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低血糖症は食事を変えれば良くなる? 低血糖症の原因やオススメの食事について、分子栄養学的アプローチを解説

アイキャッチ

低血糖症は、血糖値が通常よりも大きく下がってしまう状態のことのことです。低血糖症と言えば「糖尿病の人がなる病気」というイメージでしたが、最近では糖尿病になっていない人でも低血糖症を抱えている方が増えてきました。

低血糖になると、イライラしたりやる気が起きなかったり、急激な眠気に襲われたりと、様々な不調が引き起こされます。低血糖症が引き起こされる原因としては、糖質や炭水化物の摂り過ぎなどによる「血糖値の乱高下」「血糖値スパイク」が関係しているとも言われています。

このような低血糖症に対して、食事から改善していくことは可能なのでしょうか? また、根本解決をするためにはどうすれば良いのでしょうか?

今回は、低血糖症の原因と食事について、分子栄養学的アプローチを解説します。

目次

低血糖は食事を変えるだけで良くなるのか? 低血糖症の症状とその原因について

ナンナン

うーん、色々工夫しているのに、なかなか良くならないなぁ・・・💧

はる かおる

どうしたの❓ 何かうまくいかないことでもあるの❓❓

ナンナン

うん、実は低血糖症の治療のために食事内容を色々工夫しているんだけど、あまり良くなってないんだ💧

はる かおる

なるほど、そういうことか・・・。で、食事内容の工夫ってどんなことしてるの❓

ナンナン

えーっと、確か血糖値が上がりすぎないように糖質制限することと、ハチミツとかの補食を摂ることかな。こうすることで血糖値の乱高下を防ぐことが出来るらしいんだ。

はる かおる

ふむふむ。それで、実際には良くなったの❓

ナンナン

それがさ、何を食べても血糖値が上がり過ぎちゃう状態は変わらなくって💧 色々避け続けてたら、だんだん食べる物も限られてきちゃったんだよね💦

はる かおる

なるほど💧 そのやり方だと確かにそうなるよね。低血糖症の治療のために食事内容を色々工夫する人が多いけど、実はそれだけでは低血糖症を根本から改善させることは出来ないんだ。

ナンナン

えっ、どういうこと❓❓

はる かおる

食事内容で血糖値をコントロールするのが治療や分子栄養学だと思っている人が多いけど、実はそれは間違ってるってこと。
実際には、糖代謝を改善させる必要があるよ。このあたり複雑だから、詳しく解説してあげるね。

低血糖症とは、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事です。通常血糖値は80〜100mg/dl前後に保たれていますが、何らかの原因で血糖値が80〜70mg/dl以下を下回っている状態が続いていると、低血糖症と判断することが出来ます。

低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。それ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.htmlより


低血糖症の主な症状

  • 全身の倦怠感、疲れやすい
  • 集中力が無い
  • 眠気が強く、朝起きられない
  • 寒がり、低体温
  • 動悸がする
  • めまいがする
  • 冷や汗をかく
  • 不眠
  • イライラする
  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不安、恐怖感が強くなる
  • 太りやすくなった

特に最近では、何か食べ物を食べたときに血糖値が乱高下して低血糖に陥ってしまう「血糖値スパイク」や「機能性低血糖症」という低血糖症を引き起こしてしまう方が増えてきました。

血糖値スパイクや機能性低血糖症とは、ジュースやお菓子などの甘いものや、お米や麺類などの炭水化物を食べたときに、急激に血糖値が上昇し、その後急激に血糖値が下がって低血糖に陥ってしまう状態の事です。

この血糖値の乱高下が引き起こされると、人によってはイライラしたり攻撃的になったり、恐怖感や不安感が強くなったりと精神的な不調が表れてしまうことがあります。このような血糖値の乱高下によって精神症状が現れる低血糖症の事を「機能性低血糖症」と言います。

機能性低血糖症は血糖値の急激な上昇と下降を繰り返してしまう病気

例えば、上図の①〜②の様にお菓子やジュースなどを甘いものやラーメン、パスタなどの炭水化物を摂ると血糖値が急激に上昇します。すると、身体は上がりすぎた血糖値を下げるために、すい臓からインスリンというホルモンを大量にを分泌します(③)。

このインスリンが大量に分泌されることによって血糖値が急激に下がり始め、今度はインスリンが効き過ぎることによって血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうというわけです(④)。

この時、低血糖の状態では脳のエネルギー源となる「ブドウ糖」が足りなくなることから、耐えられないほどの眠気が急激に襲ってきたり、甘い物の欲求が異常に強くなったりすることがあります。その他、ダルくなったりやる気が起きなくなったり、最悪の場合には意識を失ったり、命を落としてしまう事もあります。

そのため、身体は命を守るために全力で血糖値を上げようとします(⑤)。このときに分泌されるのが副腎皮質から分泌される「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」「コルチゾール」などです。これらホルモンは筋肉などに含まれるタンパク質を分解し、タンパク質からブドウ糖を合成するよう働きかけます。(タンパク質からブドウ糖を合成することを糖新生と言います)

そして下がりすぎた血糖値を上昇させるのですが、これらホルモンには同時に交感神経を刺激し、攻撃性を高める作用もあります。このことから、イライラしたり落ち着かなくなったり、人によってはキレやすくなったり攻撃的になったりと、様々な精神的不調や身体的不調が引き起こされてしまうことがあるのです。

このように、甘いものや炭水化物などを食べる事によって血糖値が乱高下し、低血糖症に陥ってしまう事を、「血糖値スパイク」もしくは「機能性低血糖症」といいます。この血糖値スパイクや血糖値の乱高下を引き起こしている方の中には、空腹時の血糖値は正常の方も多いことから、別名「かくれ低血糖症」とも言われている病気です。

では、そんな低血糖症は、食事で対策したり改善したりすることはできるのでしょうか?

結論としては、食事の改善も重要ですが、食事だけで低血糖症が根本から解決させることはかなり難しいと言えます。理由としては、血糖値スパイクや血糖値の乱高下が引き起こされる背景には、感染症や慢性炎症などの疾病が関係している事があり、これらの治療や改善も同時進行で行っていく必要があるためです。

低血糖症との関連が考えられる疾病

  • 糖尿病(治療薬による低血糖は除く)
  • 貧血
  • 副腎疲労・慢性疲労症候群
  • 副腎不全
  • 脂肪肝など肝機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • ピロリ菌感染、胃腸障害
  • SIBO
  • リーキーガット症候群
  • 腸カンジダ症
  • 口腔内環境の悪化
  • 更年期障害、自律神経失調症
  • 肥満、痩せすぎ

また、人によっては貧血を始めとした栄養欠損や、痩せ過ぎなどによる筋肉量低下、肥満による太り過ぎなども関係している事があります。このような原因に対し、必要に応じて生活習慣の改善や運動、適切な栄養補給など様々なアプローチを組み合わせることが必要です。

先ほども挙げたように、低血糖症には様々な疾病と関連があります。これら疾病を同時に改善させることが、低血糖症の改善には必要です。

例えば、低血糖症を引き起こす1つの原因として挙げられるものに「貧血」があります。貧血にはさまざまな種類がありますが、その中でも特に注意したいのが「鉄欠乏性貧血」です。

鉄欠乏性貧血とは、その名の通り鉄の摂取量が少ない場合や不足している場合に起こる貧血のことで、全体の貧血原因の約7割を占めていると言われています。1

この鉄欠乏性貧血は特に女性と子供に多く、理由としては女性の場合は毎月の月経によって定期的に出血し、血液と共に鉄分が失われてしまうためです。加えて、妊娠出産によって鉄の需要と消費が多くなるのも女性に貧血が多い理由です。他にも、子宮筋腫、過多月経など何かしらの疾病や病気、怪我によって出血量が多くなった場合も鉄欠乏性貧血となります。

鉄・亜鉛不足は様々な不調の原因となる。不足する原因は間違ったダイエットや月経、出産など。女性に特に多い

また、ダイエットや健康志向などによる鉄分の摂取不足に加え、現代の食生活で摂取量が多くなったコーヒーや紅茶、レトルトやインスタント食品の摂りすぎも関係しています。 これらは「タンニン」や「リン酸」などが多く含まれており、これらの成分は鉄分の吸収を阻害してしまいます。そのため、余計に鉄欠乏性貧血に陥りやすくなってしまっているのです。

鉄欠乏性貧血に陥る原因(婦人科疾患など疾病を除く)

  • 肉類の摂取量低下、菜食主義
  • コーヒーや紅茶の摂りすぎ(タンニンの影響)
  • レトルトやインスタント食品の摂りすぎ(リン酸の影響)
  • タンパク質不足
  • 胃の消化能力低下
  • ビタミンCやビタミンB群、亜鉛など造血に必要な栄養素の不足

では、このような貧血と低血糖症には、具体的にどのような関係があるのでしょうか? 1つ言えることとして、貧血があると低血糖症になりやすくなるという傾向があります。その理由は、貧血の状態だと身体が作り出せるエネルギー生成量が低下してしまうためです。

鉄は栄養素の運搬や神経伝達物質の合成に必要であり、不足すると低血糖症に繋がる恐れがある

貧血は単に血が足りないだけと思われがちですが、それだけではありません。血液や鉄分は体内の細胞に酸素や栄養を届けたり、脳の神経伝達物質を合成する材料としても使われています。そのため、血液の量が少ないとその分だけ全身に酸素や栄養を運ぶ能力が低下し、糖をエネルギーとして利用する能力が低下してしまいます。

また、貧血では脳の神経伝達物質の合成量が低下することから、貧血の状態では自律神経の乱れやホルモンバランスの乱れも引き起こす原因です。この自律神経の乱れが引き起こされると、身体は強いストレスを受けて血糖値が乱れやすくなり、正常な血糖値を維持することが難しくなります。

貧血は自律神経の乱れと密接な関係がある。血糖値も自律神経でコントロールされていることから、自律神経の乱れは血糖値の乱れにも繋がる

このことから、貧血を抱えていると低血糖症を引き起こしやすくなります。このような場合、低血糖症を改善させるためには鉄欠乏性貧血を含めた疾病を改善させることが第一です。特に栄養鉄欠乏性貧血は単に鉄分の摂取量が少ないこと以外にも、タンパク質不足などの消化吸収能の低下や、消化管などからによる出血や、婦人科疾患による出血量の増加などの疾病が関係している場合があります。

これら疾病があった場合は適切に治療を行い、鉄分を始めとした栄養不足や栄養欠損を改善することが出来れば、低血糖症も同時に改善出来る可能性があります。

人体には「生体恒常性」と言って、本来は血糖値を正常範囲に保つ能力が備わっています。その機能が備わっているにも関わらず、うまく血糖値を正常範囲にコントロールできないことが最大の問題です。

特に、正常な血糖値を維持するためには、肝臓やすい臓、副腎やインスリンなど様々な働きが関わっています。それら働きが何らかの原因によって機能が低下してしまうことが、血糖値の乱高下や血糖値スパイクを引き起こしてしまう原因の1つです。

血糖値の乱高下や血糖値スパイクを始めとした低血糖症を改善させるためには、これら臓器が正常に働けるようにしたり、生活習慣の改善や運動、ストレス対策など様々な対策を行う事が重要になります。食事の改善や工夫も大切ですが、糖代謝が悪化している原因に対しても、適切な分子栄養学的アプローチを行っていくことが必要です。

ナンナン

なるほど❗低血糖は様々な疾病や貧血とも関係しているのか❗

はる かおる

そうだよ。だからこそ、食事だけでなく原因となっている疾病の特定や治療なども併せて行っていくことが重要なんだ

食事はバランスが重要。甘い物の摂りすぎは避けるとともに、食事制限のしすぎには注意しましょう。

では、低血糖症に対して具体的にどのような食事を心がければ良いのでしょうか? 低血糖症の改善には前述した疾病の改善や貧血を始めとした栄養欠損の改善も必要ですが、その前に食事内容を改善しなければならない場合もあります。

例えば、糖質や炭水化物などを取り過ぎていて「血糖値スパイク」が引き起こされている場合や、逆に過剰な糖質制限や食べないダイエットによって「カロリー不足」になっている場合などです。これらも、低血糖症を引き起こす原因になります。

現代は飽食の時代と言われるように、食べたい物を食べたいときに、食べたいだけ食べる事ができるようになりました。このような中、特に甘い物やお菓子などの糖質や炭水化物だけを摂りすぎてしまうことは、血糖値の乱高下を招き、機能性低血糖症を引き起こしてしまう原因になります。

また、上述した糖質の摂りすぎが問題視されるようになった事から、「糖質制限」や「食べないダイエット」「ファスティング」を行う人が増えてきました。そこで新たに問題となってくるのが、カロリーや糖質の摂取不足による低血糖症です。

このような食事の内容によっても低血糖症に陥ってしまう原因になる事から、食事はバランス良く食べる事が重要です。

糖質の摂りすぎによる血糖値スパイク・かくれ低血糖症に注意

まず、低血糖症を引き起こす原因として挙げられるのが、最初にも解説した糖質や炭水化物の摂り過ぎです。

糖質とは砂糖などが大量に使われたお菓子やジュースのことで、炭水化物とはパンやうどん、パスタやお米などのデンプン質のことです。デンプン質は噛むことでブドウ糖に変わり、糖質になります。

このようなラーメンやパスタ、うどん、パン、お菓子、ジュースなど、精製された糖や糖質を大量に摂取してしまうと、血糖値が一気に上昇し、その後急降下する「血糖値スパイク」と呼ばれる状態が起こることがあります。

ジュースやお菓子には大量の砂糖が使われ、パンやポテト、ラーメンなどは炭水化物が多く含まれる。これらを摂りすぎると血糖値が急上昇し、その後急降下する血糖値スパイクが起こることがある

血糖値スパイクでは、普段の状態では正常の血糖値の範囲内に収まっていても、食事をすると血糖値が乱高下し、低血糖症に陥ってしまう事が最大の特徴です。

具体的には、お菓子やジュース、炭水化物を摂ることによって血糖値が上昇し始め、血糖値が160を超えるなど高血糖状態になります。

その後、身体は高くなった血中の糖を利用して血糖値を下げるために「インスリン」というホルモンをすい臓から分泌します。この時、インスリンの効きが悪くなっていると、通常以上にインスリンが分泌されてしまい、それが逆に効き過ぎてしまうことで低血糖症に陥ってしまう事があるのです。

繰り返しになりますが、上図の①〜②の様にお菓子やジュースなどを甘いものやラーメン、パスタなどの炭水化物を摂ると血糖値が急激に上昇します。

その後、身体は血糖値を下げるためにすい臓から大量のインスリンを分泌します(③)。このインスリンが大量に分泌されることによって血糖値が急激に下がり始め、今度はインスリンが効き過ぎることによって血糖値が下がりすぎて低血糖になってしまうのです(④)。

この時、低血糖の状態では脳のエネルギー源となる「ブドウ糖」が足りなくなることから、耐えられないほどの眠気が急激に襲ってきたり、甘い物の欲求が異常に強くなったりすることがあります。その他、ダルくなったりやる気が起きなくなったり、最悪の場合には意識を失ったり、命を落としてしまう事もあります。

そのため、身体は命を守るために全力で血糖値を上げようとします(⑤)。このときに分泌されるのが副腎皮質から分泌される「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」「コルチゾール」などです。これらホルモンは筋肉などに含まれるタンパク質を分解し、タンパク質からブドウ糖を合成するよう働きかけます。(タンパク質からブドウ糖を合成することを糖新生と言います)

そして下がりすぎた血糖値を上昇させるのですが、これらホルモンには同時に交感神経を刺激し、攻撃性を高める作用もあります。このことから、イライラしたり落ち着かなくなったり、人によってはキレやすくなったり攻撃的になったりと、様々な精神的不調や身体的不調が引き起こされてしまうことがあるのです。

このような、普段の状態では正常の血糖値の範囲内に収まっているのに、食事をすると血糖値が乱高下し、低血糖症に陥ってしまう事を、「血糖値スパイク」もしくは「かくれ低血糖症」といいます。

このような糖質の摂りすぎによって低血糖症が引き起こされていた場合は、第一に糖質の摂りすぎや食生活の見直しを行う事が大切です。

ナンナン

僕の低血糖症のタイプはこれかも・・・

はる かおる

今は甘いものや炭水化物に偏った食事をしている人が多いから、このような「隠れ低血糖」に陥っている人は多いかもね

ナンナン

うう・・・💧
どうやって治せば良いのかな❓

はる かおる

血糖値スパイク・かくれ低血糖症の対策には、一番に食生活や食事の見直しが必要だよ。ただ、他にも前述した疾病なども関係している事があるから、治療なども必要に応じて同時に行うようにしてね

血糖値スパイク、かくれ低血糖症に必要な対策

では、血糖値スパイクやかくれ低血糖症には、どのような対策を行えば良いのでしょうか?

まず大前提として行いたいのは、「甘い物の撮りすぎや炭水化物の過剰摂取をしない」事です。お菓子やジュースなど、加工された甘い物には大量の砂糖が含まれています。また、ラーメンやうどん、パスタやパンなどは炭水化物と言われ、消化されると糖分に変わります。

これらを摂りすぎることによって血糖値が急激に上昇する原因となりますので、まずはこれらを摂りすぎないようにしましょう。また、バランスの良い食事を心がける、よく噛んで食べる、食べたら運動するなどの習慣を取り入れることも大切です。

これらを行う事によって、血糖値の急激な上昇を防ぎ、血糖値スパイクを防ぐことが出来ます。

血糖値スパイク・かくれ低血糖症対策に必要なこと

  • 甘い物、炭水化物の摂りすぎを控える
  • バランスの良い食生活を心がける
  • よく噛む
  • 食べたら動く運動する習慣を取り入れる
  • インスリンの働きを高める栄養補給をする
  • 必要に応じて回数頻回食を取り入れる
  • 口腔内のケアをする(歯周病など)

具体的には、お菓子やジュースなどの甘いものは極力避け、ラーメンやパン、パスタなどの炭水化物だけでお腹いっぱいにすることは避けるようにしましょう。そして、タンパク質や脂質、炭水化物を含めたバランスの良い食事を心がけるようにして下さい。

オススメの食事内容としては、和食や地中海料理などがオススメです。和食ではご飯に味噌汁、納豆に卵焼き、焼き鮭など複数種類の食べ物が食べられるので、炭水化物に脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。

また、地中海料理も、肉や魚などおかずの種類も多く、炭水化物や脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。

このような食事を参考に、ご飯やパンなど炭水化物ばかりに偏らず、スープやサラダなどの前菜、煮物や豆腐などの副菜、そして唐揚げや焼き肉などの主菜、メインの主食となるご飯などをバランス良く食べるように心がけましょう。

そしてこの時、必ずサラダやスープなどの前菜から食べるようにし、主食であるお米や麺などは最後に食べるようにするのがオススメです。こうすることで炭水化物の消化が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えることが出来ます。

また、食べる時はしっかりと「よく噛んで」食べるようにしましょう。よく噛むことによってインスリンが食事中から分泌され、血糖値の急激な上昇を防いでくれます。

よく噛んで食べると言われてもなかなか難しいかと思いますが、よく噛むコツとしては、一口食べるごとに箸を置くことです。こうすることでワンクッション動作が加わり、早食いを防止できます。もし、あまり噛まずに飲み込んでしまったり、早食いをしてしまうと、その分だけ短時間に大量の食べ物を胃と腸に送り込むことになって血糖値が上昇しやすくなりますので注意して下さい。

それから、バランスの良い食事をよく噛んで食べたら、スグに歩くことも重要です。食べた糖質は、エネルギーとして使っていくことで消費できますので、体を動かせばその分だけ血糖値の急上昇を防ぐことが出来ます。

軽いウォーキングでも構いませんので、食べ終わったら30分から1時間くらいは歩くようにしましょう。間違っても、食べたすぐ後に横になったり寝たりしないようにして下さい。エネルギーとして使われなかった糖質はインスリンによって脂肪に貯えられてしまいます。脂肪が付くことによって余計に糖代謝が悪化する原因になりますので、食べた後はなるべく体を動かす事を心がけて下さい。

ナンナン

なるほど、バランスの良い食事を心がけることが大切なんだね。
でも、頑張って糖質を控えても、どうしても血糖値が上がり過ぎちゃうよ

はる かおる

なるほど、確かに状態によってはそれでも血糖値が上がりすぎてしまう人もいるね。そんな時は回数頻回食にするといいよ

ナンナン

回数頻回食❓

はる かおる

そう、少ない食事をこまめに食べることだよ。
こうすることで血糖値の急激な上昇を抑えてくれるんだ

食事をこまめに摂る回数頻回食を実践する

状態によっては、バランスの良い食事を心がけても低血糖になってしまう場合があります。このような場合は、回数頻回食を実践してみましょう。

回数頻回食とは、1時間や2時間おきに少量の食事を何回も摂取する事です。また、朝昼晩の三食に加えて、間に間食を挟むという方法もあります。こうすることによって食事一回あたりの血糖値の急激な上昇を抑えることができ、血糖値を一定に保てるので低血糖も防ぐことが出来ます。

回数頻回食のコツとしては「吸収が比較的穏やかな糖質を組み合わせる」事と「なるべくこまめに食べる」ことです。こうすることで血糖値の乱高下を防ぎ、更に血糖値を下げないように安定させることが出来ます。

おにぎりは血糖の持続性がある

ここで言う吸収が比較的穏やかな糖質とは、お米や芋類などのデンプン質のことです。デンプンは噛むことによって徐々にブドウ糖に分解され、徐々に吸収されていきます。このため、精製された砂糖を補給するよりも、比較的穏やかに血糖値を上昇、維持させることが可能です。

また、いくらお米でも一気に食べると血糖値が急上昇しますので、何回にも分けて食べるようにしましょう。お団子くらいに小さく握ったおにぎりを1時間おきに食べるなど、細かく分けて食べれば、血糖値をなるべく一定以上に保つことが可能になります。

それから、お米などのデンプン質は油でコーティングすると急激な血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。具体的には、チャーハンやピラフなど、お米を油で炒めるものがこれにあたります。

これらも血糖値スパイクや低血糖の予防としてはそれなりに活用出来ますので、吸収の早い糖質と吸収の遅い糖質を組み合わせてなるべく回数頻回を行い、低血糖にならないよう工夫してみて下さい。

ナンナン

バランスの良い食事や運動に加えて、回数頻回食で持続性がある糖を摂ることも大切なんだね。

はる かおる

うん、お米は冷やすと食物繊維に変わってさらに消化が遅くなるよ。油で炒めたり冷やしたり、工夫しながら量を調節して摂っていくことが大事だね。

ナンナン

分かった❗色々試してみるよ❗

次に重要となるのが、極端な糖質制限や食べないダイエットは行わないことです。上述した血糖値スパイクや隠れ低血糖では糖質や炭水化物の摂りすぎが問題でしたが、だからと言って極端に制限しすぎてしまうことも逆効果となります。

特に最近では、健康志向の高まりから極端な糖質制限を行ったり食べないダイエットを行う方も増えてきました。このような極端な糖質制限や食べないダイエットなども、低血糖症に陥りやすくなる原因です。

その理由としては、過剰な糖質制限や食べないダイエットなどによって摂取カロリーが低くなってしまうと、体内で利用出来る糖やエネルギーが枯渇してしまうためです。人は食べた食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたり、体温を維持したり、消化吸収をしたりしています。もし、過剰な糖質制限や食べないダイエットなどによって摂取カロリーが低くなってしまうと、体内で利用出来る糖やエネルギーが枯渇してしまいます。その結果、低血糖へと陥ってしまうことがあるのです。

そのため、ダイエットや糖質制限を行っている方の栄養アプローチとしては、まず第一に「食べないダイエット」や「ファスティング」「過剰な糖質制限」行わないようにすることです。

実は、このような食べないダイエットやファスティングを行っても、脂肪はほとんど燃焼されません。これは、糖質制限や食べないダイエット等で体内でブドウ糖が足りなくなってしまったとき(血糖値が下がったとき)は、真っ先に筋肉を壊してブドウ糖を生成し、エネルギーとして使ってしまうためです(糖新生)。

そのため、食べないダイエットや過剰に糖質制限を行っても、実際には脂肪が効率的に燃焼されることは殆どありません。

食べないダイエットや過剰な糖質制限によって飢餓状態が続くと、筋肉のタンパク質が分解され、ブドウ糖に変換されてしまう

人によっては、食べないダイエットや糖質制限によって体重が減ることがありますが、これは筋肉量が減ったり体内の水分量が減ったり(脱水)したことによる体重の減少です。筋肉や水分は体重に占める割合が多いため、筋肉量が減ったり脱水になると目に見えて体重が減少する事があります。

しかし、筋肉にはブドウ糖をエネルギーとして使ってくれる組織でもあるため、筋肉量が落ちてしまうとブドウ糖をエネルギーとして上手く使うことが出来なくなってきます。その場合に引き起こされるのが、前述した「血糖値スパイク」や「かくれ低血糖症」などの低血糖症です。

実は、低血糖症を引き起こす原因の1つに、筋肉量の低下があります。筋肉はブドウ糖を取り込んでエネルギーとして使っている臓器ですので、筋肉量が減ってしまうとその分だけブドウ糖がエネルギーとして使いにくくなり、血糖値が上昇しやすくなったり、血糖値の乱高下を引き起こしたりしやすくなるのです。

加えて、食べないダイエットや過剰な糖質制限では、食べる量も噛む量も少なくなるため、消化管の筋肉量低下に繋がります。胃や腸の殆どは筋肉である事から、消化管の筋肉量低下は消化吸収能の低下を招く大きな原因です。この結果、食べ物を上手く消化吸収出来なくなり、さらに低血糖症を深刻化させることに繋がることがあります。

消化吸収能の低下や低血糖症が深刻化した場合、最悪の場合は「甲状腺機能低下症(低T3症候群)」「SIBO」「リーキーガット症候群」などにも発展する恐れも高いです。また、胃や腸の筋肉が低下すると胃や腸を十分に支えられられなくなり、胃や腸が垂れ下がってしまう「胃下垂」も引き起こしやすくなります2。胃下垂は、更に消化吸収能を低下させ、栄養障害を引き起こしやすくなる原因です。

このため、食べないダイエットや糖質制限はむしろ身体に大きな悪影響を引き起こしますので絶対に行わないようにしましょう。

食べないダイエットや過剰な糖質制限は、筋肉量が低下してリバウンドしやすい身体になる

それから、野菜たっぷりのヘルシーな食事を行っている方は、貧血やタンパク質不足に注意が必要です。野菜たっぷりのヘルシーな食事では、鉄分やタンパク質が十分に摂取出来ないことから貧血が進行したり、筋肉量が低下したりしてしまう危険性があります。

鉄分は肉や魚などの赤身肉に多く含まれていますが、野菜たっぷりのヘルシーな食事ではこれらを避けてしまうため、十分な量の鉄分を補給することが出来ません。特に女性は毎月の月経によって血液が失われてしまうので、十分な鉄分補給しないと貧血がドンドン進行してしまいます。この貧血も代謝を悪化させるため、太りやすくなったり低血糖症を引き起こす原因です。

また、筋肉はタンパク質で出来ているため、肉や魚などのタンパク質の摂取量が不足してしまうと筋肉量の低下にも繋がります。筋肉量の低下は低血糖症と深い関係がありますので、ヘルシーな食事をすればするほど低血糖症に陥ってしまうリスクが高くなります。

ですので、間違ったダイエットや極端な糖質制限、最近流行りの「ファスティング」などは低血糖症や貧血を引き起こす主な原因になりますので、絶対に止めましょう。

間違ったダイエット・過剰な糖質制限を行うことによって引き起こされること

  • 貧血になりやすくなる
  • 甲状腺機能が低下しやすくなる
  • 筋肉量が低下する
  • 太りやすくなる
  • 低血糖症を発症しやすくなる
  • 消化吸収能が低下する
  • PMS(月経前症候群)、生理不順など月経に問題が起こる
  • 非アルコール性脂肪肝になりやすくなる
  • 腸内環境が悪くなる、便秘、下痢になる
  • SIBOやリーキーガット症候群などになりやすくなる
はる かおる

食べないダイエットやファスティング、過剰な糖質制限は貧血や低血糖症を引き起こす主な原因だよ。これらは体に悪いから絶対に止めようね❗

こちらの対策としても先ほどの「かくれ低血糖症」や「血糖値スパイク」と同じく、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

繰り返しになりますが、野菜などのヘルシーな食事に偏らず、炭水化物や脂質、タンパク質などバランスよく食べるように心がけて下さい。

オススメの食事内容としては、和食や地中海料理などがオススメです。和食ではご飯に味噌汁、納豆に卵焼き、焼き鮭など複数種類の食べ物を食べるので、炭水化物に脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。また、地中海料理も、肉や魚などおかずの種類も多く、炭水化物や脂質、タンパク質をバランスよく摂る事が出来ます。

それから、糖質制限やダイエットを行っている方は朝食を食べない方も多く、もし朝食を抜いてしまうと低血糖症に陥りやすくなってしまいます。低血糖症を引き起こさないようにするためにも、朝食はしっかり食べるようにして下さい。

この時大切なのは、必要な量のカロリーはしっかり摂るようにすることです。カロリーは身体を動かすために必要なエネルギー源のことで、これが足りなくなると低血糖を引き起こしやすくなります。

特に極端なダイエットや糖質制限によって低血糖症を引き起こしている場合は、まず第一にバランスの良い食事と適正なカロリーの摂取を行う事が必要になります。その為には、ご自身に必要なカロリー摂取量を把握し、基礎代謝を下回らないように食事を摂取していきましょう。

必要なカロリー量の計算は、次のサイトで計算することが出来ます。

基礎代謝量・1日の必要エネルギー量計算式

サイト上で、ご自身の体重と身長、年齢と性別を入力し、活動レベルを「低い」「普通」「高い」の中から選択して「計算」ボタンを押せば、一日に必要なエネルギー量と基礎代謝量が分かります。ここで計算したカロリー量を参考に、一日に必要なエネルギー量は必ず摂取するようにして下さい。

例えば、ある人の基礎代謝量が1320kcal/日、一日に必要なエネルギー量が2292kcal/日だとしましょう。

この基礎代謝量は、「体温など生命維持をするために絶対必要なカロリー」のことです。この基礎代謝を下回ると命の危険に晒されてしまいます。基礎代謝量以上のカロリーは生きる上で最低限必要なカロリーですので、絶対に下回らないよう注意してください。

一日の必要エネルギー量は、基礎代謝に加えて体を動かしたり、頭を使ったり、喋ったりするなど日常生活を送る上で必要なカロリーが足された物です。この一日の必要エネルギー量を十分に摂取する事で、筋肉が壊されてエネルギーとして使われてしまうことを防げます。

ですので、ご自身に必要な一日のエネルギー量を計算し、これを下回らないような食事をするようにしましょう。

逆に、この必要エネルギー量よりも多いカロリーを摂取してしまうと肥満に繋がります。多すぎても少なすぎても体には良くありませんので、適切なカロリー摂取量を心がけて下さいね。

ナンナン

低血糖症を防ぐためには、適切なカロリーの摂取量が大事なんだね❗

はる かおる

その他にも、タンパク質やビタミンB群など栄養素の補給も大事だよ。消化吸収能も弱っている可能性もあるから、血液検査を受けて自分の状態の確認することと、必要な栄養アプローチのアドバイスを受けてみてね

お酒の飲み過ぎも低血糖症の原因に。節酒と肝臓ケアも重要です

食事のバランスに続き、同じく注意したいことがお酒の飲み過ぎです。実は、低血糖症を発症する原因としてお酒の飲み過ぎによる肝機能悪化や栄養欠損も深い関係があります。

よく、「お酒を飲みすぎると肝臓が悪くなる」と言われていますよね。肝臓は、私達が飲んだアルコールを無害な形に解毒してくれる働きがあります。この時、お酒を飲みすぎて解毒が間に合わなくなってしまうと、アルコール分解の際に発生する有毒な「アセトアルデヒド」が肝細胞にダメージを与えてしまい、繊維化を引き起こしてしまいます。これが、アルコールによって肝機能が低下していってしまう原因です。

肝臓でアルコールを解毒する際には大きな負担がかかり、同時に発生する毒素によって肝細胞に大きなダメージを受ける

そして、このような肝機能の低下が蓄積していくと、アルコール性脂肪肝やアルコール性脂肪肝炎などの肝臓病へと進行してしまうリスクが高くなってしまいます。

肝臓は、私達が食べたタンパク質や脂質、糖質などを元に、コレステロールを作ったり、胆汁を合成したり、栄養素を代謝して酵素を作ったりなど、様々な働きをしています。肝臓の主な働きとしては、「タンパク質の合成や栄養の貯蔵」「アルコールなど有害物質の解毒・分解」そして食べ物の消化に必要な「胆汁の合成・分泌」です。

肝臓は栄養素の代謝や胆汁の生成、造血や血液量の調節、タンパク質やアルコール分解酵素など酵素の産生や、ビタミンやグルコースなどを貯蔵するなど様々な役割を持つ

これらは私達が食べたタンパク質や脂質、糖質、ビタミンやミネラルなどを元に行われていますが、もし、肝臓でのこれらの処理が間に合わなくなってしまうと、余剰な糖質や脂質は中性脂肪に変えられて肝臓の細胞に蓄積されていってしまいます。

この肝臓にベッタリと脂肪が付いて機能が低下してしまった状態が、「脂肪肝」と呼ばれる状態です。

お酒に含まれる糖類や、糖質過剰、脂質過剰の食事をとり続けると肝臓の処理が間に合わなくなり、肝臓の細胞に中性脂肪が蓄積して脂肪肝を発症する。

この脂肪肝の状態では、肝機能が低下してしまうために低血糖症を発症しやすくなります。その理由としては、肝臓に貯えられる「グリコーゲン」の量が減ってしまうことから、血糖を一定に保つことが難しくなってしまうためです。

具体的には、肝臓の働きとして上述したアルコールの代謝以外にも、私達が摂ったブドウ糖(グルコース)を貯蔵型の「グリコーゲン」という物質に変えて貯えてくれたり、このグリコーゲンからグルコースに分解し、必要に応じて体内に放出することで血糖値を一定に保つ働きをしています。

肝臓は糖を貯えたり放出したりして血中のグルコース濃度を一定に保つ働きがある

しかし、肝機能が低下した状態になると、このようなグリコーゲンからグルコースへの分解やグルコースの合成、体内への放出能力が低下してしまいます。この結果、血糖値が下がりすぎても十分に血糖値が上げられなくなり、低血糖症に陥ってしまうというわけです。

このように、肝臓には血糖値を維持する働きもある事から、お酒の飲み過ぎなどによる肝機能の低下は低血糖症と深い関係があります。

脂肪肝と肥満が、インスリン抵抗性を引き起こす原因に

しかも、低血糖症と脂肪肝の関係はこれだけではありません。この脂肪肝を抱えている場合は、脂肪肝が無い人と比べてインスリン抵抗性が高くなる事が分かっています。

インスリンには血糖値が上昇した際に細胞内にグルコース(ブドウ糖)を取り込んで血糖値を下げてくれる働きがあり、インスリン抵抗性とはこのインスリンの効きが悪くなってしまうことです。

インスリンの働きが悪くなると、細胞内にブドウ糖が上手く取り込めなくなるため、血糖値が上昇しやすくなったり、血糖値のコントロールがうまくいかなくなってしまいます。このインスリンの働きが低下するインスリン抵抗性も、脂肪肝と関連があります。

内臓脂肪がある事よりも脂肪肝がある方が糖尿病になりやすい

順天堂大学の研究グループが調べたところ、内臓脂肪が無くても脂肪肝があると脂肪と筋肉のインスリン抵抗性が高く、逆に内臓脂肪があっても脂肪肝が無ければインスリン抵抗性が低いという事が分かりました。

これはつまり、体重やBMI値、見た目が正常範囲だったとしても、アルコール性脂肪肝など脂肪肝を抱えている場合は糖尿病や低血糖症のリスクが高まってしまうという結果です。

また、習慣的な飲酒は内臓脂肪が付く以外にも肥満を引き起こしやすくなります。肥満とは、いわゆる体脂肪が身体につきすぎてしまった状態のことです。体脂肪自体は飢餓から命を守るために備えられた身体の機能ですが、この体脂肪がつきすぎることによって炎症が発生し、インスリンが効きにくくなってしまうのです。

肥満が慢性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を発生させる

具体的な肥満への流れとしては、身体には脂肪を蓄える「脂肪細胞」と呼ばれる細胞があり、過剰な糖質摂取や飲酒、高カロリー食、運動不足などによってこの脂肪細胞が徐々に肥大化していきます。この肥大化した脂肪細胞は一定の大きさになるとそれ以上の大きさになる事は出来ず、細胞分裂することで増加します。この一連のサイクルが進むことで肥満が進んでいきます。

ただ、この脂肪細胞自体は悪者ではありません。脂肪細胞には炎症を抑えるための生理活性物質や炎症を促進させる生理活性物質等を分泌してバランスをとっています。しかし、この脂肪細胞があまりにも増えすぎてしまった状態だと、この脂肪細胞から分泌される生理活性物質のバランスが崩れ、炎症を抑えるための生理活性物質の分泌が低下してしまいます。すると、炎症を亢進させる生理活性物質の分泌が増加して、結果として慢性炎症を引き起こしてしまうのです。

この慢性炎症が引き起こされると、炎症によって脂肪細胞がダメージを受け、弱ったり死んでしまったりしてしまいます。すると、その脂肪細胞からDNAの断片が血管中に離脱し、これを異物と捉えた免疫細胞の一種、マクロファージが異物を除去するために活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモン(TNF-α)を放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうというわけです。

ですので、飲酒によってアルコール性脂肪肝と肥満を抱えていた場合は、これらが進行すればするほど慢性炎症が発生し、インスリン抵抗性がドンドン進行してしまいます。糖尿病や低血糖症を抱えている方の中には、体重増加やお腹のポッコリが気になっている方は多いのではないでしょうか? もしかすると、あなたの糖尿病や低血糖症も、この肥満が原因になっているかもしれません。

また、逆に「太っているようには全く見えない」ような人でも注意が必要です。アルコールによって肝機能が低下している場合は、肝臓が脂肪を正常に代謝できなくなり、脂肪が肝臓以外の組織や臓器に蓄積されるようになります。見かけでは太っていないように見えても、実は筋肉やすい臓などに脂肪がベッタリ付いている「隠れ肥満」の状態も考えられるのです。

この隠れ肥満の状態になってしまっている方も、実は肥満の方と同じようにインスリンの機能が低下し、糖尿病や低血糖症を発症してしまう原因になっている可能性があります。

太っているように見えなくても、実は内臓に脂肪がベッタリ付いているかも

このような脂肪が本来蓄積されるべき場所以外の組織や臓器に脂肪が蓄積されることを異所性脂肪と言い、近年、日本人に多いと言われている肥満です。例えば、筋肉に脂肪が付いてしまった場合は筋肉へ糖が取り込めなくなり、食べた糖が筋肉で使えなくなって血中に溢れて高血糖になってしまいます。

また、インスリンを分泌する働きをしているすい臓に脂肪が付くと、インスリンの分泌が正常に出来なくなり、血糖値が乱高下する原因となってしまいます。このように、筋肉や肝臓、すい臓などに異所性脂肪が付く事は糖代謝が悪化する大きな原因です。

特に、最近の日本人の糖尿病患者は、肥満指数として使われるBMI値が23kg/㎡程度であり、肥満とされているBMI値25kg/㎡を超えていなくても、糖尿病を発症しやすいことが分かってきています。3

このように、糖尿病や低血糖症の根本原因には脂肪肝や異所性脂肪が関係しており、これには栄養欠損や日常的な飲酒といった食生活などの生活習慣が関係しています。

ですので、低血糖症を改善させるためには、お酒の飲み過ぎを控え、肝臓が正常に働くために必要なタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養補給が重要になってきます。加えて、適切な運動も必要になりますので、休肝日を設けつつ、しっかりと運動もするようにしましょう。

ナンナン

低血糖症は、お酒の飲み過ぎや肝機能とが関係あるのか・・・💧
確かに、お酒を飲みすぎてたかも💦

はる かおる

お酒を飲みすぎることで肝臓に負担がかかり、結果的に糖の代謝が悪くなって低血糖症になってしまうんだ。だから、低血糖症を改善させるためには適量の飲酒を守り、同時に肝臓をケアする栄養補給を行う事がキーポイントだよ。

適切な飲酒量が低血糖症改善のための第一歩! 週に二日間は休肝日を設けましょう。

飲酒による低血糖症を改善する上で、最も手っ取り早く効果が高いのが「禁酒をすること」です。もう今日から一切お酒を一滴たりとも飲まないと決めて、ストックしてあるビールや焼酎などのお酒は全部捨てる。禁酒をしてアルコール性脂肪肝を改善出来れば、ほぼ問題は解決です。

ですが、いきなり「今まで楽しんできたお酒を今日から一切絶ちましょう」と言われても難しいですよね。禁酒をしろと言う方は簡単ですが、いざ禁酒する側では、そんな一言で簡単に止められるものではありません。

ではどうすればいいのかというと、今まで飲み過ぎていたお酒の量を適度な量に抑えることと、お酒を飲むならアルコールの代謝、解毒に必要な栄養をしっかり補給することです。加えて、週に二日程度は休肝日を設けると良いですね。休肝日とは、その日一日全くお酒を飲まない日を作る事です。これさえ守っていれば、ほどほどにお酒を楽しみながら健康状態も改善させていけることが出来ます。

なにより、お酒は飲みすぎれば体に悪いですが、少量ではむしろ身体に良い効果もあると言われています。お酒は飲み会や祝い事などで仲間とのコミュニケーションの手段にもなりますし、利き酒やお酒の歴史、文化や製法の違いなどを楽しむ趣味でもあります。

そのため、お酒を金輪際一切断つ必要は全くありません。これらをすべて絶ってしまうことは、むしろ孤独になったり生きる意味を無くしたり、逆にストレスが増加して身体を壊したりしてしまいかねません。

この記事の筆者である僕自身も酒が好きで、地方に行ったときには利き酒をよくやっています。日本酒は奥が深く、同じ酒造元でも材料が違ったり磨き具合が違ったりして、時期や発酵具合で色々な香りや味を楽しむことが出来ます。その地域の独特な製法や文化や、職人さんの思い入れやこだわりなどに触れることも、また楽しみですね。

このような文化に触れたり人間性を豊かにしたり、人とのコミュニケーションをとる面からも、むしろお酒は積極的に楽しんでいく事が大切だと思っています。ただし、くれぐれも飲み過ぎには注意して下さい。自分の中でお酒を飲む理由があったとしても、飲み過ぎれば身体に毒になります。お酒を飲むときは、ほどほどに控えましょう。

日本酒で言えば、1回の量が1合〜2合程度、ビールや発泡酒なら500ml缶一本、チューハイなら350ml缶一本、ワインなら200ml、焼酎なら100mlが適当です。大体、コップ一杯から二杯程度の量ですね。これらの量を意識して、飲み過ぎたり習慣的に飲まないよう調節してみてください。

加えて、お酒を飲むときはアルコールの代謝、解毒力を高めることが重要です。アルコールの解毒には肝臓の働きが関係しており、アルコール脱水素酵素など酵素が十分に分泌されていることが必要になります。この酵素は栄養で作られている事から、お酒を飲むときはアルコールの解毒を助けてくれる栄養も同時に摂るようにしましょう。アルコールの解毒を助けてくれる栄養素や食事としては、次のような物があります。

アルコールの解毒を助けてくれる栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ナイアシン
  • グルタチオン
  • 亜鉛
アルコールの解毒にはビタミンB群とナイアシンが欠かせない。

これらの栄養素は、アルコールを解毒するための酵素の材料や、アルコールの解毒を助けてくれます。特にグルタチオンはアルコールを分解する際に発生する毒素のアセトアルデヒドを包んで体外に排泄する作用があります。ナイアシンは、アルコールを分解する酵素の働きに必要です。

ビタミンBは、8種類のビタミンBの仲間(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)を総称してビタミンB群と言います。これらはお互いに助け合って働くことから、ビタミンBを摂る際は必ずB群として摂取しましょう。ビタミンB群とタンパク質は肉などに多く含まれるため、お酒を飲むときは肉類などのおつまみを増やす事もオススメです。

もし、お酒を飲む量を減らせない、止められない場合は、アルコール代謝力の低下によってアルコールの依存度が高まっている可能性があります。アルコールの代謝力が低下すると、その分体内でのアルコール濃度が高く長時間維持される事になります。この状態では脳の機能や神経系に悪影響を及ぼし、アルコールへの適応、依存が生じる可能性があります。

もし、お酒を飲む量を減らせない場合は、先ほど上げた栄養をしっかり摂取してアルコールの代謝力を上げてみてください。アルコールの代謝力を高めていけば、脳や神経系への影響も減り、お酒を飲む量を減らしていける可能性があります。低血糖症やアルコール性脂肪肝改善のためにも、まずはお酒の量を減らせるようになる事からはじめてみましょう。

ナンナン

なるほど、お酒も飲みすぎなければ大丈夫なんだね。飲んだらしっかり栄養補給か・・・、これなら出来そうな気がするよ❗

はる かおる

うん、いくら飲酒が脂肪肝の原因になると言っても、お酒をすべて断つ必要は無いよ。肝臓にちゃんと栄養を与えてあげれば、アルコールもきちんと解毒が出来るからね。むしろ無理にお酒を断つことはストレスに繋がってしまうことがあるから、それよりも肝臓を元気にするよう心がけた方がストレスが少ないんだ。

お酒を飲むときは必ず食事をとりいれる。バランスの良い食事をすることが低血糖症改善の鍵。

では、具体的にどのような食事を心がければ良いのでしょうか? 先ほども解説したように、肝臓は血糖値を保つためにブドウ糖(グルコース)を貯えたり血液中に放出する働きをしています。お酒を飲むことで肝臓はアルコールの解毒を優先させ、血糖値のコントロールが出来なくなることから、お酒を飲むときは必ず食事をしたり、おつまみを食べたりしながら楽しみましょう。

ただし、この時食べる食事は何でも良いわけではありません。ラーメンやパスタ、うどんやパンなどの炭水化物や糖質が多い食事では、逆に血糖値の乱高下と低血糖を引き起こすリスクが高くなります。また、アルコールを解毒する酵素の材料にはタンパク質やビタミン、ミネラルが必要な事から、食事はバランス良く摂ることが大切です。ですので、食事内容のポイントは、和定食や地中海料理など野菜やタンパク質、炭水化物、ビタミンミネラルをバランス良く摂れるメニューやおつまみを心がけるようにしましょう。

これら和食や地中海料理は、おかずの種類も多く、野菜も多く摂れるのでタンパク質やビタミン、ミネラルがバランス良く摂れます。また、適度な炭水化物の量を摂取出来るので、飲酒時の低血糖症対策にもオススメの食事内容です。お米の量も食べ過ぎなければ問題ありません。

それから、食べ方にもポイントがあります。血糖値を急激に上げないようにするために、まずは野菜サラダなど食物繊維から先に食べるようにして下さい。そして、次にお肉などの副菜、タンパク質を食べて、最後にお米などの主食を食べるようにしましょう。こうすることで糖の消化吸収が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

また、お酒を飲みながらおつまみを取り入れることも有効です。おつまみには比較的高タンパクでよく噛める物が多く、栄養価も高い傾向にあります。例えば、ナッツやスルメ、タコなどのおつまみです。これらは高タンパクに加え、アーモンドやカシューナッツなどのナッツ類にはビタミンEや亜鉛などビタミンやミネラルを含む物があります。これらも取り入れて、飲酒時に不足しやすい栄養素を補っていきましょう。

アルコールの解毒に役立つ栄養素が豊富なおつまみの例

  • 枝豆
  • 野菜スティック(ニンジン、セロリ、ピーマン、キュウリなど)
  • ナッツ類(アーモンド、ウォールナッツ、カシューナッツなど)
  • 焼き鳥
  • 青魚の刺身や焼き魚(サバ、サンマ、イワシなど)
  • サラダ(野菜たっぷり、シンプルなドレッシング使用)
  • スルメ(干しイカ)
  • タコ(刺身や煮物、酢だこ)
  • エビの塩焼き
  • チーズ
  • 豆腐(冷奴、焼き豆腐、味噌漬けなど)

これらは、アルコールの解毒に役立つタンパク質やビタミン、ミネラルを補給出来るおつまみの例です。例えば、枝豆は、ビタミンB1と食物繊維が豊富でアルコールの分解を助ける効果があります。カシューナッツやアーモンドなどのナッツ類はビタミンB群や亜鉛ミネラルが豊富で、アルコールの解毒に必要な栄養素が手軽に摂れます。

また、焼き鳥やスルメ、タコは、高タンパクでよく噛むことができ、よく噛むことでインスリンの分泌を促すことが出来ます。チーズも割と優秀で、高タンパクでありながらビタミンB群やカルシウムも豊富です。豆腐もタンパク質豊富ですので、夏場は冷や奴にして食べるのもいいですね。

お酒を飲むときはこれらのおつまみも取り入れることで、アルコールの解毒を促したり低血糖を防いだりする事が出来ます。お酒を飲むときは、是非これらのおつまみも取り入れてみましょう。

インスリンの材料となる栄養素も意識的に摂取を

また、お酒を飲む方はアルコールの解毒に栄養素が大量に消費されることから、インスリンの正常な働きに必要な栄養素も不足しやすくなる傾向にあります。このインスリンの正常な働きに必要な栄養素も意識的に摂取していきましょう。

特に亜鉛不足は、血糖コントロール機能の低下と低血糖症の発症に大きく関係しています。亜鉛は血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の合成、作用に不可欠で、不足するとインスリン分泌や機能の低下を招きます。

亜鉛はインスリンの働きに必要な栄養素で、不足した場合はインスリンの分泌・機能低下を招く

例えば正常な人の場合、すい臓でインスリンが分泌されるときは、亜鉛も同時に分泌されています。この亜鉛がインスリンを保護することで、肝臓でインスリンが分解されてしまうことを防いでくれているのです。

しかし、亜鉛が不足している場合、すい臓はインスリンだけを分泌します。すると、亜鉛に保護されていないインスリンは肝臓で分解されてしまい、全身インスリン濃度が低くなってしまいます。この結果、インスリンの血中濃度低下が引き起こされ、そのぶんだけ血糖値が上昇しやすくなってしまうというわけです。つまり、低血糖症は亜鉛不足も大きな原因の1つと言えます。

この事からも、インスリンの材料となる栄養素や働きを助ける栄養素も同時に摂取していきましょう。インスリンの働きを助ける栄養素としては、次のようなものがあります。

インスリンの構成材料として働く栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • カルシウム・マグネシウム
  • クロム
  • 亜鉛

インスリンはタンパク質を元に、ビタミンやミネラルを使って合成されています。これら材料となるタンパク質やビタミンB、亜鉛などをしっかり補給することで、インスリンの合成と働きを助けます。

また、マグネシウムやクロムなどの摂取によってインスリン抵抗性の改善が見られる研究結果4もある事から、併せて摂ることも効果的でしょう。他にも、マンガン・リン・カリウム 等の栄養素も糖代謝を助けてくれる栄養素です。先ほどと同じようにバランスの良い食事を心がけ、足りない分はサプリメントで補うようにしてみて下さい。

ナンナン

お酒を飲むときはちゃんと食べながら飲む方が体に良いんだね。

はる かおる

そうだよ。何も食べずにお酒を飲んだり、栄養が偏った食事を続けていると、かなり肝臓に負担がかかってしまうんだ。バランスの良い食事を心がけて、栄養のあるおつまみを食べていくのが良いね

アルコール性脂肪肝、隠れ肥満対策に必要な栄養素を補給する

次に対策したいのが、飲酒によって起こりやすいアルコール性脂肪肝や、隠れ肥満の改善です。この記事の途中では、低血糖症になる原因として隠れ肥満やアルコール性脂肪肝が関係している事を解説しました。

肝臓は、体内のエネルギーや酵素などの製造工場です。私達が食べたタンパク質や脂質、糖質などの食べ物は消化吸収され、すべて肝臓に運ばれてから利用されています。この肝臓がアルコールによって機能が低下していたり、代謝量が落ちて脂肪がベッタリ付いた状態だったりしていると、食事から摂取した栄養素が肝臓でうまく利用出来なくなってしまいます。

また、肝臓の機能が低下している場合は更にアルコールの解毒力や糖代謝が低下するので、低血糖症も酷くなりやすいです。この肝臓機能を改善して低血糖症を改善させるためにも、肝臓を元気にする栄養や炎症対策となる栄養素も同時に摂取していきましょう。

脂肪肝の対策をする際は、まず肝臓の機能が正常かどうかを血液検査で確認してみて下さい。肝臓の状態は、ASTとALT、γ-GPTの数値でおおよそ分かります。特にASTやALT、γ-GPTが20を下回っていた場合は、ビタミンB群を始めとした栄養欠損によって機能が低下している可能性が高いです。

この場合は、タンパク質とビタミンB群を中心とした栄養を積極的に補給するようにしましょう。

肝臓の状態を把握する検査項目としては、他にもコリンエステラーゼやコレステロール、アルブミンや血小板、肝炎ウィルス抗体などがある。これらも総合的に見て判断することが重要

ASTとALTの数値を見たとき、ASTよりもALTの方が高かった場合や、γ-GPTが高い場合「脂肪肝」が疑われます。腹部エコーなどの検査を受けて、脂肪肝の状態を確認してみて下さい。

脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝がありますが、現代の日本人にはアルコールを飲まない非アルコール性の脂肪肝を抱えている場合も多く見受けられます。この場合も、肝機能の低下により糖質や脂質が正常に処理できずに脂肪として肝臓に貯えられてしまった状態です。対してお酒を飲んでいる方で脂肪肝の傾向があれば、アルコール性の脂肪肝が疑われます。こちらの場合はアルコールの摂取は控えるようにしましょう。

また、肝臓の状態を把握する検査項目としては、他にもコリンエステラーゼやコレステロール、アルブミンや血小板、肝炎ウィルス抗体などがあります。これらも総合的に見て判断することが重要ですので、きちんと医療機関を受診して判断して貰うようにして下さい。

このような肝機能が低下していることで糖尿病や低血糖症が引き起こされている場合は、肝機能を正常に戻すことが最優先です。肝臓は栄養を使って働いていますので、積極的な栄養補給が欠かせません。具体的な栄養素としては以下のようなものがあります。

  • タンパク質、BCAA
  • ビタミンA
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ナイアシンまたはイノシトール
  • ウコン
  • シリマリン
  • グルタチオン

特に肝臓自体もタンパク質で出来ていますので、タンパク質の補給が重要となりますまた、タンパク質を利用するための補酵素であるビタミンB群も重要です。タンパク質やビタミンB群は、牛肉などの肉類に多く含まれています。

加えて脂肪肝は炎症の一種になりますので、炎症対策としてDHA・EPAやビタミンE、ビタミンC、αリポ酸など抗酸化アプローチも有効になります。DHA・EPAはマグロやサバ、イワシなどの魚に多く含まれ、ビタミンEはアーモンドなどのナッツ類に多く含まれています。

加えて、肝機能を高めてくれるウコンやマリアアザミなどの栄養素も必要に応じて摂取すると良いですね。食事からでは十分に摂れない栄養素もありますので、必要に応じてサプリメントなどを利用してみてください。

ナンナン

なるほど、低血糖症を改善させるためには肝機能を元気にすることが大切なんだね

はる かおる

そうだよ。肝臓は糖代謝と密接な関係があるから、肝臓を元気にすることが色々な病気改善に繋がるんだ。肝臓の状態は必ずチェックして、肝臓を元気にするアプローチも行ってみてね。

脂肪肝や隠れ肥満、糖代謝の改善には運動も必須

加えて、アルコール性脂肪肝や隠れ肥満の改善には運動も欠かせません。これは、脂肪として肝臓に一度蓄積してしまったものは、運動によるエネルギー消費によって消費していくことが効果的だからです。

また、糖代謝を改善させるためにも運動は必須です。運動することによって糖が肝臓や筋肉に取り込まれ、エネルギーとして代謝されます。この糖を肝臓や筋肉に取り込む際に使われる出入り口がGLUT4(グルートフォー)と呼ばれるものです。このGLUT4が多いほど肝臓や筋肉への糖の取り込み量が増えていきます。糖の取り込み量が増えると、その分だけ糖が筋肉や肝臓で消費され、肝臓に脂肪として貯えられる量を減らすことが出来ます。

このGLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、運動を続けることが脂肪肝の改善や、インスリン抵抗性と低血糖症の改善へ繋がります。糖代謝をを改善させるためにも、是非日頃からの運動を習慣にしてみて下さい。

食後の高血糖は、筋肉と肝臓への取り込み量と消費量を増やすことで改善出来る

この運動は、軽いウォーキングやストレッチ、筋トレなどから始めるのがオススメです。毎日の習慣や食後の習慣として、最低でも30分は歩いたり運動したりして下さい。逆に、有酸素運動など激しいマラソンはエネルギー消費と身体への負担が多く、糖代謝が追いつかなくて低血糖になってしまうリスクがあります。

このような運動はもっと糖代謝が改善してきてから行う方が安全ですので、まずは軽い運動からスタートしていきましょう。運動することに慣れてきたら、筋肉量をアップさせるためにもウェイトトレーニングなどの無酸素運動を取り入れてみて下さい。GLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、筋肉量アップが糖代謝改善の鍵を握っています。

このような食事改善と運動に加えて、更に筋肉量をアップさせたり糖の代謝をアップさせたりする栄養補給が重要です。特に、運動前後にしっかりタンパク質やビタミン、ミネラルを補給しないと、運動によって筋肉が壊されたまま修復できなくなってしまいます。運動後に筋肉をしっかり付けるためにも、下記のような栄養補給を心がけてみて下さい。

筋肉量を増やし、糖代謝を上げるために必要な栄養素

  • タンパク質
  • BCAA(運動前後)
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • 亜鉛
  • αリポ酸

タンパク質やビタミンB群、亜鉛、鉄などは牛肉などの肉類に多く含まれている傾向があります。このような栄養補給に加えて、よく噛むことと、回数頻回食を実践することも有効です。必要に応じて組み合わせて行ってみましょう。

はる かおる

運動前後に適切な栄養補給をしないと逆効果になるよ❗
食事内容の改善とあわせてやってみてね。

腸内環境の悪化も糖尿病、低血糖症の大きな原因です

続いて、腸ケアの重要性についてです。腸内環境の悪化も糖尿病、低血糖症の原因になり得ます。腸内環境の悪化とは、腸内に生息する善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れてしまった状態のことです。

この腸内細菌のバランスが乱れていることで肥満になりやすくなったり、アレルギーを引き起こしやすくなったり、感染症や認知症、動脈硬化や糖尿病の悪化など、様々な疾患が引き起こされることが分かってきました。

腸内細菌叢の乱れは、アレルギーや肥満、動脈硬化など様々な疾患を引き起こす原因となる

この腸内環境の悪化によっても糖代謝が悪化し、インスリンの効きが悪くなることが分かっています。特にピロリ菌による胃腸機能の低下や消化不良、口腔内環境の悪化による消化不良は腸内細菌叢を乱し、腸内や全身に炎症が飛び火してインスリンの効きを悪くしてしまうことがあります。5

また、腸内細菌叢の乱れによって善玉菌が減ってしまうと、身体に有益な物質の産生量も減ってしまいます。善玉の腸内細菌は「短鎖脂肪酸」と言って身体にとって有益な働きをしてくれる脂肪酸を作ってくれています。

短鎖脂肪酸は、腸を動かすエネルギーになったり、脂質合成を抑制して肥満を防いでくれたり、炎症の抑制やアレルギーなど免疫の調整、代謝の改善など様々なメリットがある物質です。

腸内の善玉菌が少ない場合は、この短鎖脂肪酸の生成量が減り、太りやすくなったりアレルギー反応が起こりやすくなったりして炎症が促進され、この炎症が慢性的に続くことでインスリンの効きが悪くなってしまうのです。

順天堂大学の研究で、二型糖尿病患者は問うにゃ胃フローラのバランスが乱れていることが研究で分かっている

ですので、食事の改善や運動と一緒に、腸のケアも行うようにしましょう。特に、悪玉菌が増えることによって腸内環境が悪化していた場合、悪玉菌などの出す毒素によって腸粘膜に炎症を起こし、腸粘膜が弱ってしまう場合があります。

そのような場合に引き起こされやすいのが、「リーキーガット症候群」と呼ばれる状態です。

リーキーガットとは、漏れやすい(=Leaky) 腸(=Gut)のこと。腸の粘膜に隙間が出来ることで、未消化の食べ物や細菌などが血液中に入り込んでアレルギー反応を起こす

リーキーガット症候群とは、食べ物の栄養を吸収する小腸の粘膜が炎症によって弱り、腸粘膜の細胞同士の間に隙間が出来てしまう状態のことです。この隙間から本来吸収されるはずのない未消化の食べ物や細菌などが血液中に入り込み、免疫が過剰に反応してアレルギー反応や慢性的な炎症を引き起こしてしまう状態です。

このリーキーガット症候群は糖尿病や低血糖症の原因にもなっており、現時点で糖尿病や低血糖症を抱えている方なら、既にリーキーガット症候群になってしまっている可能性もあります。特に下記の症状に当てはまる項目が多いようでしたら、リーキーガット症候群も疑ってみて下さい。

リーキーガット症候群になると引き起こされやすい症状

また、リーキーガット症候群を発症する原因としては、鎮痛剤や抗生剤など薬物の使用も関係している事があります。

現代では食生活の乱れに加えて、抗生物質や鎮痛剤、ステロイドやピルなどの薬剤を使用する方も増えてきました。これら薬剤は胃の粘膜にダメージを与えたり、腸内環境の悪化を招くことから、リーキーガット症候群の原因になり得ます。

特に女性の方は毎月生理がある度に鎮痛剤を飲んだり、生理痛が重い方は低用量ピルの服用によって生理を止めたりしますよね。このような慢性的な服薬が腸内環境を悪化させる原因になり得るのです。

加えて、風邪を引いたらすぐに病院に行く方も多いですよね。病院では、ただの風邪に対しても抗生物質が安易に処方されている現状があります。風邪は細菌感染では無くウィルス感染によって起こるものですので、このウィルスに対して、抗生物質は全く効きません。イメージとしては、インフルエンザウィルスやコロナウィルスなどに抗生剤を使用するようなものです。

にもかかわらず、安易に抗生物質を服用してしまうと、腸内細菌に多大なるダメージを与えてしまいます。抗生物質は、腸内細菌にとってみれば原爆を落とされるようなもので、いい菌も悪い菌もすべて殺してしまいます。このようなただの風邪に対しても抗生物質を服用することで、腸内のいい菌も悪い菌も含めて殺菌され、腸内環境が悪化してしまうのです。

もしかすると、あなたの糖尿病や低血糖症はこれら薬の服用によって引き起こされたリーキーガット症候群が原因にあるかも知れません。リーキーガット症候群かどうかは、オーソモレキュラー療法の一部であるリーキーガット症候群検査を受ける事で分かります。心当たりがある方は、後述するオーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

ただし、リーキーガット症候群は先ほど解説した脂肪肝や肝炎、口腔内の環境悪化と相関関係が深く、リーキーガット症候群だけが単独で発症するということはほぼありません。もしリーキーガット症候群だった場合は、口腔内や肝臓のケアも含めて総合的に対策するようにしましょう。

ナンナン

どうもお腹の調子が悪いと思ったら、お腹の調子も低血糖症とも関係があるのか…

はる かおる

うん、低血糖症の発症に腸内環境の悪化は切っても切り離せないね

ナンナン

今まで低血糖症は糖質の摂り過ぎが悪いと思っていたけど自分の身体に問題があるんだね💧

はる かおる

そうなんだ。だからこそ、小手先の糖質制限に走らず腸ケアや口腔ケア、肥満、炎症対策など根本からアプローチしていくことが大切だね

過敏性腸症候群、SIBO、リーキーガット症候群など消化器疾患がある場合の分子栄養学的アプローチ

では、具体的にどのようにすれば腸内環境をケアすることが出来るのでしょうか?

腸内環境の健康度は、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスで決まります。腸内には善玉菌と悪玉菌が住んでいますが、悪玉菌よりも善玉菌の方が多い状態が理想です。これが逆転して善玉菌よりも悪玉菌の量が多くなってしまうと、お腹の調子が崩れたり太りやすくなったりと様々な不調へと繋がってしまうのです。

腸内細菌叢は日和見菌を味方に付けられるかどうかが鍵
消化器疾患の原因の多くは、腸内細菌叢の乱れにある

この腸内細菌叢には悪玉菌と善玉菌以外にも日和見菌(ひよりみきん)といって、悪玉菌にも善玉菌にもどちらにもなれる菌が多数を占めています。この日和見菌は、悪玉菌が優勢であれば悪玉菌と同じような活動をし、善玉菌が優勢であれば善玉菌と同じような活動をするという特徴があります。

つまり、腸内の健康状態を保つためには、善玉菌を多くして日和見菌を味方に付けることが最大のポイントです。この善玉菌や悪玉菌、日和見菌のバランスは善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌が1割という比率が最もバランスが良いと言われていて、その優劣は日々、私達が食べた物や体調によって影響を受けています。

この優劣を決める上で最も重要な栄養素が、「食物繊維」です。食物繊維とは、胃で消化されずに腸まで届く繊維質や難消化性の糖質のことです。

大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、これらは主にワカメや昆布等の海藻類や、お米、トウモロコシなどの穀物類、フルーツや野菜などに多く含まれています。これら食物繊維を多く含む食べ物を食べるとお腹の中で善玉菌の餌となり、餌を食べた善玉菌は腸に有益な働きを持つ「短鎖脂肪酸」を生成してくれます。この短鎖脂肪酸の量と質が、腸内の健康状態を決定づけてくれるというわけです。

腸内環境の改善は、短鎖脂肪酸の量とバランスを意識する

ですので、腸内環境の改善を行う際はこの短鎖脂肪酸を意識するようにしましょう。最近流行りの腸活では、乳酸菌やビフィズス菌などの菌(プロバイオティクス)を摂ることばかりが言われていますよね。しかし、いくらいい菌を摂ったとしても、いい菌の餌になる食物繊維(プレバイオティクス)が無ければ短鎖脂肪酸は作られません。

重要なのは、いい菌であるプロバイオティクスと、そのエサとなるプレバイオティクスを両方同時に摂ることです

こうして善玉菌を増やしていけば、短鎖脂肪酸の生成量も増えていきます。短鎖脂肪酸には腸内を酸性に傾けてくれる作用もあり、酸性に弱い有害菌やカンジダ菌の増殖抑制効果や有害物質の発生抑制、体内への侵入抑制効果もあります。

このような事から、腸内環境を改善させるためにも有用菌とそのエサとなる食物繊維を同時に摂っていきましょう。食物繊維が多く含まれる食べ物としては、次のような物があります。

食物繊維が多く含まれる食べ物

  • こんにゃく
  • きくらげ
  • 寒天
  • 切り干し大根
  • 椎茸、干し椎茸
  • ドライプルーン、ドライいちじく
  • いりごま
  • おから
  • グリーンピース
  • 納豆
  • ゴボウ
  • アボカド
  • ブロッコリー
  • 枝豆
  • オクラ

このリスト以外にもワカメや昆布、キャベツなど食物繊維が多く含まれる食べ物は沢山ありますので、メニューを色々と工夫してみて下さい。

ただし、人によっては野菜や果物に含まれる難消化性の糖や発酵性の糖によってお腹に異常なガスが発生してしまう場合があります。

これはSIBO(小腸内細菌異常増殖症)といって、本来食べ物の流れが速くて小腸にはあまり住みつかない腸内細菌が小腸内で異常に増殖してしまう病気です。SIBOでは小腸内で異常に増殖した腸内細菌が糖類を発酵してガスを発生させ、お腹が張る、おならが大量に出るなどの症状が引き起こされます。

このような症状に心当たりがある場合は、腸内細菌のエサとなる発酵性の糖を排除する「FODMAP食」も心がけてみて下さい。FODMAP食とは、発酵性の糖質を避ける食事のことで、エサとなる発酵性の糖質が腸内細菌のエサになってしまう事を防ぎます。

このような食事をしばらく続けることでお腹の調子が良くなる事もありますので、心当たりがある方は、しばらくFODMAP食を実践してみて下さい。

FODMAP食の概要

意味成分名食品
Fermentable発酵性の糖質を指す
Oligosaccharidesオリゴ糖ガラクトオリゴ糖 フルクタンレンズ豆、ひよこ豆などの豆類小麦、タマネギ、ニンニク
Disaccharides二糖類乳糖牛乳、ヨーグルト
Monosaccharides単糖類果糖果実、ハチミツ
Andそして

Polyolsポリオール 「~オール」とつ <糖質ソルビトール キシリトールマッシュルーム、カリフラワーガム、ダイエット食
FODMAP食の概要

もしこれらを食べても問題ない方は、むしろ積極的に野菜などの食物繊維を摂っていきましょう。食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維などをバランス良く十分な量を摂取する事が大切です。

これら食物繊維は食べ物からでも摂れますが、十分な量を摂るのはなかなか難しい場合があります。また、食物繊維を摂ることで余分な糖質などの摂取量が増えてしまうこともありますので、その場合はサプリメントからも補給していくことがオススメです。加えて、腸内環境を整えるために有用菌も一緒に摂るようにしましょう。

短鎖脂肪酸を増やすアプローチとしては、次のようなプロバイオティクス、プレバイオティクスが配合されたサプリメントを選ぶことがポイントです。

短鎖脂肪酸の量とバランスを整える栄養素

  • 乳酸菌(有胞子性乳酸菌)
  • ビフィズス菌
  • 酪酸菌
  • 納豆菌
  • 食物繊維(水溶性、不溶性両方)

ただし、乳酸菌などのサプリメントは様々な会社から販売されていますが、中には生きて腸まで届かないものもあります。乳酸菌やビフィズス菌などは胃酸に弱く、その殆どが胃酸や胆汁酸によって死滅してしまいます。このようなサプリメントを飲み続けても、腸内環境の改善にはあまり繋がりません。これはヨーグルトや発酵食品などから摂れる乳酸菌なども一緒です。

ですので、乳酸菌など有用菌は、生きて腸まで届く「有胞子性乳酸菌」が配合されている物がオススメです。有胞子性乳酸菌とは、硬い殻のようなものに覆われている乳酸菌のことです。硬い殻に覆われていることで胃酸や胆汁酸から身を守り、生きて腸まで届きます。

また、プロバイオティクスとして最も摂りたいのが「酪酸菌」です。酪酸菌は「酪酸」という短鎖脂肪酸を作ってくれる菌で、腸内の健康状態に非常に重要な役割を担っています。これらをバランス良く含めたプロバイオティクス製品と、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれたプレバイオティクス製品を同時に摂るようにしてみて下さい。

このようなアプローチを行って、酪酸菌を増やしていく事が腸内環境を改善させる鍵となります。もし、ご自身の腸内でどれだけ短鎖脂肪酸が作られているか知りたい場合は、便中短鎖脂肪酸検査を受けてみて下さい。

腸内環境が健康かどうかは、便中短鎖脂肪酸検査で分かる

便中短鎖脂肪酸検査とは、短鎖脂肪酸のバランスや量を測定することで、腸内環境の健康度や食生活が適正かどうかが分かる検査です。

お腹の調子があまり良くない方や、前述したSIBOやリーキーガット症候群の傾向がある方など、腸内の環境を良くしたい方は是非一度受けてみて下さい。便中短鎖脂肪酸検査は、後述するオーソモレキュラー療法にて受ける事が出来ます。

ただし、注意点としては便中短鎖脂肪酸検査を受ける際は胃のチェックを同時に行うようにしてください

腸内環境が悪くなる原因としては、第一に胃の不調とも関連があります。胃の消化力が落ちている場合は未消化物が腸内に流れ込み、悪玉菌のエサとなって腸内環境が悪くなります。

ですので、短鎖脂肪酸検査を受ける場合や、お腹の調子があまり良くない方、前述したリーキーガット症候群に当てはまる方は必ず胃の検査も受けるようにしましょう。胃の状態は血液検査で概ね知ることができ、この血液検査はオーソモレキュラー療法にて受ける事が可能です。

胃の状態を知る血液検査項目としては、胃酸の分泌量を表すPG1や、粘膜の炎症程度を表すPG2、胃粘膜萎縮の程度を見るPG1/2比などがあります。このPG1の数値が低い場合は胃酸の分泌量が少ない可能性があり、もし胃酸の分泌量が不十分な場合はタンパク質をしっかり消化吸収することが出来ません。

このタンパク質がしっかり消化できていない状態だと、未消化のタンパク質が腸に流れて悪玉菌が増える原因となってしまいます。また、ピロリ菌に感染していたり、胃粘膜の炎症や萎縮があるとタンパク質が上手く吸収できなくなってしまいます。そのため、胃の検査も同時に受けてタンパク質がしっかり消化吸収出来ているかや、胃の健康状態も同時に確認して下さい。

もし胃の状態や腸の状態に問題がある場合は、先ほどのプレバイオティクス、プロバイオティクスに加えて腸粘膜を強化したり、消化を助けるためのアプローチが必要になります。食事だけでアプローチを行うのは難しいですので、必要に応じて次のようなサプリメントも組み合わせてみて下さい。

腸粘膜、消化能力を強化する栄養素

  • 消化酵素
  • タンパク質
  • グルタミン
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンA
  • 亜鉛
  • カルシウム・マグネシウム
ナンナン

お腹の調子を整えるためには、胃の状態も関係しているのか❗

はる かおる

そうそう、腸内環境を改善するためには先に口腔ケアと胃腸のケアが先だよ。どれか1つだけ集中的に行っても意味ないから脂肪肝や炎症対策と合わせてセットで行うようにしてね。

貧血は低血糖症の主な原因。貧血がある方は第一に貧血改善から始めましょう

続いて、低血糖症の対策において真っ先に行っていきたいのが「鉄欠乏性貧血」の改善です。

始めにも解説しましたが、鉄欠乏性貧血等の貧血と低血糖症には深い関連があります。血液には酸素を運搬して細胞に届ける働きを担っており、細胞はこの酸素と糖質などの栄養素を利用してエネルギーを産生しています。

もし貧血の状態だと、酸欠になって身体が作り出せるエネルギー産生量が低下してしまいます。すると、糖の利用や代謝機能に乱れが生じてしまうことから、貧血と低血糖症には深い関係があります。

血液中のヘモグロビンは全身に酸素を運ぶ役割を持つ。酸欠になるとミトコンドリアがエネルギーを作れなくなり、全身のエネルギー産生量が減る

ですので、貧血がある方は第一に貧血改善から始めましょう。貧血と聞くと「私は病院で貧血と診断されていないから大丈夫」と思われる方が多いかと思いますが、そのような方でも注意が必要です。

中には、病院では貧血と診断されていないけど貧血になっている「かくれ貧血」の方もいます。かくれ貧血とは、別名「潜在性鉄欠乏性貧血」とも言い、貧血の診断でよく使われる「ヘモグロビン値」が正常範囲に収まっていても、貯蔵鉄である「血清フェリチン値」が低下してしまっている状態の事です。

鉄分が不足すると、貯蔵鉄であるフェリチンから優先的に使われる

私達の身体には、出血した際にすぐに貧血とならないよう、体内に「フェリチン」という貯蔵鉄を溜めておく機能が備わっています。フェリチンは鉄分を安全に貯蔵できるタンパク質のことで、体内で鉄が不足したときには真っ先にこのフェリチンから鉄分を取りだして使われる仕組みになっています。

しかし、もしこのフェリチンの貯蔵量が足りなくなっていた場合、いざ出血したときにヘモグロビンの材料として使える鉄分が足りません。すると、普段は貧血と診断されていなくても、月経などで出血した場合にすぐに貧血に陥ってしまうのです。

実は、現在の病院では貧血の診断を「ヘモグロビン」という値が低いかどうかだけで行っています。ヘモグロビン値の低下は確かに貧血を診断する指標となるのですが、この値が一定以下にまで低下していない限り、仮にギリギリ下限の値だったとしても貧血と診断されません。

また、通常の保険診療では血清フェリチン値の検査は殆ど行われていません。このことから、貧血と診断されていなくても貧血の状態になっている「潜在性鉄欠乏貧血」の方が非常に多くいるのです。

貧血の進行は、最初にフェリチンが減少し、次に血清鉄が減少。更に進行すると赤血球やヘモグロビンが減少する。

この隠れ貧血の状態では、ヘモグロビン値が下がっていなくても貧血と同じような不調が引き起こされていきます。また、貧血が徐々に進行していくことから、貧血だと気がつかないまま徐々に頭痛やめまい、倦怠感や食欲不振などの症状が悪化している場合もあります。

他にも「太りやすくなった」「爪がもろくてすぐ割れる」「喉に違和感があり、物を飲み込みにくい」など、様々な症状が引き起こされることがあります。

貧血と診断されていなくても貧血になっている「隠れ貧血」の人は多い
貧血の状態では、イライラなどの精神的不調に加え、疲れやすい、朝起きられないなどの身体的不調も引き起こされる。

このような不調の症状が多岐にわたることから、元々は貧血が原因にも関わらず「うつ病」や「パニック障害」などの精神疾患と間違えられてしまう場合も少なくありません。しかも、貧血と低血糖症の症状は似ている部分もあり、この2つの症状が重なる事で更に症状が酷くなることもあります。

例えば、低血糖症の主な症状を下の表にまとめてみました。鉄欠乏性貧血の症状と見比べてみると、かなり似ていることが分かりますよね。

低血糖症の主な症状

  • 全身の倦怠感、疲れやすい
  • 集中力が無い
  • 眠気が強く、朝起きられない
  • 寒がり、低体温
  • 動悸がする
  • めまいがする
  • 冷や汗をかく
  • 不眠
  • イライラする
  • 頭痛
  • 神経過敏
  • 不安、恐怖感が強くなる
  • 太りやすくなった

また、貧血と低血糖症はどちらも症状が似ているので、貧血の裏に低血糖症が隠れていることにも気がつかない場合も多いです。もしくは、どちらも徐々に進行していくことから不調の状態に慣れてしまい、貧血や低血糖を抱えていることにすら気がつかない人もいるほどです。このため、貧血も低血糖症も精神疾患など他の病気と間違えられやすい病気でもあります。

このような貧血と診断されていないけど貧血に陥ってしまっている状態の方はかなり多く、一般的な病院の血液検査ではまず見つけてくれません。このような貧血と診断されていないけど実際には貧血が隠れている「隠れ貧血」や「潜在性鉄欠乏性貧血」の方も、低血糖症になりやすくなるので注意が必要です。

ナンナン

か、かくれ貧血❗❓ そんな状態もあるんだね💧

はる かおる

そうだよ。病院では主に赤血球やヘモグロビンだけを見て貧血かどうかを判断しているから、かくれ貧血の人は貧血と診断され無い事が多いんだ。貧血かどうかを判断するのは、フェリチンも検査することが大切だよ。

貧血を改善させるための具体的な分子栄養学的アプローチ

では、そのような貧血に対してどのような対策を行えば良いのでしょうか?

貧血は低血糖症と関係がありますので、低血糖症を改善させるためにはまず貧血改善が優先です。ただ、貧血改善と言っても、単に鉄を補給すれば改善出来るわけではありません。間違った鉄分補給や方法だと、逆に身体にダメージを与えてしまう原因になります。

特に、貧血改善を行う上で最も重視すべきは「鉄分の種類」です。鉄分には、食品から摂れる鉄分や病院で処方される鉄剤など、様々な種類の鉄分があります。この鉄分には安全な鉄分もあれば身体にダメージを与えてしまう鉄分もあります。鉄分の選び方を間違えてしまうと、貧血改善どころか逆効果にもなりかねません。その中でも特に危険な鉄分が「病院で処方される鉄剤」です。

貧血と診断された場合や治療と言えば、真っ先に「鉄剤」が思い浮かびますよね。「鉄欠乏性貧血」と言われているくらいですから、「鉄を補給すれば貧血が改善出来る」と思われています。

しかし、病院で処方される鉄剤を飲んでも、貧血を改善することは出来ません。むしろ、鉄剤を摂取する事により大量の活性酸素が発生し、胃や腸の粘膜にキズを付けてしまう可能性があるのです。

病院で処方される鉄剤は体内で活性酸素を発生させる原因となり、細胞や粘膜にダメージを受けてしまう

この原因は、病院で処方される鉄剤の多くが「無機の鉄そのもの」であるか、吸収効率が非常に悪い事が原因です。無機の鉄とは、タンパク質などと結合していない「鉄そのもの」の状態のものです。鉄は、酸素と結びつきやすく、錆びやすいことはご存じですよね。このサビが体内で活性酸素を発生し、細胞を傷つけてしまう原因になる事から、体内では鉄を安全に運んだり利用したり出来るようにタンパク質に包まれて大切に扱われています。

しかし、鉄剤を大量に服用すると、吸収されるときに活性酸素を出して粘膜を攻撃してしまいます。活性酸素とは、酸素の一部が通常よりも活性化された状態になることで、この活性酸素の事を「フリーラジカル」とも呼びます。

この活性酸素はその活性の高さから細胞を傷つけてしまい、むしろ胃粘膜や腸粘膜を傷つけ、消化吸収能の低下や、SIBO、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群(IBS)など炎症性の腸疾患や肝炎、非アルコール性脂肪肝などに進行してしまう可能性があります。この事から、病院で処方される鉄剤で貧血対策を行う事はオススメしません。

病院で処方される鉄剤の例としては、次のような物があります。

病院で処方される非ヘム鉄の例

  • フェロム (フマル酸第一鉄) 有機鉄
  • フェロミア (クエン酸第一鉄) 有機鉄
  • リオナ (クエン酸第二鉄) 有機鉄
  • インクレミンシロップ (溶性ピロリン酸第二鉄) 有機鉄(食品添加物としても使われる)
  • フェロ・グラデュメット(硫酸第一鉄)無機鉄 発色剤の一種。食品添加物としても使われる。
病院で処方される鉄剤は「非ヘム鉄」であり、吸収率が非常に悪い。

特に処方が多い鉄剤としては、「フェロム」や「フェロミア」などがあります。これらは1回の服用量が100mgとかなり多く、これだけ飲んだとしてもたった5mg程度しか吸収することが出来ません。かなり吸収率が低い割には身体へのダメージが大きく、人によっては胃がムカムカしたり便秘になったりと副作用が出る場合があります。

対して、このような胃腸障害や活性酸素を引き起こしにくく、吸収率が高い鉄が「ヘム鉄」です。鉄には大きく分けて、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」に分けられます。ヘム鉄とは肉や魚などに含まれている動物性の有機鉄のことで、ポルフィリン環というタンパク質の一種と結合しているのが特徴です。それ以外の鉄は、クエン酸などと結合させた「有機鉄」と、硫酸第一鉄のような有機酸と結合していない「無機鉄」があります。

鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と野菜や果物などに含まれる「非ヘム鉄」がある

ヘム鉄以外の有機鉄や無機鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、主に野菜や穀物に含まれています。これら鉄剤や非ヘム鉄は吸収効率が非常に悪く、活性酸素を発生させてしまう大きな原因です。特に非ヘム鉄は吸収率が悪く、ヘム鉄の吸収効率が10%〜30%程度あるのに対し非ヘム鉄は僅か5%以下しかありません

このことから、鉄分を補給する際は「ヘム鉄」から補給するのがオススメです。ヘム鉄とは、肉や魚に多く含まれる鉄分のことで、ヘム鉄はポルフィリン環と呼ばれるタンパク質のカプセルのような物に包まれており、上述した非ヘム鉄に比べて活性酸素を殆ど発生させません。

また、非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンと結合し、吸収率が落ちてしまいますが、ヘム鉄であればこれらの影響をあまり受けずに吸収することが出来ます。逆に非ヘム鉄を大量に摂取してしまうと、吸収出来なかった鉄が大腸へ大量に流れることから、腸内環境の悪化を招く原因となりかねません。

ヘム鉄は専用の吸収経路があり、タンニンなどの吸収阻害要因からの影響も受けにくい。

なぜここまでヘム鉄が優れているかというと、ヘム鉄の構造もさることながらその吸収経路にあります。
ヘム鉄には「ヘムトランスポーター」と呼ばれる専用の吸収経路が腸に存在しており、この専用の吸収経路から効率的に吸収されることで、非ヘム鉄よりも効率的な吸収が可能になっているのです。

ちなみに、非ヘム鉄の吸収経路はDMT1という経路を使って行われています。この吸収経路は亜鉛や銅など他のミネラルを吸収経路と共通になっているため、鉄剤を多く飲めば飲むほど亜鉛など他のミネラルの吸収を阻害してしまい、亜鉛が欠乏することによって「亜鉛欠乏性貧血」という貧血を引き起こしてしまう原因になります。

このように非ヘム鉄の鉄剤を大量に摂取することは体内に悪影響をもたらす可能性が高いことから、鉄剤を用いての貧血改善はオススメしません。分子栄養学的にアプローチを行う場合は、必ずヘム鉄を使用するようにしましょう。

具体的な分子栄養学的アプローチとしては、このヘム鉄をベースに、造血に必要なタンパク質やミネラルなども同時に補給することです。

鉄欠乏性貧血に対する分子栄養学的アプローチ

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • 亜鉛
  • マンガン
  • セレン

実は、貧血を改善する上で鉄分の補給も大切ですが、それと同じくらい重要なのは「タンパク質」です。先ほども解説したように、無機の鉄そのものの状態が体内で存在すると、活性酸素を発生させてしまってむしろ身体や細胞にダメージを与えてしまいかねません。

身体はこの鉄から発生する活性酸素から身を守るために、鉄を運搬、利用する際は必ずタンパク質で出来たカプセルに鉄分子を入れて利用しています。これが、ポルフィリン環やフェリチンなどですね。

つまり、鉄を安全に運搬、利用するためにはタンパク質が絶対に欠かせません。いくら鉄分を多く補給しても、安全に貯蔵、運搬、利用出来るためのタンパク質がない状態では、貧血を改善させることが出来ないのです。

このことから、貧血改善をするためには鉄分摂取に加えて「タンパク質」もしっかり摂るようにしましょう。最低でも一食当たり100g〜200g程度の肉や魚は取り入れたいところです。足りない分は、プロテインなどを活用するのも良いですね。加えて、タンパク質を利用するために必要な補酵素である「ビタミンB群」も積極的に補給するようにして下さい。

そして、次に「ヘム鉄」です。ヘム鉄の摂取量目安は、血清フェリチン値を目安に判断します。血清フェリチン値の検査はオーソモレキュラー療法の血液検査を受けることで調べることが出来ますので、気になる方は是非受受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法の血液検査はこの記事の最後でご紹介しています。

血清フェリチン値の基準値は男女で違いがありますが、おおよそ40ng/mL未満では貧血と判断することが出来ます。この場合は、ヘム鉄として一日45mgを目安に摂取してみて下さい。

また、血清フェリチン値が40〜100ng/mLの間では、貧血では無いものの貯蔵鉄がやや不足している状態です。この場合も、十分な貯蔵鉄が貯えられるよう、一日あたりヘム鉄として15mg程度補給してみて下さい。継続していくにつれてフェリチン値は徐々に上がっていき、血清フェリチン値が100~125ng/mL程度になるのが理想と言われています。

フェリチンに対するヘム鉄摂取量目安。40ng/mL以下では積極的な補給が望まれる。

ただし、有経女性の場合は毎月月経があるのでフェリチン値はなかなか上昇しない傾向にあります。有経女性の場合は血清フェリチン値が60ng/mL前後を保てていれば大丈夫ですので、それ以上フェリチンが下がらないようキープすることに努めましょう。

それから、フェリチン値は貧血の判断以外にも「炎症」を見るためのマーカーでもあります。フェリチン値は体内で炎症が発生していても上昇することがあり、ガンなどでは著しく上昇する場合もあります。

特に、フェリチン値が200ng/mLを超えていたり、フェリチン値が高くてヘモグロビン値が低い場合は何らかの炎症が関与している可能性が高いです。この場合は、炎症の元となっている原因を調べ、適切に対処するようにして下さい。

さらにこのヘム鉄の補給に加えて、亜鉛の補給も重要です。亜鉛は、上述したようにポルフィリン間の材料となったり、赤血球の膜を強くしたり、インスリンの働きに関与していたりと、貧血や低血糖症にも大きく関係している栄養素です。この亜鉛を同時に摂取する事で、更に貧血を改善しやすくなるという結果が出ています。

「鉄だけ」「亜鉛だけ」の摂取グループと「鉄と亜鉛」を摂取してもらったグループの変化。鉄と亜鉛を摂取した方が有意な改善が見られた。

この図は、貧血の女性に「鉄だけ」を摂取してもらったグループと、「亜鉛だけ」を摂取してもらったグループ、そして「鉄と亜鉛」を摂取してもらったグループの変化を見た結果です。この結果では、鉄のみ、亜鉛のみのグループと比べ、「鉄と亜鉛を同時」に摂ったグループの方が赤血球数の改善に有意な差が見られました。

このことから鉄分だけや亜鉛だけを摂取するのでは無く、鉄分と亜鉛は同時に摂取する方が効果的です。この時補給する鉄分は、もちろん「ヘム鉄」を選ぶようにしましょう。ヘム鉄はドラッグストアーなどで売られている物もありますが、何でも良いわけではありません。

安いヘム鉄のサプリメントでは、そもそも有効成分の含有量が少ない場合があります。このような有効成分が少ないサプリメントでは、十分な鉄分を補給することが出来ないため、分子栄養学的アプローチは行えません。

これに対し、分子栄養学で用いる専用のサプリメントは規格化された高濃度の原材料を使用し、有効成分の含有量が必ず一定以上になるよう作られています。また、栄養素の体内での利用効率も考慮し、サプリメントの専門家が消化吸収や生体内利用効率、安全性など様々な考慮を行って作られています。そのため、高容量の摂取でも身体に負担が無く安心です。

このことから、選ぶヘム鉄は何でも良いわけではありません。分子栄養学的なアプローチを行う場合は、必ず分子栄養学実践専用に設計・開発されたサプリメントを選びましょう。

市販の安いヘム鉄サプリにはご注意!

ヘム鉄のサプリと言えば、ドラッグストアーなどで安く販売されている物を見かけることがありますよね。ヘム鉄が補給出来るなら、安くて量が摂れるに越したことはありません。しかし、同じヘム鉄といえどその質にはピンからキリまであります。特に、「ヘム鉄パウダーの量」と「ヘム鉄含有量」は全く違うものですので注意して下さい。

ヘム鉄は主に豚の血液を精製して作られており、ヘム鉄パウダーと呼ばれるパウダー状の中にヘム鉄が1%もしくは2%含有している物が一般的です。例えば「一粒でヘム鉄50mg」と書かれていても、これはヘム鉄パウダーが50mg含まれているだけであり、実際にはその中の1%〜2%である0.5mg〜1mgしかヘム鉄が含まれていない計算になります。このように、多く含まれているように見せかけて、実際にはヘム鉄が殆ど含まれていない物があるのです。

また、繰り返しますが貧血改善にはヘム鉄以外にも微量ミネラルと呼ばれるセレンやマンガン、銅や亜鉛など他のミネラルの補給も重要です。ヘム鉄として市販されている商品の多くはヘム鉄のみなど鉄分の補給しか出来ません。加えて、ヘム鉄の製造管理には高度な技術が必要で、生体内利用効率まで考慮すると安く作る事は不可能です。物によっては、製造管理体制が悪く、品質が劣化している物もあります。

この事から、同じように見えるヘム鉄サプリメントであっても、体内での利用効率が悪く、貧血が改善出来ない場合があります。これを避けるためにも、ヘム鉄を摂取する際は生体内のミネラルバランスや生体内利用効率などを考慮した質が高いものを選ぶようにして下さい。分子整合栄養医学で使われているヘム鉄製品は、「鉄の取り込み」「利用」「貯蔵」「排泄」など貧血改善における鉄分本来の働きが安全に出来るよう考慮されています。ヘム鉄を選ぶ際は、値段や含有量にとらわれず、体内で安全に利用出来る安心、安全な製品を選びましょう。

貧血改善には、サプリメントの質が重要。鉄単体の補給はむしろ逆効果となる。

分子栄養学実践専用のサプリメントは、最後にご紹介しているオーソモレキュラー療法にて用いられています。興味のある方は、是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

また、貧血はまだまだ奥が深く、ここでは解説しきれないことが沢山あります。貧血と低血糖症の関係について更に詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみて下さい。

ナンナン

げっ、貧血の改善に使う鉄は何でも良いわけじゃないのか💦

はる かおる

そうだよ。鉄分と一言で言っても色んな種類があるんだ。しかも、貧血改善は、単に鉄を補給するだけじゃ出来ないよ。鉄以外にもタンパク質やビタミンB群、亜鉛なんかも必要だから、これらも摂るようにしてね。あと、そもそも貧血になった原因を調べて根本から対処することも重要だよ

鉄分の多い食べ物を食べれば貧血は改善出来るのか? 食事だけで貧血改善はほぼ不可能です。

ここまでは、低血糖と貧血の関係、貧血に対する分子栄養学的栄養アプローチをご紹介してきました。貧血と低血糖症には関連があり、低血糖症と貧血を抱えている場合はまず貧血の改善を行っていくことが重要です。
この貧血改善に必要な栄養素としては、大まかにまとめると次のような感じです。

貧血改善に必要な栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • 亜鉛等のミネラル
  • 食物繊維
  • 酪酸菌やビフィズス菌、納豆菌など

このように見ていくと、人によっては「サプリメントなんか使わなくても食事で改善出来るのでは?」と思いますよね。タンパク質は肉や魚から摂れますし、ヘム鉄も肉や魚などの動物性食品に多く含まれています。また、亜鉛は牡蠣やウナギなどに多く含まれていますし、食物繊維は野菜などから多く摂ることが出来ます。酪酸菌やビフィズス菌、納豆菌などは、納豆や味噌などの発酵食品を食べれば何とかなりそうな気がしますよね。

しかし、これら食事だけで必要な栄養素を補給して不調を改善させることはほぼ不可能です。理由としては主に4つあり、一つは食事で摂れる栄養素の量が少ないこと、もう一つは貧血や低血糖症などによって消化能力が低下してしまった状態では十分に消化吸収出来ないこと、もう一つはむしろサプリメントよりもコストが高くなってしまうこと、最後の一つは毎日同じ物を食べ続けることで飽きが来たり食事の楽しみが無くなってしまうことが理由です。

例えば、タンパク質やヘム鉄ビタミンB群、亜鉛を多く含む食べ物として「赤身肉」や「レバー」があります。赤身肉のヒレやランプ、モモの部位には、100gあたり20gのタンパク質と、2.5mg程度のヘム鉄が含まれています。この肉を多く食べれば、十分にタンパク質もヘム鉄も補給出来そうな気がしますよね。

肉から得られるタンパク質は損失量も考慮する。食品に含まれるタンパク質がそのまま得られるわけではない。
https://tamahari.com/3127/より

しかし、肉に含まれるタンパク質は、そのすべてが得られるわけではありません。牛肉に含まれるプロテインスコアは80と低く、これは牛肉に含まれるアミノ酸のバランスがあまり良くない事を表しています。

プロテインスコアとは、そのタンパク質の「良質度」のことです。この数値が高いほど、そのタンパク質の利用効率が高くなります。この利用効率に加えて、調理による損失も加わります。肉は殆どの場合加熱調理をして食べますので、これを加味すると100gの肉を食べてもたった8gのタンパク質しか補給出来ない計算です。

また、肉に含まれるヘム鉄は肉汁(ドリップ)と共に流れ出てしまいます。特に煮物や茹でこぼしでは多く鉄分が溶出し、30分から1時間程度煮込むだけでおよそ30%〜50%ほどの鉄分が溶出してしまいます。肉に含まれるビタミンB群も水溶性ビタミンですので、加熱調理や煮込むことで大部分が失われます。食べ物の栄養損失は、思っている以上に大きいのです。

タンパク質は日々消費する。一日に必要な目安量は、体重(kg)×1〜1.5gが目安

この事を前提に、食事で必要な栄養を賄うとしましょう。体重が60kgの成人が一日に必要なタンパク質は、その体重分の60gと言われています。仮に50kgの方なら50g必要です。また、貧血の人は一日あたり45mgのヘム鉄が必要になります。

もし体重が60kgの人が肉だけでタンパク質を補給しようとすると、およそ800gもの肉を毎日食べなければなりません。ヘム鉄に至っては、赤身肉100gあたり2.5gとすると、45mg補給するためにはおよそ一日2kgも必要になります。一日に800gや2kgもの肉なんて、到底食べる事は不可能ですよね。

加えて、これら摂取した肉がすべて消化吸収出来るとは限りません。貧血や低血糖症を抱えている方は、自律神経の乱れから消化吸収能力が落ちてしまっています。そうなると、摂取出来るタンパク質量やヘム鉄量は更に低いと考えられます。消化吸収能が落ちている場合は摂取タンパク質の半分程度が消化吸収出来れば良い方で、場合によっては全く消化吸収出来ない可能性も高いです。

消化できなかったタンパク質はそのまま小腸や大腸に流れ、悪玉菌のエサとなって更に腸内環境の悪化を招きます。肉を大量に食べることは更なる腸内環境の悪化と消化吸収の低下を招くことから、むしろ体調が悪化していく原因にもなるのです。

そして、当然ながらこれら肉や食材にはお金がかかります。毎日肉を1kgも2kgも買えば、出費も相当な額になるでしょう。例えば、2023年一月の全国牛肉平均価格は100gあたり342円となっています。物価の高騰で徐々に値上がりしており、今後も値上がりが続くと思われます。この肉を毎日2kg購入するとなると、物価上昇の影響を考慮に入れなくても一日あたり6,840円の出費です。

これに家族分を加えたり、一ヶ月分まで算出すると、とてもじゃありませんが現実的ではありませんよね。購入した肉が問題なく消化吸収出来るならまだしも、消化吸収できない場合は便器にお金を棄てるようなものです。そんなことを続けるのは、よほどお金に余裕がある人でも不可能だと思います。

また、毎日毎日肉を食べ続けるのは精神的苦痛も伴います。いくらレシピや食べ方を工夫しても、毎日食べていれば当然飽きてきます。食べたくもないのに健康のために食べ続けることは、もはや苦痛でしかありません。

そんな事をしてまで健康を手に入れることに何の意味があるのでしょうか。人生において重要な事は、健康的な食事を追求する事ばかりではありません。食事を楽しむことや食べたことがない食べ物を食べる事も、人生の喜びや楽しみ、幸福感を得るために必要です。

ですので、健康のために同じ物を毎日食べることはオススメしません。これでは人生自体がつまらなくなってしまいます。つまらない人生は余計にストレスを増大させ、自律神経の乱れや消化能力の低下を引き起こします。そんなつまらない人生を送るよりも、必要な栄養素は都度補いながら毎日の食事を楽しむようにしましょう。

毎日の食事を楽しみながら必要な栄養素を追加する手段としては、サプリメントを取り入れるのが最も手軽で簡単です。サプリメントなら、普段の食事に加えて摂取する事で、食事では摂れないような高容量の栄養素を摂取することが出来ます。

例えば、ヘム鉄のサプリメント1カプセルあたり5mgのヘム鉄が含まれていたとしたら、2カプセル飲むだけで牛の赤身肉400g程度に相当します。一回2カプセルを三食食後に飲むだけで、牛の赤身肉では1.2kg相当です。また、タンパク質をプロテインで摂った場合は、そのプロテインの質や消化能力にもよりますが1回あたり20g~30g程度のタンパク質が摂取出来ます。

これは、牛の赤身肉で換算すると300g〜400g程度になります。サプリメントの場合は普段の食事に加えて摂取しますので、摂取出来る栄養素の量はこれだけではありません。そう考えると、サプリメントを必要に応じて取り入れることがどれだけ効率が良くコストパフォーマンスが良いかが分かって頂けるかと思います。

ただし、サプリメントといってもピンからキリまであります。ドラッグストアや通販などで売ってるサプリメントを買ってきてただ飲めば良いというわけではありません。サプリメントの中には、胃や腸で全く溶けずに便で排泄されてしまうような粗悪品も多く流通しています。

加えて消化吸収能の問題もありますので、サプリメントやプロテインの種類も消化吸収能や状態に合わせて選んだり量を調節する事が重要です。このような最適な栄養アプローチを行うためにも、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法とは、68項目にも及ぶ血液検査項目でその方の状態を解析し、その方に最適な栄養アプローチをご提案する栄養療法です。

ナンナン

食事だけで十分な栄養を補給するのは難しいんだね💧

はる かおる

そうだね、食事だけで必要な栄養素を補うのは至難の業だよ。食事だけで必要な栄養を摂ろうとすると、食事のバランスが偏ったり、むしろ体調を悪くする原因にもなるから、質の良いサプリメントを自分の状態に合わせて適切に使う方が良いね

低血糖症を改善させるためには、ご自身の状態をしっかり知ることが重要です。まずはオーソモレキュラー療法の検査を受けましょう

ここまで、低血糖症の原因や食事について解説してきました。

低血糖症は食事の改善や生活習慣の改善も重要ですが、その原因には様々な疾患が関わっています。そして、低血糖症の改善にはこの根本原因から改善していかなければ意味がありません。

上述した疾患等はまだまだほんの一部で、低血糖症を引き起こす原因は他にも沢山あります。また、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多く、検査もなしに適切な栄養アプローチを行うのは困難です。

例えば、「甲状腺機能低下症」と「副腎疲労」が組み合わさって低血糖症になっている方と、「二型糖尿病によるインスリン抵抗性」と「脂肪肝」によって低血糖が起きている方とのアプローチは全く違います。また、この記事でご紹介した原因以外にも、「胃の状態が悪い方」や「ピロリ菌に感染」している方、「肥満かどうか」や「遺伝的な問題」があるかなどの問題も関係してきます。

低血糖症との関連が考えられる疾病

  • 糖尿病(治療薬による低血糖は除く)
  • 貧血
  • 副腎疲労・慢性疲労症候群
  • 副腎不全
  • 脂肪肝など肝機能障害
  • 甲状腺機能障害
  • ピロリ菌感染、胃腸障害
  • SIBO
  • リーキーガット症候群
  • 腸カンジダ症
  • 口腔内環境の悪化
  • 更年期障害、自律神経失調症
  • 肥満、痩せすぎ

このように低血糖症には人によって様々な原因があり、個人個人バラバラに組み合わさって引き起こされています。同じ低血糖症に見えても対処法は全く異なりますので、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。

その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法とは、オーソモレキュラー療法に対応するクリニックで専用の採血や検査を行い、その結果を基にサプリメントを用いてアプローチしていく療法です。オーソモレキュラー療法では主に68項目にも及ぶ血液検査が受けられるほか、副腎や甲状腺の検査、糖尿病や酸化ストレスなどの検査を必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。

これら複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの低血糖症の根本原因がどこから来ているのかが分かります。

また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。根本原因からきちんと対処していくことが出来れば、低血糖症も改善出来る可能性があります。

同じ低血糖症でも人によって全くアプローチが違いますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。オーソモレキュラー療法の詳細については、下記からご覧頂けます。

分子栄養学の実践は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用しましょう

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。

分子栄養学実践専用サプリメントとは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて非常に高価となっています。

しかし中には、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して実践したい」と思っている方も多いかもしれません。市販されているサプリメントや海外サプリメントは、分子栄養学実践専用サプリメントと比べて非常に安価です。

ですが、市販されているサプリメント海外サプリメントなどで販売されているサプリメントで分子栄養学を実践をするのはオススメしません。

市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、そもそも消化吸収能が低下した方や病態を抱えた方が摂取するようには設計されておらず、胃や腸でも全く溶けない粗悪品も流通しています。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある

また、原材料に人工的に加工されたものや合成されたもの、天然界には存在しない化学構造のものなどが使われていることもあり、これらを大量に摂取することはむしろ生体内の分子を乱してしまうことにも繋がります。

加えて、栄養素が酸化・劣化して効力を失っているものや、そもそも有効成分自体が殆ど含まれていないものなどもあります。このことから、市販されているサプリメントや海外サプリメントを使って分子栄養学を実践することはオススメしていません。

分子栄養学を実践する際は、このようなサプリメントの善し悪しを学ぶことも非常に重要です。分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いについては、下記の記事を参考にして下さい。

そして、分子栄養学・オーソモレキュラー療法を実践する際は必ず「分子栄養学実践専用サプリメント」を使用しましょう。

サプリメントは、きちんと消化吸収・利用されて初めて意味があります。分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。

また、分子栄養学では一般的な量よりも遙かに多くの栄養素を摂取します。この時、栄養素同士が反応して効力を失ってしまったら意味がありません。分子栄養学実践専用サプリメントでは、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

このことから、分子栄養学を実践する際は、必ず分子栄養学実践専用サプリメントを用いるようにして下さい。

ナンナン

サプリメントは何を選んでもいいわけじゃないのか❗

はる かおる

そうだよ、サプリメントは同じように見えてもその中身や設計や全く異なっているんだ質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用に作られた作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね

分子栄養学実践用に設計されたケンビックスシリーズ

低血糖の状態を調べるためにも、持続グルコース濃度測定検査も同時に受けましょう

上述したオーソモレキュラー療法の検査に加えて、低血糖症を抱えている方には是非受けて頂きたい検査があります。それが、「持続グルコース濃度測定検査」です。

持続グルコース濃度測定検査とは、針の付いたセンサーを装着し、そこから血中のブドウ糖濃度(グルコース)を継続的に測定していく検査です。測定されたグルコース値はグラフ化され、どのような時に高血糖や低血糖になっているのかの波が分かります。

センサーにリーダーをかざすと測定できる

なぜこのような検査が必要なのかというと、低血糖の状態や血糖値の状態は人によって様々な状態があるためです。

例えば、低血糖と言っても「夜間低血糖」がある方や「血糖値スパイク」を引き起こしている方、何を食べても血糖値が上がらない「無反応低血糖症」の方もいます。このように低血糖症と言っても様々な種類や状態があるため、オーソモレキュラー療法の検査とあわせて血糖値の状態も調べておくことが重要です。

この検査を受けることによって、ご自身にどの時間帯や食べ物で血糖値の乱高下が起きているのかや、どのような低血糖が起こっているのかが分かります。

持続グルコース濃度測定検査

例えば、

空腹時血糖が80〜70mg/dlを下回る時間が長かったら低血糖症の可能性あり。
食後血糖値が160mg/dlを超えるようなら血糖値スパイクの疑いあり。
空腹時血糖が130mg/dlを超えているようなら糖尿病の疑いあり。
夜間や朝方など特定の時間に低血糖が起こる場合は、夜間低血糖の疑いあり。
食後血糖値が60~80mg/dl前後から上がらない場合は、血糖値を上げられない無反応性低血糖症の疑いあり

といったように、読み取ったグラフや血糖値の傾向からどのような低血糖や血糖コントロールの異常があるのかが分かってきます。

最初にお伝えしたように、低血糖には食べ物を食べて血糖値が乱高下する「血糖値スパイク」もあれば、何を食べても血糖値が上がらない「無反応性低血糖」という低血糖の状態もあります。

このような低血糖の種類や状態によってそれぞれ原因や対処法が異なってきますので、ご自身の原因や対処法を知るためにも是非持続グルコース濃度測定検査を受けてみて下さい。

持続グルコース濃度測定検査の受け方

持続グルコース濃度測定の受け方についてですが、前述したオーソモレキュラー療法と同時に受ける事が可能です。

検査自体はクリニックが提供していますが、わざわざ病院まで検査を受けに行く必要はありません。測定に必要な測定器とセンサーは申し込み後に宅配で送られてくるため、ご自宅にて測定可能です。

測定した結果はクリニックに自動的に送られ、検査終了後は医師の解析や解説もセットで提供されています。解説は電話で受ける事が出来ますので、ご自宅に居ながらより詳しく状態を知ることが出来ます。

ですので、低血糖症でお悩みの方はオーソモレキュラー療法の検査とあわせて持続グルコース濃度測定検査も受けてみて下さい。

また、血糖値の測定自体は病院など医療を通さなくてもご自身で必要な機材を揃えて頂ければ測定可能です。
「リブレ」と呼ばれるセンサーと読み取り装置を準備し、ご自身で装着すればお好きなタイミングで血糖値をモニタリングすることが可能になります。

持続グルコース濃度測定に用いるリブレのセンサーと読み取り装置については、楽天やアマゾンでも販売されていますので興味ある方はご自身で揃えてみて下さい。

ただし、ご自身で行う場合は医師からの解析はありません。測定結果は、全てご自身の判断の下で利用して頂くことになります。

持続グルコース濃度測定検査は、血糖値の上がり下がりを単に見ているだけで無く、その根本にある糖代謝異常の原因を探る検査になります。ご自身で測定しても、そのデータを活用出来なければ全く意味がありません。データの読み方が分からない方は、きちんと医療を通して医師に解析して貰いましょう。

オーソモレキュラー療法で受けられる持続グルコース濃度測定検査の料金やシステムについては、オーソモレキュラー療法血液検査概要・料金一覧ページにてご案内しています。下記のお申し込みページをよくご覧頂き、よく理解した上でお申し込み下さい。

ナンナン

なるほど、低血糖にも人によって原因が違ったり、色々な種類があるんだね

はる かおる

そうだよ、だからこそ検査を受けるのが重要なんだ。

ナンナン

食事をしてもどのくらい血糖が上がってるのかも分からないし・・・
分かった、持続グルコース濃度測定検査を受けてみるよ❗

間違った分子栄養学の情報に注意! 糖質や炭水化物の摂取量だけで血糖コントロールを行うのは根本解決になりません!

近年、インターネットやSNSが発展したことから、健康に関する様々な情報が飛び交っています。分子栄養学においても、分子栄養学を学べるセミナーや講座が増えた事によって、これらを学んだ人達による情報発信が急激に増えてきました。

このような中で問題となってくるのが、間違った分子栄養学の情報です。分子栄養学の情報の中には間違った情報や、分子栄養学をしっかり理解せずに情報発信されたもの、独自理論を組み合わせたものや、自身の経験のみで語られた客観性、エビデンスのない情報なども発信されています。酷いものでは、全く分子栄養学でも何でも無いのに分子栄養学だと語られているものもあります。

例えば、以下のような情報は間違った分子栄養学の例です。

  • メガドーズ、メガビタミン健康法
  • 食事内容の改善や、特定の食材を摂取するだけで至適量の栄養が得られ、病気が改善するとしているもの
  • この不調にはこの栄養素」といったように、単に不調の症状だけを元に栄養アプローチを行うもの
  • 海外サプリメント、単に安価なサプリメントなど、安全性、有効性が確認されていないサプリメントで分子栄養学の実践をおこなっているもの
  • 前駆体では無く、活性型の栄養素を用いているもの
  • ファスティングと分子栄養学を組み合わせるなど、独自理論が組み合わされたもの
  • 薬は一切使わない、栄養療法だけで病気が治るなど極端なもの
  • 病態や不調の根本原因を調べるための検査に誘導しないなど、栄養欠損となった原因をきちんと調べずに行っているもの
  • 医師免許を持たない者が、血液検査データを扱う、サプリメントを処方する、食事指導を行うなど、医療機関を通さずに分子栄養学の指導を行っているカウンセラー など

特に、低血糖症の対策においては先ほどの「リブレ」を用いて、食事内容だけで血糖値の乱高下をコントロールする手法が分子栄養学だとする情報が多く見受けられます。しかし、これは間違った分子栄養学の情報です。

このような血糖値が上がった下がったに対し、糖質や炭水化物の摂取量で血糖値をコントロールする事は対処療法でしかなく、根本的な解決にはなりません。低血糖症の根本には「糖代謝の悪化」が関係しており、この糖代謝の悪化にはこの記事でも解説したように疾病など様々な原因が関係しています。

低血糖症を改善させるためにはこの根本原因となっている疾病や糖代謝の悪化も同時に改善していくことが必要で、「○○を食べたら血糖値が上がったからこの食べ物は避ける」等という行為はほぼ無意味です。これではいずれ食べるものが無くなり、逆に栄養欠損を引き起こしてしまいます。

このような情報は間違った分子栄養学であることから、実践することで病態や体調が悪化するなどむしろ命に関わる危険性があります。事実、当方にもこれら誤った情報を元に実践した方からの健康被害に関するご相談も増えてきました。

現代では個人がSNSで気軽に情報発信が出来る世の中になっています。このような時代だからこそ、間違った分子栄養学の情報にはくれぐれもご注意ください。

低血糖症は食事を変えれば良くなる? 低血糖症の原因やオススメの食事について、分子栄養学的アプローチを解説まとめ

まとめ

以上が、低血糖症は食事を変えれば改善できるのかについてと、低血糖症の原因となる疾患やそれぞれに対する分子栄養学的アプローチでした。

低血糖症の原因は糖質や炭水化物の摂り過ぎによる血糖値の乱高下や血糖値スパイクなどが関係している事があり、食生活の見直しや運動も必要です。

また、低血糖症は、血糖値が下がりすぎてしまう事が原因と言われていますが、その奥深くにはもっと複雑な原因が関係しています。そのため、何か特定の食事を摂ったからと言って低血糖症が改善出来るわけではありません。

低血糖症の発症には様々な疾患が関わっており、その疾患を改善していくことも必要です。人の身体には、元々糖質などの栄養素や血糖値を上手く利用したりコントロールしたりする機能が備わっています。低血糖症は、この機能が正常に働けなくなってしまったことが一番の問題です。この機能を元に戻すことが出来れば、機能性低血糖症や無反応性低血糖症も改善出来る可能性が高いです。

是非、このあたりの原因をしっかり調べて適切なアプローチを行っていきましょう。糖質の摂取量だけで血糖値をコントロールしようとせず、低血糖症が引き起こされている根本の原因からアプローチしていくようにしてください。今回ご紹介した原因や対策、検査方法は根本原因から低血糖症を解決する際の大きな手助けになるはずです。

オーソモレキュラー療法や持続グルコース濃度測定検査を受けたことが無い方は、この機会に是非オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

ナンナン

今まで低血糖症に対して全然知らなかったけど
すごく参考になったよ❗ありがとう❗❗

はる かおる

うん、低血糖症の原因は一人一人違うから、是非オーソモレキュラー療法を受けてみてね。

ナンナン

分かった❗ オーソモレキュラー療法を受けて、低血糖症を改善させてみるよ❗

参考文献

  1. 貧血の原因の70~80%は「鉄分不足」 ↩︎
  2. 胃下垂いかすいについて ↩︎
  3. 痩せ型なのに糖尿病?その原因と予防法とは ↩︎
  4. 日本糖尿病学会誌第56巻第12号 糖尿病と食事由来金属元素 ↩︎
  5. 腸内細菌は糖尿病に影響 善玉菌が糖尿病から保護 腸内環境を健康にする方法とは? ↩︎

※当サイトは分子栄養学の普及を目的に、個人が独学で学んだ情報を発信しているサイトです。情報の正確性には配慮しておりますが、サイトに記された情報については、必ずしも正確性を保証するものではありません。また、サイトに示された表現や再現性には個人差があり、必ずしも利益や効果を保証したものではございません。
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この記事を書いた人

はる かおるのアバター はる かおる 分子栄養療法ナビゲーター ディレクター

春木 敏徳(はる かおる)
分子栄養療法ナビ(このサイト)の管理人のはる かおるです。
現在は「字が書けないライター」兼、KYBクラブのディレクターとして活動しています。

僕自身、発達障害の一種である「書字障害」を抱え、幼少の頃から両親からの虐待や学校でのいじめなど、数々の困難や体調不良を経験してきました。
育った環境の悪さから18歳頃からうつ病を発症し、その後10年近く精神薬での治療を行っています。また、他にも小・中・高校生時代は朝起きられず、殆ど学校にも行っていません。

今では「あれは起立性調節障害だったな」と思えるのですが、当時はそのような病気の認識は殆どありませんでした。そのため、非常に風当たりの強い中、幼少時代を過ごしてきています。

また、幼少期から続く極度の栄養失調により、低血糖症や甲状腺機能低下症、SIBO、リーキーガット症候群、副腎疲労、脂肪肝など様々な病気を経験しました。現在では分子栄養学に出会ったことで体調も大きく回復しており、これら病気の改善に必要な知識も豊富です。

インターネットの登場によって間違った分子栄養学も広まってきており、それによって体調を崩してしまう人も多くなってきています。このような中、分子栄養療法ナビ(このサイト)や情報発信を通じて、多くの人に正しい分子栄養学が広められるよう現在も奮闘中。

得意とする分野
うつ病、発達障害、ADHD、起立性調節障害、貧血、不妊症、ガン、甲状腺機能障害、ピロリ菌感染症、SIBO、リーキーガット症候群、低血糖症、副腎疲労、脂肪肝、ダイエット、更年期障害、PMSなど。全般的に幅広い知識を有する。

ほか、文章を書くのが得意で、ライティングやマーケティング、投資などお金に関する知識や生き方に関するアドバイスも得意。

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