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血糖値が高いはずの糖尿病が何故低血糖に? 糖尿病と低血糖症の関係と、低血糖症に対する分子栄養学的アプローチ

糖尿病が原因で起こる低血糖症の治し方とは。

糖尿病は、日本人の5〜6人に一人が罹患していると言われ、現代においてはもはや国民病と呼べる病気の1つとなっています。糖尿病の治療と言えばインスリンを注射したり、食事制限を行ったり運動したりすることですが、これらを頑張れば頑張るほど「低血糖症」に陥ってしまう方が後を絶ちません。
低血糖症になると、手の震えが起きたりやる気が起きなかったり、最悪の場合は意識を失って死に至ることもあります。もしかして、あなたも糖尿病を抱えていて、低血糖症の症状で悩んでいませんか?

血糖値が高くなってしまう糖尿病と、血糖値が低くなってしまう低血糖症。この2つは一見すると関係ない病気のように思えますよね。しかし、糖尿病と低血糖症は関係が深く、切っても切り離せない病気の1つなのです。
今回は、糖尿病の方が低血糖症に陥ってしまう原因と、その治し方を分子栄養学的アプローチの視点から解説します。

目次

糖尿病と低血糖症の関連。糖尿病は血糖値が高い病気なのに、なぜ低血糖が起こる?

ナンナン

あぁ〜…、ふらふらする〜…

はる かおる

どうしたの?

ナンナン

お昼ご飯を食べた後に血糖降下剤を飲んだら、
何だか意識がもうろうとして…

はる かおる

ご飯の後に血糖降下剤か…
もしかすると、それは低血糖症の症状かもしれないね
命にも関わるから、そういう時は何か甘い物を摂った方が良いよ

ナンナン

低血糖症?
ふう…、甘いもの摂ったら少し落ち着いたよ

はる かおる

落ち着いたみたいだね。
うん、低血糖症は血糖値が下がりすぎてしまう状態の事だよ

ナンナン

血糖値が下がりすぎる?
糖尿病は血糖値が上がりすぎる病気じゃないの?

はる かおる

確かに糖尿病は血糖値が高いままになってしまう状態だけど、
実は血糖値が下がりやすい病気でもあるんだ。
その理由を今から説明してあげるね。

糖尿病は、一般的に血糖値が通常よりも高い状態が続いてしまう病気ですよね。
糖尿病の診断基準としては、空腹時血糖が126mg/dl、食後血糖値が200mg/dl以上、またはHbA1cが6.5%を超えている状態となっていた場合は、糖尿病と診断されています。

対して低血糖症は、血糖値が正常範囲以下にまで下がってしまった状態の事です。
通常血糖値は80〜100前後に保たれていますが、何らかの原因で血糖値が80以下を下回っている状態が続いていたり、血糖値が60や50以下になっていたりすると低血糖症と判断することが出来ます。

低血糖状態になると、冷や汗や動機、意識障害や痙攣、手足の震えなどの症状が現れることもあり、最悪の場合は死に至る恐れもあります。
他にも、「食べた後や夕方になると猛烈な眠気が襲ってくる」というのも低血糖の典型的な症状の1つです。それ以外にも耐えられないほど甘い物の欲求が強くなったり、気分が落ち込んだり不安感に襲われるなど、その症状は多岐にわたります。

https://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/040/050/05.htmlより

血糖値が高い糖尿病と、血糖値が低くなることで引き起こされる低血糖症。この2つは普通に考えると関係が無い病気に思えますよね。
しかし実際には、糖尿病を抱える方は低血糖症にもなりやすいと言われていて、血糖値が高い糖尿病の方でも低血糖症を引き起こしてしまう場合があるのです。

その最も典型的な原因と言われているのが、インスリン注射など血糖を下げる作用のお薬を使ったときの副作用です。
一型糖尿病と二型糖尿病も含め、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなったり分泌が出来なくなったりしてしまった場合は、インスリンを直接補給するインスリン注射などを行いますよね。
このインスリン注射や血糖降下剤が効きすぎてしまったり、食事量が少なかったり運動量が多かったりすると、普段よりも血糖が多く消費され、血糖値が下がりすぎて低血糖症が引き起こされてしまうのです。

血糖降下剤、インスリン注射による血糖値の乱高下に注意!

インスリン注射と血糖降下剤の使用は低血糖を引き起こすリスクがある

現在の糖尿病治療では血糖降下剤やインスリン注射など、外部からインスリンを補給する「インスリン治療」が行われていますよね。インスリンは、高くなった血糖値を下げてくれる作用があります。もしかすると、あなたも食後に血糖降下剤やインスリン注射を行っているかもしれません。
ただ、この血糖降下剤、インスリン注射などは効き過ぎてしまうリスクがあります。糖尿病の方でも低血糖症を引き起こしてしまうのは、この血糖降下剤やインスリン注射が効きすぎてしまうことが殆どの原因です。

例えば、糖尿病の方には「糖質制限食」や「運動」することが良いと言われていますよね。この糖質制限食を行いながら血糖降下剤やインスリン注射を行うと、薬が効きすぎてどうしても身体の中で糖が足りなくなってしまいます。
また、糖質制限食を行いながら運動をすると、糖の消費量が大きく増えて糖が足りなくなってしまいます。このような状態で血糖降下剤やインスリン注射など血糖を下げる薬の作用が残っていると、通常よりも大きく血糖値が下がり、低血糖症にまで陥ってしまうのです。

ですので、糖尿病の治療として血糖降下剤やインスリン注射だけに頼るのは危険です。一型糖尿病ならこれら薬剤を使用するのは仕方がありませんが、二型糖尿病の場合はインスリンの機能を改善していくことが糖尿病と低血糖症の治療に繋がります。
現代の糖尿病治療では、血糖降下剤やインスリン注射などによって血糖値を下げることしかしてくれません。これは名目的には「糖尿病の治療」として行われていますが、実際にはこれだけで糖尿病を改善させることは不可能です。他に薬での治療手段が無いために対処療法的にインスリンを補給して、無理矢理血糖値をコントロールしているのが現状です。
このようなやり方では、どうしても血糖降下剤やインスリン注射が効きすぎてしまうリスクがあります。特に、食事の間隔が空きすぎてしまった場合や糖質制限を行っている状態でこれら薬剤を使用した場合は、インスリンによって血糖が下がりすぎてしまうため、さらに低血糖状態を引き起こすリスクが高くなってしまいます。

では、現状もし低血糖症になってしまった場合は、どのような対策や治療が行われているのでしょうか?
一般的には、血糖値が下がりすぎてしまった際に「砂糖水」や「飴」「チョコレート」などの甘い物を補給する方法が用いられています。これは、甘い物や砂糖には「ブドウ糖」が含まれており、甘い物を補給することによって速やかに血中のブドウ糖濃度を上げることが出来るためです。

ですので、もし低血糖になってしまった場合でも、治療や対策として「症状を感じたらすぐに甘い物を補給する」ことぐらいしか対処法はありません。病院に行っても低血糖症になってしまった際の治療方法は「ブドウ糖」を補給して下さいと言われるだけで、それ以上のアドバイスや治療方法がないのが現状です。

これではいつまで経っても糖尿病や低血糖症を改善させることは出来ませんよね。
血糖値が上がったら血糖降下剤の服用やインスリン注射をして、それによって血糖値が下がりすぎた場合は糖分補給。これをずっと繰り返す事になってしまいます。血糖値が大きく上がったり下がったりを繰り返すことで脳や毛細血管にも大きなダメージがかかり、認知症への進行や合併症への進行リスクも上昇してしまいます。最悪の場合は、低血糖症によって命を落としかねません。

糖尿病の方が糖質制限やインスリン治療を行う必要性がある事も事実ですが、まずは血糖降下剤やインスリン注射によって血糖値が下がりすぎないようにすることが第一優先です。その為には、過剰な糖質制限を止め、適切なカロリー、糖質の摂取をする事が何よりも大事。糖尿病の方は糖質の摂りすぎが悪だと言われていますが、糖質の摂らなさすぎも命に関わります。まずは、間違った糖質制限を改めて適切な食事を行い、低血糖を防ぎましょう。

ナンナン

なるほど、薬が効きすぎると低血糖症の原因になるんだね
ボクの低血糖症も、薬が効きすぎてたのかも💧

はる かおる

うん、血糖降下剤やインスリン注射は、
糖尿病の方が低血糖症になる最も多い原因だよ。
低血糖症を防ぐためには、
薬の量や食事の量を適切に管理することが大事だね。

糖尿病の改善方法と言えば糖質制限食。でも糖質制限しすぎによる低血糖には注意!

糖尿病の方が血糖値を上げすぎない対策として、一般的には糖質制限食が行われていますよね。糖質制限を行う事で、痩せる効果があったり、糖尿病の改善効果があると言われています。でも実はこの糖質制限をし過ぎてしまうことでむしろ摂取カロリーが低下し、低血糖に陥ってしまう原因になっているのです。

人体は、食べた食べ物をエネルギーに変えて体を動かしたり、体温を維持したり、消化吸収をしたりしています。
この時、過剰な糖質制限や食べないダイエットなどによって摂取カロリーが低くなってしまうと、体内で利用出来る糖やエネルギーが枯渇してしまいます。その結果、十分な血糖量を維持することが出来なくなり、低血糖症へと陥ってしまうのです。

特に、脳や神経系、赤血球の唯一のエネルギー源は糖だけです。
糖が枯渇すると脳のエネルギー不足を招き、やる気が起こらなかったり、鬱や不安感、パニックを引き起こしたりなど精神的にも大きな不調が表れます。
この状態が続くことによって、身体は筋肉を壊してブドウ糖を生成し、エネルギーとして使ってしまうため(糖新生)、実際には脂肪が燃焼されたり、糖尿病が改善することはありません。

タンパク質異化亢進

むしろ筋肉量が落ちることによって更に糖代謝が悪化し、消化吸収能力も落ちて最悪の場合は「甲状腺機能低下症」「SIBO」「リーキーガット症候群」などにも発展する恐れもあります。
ですので、間違ったダイエットや極端な糖質制限、最近流行りの「ファスティング」などは低血糖症を引き起こす主な原因になりますので、絶対に止めましょう。

はる かおる

食べないダイエットやファスティング、過剰な糖質制限は糖尿病や低血糖症を誘発し、むしろ体調を悪化させるから絶対に止めようね❗
特にインスリン注射と糖質制限を併用すると危険だよ❗

糖尿病の方が病態と低血糖症を改善させるには、まず第一に「食べないダイエット」や「ファスティング」「過剰な糖質制限」行わないようにすることです。
このような食べないダイエットやファスティング、糖質制限を行っても、脂肪は燃焼されませんし、糖尿病も改善されません。一時的に血糖値やHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)が低くなって改善したように見えますが、これは糖の摂取を減らしたためにそう見えるだけです。糖尿病や低血糖症の根本原因である血糖コントロール機能事態は、全く改善していません。また、一時的に体重が落ちたように見えますが、これは「脱水」による水分量の低下と「筋肉量の低下」によって体重が減ったためです。

筋肉量が減ると糖代謝も悪化し、同じく糖尿病も低血糖症も酷くなっていきます。
筋肉を落とさないようにするためには、適切なカロリー摂取が欠かせません。
その為には、ご自身に必要なカロリー摂取量を把握し、基礎代謝を下回らないように食事を摂取していきましょう。

必要なカロリー量の計算は、次のサイトで計算することが出来ます。

基礎代謝量・1日の必要エネルギー量計算式

サイト上で、ご自身の体重と身長、年齢と性別を入力し、活動レベルを「低い」「普通」「高い」の中から選択して「計算」ボタンを押せば、一日に必要なエネルギー量と基礎代謝量が分かります。
ここで計算したカロリー量を参考に、一日に必要なエネルギー量は必ず摂取するようにして下さい。

例えば、ある人の基礎代謝量が1320kcal/日、一日に必要なエネルギー量が2292kcal/日だとしましょう。

この基礎代謝量は、「体温など生命維持をするために絶対必要なカロリー」のことです。この基礎代謝を下回ると命の危険に晒されてしまいます。
基礎代謝量以上のカロリーは生きる上で最低限必要なカロリーですので、絶対に下回らないよう注意してください。

一日の必要エネルギー量は、基礎代謝に加えて体を動かしたり、頭を使ったり、喋ったりするなど日常生活を送る上で必要なカロリーが足された物です。この一日の必要エネルギー量を十分に摂取する事で、筋肉が壊されてエネルギーとして使われてしまうことを防げます。
ですので、ご自身に必要な一日のエネルギー量を計算し、これを下回らないような食事をするようにしましょう。

逆に、この必要エネルギー量よりも多いカロリーを摂取してしまうと肥満に繋がります。
多すぎても少なすぎても体には良くありませんので、適切なカロリー摂取量を心がけて下さいね。

ナンナン

糖尿病と低血糖症を改善させるためには、適切なカロリーの摂取量が大事なんだね❗

はる かおる

その他にも、タンパク質やビタミンB群など栄養素の補給も大事だよ❗
消化吸収能も弱っている可能性もあるから、血液検査を受けて自分の状態の確認することと、必要な栄養アプローチのアドバイスを受ける事が重要だね

間違った糖質制限が糖尿病と低血糖症の悪化原因に。今すぐ間違った糖質制限を改めましょう。

ここまで、カロリーが不足することによって低血糖症の原因になることと、カロリーを十分摂取することの重要性について解説しました。
カロリーと言えば、炭水化物以外にもタンパク質や脂質からでも摂ることが出来ます。特に脂質は炭水化物やタンパク質と比べてエネルギー効率が高く、タンパク質と炭水化物は1gあたり4Kcalに対し、脂質は1gあたり9Kcalも含まれています。

このような理由から、糖尿病の糖質制限食として「炭水化物を抜いて、タンパク質や脂質から十分カロリーを摂れば良い。」そう言われていますよね。
しかし、タンパク質と脂質は炭水化物に比べて消化吸収しづらく、すぐにエネルギーとして利用するにはあまり向いていません。このタンパク質と脂質を利用出来るかどうかはその人の消化能力によります。
糖尿病の方はそもそも胃や腸の消化吸収能力が低いことが考えられますので、この状態で糖質制限を行ってしまうとタンパク質や脂質などが上手くエネルギーとして使えず、きちんと食事をしているつもりがカロリー不足や低血糖を引き起こしてしまうのです。

例えば、私達が摂ったタンパク質は胃でアミノ酸まで消化し、小腸で吸収されています。このタンパク質をしっかり吸収するためには胃の働きが重要で、胃酸がしっかり分泌されていることが必要です。
この胃酸の分泌量が不十分の場合は、タンパク質がアミノ酸まで消化することが出来ず、せっかく摂ったタンパク質が無駄になりかねません。

タンパク質の消化吸収過程

このタンパク質の消化には胃から分泌されている胃酸と「ペプシン」という消化酵素が必要です。これら消化酵素でタンパク質から「ペプチド」という状態になり、次に十二指腸で分泌される膵液によってアミノ酸まで分解されます。タンパク質は、このアミノ酸まで分解されて、初めて吸収することが出来ます。

もし、タンパク質が十分に消化できなかった場合は、小腸で吸収されずに大腸へと運ばれてしまいます。大腸に運ばれた未消化のタンパク質は悪玉菌の餌となり、腸内環境が悪化してしまうのです。
ですので、タンパク質を摂るときは十分な消化酵素が分泌されていることが重要です。この消化能力が不十分の場合、糖質制限を行えば行うほど低血糖が深刻化し、筋肉が分解されてエネルギーとしてドンドン使われてしまいます。
筋肉量が低下していくとその分だけ糖代謝が悪化してしまいますので、糖尿病はむしろ悪化してしまうのです。

そうならないためにも、糖質制限を行う場合は適切な糖質摂取に加え、ご自身の消化能力もきちんと考慮して行うようにしましょう。この胃酸の分泌量やタンパク質の消化吸収能力がしっかりあるかどうかは、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けることで分かります。

血液検査の項目としては、胃酸の分泌量を表すPG1や粘膜の炎症程度を表すPG2、胃粘膜萎縮の程度を見るPG1/2比などがあります。このPG1の数値が低い場合は胃酸の分泌量が少なく、タンパク質をしっかり消化吸収することが出来ません。
また、胃粘膜の炎症や萎縮があるとタンパク質が上手く吸収できなくなってしまいます。これらの検査を参考に、タンパク質がしっかり消化吸収出来ているかを確認してみましょう。

もしこれら数値が低かったり、胃の状態があまり良くない場合は、タンパク質に加えて脂質の吸収・利用もうまく出来なくなっています。脂質には飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸など様々な種類がありますが、これら脂質を消化吸収、利用するためには胆汁の十分な分泌と、タンパク質に含まれる「カルニチン」が欠かせません。

胃の機能が低下している場合は胆汁を分泌するための胆嚢や肝臓の働きも落ちていることが多く、胆汁の元となる材料には「コレステロール」も必要です。
コレステロールはタンパク質と脂質が結合して作られた物であり、タンパク質不足はコレステロール不足を招きます。コレステロール不足は胆汁の分泌量低下を招き、脂質の消化吸収能力が落ちてしまうのです。

また、脂質が消化吸収出来たとしても、脂質をエネルギーとして利用するためにはタンパク質に含まれる「カルニチン」が必要になります。

▲長鎖脂肪酸がミトコンドリアに入るにはカルニチンが必須

脂質には肉などに含まれる「長鎖脂肪酸」や比較的利用効率の良い「中鎖脂肪酸」などがありますが、肉に含まれる長鎖脂肪酸の場合は、エネルギーとして使われるためにカルニチンがなければミトコンドリア内に入ることが出来ません。
MCTオイルなど中鎖脂肪酸はカルニチンが無くてもエネルギーとして使うことが出来ますが、これもやはり消化吸収するには十分な胆汁の分泌量が必要です。

この事から、タンパク質の消化吸収能力が脂質の消化吸収能力と利用効率にダイレクトに影響を与えます。このため、消化吸収能力が低い人が糖質制限を行ってしまうと、脂質もタンパク質も利用出来ない状態で糖質というエネルギーを断つことになってしまい、深刻なカロリー不足と低血糖症に陥ってしまうのです。

そもそもタンパク質をカロリー源とするには向いていない

それから、もしタンパク質が上手く消化吸収出来たとしても、タンパク質をエネルギーとして利用するのは無駄が多すぎます。私達が摂ったタンパク質は、胃でアミノ酸まで消化し、小腸で吸収された後は肝臓で各種タンパク質や酵素などに合成されています。この時、タンパク質をエネルギーとして使う場合は、アミノ基転移反応を経てエネルギー生成回路であるTCAサイクルを回したり、発生したアンモニアを解毒するために尿素回路で処理したりしています。

▲タンパク質をエネルギーとして利用するのは非効率

この時、タンパク質をエネルギー源として使えば使うほど、毒素である「アンモニア」が大量に発生することになります。アンモニアを解毒するためにもエネルギーが必要ですので、タンパク質をカロリーとして使うのはあまり向いていないのです。
それに、タンパク質である肉は、油や炭水化物に比べて高価ですよね。同じエネルギーとして利用するなら、脂質や炭水化物など安い物でも十分ではないでしょうか。
オマケに、タンパク質は身体の材料となる唯一の栄養素です。タンパク質は、筋肉になったりインスリンなど各種酵素になったりと身体を修復するために使われますので、出来ればカロリーとして利用するより身体を作る材料として使いたいものですよね。ですので、糖質制限によってタンパク質をカロリーとして利用するのは、かなり無駄が多いことがお分かり頂けるかと思います。

ナンナン

なるほど。
消化吸収能力がしっかりしていないと、糖質制限は逆効果になるんだね。

はる かおる

そうなんだ。
糖尿病や低血糖症になってしまうと言うことは、消化吸収能力にも何らかの異常があるってこと。
このあたりを改善せずに糖質制限をしてしまうと、むしろ身体を壊してしまう原因になるんだよ。

ナンナン

そうだったんだね💧
どおりで糖質制限すればするほど体調が悪くなるワケだ💦
でも、糖質制限をしなかったら、もっと糖尿病が酷くならないかな❓

はる かおる

ははーん
さては、炭水化物や糖質の摂取が身体に悪いと思っているね❓
実は、糖質や炭水化物の摂取には色々とメリットもあるんだよ。
まずはその間違った意識を取り除いてあげるね。

何かと悪者にされる炭水化物。でもそれって勘違いかも

ここまでタンパク質と脂質の消化吸収や利用効率についてお話ししてきました。三大栄養素のうち、タンパク質と脂質はかなりの消化吸収能力が必要である事が分かって頂けたかと思います。
では、もう一つの栄養素である炭水化物はどうでしょうか❓

実は、三大栄養素の中で最も消化吸収・利用しやすいのは炭水化物である糖質なのです。

三大栄養素の消化に必要な酵素

こちらの図は三大栄養素を消化する際に分泌される消化液・消化酵素です。
タンパク質を分解するときは胃から「ペプシン」や「トリプシン」と呼ばれる消化酵素が、脂質の吸収には胆汁の分泌が必要になり、タンパク質をアミノ酸まで分解するためには、十分な量の消化酵素と胃の蠕動運動が必要です。
対して炭水化物に関しては、唾液中や膵臓から分泌される「アミラーゼ」によってブドウ糖まで分解することが出来ます。これは大根おろしに含まれる「ジアスターゼ」にも同じ効果があり、食品からも摂れる消化酵素です。

また、三大栄養素の中でも炭水化物の最終分解物である「ブドウ糖」だけは安く大量に作られていますよね。何らかの理由で炭水化物の消化能力が落ちたとしても、飴やラムネ、果物などでブドウ糖は手軽に摂取することが出来ます。
この事から、炭水化物は脂質やタンパク質に比べて消化吸収がしやすく、最も早くエネルギーとして使える栄養素の1つなのです。

質の良い筋肉を付けるためにも、糖質はある程度必要

糖尿病の方が、糖尿病改善のために運動と糖質制限を同時に行っている方も多く見かけます。しかし、糖質を摂らずに運動した場合、筋肉を動かすためのエネルギー源としてタンパク質が先に使われてしまい、筋肉の合成に使うアミノ酸が無くなってしまいます。
これを防ぐためにも、運動前後などにタイミング良く砂糖やブドウ糖を摂ることは、質の良い筋肉を作るためにも必要です。

質の良い筋肉を作るためにも糖質の摂取は必須

また、激しい運動をしてエネルギーが枯渇してしまったとき、身体は筋肉を壊してエネルギーを得ようとしてしまいます(糖新生)。この時に適切な量の糖質を摂ることで、筋肉の破壊をストップさせることが出来ます。
一時期、オリンピックカーリング女子代表の選手達は、試合中に「もぐもぐタイム」としてイチゴなどの糖質を摂っていましたよね。これにもしっかりと理由があり、身体を動かした後に適切な糖質を摂ることで筋肉の破壊を防いでいるのです。

逆に糖質制限をしすぎてしまった場合、筋肉はエネルギー源としてドンドン破壊されてしまいます。筋肉量が減ると筋肉中に貯えられるグリコーゲンという貯蔵糖の量も減ってしまうため、糖代謝が悪化します。
糖質制限が糖尿病の改善や低血糖対策に良いと言われていますが、過剰な糖質制限はむしろ筋肉量を減らし、糖尿病や低血糖症を更に悪化させてしまう原因になってしまうのです。

ナンナン

げげっ❗
糖質制限しながらの運動は筋肉が壊れちゃうのか💦

はる かおる

そう。
筋肉を付けるためにプロテインを飲む人が多いけど
それだけだと筋肉は付かないんだよ。

ナンナン

プロテインを飲んで運動すれば筋肉が付くと思っていたけど
全部カロリーとして使われちゃってたって事なんだね💦
わかった、今度からちゃんと糖質も摂るようにするよ❗

糖質制限による食物繊維の不足に注意!

糖質制限によるデメリットは、もう一つあります。それが、食物繊維の摂取量が低下してしまうことです。
一般的に炭水化物=糖質だと思われていますが、これは間違いです。正確には、

  • 炭水化物=食物繊維+糖質

となり、糖質と食物繊維が合わさっている物が炭水化物となります。
具体的な食べ物としては、

  • ご飯
  • パン
  • ジャガイモ
  • サツマイモ
  • トウモロコシ
  • はるさめ
  • こんにゃく
  • 里芋
  • 豆腐
  • カボチャ
  • レンコン
  • バナナ
  • リンゴ

などが炭水化物に当たります。
逆に「糖質」というのは、砂糖やブドウ糖、果糖、デンプンなどの糖類を糖質と言います。

この炭水化物に含まれている食物繊維には、急激な血糖値の上昇を抑えてくれたり、余分なコレステロールを排泄してくれたり、善玉菌のエサとなってお腹の調子を整えてくれたりと様々なメリットがあります。
血糖値を上げまいと糖質制限をしてしまうと、これら食物繊維の摂取量も減り、むしろ血糖値が急激に上がりやすくなってしまうのです。

また、食物繊維が不足することで腸内環境が悪化し、腸内環境が悪化することで糖尿病や低血糖症が酷くなることも考えられます。腸内細菌は食物繊維をエサに「短鎖脂肪酸」というエネルギーを生成しており、食物繊維の摂取量低下は短鎖脂肪酸生成量の低下を招いてしまいます。
短鎖脂肪酸の生成量が低下すると、全身の健康状態に悪影響を及ぼして低血糖症や糖尿病の原因になってしまいます。糖尿病、低血糖症を抱えている方の多くは腸内環境も悪化しており、糖尿病、低血糖症の改善のためには適切な腸ケアも欠かせません。

この事から、過剰な糖質制限は止めて炭水化物も適量食べるようにしましょう。
腸内環境を良くするためや、体内のエネルギー代謝を正常にするためにも、最低でも一食100g〜150g程度の炭水化物の摂取は必要です。
上述した根菜類や穀物など食物繊維が多い物を組み合わせて、適切な量の炭水化物摂取を心がけて下さい。

ナンナン

糖質制限は、筋肉が壊れる以外にも
腸内環境も悪化しちゃうんだね💧

はる かおる

そうなんだ。
割と多いのが、炭水化物=糖質だと思っていること。
炭水化物事態を避けてしまうと、食物繊維が不足して
むしろ血糖値が上がりやすくなっちゃうんだ。

ナンナン

炭水化物にもちゃんとメリットがあるんだね。
わかった、きちんと食べるようにするよ❗

はる かおる

うん、でも炭水化物も摂りすぎは良くないから
摂り方や量にも気をつけてね。
あと、食べたら動く事が大事だよ❗

ただし、糖質、炭水化物の摂りすぎは禁物

ここまで糖質・炭水化物を摂取する必要性を解説してきました。糖質や炭水化物の摂取に一定のメリットがあるとは言え、やはり摂りすぎは禁物です。現代の食生活では、意識しなくても炭水化物の摂取量は多くなっていますよね。

特にパンやうどん、パスタやラーメンなどの小麦類や、果物などの炭水化物は量を取り過ぎてしまう傾向にあります。
炭水化物や糖質の摂りすぎは肥満や糖尿病、虚血性疾患のリスクを増大させてしまうことは、あなたもご存じの通り。何事もほどほどに、タンパク質や野菜サラダ、汁物なども含めて、バランスの良い食事を心がけて下さい。

もしこれら食べ物が食べたくなったり食べたりしたとしても、食べた後にしっかり運動すればエネルギーとして消費できます。糖質の摂りすぎが極端に問題視されていますが、根本的には運動不足が原因です。いくらバランスの良い食事をしていたとしても、運動不足では病気のリスクが上がってしまうのは同じ。炭水化物や糖質の摂取量を減らすことを考えるよりも、少しでも多く運動する習慣を身につけて下さい。

また、炭水化物を摂るときは一気に食べると血糖値の急上昇を招くことがあります。この場合は、「回数頻回食」を実践するなどして血糖値スパイクに気をつけるようにしましょう。

炭水化物を摂るときは、血糖値スパイクに注意!

高血糖や低血糖症を抱える方が炭水化物を摂るときに、特に注意すべきは「血糖値スパイク」です。
先ほど説明した炭水化物の中でも、糖質が比較的少ない食べ物もあれば、甘く糖質が多い食べ物もあります。
これら甘い物の摂りすぎや、炭水化物を一度に食べ過ぎることによって血糖値スパイクが発生し、高血糖と低血糖の状態を繰り返してしまうのです。

血糖値スパイクとは、血糖値が急激に上昇した後、急降下して低血糖になってしまう状態の事。血糖降下剤やインスリン注射によって血糖が上がり下がりしてしまうのも、状況としては殆ど同じ状態です。

例えば、炭水化物として「パン」があります。朝ご飯やランチなどでトーストやサンドイッチやなどを食べたとしますよね。
すると、パンに含まれるのデンプン質が消化されてブドウ糖になり、ブドウ糖が腸から吸収されて血糖値が上昇していきます。健康な方なら血中のブドウ糖が筋肉で使われたり貯えられたりして、血糖値が上がりすぎることはありません。
しかし、この時にブドウ糖を上手く代謝出来ない状態になっていると、使い切れなかったブドウ糖が血中に溢れ、今度は血糖値が高くなりすぎてしまうのです。

血中のブドウ糖濃度が高くなりすぎた場合は、高くなった血糖値を下げるために「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。糖尿病の中でも二型糖尿病の方や低血糖症を抱えている方は、このインスリンの働きが落ちていて、通常よりも多くのインスリンを分泌しなければ血糖値が下げられない状態になっています。この大量に分泌されたインスリンによって今度は血糖値が急激に下がり、また低血糖に陥ってしまうのです。

このような血糖値の乱高下を、「血糖値スパイク」もしくは「隠れ低血糖」と言います。
血糖値スパイクの原因は、主に糖質の摂りすぎとインスリンの働きが悪くなっていること等による糖代謝の悪化で引き起こされます。パンに限った話しではありませんが、甘いものや糖分、炭水化物を食べる際は一気に大量に食べないように心がけて下さい。

血糖値スパイクを起こさないためには、第一に炭水化物や甘い物に偏らないようにし、バランスの良い食事を摂ることです。ラーメンやパスタ、うどん、パン、お菓子、ジュースなど、精製された糖を大量に摂取することで血糖値が乱高下し、「血糖値スパイク」と呼ばれる状態が起こります。

このような血糖値スパイクを防ぐためには、炭水化物や糖質ばかりに偏らず、スープやサラダなどの前菜、餃子や小籠包などの副菜、そして唐揚げや焼き肉などの主菜、メインの主食となるご飯などをバランス良く食べる事が重要です。

この時、必ずサラダやスープなどの前菜や食物繊維が豊富な食べ物から食べるようにし、ご飯などの主食は最後に食べるようにしましょう。
サラダや野菜に含まれている食物繊維は、消化・吸収を緩やかにしてくれる作用があり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。加えて、次にタンパク質や脂質などが先に入ることで、更に血糖値の急激な上昇を抑えることが可能です。

また、食べる時はしっかりと「よく噛んで」食べる事も重要です。よく噛むことによってインスリンが食事中から分泌され、血糖値の急激な上昇を防いでくれます。
よく噛むコツとしては、一口食べるごとに箸を置くこと。こうすることでワンクッション動作が加わり、早食いを防止できます。
噛まずに飲み込むとその分だけ短時間に大量の食べ物を胃と腸に送り込むことになり、血糖値が上昇しやすくなりますので注意して下さい。

それから、バランスの良い食事をよく噛んで食べたら、スグに歩くことも重要です。
食べた糖質は、エネルギーとして使っていくことで消費できますので、体を動かせばその分だけ血糖値の急上昇を防ぐことが出来ます。
軽いウォーキングでも構いませんので、食べ終わったら30分から1時間くらいは歩くようにしましょう。
間違っても、食べたすぐ後に横になったり寝たりしないようにして下さい。エネルギーとして使われなかった糖質はインスリンによって脂肪に変えられ、貯えられてしまいます。脂肪が付くことによって余計に糖代謝が悪化する原因になりますので、食べた後はなるべく体を動かす事を心がけて下さい。

ナンナン

低血糖対策には、バランスの良い食事と運動が大切なんだね。
でも、バランスの良い食事や運動を心がけても、どうしても血糖値が上がり過ぎちゃうよ

はる かおる

なるほど、そんな時は回数頻回食にするといいね

ナンナン

回数頻回食❓

はる かおる

そう、少ない食事をこまめに食べることだよ。
こうすることで血糖値の急激な上昇を抑えてくれるんだ。

ナンナン

そうなんだ❗
どうやってやれば良いのかな❓

はる かおる

基本は、吸収が比較的穏やかな糖質をこまめに摂るのがオススメだよ。

食事をこまめに摂る回数頻回食を実践する

バランスの良い食事を心がけても高血糖や低血糖になってしまう場合は、回数頻回食を実践してみましょう。

回数頻回食とは、1時間や2時間おきに少量の食事を何回も摂取する事です。また、朝昼晩の三食に加えて、間に間食を挟むという方法もあります。
こうすることによって食事一回あたりの血糖値の急激な上昇を抑えることが出来、血糖値を一定に保てるので低血糖も防ぐことが出来ます。

回数頻回食のコツは、「吸収が比較的穏やかな糖質を組み合わせる」事と、「なるべくこまめに食べる」こと。
こうすることで血糖値の乱高下を防ぎ、更に血糖値を下げないように安定させることが出来ます。

おにぎりは血糖の持続性がある

ここで言う吸収が比較的穏やかな糖質とは、お米や芋類などのデンプン質のことです。
デンプンは噛むことによって徐々にブドウ糖に分解され、徐々に吸収されていきます。このため、精製された砂糖を補給するよりも、比較的穏やかに血糖値を上昇、維持させることが出来るのです。

また、いくらお米でも一気に食べると血糖値が急上昇しますので、何回にも分けて食べるようにしましょう。
お団子くらいに小さく握ったおにぎりを1時間おきに食べるなど細かく分けて食べれば、血糖値をなるべく一定以上に保つことが可能になります。

加えて、お米などのデンプン質は油でコーティングすると急激な血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。具体的には、チャーハンやピラフなど。お米を油で炒めるものがこれにあたります。
これらも血糖値スパイクや低血糖の予防としてはそれなりに活用出来ますので、吸収の早い糖質と吸収の遅い糖質を組み合わせてなるべく回数頻回を行い、高血糖や低血糖にならないよう工夫してみて下さい。

ナンナン

バランスの良い食事や運動に加えて、回数頻回食で持続性がある糖を摂ることも大切なんだね。

はる かおる

うん、お米は冷やすと食物繊維に変わってさらに消化が遅くなるよ。
油で炒めたり冷やしたり、工夫しながら量を調節して摂っていくことが大事だね。

ナンナン

分かった❗
色々試してみるよ❗

腸カンジダ症、SIBOなどでは糖質、炭水化物の摂取が逆効果になる恐れあり

ただし、これら回数頻回食や炭水化物の摂取は、消化能力や消化器官に異常が無いことが前提です。
糖質と炭水化物の摂取には一定のメリットがありますが、これらを摂ることでむしろ体調が悪化してしまう場合もあります。それが、腸にカビの一種であるカンジダ菌が多く繁殖してしまう「腸カンジダ症」や、小腸に細菌が多く繁殖してしまうSIBOと呼ばれる病気の場合です。

これら消化器官に問題がある場合は、炭水化物や糖質を摂ることによってむしろ腸内環境が悪化しかねません。このような問題を抱えている方は、炭水化物をいきなり摂取するよりも腸内環境を改善したり、腸粘膜を強化したり、胃や腸の機能を高めたりするアプローチをするのが優先です。
もしこれら疾患に心当たりがある場合や、糖質・炭水化物を摂取すると体調が悪くなる場合は、下記のオーソモレキュラー療法の血液検査や短鎖脂肪酸検査を受けてみて下さい。

糖尿病が原因の低血糖症、根本は糖代謝の悪化

ここまでは、間違った糖質制限や血糖降下剤、インスリン注射によって低血糖症に陥っていることと、その改善方法をお伝えしてきました。
低血糖症を防ぐ上で適切なカロリー摂取や適切な糖質摂取は欠かせませんが、これらはあくまで低血糖症を防ぐための最低限の行動であって、糖尿病や低血糖症改善させる方法ではありません。低血糖症の根本には糖尿病の原因となった「糖代謝の悪化」が関係しており、これには肝機能低下や筋肉量低下、肥満や歯周病、インスリン抵抗性など様々な要因が関係しています。これらを改善させていかない限り、糖尿病や低血糖症は改善出来ないのです。

ですので、食事方法の改善以外にも、糖尿病や低血糖症が発症する根本原因をしっかりと理解し、根本から改善していくよう努めて下さい。糖尿病や低血糖症は、血糖値が高すぎたり低すぎたりすることが問題と言われていますが、そもそも人には「生体恒常性」と言って、本来は血糖値を正常範囲に保つ能力が備わっています。例えば血糖値が上がったらインスリンによって血糖値を下げたり、低血糖になってしまった際はアドレナリンやコルチゾール等を分泌したりして低血糖症になるのを防いでいます。その機能が備わっているにも関わらず、うまく血糖値を正常範囲にコントロールできないことが最大の問題です。

この血糖値の正常なコントロール能力を取り戻すことが、糖尿病改善と低血糖症の改善に繋がります。ここからは二型糖尿病に限ってのお話しですが、糖尿病と低血糖症の根本原因である「糖代謝が悪化する原因」についてお話ししていきます。
糖代謝が悪化する原因はいくつかありますが、やはり最も大きく関係している理由の1つが「肥満」です。

肥満が糖尿病と低血糖症を悪化させる

肥満とは、いわゆる体脂肪が身体につきすぎてしまった状態。体脂肪自体は飢餓から命を守るために備えられた身体の機能ですが、この体脂肪がつきすぎることによって炎症が発生し、インスリンが効きにくくなって糖尿病に繋がってしまうのです。

肥満が慢性炎症を引き起こし、インスリン抵抗性を発生させる

具体的な肥満への流れとしては、身体には脂肪を蓄える「脂肪細胞」と呼ばれる細胞があり、過剰な糖質摂取や高カロリー食、運動不足などによってこの脂肪細胞が徐々に肥大化していきます。この肥大化した脂肪細胞は一定の大きさになるとそれ以上の大きさになる事は出来ず、細胞分裂することで増加します。この一連のサイクルが進むことで肥満が進んでいきます。

ただ、この脂肪細胞自体は悪者ではありません。脂肪細胞には炎症を抑えるための生理活性物質や炎症を促進させる生理活性物質等を分泌しています。しかし、脂肪細胞があまりにも増えすぎてしまった状態だと、炎症を抑えるための生理活性物質の分泌が低下し、炎症を亢進させる生理活性物質の分泌が亢進して、結果として慢性炎症を引き起こしてしまうのです。

この慢性炎症が引き起こされると脂肪細胞が弱ったり死んでしまったりしてしまいます。すると、その脂肪細胞からDNAの断片が血管中に離脱し、これを異物と捉えた免疫細胞の一種、マクロファージが異物を除去するために活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモンを放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうことが分かってきたのです。

ですので、肥満と糖尿病の関係は切っても切り離せません。基本的には、肥満が進行すればするほど慢性炎症が発生し、インスリン抵抗性がドンドン進んでしまいます。糖尿病を抱えている方の中にも、体重増加やお腹のポッコリが気になっている方は多いのではないでしょうか。もしかすると、あなたの糖尿病もこの肥満が原因になっているかも知れません。

ただ、糖尿病を抱えている方の中には「太っているようには全く見えない」ような人でも糖尿病になってしまっている方が増えて来ています。見かけでは太っていないように見えても、実は内臓や肝臓などに脂肪がベッタリ付いている「隠れ肥満」の状態も考えられます。

この隠れ肥満の状態になってしまっている方も、実は肥満の方と同じようにインスリンの機能が低下し、糖尿病を発症してしまう原因になっているのです。

太っているように見えなくても、実は内臓に脂肪がベッタリ付いているかも

近年、日本人に多いと言われているのが、「異所性脂肪」と呼ばれる脂肪です。異所性脂肪とは、本来脂肪が付くはずが無い肝臓や筋肉、心臓やすい臓などに脂肪が溜まってしまう状態。
最近の日本人の糖尿病患者は、肥満指数として使われるBMI値が23kg/㎡程度であり、肥満とされているBMI値25kg/㎡を超えていなくても、糖尿病を発症しやすいことが分かってきています。

この異所性脂肪の最も多いものとしては、「脂肪肝」が挙げられます。脂肪肝とは、肝臓の周りに脂肪がベッタリくっついてしまった状態。この脂肪肝がある場合は、脂肪肝が無い人と比べてインスリン抵抗性が高いことが分かり、糖尿病との関連が言われるようになりました。

内臓脂肪がある事よりも脂肪肝がある方が糖尿病になりやすい

順天堂大学の研究グループが正常体型に見える人々を調べたところ、内臓脂肪が無くても脂肪肝があるとインスリン抵抗性が高く、逆に内臓脂肪があっても脂肪肝が無ければインスリン抵抗性が低いという研究結果が出ています。
このため、体重やBMI値が正常範囲だったとしても、異所性脂肪の状態によっては糖尿病のリスクが高まってしまうのです。

従来、この脂肪肝にかかる人と言えば、お酒をよく飲む人がかかるという認識でした。
しかし、近年ではお酒を全く飲まない方でも脂肪肝になったり糖尿病にかかってしまう方も増えてきています。この背景には、炭水化物や脂質過多など食生活の悪化、栄養状態の悪化が関係しています。
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、脂肪が溜まっていたり機能が落ちたりしていても殆ど自覚症状がありません。この見えない脂肪肝を放置することで糖代謝が徐々に悪化し、低血糖症の発症や糖尿病の発症に繋がってしまうのです。

脂肪肝と糖尿病、低血糖症の関係とは

では、なぜ脂肪肝によって糖代謝が悪化し、低血糖症や糖尿病に発展してしまうのでしょうか?

実は、この肝臓には本来、食べた糖(グルコース)をグリコーゲンとして貯える働きがあります。グリコーゲンとは、貯蔵型のブドウ糖(グルコース)のこと。貯えたグリコーゲンは必要に応じてグルコース(ブドウ糖)に変えられ、血中に放出されて血中ブドウ糖濃度を一定に保とうとしてくれています。

しかし、肝臓に脂肪が溜まった脂肪肝の状態だったり肝機能に障害があったりすると、グリコーゲンを正常に溜めることが出来ません。
その結果、溜められなかった血糖が血中に溢れて高血糖になってしまったり、低血糖になった際に肝臓から適切にグルコースが供給できなかったりして、糖尿病、低血糖症の発症に繋がってしまうのです。

肝臓の機能と糖の代謝

この脂肪肝と言えば、従来はお酒をよく飲む人がかかるという認識でした。しかし近年ではお酒を全く飲まない方でも脂肪肝になったり糖尿病にかかってしまう方も増えてきています。

では、何故お酒を全く飲まない方でも肝臓に脂肪がベッタリ付いてしまうのでしょうか?
実は、私達の身体に起こる病気の殆どは「栄養が不足すること」によって引き起こされています。
脂肪肝の例で言えば、肝臓に脂肪がベッタリとくっついてしまう状態の事ですよね。これは一般的に「お酒の飲み過ぎ」や「食べ過ぎが原因」と言われていますが、実際にはそんな事もありません。食べ過ぎとは一切関係が無い、痩せた女性でも脂肪肝になってしまう場合があります。

これはどういう事かというと、肝機能が栄養不足によって機能が低下し、炎症が発生してしまっている状態。
肝臓は、身体で使われる酵素やホルモンなどを生産するいわば製造工場です。私達が食べた食べ物は胃や腸で消化吸収され、血液に乗って肝臓へと運ばれます。そして肝臓では、運ばれて来た栄養を元に体内に必要な酵素やエネルギーが合成され、必要に応じて全身に送り届ける役割を担っています。

肝臓の正常な働きにはビタミンB群が欠かせない

この時、肝臓では非常に多くのビタミンB群を消費しています。
ビタミンB群は、糖質、脂質、タンパク質などありとあらゆる栄養素を利用するためには欠かせない補酵素です。このビタミンB群が十分に足りていない場合は、酵素やエネルギーなどが上手く生産出来ず、肝臓内に余分な糖質や脂質があふれかえってしまいます。脂肪肝は、これらが脂肪として肝臓にベッタリくっついてしまった状態。
決して食べ過ぎていない痩せている人でも脂肪肝になってしまうのは、このような栄養不足が根本原因として隠れているのです。

ビタミンB群が不足するとエネルギー代謝や肝機能も低下し、脂肪が付きやすくなる

他にも、血糖値を正常にコントロールするためのホルモンであるアドレナリンやグルカゴン、コルチゾール、インスリンなどもタンパク質やビタミンB、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などを材料に作られています。もし、これら栄養素が不足してしまった場合は、正常な機能を発揮することが出来ません。

栄養不足に加えて、後述する「リーキーガット症候群」も肝臓に炎症を発生させる原因となります。これは、小腸で本来吸収されるはずのない大きなタンパク質などの分子が血液中に漏れ、それが肝臓に運ばれることで肝臓がダメージを受けてしまい、肝臓に炎症が発生してしまう状態。リーキーガット症候群は、痩せ型の方や決して食べ過ぎていない方でも病態を抱えている可能性が高く、このような腸炎症性疾患が糖尿病や低血糖症に繋がっている場合もあるのです。

このように、糖尿病や低血糖症の根本原因には脂肪肝や異所性脂肪が関係しており、これには栄養欠損や食生活が関係しています。特に、現代の食事はパンやラーメン、パスタやうどんなど炭水化物や脂質に偏った食生活をしていますよね。これでは身体を正常に動かすためのタンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養が足りなくなって当然です。

ですので、糖尿病や低血糖症を改善させるためには、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの栄養補給が重要になってきます。この栄養補給を行わずにいくら糖質制限やカロリー制限を行っても、栄養が無ければ肝臓は元気にならず、肝臓が元気にならなければインスリン抵抗性も改善しないので糖代謝は改善しません。
糖代謝が悪化する原因となっている脂肪肝や肥満を改善させるためにも、サプリメントなどで十分な栄養補給を心がけましょう。しっかりと十分な栄養素を取り入れることが出来れば、糖尿病や低血糖症も改善出来る可能性が高いです。
このような栄養を十分に取り入れて病態を改善する手法を、「分子栄養学」または「オーソモレキュラー療法」と言います。

ただし、一型糖尿病や副腎不全、肝機能障害などの修復不可能な臓器障害を抱えている方は、残念ながらサプリメントで修復する事は出来ません。サプリメントはあくまで栄養素ですので、失ってしまった臓器機能を再生させる事は不可能です。
ですので、サプリメントでのアプローチは、あくまで栄養不足によって低下した機能を回復させる場合に限られることにご注意下さい。具体的な栄養素や栄養アプローチについては後ほど解説します。

ナンナン

糖尿病、低血糖症の根本原因は、栄養不足が関係あるのか・・・💧
確かに、全然栄養が足りてないかもしれない💦

はる かおる

栄養が不足することで結果的に糖の代謝が悪くなり、糖尿病、低血糖症になってしまうんだ。
だから、糖代謝を改善させるためにも、積極的な栄養補給がキーポイントだね。

口腔内の環境悪化による炎症が糖尿病と低血糖症の引き金に

次に、糖尿病や低血糖症の原因として切っても切り離せないのが「口腔内環境の悪化」です。
先ほどは脂肪肝など異所性脂肪によってインスリン抵抗性が増し、糖代謝が悪化する事について解説しました。この異所性脂肪と並んで糖代謝が悪化してしまう原因が、歯周病など口腔内環境が悪化することなのです。

歯垢の蓄積によって炎症が発生し、歯周組織の炎症が全身性疾患へ進行する

一見すると、糖尿病と歯周病には何の関係性があるの?と思いますよね。実は口腔内環境の悪化は糖尿病に限らず全身の健康状態と関係していて、例えばアルツハイマー病や心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化や関節リウマチなど、様々な病気を発症するキッカケになっているのです。

具体的な病気への進行は、歯周病菌の出す毒素による炎症が関係しています。
歯周病菌は主に食べかすや磨き残しをエサに、歯と歯肉の間で増殖。この菌がドンドン増殖していくと、そこで大量の毒素を分泌し、歯肉に炎症が発生します。
この炎症が進行していくにつれて歯肉が弱くなり、歯肉から出血。弱くなった歯肉中の血管から歯周病菌が 歯槽骨に侵入し、歯を支えている骨を破壊して溶かすなどの影響を与えます。この状態が慢性的に進行したり続いてしまったりすることで全身へ毒素や炎症が飛び火し、先ほどの動脈硬化やアルツハイマー病など全身性の疾患へと進行してしまうのです。

特に歯周病は糖尿病、低血糖症、動脈硬化、関節リウマチ、アルツハイマー病を引き起こす原因になる

この歯周病菌が出す毒素によって発生する炎症は、先ほどの異所性脂肪や脂肪肝と同じく、インスリン抵抗性を引き起こし、糖代謝を悪化させる事が分かっています。
メカニズムとしては上述した肥満の時と同じく、弱った歯肉組織から侵入した歯周病菌や毒素をやっつけるために、マクロファージが活性化します。このマクロファージが更に炎症を起こすホルモンを放出することで、インスリンの機能が低下し、インスリン抵抗性が高まってしまうのです。

この事は、糖尿病と歯周病との関連として最近よく言われるようになってきました。特に糖尿病を抱えている方ほど歯周病が重症化しやすく、歯周病が重症化するほど糖尿病が悪化していきます。
つまり歯周病と糖尿病はお互いに悪影響を及ぼし、悪循環を形成してしまうのです。

口腔内環境が悪化することで腸内環境も悪化し、更なる糖尿病や低血糖症の悪化に繋がる

私達は食べ物を食べるときに、「よく噛む」事で唾液が分泌され、唾液に含まれる「アミラーゼ」によってデンプン質をブドウ糖まで分解しています。これと同時によく噛むことでインスリンの分泌が促され、血糖値が上がりすぎないような機能が備わっています。
もし、歯や歯茎が悪くなって噛めなくなったり唾液の分泌量が減ってしまうと、十分に噛むことが出来ません。十分に噛むことが出来なくなってしまった場合は、食べ物を大きい塊のまま飲み込むことになり、胃に負担がかかって消化不良を起こしてしまいます。

その結果、未消化の大きなタンパク質や分子が小腸や大腸に流れ込み、これをエサにする悪玉菌が増殖。この悪玉菌が体内で悪さをすること腸に炎症が発生し、更に体内で炎症が促進。この炎症がまた口腔内環境を悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。

このような悪循環が、口腔内の環境悪化が引き金となって引き起こされていきます。ですので、糖尿病と低血糖症を改善するためには口腔内のケアも欠かせません。
この口腔内のケアは先ほど解説した脂肪肝や肥満の対策とセットで行う事が望ましく、また腸内環境が悪化してしまっている場合は腸ケアも同時に行う事が望ましいです。このような口腔環境の悪化と腸内環境を含め全身の状態は、オーソモレキュラー療法の唾液検査と血液検査を受けることで分かります。唾液検査と血液検査はセットで受ける事で初めて意味があり、両方の検査を受けることでより正確な健康状態を把握することが出来ます。
具体的な口腔ケアの方法については後ほど解説しますので、歯肉から出血する方や便秘のある方など心当たりのある方は血液検査と唾液検査、短鎖脂肪酸検査もセットで受けてみて下さい。

唾液検査と血液検査、口腔ケアと全身のケアはセットで行う必要がある
ナンナン

し、歯周病も糖尿病と低血糖症に関連があるのか…💧

はる かおる

うん、一説によると歯周病にかかっている成人の割合は
およそ7割と言われているよ。
国民病と言われる糖尿病生活習慣病も口腔内の環境悪化が
原因かもね

ナンナン

分かった
今度からちゃんと歯磨きするよ

はる かおる

そうだね
昔は「芸能人は歯が命」ってフレーズが流行ったけど
芸能人じゃ無くても歯は命だよ❗

腸内環境の悪化も糖尿病、低血糖症の大きな原因

口腔内の環境悪化と同じく、腸内環境の悪化も糖尿病、低血糖症の原因です。
腸内環境の悪化とは、腸内に生息する善玉菌と悪玉菌のバランスが乱れてしまった状態。この腸内細菌のバランスが乱れていることで肥満になりやすくなったり、アレルギーを引き起こしやすくなったり、感染症や認知症、動脈硬化や糖尿病の悪化など、様々な疾患が引き起こされることが分かってきました。

この腸内環境の悪化によっても糖代謝が悪化し、インスリンの効きが悪くなることが分かっています。
特にゼロカロリー飲料やカロリーオフのお菓子、調味料などに使われている人工甘味料が腸内細菌のバランスを乱し、耐糖能障害といってインスリンの効きを悪くしてしまいます。

また、善玉の腸内細菌は「短鎖脂肪酸」と言って身体にとって有益な働きをしてくれる脂肪酸を作ってくれています。短鎖脂肪酸は、腸を動かすエネルギーになったり、脂質合成を抑制して肥満を防いでくれたり、炎症の抑制やアレルギーなど免疫の調整、代謝の改善など様々なメリットがある物質です。

腸内の善玉菌が少ない場合は、この短鎖脂肪酸の生成量が減り、太りやすくなったりアレルギー反応が起こりやすくなったりして炎症が促進され、この炎症が慢性的に続くことでインスリンの効きが悪くなってしまうのです。
ですので、口腔ケアと同時に腸のケアも行うようにしましょう。口腔内の環境が悪化している場合は、口腔内の悪玉菌を絶えず飲み込むことになりますので、腸内にも悪玉菌が増えてしまいます。

悪玉菌が増えることで更に腸内環境が悪化し、炎症によって腸粘膜が弱ってしまうと「リーキーガット症候群」と呼ばれる状態にも進行してしまいます。

リーキーガット症候群とは、食べ物の栄養を吸収する小腸の粘膜が炎症によって弱り、腸粘膜の細胞同士の間に隙間が出来てしまう状態。この隙間から本来吸収されるはずのない未消化の食べ物や細菌などが血液中に入り込み、免疫が過剰に反応してアレルギー反応や慢性的な炎症を引き起こしてしまう状態です。

このリーキーガット症候群は糖尿病や低血糖症の原因にもなっており、現時点で糖尿病や低血糖症を抱えている方なら、既にリーキーガット症候群になってしまっている可能性が高いです。特に下記の症状に当てはまる項目が多いようでしたら、リーキーガット症候群も疑いましょう。

現代では食生活の乱れに加えて、抗生物質や鎮痛剤、ステロイドやピルなどの薬剤を使用する量も増えています。
これら薬剤も腸内環境の悪化を招き、リーキーガット症候群の原因になります。特に女性の方は毎月生理がある度に鎮痛剤を飲んだり、生理痛が重い方は低用量ピルの服用によって生理を止めたりしますよね。このような慢性的な服薬が腸内環境を悪化させる原因になっているのです。
加えて、風邪を引いたらすぐに病院に行く方も多いはず。病院では、ただの風邪に対しても抗生物質が安易に処方されている現状があります。風邪は細菌感染では無くウィルス感染によって起こるもの。インフルエンザウィルスなどがその代表格です。このウィルスに対して、抗生物質は全く効きません。

にもかかわらず、安易に抗生物質を服用してしまうと、腸内細菌に多大なるダメージを与えてしまいます。抗生物質は、腸内細菌にとってみれば原爆を落とされるようなもの。このようなただの風邪に対しても抗生物質を服用することで、腸内のいい菌も悪い菌も含めて殺菌され、腸内環境が悪化してしまうのです。

もしかすると、あなたの糖尿病や低血糖症はこれら薬の服用によって引き起こされたリーキーガット症候群が根本原因かも知れません。リーキーガット症候群かどうかは、オーソモレキュラー療法の一部であるリーキーガット症候群検査を受ける事で分かります。心当たりがある方は、後述するオーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

ただし、リーキーガット症候群は先ほど解説した脂肪肝や肝炎、口腔内の環境悪化と相関関係が深く、リーキーガット症候群だけが単独で発症するということはあり得ません。
もしリーキーガット症候群だった場合は、口腔内や肝臓のケアも含めて総合的に対策するようにしましょう。

ナンナン

どうもお腹の調子が悪いと思ったら
糖尿病とも関係があるのか…

はる かおる

うん、糖尿病と低血糖症の発症に
腸内環境の悪化は切っても切り離せないね

ナンナン

今まで糖尿病は糖質の摂り過ぎが悪いと思っていたけど
自分の身体に問題があるんだね💧

はる かおる

そうなんだ。
だからこそ、小手先の糖質制限に走らず
腸ケアや口腔ケア、肥満、炎症対策など根本から
アプローチしていくことが大切だよ❗

ナンナン

わかったよ
今度からちゃんと根本から対策するようにしていくね

糖代謝を改善し、糖尿病と低血糖症を改善させるには? 糖代謝改善に必要な栄養素、分子栄養学的アプローチ

長くなりましたが、ここまで糖尿病や低血糖症の原因について解説してきました。ここからは、いよいよ糖尿病と低血糖症の具体的な治し方、分子栄養学的アプローチを解説します。

糖尿病と低血糖症を改善させるための主なアプローチは以下の通り。糖尿病を抱えている方が低血糖症を改善させる場合は、まず先に糖尿病を改善させることが優先です。
その為に必要なアプローチとして、次のことを行っていきましょう。

  • 甘い物、炭水化物の摂りすぎを控える
  • よく噛む
  • 回数頻回食
  • 食べたら動く、運動する
  • 口腔内のケアをする(歯周病)
  • 腸内環境を改善する
  • インスリンの働きを高める栄養補給をする
  • 炎症対策、抗酸化栄養を補給する
はる かおる

ここからはいよいよ改善方法を説明するよ
回数頻回食やよく噛むことについては記事の途中で解説している
から、それ以外の部分について重点的に説明するね。

肥満を改善する、 正しいダイエットを行う

糖尿病の改善としての第一アプローチは、食事の改善と肥満の改善です。
現代の食生活では、どうしてもラーメンやパスタ、うどんやパンなどの炭水化物に偏りがちになります。これらもたまに食べる分には悪くないのですが、ラーメン単品だけでお腹いっぱいにするとか、ラーメン大盛りチャーハン大盛りセットなど炭水化物のみでお腹いっぱいにしてしまうと、栄養バランスが崩れてしまいます。

この栄養バランスを整えるためにも、バランスの良い食事内容を心がけましょう。
食事内容のポイントは、和定食や地中海料理など野菜やタンパク質、炭水化物をバランス良く摂れるメニューがオススメです。

これら和食や地中海料理は、おかずの種類も多く、野菜も多く摂れるので糖尿病や低血糖症の改善にはもってこいの食事内容です。お米の量も食べ過ぎなければ問題ありません。カロリーが不足してしまわないよう、オリーブオイルなども取り入れてしっかりカロリーを確保して下さい。

それから、食べ方にもポイントがあります。血糖値を急激に上げないようにするために、まずは野菜サラダなど食物繊維から先に食べるようにして下さい。そして、次にお肉などの副菜、タンパク質を食べて、最後にお米などの主食を食べるようにしましょう。こうすることで糖の消化吸収が緩やかになり、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。

そして、食べたら運動です。運動することによって糖が肝臓や筋肉に取り込まれ、エネルギーとして代謝されます。この糖を肝臓や筋肉に取り込む際に使われる出入り口がGLUT4(グルートフォー)と呼ばれるもの。このGLUT4が多いほど肝臓や筋肉への糖の取り込み量が増えていきます。糖の取り込み量が増えると、その分だけ糖が筋肉や肝臓で貯蔵、消費され、インスリンの分泌量が減って、インスリンだけに頼らなくても血糖値を下げることが出来るのです。

このGLUT4の量は単純に筋肉量に比例しますので、運動を続けることが糖尿病やインスリン抵抗性の改善へ繋がります。病態を改善させるためにも、是非日頃からの運動を習慣にしてみて下さい。

この運動は、軽いウォーキングやストレッチでも十分です。毎日の習慣や食後の習慣として、最低でも30分は歩いたり運動したりして下さい。逆に、有酸素運動など激しい筋トレやマラソンは身体に負担をかけ過ぎてしまい、糖代謝が追いつかなくて低血糖になってしまうリスクがあります。
このような運動はもっと糖尿病や低血糖症が改善してきてから行う方が効果的ですので、まずは軽い運動からスタートしていきましょう。

このような食事改善と運動に加えて、更に糖の代謝をアップさせる栄養補給が重要です。特に、運動前後にしっかりタンパク質やビタミン、ミネラルを補給しないと、運動によって筋肉が壊されたまま修復できなくなってしまいます。
運動後に筋肉をしっかり付けるためにも、下記のような栄養補給を心がけてみて下さい。

筋肉量を増やし、糖代謝を上げるために必要な栄養素

  • タンパク質
  • BCAA(運動前後)
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • 亜鉛
  • αリポ酸

このような栄養補給に加えて、この記事の途中で解説したよく噛むことと、回数頻回食も必要に応じて組み合わせて行ってみましょう。

はる かおる

運動前後に適切な栄養補給をしないと逆効果になるよ❗
食事内容の改善とあわせてやってみてね。

インスリン構成の材料となる栄養を摂取し、インスリン抵抗性を改善させる

糖尿病や低血糖症を抱えている方はインスリンの働きが低下していることが殆どですので、インスリンの働きを助ける栄養素の摂取も重要です。食事改善や運動に加えて、インスリンの構成成分となる栄養も同時に補給していきましょう。

インスリンの働きを助ける栄養素としては、

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • カルシウム・マグネシウム
  • クロム
  • 亜鉛


などがあります。

インスリンはタンパク質を元に、ビタミンやミネラルを使って合成されています。これら材料となるタンパク質やビタミンB、亜鉛などをしっかり補給することで、インスリンの働きを助けます。
また、マグネシウムやクロムなどの摂取によってインスリン抵抗性の改善が見られる研究結果もある事から、併せて摂ることも効果的でしょう。他にも、マンガン・リン・カリウム 等の栄養素も糖代謝を助けてくれる栄養素です。
バランスの良い食事を心がけ、足りない分はサプリメントで補うようにしてみて下さい。

はる かおる

必要な栄養素がカブって解説されるけど
その栄養素はそれだけ重要だってこと。
特にタンパク質は身体を構成する唯一の
栄養素だから、積極的に摂るようにしてね

脂肪肝、炎症対策、抗酸化栄養を補給する

この記事の途中では、インスリンの働きが落ちる原因として肥満や脂肪肝が原因である事を解説しました。肝臓は、体内のエネルギーや酵素などの製造工場です。私達が食べたタンパク質や脂質、糖質などの食べ物は消化吸収され、すべて肝臓に運ばれてから利用されています。
この肝臓に脂肪がベッタリ付いた脂肪肝の状態だったり炎症が発生したりしていると、食事から摂取した栄養素が肝臓でうまく利用出来なくなり、インスリンの働きが落ちてしまいます。この肥満や脂肪肝、炎症を鎮めてインスリンの働きを改善させるためにも、肝臓を元気にする栄養や炎症対策となる栄養素も同時に摂取していきましょう。

脂肪肝の対策をする際は、まず肝臓の機能が正常かどうかを血液検査で確認してみて下さい。肝臓の状態は、ASTとALT、γ-GPTの数値でおおよそ分かります。
ASTやALT、γ-GPTが20を下回っていた場合は、ビタミンB群を始めとした栄養欠損によって機能が低下しています。
この場合は、タンパク質とビタミンB群を中心とした栄養を積極的に補給するようにしましょう。

ASTとALTの数値を見たとき、ASTよりもALTの方が高かった場合や、γ-GPTが高い場合「脂肪肝」が疑われます。腹部エコーなどの検査を受けて、脂肪肝の状態を確認してみて下さい。

脂肪肝には、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝がありますが、糖尿病や低血糖症を抱える方はアルコールを飲まない非アルコール性の脂肪肝を抱えている場合も多く見受けられます。
この場合も、糖代謝の異常により糖が肝臓で利用出来なくなり、脂肪として肝臓に貯えられてしまった状態です。
もしアルコールを飲まれている方でアルコール性の脂肪肝がある場合は、アルコールの摂取を控えましょう。

このような肝機能が低下していることで糖尿病や低血糖症が引き起こされている場合は、肝機能を正常に戻すことが最優先です。肝機能が低下している主な原因は「栄養欠損」ですので、栄養補給が欠かせません。具体的な栄養素としては以下のようなものがあります。

  • タンパク質、BCAA
  • ビタミンA
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • ナイアシンまたはイノシトール
  • ウコン
  • シリマリン
  • グルタチオン

肝臓自体もタンパク質で出来ていますので、タンパク質の補給は欠かせませんまた、タンパク質を利用するための補酵素であるビタミンB群も重要です。

脂肪肝は炎症の一種になりますので、炎症対策としてEPAやビタミンE、ビタミンC、αリポ酸など抗酸化アプローチも有効になります。肝機能を高めてくれるウコンやマリアアザミなどの栄養素も必要に応じて摂取すると良いですね。

はる かおる

肝臓を元気にすることが
すべての病気改善に繋がるよ。

肝臓の状態は必ずチェックしてね❗

口腔内をケアし、糖尿病と低血糖症の悪化を防ぐ

糖尿病、低血糖症の改善には、食事内容の改善や運動に加えて口腔内のケアも重要です。口腔内が悪化する最も多い原因としては歯垢の磨き残しですので、電動歯ブラシやウォーターピックなどを使って歯と歯の隙間もしっかりケアしていきましょう。
ここでは、オススメの口腔ケアグッズをいくつかご紹介します。

電動歯ブラシ

磨き残しが多く残る原因は、やはり手磨きによるもの。手磨きだと適切な磨き方が求められる上に、歯垢をしっかり落としきるまで磨くには時間がかかります。
このような問題を解決するためにも、是非電動歯ブラシを取り入れてみて下さい。電動歯ブラシであれば、短時間で確実に歯垢を落とすことが出来ます。電動歯ブラシには音波式など振動するタイプのものとブラシが回転する回転式がありますが、歯垢をしっかり落とすなら回転式ブラシがオススメ。歯垢は細菌が出すネバネバ物質に覆われており、これを物理的にそぎ落とせる回転式ブラシが最も効果的です。

この回転式の電動歯ブラシにもピンからキリまでありますが、あまり高いものを選ぶ必要はありません。機能面と価格面のバランスが良い真ん中あたりのモデルを選ぶと良いでしょう。オススメは、ブラウンのOral-Bシリーズです。僕自身も、ブラウンのOral-Bシリーズを愛用しています。お好きな色や形で選んでみて下さい。

プロポリス、マヌカハニー入り歯磨き粉

次に、歯磨き粉です。これは特に何でも大丈夫ですが、歯周病対策用に作られたある程度の値段がしている物を選びましょう。研磨剤が配合されている物は歯と歯肉を傷つけてしまう可能性がありますので、選ばないようにして下さい。
オススメは、プロポリス、マヌカハニー配合の歯磨き粉です。プロポリスやマヌカハニーには天然の殺菌成分が含まれており、歯周病菌の殺菌にも有効です。これら天然の殺菌成分は口腔内の有用菌に対してダメージを与えすぎないので、口腔内の細菌バランスを保つ上でもオススメです。
逆に、マウスウォッシュや殺菌成分が強すぎる歯磨き粉では口腔内の有用菌も殺菌してしまいますので注意しましょう。

【送料無料】NZ産プロポリス&マヌカハニー歯磨き粉 100g(コサナ)

ウォーターピック

電動歯ブラシは短時間で歯垢を落としてくれるものの、やはり歯と歯の隙間の汚れまではしっかり落としきることが出来ません。この歯と歯の隙間をしっかり落とすのに有効なのが、「ウォーターピック」や「ジェットウォッシャー」と呼ばれているものです。

仕組みとしては、高圧な水流を歯や歯肉に当てて汚れを落とすというもの。高圧洗浄機で有名な「ケルヒャー」の口腔版といった感じですね。文字で説明するよりも、動画の方がわかりやすいかと思います。

ジェットウォッシャー

このように、高圧の水流を当てて歯と歯の隙間にある汚れを効率よく落とします。電動歯ブラシだけでは落とせない汚れもしっかり落とせますので、歯ブラシ後にウォーターピックやジェットウォッシャーを併用するようにしましょう。

歯周病の状態によっては使い始めに出血するかも知れませんが、使っている内にだんだんと出血量が減ってきます。
およそ3ヶ月程度使用すれば殆ど出血も収まり、歯周病の状態も改善してきますので、始めは出血したり痛みがあっても根気強く続けるようにしてみて下さい。

ウォーターピックやジェットウォッシャーには類似品が安く売られていますが、水圧など機能面から見てもちゃんとしたメーカー品を購入するのがオススメです。メーカー品の値段は高めですが、使いやすさや機能面、耐久性や汚れの落ちやすさなどしっかり考えられています。これで今後、歯の治療費や病気の治療費が減ると考えると、かなり安い投資かと思います。一度買うと家族で使える上にずっと使える物ですので、是非勇気を持って購入してみて下さい。

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口腔内環境改善サプリメント

歯の汚れをしっかり落としたら、次に口腔内の細菌バランスを整えていきましょう。
細菌バランスと言えば腸内環境を思い浮かべるかも知れませんが、実は口腔内にも悪玉菌と善玉菌が生息しています。
悪玉菌の代表は虫歯菌や歯周病菌などで、これらが善玉菌よりも多くなってしまうと口の中で悪さをし始めるのです。

ですので、歯周病などの悪玉菌が増えないように、善玉菌を増やしていく事が重要になってきます。
口腔内の善玉菌としては、「ストレプトコッカス・オラリス菌」や「ストレプトコッカス・ウベリス菌」「ストレプトコッカス・ラッタス菌」などです。これらの有用菌は虫歯菌や歯周病菌のすみかを奪い、過酸化水素を微量に産生することで歯周病菌の殺菌作用をもたらします。

歯磨き後は口腔内の有用菌のバランスを整える事が大切

特にストレプトコッカス・オラリス菌とストレプトコッカス・ウベリス菌が歯周病対策に有効な菌で、これら菌が歯周病菌の住処を奪って過酸化水素を産生することで歯周病菌の増殖を防ぎます。ストレプトコッカス・ラッタス菌は虫歯の原因となるミュータンス菌と住処と栄養源を奪い合うことで、ミュータンス菌に対して増殖抑制作用を示します。

歯ブラシとウォーターピックなどでしっかり汚れを落とした後は、これらの菌が含まれている口腔環境改善サプリメントも利用して、口腔内をケアしてみて下さい。実際に口腔環境改善タブレットを4週間使用した方は、虫歯の原因菌や歯周病の原因菌が減少した結果が出ています。

口腔内環境改善タブレットを4週間使用後、悪玉菌が有意に減少した

この口腔環境改善タブレットの具体的な製品については、オーソモレキュラー療法の一環として用いられています。
ご興味ある方は、最後にご説明するオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

それから、歯周病菌の出す毒素や炎症によって弱ってしまった歯肉を修復するためにも、歯肉の材料となる栄養補給も同時に行いましょう。歯肉がダメージを受けたままや出血している状態では、悪玉菌が増殖しやすくなります。
歯肉は「コラーゲン」繊維で出来ており、コラーゲンはタンパク質やビタミンC、鉄などを材料に作られます。有用菌の補給に加えて、これら栄養も補給して歯肉の修復を行うようにして下さい。

歯肉を強くする栄養素

  • タンパク質
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • コエンザイムQ10
はる かおる

糖尿病、低血糖症対策において歯のケアは特に重要だよ❗
ここにはできる限りお金と手間をかけるようにしてね。

腸内環境の改善、短鎖脂肪酸の産生量を増やす

口腔内の環境悪化と同じく腸内環境の悪化でも糖尿病、低血糖症が引き起こされますので、口腔ケアと合わせて腸内環境の改善も行っていきましょう。

腸内環境の健康度は、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスで決まります。
腸内には善玉菌と悪玉菌が住んでいますが、悪玉菌よりも善玉菌の方が多い状態が理想です。これが逆転して善玉菌よりも悪玉菌の量が多くなってしまうと、お腹の調子が崩れたり太りやすくなったりと様々な不調へと繋がってしまうのです。

腸内細菌叢は日和見菌を味方に付けられるかどうかが鍵

この腸内細菌叢には悪玉菌と善玉菌以外にも日和見菌(ひよりみきん)といって、悪玉菌にも善玉菌にもどちらにもなれる菌が多数を占めています。この日和見菌は、悪玉菌が優勢であれば悪玉菌と同じような活動をし、善玉菌が優勢であれば善玉菌と同じような活動をするという特徴があります。

つまり、腸内の健康状態を保つためには、善玉菌を多くして日和見菌を味方に付けることが最大のポイント。この善玉菌や悪玉菌、日和見菌のバランスは善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌が1割という比率が最もバランスが良いと言われていて、その優劣は日々、私達が食べた物や体調によって影響を受けています。

この優劣を決める上で最も重要な栄養素が、「食物繊維」です。
食物繊維とは、胃で消化されずに腸まで届く繊維質や難消化性の糖質のこと。大きく分けて「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」がありますが、これらは主にワカメや昆布等の海藻類や、お米、トウモロコシなどの穀物類、フルーツや野菜などに多く含まれています。
これら食物繊維を多く含む食べ物を食べるとお腹の中で善玉菌の餌となり、餌を食べた善玉菌は腸に有益な働きを持つ「短鎖脂肪酸」を生成してくれます。この短鎖脂肪酸の量と質が、腸内の健康状態を決定づけてくれるのです。

腸内環境の改善は、短鎖脂肪酸の量とバランスを意識する

ですので、腸内環境の改善を行う際はこの短鎖脂肪酸を意識するようにしましょう。
最近流行りの腸活では、乳酸菌やビフィズス菌などの菌(プロバイオティクス)を摂ることばかりが言われていますよね。しかし、いくらいい菌を摂ったとしても、いい菌の餌になる食物繊維(プレバイオティクス)が無ければ短鎖脂肪酸は作られません。

重要なのは、いい菌であるプロバイオティクスと、そのエサとなるプレバイオティクスを両方同時に摂ること。
こうして善玉菌を増やしていけば、短鎖脂肪酸の生成量も増えていきます。短鎖脂肪酸には腸内を酸性に傾けてくれる作用もあり、酸性に弱い有害菌やカンジダ菌の増殖抑制効果や有害物質の発生抑制、体内への侵入抑制効果もあります。

このような事から、腸内環境を改善させるためにも有用菌とそのエサとなる食物繊維を同時に摂っていきましょう。
食物繊維が多く含まれる食べ物としては、以下のような物があります。

食物繊維が多く含まれる食べ物

  • こんにゃく
  • きくらげ
  • 寒天
  • 切り干し大根
  • 椎茸、干し椎茸
  • ドライプルーン、ドライいちじく
  • いりごま
  • おから
  • グリーンピース
  • 納豆
  • ゴボウ
  • アボカド
  • ブロッコリー
  • 枝豆
  • オクラ

このリスト以外にもワカメや昆布、キャベツなど食物繊維が多く含まれる食べ物は沢山ありますので、献立を色々と工夫してみて下さい。
また、食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維などをバランス良く十分な量を摂取する事が大切です。食べ物からではこれら食物繊維をバランス良く十分な量を食べることが難しい上、有用菌が生きたまま補給することも難しいので、サプリメントからも補給していくことがオススメです。短鎖脂肪酸を増やすアプローチとしては、次のようなプロバイオティクス、プレバイオティクスが配合されたサプリメントを選びましょう。

短鎖脂肪酸の量とバランスを整える栄養素

  • 乳酸菌(有胞子性乳酸菌)
  • ビフィズス菌
  • 酪酸菌
  • 納豆菌
  • 食物繊維(水溶性、不溶性両方)

ただし、乳酸菌などのサプリメントは様々な会社から販売されていますが、その殆どは生きて腸まで届きません。乳酸菌やビフィズス菌などは胃酸に弱く、その殆どが胃酸や胆汁酸によって死滅してしまいます。このようなサプリメントを飲み続けても、腸内環境の改善には繋がりません。これはヨーグルトや発酵食品などから摂れる乳酸菌なども一緒です。

ですので、乳酸菌など有用菌は、生きて腸まで届く「有胞子性乳酸菌」が配合されている物がオススメです。有胞子性乳酸菌とは、硬い殻に覆われている乳酸菌のこと。硬い殻に覆われていることで胃酸や胆汁酸から身を守り、生きて腸まで届きます。
また、プロバイオティクスとして最も摂りたいのが「酪酸菌」です。酪酸菌は「酪酸」という短鎖脂肪酸を作ってくれる菌で、腸内の健康状態に非常に重要な役割を担っています。これらをバランス良く含めたプロバイオティクス製品と、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれたプレバイオティクス製品を同時に摂るようにしてみて下さい。これら腸内環境改善のために専用に設計された製品は、オーソモレキュラー療法でも用いられています。ご興味ある方は、最後にご説明するオーソモレキュラー療法を受けてみて下さい。

もし、ご自身の腸内でどれだけ短鎖脂肪酸が作られているか知りたい場合は、便中短鎖脂肪酸検査を受けることで分かります。

腸内環境が健康かどうかは、便中短鎖脂肪酸検査で分かる

便中短鎖脂肪酸検査では、短鎖脂肪酸のバランスや量を測定することができ、腸内環境の健康度や食生活が適正かどうかが分かります。
お腹の調子があまり良くない方や、前述したリーキーガット症候群の傾向がある方など、腸内の環境を良くしたい方は是非一度受けてみて下さい。便中短鎖脂肪酸検査は、後述するオーソモレキュラー療法にて受ける事が出来ます。
ただ、注意点としては便中短鎖脂肪酸検査を受ける際は胃のチェックを同時に行うようにしてください

腸内環境が悪くなる原因としては、第一に胃の不調とも関連があります。胃の消化力が落ちている場合は未消化物が腸内に流れ込み、悪玉菌のエサとなって腸内環境が悪くなります。
ですので、短鎖脂肪酸検査を受ける場合や、お腹の調子があまり良くない方、前述したリーキーガット症候群に当てはまる方は必ず胃の検査も受けるようにしましょう。胃の状態は血液検査で概ね知ることができ、この血液検査はオーソモレキュラー療法にて受ける事が可能です。

胃の状態を知る血液検査項目としては、胃酸の分泌量を表すPG1や、粘膜の炎症程度を表すPG2、胃粘膜萎縮の程度を見るPG1/2比などがあります。このPG1の数値が低い場合は胃酸の分泌量が少なく、タンパク質をしっかり消化吸収することが出来ません。タンパク質がしっかり消化できていない状態だと、未消化のタンパク質が腸に流れて悪玉菌が増える原因となります。
また、ピロリ菌に感染していたり、胃粘膜の炎症や萎縮があるとタンパク質が上手く吸収できなくなってしまいます。これらの検査を参考に、タンパク質がしっかり消化吸収出来ているかや、胃の健康状態も同時に確認してみましょう。

もし胃の状態や腸の状態に問題がある場合は、先ほどのプレバイオティクス、プロバイオティクスに加えて腸粘膜を強化したり、消化を助けるための栄養素が必要になります。必要に応じて、次のような栄養素も組み合わせてみて下さい。

腸粘膜、消化能力を強化する栄養素

  • 消化酵素
  • タンパク質
  • グルタミン
  • ビタミンB群
  • ビタミンC
  • ビタミンD
  • ビタミンA
  • 亜鉛
  • カルシウム・マグネシウム
はる かおる

腸内環境を改善するためには
先に口腔ケアと胃腸のケアが先だよ❗
どれか1つだけ集中的に行っても意味ないから
脂肪肝や炎症対策と合わせてセットで行ってね❗

まずはあなたの状態をよく知ること。最適なアプローチを知るためにも、オーソモレキュラー療法の血液検査を受けましょう。

ここまで、糖尿病による低血糖症の原因や栄養アプローチの方法について解説してきました。
糖尿病と低血糖症は関係が深く、このどちらも肥満や脂肪肝、口腔内の環境悪化や腸内環境の悪化が関係しています。
また、この他にも甲状腺機能障害や貧血など様々な疾病や栄養不足が関係していて、ここでは解説しきれなかった原因や疾患、対策法も沢山あります。
ですので、上述した原因も含め、人によって複数の原因が複雑に絡み合っていることも多く、検査もなしに適切な栄養アプローチを行うのは困難です。

例えば、「甲状腺機能低下症」と「インスリン抵抗性」「副腎疲労」が組み合わさって糖尿病、低血糖症になっている方と、「糖質の摂りすぎや摂らなさすぎ」「貧血」によって糖尿病、低血糖が起きている方とのアプローチは全く違います。
また、この記事で紹介した原因以外にも、「胃の状態が悪い方」や「貧血」があるか、「甲状腺機能に問題が無いか」や「遺伝的な問題」があるかなどの問題も関係してきます。

このように糖尿病からくる低血糖症には様々な原因があり、個人個人バラバラに組み合わさって引き起こされています。同じ糖尿病や低血糖症に見えても対処法は全く異なりますので、これら原因となる要因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。
その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、68項目にも及ぶ血液検査項目に加え、糖尿病の状態や甲状腺の検査、副腎疲労や酸化ストレス、短鎖脂肪酸検査やリーキーガット症候群検査などを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。
複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの糖尿病や低血糖症の根本原因がどこから来ているのかが分かります。

また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。
根本原因からきちんと対処していくことが出来れば、糖尿病からくる低血糖症も改善出来る可能性があります。
同じように見える糖尿病、低血糖症でも人によって全くアプローチが違いますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記リンクか記事最後尾のプロフィールに記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みページ」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

質の悪いサプリでのアプローチはむしろ低血糖を悪化させる❗

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。
この際、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して行っていきたい」と思うかも知れません。
しかし、市販されているサプリメントやアイハーブなどで販売されているサプリメントで栄養アプローチをするのは非常に危険です。

特に海外で販売されているサプリメントやプロテインについては、日本人向けには設計されていません。
加えて、主な目的が「スポーツ用」として開発された物ばかりで、治療を目的とした利用には不向きです。
また、人工甘味料を始めとした添加物も多い上、栄養素が酸化して効力を失っている物や、自然界に存在しない化学構造に加工された物も多くあります。
これらを大量に摂取することでむしろ身体や肝臓にダメージを与えてしまい、糖尿病や低血糖症がさらに酷くなる場合もありますので、栄養アプローチを行うときは市販サプリや海外サプリで代用せず、オーソモレキュラー療法専用のサプリメントでアプローチするようにしましょう。

はる かおる

サプリメントはどれも同じじゃ無いよ❗
質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、オーソモレキュラー療法用に作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね❗

ケンビックスシリーズ

血糖値が高いはずの糖尿病が何故低血糖に? 糖尿病と低血糖症の関係と、低血糖症に対する分子栄養学的アプローチまとめ

糖尿病、低血糖症の改善には糖代謝を改善するのが鍵

以上が、糖尿病が原因で低血糖症が引き起こされる原因と対処方法でした。
かなり長くなりましたが、糖尿病や低血糖症には根本に糖代謝の悪化が関係しており、その糖代謝の悪化には脂肪肝や口腔内の環境悪化、腸内環境の悪化、栄養不足などが関係していることが分かって頂けたかと思います。

現代の糖尿病治療や低血糖症治療では、このような根本原因から対策せず、高血糖になった場合はインスリン注射、低血糖になった場合は糖分の補給など対処療法的な治療しか行ってくれません。
このような対処法が続けられているうちは、国民病と言われる糖尿病の方の数もドンドン増えてしまうことでしょう。
オマケに、糖尿病と低血糖症はセットで起こりますので、血糖降下剤やインスリン注射によって深刻な低血糖症に陥り、ある日突然命を落とす事も考えられます。

そんな状態には絶対になりたくないですよね。
そうならない為には、糖尿病や低血糖症の根本から改善していくことが重要です。オーソモレキュラー療法では、あなたの糖尿病の原因や対策法が必ず見つかるはず。今まで糖尿病の治療だと思って使っていた薬で命を落とさないよう、現代医療だけに頼らず、ご自身で根本から改善していく力を付けていきましょう。

ナンナン

今まで糖尿病の原因は糖質だと思っていたけど、
糖尿病や低血糖症にはちゃんと根本原因があるんだね
凄く参考になったよ❗ありがとう❗❗

はる かおる

うん、糖尿病や低血糖症の原因は一人一人違うから
是非オーソモレキュラー療法を受けてみてね。

ナンナン

分かった❗
オーソモレキュラー療法を受けてみるね❗
栄養補給して、糖尿病と低血糖症を改善させてみるよ❗

※当サイトは分子栄養学の普及を目的に、個人が独学で学んだ情報を発信しているサイトです。情報の正確性には配慮しておりますが、サイトに記された情報については、必ずしも正確性を保証するものではありません。また、サイトに示された表現や再現性には個人差があり、必ずしも利益や効果を保証したものではございません。
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