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ビタミンDとは? ビタミンDの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説

「風邪を引きやすい」「夜眠れない」「アトピーやアレルギーがある」「うつっぽい」「血糖値が高い」などの症状は、もしかしたらビタミンD不足が原因かもしれません。ビタミンDは骨を強くする栄養素と言われていますが、それ以外にも免疫力の調節や血糖値のコントロール、冬期うつなどメンタルの健康にも関係しています。

ビタミンDが不足すると、骨粗しょう症を始めとした骨の異常を引き起こす以外にも、冬期うつやPMSなど精神の不調、糖尿病や睡眠障害、アトピーやアレルギーなど様々な不調へと繋がってしまう原因です。

今回は、このビタミンDの基本についてと、ビタミンDがどのように吸収・代謝されているのか、アトピーやアレルギー、ガンなどを含めたビタミンD不足に対する分子栄養学的アプローチを解説します。

目次

ビタミンDとは

ナンナン

へっ・・・へっくしっ❗❗
へっくしっ❗❗❗

はる かおる

ど、どうしたの❓❓

ナンナン

ううぅ・・なんか、風邪引いたみたいなんだよね💧

はる かおる

あらら、また風邪引いたの❓
最近のナンナンはなんだか風邪引きやすいねー

ナンナン

そうなんだ💧
治ったと思ってもまたすぐ風邪引くんだよね💧

はる かおる

うーん……、もしかして免疫力がかなり落ちちゃってるのかもね。
ちゃんとビタミンD摂ってる❓❓

ナンナン

び、ビタミンD❓❓
ビタミンDって、骨を強くするとか言われているビタミンだよね。
それが風邪とどう関係してるの❓❓

はる かおる

ビタミンDは、骨を強くする以外にも免疫機能を調節したりバリア機能を正常化させたりと免疫力と深い関係があるんだ。

ナンナン

なるほど・・・。
そしたら、ナンナンもビタミンDが足りてないのかも💧
どうしたら良いのかな❓❓

はる かおる

ビタミンDは、現代人に最も不足しているビタミンとも言われているよ。でも、実はビタミンDだけを摂ってもあまり意味が無いんだ。このあたり、もっと詳しく解説してあげるね。


ビタミンDは、骨の健康や免疫機能の維持に重要な役割を果たす脂溶性ビタミンの一つです。ビタミンDは日光を浴びて紫外線に当たった皮膚で作られるほか、食事からも摂取することが出来ます。ビタミンDにはいくつか種類があり、キノコ類に多く含まれるものが植物性の「ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)」で、魚や卵、乳類に含まれる動物性のものが「ビタミンD3(コレカルシフェロール)」です。ビタミンD2とビタミンD3は構造の一部が異なる同族体で、どちらも体内での生理活性作用は同じとされています。

この2つのうち、人体で大半を占めているのは「ビタミンD3」の方です。これは、皮膚に日光が当たることによってビタミンD3が作られるためです。皮膚に日光が当たって作られたビタミンDは「プロビタミンD3」と言って、コレステロールを材料に作られています。

ビタミンDは日光に当たることで体内で産生される。しかし、現代人は紫外線対策を過度に行ったり室内で過ごす期待が多いため、現代人に特に不足しているビタミンと言われている。

このビタミンDは現代人に特に不足しているビタミンと言われています。その理由は日焼け止めクリームなどで紫外線対策を過度に行っていたり、デスクワークなど室内で過ごす機会が多くなったために、体内でのビタミンD合成量が不足しているためです。

ビタミンDには骨の健康を維持する以外にも、細胞の分化分裂や糖代謝、脳神経の保護や筋肉量の維持にも関わっています。不足すると骨がもろくなったり鬱っぽくなったり、糖尿病になりやすくなったり、サルコペニアになりやすくなったりなど様々な疾病の原因にもなります。ビタミンDはカルシウムやマグネシウム、ビタミンAと協力して働いており、これらもあわせてビタミンDは積極的に摂取したい栄養素の1つです。

ビタミンDが多く含まれる食品

ビタミンDは、主にしいたけやエリンギなどのキノコ類や、サケ、サンマ、サバなどの魚に多く含まれています。キノコ類は生だとビタミンDの含有量が少ないですが、日に当てて干すとビタミンDが産生されて含有量がアップします。そのため、キノコ類は生よりも干し椎茸など天日干しで乾燥させた物の方がビタミンDの含有量が多くなります。

ビタミンDが多い食品

鮭1切れ(80g) ……25.6㎍
サンマ1尾(100g) ……11㎍
ブリ1切れ(80g) ……6.4㎍
まあじ1尾(80g) ……6.3㎍
まいわし一尾 生(80g)……32㎍
しらす 生 (10g)……0.7㎍
釜揚げしらす(10g)……0.4㎍
しらす干し(半乾燥品)10g  ……6.1㎍
しいたけ(生)2個(30g)) ……0.1mg
しいたけ(乾燥)2個(6g) ……1㎍
エリンギ1/2パック(50g) ……0.6㎍
卵1個 (65g)……2.5㎍
鶏もも肉(皮つき)1/2枚(150g……0.6㎍

※『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より作成
ビタミンDが多い主な食品

また、魚では切り身の他にアンコウの肝など内臓に多く含まれています。そのため、魚を食べる時は内臓ごと食べられる魚がオススメです。具体的には、サンマやマイワシなどがあり、これらを食べる時は内臓や骨も丸ごと食べるようにするといいですね。

他にも、しらすやイワシ類などは、天日干しで乾燥させるとキノコ類と同じくビタミンDが産生されてビタミンDの含有量がアップします。そのため、しらすを食べるときは生や釜揚げしらすよりも、天日干しで乾燥させた「しらす干し」や「かちり干し(しらす干しをより乾燥させた物)」のほうがビタミンDの含有量が高くてオススメです。

ビタミンDの吸収・合成と代謝

体内におけるビタミンDの供給源は、食事からの摂取と皮膚から合成する2種類があります。食物からビタミンDを摂取する場合、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)とビタミンD3(コレカルシフェロール)の両方が存在し、これらは小腸の上部で脂肪(脂質)と一緒に吸収されています。

このビタミンDは脂溶性のため、水に溶けにくく脂に溶けやすいという特性があり、そのままでは水分の多い血液に溶けず、馴染むことが出来ません。そのため、体内では脂質や脂溶性ビタミンを水と混ざりやすくするために、肝臓から「胆汁酸」が分泌されています。この胆汁酸は、あぶらと水を混ざりやすくする「乳化」という働きがあり、あぶらやビタミンDなど脂溶性ビタミンの吸収を助けています。この胆汁酸は肝臓で合成され、分泌されていることから肝臓の健康状態もビタミンDの吸収において重要です。

そして、その後ビタミンDは脂肪と一緒にミセルという微小な脂質分子に包まれ、腸管細胞に取り込まれます。腸管細胞に取り込まれたビタミンDは、腸管細胞内でキロミクロンというリポタンパク質に組み込まれ、リンパ系を通じて血流に入ります。

もう一つの皮膚からの合成では、皮膚に含まれる「7-デヒドロコレステロール」が紫外線を吸収し、「プロビタミンD3」という物質に変換されます。その後、プロビタミンD3は体温によって徐々に変化し、ビタミンD3(コレカルシフェロール)に変換されて血中に分泌されます。

ビタミンDは体内で活性化されて初めて作用する。ビタミンDは、血中でタンパク質と結合して肝臓に運ばれ、腎臓で活性型に変わる

これら血中に入ったビタミンD2やビタミンD3は、血液中で安定して運ぶためにタンパク質で出来たトラック(ビタミンD結合タンパク)と結合し、肝臓まで運ばれます。そこで、25-ヒドロキシラーゼという酵素によって25-OHビタミンD3(カルシジオール)に変換され、一定量が肝臓に貯蔵されています。

ビタミンDは肝臓で25-OHビタミンDとなり、一定量が肝臓で貯蔵される。

その後、25-OHビタミンD3(カルシジオール)は腎臓に運ばれ、1α-ヒドロキシラーゼという酵素によって活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)に変換され、利用されています。このビタミンDを活性化させる酵素は、腎臓以外にも骨芽細胞や副甲状腺にも存在し、更には全身の組織や皮膚の角化細胞などにも存在する可能性があるとされています。腎臓で活性化されるビタミンDよりも、局所で活性型に変換されて作用するものの方が、生理的には重要である可能性が高いと考えられています。

また、体内ではカルシウムの需要によって活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)の変換量がコントロールされています。もし仮にカルシウムが不足して需要が高い場合には、腎臓で25-OHビタミンD3(カルシジオール)から活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)に積極的に変換され、逆にカルシウムが十分にあってカルシウムの需要が少ない場合には、25-OHビタミンD3(カルシジオール)から活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)への変換が抑制されるようになっています。

そして、同時に25-OHビタミンD3(カルシジオール)は、「24-ヒドロキシラーゼ」という酵素によって非活性のビタミンD3(1α,24,25-OH2ビタミンD3 カルシトリオール)や、活性の低いビタミンD3(1α,24,25-OH3ビタミンD3 カルシトリオール)に変換されます。これらは最終的に分解されて尿中で排泄されることで、血中ビタミンDの濃度や活性を調節しています。このように生体内では血中カルシウム濃度によってビタミンDをどれくらい活性化して利用するのかや、最適な血中濃度を維持する機能が備わっているため、食事やサプリメントから摂取する場合にはあまり過剰摂取の心配はありません。

とは言え、そもそもビタミンDを利用したり調節するためには、肝臓や腎臓作られる酵素の働きによって活性化されることが必要です。もし、この酵素が上手く作られなかったり足りなかったりする場合は、ビタミンDを十分に活性化して利用することが出来なくなってしまいます。この酵素の活性化に関わっている重要な栄養素が「マグネシウム」です。

例えば、ビタミンD3(コレカルシフェロール)は肝臓に運ばれた後に、「25-ヒドロキシラーゼ」という酵素によって25-OHビタミンD3(カルシジオール)に変換されていますが、この「25-ヒドロキシラーゼ」にはマグネシウムが必要です。

また、肝臓で変換された25-OHビタミンD3(カルシジオール)は腎臓に運ばれ、「1α-ヒドロキシラーゼ」という酵素によって活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)に変換されて利用されています。この「1α-ヒドロキシラーゼ」を作るためにも、マグネシウムが必要になります。

そのため、ビタミンDを利用するためにはマグネシウムが欠かせません。もしマグネシウムの摂取量が不足してしまうと、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっています。

マグネシウムの摂取量が不足すると、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっている

このことから、ビタミンDを摂取する際は、マグネシウムも同時に摂取するようにしましょう。よく、ビタミンD不足の方に対して、日光に浴びることやビタミンDのサプリメントを推奨することがありますが、それだけでは不十分です。

ビタミンDは吸収・活性化されて初めて利用されます。この吸収や活性化には肝臓の状態やマグネシウムの摂取、油脂類との同時摂取などが関係していますので、ビタミンDを摂取するときはこれらの状態や摂取にも気をつけるようにして下さい。

ビタミンDの吸収・合成、代謝を助けてくれるもの

  • 日光(紫外線)
    皮膚に日光が当たることで体内で合成される。コレステロールを元に合成されていることから、十分なコレステロール量が必要。コレステロールは、主に肝臓で作られる。
  • 脂肪(油脂類)
    ビタミンDは脂溶性ビタミンであるため、脂肪と一緒に摂取することで吸収が促進される。食事に含まれる良質な脂肪(オリーブオイル、アボカド、ナッツなど)が役立つ。
  • 胆汁酸
    胆汁酸は、脂肪の消化を助け、ビタミンDの吸収を促進する。胆汁酸は肝臓で生成され、胆のうから分泌される。そのため、肝臓の健康状態に影響を受ける。
  • マグネシウム
    マグネシウムは、ビタミンDを活性化させるために必要な酵素の構成材料として必要。マグネシウムは、アオサやひじき、ワカメなどに多く含まれている。

ビタミンDの吸収・合成、代謝を阻害してしまうもの

  • 高脂肪食
    過度な脂肪摂取は、消化不良や胆汁酸の過剰消費を引き起こし、ビタミンDの吸収を妨げることがある。
  • 低コレステロール
    皮膚に日光が当たることで体内で合成されるビタミンDは、コレステロールを元に作られている事から、低コレステロールでは合成が抑制される
  • 高齢
    年齢とともに、皮膚でのビタミンD生成能力や腸での吸収能力、腎機能が低下する。
  • 紫外線遮蔽
    日焼け止めの使用や長時間の屋内生活、日光を遮る衣服の着用は、紫外線B(UVB)に対する曝露を減少させ、ビタミンDの皮膚での生成を阻害する。
  • 肥満
    肥満による慢性的な炎症の増加、脂肪細胞におけるビタミンD代謝の低下によってビタミンD血中濃度が低下する。1
  • 糖尿病
    糖尿病は肥満と骨粗しょう症を合併しやすい。特に、高血糖状態が続くと尿中にマグネシウムが過剰に排泄されるため、糖尿病患者はマグネシウム不足のリスクが高まる
  • 肝臓の病気
    肝臓はビタミンDの吸収に必要な胆汁酸の分泌や、代謝に重要な役割を果たす。肝硬変や肝炎などの肝臓の疾患は、胆汁酸の分泌量低下や、ビタミンDの25-ヒドロキシ化を阻害し、不足を引き起こす可能性がある。
  • 腎臓の病気
    腎臓もビタミンDの活性化に重要。慢性腎臓病や腎不全は、ビタミンDの1α-ヒドロキシ化を阻害し、活性形態のビタミンDが不足する原因となる。また、慢性腎臓病や心血管疾患などの慢性疾患を持つ人は、マグネシウムの代謝や排泄が正常に行われず、マグネシウム不足のリスクが高まる。
  • 脂肪吸収不良
    クローン病、セリアック病、すい臓炎などの消化器疾患は、脂肪の吸収を妨げ、結果としてビタミンDやマグネシウムの吸収も阻害される。特にすい臓で作られる膵リパーゼは脂肪を分解する働きがあり、すい炎では脂肪をはじめとした吸収不良が起こる
  • 低マグネシウムの食事など
    加工食品や精製された食品を多く摂取している人や、緑葉野菜、ナッツ、全粒穀物、豆類などのマグネシウムを豊富に含む食品を十分に摂取していない人は、マグネシウム不足になりやすい。
    また、過剰なカルシウムや過剰な亜鉛、高リン酸の食事(加工食品の摂りすぎ)はマグネシウムの吸収を阻害する。
  • 特定の薬による影響
    利尿薬、抗生物質、抗がん剤、制酸剤(H2ブロッカー)などは、マグネシウムの吸収を妨げたり、排泄を促進するため、これらの薬を長期間服用している人は注意が必要
  • スポーツなどの激しい運動、ストレス過多
    大量に汗をかくことで、マグネシウムを含む電解質が失われやすくなる。体重制限種目における不適切な食事、栄養摂取量の低下。また、慢性的な肉体的・精神的ストレスはマグネシウムを消耗する
ナンナン

ビタミンDって、骨以外にも色んな働きがある栄養素だったんだね💦
あまり外出してないから、ビタミンD不足かも💧

はる かおる

現代人はビタミンDが足りてない人が多いね。日光に当たりすぎるのも皮膚がんのリスクがあるから、魚やキノコとかの食事から摂取すると良いよ。

ナンナン

キノコに魚かぁ・・・ボク魚もキノコも苦手なんだよね💦
病院でビタミンDのお薬とか出してくれないかな❓❓

はる かおる

うーん、確かにビタミンDが主成分のお薬はあるけど・・・
栄養補給を目的にビタミンDのお薬を使うことは出来ないんだ。

ナンナン

えっ、そうなの❗❓

ビタミンDの種類とサプリメントのビタミンD、病院で処方されるビタミンD製剤の違い

ビタミンDは食品やサプリメント以外に、お薬としても用いられています。主な物としては、骨粗しょう症の治療薬として使われている「エディロール(エルデカルシトール)」や、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症などによる低カルシウム血症に使用する「アルファロール(アルファカルシドール)」「ロカルトロール(カルシトリオール)」「フルスタン(ファレカルシトリオール)」などがあります。

スクロールできます
お薬に使われるビタミンD製剤の代表的な種類例
骨粗しょう症エディロール(エルデカルシトール)
尋常性乾癬
魚鱗癬、掌蹠膿疱症
掌蹠角化症など
ドボネックス(カルシポトリオール)
ボンアルファ(タカルシトール)
オキサロール(マキサカルシトール)
低カルシウム血症
副甲状腺機能低下症
慢性腎不全
テタニー、くる病など
アルファロール(アルファカルシドール)

ロカルトロール(カルシトリオール)
フルスタン(ファレカルシトリオール)
お薬に使われるビタミンD製剤の代表的な種類と違い

これらは「活性型のビタミンD」を含み、治療を目的としたお薬のため、栄養補給を目的とした用途では使われていません。もし栄養補給を目的として日常的に摂取した場合は、高カルシウム血症や急性腎不全、尿路結石などのリスクがあり、大変危険です。高カルシウム血症になると、食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、筋力低下、多飲多尿、精神症状等があらわれ、さらに重篤になると不整脈、意識障害が出現する場合があります。

この理由としては、活性型のビタミンDは小腸からのカルシウム吸収を促進させる働きがあり、お薬で投与した場合はカルシウムの吸収や調節を薬で強制的にコントロールしてしまうためです。体は必要に応じて腎臓でビタミンDを活性化させ、必要な量のカルシウムを吸収・代謝するよう調節していますが、お薬で活性型のビタミンDを投与した場合はカルシウムの吸収量や代謝を制御できなくなってしまいます。このため、お薬のビタミンD製剤をサプリメント代わりに使用する事は出来ません。また、逆にサプリメントのビタミンDもお薬の代わりにはなりません。

もし今現在、骨粗しょう症の治療などでカルシウム製剤や活性型のビタミンD製剤を服用している方は、必ず定期的な血液検査で血中カルシウム濃度を測定し、医師の指示の元服用して下さい。

一方で食品やサプリメントに含まれるビタミンDは、「ビタミンD2」や「ビタミンD3」です。これらは活性型になる前の「前駆体」と呼ばれる状態で、お薬の活性型ビタミンDと比べて働きはマイルドですが、どれくらい活性化させて利用するかなどは身体の中でコントロールすることが出来ます。

食品やサプリメントに含まれるビタミンDお薬に含まれるビタミンD
ビタミンD2(エルゴカルシフェロール。キノコ類など)
ビタミンD3(コレカルシフェロール。魚や皮膚による合成)
活性型ビタミンD
(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)
食品やサプリメント、薬に含まれるビタミンDの違い

そのため、栄養補給を目的として日常的に摂取する場合は、食品やサプリメントを利用しましょう。ビタミンDのサプリメントは過剰摂取の危険性が度々話題になる事がありますが、薬のビタミンDと違ってあまり過剰摂取の心配はありません。

前述したようにサプリメントに含まれるビタミンDはお薬のビタミンDと違って活性化前の前駆体です。前駆体のビタミンDは体内でコントロールする事が出来ることから、お薬と比べて安全性が非常に高いビタミンDです。ビタミンDの必要量や不足状態は人によって違いがありますので、最適な摂取量については最後に解説するオーソモレキュラー療法の血液検査を受けてみて下さい。

このように、ビタミンDと一言で言っても様々な種類があります。食品やサプリメントに含まれるビタミンDと、病院で処方されるビタミンDでは、役割が全く違いますので注意しましょう。

ナンナン

なるほど・・・
食品に含まれているビタミンDと、お薬のビタミンDは、全く違うものなんだね💦

はる かおる

そうそう。だから、お薬のビタミンD製剤をサプリメントの代わりにする事は出来ないよ。薬とサプリメントに含まれるビタミンDは用途が違うから、このあたりはしっかり認識しておいてね

ビタミンDの働き

ビタミンDは、カルシウムの吸収と調節に関わって骨を強くしたり、ビタミンAと共に細胞の分化分裂に関わったり、免疫力を調節したり、脳の神経細胞を保護して精神の安定に関わったりと様々な働きがあります。他にも、カルシウムとマグネシウムと共に糖代謝に関わったり、筋肉を強くしてサルコペニアの予防・改善に役立つなどの働きもあり、骨粗しょう症以外にも様々な病気の改善効果が期待されています。

ビタミンDの主な働き

  • カルシウムの吸収と調節に関わり、骨を強くする
  • ビタミンAと共に細胞の分化分裂、角化の正常化に関わる
  • 炎症性サイトカイン産生抑制作用を持ち、免疫力を調節する
  • 脳の神経を保護し、精神の安定や睡眠に関わる
  • カルシウム・マグネシウムと共に糖代謝に関わる
  • 筋肉を強くし、サルコペニアの予防・改善に役立つ
  • 小腸にある絨毛細胞の分化・伸長を促進する

ビタミンDの働き① カルシウムの吸収と調節に関わり、骨を強くする

ビタミンDの働きとして最も知られているのが、カルシウムの吸収と調節に関わり、骨を強くする働きです。活性型のビタミンDは腸管からのカルシウム吸収を促進させ、骨代謝を活性化させて骨を作るのに役立ちます。

また、カルシウムの摂取量が不足していた場合は骨からカルシウムを溶かしだして血中カルシウム濃度や筋肉中のカルシウム濃度を維持していますが、この血液や筋肉のカルシウム濃度を調節しているのもビタミンDが関わっています。

ビタミンDは小腸でのカルシウム吸収を促進する。また、必要時に骨からカルシウムを放出し、血中や筋肉のカルシウム濃度を調節する働きがある

他にも、腎臓では、不要なカルシウムを尿で排泄し、逆にカルシウムが不足した場合はカルシウムの尿中排泄量を抑制して再吸収する働きがあります。この腎臓からのカルシウム排泄を抑制し、尿細管でカルシウムの再吸収を行うのもビタミンDが関わっています。

また、カルシウムと共に骨を作る材料として必要なのが「マグネシウム」です。マグネシウムは、カルシウムやリンと共に骨を作ったり、自律神経を整えて睡眠の質を改善したり、血管を拡張させて血圧を下げたり、糖代謝を始めとしたエネルギー代謝に関わったりしています。他にも、タンパク質合成、DNAの維持など、体内において300を超える酵素反応の補酵素として利用されています。

カルシウムは、マグネシウムやビタミンDで一定の働きが出来るよう調節されている。カルシウムとマグネシウム、ビタミンDはセットで働いていることから、どれか1つが欠けるだけで利用出来なくなってしまう

このカルシウムとマグネシウムは、ビタミンDによって吸収量や血中濃度が調節され、一定の機能が保たれるようになっています。そして、このビタミンDは腎臓で活性化されて利用されていますが、この活性化に必要な酵素にはマグネシウムが必要になります。そのため、ビタミンDを利用するためには十分なマグネシウムの摂取が必要です。

もし、マグネシウムの摂取量が不足していた場合は、ビタミンDが活性化できずに、不活性のまま体内に留まることが分かっています。

マグネシウムの摂取量が不足すると、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっている

そして、このビタミンDが不活性のまま活性化できずにいると、カルシウムやマグネシウムが利用出来なくなり、カルシウムやマグネシウムが不足して骨粗しょう症のリスクが高まります。そのため、マグネシウムを利用するためには十分な量のビタミンD摂取が必要です。

この2つは相関関係にあり、ビタミンDが不足するとマグネシウムが利用出来なくなり、逆にマグネシウムが不足するとビタミンDが利用出来なくなるという関係にあります。骨粗しょう症の治療ではカルシウム製剤を処方されることが一般的ですが、カルシウムだけでは骨を作る事は出来ません。

マグネシウムとビタミンD、どちらが不足してもカルシウムの利用がうまく出来なくなりますので、カルシウムとマグネシウムを摂取する際や、ビタミンDを摂取する際は、必ずカルシウムとマグネシウム、ビタミンDをセットで摂取するようにしましょう。

ビタミンDの働き② ビタミンAと共に細胞の分化分裂、角化の正常化に関わる

ビタミンDは、ビタミンAと共に細胞の分化分裂、角化(皮膚の一番外側にある角質細胞ができてから剥がれ落ちるまでの過程)の正常化に関わっています。

具体的には、細胞内の受容体(ビタミンD受容体、VDR)に結合することで、遺伝子発現を調節する働きがあります。この働きにより、特定の遺伝子を活性化、不活性化することによってタンパク質合成を促進したり、抑制したりして、特定の細胞を適切に分化させ、異常な細胞の増殖を抑制します。

この働きはビタミンAと共に行われていて、ビタミンDはビタミンAと協力して細胞の正常な分化、分裂や角化の正常化を行っています。そのため、ビタミンDはビタミンAと共に、しわや肌の状態(ターンオーバー)を改善するなど肌の栄養素でもあり、喉や鼻、腸、眼球の乾燥やトラブルを改善する粘膜の栄養素です。

ビタミンDは、ビタミンAと共に肌の新陳代謝(ターンオーバー)に関わる。そのため、ビタミンDは角化症の改善においても重要

例えば、皮膚が正常に角化出来ないと、皮膚の角質層が厚く硬くなる「角化症」を発症する事が知られています。この角化症でよく見られるのが、足の裏に出来る「うおのめ」「たこ」などで、他にも肘や膝など皮膚が厚く硬くなること全般を「角化症」と言います。角化症は、進行すると乾燥が進んでひび割れることもあります。

この角化症の原因には様々あり、日光や外傷による刺激、感染症や遺伝的要因なども関係していると言われています。代表的な角化症としては、扁平苔癬尋常性乾癬掌蹠角化症汗孔角化症毛孔性苔癬などです。

代表的な角化症

扁平苔癬(へんぺいたいせん)

扁平苔癬は、かゆみを伴う炎症が起こる皮膚疾患です。

  • 原因: 表皮と真皮の細胞に障害を与える反応と考えられています。
  • 症状: 紅斑や丘疹などが現れ、前腕や手首、足首などに出来ることが多いですが、口の中や性器周辺、爪にできることもあります。

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

代表的な炎症性角化症の一つです。

  • 原因: 遺伝的要因、外的要因、免疫学的要因が考えられています。
  • 症状: 赤くて盛り上がった発疹ができ、銀白色のフケが付着します。

掌蹠角化症(しょうせきかくかしょう)

手のひらと足の裏の角質が厚くなる皮膚疾患です。

  • 原因: 先天性と後天性があり、先天性の場合は様々な遺伝子異常が関連していることが知られています。
  • 症状: 皮膚が硬く厚くなり、ひび割れることがあります。

汗孔角化症(かんこうかくかしょう)

皮膚の角化異常によって生じる疾患の一つです。

  • 症状: 四肢や体幹、顔面などの皮膚に、小さなブツブツができてざらざらした感じになります。

毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)

毛孔性角化症の一種で、「さめ肌」と呼ばれることもあります。

  • 症状: 主に二の腕や太ももの外側、お尻などに、角化した粟粒ほどの大きさのブツブツ・ザラザラした発疹がたくさんできます。

これらには角化の異常が関わっているとされ、角化の正常化にはビタミンDが関係している事から、これらの治療にはビタミンDのお薬が使われています。前述の「ビタミンDの種類とサプリメントのビタミンD、病院で処方されるビタミンD製剤の違い」でも解説した様に、ドボネックス(カルシポトリオール)やボンアルファ(タカルシトール)、オキサロール(マキサカルシトール)などは尋常性乾癬や魚鱗癬、掌蹠角化症などの治療を目的として使われているお薬です。

また、ビタミンAとDは、肌以外にも喉や鼻、腸粘膜や眼球など粘膜の正常な角化にも関わっています。鼻や喉の粘膜は、皮膚と同じく外部からの細菌の侵入を防いだり、異物が体内に入ることを防ぐバリア機能としての働きがあります。この他、ビタミンDとビタミンAは、侵入してきた細菌やウィルスなどをやっつける白血球などの分化分裂や、抗体産生にも関わっています。

ビタミンDとビタミンAが不足すると、このバリア機能が低下して鼻や喉が乾燥して異物や細菌が侵入しやすくなったり、免疫細胞や抗体産生の数が減って風邪などの感染症にかかりやすくなります。そのため、ビタミンDはビタミンAと共に免疫力にも深く関係している栄養素です。

ビタミンDとAは、粘膜細胞や免疫細胞の分化分裂に関わることから、バリア機能や免疫力と深い関係がある

ビタミンAとDは、皮膚と同じように粘膜の細胞の分化・分裂に関わり、不足すると粘膜が乾燥したり萎縮したりして粘膜機能やバリア機能が低下します。同じく眼球も細胞や粘膜で出来ていることから、不足すると眼球乾燥症「ドライアイ」の原因にもなります。

また、免疫細胞である白血球は、骨髄で作られる「幹細胞」が分化することで作られています。この分化にはビタミンAとビタミンDが関係していて、この2つが足りない場合は白血球などの免疫細胞が正常に作られなくなってしまいます。このように、ビタミンDは肌や粘膜における角化の正常化や、免疫細胞の増殖に関わることから、皮膚と粘膜のバリア機能や免疫機能の維持に欠かせない栄養素です。

それから、他にもビタミンDが関わっているものとして「貧血」があります。貧血とは、血液中のヘモグロビン濃度が減少して身体が低酸素状態になる事で、動悸や息切れ、立ちくらみやめまいなど様々な不定愁訴(ふていしゅうそ)に繋がる原因になるものです。

貧血は血液中のヘモグロビン濃度が低下して低酸素状態になる事を言う。一般的なイメージの「血液が薄くなる」というのは間違い

通常、ヘモグロビンは赤血球と呼ばれる細胞に多く含まれているのですが、貧血の状態では、正常な状態に比べて赤血球に含まれるヘモグロビンが減少しています。加えて、貧血が進行するにつれて赤血球も減少してきます。

この貧血改善には一般的に「鉄分が良い」と言われていますが、実はそれだけでは不十分です。酸素の運搬に関わっている赤血球は細胞で出来ていることから、赤血球の分化分裂を正常に促すためにはビタミンAとビタミンDが必要です。

貧血の指標となる赤血球は、骨髄で作られる幹細胞が分化することで作られている。そのため、貧血改善には細胞の分化分裂に関わるビタミンAとDも必要

具体的には、赤血球は白血球と同じく骨髄で作られる「幹細胞」が分化することで作られています。この分化にはビタミンAとビタミンDが関係していて、この2つが足りない場合は骨髄で血液が作られなくなってしまいます。この骨髄で血液が作られなくなって血液中の赤血球や白血球、血小板のすべての血球が減少してしまう病気を「再生不良性貧血」と言います。

ビタミンAとDは赤血球を作る幹細胞の正常な分化・分裂にも関与していることから、貧血改善に必要な栄養素です。また、貧血以外にも全身の正常な細胞の分化分裂に関係している事から、がん細胞の増殖を抑制し、正常な細胞の分化分裂を促す働きもあります。

私達の体はおよそ60兆個の細胞が集まって出来ていて、その一つ一つが細胞分裂を繰り返して機能を維持しています。ビタミンAとビタミンDは、お互い協力して働くことで全身の細胞の分化・分裂に関わっていることから、ビタミンDとビタミンAはセットで摂ることが大切です。

ビタミンDの働き③ 炎症性サイトカイン産生抑制作用を持ち、免疫力を調節する

ビタミンDは、バリア機能の修復による免疫力の強化以外にも、免疫系の調節に直接関与しています。特に、炎症性サイトカインの産生を抑制することで、免疫応答を適切に制御し、過剰な炎症反応から体を守る働きがあります。

炎症性サイトカインとは、免疫細胞(単球やマクロファージ、T細胞など)から分泌される小さなタンパク質で、炎症反応を引き起こす因子のことです。代表的な炎症性サイトカインには、インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)などがあります。これらは、感染症に対する免疫応答を強化する一方で、過剰に分泌されると組織の損傷を引き起こすことがあります。

ビタミンDには、単球やマクロファージなど免疫細胞が産生するサイトカインの産生抑制作用を持つ

ビタミンDには、これら単球・マクロファージによる炎症性サイトカイン産生抑制作用を持ち、樹状細胞の抗原提示に関わる分子の発現を低下させる働きがあります。

具体的には、マクロファージなど免疫細胞の核内にあるビタミンD受容体(VDR)にビタミンDが結合すると、炎症性サイトカインの遺伝子発現が抑制され、IL-1、IL-6、TNF-αなどのサイトカインの合成が減少します。VDRは多くの免疫細胞(T細胞、B細胞、マクロファージなど)に発現しており、ビタミンDがこれに結合することで、遺伝子発現の調節が始まります。これにより、炎症反応が過剰に進行するのを防ぎ、炎症性疾患のリスクを低減する働きがあります。

もう一方の樹状細胞の抗原提示機能とは、体内に侵入した異物(細菌やウイルス、がん細胞など)の断片を細胞表面に取り込み(これを提示と言います)、T細胞など他の免疫細胞に伝える機能のことです。抗原提示機能により、体内に侵入した異物が何であるかを免疫細胞に知らせることができ、適応免疫の始まりとなります。

もし、この抗原提示機能が正常に抑制できない状態になると、自己抗原が適切に処理・提示されないため、自己免疫反応が抑制されなくなってしまいます。すると、自己抗原に対するT細胞の活性化が進み過ぎてしまい、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、1型糖尿病などの自己免疫疾患が発症しやすくなります。また、
T細胞の活性化が不均衡になることで過剰な炎症反応が引き起こされ、これによってクローン病や潰瘍性大腸炎など慢性炎症性疾患のリスクが高まってしまいます。ビタミンDは、抗原提示機能を適切に抑制し、免疫機能が過剰になる事を防いでくれる働きがあります。

また、ビタミンDはT細胞の分化制御に関わり、B細胞の成熟やメモリー細胞分化を抑制して過剰な抗体産生を抑制する働きがあります。T細胞とは、体内に侵入した異物から守る免疫機能の司令塔とも言える細胞で、キラーT細胞やヘルパーT細胞、制御性T細胞などがあります。もう一つのB細胞とは、T細胞から刺激を受けて体内に侵入した病原体を排除するための抗体を作り出す細胞です。B細胞やT細胞には、一度体内に入ったウィルスや細菌を記憶し、次に同じ異物が侵入してきたときにすぐに追い出せるよう、「獲得免疫」と呼ばれる機能ももっています。これらは「メモリーT細胞」や「メモリーB細胞」と呼ばれ、まとめて「メモリー細胞」と呼ばれています。

ビタミンDは、このT細胞やB細胞の成熟、メモリー細胞への分化に関与し、B細胞の活性化と抗体産生を直接的に抑制しています。ビタミンDがB細胞に作用することで、B細胞の増殖や抗体産生が制限され、過剰な免疫応答や長期間にわたる過剰な抗体産生を防ぎます。これによって、自己免疫疾患やアレルギー反応、慢性炎症のリスクを低減し、リウマチ性関節炎、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎や、心血管疾患、糖尿病などの病態の低減や抑制に寄与する可能性があります。

また、ビタミンDは免疫系の活性化を調整するため、感染症に対する防御力を高める効果があります。特に、風邪やインフルエンザ、コロナなどのウイルス感染症の予防や重症化の予防に有効であるとされています 。

例えば、世界的にコロナウィルスが万円した2021年、アメリカではコロナウィルス感染症の重症化を回避出来るとして、ビタミンDの摂取を奨励する新しいガイダンス発行が求められていました。また、イギリスでは高齢者を中心に感染リスクのある高齢者にビタミンDのサプリメントが無料で配布されています。

ビタミンDには感染症の予防や重症化を予防する効果が期待出来ることから、アメリカやイギリスではコロナ禍にビタミンDの摂取が奨励された

このように、ビタミンDには免疫力を調節する働きがある事から、リウマチなど慢性炎症性疾患に対する病態の低減や、ウィルス感染の予防などに役立つと言われています。ただし、ビタミンDだけを摂取すれば免疫機能が高まるわけではありません。ビタミンD受容体(VDR)に結合出来るのは活性型のビタミンD(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)のみで、ビタミンDを活性化させるためにはマグネシウムも必要です。

また、免疫機能はビタミンD以外にも貧血やストレスなど様々な要因が関係しています。免疫機能を高めるには、ビタミンDを摂取する事以外にも、免疫力が低下する様々な要因を改善していくことも必要です。

ナンナン

なるほど、ビタミンDには免疫力を調節してくれる働きがあるのか❗

はる かおる

そうだよ、だからビタミンDが不足すると、色んな病気になるリスクが高まってしまうんだ

ナンナン

よし、ちょっとビタミンD摂ってくる❗❗

ビタミンDの働き④ 脳の神経を保護し、精神の安定や睡眠に関わる

ビタミンDには、脳の神経細胞を保護し、精神の安定や睡眠にも関わっています。よく、「冬期うつの原因にはビタミンD不足が関係している」と言われていますよね。

冬期うつとは、毎年秋から冬にかけてうつ症状が現れる季節性の気分障害のことです。冬期うつになると、通常のうつ症状である気分が落ち込む、不安になったりイライラしたりする、集中力が低下する、疲れやすい、物事を楽しめないなどといった事に加え、食欲が旺盛になって太りやすくなる、過眠になる、寝ても疲れが取れないなどの症状が現れます。

このような冬期うつの原因にはビタミンDの不足が関係していると言われ、その原因は秋から冬にかけて日射量が少なくなる事から、皮膚でのビタミンD合成量が低下してビタミンD不足になる事が原因としてあげられています。

また、近年では日射量の少なくなる冬期以外にも冬期うつを発症する人も増えてきており、これにはオフィスワークなど屋内での活動が増えた事や、屋外での活動量の低下など、日常的に十分な日光を浴びない生活習慣が増えた事が関係していると言われています。

では、具体的にビタミンDがどのように冬期うつと関わっているかというと、ビタミンDはうつ病と関係が深い「セロトニン」の産生や調節に関わっていることがあげられます。セロトニンは、必須アミノ酸の1つである「L-トリプトファン」から合成される脳の神経伝達物質の一種です。

セロトニンは脳の神経伝達物質の1つ。分泌されると多幸感や気持ちが明るくなるなどの効果があることから、別名「幸せホルモン」とも呼ばれている

セロトニンは視床下部や大脳基底核・延髄核などに分布し、同じく神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンを調節して精神を安定させる働きがあります。このセロトニンは別名「5-ヒドロキシトリプタミン」(5-HT)とも呼ばれ、分泌されるとストレス発散や集中力アップ、気持ちが明るくなるなどの効果が期待できることから「幸せホルモン」ともいわれています。

このセロトニンの分泌量が減少すると、気分が落ち込んだりやる気が起きなかったり、酷い場合ではうつ状態やうつ病の原因にもなると言われています。そのため、セロトニンの分泌不足とうつ病や冬期うつとは深い関連があります。

また、セロトニンは体内時計や睡眠の質にも関係している神経伝達物質です。この「セロトニン」と、セロトニンから作られる「メラトニン」は体内時計や睡眠を司っていて、どちらもしっかり分泌されることで睡眠のリズムや質を調節しています。

具体的には、セロトニンは起床する頃から分泌されはじめ、脳や身体をスッキリ目覚めさせる働きがあります。その後起床から14〜16時間後の夜間にかけてセロトニンからメラトニンに変化し、就寝する頃にはメラトニンの分泌量が最大になります。メラトニンは、身体を休めたり睡眠に入るために必要な神経伝達物質です。

セロトニンとメラトニンの関係。セロトニンは日中の活動期に、メラトニンは夕方から就寝に向けて分泌され、睡眠や体内時計を司っている

このセロトニンとメラトニンが十分に分泌され、サイクルが正常に働いていれば、朝スッキリ起きることができ、夜にきちんと眠くなります。反対に、もしセロトニンやメラトニンが十分に分泌出来無い場合は、睡眠の質が悪化したり体内時計が乱れてしまうことに繋がります。このセロトニンの産生にはビタミンDが関わっていることから、ビタミンDが不足は冬期うつに加えて睡眠障害のリスクが高まる原因です。

例えば、ビタミンDの受容体(VDR)は脳内の前頭前皮質や海馬、視床、視床下部などの部位に多く発現しているのが確認されており、ビタミンDがこの受容体と結びつくことでセロトニンが産生されます。また、セロトニンの分泌にはカルシウムが関わっていて、このカルシウムの吸収や調節にはビタミンDが関わっています。

睡眠のリズムや質にはセロトニンやメラトニンが関わっていて、このセロトニンの産生にはビタミンDが関係している。このため、ビタミンD欠乏は睡眠障害のリスクがある
産生されたセロトニンはシナプス前細胞中のカルシウムチャネル(入り口)にカルシウムが入ることで分泌される。このカルシウムやカルシウムチャネルはビタミンDやマグネシウムによって調節されている

しかし、血中ビタミンD濃度(血清25-OHビタミンD)が20ng/ml以下の人は、この働きが低下して睡眠の質が低下するリスクが60%近く増加することが分かっています。

このように、ビタミンDとセロトニンは深い関係があることから、ビタミンDが不足すると冬期うつや睡眠障害のリスクが高まります。このセロトニンは日光浴や適度な運動、バランスの良い食事をとることで増やすことが出来ると言われていますので、生活習慣が乱れている方は是非とも適度な運動や日の当たる外出、バランスの良い食事なども心がけてみて下さい。

ちなみに、このセロトニンの合成にはマグネシウムなども関わっていることから、ビタミンDやカルシウムと併せてマグネシウムも同時に摂取することが大切です。

マグネシウムはセロトニンを作る時の補酵素として必要な栄養素。セロトニンは、心と体のバランスを安定させる働きを持つ脳の神経伝達物質の一種

マグネシウムは必須アミノ酸の1つである「トリプトファン」からセロトニンを合成するときの補酵素として必要で、不足した場合はセロトニンの合成がうまくいかなくなってしまいます。他にも、セロトニンの材料として「タンパク質」や「ヘム鉄」「ビタミンB6」「ナイアシン」なども関係していますので、これら栄養素も摂取するようにして下さい。

それから、ビタミンDには神経細胞を保護する作用もあると言われています。具体的には、ビタミンDはカルシウムの血中濃度を調節していて、細胞内にカルシウムが過剰に流入して細胞死するのを防ぐ働きがあります。他にも、認知症の原因となる「アミロイドβ」の蓄積を抑制したり、ビタミンDによる抗酸化作用・抗炎症作用によって神経細胞をダメージから保護したり、脳の神経伝達物質の一種である「アセチルコリン」の合成を調節する働きもあります。

ビタミンDには、抗酸化作用や細胞内への過剰なカルシウム流入を防ぐ働きがある。これらの作用によって、神経細胞を保護していると考えられている。

アセチルコリンは、分泌されると血管を拡張したり、消化機能を亢進したり、学習や記憶、睡眠にも関わっている神経伝達物質です。アセチルコリンが低下すると、脳機能が低下してアルツハイマー病を発症したり、パーキンソン病などの運動機能障害を引き起こす原因になります。

ビタミンDはこのアセチルコリンの合成を調節する働きがある事から、神経細胞を保護してアルツハイマー病やパーキンソン病の予防などに効果が期待出来ると考えられています。このように、ビタミンDはセロトニンを始めとした脳の神経伝達物質の分泌や、神経細胞の保護など、脳の働きや精神の安定と関係が深い栄養素です。

ナンナン

な、なるほど・・・
どおりで最近、気分が落ち込みやすいと思ったらビタミンD不足も関係していたのか💦

はる かおる

そうそう。ビタミンD不足は冬期うつの発症とも関係が深いと言われているね。

ナンナン

よし、もっとビタミンDいっぱい摂取してくる❗

ビタミンDの働き⑤ カルシウム・マグネシウムと共に糖代謝に関わる

ビタミンDは、カルシウムやマグネシウムと共に糖代謝にも関わっています。ビタミンDは、すい臓のインスリン分泌に関わる細胞内にカルシウムを誘導し、細胞内のカルシウム濃度を変化させてインスリンの分泌を促します。

このインスリンは血糖値を下げてくれるホルモンのことで、インスリンの分泌や働きが低下すると、血糖値が十分に下げられなくなって2型糖尿病を発症する原因になります。

このインスリンの分泌と活性型ビタミンDには関連性があり、活性化されたビタミンDはカルシウムの吸収を促進させ、インスリンの分泌を促す働きがあります。また、マグネシウムにはすい臓のインスリン分泌に関わる細胞内に過剰なカルシウムが流入するのを防いだり、インスリン受容体というインスリンが細胞に取り込まれる入り口の働きを活性化したり、ビタミンDを活性化するのに必要な酵素の材料となる働きがあります。

この活性型のビタミンDが不足すると、カルシウムが不足してインスリンの分泌が出来なくなり、インスリンが不足すると高血糖により腎機能が悪化して活性型のビタミンDを腎臓で作る事が出来なくなるという関係性にあります。これらは相互に影響を及ぼしていることから、どれか1つでも欠けてしまうと、糖代謝が悪くなる悪循環に陥ってしまいます。そのため、ビタミンDはカルシウム・マグネシウムと共に糖代謝に深く関わる栄養素です。

活性型ビタミンDはカルシウムの吸収と調節に関わり、カルシウムはインスリンの分泌に関わる。

具体的には、インスリンはすい臓にあるβ細胞と呼ばれる細胞から分泌されており、この細胞内にカルシウムが入ることでインスリンが分泌されています。このカルシウムの吸収や、細胞内にカルシウムを誘導する働きを行っているのが活性型のビタミンDです。

もし、活性型ビタミンDが不足してしまった場合、すい臓からインスリンの分泌が十分に出来なくなり、インスリンが足りなくなってしまいます。インスリンが不足すると血糖値が高い状態が続くため、血管が傷つきやすく、硬くなりやすくなります。これは腎臓も同じで、腎臓の毛細血管(糸球体)が硬くなって機能が低下し、次第に血液のろ過がうまくできなくなっていきます。また、高血糖によって高浸透圧利尿が引き起こされ、カルシウムやマグネシウムが尿で排泄されてカルシウムとマグネシウム不足を引き起こしてしまいます。

すると、腎機能が低下したり、ビタミンDの活性化に必要なマグネシウムが不足したりして、腎臓で活性型ビタミンDを十分作る事が出来なくなってしまうことに繋がります。このことから、インスリンの分泌不足は腎機能悪化とマグネシウム不足を引き起こし、マグネシウム不足は活性型ビタミンD不足に繋がる原因です。この活性型のビタミンD不足はインスリンの不足にも繋がるため、この2つは間接的に相関関係にあります。

また、マグネシウムは、このβ細胞に出入りする過剰なカルシウムイオンの細胞内流入を防ぐ役割があるほか、インスリン受容体というインスリンが細胞に取り込まれる入り口の働きを活性化する働きや、エネルギー代謝に関わる補酵素としてインスリンの作用を増強させる働きがあります。

カルシウムとマグネシウムは、インスリンの作用や感度に関わる。カルシウムとマグネシウムを摂取することで、インスリン抵抗性を改善する効果が期待出来る

この働きにより、カルシウム、マグネシウムとビタミンDは、インスリンの作用と感度を増強させ、インスリン抵抗性を改善する働きがあります。このようにカルシウムやマグネシウム、ビタミンDはお互い協力しながら糖代謝と関わっている栄養素です。これらが不足すると、糖尿病を引き起こすリスクが高まる可能性があります。

例えば、実際に糖尿患者の多くに高カルシウム尿症や低マグネシウム血症が見られており、カルシウムとマグネシウムを十分量摂取すると2型糖尿病のリスクが軽減するという報告があります。

これは、糖尿病によって高血糖状態が続くと、「高浸透圧利尿」が引き起こされ、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが尿で排泄されてしまうためです。カルシウムやマグネシウムが不足すると、インスリンの分泌や働きが低下して更なる糖代謝の悪化に繋がり、糖尿病が進行してしまいます。

カルシウム不足と糖尿病の関係。糖尿病では高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムが不足することから、この2つには深い関係がある

通常、カルシウムやマグネシウムが不足している場合では、腎臓でのビタミンDの働きによってカルシウムやマグネシウムの再吸収が促進され、カルシウムやマグネシウムが尿で排泄されにくくする仕組みが備わっています。しかし、糖尿病患者では、血糖値が高いために腎臓でのグルコース(ブドウ糖)再吸収が飽和し、グルコースが尿中に排泄されてしまいます。この際、尿の量が増えることで、尿中のカルシウム・マグネシウム排泄が増加し、さらにこの状態では尿細管でのカルシウム・マグネシウム再吸収が抑制されてしまうことから、カルシウム・マグネシウム不足に陥りやすくなるというわけです。

マグネシウムが不足すると、「1αヒドロキシラーゼ」という酵素が作れなくなり、活性型ビタミンDが不足します。1αヒドロキシラーゼは、腎臓でビタミンDを活性型ビタミンDに変換するために必要な酵素です。この酵素の働きには「マグネシウム」が必要で、マグネシウムが無ければビタミンD3を活性化させて利用することが出来ません。

活性型のビタミンD3は、カルシウムの吸収や血中カルシウム濃度を調節し、インスリンの分泌にも関わっています。糖尿病では高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが尿で排泄されてしまうことから、1αヒドロキシラーゼの活性が低下し、それに合わせて活性型ビタミンDの変換量が低下して腸管カルシウム吸収量が低下してしまいます。このように、糖尿病とカルシウム・マグネシウム不足には深い関係があります。

加えて、マグネシウムは脂質や糖質などから身体を動かしたり体温を維持したりする為に必要な「エネルギー代謝」に関わっている栄養素です。マグネシウムが不足すると糖や脂質の利用がうまく出来なくなって血糖値が上昇しやすくなります。このマグネシウム不足も糖尿病と深い関係があります。

マグネシウムは糖代謝に関わっており、糖尿病患者の多くに低マグネシウム血症が見られる

マグネシウムが不足すると、糖代謝を始めとしたエネルギー産生に悪影響を与えます。具体的には、エネルギーの元となる「ATP(アデノシン三リン酸)」にはマグネシウムが結合していて、エネルギー供給のための基質として機能しています。ATPとはミトコンドリアが糖質や脂質を元に作るエネルギーの電池のようなもので、私達の身体はこのATPを利用して身体を動かしたり体温を維持したりしています。

エネルギーの電池であるATPを作る仕組み。ATPが多いほどエネルギー量が多くなる。このATPを作るためには、マグネシウムなどが関わっている

このATPを作るためには、糖質や脂質、タンパク質の他に鉄やビタミンB群、マグネシウムなどが必要です。もしマグネシウムが不足していた場合は、ATPを作り出せる量が減ってしまい、身体はエネルギー不足に陥ります。

例えば、グルコース(ブドウ糖)をもとにグルコース6-リン酸を作り出す場合は、「ヘキソキナーゼ」という酵素が必要になり、この酵素にはマグネシウムが使われています。また、フルクトース6-リン酸からフルクトース1,6-二リン酸を作り出す場合にも、「ホスホフルクトキナーゼ」というマグネシウムが使われた酵素が必要です。マグネシウム不足の状態では、これらの代謝がうまくいかなくなってしまい、代謝が滞ってエネルギー不足に陥ってしまいます。

エネルギー不足になると、疲れやすくなったり、めまいや息切れがしたり、身体が冷えたりうつ症状が起こるなど様々な不調が引き起こされます。また、糖質や脂質をエネルギーとしてうまく利用出来なくなってしまうので、太りやすくなったり脂質異常症などを引き起こしやすくなります。

この悪循環によって、血糖コントロールがうまくいかなくなったり、血糖値が上がりすぎたりして糖尿病を発症しやすくなります。このように、マグネシウムは糖代謝と深い関係がる栄養素です。

ビタミンDは、マグネシウムによって活性化され、カルシウムの吸収を促してインスリンの分泌に関わっています。カルシウムとマグネシウムはインスリンの感度や作用、エネルギー代謝と関係が深く、カルシウムとマグネシウム、ビタミンDの十分な摂取はインスリン抵抗性の改善に役立ちます。ビタミンDとカルシウム・マグネシウムはセットで働いていることから、ビタミンDを摂取する際はカルシウムとマグネシウムも共に摂取することが大切です。

ナンナン

げげっ❗ビタミンDが不足すると糖尿病に繋がるのか❗

はる かおる

そうそう。ビタミンDとカルシウム・マグネシウムはインスリンの分泌や糖代謝に関わっているから、不足すると糖尿病になりやすくなるんだよ

ビタミンDの働き⑥ 筋肉を強くし、サルコペニアの予防・改善に役立つ

ビタミンDは、筋肉を強くしたり、筋肉量を維持したりする働きに関わっており、サルコペニアの予防や改善に役立ちます。ビタミンDと言えば骨を強くするだけの栄養素と思われていますが、実はそれ以外にも様々な効果があります。その1つが、筋タンパク質の合成の促進や、筋肉のエネルギー代謝を調整する働きです。

ビタミンDには、筋肉に含まれるBCAAの分解を抑制してくれるという結果が出ています。これは、ビタミンDが筋タンパク質の合成を促進することから、筋肉の成長や修復が促進され、BCAAが分解されるのを抑制すると考えられています。また、ビタミンDは筋肉のエネルギー代謝を調整する役割があることから、ビタミンDが筋肉のエネルギー代謝を調整し、BCAAの分解を抑制してくれる働きがあると考えられています。

https://www.j-milk.jp/report/study/health/h4ogb400000040mw.htmlより

また、ビタミンDはカルシウムの吸収を促し、カルシウムは筋肉の収縮や弛緩など神経伝達に関係する栄養素です。カルシウムが十分にあると、筋肉の神経伝達と機能を向上させてくれます。筋肉の機能が向上することで、運動時のパフォーマンスや筋力が向上し、質の良い筋肉が作られる可能性が高まります。

このようなビタミンDと筋肉との関係性については、特に高齢者のサルコペニア(筋肉量の減少)対策として注目されていました。血中のビタミンDの濃度が低い人ほど筋肉量が少なく、逆に血中のビタミンD濃度が高いほど筋肉量の低下を予防出来るとの研究結果が出ています。

サルコペニアとは、高齢に伴って筋肉量が減少していくことで、筋肉量や身体機能、運動機能が低下する減少のことです。一般的に加齢に従って筋肉量は低下していきますが、サルコペニアでは筋肉量や身体機能の低下が日常生活に支障を生じるレベルで影響を受けている状態のことです。

サルコペニアとは、高齢に伴って筋肉量が減少していく現象を指す。その低下のレベルが日常生活に多大なる支障が生じていると、サルコペニアと判断する事が出来る

サルコペニアが進行すると、筋肉量の低下や身体機能の低下によって基礎代謝が低下し、糖尿病や心疾患など様々な病気にかかるリスクが高まります。特に、筋肉量が減少して同時に体脂肪が蓄積して肥満になると「サルコペニア肥満」となり、これが糖尿病や高血圧、脂質異常症など代謝疾患や、運動機能低下のリスクが非常に高まる原因となります。

サルコペニアで筋肉が減少すると、基礎代謝が低下して体脂肪が蓄積しやすくなる。このサルコペニアと肥満が合わさると「サルコペニア肥満」になり、様々な病気のリスクが非常に高まる

また、サルコペニアでは骨を支える筋肉量が低下しているために、骨折しやすくなったり要介護状態になりやすくなったりと、健康寿命が短くなる大きな原因となっています。そのため、サルコペニアは単に筋肉量が低下するだけで無く、様々な病気を引き起こす原因です。

サルコペニアの原因には加齢が主な要因ですが、それ以外にも運動不足や外出不足など「身体的活動の低下」「低栄養」も関係していると言われています。特に普段から家で過ごす時間が長い方は、日光を浴びないためにビタミンDが不足しやすくなります。また、高齢になると食事がおっくうになったり、食べる量が低下したり食生活が偏ったりしてタンパク質を始めとした栄養素の摂取量が低下する方もいます。このようなこともサルコペニアに繋がる要因と考えられています。

そのため、サルコペニアを予防するためには、若いうちから運動する習慣を付けておくことと、タンパク質やビタミン、ミネラルを始めとした十分な栄養と食事を摂る事を心がけておくことが大切です。特に筋肉を作るためにはタンパク質が重要ですので、ビタミンDも併せて若いうちから摂取する習慣を身につけておきましょう。

それから、ビタミンDは高齢やサルコペニアの方以外に、アスリートや運動をしている方も不足している場合があります。特にバスケットボールやバレーボール、卓球など屋内で運動をしている方は注意して下さい。

理由としては、日光に当たらないスポーツをしている人はビタミンDの合成量が少ないために、血中ビタミンD濃度が低下している可能性があるためです。ビタミンDは日光に当たることでも合成することが出来ますが、屋内での活動時間が多いスポーツや運動の場合は日光に当たる時間がそれほど多くありません。また、ビタミンDはキノコや魚などの食事からでも摂取することが出来ますが、その量は十分とは言い難い量です。

そのため、運動をしている一部の方はビタミンDが慢性的に不足し、質の良い筋肉が作れていない可能性があります。当てはまる方は、質の良い筋肉を付けるためにも、ビタミンDをしっかり補給していきましょう。ビタミンDの補給目安としては、血液検査項目である「25-OHビタミンD」の数値で分かります。25-OHビタミンDが80〜100程度あれば十分ですが、それ以下の場合は積極的にビタミンDを補給するのがオススメです。25-OHビタミンDの検査は、後述するオーソモレキュラー療法の血液検査の項目にも含まれています。興味ある方は是非オーソモレキュラー療法の血液検査を受けてみて下さい。

はる かおる

あまり知られていないけど、質の良い筋肉を付けるためにはビタミンDも欠かせないんだ。ビタミンDは日光に当たることで合成することが出来るけど、日に当たらない場合は不足しやすい。特に屋内で行う運動や日焼け止めをガッツリ塗るような場合はビタミンDが不足している可能性が高いから注意してね。

ビタミンDの働き⑦ 小腸にある絨毛細胞の分化・伸長を促進する

ビタミンDは、小腸の絨毛(じゅうもう)細胞の分化・伸長を促進し、小腸の粘膜を改善する働きがあります。また、細胞同士の結びつき(タイトジャンクション)を形成するタンパク質を増加させる働きがある事から、リーキーガット症候群などの改善にも期待出来る栄養素です。

例えば、私達が食べた物は胃で消化され、小腸に運ばれてそこで必要な栄養素が吸収されています。この小腸はひだ状の構造をしていて、細かい無数の突起(絨毛)で占められています。栄養を吸収しているのこの絨毛の表面を覆っている「吸収上皮細胞」で、必要な栄養素は吸収し、細菌や不要な物などは取り込まずに大腸へ流して便として排泄するという仕組みになっています。

小腸はひだ状の構造をしていて、表面は無数の細かい突起(絨毛)で覆われている。この絨毛は、栄養素を吸収する機能を担っている

この小腸の機能がしっかりしていれば、細菌や異物などは入り込まないため、生体内異物が血液中に侵入することはありません。しかし、この腸粘膜の細胞同士の結びつきが弱まって隙間が出来てしまうと、そこから異物が血液中に侵入してしまいます。このような腸粘膜の細胞同士の結びつきが弱まって異物が血中に漏れて侵入してしまう状態を、「リーキーガット症候群」と言います。

リーキーガット症候群とは、腸粘膜の細胞同士の結びつきが弱まって隙間が出来てしまい、そこから異物が血中に侵入してしまう状態の事

この異物には細菌や未消化の分子の大きいタンパク質などが含まれ、これらが血液中に入り込むと免疫細胞が異物と捉えて抗体を作り、攻撃します。この免疫が反応して攻撃することで、体内では炎症が発生して様々なアレルギー反応を起こす原因となります。

また、アレルギー以外にも腸から漏れ出た異物が肝臓に運ばれることで肝臓にダメージを受けたり、異物が全身に運ばれて炎症を起こすことで自己免疫疾患や炎症性疾患、糖尿病など様々な病気に繋がる可能性があると言われています。

血中に未消化の食べ物や細菌などが入り込むと、それらは免疫細胞から異物として認識されて攻撃される。この反応が過剰になる事で、アレルギー反応を起こす原因になる

リーキーガット症候群に関連して起こる主な疾患

自己免疫疾患

  • セリアック病:グルテンに対する免疫反応が腸内で引き起こされる自己免疫疾患。
  • 1型糖尿病:インスリンを分泌する膵臓のベータ細胞に対する自己免疫反応。
  • 関節リウマチ:関節の滑膜に対する免疫反応。
  • 多発性硬化症:中枢神経系の髄鞘に対する免疫反応。
  • クローン病:消化管全体にわたる慢性炎症性疾患。

消化器疾患

  • 過敏性腸症候群(IBS):腸の機能的な異常による腹痛や不快感。
  • 炎症性腸疾患(IBD):クローン病や潰瘍性大腸炎を含む腸の慢性炎症性疾患。
  • 潰瘍性大腸炎:大腸内の慢性的な炎症と潰瘍。

皮膚疾患

  • 乾癬:皮膚に鱗屑や発赤を伴う慢性皮膚疾患。
  • アトピー性皮膚炎:慢性的な炎症性皮膚疾患。

精神疾患

  • うつ病:長期間にわたる気分の低下や無気力感。
  • 不安障害:過剰な不安や恐怖を感じる状態。
  • 自閉スペクトラム症(ASD):社会的コミュニケーションや行動に関する発達障害。

代謝疾患

  • 肥満:体脂肪が過剰に蓄積された状態。
  • 2型糖尿病:インスリン抵抗性により高血糖状態が続く疾患。
  • 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD):肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態。

その他の疾患

  • アレルギー性疾患:花粉症や食物アレルギーなど、過剰な免疫反応による疾患。
  • 喘息:気道の慢性炎症による呼吸困難。
  • 慢性疲労症候群(CFS):持続的な疲労感を特徴とする疾患。

ビタミンDは、この小腸の絨毛(じゅうもう)細胞の分化・伸長を促進し、細胞同士の結びつき(タイトジャンクション)を形成するタンパク質を増加させる働きがある事から、リーキーガット症候群などの改善に役立ちます。

ただし、ビタミンDを摂ればリーキーガット症候群が改善出来るというわけではありません。リーキーガット症候群の原因には胃腸機能の低下や腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の乱れなど、様々な原因が関係しています。ビタミンDの摂取と併せて、きちんと原因からアプローチしていくことが大切です。

ナンナン

り、リーキーガット症候群❗❓
何だか怖い病気だね💦

はる かおる

腸は全身の健康状態と関連が深いと言われているから、リーキーガット症候群になると糖尿病やアレルギーなど様々な病気を引き起こす原因になるよ。ビタミンDは腸粘膜の細胞同士の結びつきを強くする働きがあるから、リーキーガット症候群の改善にも良いと言われているんだ。

ビタミンD不足になりやすい人とその原因

ビタミンDの働きでも解説した様に、ビタミンDはカルシウムの吸収や調節、糖代謝や神経細胞の保護など様々な代謝に関わっています。そのため、不足すると様々な疾患を引き起こします。

例えば、ビタミンD不足が引き起こす症状と影響としては次のようなものが挙げられます。

ビタミンD不足が引き起こす症状と影響

1. 骨と筋肉の健康に関する影響

  • 骨軟化症(成人):ビタミンD不足はカルシウムの吸収を妨げ、骨の軟化と弱化を引き起こします。
  • くる病(小児):成長中の子供において骨が十分に硬化せず、骨の変形や発育障害を引き起こします。
  • 骨粗鬆症:骨密度が低下し、骨折のリスクが増加します。
  • 筋力低下:ビタミンD不足は筋力の低下を引き起こし、転倒や怪我のリスクが高まります。

2. 免疫系への影響

  • 感染症リスクの増加:ビタミンDは免疫機能に重要な役割を果たしており、不足すると感染症(例:風邪、インフルエンザ)のリスクが高まります。
  • 自己免疫疾患:ビタミンD不足は自己免疫疾患(例:多発性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ)のリスクを増加させる可能性があります。

3. 精神的健康への影響

  • うつ病:ビタミンD不足はセロトニンの合成に影響を与え、気分の低下やうつ病・冬期うつのリスクを高めることがあります。
  • 認知機能の低下:ビタミンDは脳の健康にも重要で、不足すると認知機能の低下やアルツハイマー病のリスクが増加する可能性があります。

4. その他の健康への影響

  • 心血管疾患:ビタミンD不足は高血圧や心血管疾患のリスクを増加させることがあります。
  • 糖尿病:ビタミンD不足はインスリン感受性の低下や2型糖尿病のリスク増加と関連しています。
  • がん:ビタミンD不足は一部のがん(例:大腸がん、乳がん、前立腺がん)のリスクを増加させる可能性があります。
  • 角化症:ビタミンD不足では正常な角化が阻害され、尋常性乾癬や掌蹠角化症など角化症の原因となることがあります。
  • リーキーガット症候群:ビタミンD不足では腸粘膜同士の結びつきが弱くなり、生体内異物が血管に侵入しやすくなります。
ビタミンDが不足するとカルシウムも不足し、カルシウム不足による高血圧や骨粗しょう症など様々な疾患も引き起こす

ビタミンDは現代人において特に不足しやすいビタミンと言われており、老若男女問わず不足のリスクが高い栄養素です。例えば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、18歳以上の男女のビタミンD摂取目安量は、一日あたり340IU (8.5㎍)と定められています。(IUは国際単位。ビタミンD 1IUは0.0025㎍、1㎍=40IU)

この摂取量としては、まいわし一尾分(80g)でビタミンD 32㎍、鮭一切れ(80g)に25.6㎍含まれていることから、一見すると基準値よりも十分な量を摂取出来ているように思えます。

ビタミンDが多い食品

鮭1切れ(80g) ……25.6㎍
サンマ1尾(100g) ……11㎍
ブリ1切れ(80g) ……6.4㎍
まあじ1尾(80g) ……6.3㎍
まいわし一尾 生(80g)……32㎍
しらす 生 (10g)……0.7㎍
釜揚げしらす(10g)……0.4㎍
しらす干し(半乾燥品)10g  ……6.1㎍
しいたけ(生)2個(30g)) ……0.1mg
しいたけ(乾燥)2個(6g) ……1㎍
エリンギ1/2パック(50g) ……0.6㎍
卵1個 (65g)……2.5㎍
鶏もも肉(皮つき)1/2枚(150g……0.6㎍

※『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より作成
ビタミンDが多い主な食品

しかし、この「日本人の食事摂取基準2020年版」は、骨折を予防するために必要とされる最低量から、体内合成量を差し引いた値を元に設定されたものです。加えて、この目安量は、適度に日光に当たり、体内でビタミンDが一定量作られることを前提として考慮されています。

そのため、その人にとって目安量が必要量であるとは限りません。日照時間や日光に浴びる時間によっては、ビタミンDの合成量が異なるため、住んでいる地域や季節によっても必要量が変わってきます。特に、紫外線量の少ない地域や冬には、食品からのビタミンD摂取をより意識する必要があります。

また、ビタミンD3の合成量や吸収量は加齢と共に減少し、ビタミンDの需要は病態の有無や生活習慣の影響も受けます。このことから、一人一人に必要なビタミンDの摂取量は異なり、目安量よりも多くのビタミンDを摂取することが必要です。

例えば、妊娠している方や授乳中の方、成長期のお子さんは特に不足しやすいと言われています。これは、お腹にいる赤ちゃんや成長期のお子さんは、骨を作るためにビタミンDやカルシウムの需要が大幅に増加するためです。他にも、高齢者の方や肝疾患・腎疾患を抱えている方などはビタミンDが不足しやすいと言われています。

ビタミンD不足になりやすい人とその原因

  • 高齢者
    皮膚のビタミンD合成能力の低下、消化吸収能力の低下、食事量の減少、屋内での活動時間の増加。
  • 日光をあまり浴びない人
    日中屋内で過ごす時間が長い人や、日焼け止め対策を行っている人。北緯37度以北の地域に住む人(石川県・新潟県・長野県・群馬県・福島県・栃木県・茨城県よりも北に住む方)は日照時間が少なくビタミンD不足になりやすい
  • 肌の色が濃い人
    メラニンが紫外線の吸収を増加させ、ビタミンD合成を抑制する。
  • 肥満の人
    肥満による慢性的な炎症の増加、脂肪細胞におけるビタミンD代謝の低下によってビタミンD血中濃度が低下する。2
  • 腎疾患を抱えている方
    腎機能の低下により、ビタミンDの活性化が不十分になる。
  • 肝疾患を抱えている方
    肝機能が低下するとコレステロールが低下し、ビタミンDの合成量や活性化、貯蔵機能が不十分になる
  • 脂肪吸収不良を抱えている方
    クローン病、セリアック病、すい臓炎などの消化器疾患は、脂肪の吸収を妨げ、結果としてビタミンDやマグネシウムの吸収も阻害される。特にすい臓で作られる膵リパーゼは脂肪を分解する働きがあり、すい炎では脂肪をはじめとした吸収不良が起こる
  • 糖尿病を抱えている方
    高血糖状態が続くと、尿中にマグネシウムが過剰に排泄されるため、糖尿病患者はマグネシウム不足のリスクが高まる
  • 妊婦と授乳中の女性
    胎児や乳児にビタミンDが移行し、母体でのビタミンD不足が生じやすい。
  • 乳幼児と子供
    母乳のみの授乳や栄養不足、日光曝露不足により、ビタミンDの摂取が不十分になることがある。
  • 成長期のお子さん
    成長期で骨を伸ばすために成人よりも多くのビタミンD・カルシウムが必要となる。子供の頃に十分なカルシウムやビタミンDが摂取出来ないと骨形成が不十分となる「くる病」のリスクが高くなる。
  • お酒をよく飲む方、アルコール依存症:
    アルコールは腎臓でのマグネシウム排泄を増加させ、食事からの吸収を妨げる
  • 特定の薬を服用している方:
    利尿薬、抗生物質、抗がん剤、制酸剤などは、マグネシウムの吸収を妨げたり、排泄を促進するため、これらの薬を長期間服用している人は注意が必要
  • スポーツ選手や激しい運動を行っている方
    大量に汗をかくことで、マグネシウムを含む電解質が失われやすくなる。
    体重制限種目における不適切な食事、栄養摂取量の低下
  • ストレスの多い方:
    慢性的なストレスはマグネシウムを消耗する
  • 不適切な食事をしている方:
    緑葉野菜、ナッツ、全粒穀物、豆類などのマグネシウムを豊富に含む食品を十分に摂取していない人、キノコ類や魚類をあまり食べない人は、マグネシウム不足・ビタミンD不足になりやすい。
  • 油物をあまり食べない方
    ビタミンDは脂溶性ビタミンのため、油を同時に摂らないと吸収されにくい
  • 加工食品の摂取量が多い人
    加工食品に含まれる「リン酸」の摂取量が多いと、マグネシウムの吸収が阻害される

特に妊産褥婦(にんさんじょくふ。妊娠中又は出産後一年以内)の方はビタミンDが特に不足していると言われ、複数の「妊産褥婦の血中ビタミンD濃度に関する論文」を参考に検討した血中ビタミンD濃度の平均値では、血中ビタミンD濃度(血中25OHビタミンD濃度)が20〜30ng/mlを下回っている方が殆どであったという結果になっています。

複数の「妊産褥婦の血中ビタミンD濃度に関する論文」では、妊産褥婦の殆どにビタミンD不足が見られた

この妊産褥婦におけるビタミンDの不足は、お腹の中の赤ちゃんにも影響を与えます。赤ちゃんはお母さんから栄養を受け取っているため、お母さんがビタミンD欠乏の状態であれば赤ちゃんもビタミンD欠乏になります。この影響は生後10年近く残存するという報告があり、SGA児(標準的な身長や体重に比べて小さく生まれた新生児)になりやすくなる、アレルギー疾患になりやすくなる、くる病を発症しやすくなるなど赤ちゃんに大きな影響を与えてしまうことが分かっています。

妊娠期における母親のビタミンD不足は、胎児にも影響する。ビタミンD不足の子供は、くる病やアレルギー疾患などになりやすい

また、ビタミンDは正常な細胞の分化・分裂に関わっており、生殖機能や出生力に不可欠な栄養素です。主に、精子形成や精子の質、卵巣予備機能などの生殖機能と関わっていることから、妊娠を希望する男女はより多くのビタミンDが必要になります。

ビタミンDは細胞の分化分裂に関わっていることから、精子形成や質など生殖機能にも関わる

このように、ビタミンDは一人一人に必要な量が異なり、目安量よりも多くのビタミンDを摂取することが必要です。特に現代人においては屋内で生活することが多くなり、慢性的にビタミンDが不足している状態です。

もし上述のリストに当てはまる方は、ビタミンDが不足している可能性があります。次のビタミンD不足チェックとビタミンD不足を調べる検査項目を参考に、ビタミンDが不足していないかどうかをチェックしてみて下さい。

ナンナン

なるほど・・・
栄養摂取目安は最低限必要な量で、その量を摂っていれば足りているわけじゃ無いんだね💧

はる かおる

そうそう。ビタミンDの摂取目安は日光に当たることを前提にした摂取量になっているから、その量を摂っていれば足りているわけじゃ無いんだよ。オマケに、妊婦さんやお子さんなどビタミンDの需要が高い人もいるから、目安量が必要量とは限らないんだ

ビタミンD不足チェックとビタミンD不足を調べる検査項目

ビタミンD不足をチェックする方法としては、骨粗しょう症の骨の状態を知る検査や、体内の栄養状態を知る血液検査があります。これら検査に加えて、ビタミンDが不足すると起こる自覚症状の有無にどれだけ当てはまっているかも参考になります。

まずは、次のビタミンD不足チェックリストの中から当てはまる項目をチェックし、ビタミンD不足のリスクがどれだけ高いかをチェックしてみて下さい。多く当てはまるほど、ビタミンD不足のリスクが考えられます。

ビタミンD不足チェックリスト

骨と筋肉の症状

1. 日光浴

  • 週に数回、15分以上の直射日光を浴びていますか?

2. 食事内容

  • 魚(特に脂肪の多い魚)を週に2回以上食べていますか?
  • ビタミンD強化食品(牛乳、シリアルなど)を摂取していますか?

3. サプリメント

  • ビタミンDサプリメントを摂取していますか?

4. 生活習慣

  • 日中に屋外で過ごす時間が多いですか?
  • 皮膚を覆う衣服を着ることが多いですか?
  • 日常的に日焼け止め対策を行っていますか?

5. 身体的な症状

  • 骨や関節に痛みを感じることがありますか?
  • 筋力の低下を感じることがありますか?
  • しばしば骨折しやすいと感じますか?
  • 慢性的な疲労感がありますか?

6. 精神的な症状

  • 最近、気分の落ち込みやうつ症状を感じますか?
  • イライラしやすい、集中力が低下していると感じますか?

7. 健康状態

  • 消化器疾患(クローン病、セリアック病など)がありますか?
  • 腎臓病や肝臓病を患っていますか?
  • 体重が過剰(肥満)または著しく低いですか?
  • コレステロール値が低すぎる・高すぎることはありませんか?
  • リーキーガット症候群に当てはまっていますか?

8. 年齢と肌の色

  • 60歳以上ですか?
  • 肌の色が濃い(メラニンが多い)ですか?

9. 薬の服用

  • 抗てんかん薬、ステロイド薬、利尿剤を長期間服用していますか?

皮膚と爪の症状

8. 乾燥肌や皮膚のトラブル

  • 皮膚がカサカサしやすく、かゆみや湿疹が出やすいですか?
  • タコやウオノメなど、角化症を抱えていますか?
  • アトピー性皮膚炎を抱えていませんか?

その他の症状

12. 記憶力や集中力の低下

  • 注意力散漫、記憶力の低下を感じていますか?

13. ホルモンバランスの乱れ:

  • 月経不順がありますか?
  • PMSの症状が重いことはありませんか?3

14. 不眠や頭痛

  • 睡眠障害(不眠症)に悩まされていませんか?
  • 頭痛や偏頭痛が頻繁に起こっていませんか?

生活習慣に関する質問

1. 食生活:

  • 加工食品や精製食品を多く摂取していませんか?

2. 飲酒:

  • アルコールを頻繁に飲んでいませんか?(胃粘膜へのダメージ、利尿作用、肝機能悪化)

3. ストレス:

  • 慢性的なストレスを感じていませんか?

5. 免疫状態:

  • 風邪を引きやすくありませんか?
  • ガンなど抱えていませんか?
  • リウマチなどの自己免疫性疾患を抱えていますか?

また、先ほど挙げた「ビタミンD不足になりやすい人」に当てはまる方は、ビタミンD不足のリスクが高いので注意が必要です。ビタミンD不足チェックに多く当てはまった方や、ビタミンD不足になりやすい人に当てはまる方は、次の検査も受けてビタミンD不足の状態やリスクを知り、適切な対応を取るようにしましょう。

ビタミンD不足を調べる検査項目

ビタミンD不足かどうかをチェックする検査としては、主に骨粗しょう症など骨の状態をチェックする検査と、血液検査があります。血液検査では体内のビタミンDの不足状態とビタミンDの需要を知ることができ、骨粗しょう症の検査では骨の健康状態とビタミンDの需要を知ることが可能です。

例えば、次の血液検査項目などでビタミンDの不足状態や需要を知ることが出来ます。

スクロールできます
検査項目意味 ビタミンD不足では
BS
血糖値
血液内のグルコース濃度上昇しやすい
HBA1c
ヘモグロビンエーワンシー
ヘモグロビンに対する
糖化ヘモグロビンの割合
上昇しやすい
1,5AG
1,5-アンヒドログルシトール
短期的な血糖変動を反映する
尿糖が出ると値が低くなり、
尿糖が出ないと値が高くなる
 糖尿病では
低下することが多い
CPR
Cペプチド
インスリンと一緒に血中に分泌
されるペプチド。
上昇はインスリン抵抗性
インスリン抵抗性が
ある場合は上昇する
ALP
アルカリホスファターゼ
亜鉛を材料に肝臓や骨などで
作られる酵素。活性化に
マグネシウムが必要
成長期及び骨粗しょう症では上昇
WBC
白血球数
血液中の白血球の総数。
骨髄で産生される
感染症や血液の病気によって
上昇または低下する
N
好中球
細菌感染防御に関わる細胞
運動やストレスでは上昇する
ストレスが持続している
場合や運動で上昇
Eo
好酸球
体内に侵入した異物と闘う細胞
アレルギーやストレスで低下する
ストレスが持続している
場合に低下
CRP
C反応性タンパク 
炎症で反応するタンパク質感染症や炎症などで上昇する
K
カリウム
血液中のカリウム濃度体全体のミネラル量の指標
高浸透圧尿などで低下しやすい
RBC
赤血球
酸素を運搬する細胞。
骨髄で産生される
再生不良性貧血では減少
PLT
血小板
血液中の血小板の数。骨髄で産生され
止血する役割をもつ
肝疾患や再生不良性貧血
では減少
TC
総コレステロール
血液中に含まれる
コレステロールの総数
コレステロール値が低値では
ビタミンDの合成が抑制される。
CHE
コリンエステラーゼ
肝臓で作られる酵素。
アセチルコリンを分解する働きがある
肝機能低下で数値が低下
肥満や脂肪肝で上昇。
 γ-GPT
γ-グルタミル
トランスペプチダーゼ
グルタチオンなどのγ-グルタミル基
の反応に関わる酵素。胆汁うっ滞や
飲酒、脂肪肝などで上昇
胆汁うっ滞や飲酒、脂肪肝
などによって上昇
 PGⅠ
ペプシノーゲンⅠ
胃酸の分泌機能を示す胃酸の分泌機能低下で数値が低下
胃酸抑制剤の服用で擬高値
 PGⅡ
ペプシノーゲンⅡ
胃粘膜の炎症の状態を示すアルコールやピロリ菌などの影響で
胃粘膜に炎症が発生すると上昇
 PGⅠ/PGⅡ比
ワン・ツー比
PGⅠとPGⅡの比。
低値は胃粘膜の萎縮を示す
アルコールやピロリ菌などの影響
で胃粘膜に萎縮が発生すると低下
CRE
クレアチニン
筋肉に含まれる代謝物。
低値は筋肉量の低下
高値は腎機能の低下など
筋肉量の低下で数値が低下
腎機能の低下で数値が上昇
推算GFR腎臓の糸球体濾過量。
低値は腎機能低下
腎機能低下では低値となる
尿糖尿に糖が高濃度に含まれると陽性。糖尿病、高血糖で陽性となる。
尿タンパク尿にタンパク質が高濃度に
含まれると陽性。
陽性は腎臓に何らかの異常がある
可能性あり。運動や発熱で擬陽性
尿潜血反応腎疾患で陽性。月経による出血や
尿路感染症で擬陽性
尿路感染症では、場合によって
粘膜の強化を推奨
血清 フェリチン体内の貯蔵鉄量。
がんや慢性炎症があると上昇する
がんや慢性炎症では
鉄の利用障害によって上昇
鉄欠乏性貧血で低下
ビタミンDの需要と不足を調べる検査項目(主要なもの一部を掲載)

ビタミンDは、「ビタミンDの働き」でも解説した様に、カルシウムの吸収や調節、糖代謝や神経細胞の保護、免疫機能や皮膚・粘膜のバリア機能、細胞の分化分裂など様々な代謝に関わっています。そのため、血液検査項目ではこれら糖代謝や脂質代謝、骨代謝、免疫機能、赤血球や白血球など血球系の検査項目と、肝臓や腎機能がビタミンD不足と需要のマーカーとして参考になります。

また、ビタミンDの活性化に必要なマグネシウムの需要も知ることが大切です。マグネシウムはストレスでも消耗しやすいことから、ストレスが持続している場合に数値が変動する好酸球や好中球などはマグネシウムの需要を知る上で役立ちます。

特に、マグネシウムの不足と需要を知る上で最も参考となるのが、「ALP:アルカリホスファターゼ」です。ALPはリン酸化合物を分解する酵素のことで、肝臓や骨、小腸や腎臓などの臓器や器官に存在しています。この酵素は骨芽細胞の細胞膜に存在し、骨代謝に大きく関わっていることから、骨形成状態や骨粗しょう症など骨がどれだけ壊されているかのマーカーとして知られています。

また、ALPは肝臓で作られる「胆汁」と共に排泄されていることから、肝臓や胆道の病気で胆汁が排泄されなくなると血中に溢れて値が上昇します。そのため、肝臓や胆のうの異常や病気を知るためのマーカーでもあります。

アルカリホスファターゼはマグネシウムによって活性化されて利用されていることから、値が低い場合はマグネシウム不足の可能性がある

このALPは亜鉛を元に作られる酵素で、作られた酵素はマグネシウムによって活性化されて利用されています。そのため、ALPの値が低い場合は亜鉛不足及びマグネシウム不足の可能性が考えられます。

また、成長期や骨折時、骨粗しょう症や脂肪肝などでは上昇することが知られており、胆石など肝臓や胆のうの病気が否定されている場合には骨の異常やカルシウム・マグネシウムの需要が増加していることが考えられます。

そのため、このALPが高い場合や低い場合は、いずれにしてもカルシウムとマグネシウム、ビタミンDの不足や需要増加を疑いましょう。

加えて、ビタミンDは骨代謝に関わっていることから、骨の健康状態をチェックすることでもビタミンDの需要を知ることが出来ます。特に閉経後の女性や糖尿病を抱えている方は、骨粗しょう症のリスクが高まりますので、骨の健康状態もチェックしておいて下さい。骨の健康状態をチェックする検査としては次のような検査があげられます。

骨の健康をチェックするための検査項目例
スクロールできます
検査項目意味数値の目安
OC
オステオカルシン
骨芽細胞の活性状態を示す。
骨形成マーカー
3〜13 ng/mL
ucOC
未成熟オステオカルシン
骨質の健全性を示す
高値は骨折リスク上昇
4.5 ng/mL未満
TRACP-5b破骨細胞の活性化状態を示す
骨吸収マーカー
男性 590
女性420
mU/dL以下
U-Ca
尿カルシウム
尿中へのカルシウム排泄量を示す
高値は骨吸収促進の可能性
10mg/dL以下
25-OHビタミンD
血中ビタミンD濃度
骨吸収・骨形成バランスに関係
低値は骨粗しょう症リスク上昇
80〜100ng/mL
骨の状態をチェックできる血液検査項目

これらは血液検査で知ることができ、主に骨がどれだけ壊されているかや骨がどれだけ作られているかを知るマーカーとして役立ちます。また、カルシウムとマグネシウムの摂取量と、血中ビタミンD濃度をあわせて見る事で、骨粗しょう症リスクや骨吸収、骨形成バランスを知る指標にもなります。これら検査を行い、骨代謝の状態を調べて見て下さい。

ただし、血液検査では骨代謝の状態は調べることが出来ますが、実際の骨量や骨密度を調べることは出来ません。実際の骨量や骨密度を知るためには、血液検査以外に骨量・骨密度測定を行う事が必要です。

骨量や骨密度測定にはいくつかの種類があるが、その中でも正確に測定できるDXA法がオススメ

骨量・骨密度を測定する検査としては、超音波検査やDXA法(デュアルエネルギーX線吸収測定法)、MD法(マイクロデンス測定法)などがあります。それぞれ特徴やメリット・デメリットがありますが、オーソモレキュラー療法ではDXA法による測定をオススメしています。

まず、超音波検査については、かかとやすねの骨に超音波を当てて骨密度を測定する方法です。こちらはX線を使用していないため、妊娠中の方でも安全に測定することが可能ですが、他の方法に比べて精度が低いため、体全体の骨密度を評価したり骨粗しょう症の診断をしたりするには適していません。

超音波法

  • 超音波を用いて骨密度を評価する方法。
  • 超音波を用いるため、放射線を使用せず安全。妊娠中の方にも使用可。
  • 検査は数分で完了し、即時に結果が得られる。
  • 他の骨密度測定方法に比べて低コスト。
  • 検査装置が比較的小型で、診療所や家庭でも使用可能。
  • 但し、骨密度を直接測定しているわけでは無いため、他の方法に比べて精度が低い。

体全体の骨密度の評価や、骨粗しょう症の診断をするのには適していない。

もう一つのMD法では、厚さの異なるアルミニウム板に両手を置き、X線でアルミニウム板と同時に撮影することで、骨密度を測定する方法です。得られたX線写真から骨とアルミニウムの濃度を比べることで骨密度を解析します。

こちらの方法は、DXA法に比べて検査時間が短く、安価で簡便に出来るという特徴があります。しかし、測定する部位が手の骨のみのため、全身の骨密度は測定することが出来ません。また、精度はDXA法に比べて劣ります。

MD法(マイクロデンス測定法)

  • X線でアルミニウム板と手の骨を同時に撮影し、骨密度を測定する方法
  • X線を用いるため、被爆リスクがある
  • 検査時間が短く、即時に結果が得られる。
  • DXA法に比べて安価。
  • 検査装置が比較的小型。
  • 但し、骨密度を直接測定しているわけでは無いため、DXA法に比べて精度が低い。

体全体の骨密度の評価や、骨粗しょう症の早期発見には適していない。

対してDXA法では、2種類のX線を用いて、腰椎や大腿骨などの骨密度を測定する方法です。こちらは複数の骨部位の密度を一度に測定できることに加え、X線を使用しますが放射線量は非常に小さく被曝量は微量なことがメリットです。

測定精度は現状最も高く、全身の骨密度評価も可能なことから早期の骨粗鬆症の発見や診断に適しています。ただ、DXA法は他の検査に比べて検査時間が長く、設備も大型なため専門の医療施設でのみ検査可能というデメリットがあります。また、検査費用も比較的高額で、妊娠中の方や授乳中の方は検査することが出来ません。

DXA法(デュアルエネルギーX線吸収測定法)

  • 2種類のX線を用いて、腰椎や大腿骨などの骨密度を測定する方法
  • X線を用いるため被爆リスクがあるが、被曝量は微量
  • 検査時間が比較的長く、検査に時間がかかる
  • 他の検査法に比べてコストが高い。
  • 検査装置が大型なため、専門の医療機関でのみ測定可。
  • 全身の骨密度や複数の骨密度が測定可能
  • 背骨や大腿骨など需要部分の骨密度が最も正確に測定できる

全身の骨密度が測定できることに加え、精度が高いため、骨粗しょう症の早期発見や診断に適している

このような違いから、骨量や骨密度を測定する場合はDXA法がオススメです。骨粗しょう症と診断された場合や、リスクが高いと診断された場合は、カルシウム・マグネシウムのページで解説している分子栄養学的アプローチを参考にケアを行ってみて下さい。

ナンナン

そういえば、糖尿病だと骨粗しょう症になりやすくなるって聞いたことがあるかも💧

はる かおる

そうだね、糖尿病は高浸透圧尿によってカルシウムやマグネシウムの排泄量が増加するから、骨粗しょう症にもなりやすくなるよ。
カルシウムやマグネシウムが不足しているかどうかは、骨密度や骨量を測定して判断した方が良いね。

ビタミンD不足に対する分子栄養学的アプローチ

ビタミンD不足やビタミンDの需要が高い時に対する分子栄養学的アプローチのご紹介です。ここでは、ビタミンD摂取に対する基本的な考え方やアプローチの仕方と、ガンなどに対する免疫力強化や粘膜などバリア機能の強化、角化症に対する分子栄養学的アプローチを解説します。骨粗しょう症に対する分子栄養学的アプローチについては、カルシウムとマグネシウムのページで解説していますのでそちらをご覧下さい。

まず、ビタミンD不足の場合やビタミンDの需要が高いときには、ビタミンDに加えて、タンパク質、ビタミンB群、カルシウム・マグネシウム、ビタミンA、亜鉛をセットで摂取することが基本です。

「ビタミンDが不足しているならビタミンDだけを補給すれば良いのでは?」と思うかも知れませんが、ビタミンDだけを摂取してもあまり意味はありません。ビタミンDは、血中で「ビタミンD結合タンパク」というタンパク質と結合し、運ばれています。また、ビタミンDを活性化させて利用するためにはマグネシウムも必要になります。そのため、ビタミンDを吸収して利用するためには、ビタミンD以外にもタンパク質やマグネシウムなど、その他ビタミンDと協力して働く栄養素も同時に摂取することが必要です。

例えば、ビタミンDの吸収・合成と代謝でも解説した様に、ビタミンDは皮膚から合成する場合と、食事から摂取する2つのパターンがあります。皮膚からの合成では、皮膚に含まれる「7-デヒドロコレステロール」が紫外線を吸収し、「プロビタミンD3」という物質に変換されます。その後、プロビタミンD3は体温によって徐々に変化し、ビタミンD3(コレカルシフェロール)に変換されて血中に分泌されます。この皮膚での合成を行うためには十分なコレステロールが必要で、コレステロールは肝臓で脂質とタンパク質を材料に合成されています。

また、食事からのビタミンDを摂取する場合、ビタミンDは脂溶性のため、水に溶けにくく脂に溶けやすいという特性があります。そのため、体内では脂質や脂溶性ビタミンを水と混ざりやすくするために、肝臓から「胆汁酸」が分泌されています。この胆汁酸は、あぶらと水を混ざりやすくする「乳化」という働きがあり、あぶらやビタミンDなど脂溶性ビタミンの吸収を助けています。この胆汁酸はコレステロールを元に肝臓で合成され、分泌されていることから、ビタミンDの吸収には十分なコレステロールが必要です。

そして、これら血中に入ったビタミンD2やビタミンD3は、血液中で安定して運ぶためにタンパク質で出来たトラック(ビタミンD結合タンパク)と結合し、肝臓まで運ばれています。つまり、ビタミンDを合成するにも吸収するにも、血中で運ぶのにも、いずれの場合においても十分なタンパク質とコレステロールが必要です。

また、ビタミンDを利用するためには肝臓や腎臓作られる酵素の働きによって活性化されることが必要です。もし、この酵素が上手く作られなかったり足りなかったりする場合は、ビタミンDを十分に活性化して利用することが出来なくなってしまいます。この酵素の材料となるのが「タンパク質」や「ビタミンB群」で、さらに酵素の活性化に関わっている重要な栄養素が「マグネシウム」です。

ビタミンDは体内で活性化されて初めて作用する。ビタミンDは、タンパク質によって肝臓に運ばれ、腎臓で活性型に変わる

例えば、ビタミンD3(コレカルシフェロール)は肝臓に運ばれた後に、「25-ヒドロキシラーゼ」という酵素によって25-OHビタミンD3(カルシジオール)に変換されていますが、この「25-ヒドロキシラーゼ」にはマグネシウムが必要です。

また、肝臓で変換された25-OHビタミンD3(カルシジオール)は腎臓に運ばれ、「1α-ヒドロキシラーゼ」という酵素によって活性型のビタミンD3(1α,25-OHビタミンD3 カルシトリオール)に変換されて利用されています。この「1α-ヒドロキシラーゼ」を作るためにも、マグネシウムが必要になります。

そのため、ビタミンDを利用するためにはマグネシウムも必要です。もしマグネシウムの摂取量が不足してしまうと、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっています。

マグネシウムの摂取量が不足すると、ビタミンDが代謝されずに不活性のまま体内に留まることが分かっている

このことから、ビタミンDを摂取する際は、タンパク質やビタミンB、カルシウム・マグネシウムも同時に摂取するようにしましょう。よく、ビタミンD不足の方に対して、日光に浴びることやビタミンDのサプリメントを推奨することがありますが、それだけでは不十分です。

ビタミンDは吸収・活性化されて初めて利用されます。この吸収や活性化には肝臓の状態やタンパク質、マグネシウムの摂取、油脂類との同時摂取などが関係していますので、ビタミンDを摂取するときはこれらの状態や摂取にも気をつけるようにして下さい。

この事を前提に、ビタミンD不足や需要が高い場合に行う基本的な分子栄養学的アプローチとしては次のようになります。

ビタミンD不足や需要が高い時に対する基本的な分子栄養学的アプローチ(1日あたり)

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • カルシウム 600mg〜
  • マグネシウム 300mg〜600mg
  • ビタミンD 4,000IU〜8,000IU
  • ビタミンA
  • 亜鉛

特にタンパク質を利用するためには補酵素としてビタミンB群が必要です。ビタミンBには8種類あり、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称してビタミンB群(コンプレックス)と言います。

このビタミンB群が無いとタンパク質が十分に利用出来なくなってしまうことから、タンパク質を摂るときは必ずビタミンB群も摂るようにして下さい。併せて、ビタミンDはビタミンAと共に働き、ビタミンAを利用するためには亜鉛が必要です。これらはお互い協力して働くので、必ずセットで摂取するようにしましょう。

また、カルシウムとマグネシウムを摂取する際は、カルシウムとマグネシウムの摂取バランスが重要になります。最適な比率は人にもよりますが、食事からのマグネシウムの摂取量不足やストレスによる排泄量の増加などを加味すると、カルシウム:マグネシウムを1:1のバランスで摂取することが理想です。

カルシウムとマグネシウムの摂取バランス。ストレスの増加や食事からの摂取量不足などがある事から、カルシウムとマグネシウムは1:1で摂取することが望ましい
カルシウムとマグネシウムの摂取量は、一日あたりそれぞれ600mg〜を目標に摂取する

具体的な摂取目安としては、カルシウム600mg〜、マグネシウム600mg〜が一日あたりの推奨量になります。2回〜3回に分けて摂取しましょう。

ただ、人によってはカルシウム:マグネシウムを1:1のバランスで摂取するとお腹が緩くなってしまう場合があります。また、成長期のお子さん、妊産婦の方、骨粗しょう症の方など、カルシウムの需要が高い方もいます。そのような場合は、カルシウム:マグネシウムの摂取は2:1で摂取するのもオススメです。

1:1での摂取比率を推奨する方2:1での摂取比率を推奨する方
マグネシウムの摂取量が不足している方
ストレスが多い方
糖尿病の方
脂質異常症の方
スポーツをしている方
成長期のお子さん
妊産婦の方
骨粗しょう症の方
1:1の摂取比率ではお腹が緩くなってしまう方
カルシウム:マグネシウムのオススメ摂取比率

特に、骨粗しょう症と診断された場合にはカルシウム製剤を出されることが一般的ですが、カルシウムのみを補給してもマグネシウムが無ければ骨を作る事は出来ません。カルシウムとマグネシウムはセットで働いて骨を作っているので、カルシウムとマグネシウムはセットで摂取することが大切です。

骨の代謝にはカルシウム以外にもマグネシウムやビタミンDなど、様々な栄養素が関係している。

また、カルシウムとマグネシウムは吸収しにくいミネラルのため、カルシウムとマグネシウムをきちんと吸収するためにもビタミンDを同時に摂取するようにしましょう。ビタミンDは骨を強くするなどカルシウムとマグネシウムを利用するために必要な栄養素です。

カルシウムはマグネシウムとビタミンDによって調節され、一定の機能が保たれるようになっています。そして、このビタミンDは腎臓で活性化されて利用されていますが、この活性化に必要な酵素にはマグネシウムが必要になります。そのため、ビタミンDを利用するためには十分な量のマグネシウムの摂取が必要です。

カルシウム、マグネシウムとビタミンD、ビタミンBとの関係。マグネシウムを利用するためにはビタミンDも必要

このことから、ビタミンDを摂取する場合は、必ずカルシウムとマグネシウムも摂取するようにしましょう。

このビタミンDの摂取目安としては、ビタミンDの血中濃度が40ng/mL以下の方には1日あたり8,000IU以上、40ng/ml以上の方は4,000IU以上を目安に摂取することをオススメしています。

ビタミンDの摂取目安。血中ビタミンD濃度によって、4,000IU〜8,000IU〜摂取する

また、理想的な血中ビタミンD濃度としては、男女ともに80〜100ng/mLが推奨値となっています。この数値を目安に、ビタミンDの摂取量を調節してみて下さい。

血中ビタミンD濃度は、80〜100ng/mLを目標、維持する

日光に当たり続ければビタミンD3のサプリメントはいらない?

ビタミンDは日光に当たることで皮膚から合成することが出来ます。そのため、例えば「サーファーにビタミンD不足の人はいない」と言われていることがよくあります。これは、サーフィンをしている方は肌を露出する機会が多く、習慣的に日光を浴びているためです。

このように考えると、日光に当たり続ければビタミンDのサプリメントは不要のように思いますよね。

確かに、サーファーのように習慣的に日光を浴びることが出来れば、サプリメントは不要かもしれません。ですが、日光浴で十分なビタミンDを合成するためには、水着姿などで肌を大きく露出させ、真っ黒に日焼けするレベルでの日光浴が必要です。すべての方がサーファーのように習慣的な日光浴が出来る場所に住んでいるとは限らず、地域的に日射量が少ない北部の地域や、気温が低い高原・山間部などに住んでいる方もいます。

そのため、日光浴で十分なビタミンDを合成出来る人は、日焼けサロンに通い詰める方や、南の温かく日射量が多い地域に住んでいて、なおかつサーフィンなど日光浴をする習慣を持っている人に限られていると考えて良いでしょう。

もし仮に日光浴で十分なビタミンDを合成することが出来たとしても、日光浴のし過ぎによって、逆に紫外線によって皮膚がんや光老化の危険性を高めてしまう可能性もあります。そうなると、皮膚がんや光老化を予防するためには、抗酸化ビタミンとして「ビタミンC」や「ビタミンE」などを積極的に摂取することが望ましいです。

このビタミンCとビタミンEは食品から十分な量を摂取するのはなかなか難しい栄養素のため、サプリメントで摂取するのが現実的です。結局の所、無理に日焼けして皮膚にダメージを与えてしまうよりも、サプリメントを上手く利用する方がリスクが少なく安全である事の方が多くあります。

日光浴によるビタミンD合成を心がけるのは良いことですが、十分な量を合成出来るかどうかは住んでいる地域や習慣に大きく左右されます。このあたりも考慮し、必要な分は上手くサプリメントも取り入れていきましょう。

ビタミンD不足に対する分子栄養学的アプローチ応用編

ここからは、ビタミンD不足に対する分子栄養学的アプローチの応用編です。ビタミンDには細胞の分化・分裂や角化の正常化、免疫の調整など様々な働きがある事から、それぞれによって最適なアプローチが異なります。ここでは、簡単にそれぞれの分子栄養学的アプローチについての例をご紹介します。

角化症、バリア機能の強化に対する分子栄養学的アプローチ

まず、角化症の改善や腸粘膜などバリア機能の強化に対する分子栄養学的アプローチです。

角化症の改善には、皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を正常化させ、紫外線や乾燥などのダメージや、加齢による老化を抑制することがポイントとなります。

角化症の改善には皮膚の新陳代謝(ターンオーバー)を正常化させることがポイント。ターンオーバーの正常化にはビタミンAとDが関わる

この角化の正常化にはビタミンAとDが必要で、その他に上皮角質細胞層の角化の正常化には真皮コラーゲン繊維の増生を促すことが必要になります。このコラーゲンとは、動物特有の繊維状のタンパク質のことで、皮膚や軟骨、血管、角膜などあらゆる組織を構成している成分の事です。コラーゲンは身体の約30%を占めており、組織や細胞をつなぎ合わせる接着剤のような役割を果たしています。

このコラーゲンは、肌の健康や角化の正常化に不可欠で、肌のハリや弾力性、柔軟性や皮膚の水分含有量を高める役割を担っています。そのため、角化の正常化にはコラーゲン繊維の増産を促すアプローチも同時に必要です。

正常な角化サイクルには、ビタミンAとビタミンD、亜鉛が必要。他にも、真皮コラーゲン繊維に必要な材料を摂取し、増生を促す必要がある

具体的には、コラーゲン繊維の材料となるタンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ヘム鉄、亜鉛などです。これと併せて、細胞の正常な分化・分裂に必要なビタミンAやビタミンDも摂取しましょう。

角化症、バリア機能の強化に対する分子栄養学的アプローチ例(アトピー・アレルギーを含む)

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンE
  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • マグネシウム
  • ヘム鉄
  • 亜鉛

このアプローチは、リーキーガット症候群や眼球乾燥症(ドライアイ)、アトピーやアレルギーなどの改善に対してもほぼ同様のアプローチです。リーキガット症候群やアトピー・アレルギーの場合は消化吸収の低下も関係している事から、「アミノ酸」や「グルタミン」などでタンパク質を摂取することも必要となる場合があります。また、腸ケアや副腎疲労対策などその他のケアも必要となる場合があります。アプローチは人それぞれ異なりますので、具体的なアプローチにつきましてはオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

ビタミンAとDは細胞の分化分裂に関わっていることから、喉や眼、鼻などあらゆる粘膜やバリア機能の正常化に関わる
ビタミンDには腸粘膜同士の結びつきを強くしてリーキーガット症候群の改善に役立つ

ちなみに、ビタミンAはビタミンDと同じく、細胞の分化分裂、角化の正常化に関わっています。ビタミンAは魚や動物の肝臓、ウナギや牛乳、卵などに含まれています。また、人参など黄色やオレンジ色の植物に含まれている「βカロテン」もビタミンAの仲間です。

ビタミンAはビタミンDと共に働く。ビタミンAは魚の肝臓や牛乳、バター、卵、人参など緑黄色野菜に含まれている。
ビタミンAとビタミンDの摂取目安。人によっては更に必要量が多い場合もある

ビタミンAはビタミンDと同じく脂溶性のビタミンのため、あぶらに溶けやすく水に溶けにくいという特徴があります。そのため、ビタミンAとDを摂るときはあぶらと一緒に摂ることで吸収率がアップします。

このビタミンAの摂取目安としては、人にもよりますが一日あたり10000IUが目安です。人によって更に必要となることもありますので、具体的な必要量についてはオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

ガンや免疫力アップに関わる分子栄養学的アプローチ

続いて、ガンや免疫力アップに関わる分子栄養学的アプローチについてです。ビタミンDには、粘膜や皮膚などのバリア機能の正常化に加えて、免疫力を調節する働きがあります。この免疫力の低下や乱れは感染症のリスクが増加する以外にも、ガン細胞の増殖にも関係していると言われています。そのため、がん対策においては免疫力の強化も重要です。

免疫力の源となる免疫細胞(白血球など)は細胞で出来ていることから、細胞を作るための材料としてタンパク質を始めとした様々な栄養が必要になります。例えば、免疫強化のための分子栄養学的アプローチとしては次のようなものがあげられます。

免疫強化のための栄養アプローチ例①
栄養強化のための栄養アプローチ②

免疫強化のための分子栄養学的アプローチ

  • タンパク質
  • BCAA(分岐鎖アミノ酸)
  • グルタミン
  • ビタミンA
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ヘム鉄
  • 亜鉛
  • EPA
  • オリーブ葉エキス

また、抗がん対策としては更なる免疫強化のアプローチと、必要に応じて貧血の改善も必要になります。抗がん対策としての栄養アプローチとしては、次のようなものがあげられます。

抗がん対策としての栄養アプローチ。免疫の調節や強化にビタミンAやDが関わっており、その他にもタンパク質やビタミンBなども必要

抗がん対策としての分子栄養学的アプローチ

  • タンパク質
  • グルタミン
  • ビタミンA
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • トコトリエノール
  • ヘム鉄
  • 亜鉛
  • EPA
  • オリーブ葉エキス
  • プロバイオティクス
  • フコイダン・βグルカンなどのプレバイオティクス

特に免疫細胞の約7割は腸に存在していることから、免疫力を高めるには腸内環境を整えることも重要です。腸は体内にありながら、食品などに付着した細菌や病原体が常に侵入してくる部分でもあります。この病原体の侵入を食い止めるため、腸内には免疫細胞全体の約6割〜7割が存在し、侵入してくる敵と戦っています。

そして、この腸内の免疫細胞を活性化してくれる働きがあるのが、腸内の善玉菌である「乳酸菌」や「酪酸菌」などです。これらは腸内の悪玉菌と闘ったり、腸のエネルギー源として使える「短鎖脂肪酸」を生成したりしてくれるなど、私達の身体に有益な働きをしてくれます。

免疫細胞の7割は腸に存在している。そのため、免疫力強化には腸内環境の改善も重要

そのため、免疫力を強化するためにはプロバイオティクス(腸内環境を整える微生物)と、それを増殖・活性化するプレバイオティクス(食物繊維)の摂取も同時に行いましょう。食物繊維は善玉菌の餌となり、善玉菌の増殖と活性化を促します。

先ほどの「リーキーガット症候群」やアトピー・アレルギーなどのケアとも繋がる部分がありますので、分子栄養学的アプローチを行う際は是非とも腸ケアも同時に行ってみて下さい。

貧血に対する分子栄養学アプローチ

次に、貧血に対する分子栄養学的アプローチです。ビタミンDとAは赤血球の文化分裂にも関連していることから、貧血対策においても重要な栄養素です。貧血といえば「鉄分」を思い浮かべるかも知れませんが、鉄分だけを補給しても貧血を改善することは出来ません。

ビタミンAとDは幹細胞の分化に関わることから、貧血対策としても必要な栄養素

貧血を改善するためには、鉄分以外にもタンパク質やビタミンB、鉄や亜鉛など様々な栄養が必要です。例えば、貧血として最も多い「鉄欠乏性貧血」に対する分子栄養学アプローチとしては、次のようなものがあげられます。

鉄欠乏性貧血に対する分子栄養学的アプローチ

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ヘム鉄
  • ビタミンA
  • ビタミンD
  • 亜鉛
  • マンガン
  • セレン
鉄欠乏性貧血に対する栄養アプローチ例

この貧血には必ず原因が隠れており、鉄分の摂取不足以外にも消化管出血や婦人科疾患など様々な原因があります。そのため、具体的なアプローチにつきましてはオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。また、貧血に対する分子栄養学的アプローチや鉄分の働きについては、次の記事で解説しています。より詳しく知りたい方は、是非参考にしてみて下さい。

冬期うつ、PMS、ストレスに対する分子栄養学的アプローチ

続いて、冬期うつやPMS、ストレスに対する分子栄養学的アプローチの例です。ビタミンDはセロトニンの産生に関わっていることから、冬期うつやストレスなどメンタルの状態にも関係しています。このセロトニンは「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸(タンパク質)から作られていますので、ビタミンDと併せてタンパク質も摂取しましょう。

具体的な分子栄養学アプローチとしては、次のようなものがあげられます。

ビタミンDは神経細胞の保護作用やセロトニンを産生する働きがあることから、冬期うつやストレス対策にも有効

冬期うつやPMS、ストレスに対する分子栄養学アプローチ例

  • タンパク質(アミノ酸)
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • カルシウム
  • マグネシウム

また、体内時計を司っているセロトニンは日光を浴びることで分泌されるので、外出や運動をするなどライフスタイルの改善も必要です。併せて、十分な睡眠をとることや、気分転換なども心がけてみて下さい。

冬期うつやPMSの改善には、食生活の改善や栄養アプローチに加えて、気分転換や運動を取り入れるなど生活習慣の改善も必要

それから、PMS(月経前症候群)などは場合によっては貧血対策や副腎疲労対策など他にもケアが必要になる場合があります。具体的なアプローチにつきましては、オーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

ナンナン

なるほど、ビタミンDって骨を作る以外にも色々な働きがあったんだね。すごく勉強になったよ

はる かおる

ビタミンDはあまり注目されない栄養素だけど、実は体内でもの凄く重要な働きをしているんだよ。それだけ重要だからこそ、皮膚で合成出来るようになっているとも言えるね。ただ、人によって必要量は全く異なるから、自分に合ったアプローチはオーソモレキュラー療法を受けるのが良いよ。

ビタミンDの需要は人それぞれ。栄養状態の改善には必ずオーソモレキュラー療法を受けましょう。

ビタミンDの不足や需要の増加には、ビタミンDの摂取不足以外にも日光を浴びないなどの生活習慣や、糖尿病、ガン、消化器系疾患、角化症など様々な疾病が関係しています。また、この他にも骨粗しょう症など様々な栄養不足も関係していて、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多くあります。

また、ビタミンDを利用するためには肝臓や腎臓、すい臓などの健康状態が関わっており、人それぞれ状態も違います。そのため、単にビタミンDを補給するのでは無く、これら状態や原因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査項目に加え、消化吸収能の状態やピロリ菌感染の有無、甲状腺の検査、副腎疲労や短鎖脂肪酸検査、リーキーガット症候群検査などを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。

複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの栄養不足の根本原因がどこから来ているのかが分かります。また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。
ビタミンDには様々な働きがありますが、あくまで「栄養素」であり、体内で利用されなければ意味がありません。ビタミンDを利用するためには、タンパク質やビタミンB群など様々な栄養が必要です。このタンパク質の消化能力や栄養の需要は人それぞれ異なりますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記リンクか記事最後尾のプロフィールに記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みページ」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

分子栄養学の実践は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用しましょう

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。

分子栄養学実践専用サプリメントとは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて非常に高価となっています。

しかし中には、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して実践したい」と思っている方も多いかもしれません。市販されているサプリメントや海外サプリメントは、分子栄養学実践専用サプリメントと比べて非常に安価です。

ですが、市販されているサプリメント海外サプリメントなどで販売されているサプリメントで分子栄養学を実践をするのはオススメしません。

市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、そもそも消化吸収能が低下した方や病態を抱えた方が摂取するようには設計されておらず、胃や腸でも全く溶けない粗悪品も流通しています。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある

また、原材料に人工的に加工されたものや合成されたもの、天然界には存在しない化学構造のものなどが使われていることもあり、これらを大量に摂取することはむしろ生体内の分子を乱してしまうことにも繋がります。

加えて、栄養素が酸化・劣化して効力を失っているものや、そもそも有効成分自体が殆ど含まれていないものなどもあります。このことから、市販されているサプリメントや海外サプリメントを使って分子栄養学を実践することはオススメしていません。

分子栄養学を実践する際は、このようなサプリメントの善し悪しを学ぶことも非常に重要です。分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いについては、下記の記事を参考にして下さい。

そして、分子栄養学・オーソモレキュラー療法を実践する際は必ず「分子栄養学実践専用サプリメント」を使用しましょう。

サプリメントは、きちんと消化吸収・利用されて初めて意味があります。分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。

また、分子栄養学では一般的な量よりも遙かに多くの栄養素を摂取します。この時、栄養素同士が反応して効力を失ってしまったら意味がありません。分子栄養学実践専用サプリメントでは、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

このことから、分子栄養学を実践する際は、必ず分子栄養学実践専用サプリメントを用いるようにして下さい。

ナンナン

サプリメントは何を選んでもいいわけじゃないのか❗

はる かおる

そうだよ、サプリメントは同じように見えてもその中身や設計や全く異なっているんだ質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用に作られた作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね

分子栄養学実践用に設計されたケンビックスシリーズ

ビタミンDとは? ビタミンDの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説まとめ

以上が、ビタミンDの働きと代謝の基本、ビタミンD不足に対する分子栄養学的アプローチについてでした。

ビタミンDはキノコや魚などに多く含まれ、食品から摂取する以外にも皮膚に紫外線が当たることで合成することが出来る栄養素です。このビタミンDの合成、吸収にはコレステロールが必要で、コレステロールの合成やビタミンDを血液中で運搬するためにはタンパク質も必要になります。分子栄養学では、このようなビタミンDの働きや、吸収・代謝をよく理解することが大切です。

また、ビタミンDの活性化にはマグネシウムも必要なので、ビタミンDを摂取する際はマグネシウムとカルシウムをセットで摂取することが基本です。加えて、ビタミンAや亜鉛などもビタミンDと協力して働く栄養素なのでセットで摂取するようにしましょう。

分子栄養学やオーソモレキュラー療法というと単にサプリメントを飲むだけの療法だと思われがちですが、この記事で解説した以外にもまだまだ奥が深く、一生かけても学びきれないほど奥が深い学問です。もし、オーソモレキュラー療法に興味ある方は、是非分子栄養学を学んでみて下さい。

分子栄養学を学べる教材としては、ケンビックスが行っている「金子塾」があります。これらは分子栄養学の基礎を学べるほか、病態別のアプローチなど分子栄養学を応用したアプローチについても学ぶことが出来ます。

オーソモレキュラー療法の申し込み方法については、オーソモレキュラー療法・無料栄養相談申し込みページ で詳しくご案内しておりますので、ご興味ある方は是非こちらもご覧下さい。

参考情報

  1. 肥満者の脂肪組織における ビタミン D 代謝関連因子の発現 ↩︎
  2. 肥満者の脂肪組織における ビタミン D 代謝関連因子の発現 ↩︎
  3. 栄養精神医学からみた女性のメンタルヘルス ↩︎

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この記事を書いた人

はる かおるのアバター はる かおる 分子栄養療法ナビゲーター ディレクター

春木 敏徳(はる かおる)
分子栄養療法ナビ(このサイト)の管理人のはる かおるです。
現在は「字が書けないライター」兼、KYBクラブのディレクターとして活動しています。

僕自身、発達障害の一種である「書字障害」を抱え、幼少の頃から両親からの虐待や学校でのいじめなど、数々の困難や体調不良を経験してきました。
育った環境の悪さから18歳頃からうつ病を発症し、その後10年近く精神薬での治療を行っています。また、他にも小・中・高校生時代は朝起きられず、殆ど学校にも行っていません。

今では「あれは起立性調節障害だったな」と思えるのですが、当時はそのような病気の認識は殆どありませんでした。そのため、非常に風当たりの強い中、幼少時代を過ごしてきています。

また、幼少期から続く極度の栄養失調により、低血糖症や甲状腺機能低下症、SIBO、リーキーガット症候群、副腎疲労、脂肪肝など様々な病気を経験しました。現在では分子栄養学に出会ったことで体調も大きく回復しており、これら病気の改善に必要な知識も豊富です。

インターネットの登場によって間違った分子栄養学も広まってきており、それによって体調を崩してしまう人も多くなってきています。このような中、分子栄養療法ナビ(このサイト)や情報発信を通じて、多くの人に正しい分子栄養学が広められるよう現在も奮闘中。

得意とする分野
うつ病、発達障害、ADHD、起立性調節障害、貧血、不妊症、ガン、甲状腺機能障害、ピロリ菌感染症、SIBO、リーキーガット症候群、低血糖症、副腎疲労、脂肪肝、ダイエット、更年期障害、PMSなど。全般的に幅広い知識を有する。

ほか、文章を書くのが得意で、ライティングやマーケティング、投資などお金に関する知識や生き方に関するアドバイスも得意。

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