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鉄欠乏性貧血・フェリチン値改善のために「鉄」しか入ってないサプリを選んではいけない理由。鉄が体内で働くために必要な栄養素とアプローチを分子栄養学観点から解説

貧血には様々な原因がありますが、最もなじみ深い貧血に「鉄欠乏性貧血」があります。鉄欠乏性貧血は、その名の通り鉄の摂取量が不足したり、体内で鉄が不足してしまうことによって発生する貧血です。

また、体内で貯蔵している鉄分の「フェリチン」が低下して貧血になってしまう場合もあります。このようなフェリチンが足りなくて貧血になることを「隠れ鉄欠乏性貧血」と言います。

この「鉄欠乏性貧血」という名前だけ見ると、貧血改善には「足りない鉄だけを補えば良い」ような感じがしますよね。

しかし、鉄が足りていないからといって、鉄だけを大量に補給すればいいわけではありません。体内で鉄を利用するためには、亜鉛や銅、セレンやマンガンなど、鉄以外のミネラルも必要です。

では、なぜ鉄分を補給する際には、これらのミネラルの補給も必要なのでしょうか。また、どのように鉄の代謝と関わっているのでしょうか。詳しく解説していきましょう。

ナンナン

うーん・・・何かイマイチだなぁ・・・💧

はる かおる

どうしたの❓

ナンナン

あ、実は体調不良は鉄サプリを飲むと良くなるって情報を見て、摂りはじめたんだよね。でも、思ってたより全然変わらなくてさ💧
調べたら、鉄サプリは身体に良くないとかいろいろ言われてるし・・・

はる かおる

あー、そういう情報を見て鉄サプリを飲み始める人が多いね。
1つ聞くけど、どんな鉄サプリ飲んでるの❓

ナンナン

えっと・・・、ネットでオススメされてた海外の鉄サプリだよ。これで調子が良くなったって人が多いんだ

はる かおる

どれどれ・・・このサプリ、鉄しか入ってないサプリだね。調子がイマイチなのも、鉄しか摂ってないからだと思うよ。

ナンナン

鉄しか摂ってないって・・・鉄サプリなんだから鉄しか入ってなくて当たり前じゃん❗

はる かおる

いやいや、実は鉄だけを摂っても身体は鉄をうまく利用出来ないんだ。鉄を利用するには、マンガンやセレン、亜鉛や銅などその他の栄養素も必要になるよ。このあたり、詳しく教えてあげるね。

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目次

鉄分を摂るとそれがそのままフェリチンや血液になる・・・は間違い。知っておきたい鉄分の吸収と代謝の基本

鉄サプリなど鉄分を摂ると、なんとなく「そのまま吸収されてヘモグロビンや赤血球、 フェリチンになる」ようなイメージがありますよね。

ですが、実際に鉄分がヘモグロビンや赤血球に利用さたり、フェリチンとして貯えるためには、体内でものすごく複雑な代謝が必要です。

鉄サプリメントを摂取するなど分子栄養学を実践する際は、基礎としてまず鉄がどのように吸収されて利用されているのか、この流れを理解しておくことが大切です。

貧血を改善するために必要な栄養素を解説する前に、鉄分の基本と鉄代謝の基本を抑えておきましょう。

まず、鉄分には動物性の鉄分である「ヘム鉄」と植物性の鉄分である「非ヘム鉄」があります。

鉄分には、大きく分けてヘム鉄と非ヘム鉄がある

ヘム鉄は、動物の血液や筋肉に含まれている鉄分のことで、鉄分子がタンパク質のカプセルに包まれている構造をしています。これにより、鉄の吸収を阻害してしまうタンニンやリンなどの影響を受けにくく、とても吸収率が高いという特徴があります。(10%〜30%)

一方で、植物に含まれている非ヘム鉄は、鉄分子がタンパク質のカプセルに包まれていない状態で存在しています。そのため、お茶に含まれるタンニンや、加工食品などに多く含まれるリンと結合しやすく、結合した鉄は吸収出来ずにそのまま排泄されてしまうため、吸収率がとても低い鉄分です。(5%以下)

この2つの鉄分は、摂取するとそれぞれ違うルートで吸収されています。

まず、私達が肉や魚、野菜などから鉄分を摂取した場合、胃で消化されて小腸に流れ、小腸粘膜で吸収されます。肉や魚などに含まれているヘム鉄の場合は、「ヘムトランスポーター」と呼ばれる専用の輸送経路から、直接吸収されるという特徴があります。この専用の輸送経路があるおかげで、ヘム鉄はとても吸収率が高くなっています。

鉄の体内動態。ヘム鉄は専用の入り口から吸収されるため、吸収率が高い。一方非ヘム鉄では胃酸やビタミンCの助けを借りる必要がある

一方で、ホウレン草などに含まれる「非ヘム鉄」を摂取した際は、一度「ビタミンC」や「胃酸」などの助けを借りて、Fe3+(三価の鉄)からFe2+(二価の鉄)へと還元する必要があります。

この理由は、Fe3+である三価の鉄は、水に溶けない「不溶性の鉄」のため、そのままでは吸収することが出来ないためです。野菜や豆などに含まれている「非ヘム鉄」は、主に三価の鉄(Fe3+)として含まれています。

この三価の鉄を吸収するためには、一度還元を行って二価の鉄(Fe2+)に変換する必要があります。こうすることで水に溶けやすくなり、鉄が吸収出来るようになります。

このFe3+(三価の鉄)からFe2+(二価の鉄)への還元を手伝ってくれるのが、ビタミンCや胃酸です。

そして、Fe2+に還元された非ヘム鉄は、小腸粘膜にある「DMT-1」というミネラルを吸収する共通の経路から吸収されます。

鉄の吸収・運搬には「ヘム」と「銅」が重要な働きを担っている

その後、吸収された鉄分はとても複雑な代謝を経てヘモグロビンや赤血球の材料に使われます。この際、鉄分以外にも様々な栄養が必要です。

例えば、鉄分が吸収されたあとには、大まかに次のような流れで全身に運ばれ、利用されています。

鉄が吸収・利用されるまでのおおまかな流れ

  1. 摂取した鉄は、主に小腸で吸収されます。
  2. 小腸の細胞に一度取り込まれた鉄は、体の需要に応じて血管内に放出されます。
  3. 血管内に放出された鉄は、「トランスフェリン」(鉄の運搬トラック)と結合し、全身の細胞に運ばれます。
  4. 鉄が必要な細胞(特に骨髄や肝臓など)は、トランスフェリンから鉄を受け取り、細胞内に取り込みます。
  5. 細胞に取り込まれた鉄は、ミトコンドリアでエネルギー(ATP)産生のために使われたり、「ヘム」(ヘモグロビンの材料)の合成に使われたりします。
  6. 骨髄の細胞では、この「ヘム」とタンパク質が結合して「ヘモグロビン」が作られます。このヘモグロビンを詰め込んだものが「赤血球」です。
  7. 細胞内で使われず余った鉄は、「フェリチン」(鉄の貯蔵庫)として蓄えられます。この貯蔵されているフェリチンの一部が血液中に漏れ出たものが「血清フェリチン」で、体内の貯蔵鉄の量を反映する指標となります。

この中で、最初の鉄の吸収と運搬のプロセスに深く関わるのが、「銅」と体内で合成される「ヘム」です。この「ヘム」とは、ヘモグロビンやミオグロビン、赤血球の材料となるほか、私達が身体を動かしたり生命活動を行うために必要なATP(エネルギーの電池のようなもの)を作る材料になります。

ヘムは、ポルフィリン環の真ん中に二価の鉄を含む。このポルフィリン環の真ん中に結合した鉄をヘム鉄という

分かりにくいかもしれませんが、動物性の鉄分と言われているヘム鉄には、大きく分けて「肉や魚など食品に含まれているもの」と、「自分の体内で自ら合成して作ったもの」の2種類があります。

このうち、体内で利用出来るのは「自分の体内で自ら合成して作ったもの」だけです。食事に含まれているヘム鉄がそのまま体内で利用されるようなイメージがありますが、実は吸収段階で一度分解され、再度自分の体内で作り直しているんですね。

鉄を吸収するためには、この「自分の体内で自ら合成して作ったヘム鉄」が材料として必要になります。もし、体内でヘムを合成するための鉄分や材料が足りないと、このヘム鉄の合成がうまく出来なくなってしまいます。

その結果、いわゆる「鉄欠乏性貧血」などの原因になります。この鉄欠乏性貧血を改善するための「ヘム鉄」を合成するためには、材料となる鉄の吸収に「ヘム鉄」が必要になるということです。

具体的には、先ほど三価の鉄Fe3+から二価の鉄Fe2+への変換には「胃酸」や「ビタミンC」が関わっていると解説しましたよね。実は、この部分にはヘム鉄も深く関わっています。

それが、Dcytb(十二指腸チトクロムb)という鉄還元酵素です。

非ヘム鉄である三価の鉄を二価の鉄に還元して吸収するためには、体内で作られた「ヘム」が必要になる

Dcytb(十二指腸チトクロムb)とは、植物などに含まれる非ヘム鉄の三価の鉄(Fe3+)をFe2+に還元する役割を担っている酵素です。この酵素の働きによってFe2+に還元された鉄は、非ヘム鉄の吸収ルートである「DMT-1」から吸収されます。1

非ヘム鉄を吸収するためには、ビタミンCや胃酸以外にもこの酵素の働きが欠かせません。

そして、このDcytb(十二指腸チトクロムb)自体が「ヘムを含む酵素」であり、その構造の一部として「ヘム」を必要とします。(このヘムは食事のヘム鉄ではなく、体内で合成されるものです)

Dcytb(十二指腸チトクロムb)には単位量当たり2分子のヘムが含まれていて、ビタミンCやクエン酸、リンゴ酸などと共に鉄を還元する働きをしています。

つまり、鉄を還元して吸収するためには、体内で合成した「鉄(ヘム)」が必要になるということなんですね。

鉄が不足していて鉄を補給したいのに、その吸収に鉄が必要になるというのは何だが変な感じがしますが、分子栄養学を学んでいる方なら、「タンパク質が不足していると体内でタンパク質がうまく利用出来なくなる」のと似たようなものだと思ってください。

この「ヘム」の合成には、鉄分以外にも「亜鉛」や「タンパク質」などが必要になります。鉄欠乏性貧血を改善するためには、これら栄養素も欠かせません。(詳しくは後述)

また、吸収された鉄を運搬するためには、「銅」が必要です。銅は、吸収した鉄を「トランスフェリン」という鉄輸送タンパク質に載せるための調整役として働いています。

小腸粘膜で吸収された鉄は、トランスフェリンに乗って全身の細胞に運ばれる。このトランスフェリンに鉄を乗せるためには、銅含有酵素が必要

具体的には、小腸で吸収された鉄は「フェロポーチン」というタンパク質の輸送体にのって、血液中に放出されます。この時の鉄の状態は、二価鉄(Fe2+)の状態です。

血液中に放出された二価鉄は、そのままでは鉄を運ぶタンパク質である「トランスフェリン」に乗れないため、二価の鉄から三価の鉄に変換する必要があります。

三価の鉄に変換することで、トランスフェリンという鉄を運ぶトラックに乗ることが出来るようになるのです。

この、二価の鉄から三価の鉄に変換(酸化)するためには酵素の働きが必要になります。この酵素が、「ヘファスチン」と呼ばれる銅を含む酵素です。この酵素を作るためには銅が必要になるので、銅が無ければヘファスチンが十分に作れず、鉄の運搬がうまく出来なくなってしまいます。

つまり、銅は鉄の利用や運搬に深く関わっている栄養素なんですね。

ナンナン

うーん・・・なかなか難しい話しだけど、鉄を利用するためには銅やヘムが必要なんだね

はる かおる

そうだね。鉄分を摂るとそのままフェリチンや血液に変わるイメージがあるけど、実際にはかなり複雑な代謝が行われているよ。この鉄を利用するためには、銅やセレン、マンガン、亜鉛など様々な栄養が必要なんだ

体内でヘムを合成するためには、「タンパク質」と「亜鉛」「ビタミンB群」が必要

先ほども解説しましたが、鉄を吸収したり赤血球を作ったりするためには、体内で作った「ヘム(ヘム鉄)」が必要です。このヘムを合成するためには、鉄分以外にも「グリシン」と呼ばれるアミノ酸や「亜鉛」、ビタミンB6」が関わっています。

具体的な流れとしては、鉄の輸送トラックである「トランスフェリン」にのった鉄は、肝臓や骨髄など鉄が必要な細胞に運ばれます。

鉄が必要な細胞(特に骨髄や肝臓など)は、鉄を受け取るために「トランスフェリン受容体」というトランスフェリン専用のルートをつくり、トランスフェリンから鉄を受けとって細胞内(エンドソーム)に取り込みます。

トランスフェリンから受け取った鉄は三価の鉄(Fe3+)なので、細胞内で運んだり利用出来るようにするために再度二価の鉄Fe2+に還元し、その後ミトコンドリアへと運ばれてATP産生やヘム合成などに利用されます。

ヘム合成はミトコンドリア内で行われる。

この時、ミトコンドリア内では、ヘムを合成するために「グリシン」というアミノ酸と「スクシニルCoA」を材料に、ポルフィリン環を作るための5-ALA(アミノレブリン酸)の合成が行われています。

この5-ALAを8つ作って集めると、ポルフィリン環が出来上がります。出来上がったポルフィリン環の真ん中にFe2+がはめ込まれたら、ようやく「ヘム」の出来上がりです。

ミトコンドリア内では、グリシンとスクシニルCoAを材料に5-ALAを合成し、ポルフィリン環とヘムが作られる

このヘムを構成している5-ALAやポルフィリン環の合成には、グリシンやスクシニルCoA以外にも「ビタミンB6」や「亜鉛」が欠かせません。

5-ALAやポルフィリン環を合成するためには、まずグリシンとスクシニルCoAを材料に「5-ALA(アミノレブリン酸)」を合成する必要があります。

この5-ALA(アミノレブリン酸)を合成するためには「ALAシンターゼ」という酵素が関わっており、この酵素には「ビタミンB6」が必要です。

ヘム合成に必要な5-ALA、ポルフィリン環の合成にはビタミンB6や亜鉛が関わっている

そして、このアミノレブリン酸を8つ作って組み合わせると、ヘムの元になる「プロトポルフィリン環」が出来上がります。このアミノレブリン酸からプロトポルフィリン環に合成するためには、「ALAデヒドロターゼ」という酵素が必要となり、この酵素を作るためには「亜鉛」が必要です。

出来上がったポルフィリン環の中央に二価鉄がはめ込まれると、ようやく「ヘム」の完成です。

ヘムは、ヘモグロビンやミオグロビンの材料となるほか、ATP産生にも関わる

出来上がったヘムは、ヘモグロビンやミオグロビン、赤血球の材料として使われるほか、エネルギーの電池であるATPを作ったり、先ほど解説したDcytb(十二指腸チトクロムb)などの酵素に使われたりなど、身体の様々なところで使われます。

このように、食事から摂ったヘム鉄がそのまま体内で利用されるわけでは無く、一度分解されてミトコンドリア内で再度作り直されています。

体内で鉄を利用したり貧血を改善したりするためには、いかに「ヘム」を効率よくつくれるようになるかがポイントです。

ヘモグロビンの合成、赤血球の造血には、ビタミンA、ビタミンD、亜鉛など様々な栄養が必要

ミトコンドリア内で「ヘム」が作られても、それで終わりではありません。体内では、酸素を運ぶための「ヘモグロビン」や「ミオグロビン」「赤血球」など血液成分の材料として使われて初めて意味があります。

「鉄欠乏性貧血」やフェリチン値低下による「隠れ鉄欠乏性貧血」と聞くと、「鉄分が足りない貧血」と思われがちですが、実は貧血とは血液成分である「赤血球」や「ヘモグロビン量」の減少のことを指します。

貧血とは、赤血球量やヘモグロビン量が減少することで、1つの症状です。

「鉄欠乏性貧血」やフェリチン値低下による「隠れ鉄欠乏性貧血」は、単にこの赤血球やヘモグロビンなどの材料である鉄分が不足していることを表しているだけです。

つまり、鉄が足りることが必ずしも貧血改善に繋がるわけでは無く、あくまで鉄分を材料に「ヘモグロビン」や「赤血球」が作られて初めて鉄欠乏性貧血が改善出来るんですね。

ですので、鉄欠乏性貧血や隠れ鉄欠乏性貧血を改善するためには、上述した「ヘム」の合成に必要な材料とあわせて、ヘモグロビンや赤血球の合成に必要な材料を同時に補給する事が大切です。

このヘモグロビンは、赤血球の大半を占めている構成成分で、酸素と結合して全身に酸素を運ぶ役割を担っています。ヘモグロビンは、「ヘム」と「グロビン」というタンパク質が組み合わさって出来ています。

グロビンはタンパク質で出来ているので、ヘモグロビンや赤血球を作るためには「タンパク質」を積極的に摂取することが大切です。

ヘモグロビンの構造。ヘモグロビンはグロビンタンパクとヘムから構成されている

さらに、このヘモグロビンを利用するためには「赤血球」という細胞が作られる必要があります。赤血球は血液中に最も多く含まれる細胞で、この赤血球の中に大量のヘモグロビンを持っています。

この赤血球が作られて正常に働けるようになるには、ビタミンAやビタミンD、亜鉛やビタミンB群など様々な栄養が欠かせません。

造血に必要な栄養素。赤血球が生まれて働けるようになるためには、様々な栄養が欠かせない。

具体的には、赤血球は骨髄にある「造血幹細胞」という血液細胞の源が細胞分裂することで作られます。

この細胞分裂を行うためには、細胞分裂をサポートしているビタミンAやビタミンD、亜鉛、ビタミンB12や葉酸などの栄養が欠かせません。

これら栄養素は細胞分裂を制御したりサポートしたりしている栄養素で、不足していると細胞分裂がうまく出来なくなってしまいます。

そして、うまく細胞分裂が出来たとしても、赤ちゃんの赤血球が大人になってしっかりと働けるようになるまでには、「ヘム鉄」や「亜鉛」「ビタミンE」「コレステロール」なども必要です。

これらは赤血球の成長過程に必要なほか、大人になった赤血球が健康な状態で長く働き続けるためにも必要になります。

造血に必要な栄養素が不足すると、様々な貧血の原因になる

例えば、ビタミンAやビタミンDが不足していると、赤血球の分化分裂がうまく出来なくなって「再生不良性貧血」を起こすことが知られています。

また、ビタミンB12や葉酸が不足していると、赤血球が大きくなりすぎて狭い毛細血管に入れず壊れやすくなる「巨赤芽球貧血」になる事があります。

反対に、鉄分やタンパク質、ビタミンB群が不足していると、赤血球の成長に必要な栄養が足りず、赤血球が小さくなったり鉄欠乏性貧血の原因になります。

補の他、亜鉛が不足していると起こりやすくなるのが、「亜鉛欠乏性貧血」です。

亜鉛が不足すると、赤血球の膜がもろく壊れやすくなる亜鉛欠乏性貧血になる

亜鉛欠乏性貧血とは、亜鉛が不足することで赤血球を構成する膜がもろく壊れやすくなる貧血のことです。赤血球が毛細血管通過時に血管の内側とこすれることで破裂し、赤血球の数が少なくなることで貧血が進みます。

この赤血球の膜の強さに関わっているのが、「亜鉛」や「ビタミンE」「コレステロール」などです。これらは正常な膜を構成するために必要な栄養素として、貧血改善にはこれら栄養素の補給も欠かせません。

鉄欠乏性貧血を抱えている女性は、血清亜鉛濃度も低い傾向にある

特に、鉄欠乏性貧血を抱えている方は、同時に亜鉛欠乏を抱えているリスクが高いと言われています。

これは、亜鉛は現代人において不足しやすいミネラルと言われており、老若男女問わず不足のリスクが高い栄養素なためです。

例えば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」、平成30年「国民健康・栄養調査」によると、20歳以上の男性の一日当たりの推奨量は11mgに対し、摂取量は9.3mgでした。また、20歳以上の女性では一日当たりの推奨量が8.0mgに対し、摂取量は7.6mgと男女ともに推奨量を下回っていました。

20歳以上の男女別亜鉛摂取状況。男女ともに、一日の推奨摂取量を下回っていた

また、亜鉛はとても吸収しにくい栄養素としても知られていて、亜鉛吸収率は、年齢と共に吸収率が低下していきます。例えば、若い男性の亜鉛吸収率は31%程度でしたが、60歳を超えた男性の亜鉛吸収率は平均17%と有意に低下していました。

亜鉛はとても吸収されにくい栄養素で、年齢とともに吸収率が低下していく

同じく女性においても、20〜50歳で5%、70歳以上では10%以上の方に亜鉛欠乏性貧血がみられると言われています。特に女性は月経によって毎月定期的に出血し、赤血球を失っていくことから、若い頃から亜鉛不足には注意が必要です。

女性では、20〜50歳で5%、70歳以上になると10%以上の方に亜鉛欠乏性貧血が見られた

このように、亜鉛は老若男女問わず不足しやすい栄養素で、不足すると亜鉛欠乏性貧血の原因にもなります。

鉄欠乏性貧血やフェリチン値低下による隠れ鉄欠乏性貧血が疑われる際は、鉄分の補給以外にも、タンパク質を始め亜鉛やビタミンA、ビタミンD、葉酸やビタミンB12など様々な栄養素も同時に摂取するようにしましょう。

ナンナン

鉄サプリメントって、飲んだだけで勝手にヘモグロビンや赤血球になるわけじゃ無いのか・・・

はる かおる

そうだね。鉄分を摂るとそのままヘモグロビンや赤血球に変わるイメージがあるけど、実際には鉄以外にも様々な栄養素が必要なんだ。特に、造血にはタンパク質とビタミンB群、亜鉛が関わっているよ。これらが不足していると、貧血は改善出来ないんだ

ATP産生のサポートと、ATP産生時に発生する活性酸素を除去し、フェロトーシスを抑制してくれる「亜鉛」「銅」「セレン」「マンガン」

最後に、エネルギーの電池であるATPの産生に関わっている「亜鉛」「銅」「セレン」「マンガン」の必要性についてです。

ヘムは、ミトコンドリア内で合成されたあと、私達が身体を動かしたり活動したりするために必要なエネルギー源であるATPの産生にも関わっています。

ATPとは「アデノシン三リン酸」の略で、すべての生物の細胞内で、生命活動に必要なエネルギーを供給する物質です。

ATPは、リン酸が一つ外れる際にエネルギーを放出し、細胞の増殖、筋肉の収縮、神経の情報伝達など、様々な活動のエネルギー源となります。この性質から「生命のエネルギー通貨」とも呼ばれています。

このATP、実は前述したのミトコンドリア内での「ヘム」合成や、赤血球の分化分裂、酵素の合成など、ありとあらゆる生命活動に必要不可欠な物質です。

鉄は、エネルギーの電池であるATPの産生にも関わる

このATPがないと、そもそも造血に必要な赤血球の細胞分裂やヘム合成が十分に行えなくなってしまいます。

このATP産生に関わっているのが、ミトコンドリア内で合成した「ヘム」です。ヘムは「シトクロム」という酵素に含まれ、電子伝達系でのATP産生に関与しています。

具体的には、ATP産生の大部分は、ミトコンドリア内膜で行われる電子伝達系とそれに続く酸化的リン酸化によって産生されます。

ミトコンドリアが酸素を使ってATPを生み出すと、活性酸素が発生する。セレンやマンガン、亜鉛はこの危険から細胞を守ってくれる

この時、シトクロムに含まれるヘムでは、鉄イオンの酸化還元反応(Fe2+ ⇌ Fe3+)を利用して電子を順次受け渡し、プロトンポンプ(水素イオンの移動)を駆動させます。

このプロトンの濃度勾配を利用して、ATP合成酵素がADPとリン酸からATPを合成しています。

つまり、ミトコンドリア内でのATP産生には、鉄が不可欠なんですね。

さらに、このATP産生時には酸素を利用するので「活性酸素」が発生します。活性酸素とは、私たちが呼吸で取り込んだ酸素がATP産生に使われた際に、その一部が通常よりも反応性が高い状態に変化してしまった状態です。

この活性酸素が発生すると、ミトコンドリアやDNAを傷つけて、肌のシミやシワ、老化の促進などを引き起こしてしまうと言われています。

この活性酸素から細胞を守ってくれる働きをしているのが、「亜鉛」や「銅」「セレン」や「マンガン」などのミネラルです。

亜鉛や銅、マンガンなどは、活性酸素を除去してくれる「SOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)」という酵素の補酵素として機能しています。

特に「マンガン」は、ミトコンドリア内部で働く「Mn-SOD」に必須であり、ATP産生の現場(電子伝達系)を活性酸素から守る、極めて重要な役割を担っています。

亜鉛の働き。亜鉛は活性酸素の消去など様々な働きに関わっている

また、セレンやグルタチオンも細胞内に発生した活性酸素の除去に関わっています。

この反応には「グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)」という酵素が関わっていて、この酵素は「セレノシステイン」というセレンを含むタンパク質から作られています。

この酵素は還元型のグルタチオン(GSH)と過酸化水素のH2O2を反応させることによって「酸化型グルタチオン(GSSG)」と「水(2H2O)」に変換させることで活性酸素源である過酸化水素を無害化しています。23

このような働きから活性酸素や過酸化脂質を抑制し、フェロトーシスを抑制するとされています。フェロトーシスとは、細胞内の鉄が細胞膜を構成する脂質を連鎖的に酸化(サビ)させることで、細胞が壊死してしまう反応のことです。

体内で鉄を安全に利用するためには、鉄以外にも銅や亜鉛、マンガンやセレンなど様々なミネラルが欠かせません。

そのため、鉄分を摂取する際は、鉄だけでなく「銅」「亜鉛」「セレン」「マンガン」などのミネラルも同時に摂取することが大切です。

ナンナン

うーん・・・なかなか難しい話しだけど、鉄を使ってエネルギーを作ると活性酸素が発生しちゃうんだね。

はる かおる

そうだね。ヘムを使ってエネルギーの電池であるATPを作ると、必ず活性酸素が発生するよ。この活性酸素がうまく消去できないと、細胞を傷つけてしまうんだ。活性酸素を消去するためにも、銅やセレン、マンガン、亜鉛など様々な栄養が必要なんだ

鉄欠乏性貧血・隠れ鉄欠乏性貧血に対する分子栄養学的アプローチ例

貧血改善に対する分子栄養学的アプローチの考え方

ここまでのまとめとして、鉄欠乏性貧血・隠れ鉄欠乏性貧血に対する分子栄養学的アプローチと必要な栄養素を解説します。

まず、貧血改善において最も重要なのは「タンパク質」です。先ほども解説したように、赤血球やヘモグロビン自体はタンパク質で出来ていることから、貧血を改善させるためにはタンパク質が欠かせません。

この赤血球やヘモグロビンをしっかり作れるようにするためにも、鉄分摂取に加えて「タンパク質」もしっかり摂るようにしましょう。最低でも一食当たり100g〜200g程度の肉や魚は取り入れたいところです。足りない分は、プロテインなどを活用するのも良いですね。

この際、タンパク質がしっかり消化吸収出来ているかどうかや、胃腸機能がしっかり働いているかどうかをきちんと検査してから行うようにして下さい。タンパク質が十分に消化吸収出来ない状態では、むしろ体調を悪化させてしまうことがあります。

それから、タンパク質を利用するためには補酵素である「ビタミンB群」も必要です。ビタミンBはタンパク質を加工して利用するために必要で、これが無ければタンパク質を体内で上手く利用することが出来ません。

ビタミンBは8種類あり、この8種類すべてをまとめてビタミンB群と言います。ビタミンB群はお互いに助け合って機能していますので、摂取する際はビタミンB群として8種類すべてを摂取することが大切です。このビタミンB群も貧血改善には絶対に必要となりますので、同時に摂取するようにして下さい。

そして、メインとなる鉄分については「ヘム鉄」を選びましょう。ヘム鉄は、非ヘム鉄に比べて吸収率が高く、安全です。また、非ヘム鉄の吸収にはDcytb(十二指腸チトクロムb)というヘム含有酵素が必要になる事から、貧血の状態では非ヘム鉄の吸収効率も低下してしまいます。

吸収効率を考えて、分子栄養学的アプローチではヘム鉄を選ぶのがオススメです。

このヘム鉄を摂取する際は、血清フェリチン値を目安に判断します。血清フェリチン値は男女で基準値の違いがありますが、おおよそ40ng/mL未満では貧血と判断することが出来ます。この場合は、ヘム鉄として一日45mgを目安に摂取してみて下さい。

フェリチンに対するヘム鉄摂取量目安。40ng/mL以下では積極的な補給が望まれる。

さらにこのヘム鉄の補給に加えて、亜鉛の補給も重要です。亜鉛は、上述したようにポルフィリン間の材料となったり、赤血球の膜を強くしたりと、貧血にも大きく関係している栄養素です。この亜鉛を同時に摂取する事で、更に貧血を改善しやすくなるという結果が出ています。

このヘム鉄をベースに、鉄代謝や造血に必要なビタミンやミネラルなども併せて摂るようにしましょう。貧血改善に必要な栄養素は次の通りです。

鉄欠乏性貧血の改善に必要な栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • 亜鉛
  • マンガン
  • セレン

この分子栄養学的アプローチを行う際は、単にサプリメントで補給するのではなく、「貧血になった原因」にもきちんと対処するようにして下さい。

例えば、ガンなどで消化管出血を引き起こしている場合や、過多月経・子宮筋腫など婦人科疾患によって過剰に出血している場合も貧血となります。このような場合は、貧血の対策に加えて貧血の原因となっている疾患の治療も同時に行う事が必要です。

また、ピロリ菌の感染や腸内環境の悪化による消化吸収不良、ストレスや自律神経の乱れによる消化吸収能の低下によっても貧血を引き起こすことがあります。これは、消化吸収能が低下することによってタンパク質がうまく消化吸収出来なくなり、タンパク質が不足しやすくなるためです。

タンパク質は赤血球やヘモグロビンを作るために必要な材料で、鉄分の摂取不足以外にも、このタンパク質が不足することでも貧血を引き起こします。

そのため、貧血対策を行う前には必ず貧血となった原因があるかどうかを調べてみて下さい。特にチェックしておきたい事としては、次のようなことが挙げられます。

貧血対策を行う前にチェックしておきたいこと

  • ピロリ菌に感染していないか
  • 胃酸は十分に分泌されているか
  • 子宮筋腫などの婦人科疾患はないか
  • 消化管出血はないか
  • 肝臓や腎臓の状態に問題はないか
  • PMS(月経前症候群)や低血糖症などによる自律神経の乱れは無いか
  • 過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなど消化管の不調はないか
貧血に対する分子栄養学的アプローチを行う際は、必ず根本原因へのアプローチを行う

これらのチェックに当てはまる方は、分子栄養学の実践と併せて、必ず疾患の治療も同時に行ってくようにして下さい。

それから、フェリチン値は貧血の判断以外にも「炎症」を見るためのマーカーでもあります。フェリチン値は体内で炎症が発生していても上昇することがあり、ガンなどでは著しく上昇する場合もあります。特に、フェリチン値が200ng/mLを超えていたり、フェリチン値が高くてヘモグロビン値が低い場合は何らかの炎症が関与している可能性が高いです。この場合は、炎症の原因となっている原因を調べ、適切に対処するようにして下さい。

ナンナン

げ・・・貧血を引き起こすにも原因があるのか・・・

はる かおる

そうそう。貧血になるには、必ず原因があるよ。サプリメントを取り始める前に、まずはこの貧血を引き起こしている根本原因を調べてアプローチしないと意味が無いんだ。だからこそ、分子栄養学を実践する際は血液検査を受けることが大切だよ。

分子栄養学実践におけるヘム鉄摂取の意義

また、鉄分には、食品から摂れる鉄分や病院で処方される鉄剤など様々な種類の鉄分がありますが、分子栄養学を実践する際は「ヘム鉄」を選ぶことが重要です。

ヘム鉄は肉や魚などに含まれている動物性の鉄のことで、非ヘム鉄に比べて吸収率が高く、安全性が高いという特徴があります。対して病院で処方される鉄剤や植物に含まれている鉄は非ヘム鉄です。非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が悪く、大量に摂取すると活性酸素を発生させて細胞にダメージを与えてしまうリスクがあります。

そのため、鉄分の選び方を間違えてしまうと、貧血改善どころか身体にダメージを与えてしまって逆効果にもなりかねません。その中でも特に気をつけたいのが「病院で処方される鉄剤」です。

貧血と診断された場合や治療と言えば、真っ先に「鉄剤」が思い浮かびますよね。「鉄欠乏性貧血」と言われているくらいですから、鉄を補給すれば貧血が改善出来ると思われがちです。

しかし、病院で処方される鉄剤を飲んでも、貧血を十分に改善することは出来ません。むしろ、鉄剤を摂取する事により大量の活性酸素が発生し、胃や腸の粘膜にキズを付けてしまう可能性があります。

病院で処方される鉄剤は体内で活性酸素を発生させる原因となり、細胞や粘膜にダメージを受けてしまう

この原因は、病院で処方される鉄剤の多くが「非ヘム鉄」である事が原因です。非ヘム鉄は、摂取すると体内で多量のフリーラジカル(活性酸素)が発生し、胃や腸の細胞膜を傷つけて様々な疾患の原因に繋がります。

また、非ヘム鉄は吸収率が悪い事から、吸収出来なかった鉄分はそのまま大腸へと流れ、それがカンジダ菌など悪い腸内細菌のエサとなってしまうことも挙げられます。鉄分は人体に限らず細菌やカビ菌などにも必須の栄養素で、鉄分がなければ増殖することが出来ません。

消化吸収出来ずに大腸へと流れた鉄分は、カンジダ菌などのエサとなって悪い腸内細菌がドンドン増殖してしまいます。

すると、今度は増殖した悪い菌が毒素を出して腸粘膜などを傷つけたり、血管内に毒素が入り込んで様々な悪影響を引き起こしてしまいます。病院の鉄剤を摂取すると胃がムカムカしたり便秘になりやすくなるのは、このような理由があるためです。

そのため、非ヘム鉄である病院の鉄剤を多量に摂取すると、腸内環境の悪化や消化吸収能の低下、SIBO、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群(IBS)など炎症性の腸疾患や肝炎、非アルコール性脂肪肝などに進行してしまうリスクが高まります。この事から、病院で処方される鉄剤で貧血対策を行う事はオススメしません。

また、海外で販売されている「アミノ酸キレート鉄」も分子栄養学では非推奨となっています。アミノ酸キレート鉄とは、本来吸収効率の悪い鉄を「グリシン」と呼ばれるアミノ酸でサンドイッチする事で、飛躍的に吸収効率を高めた鉄サプリメントです。

キレート鉄を摂取するとフェリチンが上昇しやすいと言われ、メガビタミン健康法など一部の方の間ではブームとなっています。ただ、このアミノ酸キレート鉄のサプリメントは良いことばかりではありません。

海外サプリメント通販で手軽に入手出来るアミノ酸キレート鉄。吸収率が高い代わりに鉄過剰のリスクが高い

一見すると、鉄分の吸収率がとても高い事は良いことのように思えますよね。しかし、アミノ酸キレート鉄を長期間、多量に摂取した場合は貯蔵鉄である「フェリチン値」が大幅に上昇する事例が散見されています。フェリチン値は炎症によっても上昇することから、鉄過剰摂取による炎症反応の可能性が考えられます。


アミノ酸キレート鉄は、摂取量により数ヶ月でフェリチン値が大幅に上昇することがある。このフェリチン値の急激な上昇は、鉄過剰摂取による炎症反応の可能性が考えられる。

また、アミノ酸キレート鉄は鉄分だけを無理矢理大量に吸収させることから、とても利用効率が悪くなります。造血には鉄以外にも亜鉛や銅、セレンやマンガン、タンパク質なども必要で、これらが足りない場合は造血することが出来ません。

特に、アミノ酸キレート鉄では鉄だけを大量に吸収させることから、他のミネラルとのバランスを崩しやすくなります。

鉄を多く摂取すれば貧血が改善出来るような気がしますが、鉄だけ大量に補給しても造血することは出来ません。造血するには「亜鉛」も必要で、鉄欠乏性貧血の方は同時に亜鉛欠乏性貧血も抱えている場合が多くあります。

このような理由から、アミノ酸キレート鉄及び病院から処方される非ヘム鉄の摂取は、むしろ亜鉛欠乏性貧血や炎症による貧血を引き起こしやすくなるとも言えます。

そのため、分子栄養学を実践する際は病院の鉄剤やアミノ酸キレート鉄などの非ヘム鉄では無く、安全性の高いヘム鉄を利用することが大切です。ヘム鉄はポルフィリン環と呼ばれるタンパク質のカプセルのような物に包まれていることから、上述した非ヘム鉄に比べて活性酸素は殆ど発生しません。

また、非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと結合し、吸収率が落ちてしまいますが、ヘム鉄であればこれらの影響をあまり受けずに吸収することが出来ます。特に吸収率においてはヘム鉄の方が高く、吸収効率が10%〜30%程度あるのに対し非ヘム鉄は僅か5%以下しかありません

このようにヘム鉄で鉄分を摂取する方が身体へのダメージが少なく、メリットが大きいことから、分子栄養学で鉄分を補給する際はヘム鉄で摂取するのがオススメです。

ヘム鉄は専用の吸収経路があり、タンニンなどの吸収阻害要因からの影響も受けにくい。
ナンナン

げげっ❗今まで病院で処方された鉄剤を飲んでいたけど、これがむしろ体調を悪化させる原因になっちゃうのか❗

はる かおる

そう。同じく海外サプリメントにある「アミノ酸キレート鉄」も利用効率が悪くて身体にダメージを与える原因になる可能性があるよ。だからこそ、鉄分を補給するときは利用効率を考えてヘム鉄を摂ることがオススメだね。この時、ヘム鉄のサプリメントは質が高いものを選ぶようにしてね

鉄サプリを選ぶときはここをチェック。失敗しない鉄サプリメント選びのポイントと正しい分子栄養学アプローチ

アミノ酸キレート鉄を始め、サプリメントの中には鉄分だけしか含まれていないものが数多く販売されていますが、実は鉄だけを大量に摂取しても鉄を体内で効率よく利用することが出来ません。

分子栄養学を実践する際は、このような体内で栄養素がどのように働いているのかをよく理解し、鉄以外のミネラルもバランス良く配合されたサプリメントを使用することが重要です。

例えば、分子栄養学実践専用に開発されたヘム鉄サプリメントでは、ヘム鉄の他に「亜鉛」や「銅」「セレン」「マンガン」などが吸収されやすい形とバランスで配合されています。

ミネラルは、どれか1つを大量に摂取すると吸収を阻害してしまうため、バランスが大切です。

ヘム鉄サプリメントを選ぶ際は、このような微量ミネラル等がバランス良く、吸収しやすい形で配合されているものを選びましょう。

また、動物性の「ヘム鉄」に加え、非ヘム鉄の中の有機鉄である「イースト鉄」の2種類が配合されているものがオススメです。こうすることで、二つの入り口を利用して、効率よく鉄を体内に吸収出来るようになります。

始めに解説した様に、小腸には鉄を吸収する入り口が複数あります。ヘム鉄専用の吸収経路である「ヘムトランスポーター」と、他のミネラルと共通の吸収経路である「DMT-1」です。

鉄の体内動態。ヘム鉄は専用の入り口から吸収されるため、吸収率が高い。一方非ヘム鉄では胃酸やビタミンCの助けを借りる必要がある

この2種類の鉄はどちらが良いとか悪いとかでは無く、同時に摂取する事が大切です。ヘムトランスポーターとDMT-1の二つの入り口を利用することで、効率よく鉄を体内に吸収する事が出来ます。

また、配合されている「非ヘム鉄」は酵母ミネラルなど「有機ミネラル」が配合されているものがオススメです。通常、食品に含まれている鉄分は、アミノ酸など他の栄養素と結合した状態で存在しています。

この他の栄養素と結合した状態の方がより身体に馴染みやすく、吸収率が高い傾向にあります。そのため、鉄含有酵母やマンガン含有酵母、亜鉛含有酵母など、有機ミネラルが配合されているもを選んでみて下さい。

鉄欠乏性貧血や隠れ鉄欠乏性貧血は、単に「鉄だけが足りていない」状態ではありません。鉄の運搬や利用には様々な栄養が必要です。

これら栄養が不足していても、鉄欠乏性貧血や隠れ鉄欠乏性貧血の原因になります。分子栄養学を実践する際は、このような鉄の代謝をよく学び、分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントを用いて実践していきましょう。

市販の安いヘム鉄サプリにはご注意!

ヘム鉄のサプリと言えば、ドラッグストアーなどで安く販売されている物を見かけることがありますよね。ヘム鉄が補給出来るなら、安くて量が摂れるに越したことはありません。しかし、同じヘム鉄といえどその質にはピンからキリまであります。特に、「ヘム鉄パウダーの量」と「ヘム鉄含有量」は全く違うものですので注意して下さい。

ヘム鉄は豚の血液を精製して作られており、ヘム鉄パウダーと呼ばれるパウダー状の中にヘム鉄が1%もしくは2%含有している物が一般的です。例えば「一粒でヘム鉄50mg」と書かれていても、これはヘム鉄パウダーが50mg含まれているだけであり、実際にはその中の1%〜2%である0.5mg〜1mgしかヘム鉄が含まれていない計算になります。このように、多く含まれているように見せかけて、実際にはヘム鉄が殆ど含まれていない物があるのです。

また、繰り返しますが貧血改善にはヘム鉄以外にも微量ミネラルと呼ばれるセレンやマンガン、銅や亜鉛など他のミネラルの補給も重要です。ヘム鉄として市販されている商品の多くはヘム鉄のみなど鉄分の補給しか出来ません。加えて、ヘム鉄の製造管理には高度な技術が必要で、生体内利用効率まで考慮すると安く作る事は不可能です。物によっては、製造管理体制が悪く、品質が劣化している物もあります。

この事から、同じように見えるヘム鉄サプリメントであっても、体内での利用効率が悪く、貧血が改善出来ない場合があります。これを避けるためにも、ヘム鉄を摂取する際は生体内のミネラルバランスや生体内利用効率などを考慮した質が高いものを選ぶようにして下さい。分子整合栄養医学で使われているヘム鉄製品は、「鉄の取り込み」「利用」「貯蔵」「排泄」など貧血改善における鉄分本来の働きが安全に出来るよう考慮されています。ヘム鉄を選ぶ際は、値段や含有量にとらわれず、体内で安全に利用出来る安心、安全な製品を選びましょう。

貧血改善には、サプリメントの質が重要。鉄単体の補給はむしろ逆効果となる。
ナンナン

なるほど・・・安いヘム鉄サプリメントでいいやと思ってたけど、あまり良くないんだね

はる かおる

ヘム鉄サプリメントにはピンからキリまであるけど、その殆どが分子栄養学の実践用には設計・製造されていないんだ。このようなサプリを選ぶと、逆にミネラルのバランスが崩れたり、うまく分子栄養学的アプローチが行えなかったりするよ。ヘム鉄サプリを選ぶ際は、分子栄養学実践専用に作られたものを選ぶようにしてね。

鉄欠乏性貧血の改善のために「鉄」しか入ってないサプリを選んではいけない理由。鉄が体内で働くために必要な栄養素とアプローチを分子栄養学観点から解説まとめ

以上が、鉄欠乏性貧血・フェリチン値改善のために「鉄」しか入ってないサプリを選んではいけない理由と、鉄が体内で働くために必要な栄養素と分子栄養学的アプローチについてでした。

鉄にはヘム鉄や非ヘム鉄などの種類があり、それぞれ吸収経路や吸収率、安全性などに違いがあります。分子栄養学では、このような鉄の働きや代謝をよく理解することが大切です。

また、ヘモグロビンの合成や赤血球の分裂など、造血には鉄分以外にも様々な栄養が関わっています。鉄欠乏性貧血・隠れ鉄欠乏性貧血の改善のために分子栄養学的アプローチを行う際は、これら必要な栄養素をバランス良く、個体差に応じて摂取することが大切です。

ただし、貧血にはピロリ菌の感染や消化管出血など、様々な原因があります。決して、安易な自己判断による分子栄養学アプローチは行わないようにして下さい。

正しいオーソモレキュラー療法では、それぞれの消化吸収能力を考慮したり、病態を考慮したりと、個人個人に合わせた最適な栄養アプローチ(至適量)を行います。そして、この使用するサプリメントは何でも良いというわけではなく、きちんと消化吸収などが考慮されたオーソモレキュラー療法実践専用サプリメントを使用する事が大切です。

分子栄養学やオーソモレキュラー療法というと単にサプリメントを飲むだけの療法だと思われがちですが、単にサプリメントを飲んだだけでは正しい分子栄養学は実践できません。血液検査などを通じ、自分の身体の状態をよく知り、自身にあった分子栄養学的アプローチを行ってくことが必要です。

オーソモレキュラー療法の申し込み方法については、オーソモレキュラー療法・無料栄養相談申し込みページ で詳しくご案内しておりますので、ご興味ある方は是非こちらもご覧下さい。

  1. 貧血予防に新たな指針 ~ ビタミンCが鉄分の吸収を促進するメカニズムを原子レベルで解明
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jtnrs/31/0/31_88/_pdf ↩︎
  2. 鉄依存的な脂質酸化を伴う細胞死フェロトーシスに対するセレン・ビタミンEの作用新たなプログラム細胞死フェロトーシスのメカニズム ↩︎
  3. これからはじめる フェロトーシス検出 ↩︎

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はる かおるのアバター はる かおる 分子栄養療法ナビゲーター

春木 敏徳(はる かおる)
分子栄養療法ナビ(このサイト)の管理人のはる かおるです。
現在は「字が書けないライター」として、正しい分子栄養学の発信と普及活動を行っています。

僕自身、発達障害の一種である「書字障害」を抱え、幼少の頃から両親からの虐待や学校でのいじめなど、数々の困難や体調不良を経験してきました。
育った環境の悪さから18歳頃からうつ病を発症し、その後10年近く精神薬での治療を行っています。また、他にも小・中・高校生時代は朝起きられず、殆ど学校にも行っていません。

今では「あれは起立性調節障害だったな」と思えるのですが、当時はそのような病気の認識は殆どありませんでした。そのため、非常に風当たりの強い中、幼少時代を過ごしてきています。

また、幼少期から続く極度の栄養失調により、低血糖症や甲状腺機能低下症、SIBO、リーキーガット症候群、副腎疲労、脂肪肝など様々な病気を経験しました。現在では分子栄養学に出会ったことで体調も大きく回復しており、これら病気の改善に必要な知識も豊富です。

インターネットの登場によって間違った分子栄養学も広まってきており、それによって体調を崩してしまう人も多くなってきています。このような中、分子栄養療法ナビ(このサイト)や情報発信を通じて、多くの人に正しい分子栄養学が広められるよう頑張っています。

得意とする分野
うつ病、発達障害、ADHD、起立性調節障害、貧血、不妊症、ガン、甲状腺機能障害、ピロリ菌感染症、SIBO、リーキーガット症候群、低血糖症、副腎疲労、脂肪肝、ダイエット、更年期障害、PMSなど。全般的に幅広い知識を有する。

ほか、文章を書くのが得意で、ライティングやマーケティング、投資などお金に関する知識や生き方に関するアドバイスも得意。

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