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低血糖症はオーソモレキュラー療法で良くなる? 低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の流れとは

低血糖症は、重篤になると意識を失ったり、最悪の場合は命を落としたりしてしまう恐ろしい病気です。もし重症化まで至らなくても、低血糖になってしまった場合は、精神的不調や行動力の低下など様々な辛い症状が引き起こされることもあります。

この低血糖症には、食事をする度に血糖値が急上昇、急降下してしまう機能性低血糖症と、食べても血糖値を上げることが出来ない無反応性低血糖症などがあります。機能性低血糖症の発症原因には、糖質の摂りすぎが原因の1つと言われ、糖質制限食を行ったり食事制限を推奨するような情報も増えてきました。

また、食事の改善に加えて、足りない栄養を補給する「オーソモレキュラー療法」を受けることが効果的と言われていることもあります。

このオーソモレキュラー療法は、本当に低血糖症の改善に繋がるのでしょうか? 今回は、低血糖症はオーソモレキュラー療法で改善出来るのかについてと、低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の流れをご紹介します。

目次

低血糖症の原因と一般的に行われている対処法

ナンナン

ねぇねぇ、最近何だか疲れやすいし、気分も上がらないし、毎日が不安で仕方が無いんだ💧 オマケに甘い物の欲求が強くて、ついつい食べちゃうんだよね・・・何が原因なんだろう❓❓

はる かおる

うーん、その症状はもしかすると「低血糖症」かもしれないね

ナンナン

低血糖症❓

はる かおる

そう。低血糖症は、血糖値を正常に保てなくなる症状のことだよ。低血糖症になると、精神的な不調が引き起こされたり、耐えがたいほどの眠気が引き起こされたりするんだ。その他にも、最悪の場合は意識を失ったり、命を失うこともあるんだよ

ナンナン

そ、そうなの❗❓ じゃあ、すぐ治さないと💦
でも、どうやって対処すれば良いのかな❓❓

はる かおる

低血糖症の状態によっては甘い物を補給して血糖値を上げるのが一般的だね。でも、それだと根本からの解決にはならないんだ。低血糖症は単に血糖値が下がっただけじゃなくて、根本には糖代謝の悪化が関係しているよ

ナンナン

なるほど…💧 糖代謝の悪化かぁ…
何だか難しそうだね💦

はる かおる

うん、このあたりは少し複雑だから、もっと詳しく解説してあげるね

まず、低血糖症とはどのような病気なのでしょうか? 低血糖症とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事です。通常、血糖値は80〜100前後に保たれていますが、何らかの原因で血糖値が80〜70以下を下回っている状態が続いていると、低血糖症と判断することが出来ます。

低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。

それ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.htmlより

低血糖症の主な症状

  • 全身の倦怠感、疲れやすい
  • 集中力が無い
  • 眠気が強く、朝起きられない
  • 寒がり、低体温
  • 動悸がする
  • めまいがする
  • 冷や汗をかく
  • 不眠
  • イライラする
  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不安、恐怖感が強くなる
  • 太りやすくなった

現状、そんな低血糖症に対してはどのような対策や治療が行われているのでしょうか?

一般的には、血糖値が下がりすぎてしまった際に「砂糖水」や「飴」「チョコレート」などの甘い物を補給する方法が用いられています。これは、甘い物や砂糖には「ブドウ糖」や「果糖」が含まれており、甘い物を補給することによって速やかに血中のブドウ糖濃度を上げることが出来るためです。

そのため、低血糖の治療や対策としては「症状を感じたらすぐに甘い物を補給する」ことが一般的です。病院に行っても低血糖症に対する治療方法は「ブドウ糖」を補給して下さいと言われるだけで、特にそれ以上のアドバイスや治療はありません。

ですが、これではいつまで経っても低血糖症を改善させることは出来ませんよね。なぜなら、低血糖に陥ってからブドウ糖を補給することは、一時的に血糖値を上げるだけの対処療法であって根本的な解決法にはならないからです。

人体には「生体恒常性」と言って、本来は血糖値を正常範囲に保つ能力が備わっています。その機能が備わっているにも関わらず、うまく血糖値を正常範囲にコントロールできないことが最大の問題です。

では、なぜ上手く血糖値を正常範囲に保つことが出来なくなってしまったのでしょうか? 実は、これには必ず理由があります。あまり知られていませんが、血糖値を正常に維持するためには、肝臓やすい臓、副腎やインスリン、筋肉量、甲状腺機能など様々な働きが関わっています。それら働きが何らかの原因によって機能が低下したり乱れてしまうと、低血糖症が発症してしまう原因になってしまうのです。

例えば、次の疾病には低血糖症と関連があるとされています。

低血糖症との関連が考えられる疾病

  • 糖尿病(治療薬による低血糖は除く)
  • 貧血
  • 副腎疲労・慢性疲労症候群
  • 副腎不全
  • 脂肪肝など肝機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • ピロリ菌感染、胃腸障害
  • SIBO
  • リーキーガット症候群
  • 腸カンジダ症
  • 口腔内環境の悪化
  • 更年期障害、自律神経失調症
  • 肥満、痩せすぎ

これら疾病は、糖の消化吸収や糖代謝、血糖の正常な維持に必要な臓器機能の低下や乱れを引き起こす可能性があります。そのため、これらの疾病を抱えている方は低血糖症を発症する可能性が高くなります。

もしかするとあなたの状態にも心当たりありませんか? もし当てはまる疾病を抱えている方は、これら疾病を改善させることが出来れば低血糖症も改善出来る可能性が高いです。

また、上記疾病に心当たりが無い方も、もしかすると検査を受ければ何らかの疾病を抱えているかも知れません。検査によって疾病が無いかどうかを調べ、何故低血糖が起きてしまうかの理由をきちんと解決することができれば、低血糖症を根本から改善させることが可能になりますよ。

ナンナン

なるほど、低血糖症は上手く血糖値をコントロール出来なくなった状態なんだね💧

はる かおる

そうなんだ、血糖が上手くコントロールできなくなる原因は
様々な原因があるんだよ。その原因を特定して改善出来れば、低血糖症も改善出来るかも知れないよ。

低血糖症はオーソモレキュラー療法で改善出来るのか? オーソモレキュラー療法とは?


では、そんな低血糖症に対して、オーソモレキュラー療法で改善させることはできるのでしょうか?

オーソモレキュラー療法とは、基本的にオーソモレキュラー療法に対応するクリニックで専用の採血を行い、その結果を基にサプリメントを用いてアプローチしていく療法です。

例えば、KYBクラブで行われているオーソモレキュラー療法の血液検査(基本スクリーニング検査)では、血液、唾液、尿を含めた全68項目もの項目を検査することで、全身の状態や栄養状態を把握することが出来るようになっています。

更に、オプション検査として糖尿病や骨粗しょう症、ピロリ菌感染症やSIBO・リーキーガット症候群、DHEAs、酸化LDL検査など様々なオプションを加えることで、更に詳細に身体の状態や栄養状態を把握することが可能です。

KYBクラブのオーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査を実施し、栄養状態や生活習慣病の状態などを把握している

これらの結果は、分子栄養学に精通した専門医が一人一人のデータを解析し、レポートにまとめられます。メディカルレポートでは、血液検査結果についての解説を主に行い、栄養レポートでは個別に最適な栄養アプローチのアドバイスが記されています。

このようなレポートを参考に、専用の分子栄養学実践専用サプリメントで栄養補給を行っていくのがオーソモレキュラー療法です。

KYBクラブでは、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けた方にメディカルレポートと栄養レポートを発行している

例えば、低血糖症を引き起こす1つの原因として挙げられるものに「貧血」があります。貧血にはさまざまな種類がありますが、その中でも特に注意したいのが「鉄欠乏性貧血」です。

鉄欠乏性貧血とは、その名の通り鉄の摂取量が少ない場合や不足している場合に起こる貧血のことで、全体の貧血原因の約7割を占めていると言われています。1

この鉄欠乏性貧血は特に女性と子供に多く、理由としては女性の場合は毎月の月経によって定期的に出血し、血液と共に鉄分が失われてしまうためです。加えて、妊娠出産によって鉄の需要と消費が多くなるのも女性に貧血が多い理由です。他にも、子宮筋腫、過多月経など何かしらの疾病や病気、怪我によって出血量が多くなった場合も鉄欠乏性貧血となります。

鉄・亜鉛不足は様々な不調の原因となる。不足する原因は間違ったダイエットや月経、出産など。女性に特に多い

また、ダイエットや健康志向などによる鉄分の摂取不足に加え、現代の食生活で摂取量が多くなったコーヒーや紅茶、レトルトやインスタント食品の摂りすぎも関係しています。 これらは「タンニン」や「リン酸」などが多く含まれており、これらの成分は鉄分の吸収を阻害してしまいます。そのため、余計に鉄欠乏性貧血に陥りやすくなってしまっているのです。

鉄欠乏性貧血に陥る原因(婦人科疾患など疾病を除く)

  • 肉類の摂取量低下、菜食主義
  • コーヒーや紅茶の摂りすぎ(タンニンの影響)
  • レトルトやインスタント食品の摂りすぎ(リン酸の影響)
  • タンパク質不足
  • 胃の消化能力低下
  • ビタミンCやビタミンB群、亜鉛など造血に必要な栄養素の不足

では、具体的に貧血と低血糖症にはどのような関係があるのでしょうか? 1つ言えることとして、貧血があると低血糖症になりやすくなるという傾向があります。その理由は、貧血の状態だと身体が作り出せるエネルギー生成量が低下してしまうためです。

鉄は栄養素の運搬や神経伝達物質の合成に必要であり、不足すると低血糖症に繋がる恐れがある

貧血は単に血が足りないだけと思われがちですが、それだけではありません。血液や鉄分は体内の細胞に酸素や栄養を届けたり、脳の神経伝達物質を合成する材料としても使われています。そのため、血液の量が少ないとその分だけ全身に酸素や栄養を運ぶ能力が低下し、糖をエネルギーとして利用する能力が低下してしまいます。

また、貧血では脳の神経伝達物質の合成量が低下することから、貧血の状態では自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れも引き起こす原因です。この自律神経の乱れが引き起こされると、身体は強いストレスを受けて血糖値が乱れやすくなり、正常な維持が出来なくなります。

貧血は自律神経の乱れと密接な関係がある。血糖値も自律神経でコントロールされていることから、自律神経の乱れは血糖値の乱れにも繋がる

このことから、貧血を抱えていると低血糖症を引き起こしやすくなります。このような場合、低血糖症を改善させるためには鉄欠乏性貧血を含めた疾病を改善させることが第一です。特に栄養鉄欠乏性貧血は単に鉄分の摂取量が少ないこと以外にも、タンパク質不足などの消化吸収能の低下や、消化管などからによる出血や、婦人科疾患による出血量の増加などの疾病が関係している場合があります。

これら疾病が合った場合は適切に治療を行い、鉄分を始めとした栄養不足や栄養欠損を改善することが出来れば、低血糖症も同時に改善出来る可能性があります。オーソモレキュラー療法では、このような栄養欠損に対して一人一人に最適な栄養アプローチを行う事で栄養欠損の改善を目指していきます。

また、オーソモレキュラー療法では、十分な栄養補給と生活習慣の改善に加え、必要であれば感染症の治療や薬での治療など、現代医療による治療も組み合わせて行っていきます。これは、感染症などの病態によっても栄養素の吸収力低下や、生体内の分子の乱れが引き起こされてしまうためです。

例えば、ピロリ菌に感染していると胃がんのリスクや糖尿病・低血糖症、貧血のリスクが上昇すると言われています。これは、ピロリ菌の出す毒素が胃粘膜にダメージを与え、胃炎を起こしてしまうためです。

この胃炎は慢性的な炎症を引き起こし、生体内の分子の乱れ引き起こします。加えて胃粘膜が炎症によってダメージを受けてしまうことで胃腸機能が低下し、食べ物の消化吸収能力が低下して生体内の分子の乱れに繋がってしまいます。

ピロリ菌と胃炎の関係。ピロリ菌の出す毒素によって胃炎や胃がんを引き起こす。

特に慢性胃炎による胃腸機能低下では、タンパク質の消化不良やビタミンB12・葉酸、鉄分などの吸収不全を引き起こしてしまいます。タンパク質をしっかり消化するためには十分な胃酸の分泌が必要ですし、ビタミンB12や葉酸を吸収するためには胃から分泌される内因子が必要です。

このタンパク質不足や鉄不足、ビタミンB12や葉酸不足に陥っていると、正常な血液を作るための栄養が足りなくなり、鉄欠乏性貧血や悪性貧血などを引き起こす原因になってしまうというわけです。

ですので、オーソモレキュラー療法で栄養補給を行う際は、ピロリ菌に感染していないかなどの検査を行い、必要に応じて治療を行う事も必要です。このような感染症などの病態にはサプリメントで対処出来ませんので、西洋医学的な治療が必要になります。

そして、治療中や治療後には、通常医療では出来ない栄養補給や栄養的なケアを行うのがオーソモレキュラー療法の役目です。先ほど解説したピロリ菌による慢性胃炎や鉄欠乏性貧血、悪性貧血をケアするためには、身体を修復するための材料となる栄養素が欠かせません。

通常医療では除菌を行う事が主な役割であって、このような身体を修復するための栄養補給は行いません。このため、オーソモレキュラー療法では「至適量の栄養補給」と「生活習慣の改善」「必要な治療」をセットで行っていきます。この3つがセットになったものが、オーソモレキュラー療法です。

分子栄養学は自費診療となるので高額となる。一方で、病院での治療は健康保険制度によって破格の値段で受ける事が可能。この2つは、どちらが優れているとかでは無く上手く組み合わせることが大切。

ここで、もう一度低血糖症との関連が考えられる疾病を見てみましょう。

低血糖症との関連が考えられる疾病

  • 糖尿病(治療薬による低血糖は除く)
  • 貧血
  • 副腎疲労・慢性疲労症候群
  • 副腎不全
  • 脂肪肝など肝機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • ピロリ菌感染、胃腸障害
  • SIBO
  • リーキーガット症候群
  • 腸カンジダ症
  • 口腔内環境の悪化
  • 更年期障害、自律神経失調症
  • 肥満、痩せすぎ

低血糖症との関連が考えられる疾病の中に、貧血やピロリ菌感染症などがありますよね。これらはオーソモレキュラー療法でアプローチを行う事が出来ます。つまり、低血糖症の原因が何らかの疾病や栄養欠損であった場合、オーソモレキュラー療法をしっかり取り組めば改善出来る可能性が十分にあると言えるわけです。

オーソモレキュラー療法というと「何だか怪しい療法」のように聞こえますが、実際にはかなりまともな療法であることが分かりますね。

ナンナン

なるほど、低血糖症は様々な疾病や栄養欠損が関係していて、それを改善させることが必要なのか❗

はる かおる

そうだね。オーソモレキュラー療法では、これら疾病や栄養欠損が無いかを調べるために「スクリーニング検査」を行って、問題があった場合は適切な治療や栄養補給を行っていくんだ。通常医療だけでは足りない部分もでてくるから、そこをカバーするための療法でもあるんだよ。

間違ったオーソモレキュラー療法の情報に注意!

とは言え、インターネット上では間違った分子栄養学の情報やオーソモレキュラー療法の情報が多く発信されていることも事実です。

例えば、オーソモレキュラー療法に関する情報の中には「食事を改善すれば病気が治る」といったように、特定の食事や食品を食べることで特定の病気が改善出来るといった情報や、「サプリメントを摂取する事で病気が治る」と言われていることがあります。

これらは典型的な間違った情報で、先ほども解説した様に、オーソモレキュラー療法はそもそも特定の食品やサプリメントを摂取して病気を治す療法ではありません。

確かに食事内容が偏っている方については食事改善も必要ですが、だからと言ってそれだけで病気が治ったり、オーソモレキュラー療法としてのアプローチが出来たりすることはありません。

例えば、食生活に問題があって2型糖尿病になってしまった方は、確かに食事の改善が必要です。バランスの良い食事を心がけ、過剰な糖質や脂質の摂取は控えることが必要になります。ただ、それだけで2型糖尿病は改善出来ません。食事を整える事で一時的に血糖値は下がるかも知れませんが、一時的に血糖値が下がったとしても、それで2型糖尿病が治った訳ではないからです。

肥満が慢性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を発生させる

2型糖尿病の原因は確かに食生活の問題もありますが、根本原因は糖代謝の悪化です。インスリンの効きが悪くなっていたり、糖をエネルギーとして上手く使えなくなっている場合にも引き起こされます。この原因は、栄養欠損をはじめ、感染症や慢性炎症、疾病など様々です。そのため、単に食事を変えたりサプリメントを飲んだだけで、病気が治ることはありません。

よく見かける間違ったオーソモレキュラー療法の情報としては、「亜鉛はインスリンの構成成分の1つなので、亜鉛を十分な量摂取すればインスリンの働きは改善出来る」とされるものです。「そのために亜鉛のサプリメントを飲みましょう、亜鉛が多い食品を食べましょう」と言われています。確かにインスリンの構成成として亜鉛も必要な栄養素ですが、原因はそれだけではありません。

実際には感染症や慢性炎症、疾病など様々な原因が関係しています。必要に応じてこれらの治療を行う事に加え、生活習慣の改善も必要です。二型糖尿病は生活習慣病という面も強く、運動不足や睡眠不足、食生活の見直しや栄養状態の改善といった生活習慣の改善も必要になります。

そのため、正しいオーソモレキュラー療法では、これら感染症の治療や生活習慣の改善、栄養状態の改善などトータルで行っていきます。決して「食事だけ」「サプリメントだけ」で行うものではありません。そうではなく、実際には乱れた生体内の分子を整えるために、運動・栄養・休養の3つのバランスを取ることが目的であり、その目的のために必要な栄養素を摂取するのが正解です。

例えば、感染症や慢性炎症、疾病などでダメージを受けた細胞を修復するためには材料となる栄養素が必要なほか、乱れた生活習慣を改善させるためにも十分な栄養補給が必要です。運動をするにもエネルギーとなる栄養が必要ですし、筋肉量を維持・増加させるためにはタンパク質を始めとした栄養が必要です。また、質の良い睡眠をとるためにも栄養は必要になります。

栄養素は、運動したりよい睡眠をとったりして、体内で利用されて初めて意味がある。そのため、分子栄養学ではこの3つの目的のために必要な栄養素を摂取するという考え方が重要です。

オーソモレキュラー療法による栄養アプローチは、この3つの目的のために栄養素を摂取する事であって、決して栄養素だけで病気を治すといった療法ではありません。この部分の認識は、オーソモレキュラー療法で特に間違われやすい事の1つです。

例えば、「低血糖症に効果がある栄養素を摂取する」のではなく、「糖代謝を改善させるために必要な筋肉をつける、運動するために必要な栄養素を摂る」事が正解です。

他にも、「ガンに効く栄養素を摂取する」のではなく、「ガンの発症原因となる生活習慣や、肥満を改善させるための運動に必要な栄養素を摂る」といった感じです。

オーソモレキュラー療法を実践する上で重要な考え方

  • 痩せる栄養素は何ですか?
    基礎代謝を上げるために運動して筋肉を付ける。そのために必要な栄養を摂る◎
  • 2型糖尿病に効く栄養素はなんですか?
    糖代謝改善に運動と筋肉量アップが必要。そのために必要な栄養素を摂る◎
  • ガンに効く栄養素は何ですか?
    ガンの予防、改善にも運動と筋肉量アップが必要。そのために必要な栄養素を摂る◎
  • 眠れるようになる栄養素を教えてください
    質の良い睡眠には、自律神経のバランスを整える、運動することが必要。そのために必要な栄養素を摂る◎

オーソモレキュラー療法では、栄養素を対処療法のように用いるのではなく、病気を予防したり、健康を維持するために必要な運動・栄養・休養の3つのバランスを整えるために必要な栄養素を摂取するという考え方が重要です。

特に、病気の殆どは生活習慣が大きく関係しています。生活習慣の改善無しに、生活習慣病の改善はあり得ません。オーソモレキュラー療法は、これら3つの目的をサポートするためのものです。何か特定の栄養素を摂取しただけで病態改善が得られるわけではない点には十分理解しておきましょう。

もし、更に具体的にオーソモレキュラー療法の基本や一般的な医療との違いについて知りたい方は、下記の記事も参考にしてみて下さい。

ナンナン

ま、間違ったオーソモレキュラー療法の情報❗❓
確かに言われてみたら、サプリで病気が治るみたいな怪しい情報がネット上に溢れているかも💧

はる かおる

そうなんだ。薬の代わりにサプリメントを使って病気を治すみたいな情報は、まず疑った方が良いね。まずは栄養欠損の原因となった疾病等の治療ありきで、通常医療無しに適切なオーソモレキュラー療法は出来ないんだ。

低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の具体的な流れ

では、ここからは低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の具体的な流れについてです。ここでは主にKYBクラブで提供されているオーソモレキュラー療法を例に解説していきます。

まず最初に解説したように、低血糖症は感染症や慢性炎症、栄養欠損など様々な状態が関係していますので、これらを調べるための検査を受けましょう。オーソモレキュラー療法では、全身を調べる「基本スクリーニング検査」に加え、胃の状態や甲状腺の状態、血糖値の状態を調べるための検査などを必要に応じて追加します。

STEP
オーソモレキュラー療法の血液検査を受ける

オーソモレキュラー療法の血液検査は、全身の健康状態や栄養状態を把握するために行う検査です。この検査に加えて、必要に応じてオプション検査を追加します。

STEP
レポートが発行されたら、必要に応じて治療を行う

検査結果によっては、ピロリ菌感染症の疑いや脂肪肝などの疑いが指摘されることがあります。これらの病態を確認する為にも、信頼のおけるクリニック等で検査を受けて下さい。また、必要に応じて治療と分子栄養学的アプローチを行って下さい。

STEP
栄養アプローチや生活習慣の改善を行う

適切な治療を行ったら、レポートを参考にご自身の状態や消化能力に合わせて栄養補給を行います。また、食生活に問題がある場合や生活習慣に問題がある場合も、同時に見直しましょう。

STEP
定期的な検査と見直しを行う

検査は1回受けて終わりではありません。加齢や状態によって身体の状態は日々変化していきます。これらを定期的にチェックし、その都度適切なアプローチとなるよう見直すことが大切です。特に栄養状態が悪い方は、1回目の検査では血液が濃縮していて病態がマスクされていることもあります。隠れた異常を早期発見するためにも、定期的な検査が重要です。

初めての方は、基本検査となる「基本スクリーニング検査」とタンパク質の消化能力やピロリ菌の感染有無を調べる検査を必ず受けておきましょう。ピロリ菌の感染による慢性胃炎は低血糖症の原因にもなりますし、タンパク質不足による栄養欠損も引き起こします。過去にピロリ菌に感染していなかった方でも、タンパク質の消化能力を調べるためにも必ず受けて頂くのがオススメです。

✔️初回検査で必ず受けた方が良い検査
・K01基本検査
・K15タンパク質消化能力検査(ピロリ菌検査)

この2つの検査に加え、更に状態や必要に応じて甲状腺の検査や肝臓の状態などを調べるオプションを追加してみて下さい。これら疾病も、状態によっては低血糖症と関連がある場合があります。

✔️必要に応じて追加した方が良い検査
K02糖尿病
K04肝臓病
K05アレルギー
K06甲状腺
K14脂質酸化検査
K20短鎖脂肪酸検査
DHEAs (副腎疲労の程度を知る検査)

これら検査の詳細やオーソモレキュラー療法については、下記記事で詳しく解説していますのでご覧下さい。また、どのオプションを追加したら良いのか分からない方については、オーソモレキュラー療法申込時に無料でご案内致します。お気軽にご相談下さい。

検査が無事に終了すると、後日分析結果がまとめられたレポートが届きます。このレポートを参考に、必要に応じて感染症の治療や栄養状態の改善を行っていきましょう。

低血糖症の原因は人それぞれ違うため、一人一人アプローチも異なります。具体的なアプローチに関してはレポート発行後の栄養相談にてアドバイスしておりますので、そちらを参考に行って下さい。

ナンナン

なるほど。検査を受けて、必要に応じて治療を行って、更に必要な栄養を補給していくんだね

はる かおる

そうそう。それに生活習慣の改善や食事改善なんかも必要だよ。このあたりは人によって全く異なるから、検査を受けて自分に必要なアプローチを行っていく事が大切だね。

低血糖症の状態を調べるには、持続グルコース濃度測定検査もオススメ

これら検査に加えて、低血糖症の方にはもう一つ受けて頂きたい検査があります。それが、持続グルコース濃度測定検査と呼ばれている検査です。

持続グルコース濃度測定検査とは、針の付いたセンサーを装着し、そこから血中のブドウ糖濃度(グルコース)を継続的に測定していく検査です。測定されたグルコース濃度はグラフ化され、どのような時に高血糖や低血糖になっているのかの波が分かります。

センサーにリーダーをかざすと測定できる

なぜこのような検査が必要なのかというと、低血糖の状態や血糖値の状態は人によって様々な状態があるためです。

例えば、低血糖と言っても「夜間低血糖」がある方や「血糖値スパイク」を引き起こしている方、何を食べても血糖値が上がらない「無反応低血糖症」の方もいます。このように低血糖症と言っても様々な種類や状態があり、それぞれアプローチ方法も異なるため、オーソモレキュラー療法の検査とあわせて血糖値の状態も調べておくことが重要です。

また、あなたが感じている不調が「低血糖症である」とは限りません。低血糖症と似たような不調もあることから、ご自身の判断や症状だけで「低血糖症だ」と決めつけるのは危険です。実際に、ずっと低血糖症だと思い込んでいた不調が、「検査を受けてみたら低血糖症では無かった」という事例もありました。

ですので、ご自身の判断や症状から低血糖症と決めつけるのでは無く、きちんと検査をしてみて客観的に判断することが重要です。持続グルコース濃度測定検査を受けることによって、ご自身にどの時間帯や食べ物で血糖値の乱高下が起きているのかや、実際にどのような低血糖が起こっているのかが分かります。

持続グルコース濃度測定検査

例えば、

空腹時血糖が80〜70mg/dlを下回る時間が長かったら低血糖症の可能性あり。
食後血糖値が160mg/dlを超えるようなら血糖値スパイクの疑いあり。
空腹時血糖が130mg/dlを超えているようなら糖尿病の疑いあり。
夜間や朝方など特定の時間に低血糖が起こる場合は、夜間低血糖の疑いあり。
食後血糖値が60~80mg/dl前後から上がらない場合は、血糖値を上げられない無反応性低血糖症の疑いあり

といったように、読み取ったグラフや血糖値の傾向からどのような低血糖や血糖コントロールの異常があるのかが分かってきます。

最初にお伝えしたように、低血糖には食べ物を食べて血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」もあれば、何を食べても血糖値が上がらない「無反応性低血糖」という低血糖の状態もあります。

このような低血糖の種類や状態によってそれぞれ原因や対処法が異なってきますので、ご自身の原因や対処法を知るためにも是非持続グルコース濃度測定検査を受けてみて下さい。

持続グルコース濃度測定検査の受け方

持続グルコース濃度測定の受け方についてですが、前述したオーソモレキュラー療法と同時に受ける事が可能です。

検査自体はクリニックが提供していますが、わざわざ病院まで検査を受けに行く必要はありません。測定に必要な測定器とセンサーは申し込み後に宅配で送られてくるため、ご自宅にて測定可能です。

測定した結果はクリニックに自動的に送られ、検査終了後は医師の解析や解説もセットで提供されています。解説は電話で受ける事が出来ますので、ご自宅に居ながらより詳しく状態を知ることが出来ます。

ですので、低血糖症でお悩みの方はオーソモレキュラー療法の検査とあわせて持続グルコース濃度測定検査も受けてみて下さい。

ナンナン

なるほど、低血糖にも人によって原因が違ったり、色々な種類があるんだね

はる かおる

そうだよ、だからこそ検査を受けるのが重要なんだ。

ナンナン

食事をしてもどのくらい血糖が上がってるのかも分からないし・・・
分かった、持続グルコース濃度測定検査を受けてみるよ❗

低血糖症はオーソモレキュラー療法で良くなる? 低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の流れとはまとめ

以上が、低血糖症はオーソモレキュラー療法で改善できるのかについてと、低血糖症に対するオーソモレキュラー療法の流れでした。

低血糖症は、血糖値が下がりすぎてしまう事が原因と言われていますが、その奥深くにはもっと複雑な原因が関係しています。そのため、何か特定のサプリメントを摂ったり、食事改善をしたりしたとしても、それだけで低血糖症が改善出来るわけではありません。

低血糖症の発症には様々な疾患が関わっており、その疾患を改善していくことも必要です。人の身体には、元々糖質などの栄養素や血糖値を上手く利用したりコントロールしたりする機能が備わっています。低血糖症は、この機能が正常に働けなくなってしまったことが一番の問題です。この機能を元に戻すことが出来れば、機能性低血糖症や無反応性低血糖症も改善出来る可能性が高いです。

是非、このあたりの原因をしっかり調べて適切なアプローチを行っていきましょう。オーソモレキュラー療法では「至適量の栄養補給」と「生活習慣の改善」「必要な治療」をセットで行っていきます。オーソモレキュラー療法をしっかり受ければ、低血糖症の原因となっている疾病の早期発見や、根本原因から低血糖症を解決する際の大きな手助けになるはずです。

オーソモレキュラー療法や持続グルコース濃度測定検査を受けたことが無い方は、この機会に是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

ナンナン

今まで低血糖症に対して全然知らなかったけど
すごく参考になったよ❗ありがとう❗❗

はる かおる

うん、低血糖症の原因は一人一人違うから、是非オーソモレキュラー療法を受けてみてね。

ナンナン

分かった❗ オーソモレキュラー療法を受けて、低血糖症を改善させてみるよ❗

  1. 貧血の原因の70~80%は「鉄分不足」 ↩︎

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これを読む前に分子栄養学を実践するのは危険です❗

世の中には、たくさんの健康情報が溢れています。
「この症状にはこのサプリメントを飲むと良い」「この不調にはこの食べ物がいい」
様々な情報が発信されているにもかかわらず、実際に不調が改善されていない人が多いのは何故でしょうか?

それは、現在のネット情報では個体差を考慮していない表面的な情報しか手に入らないからです。例えば、ネット上に書かれているオススメの食事内容が、あなたにとって消化吸収出来る最適な食事とは限りません。また、オススメされている栄養素をサプリメントで摂ったとしても、そのサプリメントがきちんと消化吸収、利用出来る分子構造で製造されているとは限りません。

分子栄養学においても同じで、現在では「なんちゃって分子栄養学」と呼ばれるいい加減な情報発信が多くされています。

分子栄養学・オーソモレキュラー療法を効果的に、かつ安全に実践するためには、このような間違った情報を排除し、正しい分子栄養学の知識を身につけることが重要です。また、栄養やサプリメントの知識以外にも、栄養療法を成功させるためには、栄養療法に対する考え方や取り組み方、生き方などの改善も欠かせません。

このメルマガでは、分子栄養学に関する正しい知識はもちろん、栄養療法を行う上でのコツや考え方、ココでは解説しきれなかった事、記事では公開できないような内容を配信しています。

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はる かおるのアバター はる かおる 分子栄養療法ナビゲーター ディレクター

春木 敏徳(はる かおる)
分子栄養療法ナビ(このサイト)の管理人のはる かおるです。
現在は「字が書けないライター」兼、KYBクラブのディレクターとして活動しています。

僕自身、発達障害の一種である「書字障害」を抱え、幼少の頃から両親からの虐待や学校でのいじめなど、数々の困難や体調不良を経験してきました。
育った環境の悪さから18歳頃からうつ病を発症し、その後10年近く精神薬での治療を行っています。また、他にも小・中・高校生時代は朝起きられず、殆ど学校にも行っていません。

今では「あれは起立性調節障害だったな」と思えるのですが、当時はそのような病気の認識は殆どありませんでした。そのため、非常に風当たりの強い中、幼少時代を過ごしてきています。

また、幼少期から続く極度の栄養失調により、低血糖症や甲状腺機能低下症、SIBO、リーキーガット症候群、副腎疲労、脂肪肝など様々な病気を経験しました。現在では分子栄養学に出会ったことで体調も大きく回復しており、これら病気の改善に必要な知識も豊富です。

インターネットの登場によって間違った分子栄養学も広まってきており、それによって体調を崩してしまう人も多くなってきています。このような中、分子栄養療法ナビ(このサイト)や情報発信を通じて、多くの人に正しい分子栄養学が広められるよう現在も奮闘中。

得意とする分野
うつ病、発達障害、ADHD、起立性調節障害、貧血、不妊症、ガン、甲状腺機能障害、ピロリ菌感染症、SIBO、リーキーガット症候群、低血糖症、副腎疲労、脂肪肝、ダイエット、更年期障害、PMSなど。全般的に幅広い知識を有する。

ほか、文章を書くのが得意で、ライティングやマーケティング、投資などお金に関する知識や生き方に関するアドバイスも得意。

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