体には良くありませんので、適切なカロリー摂取量を心がけて下さいね。

ナンナン

生理前から生理中にかけての低血糖症や、PMSを改善させるためには、適切なカロリーの摂取量が大事なんだね❗

はる かおる

そうだよ。食事内容は少なすぎても多すぎても低血糖症の原因になる。だから、適切な食事量をバランスよく摂る事が大切なんだ。
この時、タンパク質やビタミンB群など栄養素の補給も大事だよ。PMSや低血糖症を抱えている方は、消化吸収能も弱っている可能性もあるから、血液検査を受けて自分の状態の確認することと、必要な栄養アプローチのアドバイスを受けてみてね

隠れ鉄欠乏貧血に注意!貧血と診断されていなくても貧血には注意しましょう。

次に、貧血改善についてです。通常、貧血かどうかの判断は病院の血液検査で診断してもらいますよね。この時注意したいのが、病院の検査では貧血と診断されていないけど貧血になっている「隠れ貧血」と呼ばれる状態です。

現在の病院では、貧血の診断を「赤血球」や「ヘモグロビン」という値が低いかどうかだけでしか診ていません。ヘモグロビン値や赤血球値の低下は確かに貧血を診断する指標となるのですが、この値が一定以下にまで低下していない限り、仮にギリギリ下限の値だったとしても貧血と診断されないのです。この貧血と診断されていなくても貧血の状態になっている「隠れ鉄欠乏性貧血」の方が非常に多くなってきています。

貧血と診断されていなくても貧血になっている「隠れ貧血」の人は多い

隠れ貧血の大きな特徴としては「フェリチン値」のみが低値を示している状態であることです。フェリチンとは貯蔵鉄の事で、貧血が進行していく際には真っ先にこの貯蔵鉄から使われます。

鉄分が不足すると、貯蔵鉄であるフェリチンから優先的に使われる

この貯蔵鉄の量が少なくなってしまうと、いざ出血してしまったときにヘモグロビンなどに使う鉄が十分にありません。その結果、通常時は貧血と診断されていなくても、月経などで出血した場合にスグに貧血に陥ってしまいます。このような状態が、隠れ貧血と言われている状態です。

貧血の進行は、最初にフェリチンが減少し、次に血清鉄が減少。更に進行すると赤血球やヘモグロビンが減少する。

この隠れ貧血の状態では、ヘモグロビン値が下がっていなくても貧血と同じような不調が引き起こされていきます。また、貧血が徐々に進行していくことから、貧血だと気がつかないまま徐々に頭痛やめまい、倦怠感や食欲不振などの症状が悪化している場合もあります。

このような貧血と診断されていないけど貧血に陥ってしまっている状態の方はかなり多く、一般的な病院の血液検査ではまず見つけてくれません。このような貧血と診断されていないけど実際には貧血が隠れている「隠れ貧血」や「潜在性鉄欠乏性貧血」の方も、低血糖症になりやすくなるので注意が必要です。

はる かおる

貧血と診断されていなくても貧血になっている「隠れ貧血」の人は多く存在しているよ。隠れ貧血でも低血糖症を発症する恐れがあるから、まずは隠れ貧血が無いかどうかをオーソモレキュラー療法の血液検査で調べて見てね。

低血糖症を改善するにはまず貧血改善から。 ただし、無闇に鉄を補給するのは危険です!

それでは、ここからは具体的な貧血改善の方法の解説に移ります。貧血改善は特に重要な項目ですので、ここはしっかり学んでおいて下さい。

先ほども解説したように、貧血は低血糖症と関係があり、低血糖症を改善させるためにはまず貧血改善が優先です。ただ、貧血改善と言っても、単に鉄を補給すれば改善出来るわけではありません。間違った鉄分補給や方法だと、逆に身体にダメージを与えてしまう原因になります。

特に、貧血改善を行う上で最も重視すべきは「鉄分の種類」です。鉄分には、食品から摂れる鉄分や病院で処方される鉄剤など、様々な種類の鉄分があります。この鉄分には安全な鉄分もあれば身体にダメージを与えてしまう鉄分もあります。鉄分の選び方を間違えてしまうと、貧血改善どころか逆効果にもなりかねません。その中でも特に危険な鉄分が「病院で処方される鉄剤」です。

貧血と診断された場合や治療と言えば、真っ先に「鉄剤」が思い浮かびますよね。「鉄欠乏性貧血」と言われているくらいですから、鉄を補給すれば貧血が改善出来る。そう思われています。

しかし、病院で処方される鉄剤を飲んでも、貧血を十分に改善することは出来ません。むしろ、鉄剤を摂取する事により大量の活性酸素が発生し、胃や腸の粘膜にキズを付けてしまう可能性があるのです。

病院で処方される鉄剤は体内で活性酸素を発生させる原因となり、細胞や粘膜にダメージを受けてしまう

この原因は、病院で処方される鉄剤の多くが「無機の鉄そのもの」であるか、吸収効率が非常に悪い事が原因です。無機の鉄とは、タンパク質などと結合していない「鉄そのもの」の状態のものです。鉄は、酸素と結びつきやすく、錆びやすいことはご存じですよね。このサビが体内で活性酸素を発生する原因になる事から、体内では鉄を安全に運んだり利用したり出来るようにタンパク質に包まれて大切に扱われています。

しかし、鉄剤を大量に服用すると、吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。活性酸素とは、酸素の一部が通常よりも活性化された状態になることで、活性酸素の事を「フリーラジカル」とも呼びます。

この活性酸素はその活性の高さから細胞を傷つけてしまい、むしろ胃粘膜や腸粘膜を傷つけ、消化吸収能の低下や、SIBO、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群(IBS)など炎症性の腸疾患や肝炎、非アルコール性脂肪肝などに進行してしまう可能性があるのです。この事から、病院で処方される鉄剤で貧血対策を行う事はオススメしません。

病院で処方される鉄剤の例としては、次のような物があります。

病院で処方される非ヘム鉄の例

  • フェロム (フマル酸第一鉄) 有機鉄
  • フェロミア (クエン酸第一鉄) 有機鉄
  • リオナ (クエン酸第二鉄) 有機鉄
  • インクレミンシロップ (溶性ピロリン酸第二鉄) 有機鉄(食品添加物としても使われる)
  • フェロ・グラデュメット(硫酸第一鉄)無機鉄 発色剤の一種。食品添加物としても使われる。
病院で処方される鉄剤は「非ヘム鉄」であり、吸収率が非常に悪い。

特に処方が多い鉄剤としては、「フェロム」や「フェロミア」などがあります。これらは1回の服用量が100mgとかなり多く、これだけ飲んだとしてもたった5mg程度しか吸収することが出来ません。かなり吸収率が低い割には身体へのダメージが大きく、人によっては胃がムカムカしたり便秘になったりと副作用が出る場合があります。

対して、このような胃腸障害や活性酸素が発生しにくく、吸収率が高い鉄が「ヘム鉄」です。鉄には大きく分けて、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。ヘム鉄とは肉や魚などに含まれている動物性の有機鉄のことで、ポルフィリン環というタンパク質の一種と結合しているのが特徴です。それ以外の鉄は、クエン酸などと結合させた有機鉄と、硫酸第一鉄のような有機酸と結合していない無機鉄があります。

鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と野菜や果物などに含まれる「非ヘム鉄」がある

鉄剤の中には「第一鉄」や「第二鉄」と書かれている物がありますが、これは鉄イオンの状態を表しています。
第一鉄がFe2+、第二鉄がFe3+です。何だか難しい話しですが、簡単に言えば鉄が元気をちょっと失った状態(電子2個分)が第一鉄であり、二価鉄やFe2+と表されます。

第二鉄は鉄が元気をもっと失った状態(電子3個分)で、三価の鉄やFe3+と表されます。二価や三価は、失った元気(電子)の数だと思ってください。この二価の鉄が酸素と反応すると、酸素が二価の鉄から元気(電子)を1つ奪っていきます。すると、二価の鉄は元気(電子)をさらに1つ失って、三価の鉄になります。逆に、三価の鉄がビタミンCや水素などによって元気(電子)1つ受け取ると、ちょっと元気になって二価の鉄になります。これを酸化還元反応と言います。

つまり、酸化とは電子を失うこと、奪われることであり、還元とは電子を得ること、奪うことです。二価鉄と三価の鉄は、この違いから二価の鉄は水に溶けやすく、腸から吸収されやすい性質を持ちます。逆に、三価の鉄は水に溶けにくく、腸から吸収しにくい性質があります。

そのため、第二鉄である三価の鉄を吸収するためには、必ず二価の鉄に還元する必要があります。先ほどの鉄剤の一覧を見ると、第二鉄であるFe3+が混ざっていることが分かりますよね。この第二鉄であるFe3+は、水に溶けにくいためにそのままの状態では小腸粘膜から吸収することが出来ません。一度Fe2+の状態に還元して初めて吸収することが出来ます。この鉄の吸収メカニズムを表したものが次の図です。

鉄剤やホウレン草などに含まれるFe3+は、一度Fe2+に変化させないと吸収することが出来ない

上の図では、動物性の食品に含まれるヘム鉄はそのまま取り込まれているのに対し、非ヘム鉄である三価の鉄(Fe3+)は、一度二価鉄であるFe2+に変化してから取り込まれているのが分かるかと思います。

このFe3+の非ヘム鉄では、ビタミンCや小腸粘膜から分泌される鉄還元酵素によってFe2+に還元されて吸収されています。この過程が必要な事から、三価の鉄(Fe3+)は非常に吸収効率が悪い鉄です。しかも、この時にすべてのFe3+をFe2+に還元して吸収することは出来ません。同じく二価の鉄である第一鉄も、吸収出来るのは5%以下です。

単に吸収出来ないだけならいいのですが、実は他にも問題があります。それが、吸収出来なかった鉄分はそのまま大腸へと流れると、それがカンジダ菌など悪い腸内細菌のエサとなってしまうということです。実は、鉄分は人体に限らず細菌やカビ菌などにも必須の栄養素で、鉄分がなければ増殖することが出来ません。

そのため、消化吸収出来ずに大腸へと流れた鉄分は、カンジダ菌などのエサとなって悪い腸内細菌がドンドン増殖してしまいます。すると、今度は増殖した悪い菌が毒素を出して腸粘膜などを傷つけたり、血管内に毒素が入り込んで様々な悪影響を引き起こしてしまいます。このような腸内環境の悪化も、全身の様々な体調不良を引き起こしてしまう原因です。

このことから、鉄分を補給する際は「ヘム鉄」から補給するのがオススメです。ヘム鉄とは、肉や魚に多く含まれる鉄分のことで、ヘム鉄はポルフィリン環と呼ばれるタンパク質のカプセルのような物に包まれており、上述した非ヘム鉄に比べて活性酸素を殆ど発生させないと言われています。

また、非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと結合し、吸収率が落ちてしまいますが、ヘム鉄であればこれらの影響をあまり受けずに吸収することが出来ます。特に吸収率においてはヘム鉄の方が高く、吸収効率が10%〜30%程度あるのに対し非ヘム鉄は僅か5%以下しかありません

このようにヘム鉄で鉄分を摂取する方が身体へのダメージが少なく、メリットが大きいことから、サプリメントで鉄分を補給する際はヘム鉄で摂取するのがオススメです。

ヘム鉄は専用の吸収経路があり、タンニンなどの吸収阻害要因からの影響も受けにくい。

では、なぜここまでヘム鉄が優れているのでしょうか? その理由は、ヘム鉄の構造もさることながらその吸収経路にあります。ヘム鉄には「ヘムトランスポーター」と呼ばれる専用の吸収経路が腸に存在しており、この専用の吸収経路から効率的に吸収されることで、非ヘム鉄よりも効率的な吸収が可能になっているのです。

ちなみに、非ヘム鉄の吸収経路はDMT1という経路を使って行われています。この吸収経路は亜鉛や銅など他のミネラルを吸収経路と共通になっているため、鉄剤を多く飲めば飲むほど亜鉛など他のミネラルの吸収を阻害してしまい、亜鉛が欠乏することによって「亜鉛欠乏性貧血」という貧血を引き起こしてしまう原因になります。

このように非ヘム鉄の鉄剤を大量に摂取することは体内に悪影響をもたらす可能性が高いことから、鉄剤を用いての貧血改善はオススメしません。

この事は海外製のサプリメントとしてよく販売されている「アミノ酸キレート鉄」も同じです。アミノ酸キレート鉄とは、本来吸収効率の悪い鉄を「グリシン」と呼ばれるアミノ酸でサンドイッチする事で、飛躍的に吸収効率を高めた鉄サプリメントです。

キレート鉄は、メガビタミン健康法など一部の方の間ではブームとなっています。ただ、このキレート鉄のサプリメントは良いことばかりではありません。

海外サプリメント通販で手軽に入手出来るアミノ酸キレート鉄。吸収率が高い代わりに鉄過剰のリスクが高い

一見すると、鉄分の吸収率がとても高い事は良いことのように思えますよね。しかし、アミノ酸キレート鉄は鉄分だけを無理矢理大量に吸収させることから、とても利用効率が悪くなります。造血には鉄以外にも亜鉛や銅、セレンやマンガン、タンパク質なども必要で、これらが足りない場合は造血することが出来ません。特に、アミノ酸キレート鉄では鉄だけを大量に吸収させることから、他のミネラルとのバランスを崩しやすくなります。

鉄を多く摂取すれば貧血が改善出来るような気がしますが、鉄だけ大量に補給しても造血することは出来ません。造血するには「亜鉛」も必要で、鉄欠乏性貧血の方は同時に亜鉛欠乏性貧血も抱えている場合が多くあります。このような理由から、アミノ酸キレート鉄及び病院から処方される非ヘム鉄の摂取は、むしろ亜鉛欠乏性貧血や炎症による貧血を招く原因となってしまうのです。

ナンナン

げげっ❗今まで病院で処方された鉄剤を飲んでいたけど、これがむしろ体調を悪化させる原因になっちゃうのか❗

はる かおる

そう。同じく海外サプリメントにある「アミノ酸キレート鉄」も利用効率が悪くて身体にダメージを与える原因になるね。だからこそ、鉄分を補給するときは利用効率を考えてヘム鉄を摂ることがオススメだよ。この時、ヘム鉄以外にも亜鉛もちゃんと摂るようにしてね。

貧血は「鉄欠乏」だけじゃない!貧血改善に大きな役割を果たす亜鉛の重要性

貧血というと「鉄分だけが不足している」というイメージが強いですが、鉄不足だけが貧血の原因ではありません。鉄以外にも様々なミネラルやタンパク質が関係していて、その中でも特に「亜鉛」が重要な働きをしています。亜鉛はヘモグロビンの材料となる「ポルフィリン環」の合成に必要な材料であるほか、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの合成にも必要です。

この亜鉛が不足してしまうと、貧血が改善出来なかったり、亜鉛欠乏性貧血を引き起こしたり、糖尿病や低血糖症を引き起こしてしまう原因になります。

ヘモグロビンの構造とポルフィリン環の構造

この図は、赤血球を構成しているヘモグロビンの構成を表した物です。ヘモグロビンは「ヘム」というポルフィリン環と鉄がくっついた物で、グロビンはタンパク質です。この2つが組み合わさることで、ヘモグロビンは構成されています。

よく見ると、ヘム鉄の元になる「ポルフィリン環」の材料に亜鉛が必要と書いてありますよね。ポルフィリン環とはタンパク質のカプセルのような物で、ヘム鉄はこのタンパク質に包まれていることが最大の特徴です。

私達が摂った鉄分はこのポルフィリン環に包まれた「ヘム鉄」と呼ばれる状態に合成され、ヘモグロビンの合成などに利用されています。この時に亜鉛が不足しているとポルフィリン環が十分に合成できなくなり、ヘモグロビンの合成量低下に繋がります。このことから、亜鉛は造血をする際にも必要な栄養素です。

他にも、亜鉛欠乏は「亜鉛欠乏性貧血」とも関係しています。亜鉛欠乏性貧血とは、亜鉛が不足することによって赤血球の膜が破れやすくなり、毛細血管通過時に血管とこすれて壊れてしまう状態の事です。

亜鉛欠乏性貧血では赤血球の膜が弱くなり、血管とこすれて赤血球が破裂してしまう

赤血球が壊れてしまうと、その中に含まれるヘモグロビンも壊れてしまいます。先ほど、ヘモグロビンの構成については説明しましたよね。このせっかく作ったヘモグロビンや赤血球が次々に壊れてしまうと、これら合成量よりも破裂量が多くなって、貧血が進行する原因になります。亜鉛は、この赤血球の膜を丈夫にし、壊れにくくするために必要な栄養素です。

それから、亜鉛はインスリンの作用にも関係しています。インスリンは血糖値を下げてくれるホルモンで、このホルモンの効きが悪くなると血糖値が十分に下げられなくなります。その結果、糖尿病や低血糖症、虚血性疾患やガンの発症に発展する可能性があります。

亜鉛はインスリンの合成、作用に必要な栄養素。不足するとインスリン分泌、機能低下を招き、低血糖症や糖尿病の原因となる

このインスリンの合成や作用に必要な栄養素が「亜鉛」です。正常な人の場合、すい臓でインスリンが分泌されるときは、亜鉛も同時に分泌されています。この亜鉛がインスリンを保護することで、肝臓でインスリンが分解されてしまうことを防いでいます。

しかし、亜鉛が不足している場合、すい臓はインスリンだけを分泌します。すると、亜鉛に保護されていないインスリンは肝臓で分解されてしまい、全身インスリン濃度が低くなってしまうのです。このインスリンの働きが低下したり濃度が低くなると、そのぶんだけ血糖値が上昇し、血糖値スパイクを引き起こしやすくなります。つまり、低血糖症は亜鉛不足も大きな原因の1つです。

そんな亜鉛不足は、鉄欠乏性貧血と関係ないように思えますよね。しかし実は、この亜鉛不足は鉄欠乏性貧血と密接な関係がある事が分かっています。ある鉄欠乏性貧血の女性グループを調べたところ、鉄欠乏性貧血の女性は健常な女性と比較して、血清亜鉛濃度が低いことが分かりました。

亜鉛欠乏と鉄欠乏性貧血の関係。鉄欠乏性貧血がある人は同時に亜鉛欠乏を抱えている可能性が高い

この研究では、鉄欠乏性貧血の女性30名のうち、血清亜鉛濃度が70μg/dL(正常値80μg/dL)を下回っている女性が27名とおよそ90%の女性が亜鉛欠乏状態でした。対して鉄欠乏性貧血で無い健常の女性30名では、血清亜鉛濃度が70μg/dLを超えている女性が29名と、殆どの方に亜鉛欠乏が見られなかったのです。

このことから、亜鉛欠乏と鉄欠乏性貧血には相関関係があり、鉄欠乏性貧血を抱える女性の殆どは亜鉛欠乏も同時に抱えていることが予想されます。亜鉛は、上述したようにポルフィリン間の材料となったり、赤血球の膜を強くしたり、インスリンの働きに関与していたりと、貧血や低血糖症にも大きく関係している栄養素です。

鉄欠乏性貧血を改善したい場合は、この事も考慮して「亜鉛」も同時に摂取していきましょう。何度も言いますが、病院で処方される鉄剤やアミノ酸キレート鉄は、鉄のみしか補給出来ません。これらを大量に摂取することは、亜鉛を含めたミネラルバランスを崩す原因になります。これでは余計に体調を崩す原因になりますので、摂取する鉄分の種類や量にはくれぐれも注意しましょう。

ナンナン

ふむふむ、貧血は単に鉄が足りないだけじゃ無くて、亜鉛なんかもミネラルも不足している状態なんだね。

はる かおる

そうなんだ。だからこそ、ミネラルはバランスよく摂る事が大切だよ。特に、鉄剤やアミノ酸キレート鉄での鉄分補給は、逆に亜鉛欠乏や炎症を引き起こす原因になる可能性があるから、むやみやたらに鉄分を補給することはしないようにしてね。

貧血を改善させるための具体的な分子栄養学的アプローチ

では、具体的な鉄分の摂取目安や貧血改善に必要な栄養素などは、どのようにアプローチをすれば良いのでしょうか?

先ほども解説しましたが、鉄分を補給する際に選ぶべき鉄の種類は「ヘム鉄」です。
ヘム鉄は肉や魚などに含まれている動物性の有機鉄のことで、病院などで処方される鉄剤の「非ヘム鉄」や海外サプリメントの「アミノ酸キレート鉄」よりも安全です。ヘム鉄なら非ヘム鉄よりも吸収率が高く、これら鉄分に比べて活性酸素を発生させる心配が少ないというメリットがあります。

鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と野菜や果物などに含まれる「非ヘム鉄」がある

このヘム鉄をベースに、鉄代謝や造血に必要なミネラルなども併せて摂るようにしましょう。貧血改善に必要な栄養素は次の通りです。

鉄欠乏性貧血の改善に必要な栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • 亜鉛
  • マンガン
  • セレン

この中でも、最も重要なのは「タンパク質」です。先ほども解説したように、無機の鉄そのものの状態で体内に存在すると活性酸素が発生して危険なことから、身体は安全に鉄を運搬、利用する際は必ずタンパク質で出来たカプセルに鉄分子を入れて利用しています。これが、ポルフィリン環やフェリチンなどですね。

つまり、鉄を安全に運搬、利用するためにはタンパク質が絶対に欠かせません。いくら鉄分を多く補給しても、安全に貯蔵、運搬、利用出来るためのタンパク質がない状態では、貧血を改善させることが出来ないのです。

このことから、貧血改善をするためには鉄分摂取に加えて「タンパク質」もしっかり摂るようにしましょう。最低でも一食当たり100g〜200g程度の肉や魚は取り入れたいところです。足りない分は、プロテインなどを活用するのも良いですね。加えて、タンパク質を利用するために必要な補酵素である「ビタミンB群」も積極的に補給するようにして下さい。

そして、次に「ヘム鉄」です。ヘム鉄の摂取量目安は、血清フェリチン値を目安に判断します。血清フェリチン値の検査はオーソモレキュラー療法の血液検査を受けることで調べることが出来ますので、気になる方は受けてみて下さい。

血清フェリチン値は男女で基準値の違いがありますが、おおよそ40ng/mL未満では貧血と判断することが出来ます。この場合は、ヘム鉄として一日45mgを目安に摂取してみて下さい。

また、血清フェリチン値が40〜100ng/mLの間では、貧血では無いものの貯蔵鉄がやや不足している状態です。この場合も、十分な貯蔵鉄が貯えられるよう、一日あたりヘム鉄として15mg程度補給してみて下さい。継続していくにつれてフェリチン値は徐々に上がっていき、血清フェリチン値が125ng/mL程度になるのが理想と言われています。

フェリチンに対するヘム鉄摂取量目安。40ng/mL以下では積極的な補給が望まれる。

ただし、有経女性の場合は毎月月経があるのでフェリチン値はなかなか上昇しない傾向にあります。有経女性の場合は血清フェリチン値が60ng/mL前後を保てていれば大丈夫ですので、それ以上フェリチンが下がらないようキープすることに努めましょう。

それから、フェリチン値は貧血の判断以外にも「炎症」を見るためのマーカーでもあります。フェリチン値は体内で炎症が発生していても上昇することがあり、ガンなどでは著しく上昇する場合もあります。
特に、フェリチン値が200ng/mLを超えていたり、フェリチン値が高くてヘモグロビン値が低い場合は何らかの炎症が関与している可能性が高いです。この場合は、炎症の原因となっている原因を調べ、適切に対処するようにして下さい。

さらにこのヘム鉄の補給に加えて、亜鉛の補給も重要です。亜鉛は、上述したようにポルフィリン間の材料となったり、赤血球の膜を強くしたり、インスリンの働きに関与していたりと、貧血や低血糖症にも大きく関係している栄養素です。この亜鉛を同時に摂取する事で、更に貧血を改善しやすくなるという結果が出ています。

「鉄だけ」「亜鉛だけ」の摂取グループと「鉄と亜鉛」を摂取してもらったグループの変化。鉄と亜鉛を摂取した方が有意な改善が見られた。

この図は、貧血の女性に「鉄だけ」を摂取してもらったグループと、「亜鉛だけ」を摂取してもらったグループ、そして「鉄と亜鉛」を摂取してもらったグループの変化を見た結果です。この結果では、鉄のみ、亜鉛のみのグループと比べ、「鉄と亜鉛を同時」に摂ったグループの方が赤血球数の改善に有意な差が見られました。

このことから鉄分だけや亜鉛だけを摂取するのでは無く、鉄分と亜鉛は同時に摂取する方が効果的です。この時補給する鉄分は、もちろん「ヘム鉄」を選ぶようにしましょう。ヘム鉄はドラッグストアーなどで売られている物もありますが、何でも良いわけではありません。

安いサプリメントや海外サプリメントでは添加物が多かったり、パッケージに表示されていない薬物が混入している可能性があります。これらは、肝臓などに負担をかけ、むしろ体調を悪化させてしまう恐れがあります。

これに対し、分子栄養学で用いる専用のサプリメントはドーズレスポンス(至適量)に対応出来るよう専用の設計と安全性を考慮して作られています。そのため、高容量の摂取でも身体に負担が無く安心です。

市販の安いヘム鉄サプリにはご注意!

ヘム鉄のサプリと言えば、ドラッグストアーなどで安く販売されている物を見かけることがありますよね。ヘム鉄が補給出来るなら、安くて量が摂れるに越したことはありません。しかし、同じヘム鉄といえどその質にはピンからキリまであります。特に、「ヘム鉄パウダーの量」と「ヘム鉄含有量」は全く違うものですので注意して下さい。

ヘム鉄は豚の血液を精製して作られており、ヘム鉄パウダーと呼ばれるパウダー状の中にヘム鉄が1%もしくは2%含有している物が一般的です。例えば「一粒でヘム鉄50mg」と書かれていても、これはヘム鉄パウダーが50mg含まれているだけであり、実際にはその中の1%〜2%である0.5mg〜1mgしかヘム鉄が含まれていない計算になります。このように、多く含まれているように見せかけて、実際にはヘム鉄が殆ど含まれていない物があるのです。

また、繰り返しますが貧血改善にはヘム鉄以外にも微量ミネラルと呼ばれるセレンやマンガン、銅や亜鉛など他のミネラルの補給も重要です。ヘム鉄として市販されている商品の多くはヘム鉄のみなど鉄分の補給しか出来ません。加えて、ヘム鉄の製造管理には高度な技術が必要で、生体内利用効率まで考慮すると安く作る事は不可能です。物によっては、製造管理体制が悪く、品質が劣化している物もあります。

この事から、同じように見えるヘム鉄サプリメントであっても、体内での利用効率が悪く、貧血が改善出来ない場合があります。これを避けるためにも、ヘム鉄を摂取する際は生体内のミネラルバランスや生体内利用効率などを考慮した質が高いものを選ぶようにして下さい。分子整合栄養医学で使われているヘム鉄製品は、「鉄の取り込み」「利用」「貯蔵」「排泄」など貧血改善における鉄分本来の働きが安全に出来るよう考慮されています。ヘム鉄を選ぶ際は、値段や含有量にとらわれず、体内で安全に利用出来る安心、安全な製品を選びましょう。

貧血改善には、サプリメントの質が重要。鉄単体の補給はむしろ逆効果となる。
ナンナン

ヘム鉄のサプリメントを摂るときは、質に気をつける必要があるんだね

はる かおる

そうそう。質が悪いサプリメントの場合は、大量に摂取することでむしろ体調を悪化させてしまう原因になるよ。しかも、貧血改善は、単に鉄を補給するだけじゃ出来ないから、補給する鉄分の種類やサプリメントの質は特に気をつけた方が良いね。

婦人科疾患に対する分子栄養学的アプローチ

上記に加えて、子宮内膜症や子宮筋腫、卵巣嚢腫など婦人科疾患を抱えている方は、同時に婦人科疾患のアプローチも行いましょう。

婦人科疾患に対する分子栄養学的アプローチは、基本的に貧血と同時アプローチとなります。この際、必要に応じてビタミンAとビタミンD、ビタミンEを増量するなどしてみてください。これらは、粘膜の修復やホルモンバランスを整える効果があったり、免疫力を強化したり、炎症時に発生する活性酸素を抑えてくれたりなどの働きがあります。

人によって必要量は異なりますので、詳しい摂取量についてはオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

婦人科疾患のアプローチは、貧血のアプローチに加えて、粘膜を整えたりホルモンバランスを整えるビタミンEやA、Dなどを強化する

甲状腺疾患に対する栄養アプローチ

続いて、甲状腺疾患を抱えている方は同時に甲状腺疾患に対するアプローチも行いましょう。

甲状腺機能障害は大きく分けて「甲状腺機能亢進症」と「甲状腺機能低下症」があります。甲状腺機能亢進症の場合は、高まっている代謝にあわせて積極的な栄養補給が必要です。特に代謝が高すぎる場合は心臓機能に負担がかかることから、心機能をサポートするアプローチが重要になります。

対して甲状腺機能低下症の場合は、低下している代謝を上げるためにも、代謝を促進するアプローチが重要です。また、甲状腺機能低下症では脂質代謝が悪化することから動脈硬化対策も重点的に必要になります。

どちらを発症しているかでアプローチが変わりますので、適切な方のアプローチを行って下さい。

甲状腺機能亢進症に対する栄養アプローチ

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • CoQ10
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • カルシウム・マグネシウム
  • ヘム鉄・亜鉛

甲状腺機能低下症に対する栄養アプローチ

  • ビタミンE
  • ビタミンB群
  • CoQ10
  • ビタミンC
  • カルシウム・マグネシウム
  • タンパク質
  • ヘム鉄・亜鉛
甲状腺疾患は、機能亢進症と低下症で全くアプローチが異なるので注意!

1つ注意して頂きたいことは、これら分子栄養学的アプローチはあくまで甲状腺機能障害によって乱れた代謝をサポートするために行うという点です。

上記分子栄養学的アプローチは、甲状腺機能障害を治すための治療ではありません。甲状腺機能障害を治すためには、病院での適切な治療に加えて、食事の改善や生活習慣の改善、その他原因となっている疾病の治療などを同時に行っていく必要があります。

また、人によっては消化サポートが必要になるなどその人の状態によっても分子栄養学的アプローチは大きく変わります。単純に書かれている栄養素を摂れば良いというわけではありません。適切なアプローチ方法はその方の状態や疾病によって大きく変わってきますので、栄養アプローチを行う際は必ずオーソモレキュラー療法の血液検査を受けてから行って下さい。

はる かおる

甲状腺機能障害の栄養アプローチについては、薬との飲み合わせや薬の影響を考慮する必要があるから、必ず検査を受けて医師の指示の元、栄養アプローチを行うようにしてね。自己判断での栄養アプローチは絶対にやっちゃダメだよ❗

女性ホルモンを整える分子栄養学的アプローチ

次に、女性ホルモンを整える分子栄養学的アプローチについてです。こちらのアプローチは、必ず前述した甲状腺の検査やアプローチと合わせて行うようにして下さい。

女性ホルモンの乱れは、前述した自律神経の乱れや甲状腺機能の乱れ、低血糖症以外にも、子宮内膜症の治療における服薬や、ピルの常用、鉄欠乏貧血、生理不順や早期閉経などでも引き起こされます。

特に生理不順や早期閉経は鉄欠乏貧血など栄養欠損が原因で引き起こされますので、併せて貧血改善は必ず行うようにしましょう。

日本では、月経のある女性の約70%〜80%が月経前に何らかの症状があると言われている。この原因には、鉄欠乏や服薬、自律神経の乱れなどが関係していると言われる

女性ホルモンを整えるアプローチとして最も重要なことは、「コレステロール」を十分に作れるようになる事です。

コレステロールと言えば、血液検査の結果で高すぎると動脈硬化などの疾病を引き起こす悪者というイメージですよね。

しかし、コレステロールは体内で様々な重要な役割を果たしています。その1つが、女性ホルモンを合成する材料として使われていることです。

女性ホルモンは、コレステロールを元に作られる。また、ビタミンEには人間の脳にある脳下垂体に働きかけることで、下垂体から分泌されるホルモンを一定に保つ役割がある。

こちらの図は、性ホルモンの合成過程を表した図です。一番上のコレステロールから「ブレグネノロン」に合成され、そこから黄体ホルモンや女性ホルモンなど、様々な性ホルモンに合成されていることが分かりますよね。

この表から分かるように、女性ホルモンの乱れを整えるためには、ホルモンの材料となるコレステロールが体内でしっかり作られるようになる事が重要です。

コレステロールを体内でしっかり作るためには、十分なタンパク質が欠かせません。これは、あぶらが水に溶けにくいことから、血液中であぶらを運ぶためにはタンパク質とあぶらを結びつける必要があるためです。

私達の身体の中では、主に肝臓が、脂質とタンパク質を材料にコレステロールを合成しています。このため、脂質とタンパク質が多く含まれる肉や魚、乳製品や卵などもしっかり食べるようにしましょう。

ただ、この時注意したいのが、コレステロールが多い食べ物を食べたからと言ってそのまま体内でコレステロールになるわけでは無いと言う点です。

よく、乳製品や卵、バターやラードなどの動物性脂肪はコレステロールが多い食べ物と言われていますよね。これらを食べると、コレステロール値が上昇すると言われています。しかし、実はコレステロールが多い食べ物を食べたからと言って、そのコレステロールが体内でそのまま使われるわけではありません。

体内に存在するコレステロールの大半は主に肝臓で作られています。このため、コレステロールが多い食べ物を食べたからと言って、それがそのままコレステロール値に反映されるわけではないのです。

また、LDLコレステロールが高いと虚血性疾患など病気のリスクが上がると言われていますが、これについては間違った情報です。正しくは、酸化したLDLコレステロールが動脈硬化や虚血性疾患などのリスクを高めます。

酸化LDLコレステロールとは、ストレスや活性酸素、酸化した油の摂取によって酸化してしまったLDLコレステロールのことです。酸化LDLは血管壁を傷つけてしまうことから、健康な血管が本来持っている血管の伸縮性を失い、切れやすくなります。

加えて、酸化LDLコレステロールが血管壁に沈着すると、白血球の一種であるマクロファージがこれを異物として補食し、動けなくなって死亡します。死亡したマクロファージは、プラークと呼ばれる粥状の物質として血管壁に沈着していき、いずれ動脈硬化を引き起こす原因になります。

このことから、コレステロールは酸化させないことが重要です。コレステロールを酸化させないためには、活性酸素を除去してくれる抗酸化栄養を積極的に摂取しましょう。

抗酸化栄養として代表的な栄養素としては、「ビタミンE」と「ビタミンC」です。これら栄養素は、酸化した物質を還元する能力を持つことから、抗酸化作用があります。

女性ホルモンはコレステロールを材料にDHEAから作られることから、総コレステロールとDHEAを十分に持っていることが重要。DHEAは様々なホルモンの材料となる事から、ホルモンの母と呼ばれている

また、ビタミンEは、女性ホルモンである黄体ホルモン(プロゲステロン)の調節にも関係しています。

具体的には、ビタミンEが人間の脳にある脳下垂体に働きかけることで、下垂体から分泌されるホルモンを一定に保つ役割があります。

脳下垂体は、様々なホルモンの分泌をコントロールしていて、血糖値をコントロールする副腎皮質刺激ホルモンや、体の発育や新陳代謝を促す甲状腺刺激ホルモン、女性ホルモンの分泌に働きかける黄体刺激ホルモンなど、様々なホルモンの分泌をコントロールしています。

ビタミンEは、脳下垂体や副腎などのホルモンを分泌する臓器に多く分布しており、これら受容体のある細胞膜を安定化させることでホルモンバランスを維持してくれます。

他にも、ビタミンEは自律神経にも作用し、神経の働きをコントロールすることで血圧や感情を安定させる、血流をよくする、赤血球の膜を保護して貧血を防ぐなど、様々なメリットがあるのがビタミンEです。

このように、ビタミンEは女性ホルモンのバランスや自律神経を整える上で重要な役割を果たしています。ホルモンバランスを整えるためにも、是非とも積極的に摂取するようにして下さい。

併せて、ビタミンEを摂取する際は、ビタミンCも同時に摂りましょう。ビタミンCはビタミンEを酸化から守り、利用効率を高めてくれる働きがあります。ビタミンEとビタミンCは、同時に摂取すると効果的です。

イソフラボンの働きは、体内でエストロゲンが少ない場合はエストロゲンと同じ働きをしてエストロゲンを助け、逆に体内でエストロゲンの量が多い場合はエストロゲンの作用を弱めて調節してくれる働きがある

それから、女性ホルモンのバランスを整える手段として、イソフラボンの摂取も効果的です。イソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を持つことから「フィト・エストロゲン」と呼ばれています。

大豆イソフラボンは、エストロゲンと似た構造から、エストロゲンと似た働きをしてくれます。主な働きとしては、女性ホルモンのバランスを整える、カルシウムをコントロールして骨粗しょう症を防ぐ、更年期障害を緩和する、乳がんを予防するなどです。

よく、イソフラボンはエストロゲンと同じ作用があることから摂りすぎると乳がんなどホルモン依存性ガンの発症を招くと言われてきました。この情報も間違いで、イソフラボンにはエストロゲンの役割を果たすのと反対に、エストロゲンの作用を弱める働きがあることが分かっています。

このため、イソフラボンを摂取すると、体内でエストロゲンが少ない場合はエストロゲンと同じ働きをしてエストロゲンを助け、逆に体内でエストロゲンの量が多い場合はエストロゲンの作用を弱めて調節してくれるといったように、非常にマイルドな働きをしてくれるのです。

イソフラボンを摂っても乳がんのリスクは上がりませんので、女性ホルモンのバランスを整えるためにも是非イソフラボンの摂取も行ってみて下さい。

ナンナン

ほー、イソフラボンってなかなか良い働きをしてくれるんだね。今までイソフラボンを摂ると乳がんになると思って豆乳とか豆腐とか避けてたよ💦

はる かおる

うん、イソフラボンを多く摂っても、乳がんのリスクは上がらないんだ。だから、女性ホルモンのバランスを整えるために、イソフラボンやビタミンEを摂っていくのもアリだよ。この時、ホルモンの材料となるタンパク質もしっかり摂るようにしてね。

ストレス対策、副腎強化、不眠に対する栄養アプローチ

続いて、ストレス対策、副腎強化、不眠に対する分子栄養学的アプローチについてです。

女性ホルモンのバランスを整えたり、PMSを改善させたりするためには、副腎機能の強化、不眠症の改善など自律神経を整える事も重要です。

特にストレスは自律神経を乱し、交感神経が優位になる事から不眠症や副腎疲労に繋がります。ストレスが不眠や副腎疲労に繋がる仕組みとしては、脳がストレスを受けると副腎からストレスに対抗するためにコルチゾールやアドレナリンなどのホルモンを分泌するためです。

ストレスを受けると脳の視床下部が反応し、ストレスに耐抗すためのホルモンを副腎から分泌させる。

加えて、副腎から分泌されるホルモンには血糖値を上げる作用もあることから、低血糖の状態が続いている方も副腎からアドレナリンやノルアドレナリン等のホルモンが分泌され続けます。

これらのホルモンは同時に交感神経を刺激することから、自律神経のバランスを乱し、イライラしたり眠れなくなったりしてしまうのです。

また、絶えずコルチゾールやアドレナリンなどを分泌していると、いずれ副腎が疲れてホルモンの分泌が十分に出来なくなってしまいます。これが、副腎疲労と呼ばれている状態です。

副腎疲労の状態では、ストレスに対抗するためのコルチゾールやアドレナリンなどの分泌が十分に出来なくなってしまうため、更なる体調不良や低血糖症の悪化を招きます。加えて、本来女性ホルモンを作るための材料がすべてコルチゾールやアドレナリンなどのストレスに対抗するためのホルモンの合成に使われてしまうことから、女性ホルモンの分泌が減ってしまったり、ホルモンバランスが乱れやすくなったります。

このようなストレスや副腎疲労に対抗するためにも、副腎を強化する栄養アプローチも行ってみて下さい。副腎強化に必要な栄養素としては、次の通りです。

副腎強化に必要な栄養アプローチ

  • タンパク質(アミノ酸)
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ビタミンB群
  • カルシウム
  • マグネシウム
  • ビタミンB12
  • 葉酸
ストレスに対する栄養アプローチ。特に副腎にはビタミンCが高濃度で存在することから、ビタミンCの必要量が高い

特に、ストレスに対抗するためのホルモンであるコルチゾールは、女性ホルモンと同じくコレステロールを材料に作られています。

コレステロールはタンパク質と脂質を元に肝臓で合成されていますので、不足しがちなタンパク質は積極的に摂取しましょう。

また、副腎の働きを助けるために必要な栄養素が、ビタミンCやビタミンB、ビタミンEです。副腎は特にビタミンCの濃度が高い臓器として知られ、その濃度は血中の150倍になると言われています。ビタミンB群はホルモン生産を補助し、ビタミンEは副腎のホルモン受容体にある細胞膜を安定化させることでホルモンバランスを維持する働きをしています。

加えて、カルシウム・マグネシウムも神経伝達物質やホルモンなどの分泌を制御している栄養素です。カルシウム・マグネシウムには、神経をリラックスさせる作用や、自律神経を整える働きがあります。

このカルシウム・マグネシウムは、ストレスがかかると尿中排泄量が増えて不足しやすくなることから、こちらも積極的に摂取するようにして下さい。

他、自律神経が乱れて交感神経優位の状態だと、胃の働きが悪くなって葉酸やビタミンB12が不足する場合があります。この2つのビタミンを吸収するためには、胃酸に含まれる内因子が必要です。

ストレス過多の状態では胃が悪くなって消化吸収能が低下することから、必要に応じてこれらビタミンも足してみて下さい。

それから、いくら栄養を摂っても、良い睡眠がとれていなければ自律神経やホルモンバランスは整いません。

不眠症も女性ホルモンのバランスを乱したり、副腎疲労に繋がったりしますので、睡眠の質を上げる対策も同時に行うようにしましょう。

睡眠不足は自律神経の乱れに繋がり、自律神経の乱れは女性ホルモンのバランスを乱す事に繋がる。女性ホルモンの乱れを整えるためには、質の良い睡眠を取ることが大切

特に睡眠においては、脳にある視床下部が重要な機能を担っていて、視床下部が睡眠と覚醒など体内時計のリズムを作り出しています。この視床下部はストレスに対して敏感で、過労やストレスなどが蓄積されていくと、自律神経のバランスや睡眠のバランスを維持することが困難になってしまいます。

このことから、よい睡眠を取るためには、先ほどのストレス対策をしっかり行う事と、体内時計を司っている「セロトニン」や「メラトニン」の合成など、脳の神経伝達物質をしっかり合成出来るようになる事が重要です。

よい睡眠は、セロトニンとメラトニンの分泌量とバランスで決まる。これらはトリプトファンとビタミンや鉄から合成されることから、十分な栄養補給をすることが大切

セロトニンとメラトニンは脳の神経伝達物質の一種で、この2つの分泌量が変化することで眠くなったり目が覚めたりなど、体内時計の調節と睡眠の質を司っています。

例えば、セロトニンは日中の活発な状態では分泌量が増え、逆に就寝時には分泌量が減るという特徴があります。逆にメラトニンは就寝時に分泌量が多くなり、起床した後の日中は分泌量が低下します。このようにお互いが相反するような形で体内時計と睡眠を司っています。

このセロトニンは「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸から作られ、メラトニンはセロトニンから合成されています。アミノ酸は、タンパク質を構成している栄養素のことで、肉や魚などに多く含まれている栄養素です。このため、睡眠の質を高めるためにはセロトニンの材料となるアミノ酸(タンパク質)と、その合成に必要な栄養素をしっかり摂ることが重要です。

脳の神経伝達物質合成に必要な栄養素。ナイアシンは合成の初期段階すべてに関わっていることから、特に必要量が高い

具体的には、上の表の左にある「L-グルタミン」や「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」といったアミノ酸から、ナイアシンや葉酸、鉄などを元に「GABA」や「ドーパミン」「セロトニン」などの脳の神経伝達物質が合成されています。

この赤い枠で囲まれた「L-グルタミン酸」や「ドーパミン」「ノルアドレナリン」が主に興奮系の脳の神経伝達物質として働く物です。逆に青枠で囲まれたGABAは興奮を抑制する働きをし、グレーで囲まれた「セロトニン」はこの2つを調節する働きを担っています。

この脳の神経伝達物質を合成する際に必要となる栄養素が、間に緑色で書かれた葉酸や鉄、ナイアシンなどですね。

よい睡眠を得るためには、これら脳の神経伝達物質がバランスよく分泌されていることが大切です。特に抑制系のGABAは脳の視床下部と脳幹にある睡眠促進細胞から分泌され、覚醒中心の活動を低下させるように作用しています。

また、「L-トリプトファン」から合成される「セロトニン」は、マグネシウムの働きによって睡眠をコントロールしている「メラトニン」に変換されます。この事からも、睡眠に必要な栄養素や、自律神経を整える働きのある栄養素は、バランスよく摂取する事が大切です。

睡眠の質を高めるために必要な栄養素

  • タンパク質(アミノ酸)
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ナイアシン
  • カルシウム・マグネシウム

加えて、脳の働きは腸の動きとも相関していますので、もしお腹の調子が悪い方は消化管対策も同時に行って下さい。

脳と腸はお互いが自律神経で繋がっていて、お腹の調子が悪くなると脳の働きが低下し、逆に脳の働きが低下すると腸の働きが低下して便秘や下痢を引き起こします。これを、脳腸相関(のうちょうそうかん)と言います。

特に貧血がある方やPMSを抱えている方、低血糖症を抱えている方は自律神経が乱れやすく、お腹の調子が悪くなる傾向にあります。便秘や下痢などお腹の不調を抱えている方は、ストレス対策と同時にお腹の調子を整えるアプローチも同時に行いましょう。

消化管対策に必要な栄養素。これらは同時並行で行う事が理想的

お腹の調子を整えるアプローチとしては、主に4つのアプローチがあります。消化管の粘膜を整える「粘膜改善」と、消化を助ける「消化サポート」、それから「蠕動運動を促進するためのアプローチ」に加え、「腸内フローラを整えるアプローチ」です。

腸内環境を整えるアプローチとしては乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を多く摂る事が有名ですが、実はこれだけではお腹の調子は整えられません。

まず、食べ物は私達の口でよく噛んで胃で消化され、小腸に運ばれて吸収されています。この時、胃の働きが低下している場合は十分に消化することが出来ません。十分に消化できなかった食べ物は、小腸の粘膜を傷つけてしまうことに加え、悪玉菌のエサになって悪玉菌を増殖させてしまう原因になります。

このことから、消化管対策として最も優先すべきは「消化サポート」です。消化サポートは、プロテアーゼやアミラーゼなど、タンパク質や糖質を分解する消化酵素のサプリメントなどを併用することが一般的です。

ただし、これら消化酵素のサプリメントはピンキリですので質には注意して下さい。消化酵素はタンパク質で出来ていることから、何の工夫も無くこれら酵素をカプセルに詰めたサプリメントでは、消化酵素が胃酸で分解されて効果を失ってしまいます。

このようなサプリメントをいくら摂ってもお金の無駄になりますので、サプリメントの注意して下さい。

次に、消化管の粘膜を改善させることと、蠕動運動を促進することです。私達が食べた食べ物は胃で消化されて小腸に流れた後、絨毛(じゅうもう)と呼ばれる小さな突起によって栄養を吸収しています。この絨毛の質を改善することと、腸粘膜同士の結びつきをしっかり改善させることが、栄養吸収において重要です。

この粘膜を改善させるために必要な栄養素が、「ビタミンA」「ビタミンD」「亜鉛」「グルタミン」「コンドロイチン硫酸」「グルコサミン」などです。

これらは腸粘膜を強化し、同時にグルタミンは消化管を動かすためのエネルギー源として働きます。加えて、「カルシウム・マグネシウム」を摂取する事で筋肉の収縮をサポートし、蠕動運動(ぜんどううんどう)を促進させましょう。

カルシウム・マグネシウムは、神経を安定させる働きのほか、筋肉の弛緩と収縮を司っています。胃や小腸などの消化管も筋肉で動いていて、弛緩と収縮をおこなう蠕動運動をすることで食べ物を大腸に送り出したり、消化吸収を行っています。

この事からも、腸粘膜を修復するための栄養素や、蠕動運動を促進するためのカルシウム・マグネシウムは積極的に摂取することが大切です。

最後に、腸内フローラの改善です。私達の消化管内では、様々な腸内細菌の助けを受けて消化吸収を行っています。

腸内フローラには、有用菌と善玉菌、このどちらが多い方に見方をする日和見菌がいる。腸内フローラを整える際は、この日和見菌を味方につけることが最大のポイント

この腸内フローラには、お腹に良い働きをする有用菌・善玉菌と、お腹に悪い働きをする有害菌・悪玉菌、そしてこの善玉菌と悪玉菌のどちらか多い方に味方をする日和見菌(ひよりみきん)がいます。

これら菌は、有用菌が2、日和見菌が7、悪玉菌が1の割合で棲息していることが、最もバランスが良いと言われています。

しかし、この腸内フローラは非常に繊細で、ほんの僅かなことでバランスが崩れてしまいます。その主な原因が、「ストレス」です。

ストレスと腸内細菌には相関関係がある。ストレスがあると腸内フローラが乱れやすくなり、逆に腸内フローラが整っているとストレスホルモンの分泌が抑えられる

ストレスと腸内細菌には関係があり、ストレスがかかると腸内フローラが乱れることが分かっています。また、腸内フローラが整っていると、ストレスがかかったときにストレスホルモンの分泌量が抑えられることも分かっています。

こようにストレスや自律神経の乱れには腸内フローラのバランスも大きく関係していることから、腸内フローラを整える事も重要です。

腸内フローラを整えるためには、まず第一に有用菌・善玉菌のエサとなる「食物繊維」をしっかり摂取する事、そして有用菌そのものである「乳酸菌」や「酪酸菌」「納豆菌」などを補給することです。

特に食物繊維については、食べないダイエットや糖質制限を行うと不足しやすくなるため、日頃から意識して積極的に摂取する事が大切です。

また、有用菌については、ぬか漬けやヨーグルトなどの発酵食品から摂取出来ますが、それらが生きて腸まで届くとは限りません。加えて、善玉菌の中でもっとも重要な「酪酸菌」は食品から十分な量を摂取することは困難です。

このため、不足しがちな食物繊維や有用菌は、サプリメントなども活用して摂取していくことをオススメします。

女性ホルモンの乱れを整えるためには、運動も欠かせない。運動をすることによって自律神経が整い、女性ホルモンも整っていく

これらストレス対策や消化管対策に加えて、是非とも運動も取り入れて下さい。運動することによって自律神経が整い、女性ホルモンのバランスを整えようとする働きも整います。

また、日中に十分な量の活動を行う事によって睡眠を司るセロトニンやメラトニンが十分に分泌されます。加えて、筋肉量を増やす事は貯蔵型の糖である「グリコーゲン」の貯蔵量を増やすことに繋がります。

この運動も糖代謝を改善させる上で重要ですので、ウォーキングなど軽い運動を毎日継続するようにしてみて下さい。

ナンナン

低血糖症の改善やPMSの改善には、ストレス対策やお腹の調子を整えることも大切なんだね💧 確かに最近は、仕事が忙しくて十分な睡眠がとれてなかったかも💧

はる かおる

そうだね。いくら栄養を摂っても、お腹の調子が悪くて消化吸収出来てなかったら意味が無いし、十分な睡眠がとれていない場合も、身体の修復が出来なくなっちゃうね。低血糖症やPMSの改善には、これらアプローチも同時に行っていく事が大切だよ。

月経前症候群(PMS)に対する分子栄養学的アプローチ

次に、月経前症候群(PMS)に対する分子栄養学的アプローチです。月経前症候群の根本原因については、上述した自律神経の乱れやストレス、甲状腺機能の乱れ、女性ホルモンの乱れが関係しています。

ですので、基本的な対策については上述した内容を参考にして下さい。ここでは主に、月経前症候群における痛み対策とむくみ対策をご紹介します。

月経前症候群において、最も辛い症状と言えば「痛み」ですよね。痛みはストレスとなり、それだけで自律神経が乱れる原因となります。

それに、上述した甲状腺の乱れや女性ホルモンの乱れの対策を行っても、改善するまでには時間がかかります。それまでの間、ずっと痛みや苦痛に耐え続けるのも辛いですよね。ですので、PMSの痛みや症状が辛い方は、同時に痛み対策を行っていく事も有効です。

この生理痛や腹痛を引き起こすメカニズムとしては、「プロスタグランジン」という生理活性物質が関係しています。生理中は、子宮を収縮させ、剥がれ落ちた子宮内膜を血液と共に「経血」として身体の外に押し出す働きをしています。この働きをするために生成されるのが「プロスタグランジン」です。

生理痛は、炎症誘発物質であるアラキドン酸から、プロスタグランジンが過剰に生成されることが原因。栄養アプローチでは、このプロスタグランジンが適切な量になるようサポートしていく

このプロスタグランジンの生成量が多いと、子宮の収縮が過剰になって陣痛のような下腹部の痛みや腰の痛み、炎症の発生に繋がります。このため、痛み対策はプロスタグランジンが過剰に生成されないようにすることと、炎症を抑えることが重要です。

通常、生理痛を止める対策としては、薬局などで購入出来る「消炎鎮痛剤」が使われていますよね。消炎鎮痛剤は、このプロスタグランジンの生成を抑えてくれることから、痛みを和らげる効果があります。しかも、消炎鎮痛剤は価格も手ごろでよく効くことから、毎月やってくる生理中は絶対に手放せないという方も多いのでは無いでしょうか。

しかし、この消炎鎮痛剤には副作用があり、胃が悪くなったり肝臓に負担がかかったりします。特に胃粘膜を痛めてしまうことは有名で、鎮痛剤の副作用による出血性胃潰瘍や、胃に穴が空いてしまう胃潰瘍穿孔で緊急手術になるといった事例が少なくありません。

この胃粘膜へのダメージは、蓄積されていく毎に消化能力に悪影響を与えてしまいます。消化能力が低下すると、特にタンパク質の消化能力が低下し、タンパク質が不足することで貧血や自律神経の乱れ、ホルモンバランスの乱れなどを引き起こす原因になります。

この事からも、なるべく消炎鎮痛剤の常用は控え、体内でプロスタグランジンが過剰に生成されないように整えていくことが大切です。

そのために必要な栄養素としては、EPAとγ-リノレン酸、ボスウェリン酸やホップ抽出物、黄杞葉エキス、ケイヒ末などです。ボスウェリン酸やホップ抽出物、黄杞葉エキス、ケイヒ末などは、炎症を抑えてくれる効果があると言われています。また、同様にEPAとγ-リノレン酸は特別な能力を持っていて、プロスタグランジンがたくさん出すぎるのを抑えてくれる働きがあります。

具体的には、EPAやγ-リノレン酸が炎症物質である「アラキドン酸」の代謝を調節、抑制する作用があることから、月経前症候群の改善に効果が期待出来ると言われています。

このEPAが多く含まれている食べ物としては、サバやサンマ、アジなどの青魚などがあります。これら青魚には、食べると頭がよくなる「DHAやEPA」が含まれていることで有名ですよね。

ただし、DHAやEPAを食品から補うとなるとかなりの量を食べなければならない上、非常に多くのコストがかかります。また、γ-リノレン酸については、月見草やボラージ草などに含まれていますが、食品から摂取する事は困難です。

このため、EPAやγ-リノレン酸を補給する際は、サプリメントをうまく活用するようにしましょう。

それから、月経前症候群では「むくみ」も非常に大きな問題です。痛みに加えてむくみが酷い方は、同時にむくみ対策も行ってみてください。

生理時期はホルモンバランスの変化からむくみを抱えやすい。むくみは低アルブミン状態で引き起こされることから、タンパク質を十分に摂取することが望ましい

生理の時期にむくみが発生する原因としては、プロゲステロンとエストロゲンのバランスの変動や、ホルモンの作用が関係しています。

特にエストロゲンは、体内の水分と塩分のバランスを調節する作用があるため、エストロゲンのレベルが高いときは体は水分と塩分を保持しやすくなってむくみが生じやすくなります。

また、月経周期の後半になると、プロゲステロンというホルモンのレベルが上昇します。プロゲステロンは水分とナトリウム(食塩の主成分)の排泄を促す働きがあるのですが、一方でプロゲステロンのレベルが高くなると、体内に水分とナトリウムを保持する傾向があります。これにより、手足や顔、腹部などにむくみが生じます。

このむくみは、体内への過剰な水分が残留していることが原因ですので、第一に過剰な水分の摂取と塩分の摂取を控えることです。

加えて、血液中の輸送タンパク質である「アルブミン」が低いとむくみに繋がります。アルブミンは血管内にある水分を保持し、血管外に水分が漏れ出ることを防いでくれます。

アルブミンはタンパク質に含まれるBCAAというアミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)から作られていますので、タンパク質は積極的に摂取してきましょう。

加えて、体内のミネラルバランスを調節するためのカリウムやカルシウム・マグネシウム、ホルモンの調節を行ってくれるビタミンEやトコトリエノールの摂取もオススメです。

これら栄養をまとめると、次のようになります。

月経前症候群の対策に必要な栄養素

  • タンパク質(BCAA)
  • ビタミンE
  • トコトリエノール
  • γ-リノレン酸
  • EPA
  • カリウム
  • カルシウム・マグネシウム
月経前症候群に必要な栄養素。これらに加えて、甲状腺機能の乱れや女性ホルモンの乱れを整えるアプローチも必要に応じて行う

これら栄養素を、必要に応じて摂取してみて下さい。それから、これら栄養アプローチに加えて生活改善も重要です。

PMSの改善には、食生活の改善や栄養アプローチに加えて、気分転換や運動を取り入れるなど生活習慣の改善も必要

十分な睡眠を取ったり、食生活を改善したり、運動を取り入れたりと、ライフスタイルの改善も同時に行っていきましょう。

月経前症候群は栄養不足以外にも、ストレスや生活習慣とも密接な関係があります。栄養学的アプローチを行う際は、是非ともこれらも同時に改善するようにして下さい。

ナンナン

げげっ、生理痛を和らげる鎮痛剤も、常用しすぎると身体に悪いのか💦

はる かおる

そうなんだ。鎮痛剤は胃にダメージを与えるから、胃腸機能が低下して消化吸収能力が低下する原因になるよ。消化吸収能力が低下すると、タンパク質や鉄分の吸収が低下して貧血になったり、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群など、お腹にトラブルを抱えやすくもなってしまうんだ。

ナンナン

うぅ・・・そんな事知らずに今まで鎮痛剤は神だと思って飲んでた💧 もしかして、胃の調子やお腹の調子が悪いのもそれが原因かも・・・💧 今までバカみたいに鎮痛剤を常用してた自分を殴りたい。。。

はる かおる

まーまー、これからは、栄養アプローチも併用していくと良いね。鎮痛剤も常用するのはよくないけど、必要なときに必要な分だけ使うのは問題ないよ。そのためには、なるべく薬に頼らなくても良い体に整えていくことが大切だね。

低血糖症やPMSを改善させるためには、ご自身の状態をしっかり知ることが重要です。まずはオーソモレキュラー療法の血液検査を受けましょう

ここまで、生理前から生理中にかけての低血糖症の原因と、その根本原因として深い関係のあるPMSの改善方法を解説してきました。

生理前後の低血糖症には、ホルモンバランスの変化以外にも、自律神経の乱れや甲状腺機能の乱れ、ホルモンバランスの乱れなど、様々な原因が関係しています。

また、これらの根本には貧血が関係している事も多く、病院では貧血と診断されていなくても隠れ貧血に陥っている人が多いため、注意が必要です。

この他にも、低血糖症を引き越す原因としては肥満や脂肪肝、ピロリ菌の感染やアレルギーの有無など、様々な疾病や栄養不足が関係していて、ここでは解説しきれなかった原因や疾患、対策法も沢山あります。

ですので、上述した原因も含め、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多く、検査もなしに適切な栄養アプローチを行うのは困難です。

低血糖症になりやすい女性の特徴

  • 妊娠、出産した方
  • 閉経前の方
  • 初潮を迎えた成長期の方
  • 痩せ過ぎ、太り過ぎの方
  • ダイエット、または食事制限をしている方
  • 鉄分の補給を積極的に行っていない方
  • 貧血と診断されたことがある方
  • ストレスが多い方
  • お酒を飲んでいる方
  • めまい、ダルさ、疲れやすいなどの体調不良を抱えている方
  • 忙しすぎて食事があまり摂れていない方
  • 甲状腺機能障害など疾病を抱えている方
  • 便秘、下痢をしやすいなどお腹の調子が悪い方
  • 日頃から運動不足を感じている方
  • アトピーやアレルギーなどを抱えている方
低血糖症の発症には必ず原因がある

例えば、同じ生理前後の低血糖症を抱えている場合でも、出産前か出産後かでもアプローチが違いますし、初潮を迎えた成長期の方なのか、それとも閉経前の方なのかでもアプローチは全く違ってきます。

このように低血糖症には様々な原因があり、個人個人バラバラに組み合わさって引き起こされています。同じ低血糖症に見えても対処法は全く異なりますので、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。

その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査項目に加え、低血糖症の状態や甲状腺の検査、副腎疲労や貧血の状態、短鎖脂肪酸検査やリーキーガット症候群検査などを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。

また、DHEASなどホルモンバランスの状態を調べたり、婦人科疾患のリスクが無いかなど子宮エコーや乳腺エコーなど超音波検査を組み合わせて行ったりすることも出来ます。

これら複数の検査を組み合わせることによって、より詳しく状態を知ることができ、あなたの低血糖症や生理前後の不調が根本的にどこから来ているのかが分かります。また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。
根本原因からきちんと対処していくことが出来れば、低血糖症や月経前症候群などの不調も改善出来る可能性があります。同じように見える低血糖症や月経前症候群でも人によって全くアプローチが違いますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記ページ内に記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みフォーム」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

分子栄養学の実践は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用しましょう

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。

分子栄養学実践専用サプリメントとは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて非常に高価となっています。

しかし中には、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して実践したい」と思っている方も多いかもしれません。市販されているサプリメントや海外サプリメントは、分子栄養学実践専用サプリメントと比べて非常に安価です。

ですが、市販されているサプリメント海外サプリメントなどで販売されているサプリメントで分子栄養学を実践をするのはオススメしません。

市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、そもそも消化吸収能が低下した方や病態を抱えた方が摂取するようには設計されておらず、胃や腸でも全く溶けない粗悪品も多く流通しています。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある

また、原材料に人工的に加工されたものや合成されたもの、天然界には存在しない化学構造のものなどが使われていることもあり、これらを大量に摂取することはむしろ生体内の分子を乱してしまうことにもなり得ます。

加えて、栄養素が酸化・劣化して効力を失っているものや、そもそも有効成分自体が殆ど含まれていないものなどもあります。このことから、市販されているサプリメントや海外サプリメントを使って分子栄養学を実践することはオススメしていません。

分子栄養学を実践する際は、このようなサプリメントの善し悪しを学ぶことも非常に重要です。分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いについては、下記の記事を参考にして下さい。

そして、分子栄養学・オーソモレキュラー療法を実践する際は必ず「分子栄養学実践専用サプリメント」を使用しましょう。

サプリメントは、きちんと消化吸収・利用されて初めて意味があります。分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。

また、分子栄養学では一般的な量よりも遙かに多くの栄養素を摂取します。この時、栄養素同士が反応して効力を失ってしまったら意味がありません。分子栄養学実践専用サプリメントでは、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

このことから、分子栄養学を実践する際は、必ず分子栄養学実践専用サプリメントを用いるようにして下さい。

分子栄養学実践専用サプリメントのケンビックスシリーズ
はる かおる

サプリメントはどれも同じじゃ無いよ❗質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、オーソモレキュラー療法専用に作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね❗

月経前症候群や低血糖症の改善に必要な栄養素は、食事からでも十分に摂れる? 食事だけで必要な栄養を十分に摂取することは不可能です。

上述したように、生理前から生理中にかけての低血糖症や月経前症候群を改善させるためには、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けて、分子栄養学実践専用サプリメントで必要な栄養を補給して頂く事がオススメです。

ただ、人によっては「サプリメントなんか使わなくても食事で改善出来るのでは?」と思いますよね。タンパク質は肉や魚から摂れますし、貧血改善に必要なヘム鉄も肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。

また、亜鉛は牡蠣やウナギなどに多く含まれていますし、食物繊維は野菜などから多く摂ることが出来ます。酪酸菌やビフィズス菌、納豆菌などは、納豆や味噌などの発酵食品を食べれば何とかなりそうな気がしますよね。

では、このような栄養素が多く含まれる食べ物を食べたり、食事内容を改善すれば、生理前から生理中にかけての低血糖症やPMSは改善出来るのでしょうか?

結論を先に言いますが、食事だけでこれら必要な栄養素を補給して不調を改善させることは不可能です。
というのも理由としては主に4つあり、一つは食事で摂れる栄養素の量が少ないこと、もう一つは貧血や低血糖症などによって消化能力が低下してしまった状態では十分に消化吸収出来ないこと、もう一つはむしろサプリメントよりもコストが高くなってしまうこと、最後の一つは毎日同じ物を食べ続けることで飽きが来たり食事の楽しみが無くなってしまうことが理由です。

例えば、タンパク質やヘム鉄ビタミンB群、亜鉛を多く含む食べ物として「赤身肉」や「レバー」があります。赤身肉のヒレやランプ、モモの部位には、100gあたり20gのタンパク質と、2.5mg程度のヘム鉄が含まれています。この肉を多く食べれば、十分にタンパク質もヘム鉄もビタミンB群も補給出来そうな気がしますよね。

肉から得られるタンパク質は損失量も考慮する。食品に含まれるタンパク質がそのまま得られるわけではない。
https://tamahari.com/3127/より

しかし、肉に含まれるタンパク質は、そのすべてが得られるわけではありません。牛肉に含まれるプロテインスコアは80と低く、これは牛肉に含まれるアミノ酸のバランスがあまり良くない事を表しています。

プロテインスコアとは、そのタンパク質の「良質度」のこと。この数値が高いほど、そのタンパク質の利用効率が高くなります。他に似た指標として「アミノ酸スコア」がありますが、こちらは必須アミノ酸がどれだけバランスよく含まれているかを表した物です。

肉からタンパク質を摂取する場合は、この利用効率に加えて、調理による損失も加わります。肉は加熱調理をして食べますので、これを加味すると100gの肉を食べてもたった8gのタンパク質しか補給出来ない計算です。

また、肉に含まれるヘム鉄は肉汁(ドリップ)と共に流れ出てしまいます。特に煮物や茹でこぼしでは多く鉄分が溶出し、30分から1時間程度煮込むだけでおよそ30%〜50%ほどの鉄分が溶出してしまいます。肉に含まれるビタミンB群も水溶性ビタミンですので、加熱調理や煮込むことで大部分が失われます。食べ物の栄養損失は、思っている以上に大きいのです。

タンパク質は日々消費する。一日に必要な目安量は、体重(kg)×1〜1.5gが目安

この事を前提に、食事で必要な栄養を賄うとしましょう。体重が60kgの成人が一日に必要なタンパク質は、その体重分の60gと言われています。仮に50kgの方なら50g必要です。また、貧血の人は一日あたり45mgのヘム鉄が必要になります。

もし体重が60kgの人が肉だけでタンパク質を補給しようとすると、およそ800gもの肉を毎日食べなければなりません。ヘム鉄に至っては、赤身肉100gあたり2.5gとすると、45mg補給するためにはおよそ一日2kgも必要になります。一日に800gや2kgもの肉なんて、到底食べる事は不可能ですよね。

加えて、これら摂取した肉がすべて消化吸収出来るとは限りません。貧血や低血糖症を抱えている方は、自律神経の乱れから消化吸収能力が落ちてしまっています。そうなると、摂取出来るタンパク質量やヘム鉄量は更に低いと考えられます。消化吸収能が落ちている場合は摂取タンパク質の半分程度が消化吸収出来れば良い方で、場合によっては全く消化吸収出来ない可能性も高いです。

消化できなかったタンパク質はそのまま小腸や大腸に流れ、悪玉菌のエサとなって更に腸内環境の悪化を招きます。肉を大量に食べることは更なる腸内環境の悪化と消化吸収の低下を招くことから、むしろ体調が悪化していく原因にもなるのです。

そして、当然ながらこれら肉や食材にはお金がかかります。毎日肉を1kgも2kgも買えば、出費も相当な額になるでしょう。例えば、2023年一月の全国牛肉平均価格は100gあたり342円となっています。物価の高騰で徐々に値上がりしており、今後も値上がりが続くと思われます。この肉を毎日2kg購入するとなると、物価上昇の影響を考慮に入れなくても一日あたり6,840円の出費です。

これに家族分を加えたり、一ヶ月分まで算出すると、とてもじゃありませんが現実的ではありませんよね。購入した肉が問題なく消化吸収出来るならまだしも、消化吸収できない場合は便器にお金を棄てるようなものです。そんなことを続けるのは、よほどお金に余裕がある人でも不可能だと思います。

また、毎日毎日肉を食べ続けるのは精神的苦痛も伴います。いくらレシピや食べ方を工夫しても、毎日食べていれば当然飽きてきます。食べたくもないのに健康のために食べ続けることは、もはや苦痛でしかありません。

ですので、健康のために同じ物を毎日食べることは非推奨です。これでは人生自体がつまらなくなってしまいます。つまらない人生は余計にストレスを増大させ、自律神経の乱れや消化能力の低下を引き起こします。そんなつまらない人生を送るよりも、必要な栄養素は都度補いながら毎日の食事を楽しむようにしましょう。

毎日の食事を楽しみながら必要な栄養素を追加する手段としては、サプリメントを取り入れるのが最も手軽で簡単です。サプリメントなら、普段の食事に加えて摂取する事で、食事では摂れないような高容量の栄養素を摂取することが出来ます。

例えば、ヘム鉄のサプリメント1カプセルあたり5mgのヘム鉄が含まれていたとしたら、2カプセル飲むだけで牛の赤身肉400g程度に相当します。一回2カプセルを三食食後に飲むだけで、牛の赤身肉では1.2kg相当です。また、タンパク質をプロテインで摂った場合は、そのプロテインの質にもよりますが1回あたり20g~30g程度のタンパク質が摂取出来ます。

これは、牛の赤身肉で換算すると300g〜400g程度になります。サプリメントの場合は普段の食事に加えて摂取しますので、摂取出来る栄養素の量はこれだけではありません。そう考えると、サプリメントを必要に応じて取り入れることがどれだけ効率が良くコストパフォーマンスが良いかが分かって頂けるかと思います。

ただし、サプリメントといってもピンからキリまであります。ネット通販やドラッグストアなどで売ってるサプリメントを買ってきて、ただ飲めば良いというわけではありません。サプリメントの中には、胃や腸で全く溶けずに便で排泄されてしまうような粗悪品も多く流通しています。

加えて消化吸収能の問題もありますので、サプリメントやプロテインの種類も消化吸収能や状態に合わせて選んだり量を調節する事が重要です。

このような最適な栄養アプローチを行うためにも、上述したオーソモレキュラー療法の血液検査を受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法なら、その方の消化能力や疾病の状態、体格や個人差に併せて最適な栄養アプローチを行う事が可能です。

併せて、分子栄養学実践専用サプリメントは、高容量を安全に摂取出来るよう、生体内効率も重視した設計になっています。高品質に作られたサプリメントであれば、食事をしているのとなんら変わりません。

分子栄養学的アプローチを行う際は、食事改善も大切ですが、必要な栄養素はサプリメントも取り入れながら行っていきましょう。

ナンナン

なるほど、サプリメントはなるべく使いたくないと思っていたけど、食事だけで必要な栄養素を摂るのはかなり難しいんだね💧

はる かおる

うん、食事だけで必要な栄養素を補うのは至難の業だね。むしろ体調を悪くする原因にもなるから、質の良いサプリメントを自分の状態に合わせて適切に使う方が良いよ。質の良いサプリメントなら、食事から摂る栄養素とほぼ同じに作られているから、食事するのと変わらないで栄養を摂ることが出来るね。

ナンナン

そうなんだ❗サプリメントも、飲みすぎると体に悪いってイメージだったけど、質の良いサプリメントなら大丈夫なんだね❗

生理前から生理中にかけて起こりやすくなる低血糖症。原因と対策法を分子栄養学的アプローチから解説まとめ

以上が、生理前から生理中に低血糖症になりやすい原因についてと、その原因に深く関係している月経前症候群の改善方法の解説でした。

生理前から生理中にかけての低血糖症は、主にエストロゲンとプロゲステロンの変化によって引き起こしやすくなります。

また、これ以外にも低血糖症は自律神経の乱れやPMSも関係しており、日本では月経のある女性の約70%〜80%が月経前に何らかの症状があると言われています。

このPMSが発症する原因としては様々な原因がありますが、特に女性が陥りやすいのが鉄欠乏貧血による自律神経の乱れです。

女性の場合は日頃からダイエットや食事制限をしている方が多く、ダイエットや食事制限では鉄分や亜鉛、タンパク質などの摂取量も少なくなることから、鉄欠乏性貧血を引き起こしやすくなります。

この貧血についても、重度の貧血にならないと貧血だと診断されない事が多く、「隠れ貧血」に陥っている場合も低血糖症やPMSに繋がる原因です。加えて、低血糖症にも「隠れ低血糖症」に陥っている方がおり、貧血とも低血糖症とも診断されない場合は、精神疾患として扱われたり間違われたりしてしまうケースが多く見られるようになりました。

精神疾患として扱われた場合は、もちろん精神薬を処方されます。しかし、元々は精神疾患ではないので精神薬が効くことはありません。むしろ、精神薬を服用することで依存症になったり副作用の問題が発生したりして更なる体調悪化を招きます。このような問題もあることから、貧血や低血糖症の治療に対して、病院での保険診療は殆ど役に立ちません。

人の身体には、元々糖質などの栄養素や血糖値を上手く利用したりコントロールしたりする機能が備わっています。低血糖症は、この機能が正常に働けなくなってしまったことが一番の問題です。この機能を元に戻すことが出来れば、低血糖症やPMSも改善出来る可能性が高いです。

是非、このあたりの原因をしっかり調べて適切なアプローチを行っていきましょう。
今回ご紹介した原因や対策、検査方法は根本原因から低血糖症やPMSを解決する際の大きな手助けになるはずです。

糖質の摂取量だけで血糖値をコントロールしようとせず、低血糖症が引き起こされている根本の原因からアプローチしていくようにしてください。

ナンナン

女性は、色々な原因で低血糖症やPMSになりやすくなるんだね💧 今回の解説で、間違ったダイエットや貧血が原因になってるって分かったから、ボクも今度から食事はしっかり食べるようにするよ。それから、低血糖症の改善方法は人それぞれ違うみたいだから、オーソモレキュラー療法を受けてみるね❗

はる かおる

うん、是非受けてみて❗
オーソモレキュラー療法を行っている方には、無料で栄養カウンセリングも行っているよ❗利用してみてね❗

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