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カルシウムとは? カルシウムの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説

「血圧が高い」「疲れやすい」「夜眠れない」「頭痛がする」「血糖値が高い」などの症状は、もしかしたらカルシウム不足が原因かもしれません。カルシウムは、体内において骨や歯を作る材料として働くほか、マグネシウムとともに自律神経の調節や血圧の調節、糖代謝に関与しています。

カルシウムが不足すると、骨がもろくなったり、血圧が上がったり、尿路結石になりやすくなったり、睡眠障害、糖尿病、認知症など様々な不調へと繋がってしまう原因です。

今回は、このカルシウムの基本についてと、カルシウムがどのように吸収・代謝されているのか、骨粗しょう症を含めたカルシウム不足に対する分子栄養学的アプローチを解説します。

目次

カルシウムとは

ナンナン

うぅ〜・・・
あたま痛い〜 寝不足だ〜💦

はる かおる

ど、どうしたの❓ ナンナン
何かあったの❓

ナンナン

うん・・・
それがね、最近あまりよく眠れなくて💧
オマケにあたま痛いし、関節も痛いしで調子が悪いんだ💧

はる かおる

うーん、寝不足に頭痛に関節痛かぁ・・・
そういえば、ナンナンは前に糖尿病や高血圧って診断されてなかったっけ❓

ナンナン

うん、ボクは前から血圧と血糖値が高いってお医者さんから言われてるよ

はる かおる

なるほど。もしかしたら、カルシウム不足による不調かもね

ナンナン

ま、カルシウム不足❗❓
それが糖尿病とどう関係あるの❓❓

はる かおる

うん、実はカルシウムは糖代謝や血管の弛緩と収縮に関係していて、カルシウム不足と高血圧、糖尿病は関係が深いんだ。
それに、カルシウムは自律神経やホルモンも調節していて、不足すると不眠や自律神経の乱れ、ホルモンバランスのなど様々な不調が引き起こされるんだよ。

ナンナン

そうなんだ・・・💧
じゃあ、どうしたらカルシウム不足が改善出来るのかな❓

はる かおる

そうだね。そのあたりは割と複雑だから、カルシウム不足に対する分子栄養学的アプローチも含めて解説してあげるよ

カルシウムは、体内で最も多く含まれているミネラルです。体重の1〜2%がカルシウムだと言われており、その99%が骨や歯に、残りの1%は細胞に存在し、血液中にも約0.1%程のカルシウムが存在しています。

カルシウムは体内で最も多く含まれるミネラルであり、体重の1〜2%がカルシウムと言われている

生体内のカルシウムは、その殆どが骨に存在していることから、カルシウムの総量はほぼ骨カルシウム量に比例しています。男性ではおよそ1,200g程度、女性では920〜1,000gほどがカルシウムだと言われています。

カルシウムの働き。カルシウムは骨や歯に99%含まれているほか、細胞内カルシウムや血液中のカルシウムは、筋肉の調節や自律神経の調節に関わっている

カルシウムの働きとしては、骨や歯を作る以外にも、筋肉を収縮したり血圧を調節したり、血液凝固に関与して傷口がふさがるための重要な役割を果たしています。この他、神経伝達物質を放出して興奮性を調節したり、インスリンなどホルモンの分泌に関わって糖代謝に関係したりしています。

これらは細胞内カルシウムや血液中カルシウムで行われていますが、基本的に体内の反応にはすべてカルシウムが必要なので、血中カルシウム濃度は一定に保つことが出来るよう厳密に調節されています。

筋肉の収縮や血圧の調節など、体内の反応にはすべてカルシウムが関わっているので、体内では血液中のカルシウム濃度が常に一定に保たれる仕組みになっている

例えば、摂取したカルシウムは小腸の腸管で吸収され、血管に運ばれて利用されています。この時、身体は血清カルシウム濃度を約10mg/dL、細胞内と細胞外のカルシウム比率を1:10,000に保とうとする働きがあり、カルシウムの摂取量が多い場合や不要な場合は便として排泄したり腎臓から尿を通して排泄されます。

また、カルシウムの摂取量が不足している場合は、腎臓でカルシウムの再吸収が行われ、尿中の排泄量が少なくなるようコントロールされています。これに加え、骨はカルシウムの貯蔵庫でもあるので、不足した場合は骨からカルシウムを溶かして血中に放出し、血清カルシウム濃度を一定に保とうとする働きが備わっています。このような体内の状態を一定に保とうとする働きを「生体恒常性(せいたいこうじょうせい)」や「ホメオスターシス」と言います。

この血清カルシウム濃度や細胞内・細胞外カルシウムの比が一定に保たれていることで、私達の筋肉や血圧などは正常に制御され、働くことが出来ます。もし、血清カルシウム濃度が高すぎたり低すぎたりすると、心臓の筋肉や血圧などに異常が生じて命に関わることから、基本的に血中のカルシウム濃度は大きく増減しないようになっています。

カルシウムが多く含まれる食品

カルシウムは、主に牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品や、ひじき、海苔、小魚などに多く含まれています。この他、納豆や豆腐など大豆食品にも多く含まれています。

カルシウムが多い食品
牛乳 コップ1杯(200g) ……220mg
ヨーグルト 1パック(100g) ……120mg
プロセスチーズ 1切れ(20g) ……126mg
野菜類 小松菜 1/4束(70g) ……119mg
菜の花 1/4束(50g) ……80mg
水菜 1/4束(50g) ……105mg
切り干し大根 煮物1食分(15g) ……81mg
海藻 ひじき 煮物1食分(10g) ……140mg
小魚 さくらえび(素干し) 大さじ1杯(5g) ……100mg
ししゃも 3尾(45g) ……149mg
豆類 木綿豆腐 約1/2丁(150g) ……180mg
納豆 1パック(50g) ……45mg
厚揚げ 1/2枚(100g) ……240mg
※『農林水産省 みんなの食育』より作成
カルシウムが多い主な食品

カルシウムの吸収と排泄

カルシウムは、腸管で主に吸収され、その殆どは十二指腸の小腸上部や中部で吸収されています。カルシウムの吸収は摂取したカルシウムの量によって吸収率が変わり、摂取量が多ければ低下し、少なければ高くなります。この吸収には、主に2つの経路があります。

1つは、食事中のカルシウム濃度が高いときに起こる受動輸送で、もう一つはトランスポーターと呼ばれる特定のタンパク質によって能動的に吸収される能動輸送です。

1. 受動輸送経路である細胞間経路:

受動輸送とは、濃度差を利用して吸収する仕組みです。カルシウムは、濃度差に基づいて小腸の細胞膜を通過することが出来ます。この方法は、食事中のカルシウム濃度が高いときに行われています。主にClaudinやCadherin-17、Aquaporin-8といった細胞間経路で行われ、これらの調節には活性型ビタミンD(1α,25-OHビタミンD3)の関与が示唆されています。1

2. 能動輸送経路である細胞内経路:

もう一つの促進拡散では、トランスポーターと呼ばれる特定のタンパク質輸送体によって吸収する仕組みです。主なトランスポーターはビタミンD依存性のカルシウム輸送体(TRPV6 : Transient Receptor Potential Vanilloid 6)で、食事からの摂取量が減少したときや、カルシウム要求が高まったときにカルシウムの吸収を促進します。

この方法には活性型ビタミンDが関与し、ビタミンDがTRPV6を発現したり調節したりしています。

どちらの吸収経路においても、カルシウムの吸収にはビタミンDが関与していることから、カルシウムを摂取する際はビタミンDも同時に摂取することが大切です。

このビタミンDは腸管で吸収された後、血液中で運ぶためにタンパク質で出来たトラックと結合し、肝臓まで運ばれます。そこで、25-OHビタミンD3に変換され、更に必要に応じて腎臓で活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3)に変えられて利用されています。活性型のビタミンDは、小腸でのカルシウムの吸収を高め、カルシウムが足りなくなったときに骨から溶かし出したカルシウムの血液中や筋肉中のカルシウム濃度を調節し、腎臓からのカルシウム排泄を抑制する働きがあります。

カルシウムの吸収や調節にはビタミンDが関わっている。ビタミンDは小腸でのカルシウム吸収を高めるほか、骨から溶かし出したカルシウムの濃度を調節したり、腎臓からのカルシウムの排泄を抑制する働きがある

このビタミンDが肝臓や腎臓で利用出来る形に変換するためには酵素の働きが必要です。この酵素の働きに必要なものが「マグネシウム」で、マグネシウムはビタミンD3を活性化させて利用するために必要となります。この活性型のビタミンD3はカルシウムの吸収や血中カルシウム濃度の調節などを担っていることから、カルシウムを摂取する際は「ビタミンD3」と併せて「マグネシウム」も同時に摂取するようにしましょう。

この他、カルシウムの吸収を助けてくれる物としては、胃酸や乳糖、アミノ酸などがあります。逆に、カルシウムの吸収を阻害してしまうものとしては、H2ブロッカーなどの胃酸抑制剤や、高脂肪な食事、高食物繊維の摂取、加工食品に多く含まれるリン酸の摂りすぎなどが挙げられます。

カルシウムの吸収を促進する因子と阻害する因子。カルシウムを摂取する際は、吸収を促進してくれる成分を含む食べ物を一緒に摂るのが良い。

カルシウムの吸収を促進するもの

  • 胃酸
  • アミノ酸やペプタイド
  • 乳糖
  • カゼインホスホペプチド
  • ビタミンD
  • マグネシウム
  • 短鎖脂肪酸

カルシウムの吸収を阻害してしまうもの

  • H2ブロッカー、ステロイドなどの服薬
  • 高リン酸の食事
  • 高食物繊維の食事
  • 高脂肪な食事
  • ストレス

特に、カルシウムの吸収においては炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなど水に溶けにくく酸に溶けやすいカルシウムがあります。これらカルシウムを吸収するためには胃酸が十分に分泌されていることが必要です。このため、胃酸の分泌を抑制してしまうH2ブロッカーなどのお薬を使用している場合は、カルシウムの吸収を阻害してしまいますので注意して下さい。

また、加工食品に多く含まれるリンの過剰摂取や、高脂肪な食事、高食物繊維の食事は、カルシウムの吸収を阻害してしまうことが知られています。これらの摂りすぎにも注意しましょう。ただし、腸内に住んでいる善玉菌は、食物繊維をエサに「短鎖脂肪酸」を産生してくれる菌もいます。この短鎖脂肪酸はカルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルの吸収を助けてくれる働きがあります。

そのため、高食物繊維の食事はカルシウムの吸収を妨げてしまうと言われていますが、腸内環境が整っていればそこまで気にする必要はありません。むしろ、食物繊維はお腹の調子を整えてミネラルの吸収を助けてくれますので、積極的に摂るようにしましょう。

吸収されたカルシウムは、骨や歯を作ったり、筋肉収縮をはじめ様々な代謝で使われます。仮に余分に摂取したとしても、カルシウムは腎臓の働きによって尿中に排泄されるため、通常の食事では過剰症になることはありません。

また、体内ではカルシウムの血中濃度は常に一定の濃度を保とうとする力(生体内恒常性)が働いています。この働きにより、カルシウムの摂取量が不足している場合では、腎臓でのカルシウム再吸収が促進されたり、骨からカルシウムが放出されたりすることで、カルシウムの血中濃度は一定に保たれるようになっています。

ただし、骨粗しょう症の治療などでカルシウム製剤や活性型のビタミンD製剤を使用していた場合は、高カルシウム血症を起こしやすくなるので注意して下さい。これは、薬によってカルシウムの吸収や調節を強制的にコントロールすることから、上述した生体内恒常性によって体内で制御できなくなってしまうためです。骨粗しょう症の治療などでカルシウム製剤や活性型のビタミンD製剤を服用している方は、必ず定期的な血液検査で血中カルシウム濃度を測定し、医師の指示の元服用するようにして下さい。

また、腎機能が低下している場合にはカルシウムの尿中排泄機能が低下しているため、高カルシウム血症を生じやすくなるので注意が必要です。

ナンナン

カルシウムって骨を作る以外にも色々な働きがある栄養素だったんだね💧最近加工食品を食べる量が多かったから、カルシウム不足かも💧

はる かおる

カルシウムが足りてない人は多いから、これからはしっかりと小魚や乳製品も食べると良いね。

ナンナン

うん、でもボク牛乳を飲むのが苦手なんだよね💦
病院でカルシウムのお薬とか出してくれないかな❓❓

はる かおる

うーん、確かにカルシウムが主成分のお薬はあるけど・・・
サプリメント代わりにお薬を使うことは出来ないんだ。

ナンナン

えっ、そうなの❗❓

カルシウムの種類とサプリメントのカルシウム、病院で処方されるカルシウム製剤の違い

カルシウムというと牛乳に含まれているものというイメージですが、実はカルシウムにも様々な種類があります。特に、お薬で使われているカルシウム製剤は、それぞれ効果や目的によっていくつかの種類に分かれています。

例えば、骨粗しょう症の治療を目的に処方される「アスパラギン酸カルシウム製剤」、低カルシウム血症や副甲状腺機能低下症に使用する「グルコン酸カルシウム製剤」や「乳酸カルシウム製剤」、高リン血症の改善や消化管内の制酸成分として胃炎などに使用される「沈降炭酸カルシウム製剤」などがあります。

これらは医薬品であり、治療に必要な場合にのみ処方、使用されるものです。そのため、サプリメントのように栄養補給を目的として処方されることはありません。

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お薬に使われるカルシウムの代表的な種類と違い例
骨粗しょう症アスパラギン酸カルシウム
胃腸薬沈降炭酸カルシウム
低カルシウム血症
副甲状腺機能低下症など
アスパラギン酸カルシウム
グルコン酸カルシウム
乳酸カルシウム
お薬に使われるカルシウムの代表的な種類と違い

もし、これら医薬品をサプリメントのように毎日、長期間摂取するとなると、相応の副作用のリスクが伴います。一番懸念される副作用が高カルシウム血症で、ビタミンD製剤と併用すると更にリスクが高まります。高カルシウム血症になると、食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、筋力低下、多飲多尿、精神症状等があらわれ、さらに重篤になると不整脈、意識障害が出現する場合があります。

一方で食品やサプリメントに含まれるカルシウムとしては、牛乳やチーズなどの乳製品、小魚などの骨に含まれる「リン酸カルシウム」や、サプリメントや食品添加物などによく使用されている「炭酸カルシウム」「クエン酸カルシウム」「リンゴ酸カルシウム」グルコン酸カルシウム「乳酸カルシウム」、ほうれん草や小松菜などに含まれている「シュウ酸カルシウム」などがあります。

これらは水や酸に溶けやすいかや、吸収率、生体内利用効率などにそれぞれ違いがあります。

水に溶けるカルシウム

  • クエン酸カルシウム
    炭酸カルシウムよりも水に溶けやすく、胃酸がなくても吸収が可能。胃腸の不快感が少ないため、胃が敏感な人や高齢者に適している。カルシウム含有量は約21%。 サプリメントやカルシウム強化食品に使用されているが、カルシウム含有量が低いため、同じ量のカルシウムを摂取するには多くの錠剤を飲む必要がある。自然に存在する食品にはあまり多く含まれておらず、人工的に製造された物が殆ど。
  • 乳酸カルシウム
    水に溶けやすく、味への影響が少ないことからスポーツドリンクなどでのカルシウム強化や液体サプリメント、医薬品として利用されることが多い。カルシウム含有量は約13%。カルシウム含有量が低いため、必要量を満たすためには多くの量を摂取する必要がある。名前に乳が付いていることから乳製品に多く含まれると思われがちだが、乳製品には含まれていない。そのため、乳アレルギーの方でも問題なく摂取出来る。一般的には、砂糖大根(甜菜)などから作る乳酸と石灰石などから作る酸化カルシウムを中和反応させて作られる。
  • グルコン酸カルシウム
    水に溶けやすく、他のカルシウムに比べて臭いや苦みが少ない。主に飲料やデザート、スープなど食品のカルシウムを強化する目的でのカルシウム強化剤や、医薬品として点滴で使用。カルシウム量は約9%と低いため、サプリメントではあまり使用されていない。
  • リンゴ酸カルシウム(クエン酸リンゴ酸カルシウム)
    水に溶けやすく、主に飲料のカルシウム強化剤としてや、サプリメントとして利用されている。クエン酸リンゴ酸カルシウムは非常に吸収しやすい形のカルシウムであるが、欧州食品安全機関は、他の形態のカルシウムよりもわずかに生物学的に利用可能であると結論づけた。2日本では、特定保健用食品表示の許可を取得している。3

水に溶けず酸などに溶けるカルシウム

  • 炭酸カルシウム
    サプリメントやカルシウム強化食品に最も多く使われているカルシウム。原材料は主に石灰石を粉砕・分級して作られ、石灰石の品質が沈降炭酸カルシウムの良否に大きな影響を与える4。安価でカルシウム含有量が約40%と高い。水に溶けにくく、吸収するには胃酸が必要となるため、食事と一緒に摂取する必要がある。胃酸の分泌が低い人(高齢者など)や胃酸抑制薬を使用している人には吸収が不十分になることがあり、炭酸カルシウムはクエン酸カルシウムよりも多くの副作用を誘発するとされている。5
  • リン酸カルシウム
    骨や歯の主要成分。牛乳や小魚の骨などの動物性食品に多く含まれており、水に溶けにくく、酸に溶けやすい。カルシウム含有量は約38%。サプリメントや食品添加物としても使用されているが、吸収率は他のカルシウムに比べると低く、摂取する際は酸性の物と一緒に摂取すると良い。骨や歯の健康に寄与するリン酸が含まれていることから、カルシウムの中では生体内利用効率が高い。
  • 硫酸カルシウム
    石膏などに多く含まれ、骨折治療用のギプスや、歯科材料としての使用、食品添加物としても使用される。食品では主にカルシウム強化用としての添加物や、豆腐の凝固剤としてなどに使用。水に溶けにくく他のカルシウム化合物と比べて吸収効率が劣ることから、サプリメントとしてはあまり使用されていない。
  • シュウ酸カルシウム
    ほうれん草や小松菜、アーモンド、カシューナッツ、ピーナッツ、ダークチョコレートなどに多く含まれる。シュウ酸はカルシウムと結合してシュウ酸カルシウムを形成し、体内でのカルシウム吸収を妨げることがある。したがって、シュウ酸を多く含む食品を大量に摂取すると、カルシウム不足の原因となる可能性がある。シュウ酸カルシウムは腎結石の主な原因の一つで、尿中に過剰に存在すると、結晶化しやすくなる。加えて、高濃度のシュウ酸カルシウムを摂取すると、毒性が現れることもある。特に、ルバーブの葉はシュウ酸含有量が非常に高く、食用に適さない。シュウ酸カルシウムは針状の結晶を形成し、植物の細胞内に存在する。このため、シュウ酸カルシウムが多い植物を食べると、口腔や消化管に刺激を与えることがある。一部のシュウ酸カルシウムは調理によって減少することがあり、例えば、ほうれん草を茹でるとシュウ酸含有量が減少する。シュウ酸カルシウムは毒性が強いことから、サプリメントなどへの利用や、カルシウム供給源としては適していない。

これらカルシウムには吸収率や含有量に違いが見られ、水に溶けやすいカルシウムは吸収しやすく、水に溶けにくいカルシウムは吸収しにくいという特徴があります。水に溶けやすいカルシウムとしては、乳酸カルシウムやグルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウムなどがあり、水に溶けにくく酸などに溶けるカルシウムとしては炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなどがあります。

ただし、水に溶けにくかったり吸収率が悪かったとしても、そのカルシウム自体がダメなものというわけではありません。例えば、牛乳や小魚の骨などに多く含まれる「リン酸カルシウム」は水に溶けにくいですが酸には溶けやすいという特徴があります。また、リン酸カルシウムはリンを含み、人の骨や歯の成分として必要なので生体利用効率が高いことも特徴として挙げられます。

逆に、カルシウムであっても腎結石を起こしやすいなど悪影響もあるカルシウムもあります。特に、ほうれん草や小松菜などの植物に含まれている「シュウ酸カルシウム」は、摂りすぎると結晶化しやすく、尿路結石の原因となります。また、植物など様々な食品に含まれる「シュウ酸」は、カルシウムやマグネシウムなどと結合して「シュウ酸カルシウム」や「シュウ酸マグネシウム」を形成し、カルシウムやマグネシウムの吸収を妨げてしまいます。そのため、シュウ酸が含まれている食品を食べる際は、茹でてシュウ酸の含有量を減少させておくことが大切です。シュウ酸は水溶性なので、茹でることでシュウ酸の量を減らすことが出来ます。

また、カルシウムが不足しているとシュウ酸が消化・吸収され、尿中への排泄量が増えて尿路結石の原因となることから、他の安全性の高いカルシウムとマグネシウムをしっかり摂る事で尿路結石を予防することが出来ます。カルシウムを多く摂ることで、シュウ酸は腸中でカルシウムと結合し、吸収が阻害されて便として排泄されます。尿路結石の予防は、尿中のシュウ酸量を減らすことがポイントです。

このように、カルシウムと一言で言っても様々な種類があり、サプリメントや食品に含まれるカルシウム、病院で処方されるカルシウムは全く違うものですので注意しましょう。

ナンナン

なるほど・・・
お薬のカルシウムはサプリメント代わりには使えないんだね💧
それに、ほうれん草や小松菜はカルシウムが多いってイメージだったけど、あまり良くないカルシウムだったのか💦

はる かおる

そうそう。カルシウムと一言で言っても様々な種類があるよ。特に、お薬のカルシウム製剤はサプリメント代わりには使えないから注意してね。薬とサプリメントは用途が違うから、このあたりはしっかり認識しておくことが大切だよ

カルシウムの働き

カルシウムは、マグネシウムと共に骨や歯を作る材料として使われたり、筋肉の弛緩と収縮を制御したり、自律神経を整えて睡眠の質を改善したり、血管を収縮させて血圧を調節したりする働きがあります。他にも、インスリンなどホルモンの分泌や酵素の分泌にも関わっていることから、糖代謝を始めとしたエネルギー代謝など、体内のあらゆる反応にカルシウムが関わっています。

カルシウムとマグネシウムの関係。マグネシウムはカルシウムと互いに協力し合って働いている

カルシウムの主な働き

  • 歯や骨を作る
  • 神経伝達物質の材料となり、神経を落ち着かせる
  • マグネシウムと共に血圧を調節する
  • マグネシウムと共に糖代謝に関与
  • マグネシウムと共に筋肉の弛緩と収縮に関与
  • 血液の凝固に関与

カルシウムの働き① マグネシウムと共に歯や骨を作る

カルシウムは、マグネシウムと共に骨や歯を作る働きがあります。骨や歯はカルシウムやマグネシウムを材料に作られており、特にカルシウムは体内で最も多く含まれているミネラルです。およそ、体重の1〜2%がカルシウムだと言われており、男性ではおよそ1,200g程度、女性では920〜1,000gほどがカルシウムだと言われています。

カルシウムは体内に最も多く含まれているミネラルであり、主に骨や歯を作る材料として使われている

この骨は、身体を支えたり脳や内臓などの臓器を保護したり、運動の視点となったり、骨髄で血液を作ったり、カルシウムやマグネシウムの貯蔵をしたりと様々な働きがあります。カルシウムの摂取量が足りない場合は、骨から溶け出して補う仕組みが備わっていますが、あまりにも骨を溶かしすぎてしまうと骨がスカスカになる骨粗しょう症のリスクが高まります。そのため、骨を丈夫にするためには日頃からカルシウムとマグネシウムの十分な摂取量が必要です。

骨の役割。骨は身体を支えたり臓器を保護したり、造血したりカルシウムを貯蔵する役割がある

この骨を丈夫に作るためには、カルシウムの他にマグネシウムも必要になります。骨の構造は鉄筋コンクリートのような構造になっていて、コラーゲン繊維が鉄筋の役割をし、そのコラーゲンを覆う「ハイドロキシアパタイト」という骨の成分がコンクリートの役割をしています。

このハイドロキシアパタイトを作るためには、カルシウムの他にもマグネシウムやケイ素、ビタミンKやビタミンDも必要です。また、鉄筋となるコラーゲン繊維を作るためには材料となるタンパク質やビタミンC、ヘム鉄や亜鉛、ビタミンB群も必要になります。

骨の構造は、鉄筋コンクリートに似た構造をしている。骨を作るためには、カルシウムマグネシウム以外にも様々な栄養素が必要

また、丈夫な骨を作るためにはこれら栄養素以外にも骨に刺激を与えることも必要です。骨は、歩いたり走ったり飛び跳ねたりなどの刺激が加わることによって、骨を強くしようとする働きが起こります。そのため、骨を丈夫にするためには日頃からの十分な栄養摂取に加えて、運動することも大切です。

カルシウムの働き② マグネシウムと共に神経を落ち着かせる・睡眠に関与する

カルシウムは、骨を作る材料となる以外にも、心と体のバランスを安定させる神経伝達物質の分泌に関与しています。例えば、脳内で合成されている「セロトニン」「アドレナリン」などの神経伝達物質は、シナプス前細胞中のカルシウム濃度が上昇することで放出され、それがシナプス後細胞に伝わることで神経が伝達されています。

このセロトニンは、別名「幸せホルモン」と言って、分泌されると多幸感が得られたり、リラックスしたりするホルモンです。

脳内の神経伝達物質は、シナプスの細胞内にカルシウムが流入し、カルシウム濃度が上昇することで分泌されている

このセロトニンの分泌量が減少すると、気分が落ち込んだりやる気が起きなかったり、酷い場合ではうつ状態やうつ病の原因にもなると言われています。

また、この「セロトニン」とセロトニンから作られる「メラトニン」は、体内時計や睡眠を司っているホルモンです。セロトニンは起床する頃から分泌されはじめ、脳や身体をスッキリ目覚めさせる働きがあります。その後起床から14〜16時間後の夜間にかけてセロトニンからメラトニンに変化し、就寝する頃にはメラトニンの分泌量が最大になります。メラトニンは、身体を休めたり睡眠に入るために必要な神経伝達物質です。

セロトニンとメラトニンの関係。セロトニンは日中の活動期に、メラトニンは夕方から就寝に向けて分泌され、睡眠や体内時計を司っている

このセロトニンとメラトニンが十分に分泌され、サイクルが正常に働いていれば、朝スッキリ起きることができ、夜にきちんと眠くなります。このセロトニンやメラトニンの分泌にはカルシウムが関係している事から、カルシウムは神経を落ち着かせたり、睡眠の質を改善したり、体内時計の働きを保つ働きがあります。

それから、カルシウムはマグネシウムと共に睡眠の長さやリズムにも関係しています。東京大学の研究では、睡眠の長さは脳の神経細胞に出入りする「カルシウム」で調整されることが解明されました。カルシウムは、細胞内の情報伝達に関与する重要な役割を果たしており、カルシウムが細胞内で正常に働いている場合、活動時間と休息時間のサイクルが規則正しく保たれます。

東京大学の研究で、睡眠の長さは脳の神経細胞に出入りするカルシウムで調節されることが解明された

この働きは、特にリン酸化酵素(CaMKⅡ)の働きを通じて情報伝達が行われています。このCaMKⅡは、細胞内での情報のやり取りをスムーズに行うために必要です。カルシウムによってリン酸化酵素(CaMKⅡ)の働きが正常に出来ていれば、規則正しい行動リズムや睡眠リズムを維持することが出来ます。

しかし、カルシウムの不足や過剰などにより調節がうまくいかなくなってしまった場合、リン酸化酵素(CaMKⅡ)の働きが阻害されて活動時間を一定に保てなくなってしまいます。このカルシウムの調節を助けてくれるのが「マグネシウム」です。

マグネシウムはカルシウムの調節を助け、脳内の正常な機能を維持します。そのため、カルシウムを摂取する際はマグネシウムも同時に摂取することが大切です。

加えて、先ほどの「セロトニン」などの神経伝達物質は、必須アミノ酸の1つである「トリプトファン」を元に、ヘム鉄やビタミンB6、ナイアシンや「マグネシウム」を元に合成されています。

マグネシウムはセロトニンを作る時の補酵素として必要な栄養素。セロトニンは、心と体のバランスを安定させる働きを持つ脳の神経伝達物質の一種

マグネシウムは脳の神経伝達物質の材料になり、カルシウムはそれらの分泌や調節に関与しています。そのため、カルシウムとマグネシウムは一緒に摂取するようにしましょう。

ナンナン

なるほど、カルシウムは睡眠や自律神経の調節にも関わっているんだね

はる かおる

そうだよ。カルシウムが不足すると、夜眠れなかったりうつ症状が起こったりと、様々な不調に繋がってしまうんだ

カルシウムの働き③ マグネシウムと共に血圧を調節する

カルシウムは、マグネシウムと共に血圧の調節に関わっています。主にカルシウムは血管の収縮に関わっており、血管はカルシウムイオンが細胞内のカルシウムチャネル(入り口のような物)に流れ込むことで収縮します。この血管が収縮することで、血圧が上昇する仕組みです。

血管は、細胞内にカルシウムが流れることで収縮し、血圧が上昇する

対して、マグネシウムは細胞膜や細胞内結合部位においてカルシウムと競合し、細胞内へカルシウムが過剰に流入することを防ぐ働きがあります。このカルシウムとマグネシウムのバランスが取れていることで正常な血圧が維持されるようになっています。

マグネシウムは、細胞の中に入り込むカルシウムと競合することで、カルシウムが過剰に流入することを防ぐ

しかし、骨粗しょう症やカルシウム不足などでカルシウムが不足していた場合は、骨からカルシウムを取りだして利用する必要が出てきます。この時に骨からカルシウムを溶かしすぎてしまうと、カルシウムが不足しているのにカルシウムの血中濃度が上昇しすぎてしまう「カルシウムパラドックス」が発生します。(詳しくは後述)

このカルシウムパラドックスによってカルシウムが過剰になると、カルシウムイオンが細胞内のカルシウムチャネル(入り口のような物)に流れ込みすぎてしまい、血圧が正常範囲を超えて上昇してしまいます。これが、高血圧など血圧の以上や病気を引き起こす原因になります。

そのため、血圧を正常に維持するためには、積極的なマグネシウムの摂取を行って血管収縮の原因となる過剰なカルシウムイオンの細胞内流入を防ぐ事と、カルシウムパラドックスが発生しないようにしっかりとカルシウムの摂取を行う事が大切です。

また、骨からカルシウムを溶かしだして利用した場合は、カルシウムと同時に骨の成分であるマグネシウムやリンも溶け出してしまう可能性が考えられます。そのため、カルシウムを摂取する際は、マグネシウムも一緒に摂取するようにしましょう。

カルシウムの働き④ マグネシウムと共に糖代謝に関与する

カルシウムは、マグネシウムと共に糖代謝に関わっています。カルシウムはインスリンの分泌(感度)と作用にに関係しており、不足するとインスリンの分泌や働きが低下します。このインスリンは血糖値を下げてくれるホルモンのことで、インスリンの分泌や働きが低下すると、血糖値が十分に下げられなくなって2型糖尿病を発症する原因になります。

カルシウムとマグネシウムは、インスリンの作用や感度に関わる。カルシウムとマグネシウムを摂取することで、インスリン抵抗性を改善する効果が期待出来る

インスリンはすい臓にあるβ細胞と呼ばれる細胞から分泌されていますが、この細胞内にカルシウムが入ることでインスリンが分泌されています。マグネシウムは、このβ細胞に出入りする過剰なカルシウムイオンの細胞内流入を防ぐ役割があるほか、インスリン受容体というインスリンが細胞に取り込まれる入り口の働きを活性化する働きや、エネルギー代謝に関わる補酵素としてインスリンの作用を増強させる働きがあります。そのため、カルシウムは、マグネシウムと共に糖代謝にも関与している栄養素です。

例えば、実際に糖尿患者の多くに高カルシウム尿症が見られており、カルシウムを十分量摂取すると2型糖尿病のリスクが軽減するという報告があります。

これは、糖尿病によって高血糖状態が続くと、「高浸透圧利尿」が引き起こされ、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが尿で排泄されてしまうためです。カルシウムが不足すると、更なる糖代謝の悪化に繋がって糖尿病が進行してしまいます。

カルシウム不足と糖尿病の関係。糖尿病では高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムが不足することから、この2つには深い関係がある

通常、カルシウムが不足している場合では、腎臓でのカルシウム再吸収が促進され、カルシウムが尿で排泄されにくくする仕組みが備わっています。しかし、糖尿病患者では、血糖値が高いために腎臓でのグルコース(ブドウ糖)再吸収が飽和し、グルコースが尿中に排泄されます。この際、尿の量が増えることで、尿中のカルシウム排泄が増加し、さらにこの状態では尿細管でのカルシウム再吸収が抑制されてしまうことから、カルシウム不足に陥りやすくなります。

また、1αヒドロキシラーゼは、腎臓でビタミンDを活性型ビタミンDに変換するために必要な酵素です。この酵素の働きには「マグネシウム」が必要で、マグネシウムが無ければビタミンD3を活性化させて利用することが出来ません。活性型のビタミンD3はカルシウムの吸収や血中カルシウム濃度の調節などを担っています。糖尿病では高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが尿で排泄されてしまうことから、1αヒドロキシラーゼの活性が低下し、それに合わせて活性型ビタミンDの変換量が低下して腸管カルシウム吸収量が低下します。このように、糖尿病とカルシウム不足には深い関係があります。

加えて、マグネシウムは脂質や糖質などから身体を動かしたり体温を維持したりする為に必要な「エネルギー代謝」に関わっている栄養素です。マグネシウムが不足すると糖や脂質の利用がうまく出来なくなって血糖値が上昇しやすくなります。このマグネシウム不足も糖尿病と深い関係があります。

マグネシウムは糖代謝に関わっており、糖尿病患者の多くに低マグネシウム血症が見られる

マグネシウムが不足すると、糖代謝を始めとしたエネルギー産生に悪影響を与えます。具体的には、エネルギーの元となる「ATP(アデノシン三リン酸)」にはマグネシウムが結合していて、エネルギー供給のための基質として機能しています。ATPとはミトコンドリアが糖質や脂質を元に作るエネルギーの電池のようなもので、私達の身体はこのATPを利用して身体を動かしたり体温を維持したりしています。

エネルギーの電池であるATPを作る仕組み。ATPが多いほどエネルギー量が多くなる。このATPを作るためには、マグネシウムなどが関わっている

このATPを作るためには、糖質や脂質、タンパク質の他に鉄やビタミンB群、マグネシウムなどが必要です。もしマグネシウムが不足していた場合は、ATPを作り出せる量が減ってしまい、身体はエネルギー不足に陥ります。

例えば、グルコース(ブドウ糖)をもとにグルコース6-リン酸を作り出す場合は、「ヘキソキナーゼ」という酵素が必要になり、この酵素にはマグネシウムが使われています。また、フルクトース6-リン酸からフルクトース1,6-二リン酸を作り出す場合にも、「ホスホフルクトキナーゼ」というマグネシウムが使われた酵素が必要です。マグネシウム不足の状態では、これらの代謝がうまくいかなくなってしまい、代謝が滞ってエネルギー不足に陥ってしまいます。

エネルギー不足になると、疲れやすくなったり、めまいや息切れがしたり、身体が冷えたりうつ症状が起こるなど様々な不調が引き起こされます。また、糖質や脂質をエネルギーとしてうまく利用出来なくなってしまうので、太りやすくなったり脂質異常症などを引き起こしやすくなります。

この悪循環によって、血糖コントロールがうまくいかなくなったり、血糖値が上がりすぎたりして糖尿病を発症しやすくなります。このように、マグネシウムは糖代謝と深い関係があります。

カルシウムとマグネシウムはインスリンの感度や作用、エネルギー代謝と関係が深く、カルシウムとマグネシウムの十分な摂取はインスリン抵抗性の改善に役立ちます。カルシウムは、マグネシウムとセットで働いていることから、カルシウムを摂取する際はマグネシウムと共に摂取することが大切です。

ナンナン

なるほど❗カルシムが不足すると糖尿病に繋がるのか❗

はる かおる

そうそう。カルシウムはインスリンの分泌や糖代謝に関わっているから、不足すると糖尿病になりやすくなるんだよ

カルシウムの働き⑤ マグネシウムと共に筋肉の弛緩と収縮に関与

カルシウムは、マグネシウムと共に筋肉の弛緩と収縮に関与しています。先ほどの血圧の調節や血管の収縮と弛緩と同じように、筋肉においてもカルシウムは筋肉の収縮に関わっており、反対にマグネシウムはその調節と弛緩の役割を担っています。

カルシウムとマグネシウムは、筋肉の弛緩と収縮にも関係している

そのため、カルシウムとマグネシウムは運動時のパフォーマンスや筋肉の機能向上に欠かせない栄養素です。カルシウムとマグネシウムをしっかり補って運動することで、運動時のパフォーマンスが向上したり質の良い筋肉が作られたりすることに繋がります。

逆に、カルシウムやマグネシウムが不足している場合では、筋肉の収縮と弛緩がうまく出来なくなり、こむら返りが起きたり不整脈に繋がったりすることがあります。特に体内に貯えられている量ではマグネシウムよりもカルシウムの方が圧倒的に骨に貯えられているため、発汗などでミネラルが失われるとマグネシウムが不足しやすくなります。

マグネシウムが不足することで、筋肉が収縮から回復できなくなり、運動時のパフォーマンスが低下したり足がつったり、不整脈や血圧の上昇など様々な不調に繋がります。マグネシウムはカルシウムよりも不足しやすいミネラルですので、運動時も含め日頃から十分な量を摂取しておくことが大切です。

カルシウム不足になりやすい人とその原因

カルシウムの働きでも解説した様に、カルシウムは血圧の調節や筋肉の収縮、自律神経の調節など様々な代謝に関わっています。そのため、不足すると様々な疾患を引き起こします。

例えば、カルシウム不足が引き起こす症状と影響としては次のようなものが挙げられます。

カルシウム不足が引き起こす症状と影響

骨関連の症状と影響

  • 骨粗鬆症: 骨密度が低下し、骨が脆くなり骨折しやすくなる。
  • 骨軟化症: 骨が柔らかくなり、変形しやすくなる。
  • 成長障害: 子供の骨の発育が遅れ、成長が遅れる。
  • 変形性関節症: 軟骨が硬くなり、痛みや機能障害が起こる

筋肉関連の症状と影響

  • 筋肉のけいれんや痙攣: 特に手足の筋肉に起こりやすい。
  • 筋肉の弱さ: 筋力の低下、疲れやすさ。
  • テタニー: 筋肉の不随意収縮やけいれんが起こる状態。

神経系の症状と影響

  • しびれや感覚異常: 手足や顔面にしびれやピリピリした感覚が生じる。
  • 神経過敏: 過剰な反射や不安感、興奮しやすさ。
  • 自律神経系の乱れ: 夜眠れない、気分が落ち込むなど

心血管系の症状と影響

  • 不整脈: 心拍数の異常、動悸。
  • 血圧の変動: 高血圧や低血圧のリスク増加。
  • 心機能の低下: 心臓の収縮力が低下し、循環不全が生じる可能性。
  • 動脈硬化: 血管壁にカルシウムが付着することによる虚血性疾患

糖代謝への影響

  • 糖尿病: インスリン抵抗性の増加

5. その他の症状と影響

  • 歯の問題: 歯のエナメル質の弱化、虫歯や歯周病のリスク増加。
  • 認知機能の問題: カルシウムパラドックスによるカルシウム過剰によって脳細胞の働きが悪くなり、死滅する
  • 尿路結石: カルシウム不足の状態では尿路結石になりやすくなる
カルシウムが不足すると、高血圧や骨粗しょう症など様々な疾患を引き起こす

このようにカルシウム不足は様々な不調や疾患と関係していますが、実際には男女ともに殆どの年代でカルシウムの摂取量は推奨量を下回っているというデータがあります。

例えば、男性の30代〜70代にかけては推奨量が一日あたり750mgなのに対し、およそ450mg〜600mgしか摂取出来ていません。女性の場合では、10代〜70代にかけて推奨量が一日あたり650mgなのに対し、およそ400mg〜550mg程度の摂取量となっています。

日本人のカルシウム摂取状況。男女ともに殆どの年代で接種推奨量を下回っている

この理由としては、推奨量を満たすには食事からの摂取だけでは難しいと言われているためです。カルシウムは、牛乳などの乳製品や、小魚など魚の骨に多く含まれていますが、これらは意識的に多く摂る必要があるほか、カルシウムは加工食品などに含まれるリン酸や胃酸分泌抑制剤などの服薬、高脂肪の食事によっても吸収が阻害されてしまいます。

カルシウムの吸収を阻害してしまうもの

  • H2ブロッカー、ステロイドなどの服薬
  • 高リン酸の食事
  • 高食物繊維の食事
  • 高脂肪な食事
  • ストレス

また、人によってもカルシウムの消耗度合いは異なり、ストレスを抱えている方や閉経後の女性、成長期のお子さんや高齢者の方、糖尿病など疾病を抱えている方は特にカルシウムが不足しやすくなっていることも理由です。

カルシウム不足になりやすい人とその原因

  • 高齢者
    加齢に伴う消化吸収能力の低下、食事量の減少、骨の再吸収率の増加。
  • 閉経後の女性
    エストロゲンの減少による骨密度の低下、カルシウム吸収率の低下。
  • 妊娠中・授乳中の女性
    胎児や乳児へのカルシウム供給のため、母体のカルシウム需要が増加。
  • 成長期のお子さん
    成長期で骨を伸ばすために成人よりも多くのカルシウムが必要となる。子供の頃に十分なカルシウムが摂取出来ないと骨形成が不十分となる「くる病」のリスクが高くなる。
  • カルシウム摂取不足の食事特定の食事制限をしている人(菜食主義、乳糖不耐症の方)
    牛乳や乳製品、カルシウム強化食品などを十分に摂取していない。動物性食品を避けることや、乳製品を避けることによるカルシウム摂取不足。
  • 加工食品の摂取量が多い人
    加工食品に含まれる「リン酸」の摂取量が多いと、カルシウムの吸収が阻害される
  • 消化器系疾患を持つ人
    吸収障害(例:クローン病、セリアック病)、胃腸の手術歴などによりカルシウム吸収が阻害される。
  • 糖尿病、腎疾患を持つ人
    高浸透圧尿、腎臓の機能低下によりカルシウムの排泄が増加、ビタミンDの活性化が不十分。
  • 特定の薬剤を服用している人
    利尿薬、ステロイド、抗てんかん薬などの長期使用によるカルシウムの排泄増加や吸収阻害。
  • ビタミンD不足の人
    ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるため、不足するとカルシウムの吸収が低下する。
  • 運動不足の人
    運動は骨の健康を維持するために重要で、運動不足は骨密度の低下を招く。
  • ストレスの多い生活を送っている人
    ストレスホルモン(コルチゾールなど)がカルシウムの代謝に悪影響を与え、カルシウムの尿中排泄量を増加させる可能性がある。

特に、ストレスがかかると交感神経が優位になって腸の動きが低下し、カルシウムの吸収率が減少します。また、ストレスに対処するために副腎から分泌される「コルチゾール」「ノルアドレナリン」は、カルシウムの信号によって分泌されており、これらホルモンが過剰に分泌されるとカルシウムの尿中排泄を促進することが分かっています。

加えて、ストレスがかかるとカルシウム以外にマグネシウムも尿から排泄される量が増加することも分かっています。このように、ストレスはマグネシウムやカルシウムを大きく消耗する原因です。

もしこれらに当てはまる方は、カルシウム・マグネシウム不足に陥っている可能性があります。カルシウムが不足すると、カルシウムの血中濃度を保つために骨からカルシウムを取りだして利用されますが、この時に最も危惧されるのが、「カルシウムパラドックス」という現象です。このカルシウムパラドックスが認知症を始めとした恐ろしい病気の原因となりますので、これら病気を予防するためにも日頃からの十分なカルシウムを摂取することが大切です。

ナンナン

うぅ、カルシウム不足になりやすい原因に多く当てはまってるかも・・・💦

はる かおる

カルシウムは、糖尿病やストレスでも消耗するね。後は、加工食品の摂取量が多い人も不足しやすくなるよ。これらに当てはまる人は注意が必要だね。

カルシウム不足になると引き起こされるカルシウムパラドックスとは?

カルシウムが不足すると引き起こされるものに、「カルシウムパラドックス」があります。カルシウムパラドックスとは、カルシウムが不足しているのに、血中や細胞内ではカルシウムが過剰になってしまうという矛盾した状態になってしまうことです。

なぜこのようなことが起こるかというと、カルシウムの摂取量が慢性的に不足していると、体内では血中カルシウム濃度を保つために副甲状腺ホルモンが骨を溶かしてカルシウムを血液中に供給します。この時、実際に必要な量よりも過剰な量が溶けてしまうことで、逆にカルシウムの血中濃度が過剰になってしまうためです。

カルシウムの摂取量が慢性的に不足していると、骨からカルシウムを溶かして利用される。この時、血中や細胞内でカルシウムが過剰になり、カルシウムが不足しているのにカルシウムが過剰になる「カルシウムパラドックス」が引き起こされる。

血液中のカルシウム濃度が上昇しすぎると、細胞内のカルシウム濃度が上昇してカルシウム濃度のバランスが崩れたり、血管壁などに余分なカルシウムが沈着したりして動脈硬化などの原因になります。

他にも、脳細胞に過剰なカルシウムが流入することで脳細胞の働きが悪くなったり、死滅したりして認知症を発症する原因にもなります。また、カルシウムが過剰になる事で血圧が正常に制御できなくなり、高血圧を発症したり、糖尿病になりやすくなったり、腎結石になりやすくなったり、肌の老化が進んだりと様々な疾患を引き起こす原因になります。

カルシウムパラドックスが引き起こされると、過剰なカルシウムが細胞内に流入したり血管壁に沈着するなどして認知症や動脈硬化など様々な疾病を引き起こす原因になる

特に、カルシウムパラドックスが原因と言われている物に「ヘパーデン結節」と「ブシャール結節」があります。ヘパーデン結節は指の第1関節の部分がこぶのように腫れて変形し、針を刺したような痛みを伴い、女性に起こることが多い疾患です。また、第二関節の部分に起こるのをブシャール結節と言います。

女性に多いヘパーデン結節は、カルシウムパラドックスが原因の1つと言われている

これらは指の使いすぎでなりやすい傾向がありますが、それ以外にもカルシウム不足によって引き起こされるカルシウムパラドックスが原因であると言われています。これは、骨から溶け出したカルシウムが指関節に徐々に沈着・石灰化し、関節の変形が起こり神経を刺激してしまうことが原因と言われているためです。

このように、カルシウムが不足すると脳や血管、関節を始めとした様々な疾患のリスクが高まります。カルシウムが不足しているかどうかは、検査でおおよそ分かりますので、次のカルシウム不足チェックとカルシウム不足を調べる検査項目を参考に、カルシウムが不足していないかどうかをチェックしてみて下さい。

ナンナン

うーん、カルシウムが不足するとむしろカルシウムが過剰になる❓❓
何だかよく分からない現象が起こるんだね💦

はる かおる

そうだね。体内ではカルシウムの濃度を一定に保とうとする働きがあるから、カルシウムが足りなくなると骨から溶かし出して利用するよ。この時、余分にカルシウムが溶けてしまうことでカルシウム不足なのにカルシウムが過剰になってしまう「カルシウムパラドックス」が発生してしまうんだ。

カルシウム不足チェックとカルシウム不足を調べる検査項目

カルシウム不足をチェックする方法としては、骨粗しょう症の骨の状態を知る検査や、体内の栄養状態を知る血液検査があります。これら検査に加えて、カルシウムが不足すると起こる自覚症状の有無にどれだけ当てはまっているかも参考になります。

まずは、次のカルシウム不足チェックリストの中から当てはまる項目をチェックし、カルシウム不足のリスクがどれだけ高いかをチェックしてみて下さい。多く当てはまるほど、カルシウム不足のリスクが考えられます。

カルシウム不足チェックリスト

骨と筋肉の症状

1. 骨の痛みや弱さ

  • 骨折しやすい、または骨が弱いと感じる。

2. 筋肉のけいれんや痙攣

  • 特に夜間や安静時、運動時にけいれんが頻繁に起こる。
  • 瞼がピクピクと痙攣する

3. 関節痛や筋肉のこわばり

  • 筋肉が硬直しやすく、動かしにくい。

神経系の症状

4. 手足のしびれやピリピリ感

  • 特に指先や足先に感じる異常感覚。

5. 神経過敏や不安感

  • イライラしやすい、過度な不安を感じる。

心血管系の症状

6. 不整脈や動悸

  • 心拍数の異常、胸のドキドキ感がある

7. 血圧の変動

  • 高血圧または低血圧の症状がある

皮膚と爪の症状

8. 乾燥肌や皮膚のトラブル

  • 皮膚がカサカサしやすく、かゆみや湿疹が出やすい。

9. 爪の脆弱化

  • 爪が割れやすく、薄くて脆くなる。

口腔内の症状

10. 歯の問題

  • 歯がもろく、虫歯や歯周病になりやすい。

その他の症状

11. 慢性的な疲労感

  • いつも疲れている感じがする。

12. 記憶力や集中力の低下

  • 注意力散漫、記憶力の低下を感じる。

13. ホルモンバランスの乱れ:

  • 月経不順がある
  • PMSの症状が重い

14. 不眠や頭痛

  • 睡眠障害(不眠症)に悩まされている
  • 頭痛や偏頭痛が頻繁に起こる

生活習慣に関する質問

1. 食生活:

  • 加工食品や精製食品を多く摂取している
  • 乳製品、小魚などをあまり食べない

2. 飲酒:

  • アルコールを頻繁に飲む(胃粘膜へのダメージ)

3. ストレス:

  • 慢性的なストレスを感じている

5. 薬の服用:

  • 利尿薬、制酸剤、ステロイドなどを長期間服用している

6. 健康状態:

  • 糖尿病や慢性腎臓病、心血管疾患などの慢性疾患がある
  • 消化器系の疾患(クローン病、セリアック病、IBSなど)を持っている
カルシウムが不足すると、血管の収縮に問題が起きて血管が痙攣を起こし、頭痛の原因になる事がある。

特に、先ほど挙げた「カルシウム不足になりやすい人」に当てはまる方は、カルシウム不足のリスクが高いので注意が必要です。カルシウム不足チェックに多く当てはまった方や、カルシウム不足になりやすい人に当てはまる方は、次の検査も受けてカルシウム不足の状態やリスクを知り、適切な対応を取るようにしましょう。

カルシウムの需要と不足を知る検査項目

カルシウム不足かどうかをチェックする検査としては、主に骨粗しょう症など骨の状態をチェックする検査と、血液検査があります。血液検査では体内のカルシウムの不足状態と需要を知ることができ、骨粗しょう症の検査では骨の健康状態とカルシウムの需要を知ることが可能です。

例えば、次の血液検査項目などでカルシウムの不足状態や需要を知ることが出来ます。

スクロールできます
検査項目意味カルシウム不足では
血圧循環血液の血管壁に対する圧力上昇しやすい
BS
血糖値
血液内のグルコース濃度上昇しやすい
HBA1c
ヘモグロビンエーワンシー
ヘモグロビンに対する
糖化ヘモグロビンの割合
上昇しやすい
1,5AG
1,5-アンヒドログルシトール
短期的な血糖変動を反映する
尿糖が出ると値が低くなり、
尿糖が出ないと値が高くなる
 糖尿病では
低下することが多い
CPR
Cペプチド
インスリンと一緒に血中に分泌
されるペプチド。
上昇はインスリン抵抗性
インスリン抵抗性が
ある場合は上昇する
FFA
遊離脂肪酸
脂肪組織が分解されて血液中に
溶け出した脂肪の濃度
インスリン抵抗性では
上昇する
ALP
アルカリホスファターゼ
亜鉛を材料に肝臓や骨などで
作られる酵素。活性化に
マグネシウムが必要
成長期及び骨粗しょう症では上昇
N
好中球
細菌感染防御に関わる細胞
運動やストレスでは上昇する
ストレスが持続している
場合や運動で上昇
Eo
好酸球
体内に侵入した異物と闘う細胞
アレルギーやストレスで低下する
ストレスが持続している
場合に低下
K
カリウム
血液中のカリウム濃度体全体のミネラル量の指標
高浸透圧尿などで低下しやすい
カルシウムの需要と不足を調べる検査項目

カルシウムは、「カルシウムの働き」でも解説した様に、血圧の調節や血糖値のコントロール、骨の形成に関わっている栄養素です。そのため、血液検査項目ではこれら糖代謝や骨代謝などの検査項目がカルシウム不足と需要のマーカーとして参考になります。

また、カルシウムはストレスでも消耗しやすいことから、ストレスが持続している場合に数値が変動する好酸球や好中球などもカルシウムの需要を知る上で有効です。

特に、カルシウムの不足と需要を知る上で最も参考となるのが、「ALP:アルカリホスファターゼ」です。ALPはリン酸化合物を分解する酵素のことで、肝臓や骨、小腸や腎臓などの臓器や器官に存在しています。この酵素は骨芽細胞の細胞膜に存在し、骨代謝に大きく関わっていることから、骨形成状態や骨粗しょう症など骨がどれだけ壊されているかのマーカーとして知られています。

また、ALPは肝臓で作られる「胆汁」と共に排泄されていることから、肝臓や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血中に溢れて値が上昇します。そのため、肝臓や胆のうの異常や病気を知るためのマーカーでもあります。

アルカリホスファターゼはマグネシウムによって活性化されて利用されていることから、値が低い場合はマグネシウム不足の可能性がある

このALPは亜鉛を元に作られる酵素で、作られた酵素はマグネシウムによって活性化されて利用されています。ALPは骨折や骨粗しょう症、成長期など骨が壊されているときに上昇することから、胆石など肝臓や胆のうの病気が否定されている場合には骨の異常やカルシウム・マグネシウムの需要が増加していることが考えられます。

そのため、このALPが高い場合は、いずれにしてもカルシウムとマグネシウムの不足や需要増加を疑いましょう。

ちなみに、血液検査には血中の「Ca : カルシウム」「 Mg : マグネシウム 」を検査する検査項目がありますが、これらの検査項目ではカルシウム・マグネシウムの不足や需要を知ることは出来ません。カルシウムやマグネシウムは基本的にすべての体内の反応に必要なので、血中カルシウム濃度や血中マグネシウム濃度は常に一定に保つことが出来るように厳密に制御されています。

カルシウムやマグネシウムは、血中濃度を一定に保つことが出来るように厳密に制御されている

そのため、基本的に血液検査項目にあるCaやMgの値は、カルシウムやマグネシウムが不足しても大きく変動しないことが一般的です。逆にこれら値が低下したり異常値であった場合は、腎機能に問題がある可能性を疑います。カルシウムやマグネシウムは腎臓で再吸収されたり尿中排泄されたりして血中濃度を調節していますので、血中濃度に問題があった場合は腎臓の病気が疑われます。

このような仕組みがある事から、血液検査項目にあるCaやMgの値でカルシウムやマグネシウムの不足や需要を知ることは出来ません。カルシウムやマグネシウムの大半は骨に存在していることから、マグネシウムやカルシウムの不足や需要を知るためには骨の健康状態を調べる方が重要です。

特に閉経後の女性や糖尿病を抱えている方は、骨粗しょう症のリスクが高まりますので、骨の健康状態もチェックしておいて下さい。骨の健康状態をチェックする検査としては次のような検査があげられます。

骨の健康をチェックするための検査項目例
スクロールできます
検査項目意味数値の目安
OC
オステオカルシン
骨芽細胞の活性状態を示す。
骨形成マーカー
3〜13 ng/mL
ucOC
未成熟オステオカルシン
骨質の健全性を示す
高値は骨折リスク上昇
4.5 ng/mL未満
TRACP-5b破骨細胞の活性化状態を示す
骨吸収マーカー
男性 590
女性420
mU/dL以下
U-Ca
尿カルシウム
尿中へのカルシウム排泄量を示す
高値は骨吸収促進の可能性
10mg/dL以下
25-OHビタミンD
血中ビタミンD濃度
骨吸収・骨形成バランスに関係
低値は骨粗しょう症リスク上昇
80〜100ng/mL
骨の状態をチェックできる血液検査項目

これらは血液検査で知ることができ、主に骨がどれだけ壊されているかや骨がどれだけ作られているかを知るマーカーとして役立ちます。また、カルシウムとマグネシウムの摂取量と、血中ビタミンD濃度をあわせて見る事で、骨粗しょう症リスクや骨吸収、骨形成バランスを知る指標にもなります。これら検査を行い、骨代謝の状態を調べて見て下さい。

ただし、血液検査では骨代謝の状態は調べることが出来ますが、実際の骨量や骨密度を調べることは出来ません。実際の骨量や骨密度を知るためには、血液検査以外に骨量・骨密度測定を行う事が必要です。

骨量や骨密度測定にはいくつかの種類があるが、その中でも正確に測定できるDXA法がオススメ

骨量・骨密度を測定する検査としては、超音波検査やDXA法(デュアルエネルギーX線吸収測定法)、MD法(マイクロデンス測定法)などがあります。それぞれ特徴やメリット・デメリットがありますが、オーソモレキュラー療法ではDXA法による測定をオススメしています。

まず、超音波検査については、かかとやすねの骨に超音波を当てて骨密度を測定する方法です。こちらはX線を使用していないため、妊娠中の方でも安全に測定することが可能です。しかし、他の方法に比べて精度が低いため、体全体の骨密度を評価したり骨粗しょう症の診断をしたりするには適していません。

超音波法

  • 超音波を用いて骨密度を評価する方法。
  • 超音波を用いるため、放射線を使用せず安全。妊娠中の方にも使用可。
  • 検査は数分で完了し、即時に結果が得られる。
  • 他の骨密度測定方法に比べて低コスト。
  • 検査装置が比較的小型で、診療所や家庭でも使用可能。
  • 但し、骨密度を直接測定しているわけでは無いため、他の方法に比べて精度が低い。

体全体の骨密度の評価や、骨粗しょう症の診断をするのには適していない。

もう一つのMD法では、厚さの異なるアルミニウム板に両手を置き、X線でアルミニウム板と同時に撮影することで、骨密度を測定する方法です。得られたX線写真から骨とアルミニウムの濃度を比べることで骨密度を解析します。

こちらの方法は、DXA法に比べて検査時間が短く、安価で簡便に出来るという特徴があります。しかし、測定する部位が手の骨のみのため、全身の骨密度は測定することが出来ません。また、精度はDXA法に比べて劣ります。

MD法(マイクロデンス測定法)

  • X線でアルミニウム板と手の骨を同時に撮影し、骨密度を測定する方法
  • X線を用いるため、被爆リスクがある
  • 検査時間が短く、即時に結果が得られる。
  • DXA法に比べて安価。
  • 検査装置が比較的小型。
  • 但し、骨密度を直接測定しているわけでは無いため、DXA法に比べて精度が低い。

体全体の骨密度の評価や、骨粗しょう症の早期発見には適していない。

対してDXA法では、2種類のX線を用いて、腰椎や大腿骨などの骨密度を測定する方法です。こちらは複数の骨部位の密度を一度に測定できることに加え、X線を使用しますが放射線量は非常に小さく被曝量は微量なことがメリットです。

測定精度も最も高く、全身の骨密度評価も可能なことから早期の骨粗鬆症の発見や診断に適しています。ただ、DXA法は他の検査に比べて検査時間が長く、設備も大型なため専門の医療施設でのみ検査可能というデメリットがあります。また、検査費用も比較的高く、妊娠中の方や授乳中の方は検査することが出来ません。

DXA法(デュアルエネルギーX線吸収測定法)

  • 2種類のX線を用いて、腰椎や大腿骨などの骨密度を測定する方法
  • X線を用いるため被爆リスクがあるが、被曝量は微量
  • 検査時間が比較的長く、検査に時間がかかる
  • 他の検査法に比べてコストが高い。
  • 検査装置が大型なため、専門の医療機関でのみ測定可。
  • 全身の骨密度や複数の骨密度が測定可能
  • 背骨や大腿骨など需要部分の骨密度が最も正確に測定できる

全身の骨密度が測定できることに加え、精度が高いため、骨粗しょう症の早期発見や診断に適している

このような違いから、骨量や骨密度を測定する場合はDXA法がオススメです。骨粗しょう症と診断された場合や、リスクが高いと診断された場合は、次に解説する分子栄養学的アプローチを参考にケアを行ってみて下さい。

ナンナン

そういえば、糖尿病だと骨粗しょう症になりやすくなるって聞いたことがあるかも💧

はる かおる

そうだね、糖尿病は高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムの排泄量が増加するから、骨粗しょう症にもなりやすくなるよ。
カルシウムやマグネシウムが不足しているかどうかは、骨密度や骨量を測定して判断した方が良いね。

カルシウム不足に対する分子栄養学的アプローチ

カルシウム不足やカルシウムの需要が高い時に対する分子栄養学的アプローチのご紹介です。ここでは、カルシウム摂取に対する基本的な考え方やアプローチの仕方と、骨粗しょう症に対する基本的な分子栄養学的アプローチをご紹介します。

まず、カルシウム不足の場合やカルシウムの需要が高いときには、カルシウムとマグネシウムをセットで摂ることが分子栄養学の基本になります。「カルシウムが不足しているならカルシウムだけを補給すれば良いのでは?」と思うかも知れませんが、カルシウムだけを摂取してもあまり意味はありません。カルシウムはマグネシウムとセットで働きますので、カルシウムを補給する場合はマグネシウムも同時に摂取するようにしましょう。

カルシウムとマグネシウムを摂取する際は、カルシウムとマグネシウムの摂取バランスが重要になります。最適な比率は人にもよりますが、食事からのカルシウム・マグネシウムの摂取量不足やストレスによる排泄量の増加などを加味すると、カルシウム:マグネシウムを1:1のバランスで摂取することが理想です。

カルシウムとマグネシウムの摂取バランス。ストレスの増加や食事からの摂取量不足などがある事から、カルシウムとマグネシウムは1:1で摂取することが望ましい
カルシウムとマグネシウムの摂取量は、一日あたりそれぞれ600mg〜を目標に摂取する

具体的な摂取目安としては、カルシウム600mg〜、マグネシウム600mg〜が一日あたりの推奨量になります。2回〜3回に分けて摂取しましょう。

ただ、人によってはカルシウム:マグネシウムを1:1のバランスで摂取するとマグネシウムによってお腹が緩くなってしまう場合があります。また、成長期のお子さん、妊産婦の方、骨粗しょう症の方など、カルシウムの需要が高い方もいます。そのような場合は、カルシウム:マグネシウムの摂取は2:1で摂取するのもオススメです。

1:1での摂取比率を推奨する方2:1での摂取比率を推奨する方
マグネシウムの摂取量が不足している方
ストレスが多い方
糖尿病の方
脂質異常症の方
スポーツをしている方
成長期のお子さん
妊産婦の方
骨粗しょう症の方
1:1の摂取比率ではお腹が緩くなってしまう方
カルシウム:マグネシウムのオススメ摂取比率

特に、骨粗しょう症と診断された場合にはカルシウム製剤を出されることが一般的ですが、カルシウムのみを補給してもマグネシウムが無ければ骨を作る事は出来ません。カルシウムとマグネシウムはセットで働いて骨を作っているので、カルシウムとマグネシウムはセットで摂取することが大切です。

骨の代謝にはカルシウム以外にもマグネシウムやビタミンDなど、様々な栄養素が関係している。

また、カルシウムとマグネシウムは吸収しにくいミネラルのため、カルシウムとマグネシウムをきちんと吸収するためにもビタミンDを同時に摂取するようにしましょう。ビタミンDは骨を強くするなどカルシウムとマグネシウムを利用するために必要な栄養素です。

カルシウムはマグネシウムとビタミンDによって調節され、一定の機能が保たれるようになっています。そして、このビタミンDは腎臓で活性化されて利用されていますが、この活性化に必要な酵素にはマグネシウムが必要になります。そのため、マグネシウムを利用するためには十分な量のビタミンDの摂取が必要です。

カルシウム、マグネシウムとビタミンD、ビタミンBとの関係。マグネシウムを利用するためにはビタミンDも必要

例えば、ビタミンDは日光を浴びて紫外線に当たった皮膚で作られるほか、食事からも摂取することが出来ます。ビタミンDにはいくつか種類があり、キノコ類に多く含まれるものが植物性の「ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)」で、魚や卵、乳類に含まれる動物性のものが「ビタミンD3(コレカルシフェロール)」です。ビタミンD2とビタミンD3は構造の一部が異なる同族体で、どちらも体内での生理活性作用は同じとされています。

この2つのうち、人体で大半を占めているのは「ビタミンD3」の方です。これは、皮膚に日光が当たることによってビタミンD3が作られるためです。皮膚に日光が当たって作られたビタミンDは「プロビタミンD3」と言って、コレステロールを材料に作られています。

ビタミンDは体内で活性化されて初めて作用する。ビタミンDは、タンパク質によって肝臓に運ばれ、腎臓で活性型に変わる

これらビタミンD2やビタミンD3は、血液中で運ぶためにタンパク質で出来たトラックと結合し、肝臓まで運ばれます。そこで、25-OHビタミンD3に変換され、更に必要に応じて腎臓で活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3)に変えられて利用されています。

この肝臓や腎臓でビタミンD3を利用出来る形に変換するためには、酵素の働きが必要になります。この酵素の働きに必要なものがマグネシウムです。もし、マグネシウムの摂取量が不足していた場合は、ビタミンDが活性化できずに、不活性のまま体内に留まることが分かっています。

マグネシウムの摂取量が不足すると、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっている

このビタミンDが不活性のまま活性化できずにいると、カルシウムやマグネシウムが利用出来なくなり、カルシウムやマグネシウムが不足したり骨粗しょう症のリスクが高まります。そのため、カルシウムとマグネシウムを摂取する場合は、必ずビタミンDも摂取するようにしましょう。

ビタミンDの摂取目安としては、ビタミンDの血中濃度が40ng/mL以下の方には1日あたり8,000IU以上、40ng/ml以上の方は4,000IU以上を目安に摂取することをオススメしています。

ビタミンDの摂取目安。血中ビタミンD濃度によって、4,000IU〜8,000IU〜摂取する

また、理想的な血中ビタミンD濃度としては、男女ともに80〜100ng/mLが推奨値となっています。この数値を目安に、ビタミンDの摂取量を調節してみて下さい。

血中ビタミンD濃度は、80〜100んg/mLを目標、維持する

この他、骨粗しょう症の方で「ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)」が高い方は、「ビタミンK」の摂取も重要です。ucOCとは未成熟のオステオカルシンのことで、オステオカルシンとは骨芽細胞が産生する骨の形成に重要な役割を果たすタンパク質のことです。未成熟のオステオカルシンであるucOCが高い場合は、骨の石灰化が進んでいないため、骨密度が高くても転倒などにより簡単に骨折してしまうリスクが高まります。

通常はオステオカルシンの働きによって骨形成が行われていますが、ビタミンKが不足するとオステオカルシンの低カルボキシル化(未成熟化)が進んで未成熟のオステオカルシン(ucOC)が作られます。このucOCは骨に蓄積せず血中に分泌されるため、血清のucOC濃度が高い場合はビタミンK不足の状態と判断することが出来ます。

骨は、骨密度や骨量を図る意外にも、骨強度を測るucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)を測定することも重要

このことから、ucOCの値が高かった方はビタミンKも同時に摂取するようにしましょう。ビタミンKの種類や働きなど詳しい事についてはここでは深く解説しませんが、一日あたりの摂取目安としては150㎍〜が推奨です。

ucOC(低カルボキシル化オステオカルシン)が高値の場合はビタミンK不足が考えられる。ビタミンKは、一日あたり150μg〜が摂取目安

併せて、骨を作るために必要なその他の栄養素も摂取するようにしましょう。骨の構造でも解説した通り、骨は鉄筋コンクリートのような構造になっていて、コラーゲン繊維が鉄筋の役割をし、そのコラーゲンを覆う「ハイドロキシアパタイト」という骨の成分がコンクリートの役割をしています。

このハイドロキシアパタイトを作るためには、カルシウムやマグネシウムの他にも、ケイ素やビタミンK、ビタミンDも必要です。また、鉄筋となるコラーゲン繊維を作るためには材料となるタンパク質やビタミンC、ヘム鉄や亜鉛、ビタミンB群も必要になります。

骨は鉄筋コンクリートに似た構造をしており、タンパク質やビタミンBなど、カルシウムマグネシウム以外にも様々な栄養素が必要

また、繰り返しになりますがマグネシウムを利用するためにはビタミンDが必要で、このビタミンDを運んだり活性化して利用するためにはマグネシウムの他にタンパク質やビタミンB群も必要になります。このことから、単にマグネシウムやカルシウム、ビタミンDだけを摂れば良いというわけでは無く、タンパク質やビタミンB群などその他の栄養素も組み合わせて摂取するようにして下さい。これら分子栄養学的アプローチをまとめると次のようになります。

カルシウム不足や需要が高い時に対する分子栄養学的アプローチ(1日あたり)

  • カルシウム 600mg〜
  • マグネシウム 300mg〜600mg
  • ケイ素
  • ビタミンK 150㎍ (必要に応じて摂取)
  • ビタミンD 4,000IU〜8,000IU
  • タンパク質
  • ビタミンC
  • ヘム鉄
  • 亜鉛
  • ビタミンB群

これら栄養素の摂取に加えて、食事の見直しや生活習慣の見直しなども同時に行いましょう。特に骨は十分な刺激が与えられないと弱くなるため、運動する習慣を身につけることが大切です。運動には精神的なストレスを軽減したり自律神経を整える効果もあり、ストレス対策にもなります。

この他、喫煙や過度な飲酒も骨密度の低下やカルシウム、マグネシウム不足に繋がりますので控えるようにしましょう。タバコは性ホルモンであるエストロゲンの作用を抑制するため、骨を壊す破骨細胞の働きが活発になるリスクがあります。また、アルコールの多飲も骨を作る骨芽細胞の働きが抑えられ、骨の形成が不十分になります。

更に、骨を作るためには骨に刺激を与えることも必要。運動や生活習慣の見直し等も必要に応じて行う

エストロゲンは性ホルモンの一種で、女性らしさを維持し、骨量を維持したりコレステロール値などを整えて動脈硬化を予防したりと様々な働きがあるホルモンです。女性の場合は閉経後にエストロゲンの分泌が急激に減少するため、エストロゲンの保護作用が無くなって骨粗しょう症や糖尿病になりやすくなります。

将来にわたって健康な骨を維持するためにも、無理なダイエットや偏食、喫煙や過度な飲酒は避け、バランスの良い食事と運動する習慣を取り入れるようにしましょう。

ナンナン

なるほど、骨粗しょう症だからと言って、カルシウムだけを補給すれば良いってもんじゃ無いんだね

はる かおる

そうそう、骨を作るためには、カルシウムやマグネシウム以外にもタンパク質やビタミンBなど様々な栄養が必要だよ。カルシウムが不足しているからと言って、カルシウムだけ足そうとするのは間違いだから気をつけてね

カルシウム不足の原因は人それぞれ。栄養状態の改善には必ずオーソモレキュラー療法を受けましょう

カルシウムの不足は摂取不足以外にも様々な原因が関係しており、糖尿病や消化器系疾患、ストレスなど様々な原因が関係しています。また、この他にも骨粗しょう症など様々な疾病や栄養不足が関係していて、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多くあります。

そのため、単にカルシウムやマグネシウム、ビタミンDを補給するのでは無く、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査項目に加え、消化吸収能の状態やピロリ菌感染の有無、甲状腺の検査、副腎疲労や短鎖脂肪酸検査、リーキーガット症候群検査などを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。

複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの栄養不足の根本原因がどこから来ているのかが分かります。また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。
カルシウムには様々な働きがありますが、あくまで「栄養素」であり、体内で利用されなければ意味がありません。カルシウムを利用するためには、タンパク質やビタミンB群など様々な栄養が必要です。このタンパク質の消化能力や栄養の需要は人それぞれ異なりますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記リンクか記事最後尾のプロフィールに記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みページ」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

質の悪いサプリでのアプローチはむしろ低血糖を悪化させる!

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。

この際、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して行っていきたい」と思うかも知れません。しかし、市販されているサプリメントやアイハーブなどで販売されているサプリメントで栄養アプローチをするのは非常に危険です。

特に海外で販売されているサプリメントやプロテインについては、日本人向けには設計されていません。加えて、主な目的が「スポーツ用」として開発された物ばかりで、病態を抱えた方や治療を目的とした利用には不向きです。

また、人工甘味料を始めとした添加物も多い上、栄養素が酸化して効力を失っている物や、自然界に存在しない化学構造に加工された物、摂取しても胃や腸で全く溶けない粗悪品も多くあります。

これらを大量に摂取することでむしろ身体や肝臓にダメージを与えてしまい、貧血がさらに酷くなる可能性も高いです。ですので、栄養アプローチを行うときは市販サプリや海外サプリで代用せず、オーソモレキュラー療法専用のサプリメントでアプローチするようにしましょう。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある
はる かおる

サプリメントはどれも同じじゃ無いよ❗質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、オーソモレキュラー療法専用に作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね❗

分子栄養学実践用に設計されたケンビックスシリーズ

カルシウムとは? カルシウムの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説まとめ

以上が、カルシウムの働きと代謝の基本、カルシウム不足に対する分子栄養学的アプローチについてでした。

カルシウムには炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなど様々な種類があり、それぞれ吸収率やカルシウム含有量、生体内利用効率などに違いがあります。分子栄養学では、このようなカルシウムの働きや代謝をよく理解することが大切です。

また、カルシウムはマグネシウムとセットで働くので、カルシウムとマグネシウムはセットで摂取することが基本です。加えて、ビタミンDもカルシウムを利用するために必要な栄養素なのでセットで摂取するようにしましょう。

分子栄養学やオーソモレキュラー療法というと単にサプリメントを飲むだけの療法だと思われがちですが、この記事で解説した以外にもまだまだ奥が深く、一生かけても学びきれないほど奥が深い学問です。もし、オーソモレキュラー療法に興味ある方は、是非分子栄養学を学んでみて下さい。

分子栄養学を学べる教材としては、ケンビックスが行っている「KYBクラブ」「金子塾」があります。これらは分子栄養学の基礎を学べるほか、病態別のアプローチなど分子栄養学を応用したアプローチについても学ぶことが出来ます。

KYBクラブについては、オーソモレキュラー療法・無料栄養相談申し込みページ で入会方法などをご案内しておりますので、ご興味ある方は是非こちらもご覧下さい。

参考情報

  1. 小腸・胎盤におけるカルシウム吸収調節 ↩︎
  2. リンゴ酸クエン酸カルシウム ↩︎
  3. 特定保健用食品の表示許可について ↩︎
  4. 炭酸カルシウム原料と製造法 ↩︎
  5. eJIM カルシウム ↩︎

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