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ビタミンEとは? ビタミンEの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説

「身体が冷える」「貧血がなかなか改善しない」「LDLコレステロール値が高い」「なかなか妊娠できない」などの症状は、もしかしたらビタミンE不足が原因かもしれません。ビタミンEは非常に強力な抗酸化作用や抗炎症作用がある栄養素と言われていますが、それ以外にも貧血の改善や抗不妊作用、抗がん作用などにも関わっています。

ビタミンEが不足すると、脂質異常症や糖尿病になりやすくなったり、動脈硬化などが進行しやすくなります。これ以外にも、溶血性貧血や不妊症、ガンや老化の促進など様々な不調へと繋がってしまう原因です。

今回は、このビタミンEの基本についてと、ビタミンEがどのように吸収・代謝されているのか、ビタミンEの基本的な分子栄養学に加え、コレステロール対策などを含めたビタミンE不足に対する分子栄養学的アプローチを解説します。

ナンナン

今日、健康診断に行ったんだよね。そしたら、コレステロールの数値で引っかかっちゃった💧

はる かおる

あらら・・・年齢を重ねていくと、コレステロールの数値は上がりやすくなるね。

ナンナン

うん・・・、とりあえず、ビタミンEが良いらしいから、安いビタミンEのサプリを買って飲んでみることにするよ

はる かおる

ちょっと待った❗ コレステロール対策にビタミンEはオススメだけど、実はビタミンEは何でも良いわけじゃ無いんだ

ナンナン

えっそうなの❗❓ ビタミンEって、どれも一緒なんじゃないの❓❓

はる かおる

栄養素はみんな同じってイメージだけど、実はそうでもないんだよ。特にビタミンEにはトコフェロールやトコトリエノールなんかの種類があるから、このあたりをよく理解することが大切なんだ

ナンナン

トコフェロールにトコトリエノール❓❓

はる かおる

そう。ビタミンEにも種類があって、それぞれ働きも持続性も全く異なるんだ。このあたり、詳しく解説してあげるね。

\この記事の解説動画はこちら/

目次

ビタミンEとは?

ビタミンEは、私たちの体を酸化ストレスから守る強力な抗酸化作用を持つ脂溶性(油に溶けやすい性質)のビタミンです。現代では「若返りのビタミン」とも呼ばれ、アンチエイジングや生活習慣病予防の文脈で語られることが多い栄養素ですが、その発見のルーツは「生命の誕生」に深く関わっています。

ビタミンEは水溶性ビタミンの一種で、強力な抗酸化作用を持つ

ビタミンEが発見されたのは1922年のことです。アメリカの解剖学者、ハーバート・エバンスとキャサリン・ビショップによるラットの実験がきっかけでした。

彼らは、ラットに特定の食事(酸化したラードなど)を与え続けると、妊娠しても胎児が育たずに流産してしまう現象に気付きました。しかし、その食事に「小麦胚芽油」や「レタス」を加えると、見事に正常な出産ができるようになったのです。この時見つかった未知の有効成分は、当時すでに発見されていたビタミンA、B、C、Dに続く5番目のビタミンとして「ビタミンE」と名付けられました。1

さらに、ビタミンEの主要な種類である「トコフェロール(Tocopherol)」という化学名は、ギリシャ語の以下の言葉を組み合わせて作られています。

  • Tocos(トコス): 子供を生むこと
  • Pherein(フェレイン): 力を与える、もたらす
  • -ol(オール): 水酸基を持つアルコール類の化学構造を示す接尾語

つまり、トコフェロールという名前自体が「子供を産ませる力を与える成分」という意味を持っており、生殖機能や細胞の正常な成長に不可欠であることが名前の由来というわけです。

「妊娠のビタミン」として発見されたビタミンEですが、その後の分子レベルの研究により、その働きの本質は「脂質の酸化を防ぐ強力なバリア機能」にあることが分かってきました。

私たちの体は約37兆個の細胞からできており、その一つひとつの細胞を包んでいる「細胞膜」や、肝臓から全身にコレステロールを運ぶ「LDLコレステロール」などは、主に脂質で作られています。ビタミンEは油に溶けやすい性質を持つため、これらの脂質の中に直接入り込み、活性酸素の攻撃から身を挺して細胞や血管を守る「最前線の防衛隊」として働きます。

分子栄養学において、細胞膜の劣化(酸化)や慢性的な炎症は、全身のあらゆる不調や老化、生活習慣病の「根本原因」と考えられています。ビタミンEは単なる栄養素にとどまらず、「細胞の品質を保ち、あらゆる病気の火種となる酸化ストレスを消し止めるためのキープレイヤー」として、現代の予防医学において極めて重要な位置を占めているのです。

ビタミンEの種類と分子構造の違い

「ビタミンE」という言葉は、実は単一の成分を指す言葉ではありません。自然界には、化学的な構造がとてもよく似た「8種類の仲間(同族体)」が存在します。

これら8種類はそれぞれ異なる個性を持ち、体内で互いに補い合って働いています。そのため、分子栄養学の実践においては、これらの違いや働きを理解することが大切です。まずは、ビタミンEの全体像と、分子構造がもたらす驚きのメカニズムを紐解いていきましょう。

ビタミンEの仲間は、後ろにくっついている「側鎖(しっぽ)」の構造の違いによって、大きく「トコフェロール」と「トコトリエノール」の2つのグループに分かれます。

さらに、それぞれのグループの中に、分子の頭にあたる部分(クロマン環)の構造の違いによってα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の4種類が存在します。2

トコフェロールとトコトリエノールは、それぞれ多彩な作用を持つ

これらは、分子構造の違い(しっぽの柔軟性)によって、トコフェロールとトコトリエノールは体内で全く異なるアプローチで私たちの健康をサポートしています。それぞれの具体的な働きと、なぜその違いが生まれるのかを詳しく見ていきましょう。

  • トコフェロール: α、β、γ、δ の4種(主に持続性・ホルモン調節・血流改善)
  • トコトリエノール: α、β、γ、δ の4種(主に即効性・抗炎症・神経保護・がん予防)

トコフェロールの主な働き:体内のベースを守り、巡りを整える

トコフェロール(特にαトコフェロール)は、血液中に長く留まることができるため、「じっくりと持続的に、体全体のベースを整える」のが得意という特徴があります。また、強力な抗酸化作用をもち、細胞膜を酸化から守ったり、ホルモンの作用を整えて妊娠する力をサポートするのもトコフェロールの働きです。3

例えば、血液によって全身の細胞へ運ばれたトコフェロールは、細胞膜の脂質部分にじわじわと定着します。そして、呼吸によって発生する活性酸素から細胞膜が酸化(サビる)されるのを24時間体制でブロックし続けます。この安定した持続力こそが、トコフェロールの最大の強みです。

また、ビタミンEの発見のルーツである「生殖機能への関与」は、主にトコフェロールの働きです。脳の下垂体や副腎、卵巣といったホルモンを分泌する器官に高濃度で存在し、女性ホルモン(プロゲステロンなど)や男性ホルモンの代謝をスムーズにします。自律神経の乱れや更年期症状、月経不順のケアにおいて欠かせない栄養素として働きます。

この他、 毛細血管を広げ、血流を改善する働きもあります。トコフェロールは、血管の壁にある内皮細胞を保護し、血管を拡張させる物質(一酸化窒素=NO)の産生を促します。これにより、血液がドロドロになるのを防ぐとともに、細い毛細血管まで血液がスムーズに流れるようになり、冷え性や肩こりの改善、動脈硬化の予防に貢献します。

トコトリエノールの主な働き:シャープに効く、スーパービタミンE

トコトリエノールは、トコフェロールに比べて細胞膜への浸透スピードが数十倍と言われています。これにはトコトリエノール特有の3つの二重結合を持つ分子構造にあり、「細胞の深部にまで入り込み、ピンポイントで強い作用を発揮する」のが得意なためです。4

このため、慢性炎症を抑えたり、がんを予防したり、脳の神経細胞を保護したりと、様々な働きがあります。

例えば、脳は大部分が脂質でできているため、非常に酸化しやすい臓器です。トコトリエノールはその優れた浸透力で脳の関門(血液脳関門)を通過し、神経細胞を酸化ストレスによる毒性から強力に保護します。

また、糖尿病やがんなど、病気の根本原因には「慢性炎症」が関わっているとされています。ビタミンEは、この慢性炎症の引き金である、細胞内の転写因子(NF-κB)の活性化を強力にブロックします。これにより、炎症性サイトカインという悪玉物質が作られるのを根本から防ぎます。

加えて、ガン細胞自体も押さえ込む働きを持っています。がん細胞は、自らを増殖させるために、新しい血管(新生血管)を勝手に作って栄養を奪おうとします。トコトリエノールは、この血管新生を阻害したり、がん細胞に自死(アポトーシス)を促したりする作用が、トコフェロールよりもはるかに強いことが分かっています。

トコトリエノールは、単なるサビ取り(抗酸化)にとどまらず、細胞の中の「スイッチ」を切り替える働きがあります。例えば、細胞の異常な増殖を促す酵素(プロテインキナーゼCなど)が暴走すると、細胞の増殖や炎症反応のシグナルが過剰に伝達され、ガンの悪性化や糖尿病、神経変性疾患などを引き起こす原因と言われています。トコトリエノールは、これらの働きをピンポイントで抑え、細胞の暴走をコントロールします。

このほか、トコトリエノール特有の働きとして、コレステロールの過剰な合成を安全に抑制する働きがあります。コレステロールは主に肝臓で合成されており、主に糖質や脂質、タンパク質を材料に合成されます。

このコレステロールが肝臓で作られる際、その鍵を握る酵素(HMG-CoA還元酵素)があります。トコトリエノールはこの酵素の分解を促し、コレステロールの過剰な合成を安全に抑制することで、結果的に血中のLDLコレステロール値を改善させる働きがあります。

分子構造の違いにおける生理活性と即効性・持続性の違い

トコフェロール・トコトリエノールのα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)の8種類は、それぞれ「得意分野」や「働くスピード」が異なります。分子栄養学を実践する際には、この違いもよく理解しておくことが重要です。

Screenshot

まず、トコフェロールとトコトリエノールでは、生理活性(体内での利用されやすさ)の強さが異なります。生理活性が最も高いのは、「トコフェロール」の方です。そして、トコフェロール同族体の中で最も体内、特に血液中で最も長く留まり、効率よく使われるのは「α(アルファ)」の形です。そのため、一般的な栄養学では「α-トコフェロール」の量を中心に計算されます。

トコフェロールはα型が最も生理活性が高く、デルタ型が最も生理活性が低い
α(アルファ)>β(ベータ)>γ(ガンマ)>δ(デルタ)

次に、抗酸化力(ピュアなサビ取り能力)の強さの違いです。トコフェロールとトコトリエノールでは抗酸化力に違いがあり、トコトリエノールの方が抗酸化力が強いという特徴があります。そして、トコトリエノール同族体の中でもδ(デルタ)型が最も抗酸化力が強いとされています。5

トコトリエノールはδ型がもっとも抗酸化力が強く、α型が最も抗酸化力が低い
δ(デルタ)>γ(ガンマ)>β(ベータ)>α(アルファ)

実は、純粋な「物質としての抗酸化力」を試験管の中で比較すると、生理活性とは真逆になり、「δ(デルタ)」や「γ(ガンマ)」の方が強力です。

そして、トコフェロールとトコトリエノールでは、即効性と持続性にも違いがあります。トコフェロール(持続性)は体内に長くとどまり、じわじわとホルモンバランスの調整や血流改善、慢性的な抗酸化作用を発揮します。

一方、トコトリエノール(即効性)は細胞膜へ素早く移行し、ダイレクトに強い抗炎症・神経保護などの作用をカチッと発揮します。その圧倒的なスピード感から「スーパービタミンE」と呼ばれます。このような違いがあるため、分子栄養学を実践する際は、トコフェロールとトコトリエノール8種類の同族体をバランス良く摂取する事が大切です。

分子栄養学実践メモ 
分子栄養学の実践では「α-トコフェロールだけを大量に摂ればいい」というわけではありません。トコフェロールにはじっくりとした持続性、トコトリエノールにはシャープな即効性・細胞膜への浸透力があります。この両者をバランスよく補給することこそが、細胞を全方位から守るための鍵となります。

トコトリエノールは、何故スーパービタミンEと言われているのか?

では、なぜトコトリエノールはトコフェロールに比べてこれほどまでに「即効性」があり、多彩な「生理活性」を持つのでしょうか? その秘密は、分子構造の「しっぽ(側鎖)」に隠されています。

トコフェロールとトコトリエノールの分子構造の違い

トコトリエノールとトコフェロール、どちらのビタミンEも、頭の部分には抗酸化作用の核となる「クロマン環」と呼ばれる部分を持っています。大きく異なるのは、そこから伸びるしっぽの構造です。

【共通の頭(クロマン環)】 ─── 【しっぽ(側鎖)】
└─ 抗酸化の核(水酸基) ├─ トコフェロール:飽和(一本の真っ直ぐな紐)
└─ トコトリエノール:不飽和(3つの二重結合=しなやかなバネ)

  • トコフェロールのしっぽ(フィチル側鎖): 炭素の結合に二重結合がなく、すべて単結合でカチッと詰まっています(飽和状態)。構造としては真っ直ぐで硬いイメージです。
  • トコトリエノールのしっぽ(イソプレノイド側鎖): 構造の中に3つの「炭素同士の二重結合」を持っています(不飽和状態)。名前に含まれる「トリ(Tri)」は化学で「3つ」、「エン(ene)」は「二重結合」を意味しており、まさにその名の通りの構造をしています。

この「3つの二重結合」があるかないかで、体内での動きに劇的な差が生まれます。私たちの細胞を包む「細胞膜」は、油(脂質)でできており、常に柔軟に動いている流動的な組織です。

トコフェロールの硬いしっぽに比べ、トコトリエノールは3つの二重結合があるおかげで、分子全体が非常にしなやかで高い柔軟性を持っています。この柔軟性があるからこそ、細胞膜の脂質の隙間にスルスルと素早く侵入し、膜全体へ均一に、そして圧倒的なスピードで広がることができます。

トコトリエノールには炭素同士の二重結合があるため、細胞への侵入がよく、生理活性が強い

この「優れた細胞膜への浸透力」こそが、トコトリエノールが細胞内で素早く情報を伝え、炎症を抑え、神経を守り、過剰なコレステロール合成を安全にブロックできる最大の理由です。6

このように、トコフェロールとトコトリエノールは役割も働きも、持続力も全く異なります。このため、西洋医学の薬のように「どちらか一方や一種類だけを摂れば良い」というわけではありません。

分子栄養学においては、これら8つの同族体がチームとして補い合うことで、初めて以下のような複雑な生活習慣病や不調に対して、強力なアプローチが可能になると考えます。

  • 認知機能の維持・低下予防: トコフェロールによる「血管の保護」と、トコトリエノールによる「神経細胞の保護」のダブルアプローチ。
  • 歯周病予防: 歯ぐきの毛細血管の血流を良くし(トコフェロール)、局所の強い炎症を鎮める(トコトリエノール)。
  • 脂肪肝(NASHなど)の改善: 肝臓でのコレステロール合成を抑えつつ(トコトリエノール)、肝細胞の膜を酸化から守り抜く(トコフェロール)。

そのため、サプリメントを選ぶ際も、単一の「α-トコフェロール」だけでなく、トコトリエノールや他の同族体(βやγ、δ)がバランスよく含まれた「フルスペクトラム(全種類含有)」のものを選ぶことが重要です。

トコフェロールとトコトリエノールを合わせた、これら4×2=8種類のネットワークが連携して働くことで、私たちの体内ではじめて多彩なアプローチが可能になります。分子栄養学を実践する際は、必ず複数の同族体がバランス良く含まれた物を使用するようにして下さい。

ナンナン

よく分からないけど、ビタミンEって色々な種類がある栄養素だったんだね💦 どれも同じかと思ってたよ💧

はる かおる

ビタミンEを分子栄養学の実践で使用する場合は、このビタミンEの種類や働きをよく理解することが大切だよ。この違いを理解しないまま実践するとむしろ逆効果になることもあるから、気をつけてね

ビタミンEが多く含まれる食品

ビタミンEは、私たちの身近な食べ物から比較的摂取しやすい栄養素です。主に植物性の油脂、ナッツ類、緑黄色野菜、大豆などに豊富に含まれています。

ビタミンEを多く含む食品(総トコフェロール含有量)
1.ナッツ類・種子類(特に豊富)
アーモンド(100g乾)……31.1mg
ひまわりの種(100gフライ)……13.9mg
ヘーゼルナッツ(100gフライ)……28.5mg
ピーナッツ(100g乾)……18.7mg
クルミ(100g)……27.9mg(特にγトコフェロールが豊富)
カシューナッツ(100g)……6.6mg(特にγトコフェロールが豊富)
2.植物油(特に豊富)
ひまわり油(100g)……42.2mg
オリーブオイル(100g)……8.9mg
べに花油(サフラワー油)(100g)……30.2mg
コーン油(100g)……90.7mg(特にγトコフェロールが豊富)
ごま油(100g)……45.1mg(特にγトコフェロールが豊富)
3.魚介類
うなぎ(100g蒲焼き)……5.0mg
いくら(100g生)……9.1mg
たらこ(100g生)……7.1mg
さば(100g水煮)……3.2mg
さんま(100g焼)……1.0mg
ぶり(100g焼)……2.1mg
4.野菜類
ほうれん草(100g生)……2.3mg
かぼちゃ(100g生)……5.2mg
ブロッコリー(100g生)……3.4mg
赤ピーマン(100g生)……4.7mg
アスパラガス(100g生)……1.7mg
5.果物類
アボカド(100g生)……3.6mg
キウイ(100g黄)……2.5mg
ブルーベリー(100g生)……2.3mg
マンゴー(100g生)……1.9mg
6.大豆製品
納豆(100g)……9.9mg(特にγトコフェロールが豊富)
豆腐(100g木綿)……4.4mg
きな粉
(100g)……22.5mg(特にγトコフェロールが豊富)
7.その他
卵黄(100g生)……6.1mg
玄米(100g)……0.6mg
全粒小麦(100g)……1.5mg
※『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年』より作成

これらの食品を摂取する事で、ビタミンEは手軽に摂取する事が出来ます。ただし、ここで分子栄養学的な重要なポイントがあります。それは、「食品によって、含まれているビタミンEの同族体(種類)が全く異なる」ということです。

例えば、「ビタミンEたっぷり」と宣伝されている食品でも、ビタミンE同族体の構成は様々です。代表例としては、アーモンドやひまわり油、紅花油などはαトコフェロールが多く、大豆油やコーン油、クルミなどはγトコフェロールが多いという特徴があります。

この他、米油やパーム油には、スーパービタミンEであるトコトリエノールが多いという特徴があります。目的に合わせて食材を選んだり、バランス良く摂取する事でより効果的なビタミンEの摂取が可能です。「どれかが最強」というわけではありませんので、食事からはバランス良く摂取するようにして下さい。

  • α(アルファ)-トコフェロールが豊富な食品:
    • 代表例: アーモンド、ヒマワリ油、ベニバナ油、カボチャ、アボカドなど
    • 特徴: 血中濃度を長期間高く保ち、全身のベースとなる抗酸化力を高めるのに適しています。一般的に「ビタミンE」として計算されるのはこの成分です。
  • γ(ガンマ)-トコフェロールが豊富な食品:
    • 代表例: 大豆、大豆油、コーン油、クルミ、ごまなど
    • 特徴: 実は、日本人が食事から最も多く摂取しているのはこのγ-トコフェロールです。体内の余分なナトリウム(塩分)を排出するサポートや、特有の強い抗炎症作用を持っています。
  • トコトリエノール(スーパービタミンE)が豊富な食品:
    • 代表例: 米油(こめ油)、パーム油、大麦など
    • 特徴: 即効性と高い細胞膜浸透力を持つトコトリエノールですが、一般的な野菜やナッツにはほとんど含まれていません。日常的に摂取したい場合は、調理油に「米油」を取り入れるのがオススメです。

【分子栄養学的ポイント】摂取と保存のコツ

また、ビタミンEは光や酸化に弱く、せっかくのビタミンEも、摂り方や扱い方を間違えると細胞に届く前に失われてしまいます。特に、適切な保管や対策が行われていない輸入食品も多くあるので、気をつけてください。

例えば、ビタミンEは、自分自身が身代わりとなって酸化されることで周りを守る性質があります。そのため、「光」や「空気(酸素)」に非常に弱いという弱点があります。ナッツ類などを透明な瓶に入れて日当たりの良い場所に置いたり、古い油を使い続けたりすると、食べる前にビタミンEが酸化して消費されてしまいます。

輸入品のアーモンドなどナッツ類や植物油などは、大容量で安く販売されている物もありますが、透明なパッケージに詰められ、長期保管されている物もあります。こういった物は保存状態によってはビタミンEが酸化してしまっているリスクがあるので注意して下さい。

ナッツ類や植物油を選ぶ際は、なるべく新鮮な状態のものを選ぶ、酸素や光などの対策が行われているパッケージを選ぶのがオススメです。使用時、保存時は「遮光」と「密閉」を心がけてください。

ビタミンEの特徴

一方で、ビタミンEは「熱」や「酸」には比較的強いという頼もしい特徴があります。そのため、加熱調理(炒め物など)をしてもビタミンEが大きく壊れることはありません。ビタミンEは「脂溶性(油に溶ける)」であるため、カボチャやほうれん草などの緑黄色野菜は、油と一緒に炒めたり、ドレッシングをかけたりして食べることで、体内への吸収率が劇的にアップします。

また、同じ脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンDは肝臓に貯蔵されるという特徴がありますが、ビタミンEは主に細胞膜に存在し、特にα-トコフェロール以外は代謝が早く、汗や尿とともに比較的早く体外へ排出されやすいという特徴があります。そのため、一度に大量に摂るよりも、毎日の食事でこまめに補給し続けることが重要です。

この他、分子栄養学実践のポイントとして、「細胞膜の材料となる油(不飽和脂肪酸)を摂る量が増えれば、それを守るビタミンEの必要量も跳ね上がる」ということが挙げられます。DHA・EPA(青魚の油)やアマニ油、エゴマ油などの「オメガ3系脂肪酸」は、とても腐りやすい油の一種です。これらは血液をサラサラにしてくれる、動脈硬化を防いでくれるなどの働きがありますが、ビタミンEの助けがないとすぐに腐ってしまいます。

健康のためにDHA・EPA(青魚の油)やアマニ油、エゴマ油などの「オメガ3系脂肪酸」を積極的に摂っている方や、植物油などリノール酸が多く含まれる油、および揚げ物を多く食べる方は、体内で油を酸化させないためにも、セットで十分なビタミンEを摂取していただくのがオススメです。

ビタミンEの吸収と代謝

ビタミンEが体内で働くためには、口から入って吸収され、血液に乗って全身の細胞に運ばれ、細胞内で利用される必要があります。分子栄養学では栄養素が細胞で利用されて初めて意味がありますので、この吸収と代謝の仕組みは是非抑えておきましょう。

まず、ビタミンEは「脂溶性」であるため、腸管から吸収されるには食事に含まれる良質な脂肪(油脂類)の同時摂取が絶対条件となります。さらに、その脂質とともに小腸で「ミセル化(水と油をなじませる処理)」を行うために、肝臓で作られる胆汁酸の働きも必要です。そのため、ビタミンEがしっかり吸収出来るかどうかは、胆汁酸を作り出す肝臓が健康かどうかが重要になってきます。7

その後、無事に小腸から吸収されたビタミンEは一度肝臓に集められますが、ここから全身の血液中へ送り出されるために不可欠なのがタンパク質です。肝臓でビタミンEを選び出す専用の輸送タンパク質(α-TTP)や、血液中を移動するための運搬船(リポタンパク質)はすべてタンパク質から作られています。このため、胃腸の働きが健康かどうか、ピロリ菌に感染していたり胃酸の分泌量が減っていないかもビタミンEの利用効率に関わってきます。

そして、細胞膜にたどり着いたビタミンEは、活性酸素から身を挺して細胞を守ることで自らが酸化して(サビて)しまいます。この酸化したビタミンEを再生して再度利用出来るようにしてくれるのが、ビタミンCやコエンザイムQ10などの抗酸化ネットワークを形成する栄養素達です。水溶性のビタミンCは、酸化したビタミンEに自身の電子をサッと渡して抗酸化力を復活(再生)させ、脂溶性のコエンザイムQ10は細胞膜の中で直接ビタミンEをサポートします。8

さらに、必須ミネラルのセレンは、ビタミンEが処理しきれなかった過酸化脂質を無毒化する酵素の材料となり、ビタミンEの過剰な消費を防いでくれます。このように、ビタミンEの働きは決して単独で成り立つものではなく、多くの栄養素との見事なチームワークによって支えられています。

ビタミンEの吸収・代謝を助けてくれるもの

  • 脂肪(油脂類) 
    ビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、食事に含まれる脂質と一緒に摂取することで腸管からの吸収率が劇的に高まる。単体でサプリメントを飲むよりも、食後や良質な油(オリーブオイル、米油、アボカドなど)と一緒に摂ることが吸収の絶対条件となる。
  • 胆汁酸
    脂質の消化吸収と同じく、ビタミンEが小腸で吸収されるためには、胆汁酸による「ミセル化(水と油を馴染ませる処理)」が不可欠。胆汁酸は肝臓で作られ胆嚢から分泌されるため、肝機能の低下や胆嚢の摘出などがビタミンEの吸収低下に直結する。
  • タンパク質
    小腸で吸収されたビタミンEが肝臓へ運ばれた後、血液中へ送り出されるには「α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)」による選別と、運搬船である「リポタンパク質(VLDLなど)」の存在が欠かせない。これらはすべてタンパク質から作られるため、十分なタンパク質摂取がビタミンEの体内利用の鍵を握る。
  • ビタミンC
    体内での「代謝(再利用)」において極めて重要なパートナー。活性酸素から細胞を守り、自らが酸化してしまったビタミンE(ビタミンEラジカル)に対し、ビタミンCが自身の電子を渡すことで、再び抗酸化力を持つ元のビタミンEに「再生」させる。ビタミンCは赤ピーマンやブロッコリー、柑橘類などに多く含まれる。
  • セレン
    細胞の抗酸化ネットワークにおいてビタミンEと協力して働く必須ミネラル。抗酸化酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ)の構成成分として働き、ビタミンEが処理しきれなかった過酸化脂質を分解無毒化する。これによりビタミンEの過剰な消費(枯渇)を防ぎ、利用効率を高める。カツオやマグロ、卵などに多く含まれる。
  • コエンザイムQ10(CoQ10)
    ミトコンドリアや細胞膜において、ビタミンCと同様に酸化したビタミンEを元の形に再生する働きを持つ。特に細胞膜の脂質部分(油の層)に直接入り込んでビタミンEをサポートできる強力な脂溶性の抗酸化物質。青魚や牛肉、豚肉などに含まれる。
  • カロテノイド類
    β-カロテンなどのカロテノイド類には非常に強力な抗酸化作用があり、細胞膜にも存在している。これらカロテノイドによっても、ビタミンEラジカルを再び抗酸化力を持つ元のビタミンEに「再生」させる働きがある。
  • γ-オリザノール
    γ-オリザノールはポリフェノールの一種であるフェルラ酸と、植物ステロールがエステル結合したもので、強力な抗酸化作用を持つことから酸化防止剤としても使用される。このγ-オリザノールには植物ステロイドとして女性ホルモン用の作用を持つことから、ビタミンEと共に抗不妊作用をサポートすると言われている。

一方で、私たちの生活習慣や身体の状態によっては、ビタミンEの吸収や運搬、代謝のプロセスが阻害されてしまうこともあります。

まずビタミンEを「吸収」する段階において、極端な脂質制限ダイエットなど食べないダイエットは致命的です。食事からの脂質が不足すると、腸内でビタミンEを包み込んで吸収しやすくするミセル化が行われず、そのまま体外へ排出されてしまいます。

同様に、肝硬変や胆嚢疾患などによる胆汁酸の分泌低下、慢性膵炎などによる消化酵素の不足、あるいはクローン病などの吸収不良症候群を抱えている場合も、脂質の消化吸収能力そのものが落ちているためビタミンEが体に吸収しにくくなってしまいます。また、脂肪吸収抑制薬や胆汁酸に作用する一部の薬剤を使用している場合も吸収が阻害されてしまいます。

ビタミンEの吸収・代謝を阻害してしまうもの

  • 脂肪摂取不足
    ビタミンEは脂溶性ビタミンであるため、食事に十分な脂肪が含まれていないと、小腸での「ミセル化(水と油を馴染ませる処理)」が行われず、腸管からの吸収が大幅に低下します。極端な脂質制限ダイエットはビタミンE不足の大きな原因となります。
  • タンパク質不足
    小腸で吸収されたビタミンEを血液中に送り出すための「α-トコフェロール輸送タンパク質(α-TTP)」や、血液中の運搬船となるリポタンパク質(VLDLやLDLなど)の合成にはタンパク質が必要です。タンパク質が不足すると、吸収されても全身への運搬や代謝が滞ってしまいます。
  • 抗酸化ネットワークの欠如(ビタミンCやセレン等の不足)
    ビタミンEは活性酸素を消去すると自らが酸化され、働きを失います。これを元の形に再生するビタミンC、セレン、コエンザイムQ10などが不足していると、ビタミンEが「使い捨て」となり、体内での代謝(再利用)が回らず急激に枯渇してしまいます。
  • 多価不飽和脂肪酸(PUFA)摂取時のビタミンE同時不足
    オメガ3(DHA・EPA・アマニ油など)やオメガ6などの多価不飽和脂肪酸は非常に酸化しやすい性質を持ちます。これらを大量に摂取すると、その酸化を防ぐために体内のビタミンEが大量に消費されます。結果的にビタミンEの需要が増大し、相対的な欠乏(代謝の圧迫)を引き起こします。オメガ3(DHA・EPA・アマニ油など)を摂取する際は、必ず十分な量のビタミンEとセットで摂取が推奨です。
  • 胆汁酸欠乏
    胆汁酸は脂溶性ビタミンであるビタミンEの腸管での吸収(ミセル化)に不可欠です。胆嚢摘出や胆管の閉塞、肝機能低下などで胆汁酸の分泌が不足していると、ビタミンEの吸収率が著しく低下します。
  • 吸収不良症候群
    クローン病、セリアック病など、腸の消化吸収機能が低下する疾患では、脂質の吸収障害が起こるため、それに伴ってビタミンEの吸収も強く阻害されます。
  • 肝臓・膵臓の病気
    肝臓は胆汁酸の生成と、α-TTPによるビタミンEの選別・全身への送り出しを担う中心器官です。肝硬変や重度の脂肪肝はこれらを阻害します。また、慢性膵炎などで膵臓からの「消化酵素(リパーゼなど)」の分泌が低下すると、脂質の消化ができずビタミンEの吸収不良を招きます。
  • 薬物の影響
    オーリスタット(脂肪吸収抑制薬)は、食事中の脂肪とともにビタミンEの吸収も阻害します。また、コレスチラミン(胆汁酸結合樹脂)などの薬剤も胆汁酸の働きを抑えるため、脂溶性ビタミンの吸収を低下させます。
  • アルコール摂取・喫煙
    アルコールの過剰摂取やタバコの煙は、体内に大量の活性酸素を発生させます。この強力な酸化ストレスに対抗するため、最前線の防衛隊であるビタミンEが激しく消費され、代謝のバランスが崩れて急速な不足を招きます。
  • 低コレステロール
    ビタミンEは血液中を「リポタンパク質(LDLやHDLなどのコレステロールの運搬船)」に乗って全身の細胞へ運ばれます。そのため、極端な低コレステロール状態や、スタチン系薬剤などでコレステロールを過度に下げすぎている場合は、ビタミンEの輸送ルートが減少し、末梢組織への運搬と代謝が妨げられる恐れがあります。

この他、無事に吸収されたとしても、ビタミンEを全身に「運搬」する段階でタンパク質不足や極端な低コレステロール状態に陥っていると、せっかくのビタミンEが全身の細胞へ十分に運べなくなってしまいます。ビタミンEを全身の細胞へと運ぶためには、肝臓からビタミンEを送り出す専用タンパク質(α-TTP)や、血液中の運搬船であるリポタンパク質(LDLなど)が欠かせません。

そのため、過度なコレステロール低下薬の服用や、食べないダイエットなどでタンパク質が不足していると、ビタミンEの運搬や利用にも悪影響が起こります。

この他、過度なアルコール摂取や喫煙は全身に大量の活性酸素を発生させ、ビタミンEを激しく消耗させます。さらに、健康に良いとされるオメガ3(DHAやアマニ油など)をはじめとする多価不飽和脂肪酸(PUFA)は非常に酸化しやすい油です。この酸化しやすい油を守るためにビタミンEの需要が跳ね上がります。

これらによってビタミンEを消費している状態で、ビタミンCやコエンザイムQ10といった抗酸化ネットワークの栄養素が不足していると、サビてしまったビタミンEを元の姿に再生できず、ただの「使い捨て」となって体外に排泄されてしまいます。せっかく摂ったビタミンEを再利用し、効率よく利用するためにもビタミンEを摂取する際は抗酸化ネットワークの栄養素も同時に摂取するようにしましょう。

ビタミンEは、ビタミンCやコエンザイムQ10によって再生され、再利用される

鉄とビタミンEは同時に摂っちゃダメ? 同時摂取でビタミンEが鉄の吸収を阻害する、鉄がビタミンEを酸化させるのは本当か?

サプリメントの飲み合わせにおいて、「鉄とビタミンEは同時に飲んではいけない(腸管内で鉄がビタミンEを酸化・破壊してしまうから)」という話を耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、分子栄養学の実践的な観点から言えば、この心配は無用であり、むしろ適切な鉄(ヘム鉄)との組み合わせであれば同時に摂取した方が大きなメリットがあります。その理由を紐解いていきましょう。

まず、ビタミンEと鉄では、脂溶性と水溶性と全く別の物質のため、腸管内ではそのままでは混ざりにくく、直接破壊し合うリスクは低いと言えます。

古い定説では、試験管内の化学反応(むき出しの鉄イオンが活性酸素を発生させるフェントン反応)をそのまま人体に当てはめ、鉄イオンが腸の中でビタミンEを根こそぎ酸化してしまうと考えられていました。

しかし、実際の体内環境は異なります。サプリメント等で摂取した水溶性の鉄と、食事の脂質とともに「ミセル(油の粒子)」にすっぽりと包まれた脂溶性のビタミンEは、腸の中では物理的に隔てられています。交じり合わない「水と油」の関係であるため、吸収前の段階で激しく反応し、ビタミンEが完全に破壊されてしまうという現象は起こりにくいと考えられています。

また、臨床現場では「無機鉄(病院の鉄剤など)は空腹時の方が吸収が良い」「ビタミンEは食後の方が吸収が良い」と言われていることがあります。そのため「吸収のタイミングが合わないから分けるべき」という指導がされることもあります。

しかし、分子栄養学において「無機鉄を空腹時に飲むこと」は推奨されません。

むき出しの鉄イオン(無機鉄)が空っぽの胃腸に入ると、強力な酸化ストレス(フェントン反応)を起こし、胃腸の粘膜にダイレクトにダメージを与えてしまいます。目先の吸収率を優先して胃腸粘膜を荒らしてしまっては、結果的に慢性炎症を引き起こし、鉄だけでなくあらゆる栄養素の消化吸収能力そのものを低下させてしまうという本末転倒な事態を招いてしまいます。

そのため、分子栄養学の実践においては、必ずヘム鉄を選び、ビタミンEは同時摂取が推奨です。その理由は、鉄分子の構造の違いにあります。

ヘム鉄は、ポルフィリン環というタンパク質で出来たカプセルに鉄が包まれている構造をしています。この構造により、「ヘム鉄」であれば、胃腸の粘膜を荒らすことなく、食事のタイミングで安全に吸収させることができます。

そして、このヘム鉄とビタミンEを食後に同時に摂取しても、吸収の阻害や破壊は起きません。先ほども解説した様に、鉄とビタミンEでは混ざりにくく、吸収経路が異なるため、腸管内でお互いを破壊し合うことはありません。むしろ、体内に吸収された後、余剰な鉄が細胞膜を強力に酸化して引き起こす「フェロトーシス(鉄依存性の細胞死)」という現象を最前線で食い止めてくれるのがビタミンEです。

そのため、分子栄養学の実践においては、鉄とビタミンEの同時摂取を避ける必要はありません。胃腸に優しい「ヘム鉄」を使用し、細胞を鉄の酸化害(フェロトーシス)から守る「ビタミンE」を食後にセットで補給することは、極めて理にかなった安全なアプローチとなります。

ナンナン

そういえば・・・ビタミンEと鉄は一緒に摂っちゃダメって聞いたことがあるよ

はる かおる

ネットとかでは、ビタミンEと鉄は一緒に摂っちゃダメって言われていることがあるね。でも、実際には鉄とビタミンEが反応することはほぼ無いよ。むしろヘム鉄とビタミンEの組み合わせで、安全に摂取していくことが大切なんだ

サプリメントのビタミンEと病院で処方されるビタミンEの違い、合成と天然型の違い

続いて、サプリメントのビタミンEと病院で処方されるビタミンEの違い、合成と天然型の違いについてです。

病院では、ビタミンE欠乏症の予防および治療として、お薬のビタミンE製剤などが処方されることがあります。同じく、分子栄養学でもサプリメントのビタミンEを用いて栄養補給を行っていきます。

スクロールできます
お薬に使われるビタミンE製剤の代表的な種類例
ビタミンE欠乏症の予防および治療
末梢循環障害
過酸化脂質の増加防止
ユベラ錠(トコフェロール酢酸エステル
高血圧にともなう随伴症状
高脂質血症
閉塞性動脈硬化症に
ともなう末梢循環障害
ユベラNカプセル(トコフェロールニコチン酸エステル)
ユベラNソフトカプセル(トコフェロールニコチン酸エステル)
凍瘡、進行性指掌角皮症
尋常性魚鱗癬、毛孔性苔癬
単純性粃糠疹、掌蹠角化症
ユベラ軟膏(トコフェロール・ビタミンA油)
お薬に使われるビタミンE製剤の代表的な種類と違い
食品に含まれるビタミンE低価格のサプリメントやお薬に含まれるビタミンE
天然型d-α-トコフェロール(アーモンド、ヒマワリ油など)
天然型d-γ-トコフェロール(大豆、大豆油、コーン油)など
天然型トコトリエノール(米油(こめ油)、パーム油)

※食品や分子栄養学実践専用サプリメントには、α、β、γなど複数の同族体(天然型)が含まれる
トコフェロール酢酸エステル
酢酸dl-αトコフェロール
トコフェロールニコチン酸エステル
d-α-トコフェロールのみ
dl-α-トコフェロール

コハク酸d-α-トコフェロール


※安価なサプリメントや薬には、エステル化されたd-α-トコフェロールや、合成型のdl-α-トコフェロールなど、d-α-トコフェロール単品のみが大量に含まれる。
食品やサプリメント、薬に含まれるビタミンEの違い

このように見ると、分子栄養学では単に薬をサプリメントに置き換えただけなのでは?と感じますよね。

しかし、薬に含まれるビタミンEと、安価なサプリメントに含まれるビタミンE、分子栄養学の実践で使用するビタミンEでは、含まれているビタミンEの種類や目的、役割が全く異なります。分子栄養学を理解する上で、この目的と役割の違いをしっかりと理解することが重要です。

基本的に、病院で処方されるビタミンE製剤(トコフェロール酢酸エステル)は、主に「α-トコフェロール」に安定性を持たせるために酢酸をエステル結合させた形態です。ビタミンEは光や酸素に弱く、そのため、そのままお薬にすると、光や酸素に触れてすぐに劣化してしまいます。

このような不安定なビタミンEに対し、光や酸素などから安定性を高めるために行われているのが、「エステル化」と呼ばれる工程です。エステル化とは、抗酸化作用の鍵となる部分に他の物質(酢酸やニコチン酸、コハク酸など)を結合させて「蓋」をする(エステル化する)ことで、酸化を防ぎ、長期保存ができるように安定化させたものです。

しかし、お薬のようにエステル化されていると、その結合によって「蓋」をされた状態になってしまい、抗酸化の鍵となる水素を放出できなくなってしまいます。そのため、ビタミンE本来の働きが期待出来ず、抗酸化力は望めません。9

例えば、食品に含まれる天然のα-トコフェロールは、クロマン環にHO基(ヒドロキシ基)と呼ばれる部分があります。Hが水素、Oが酸素分子です。このヒドロキシ基にあるH(水素)が外れ、他の部分に渡すことで抗酸化力を発揮します。

一方で、病院のお薬や、安価なサプリメントに含まれるビタミンEでは、HO基(ヒドロキシ基)を酢酸やコハク酸などとエステル結合させ、「CH3COO」などの分子構造にすることで水素(H)が外れないよう蓋をしてしまっている状態になります。

このようなエステル結合が行われると、光や酸素に対する安定性が増す一方、水素が分離出来ない化学構造となってしまいます。

結果として、エステル化された処方薬や安価なサプリメントは、服用後に腸でエステル結合が分解(加水分解)されて天然型に戻るまで、抗酸化作用を期待できません。また、エステル化されたものは、例え吸収されたとしても、肝臓での選別タンパク質(α-TTP)にも認識されにくいため、体内での利用効率も天然型に比べて大きく落ちてしまいます。

さらに、低価格なサプリメントや処方薬に使われるビタミンEは、そのほとんどが「d-α-トコフェロール」または「dl-α-トコフェロール」という単一の成分だけが大量に含まれています。

通常、食品に含まれるビタミンEには、自然のままの「天然型」のビタミンEが、α、γ、トコトリエノールなど、複数の同族体のネットワークとして含まれており、これらが協力して働いています。

そのため、活性酸素から細胞を守り、アンチエイジングや疾患予防のための「強力な抗酸化力」を期待してビタミンEを摂取する場合、エステル化された処方薬や安価なサプリメントは適していません。

分子栄養学の実践においては、食品に含まれる、エステル化されていない「天然型」のビタミンEを補給する事、そして複数の仲間が連携して働く「フルスペクトラム」のものを選ぶことが重要です。分子栄養学実践専用のサプリメントでは、天然型のビタミンEが食品と同じく様々な同族体と共に配合されています。安価なサプリメントや病院で処方されるビタミンEと、分子栄養学で実践するビタミンEのサプリメントは全く異なりますので、この違いにはご注意ください。

酢酸トコフェロールとコハク酸トコフェロールの違い

もう少し詳しく知りたい方のために、酢酸トコフェロールとコハク酸トコフェロールの違いについてまとめておきます。

まず、前項の画像解説でも触れた通り、酢酸トコフェロールもコハク酸トコフェロールは、抗酸化の要である「ヒドロキシ基(OH基)」に別の物質(酢酸やコハク酸)をくっつけて蓋をしたエステル化ビタミンEです。

そのため、サプリメントとして摂取した時点(カプセルの中や腸内にいる間)では、どちらも抗酸化力は全くありません。 小腸に到達した後、すい臓から分泌される消化酵素(エステラーゼ)によって蓋(酢酸やコハク酸)が切り離され、本来の「d-α-トコフェロール(遊離型)」に戻って初めて、抗酸化力を発揮するようになります。無事に遊離型に戻った後の抗酸化力は両者で同じです。10

また、吸収率については両者に大きな差はありませんが、「エステル化されていない天然型(遊離型)ビタミンE」と比較すると、どちらも吸収率は劣ります。

  • 吸収のハードル: 吸収されるためには、まず「胆汁酸によるミセル化」と「消化酵素による加水分解(エステル結合の切断)」という2つのステップを必ず踏まなければなりません。
  • 消化力に左右される: 胃腸が弱っている人、高齢者、胆汁や膵液の分泌が少ない人にとっては、この「蓋を切り離す作業」が大きな負担となり、十分に吸収されずに体外へ排出されてしまうリスクが高くなります。

一方、メリットもあります。コハク酸トコフェロールは固形化しやすいという製造のメリットがあり、錠剤として配合するのに適しています。ビタミンEは本来ドロドロの油ですが、コハク酸と結合させることで「常温で固体の粉末」になります。これにより、油の酸化を気にせず粉末のマルチビタミン等に混ぜやすくなるという製造上のメリットがあります。

比較項目酢酸トコフェロール (Tocopheryl Acetate)コハク酸トコフェロール (Tocopheryl Succinate)
形状油状(液体)粉末(固体)
主な用途安価なサプリメント、処方薬、化粧品粉末・カプセル型のサプリメント、特定の治療目的
メリット非常に安価。製造が容易で広く流通している。粉末化しやすく、特有の生理活性(抗腫瘍作用など)が研究されている。
デメリット抗酸化力を発揮するまでに消化の手間がかかる。酢酸型と同様に消化の負担があり、天然の遊離型に比べ吸収効率が落ちる。

ちなみに、処方薬に使用されているトコフェロールニコチン酸エステルは、ビタミンEそのものの抗酸化作用よりも、結合した物質(ニコチン酸)の働きによる血流改善作用などが主な目的とされています。そのため、コフェロール酢酸エステルとトコフェロールニコチン酸エステルは全く違う病態の方に処方されています。

天然型のビタミンEと、合成型ビタミンEの違い

実は、サプリメントに配合されているビタミンEには「天然型」と「合成型」の2種類があります。価格は合成型の方が圧倒的に安いですが、分子栄養学の実践においては、必ず「天然型」を選んで頂くのがオススメです。

その理由は、単に「人工物は体に悪そうだから」といった曖昧なものではなく、「分子の立体構造」と「肝臓での認識システム」という明確な違いがあります。そのため、サプリメントを選ぶ際は天然型か、合成型かを見分けられる力が必要です。

まず、サプリメントの成分表示で天然と合成を見分ける基本的なサインを知っておきましょう。頭に付いているアルファベットが目印です。

  • 天然型ビタミンE:d-(例:d-α-トコフェロール)
    • 植物の油などから抽出された、自然界に存在するそのままの形です。(※最新の化学的呼称では「RRR-」と表記されることもあります)
  • 合成型ビタミンE:dl-(例:dl-α-トコフェロールまたはall-rac-α-トコフェロール)
    • 石油などの原料から、化学合成によって人工的に作られた形です。(※「all-rac-」と表記されることもあります)

このように、パッケージにdl-α-トコフェロールと書かれていたものであれば、それは合成のビタミンEである事を表しています。

では、天然型と合成型では、具体的に何が違うのでしょうか? なぜ「合成型」は本来の力を発揮できないのでしょうか? これには、立体異性体の問題(鏡映し)が関係しています。

化学式(炭素や水素の数)だけで見れば、天然型も合成型も全く同じ「ビタミンE(C29H50O2)」です。しかし、分子を3Dの立体モデルで見たときに、決定的な違いが生まれます。

まず、自然界で作られる天然型(d-)は、すべての分子が「体内の受容体にピタリとはまる、正しい向き(立体構造)」を持っています。これが、「d-α-トコフェロール」です。

一方で、工場で化学合成を行うと、どうしても分子のパーツの「向き」がランダムにくっついてしまいます。これを立体異性体(l体)と呼びます。イメージとしては、右手と左手のように、構成しているものは同じでも、鏡合わせにすると重ならない関係性のことです。

合成型(dl-)のビタミンEの中には、8種類の異なる立体構造が混ざり合って出来上がってしまいます。そして、その8種類のうち、自然界のビタミンEと全く同じ形をしているのは「たった1種類(全体の12.5%)」しかありません。残りの7種類は、自然界には存在しない「偽物の形」をしたビタミンEなのです。

この「偽物の形」が混ざっていることが、体内で大きな問題を引き起こします。前項の「吸収と代謝」で解説した様に、肝臓にはビタミンEを選び出して全身の血液に送り出す「α-TTP(α-トコフェロール輸送タンパク質)」という専用の関所のような機能があります。

このα-TTPは、非常に厳格な「鍵穴」を持っています。 天然型(d-)のビタミンEは、正しい形をした「純正の鍵」なので、α-TTPにピタリとはまり、スムーズに全身の細胞へ運ばれます。

しかし、合成型(dl-)に含まれる残りの7種類の「偽物の形」をしたビタミンEは、鍵穴の形に合わないため、α-TTPに弾かれてしまいます。全身へ運ばれることなく、そのまま尿や胆汁とともに体外へ排泄されてしまうのです。

このような分子構造の違いから、合成型(dl-)は天然型(d-)に比べて、体内での利用効率(生理活性)が半分以下に落ちてしまうことが分かっています。

また、不自然な立体構造を持った合成ビタミンEが細胞膜に紛れ込むことで、正常な細胞の働き(シグナル伝達など)を邪魔してしまうリスクもゼロではありません。加えて、酢酸dl-αトコフェロールのように、さらにエステル化されたものもあるため、吸収率や利用効率、抗酸化力は天然型に比べて非常に劣ります。

そのため、ビタミンEが本来の抗酸化力を発揮し、細胞膜を酸化から守る強力な抗酸化ネットワークを築くためには、「安かろう悪かろう」の合成型ではなく、私たちの体の鍵穴に100%フィットする「天然型(d-α-トコフェロールなど)」を選ぶことが、分子栄養学の実践における絶対条件です。

天然型トコフェロールのIUと医薬品に用いられる酢酸トコフェロールエステルのIUの違い

サプリメントや医薬品に含まれるビタミンEの含有量は、重量を表す「mg(ミリグラム)」のほかに、国際単位である「IU(アイユー:International Unit)」で表示されることがよくあります。IUとは、単なる重さではなく「生体内での働き(生理活性の強さ)」を示す単位です。

ビタミンEにおいて最も注意しなければならないのは、「天然型のd-α-トコフェロール」と「医薬品や安価なサプリメントに用いられる合成型のdl-α-トコフェロール酢酸エステル」とでは、同じ1 IUを発揮するために必要な重さ(mg)が異なるという点です。

具体的には、天然型が0.667 mgで1IU、合成・エステル型が1mgで 1IUとなります。11

  • 天然型(d-α-トコフェロール):0.667 mg = 1 IU
  • 合成・エステル型(dl-α-トコフェロール酢酸エステル):1 mg = 1 IU

では、何故このような違いがあるのでしょうか? これまでの項目で解説した通り、合成型の「dl-α-トコフェロール酢酸エステル」には、抗酸化の要である水酸基にエステル化という「蓋」がされているため、腸内で消化酵素(エステラーゼ)によって蓋を切り離す(加水分解する)手間がかかり、吸収・利用効率が落ちてしまいます。

また、立体異性体の問題があり、8種類の異なる分子構造が混ざっています。そのため、肝臓の輸送タンパク質(α-TTP)の鍵穴にピタリと合う「本物の形」は全体の1/8しかなく、多くが弾かれて体外へ排泄されてしまいます。

このような違いがあることから、ビタミンEの国際単位(IU)は、この「合成型のdl-α-トコフェロール酢酸エステル 1 mg」が体内で発揮する効力を「1 IU」という基準(ベースライン)として定められました。

一方で、天然型の「d-α-トコフェロール」の場合は、消化酵素による蓋の切り離しが不要でそのまま働き、かつ100%正しい立体構造を持っているため、肝臓のα-TTPに完全に認識されて全身へ運ばれます。つまり、体内での利用効率が極めて高いのです。

そのため、合成型が1 mg使ってようやく発揮できるパワー(1 IU)を、天然型であればたった「0.667 mg」という少ない量で発揮できることになります。換算すると、天然型は合成型に比べて、同じ重量(mg)あたり約1.5倍の生理活性(効力)を持っていることになります。

ビタミンEの単位換算例

サプリメントのパッケージを見る際、成分表示が「mg」なのか「IU」なのか、そして原料が「天然(d-)」なのか「合成(dl-)」なのかによって、実際の効力は大きく変わってきます。

【ビタミンEの基本単位】

  • 合成・エステル型(dl-α-トコフェロール酢酸エステル): 1 mg = 1 IU
  • 天然型(d-α-トコフェロール): 0.667 mg = 1 IU(※ 1 mg = 約1.5 IU)

【計算例:サプリメントに「100 mg」配合されている場合】

  • パターンA:合成型(dl-α-トコフェロール酢酸エステル)が100 mgの場合 100 mg ÷ 1 mg = 100 IU (生体内での働きは100 IU分)
  • パターンB:天然型(d-α-トコフェロール)が100 mgの場合 100 mg ÷ 0.667 mg = 約150 IU (生体内での働きは150 IU分となり、合成型より1.5倍強力)

逆に、サプリメントの表記が「IU」で統一されている場合、同じ「400 IU」の製品であっても、天然型なら中身は約267 mg、合成型なら400 mgのビタミンEが入っていることになります。

このように、「mg」や「IU」といった数字の大きさだけで効力を判断することはできません。同じように見えるビタミンEでも、天然か合成かによって体内で発揮する活性量が全く異なります。分子栄養学を実践する際は、必ず重量だけでなく「天然型(d-体)」であるかどうかを確認することが重要です。

ナンナン

なるほど・・・
ビタミンEには自然のものと、合成のものがあるんだね💦
お薬や安いサプリメントのビタミンEには、合成のビタミンEが含まれているものもあるのか💦

はる かおる

そうそう。だから、お薬のビタミンE製剤や安いビタミンEサプリメントで分子栄養学を実践することは出来ないよ。薬と安いサプリメントに含まれるビタミンEは分子構造が違うから、このあたりはしっかり認識しておいてね

ビタミンEを摂取するとガンになるってホント? ビタミンE摂取によるがんリスクと、過剰症について

健康のためにサプリメントを活用する際、多くの人が不安に感じるのが「過剰症(摂りすぎによる副作用)」です。ビタミンEを取りすぎた時にも、過剰症や健康への悪影響はあるのでしょうか?

まず、通常の食事や一般的なサプリメントの摂取において、ビタミンEの過剰症を心配する必要はほとんどありません

基本的に、ビタミンAやビタミンDといった他の「脂溶性ビタミン」は、体(特に肝臓や脂肪組織)に蓄積しやすいため、活性型のビタミンAやビタミンDなどの摂りすぎには注意が必要な場合があります。

しかし、同じ脂溶性であるにもかかわらず、ビタミンEは極めて安全性が高い栄養素です。これはビタミンの代謝の仕組みが関わっており、体内に入ったビタミンEは肝臓の「α-TTP」という輸送タンパク質によって選別され、必要な分だけが血液中に送り出されます。

そして、α-TTPに選ばれなかった余分なビタミンEや、使い終わったビタミンEは、体内に長く留まることなく、肝臓で代謝されて速やかに胆汁(便)や尿とともに体外へ排出されます。

この優れたコントロール機能のおかげで、血中のビタミンE濃度が危険なレベルまで上がり続けることはなく、毎日サプリメントで摂取し続けても安全に利用することができるというわけです。

ただし、基本的には安全なビタミンEですが、常識を超えた極端な大量摂取(1日1,000mg以上など)を長期間続けるなどには注意が必要です。あまりにも大量のビタミンEを大量に摂取すると、血が止まりにくくなる(出血傾向)になる恐れがあります。

これは、血液を凝固させる働きを持つ「ビタミンK」の作用を、過剰なビタミンEが邪魔してしまうために起こります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」でも、この出血リスクを防ぐために耐容上限量(これ以上摂らない方がよい上限値)が設定されていますが、一般的なサプリメントの規定量(1日100〜300mg程度)を守っている限り、この上限に達することはまずありません。12

抗凝固薬(ワーファリンなど)を服用している方を除き、健康な方が分子栄養学的なアプローチでビタミンEを補給するにあたって、過剰症を過度に恐れる必要はありませんのでご安心ください。

ビタミンEを摂取するとガンになるってホント? ビタミンE摂取によるがんリスクについて

ビタミンEについては、「サプリメントで摂取すると逆にがん(特に前立腺がんなど)のリスクが上昇する」というニュースや噂を聞いたことがあるかもしれません。このように言われる背景には、過去に行われたある有名な大規模研究が関係しています。

例えば、米国で3万5000人以上の健康な男性を対象に行われた「SELECT(セレンおよびビタミンEがん予防試験)」という大規模な研究があります。この研究では、1日400IUのビタミンEを与えて前立腺がんの予防効果を調べました。13

しかし結果は予想を裏切り、ビタミンEのサプリメントを単独で長期間摂っていたグループは、飲んでいなかったグループに比べて前立腺がんのリスクが17%有意に増加したという結果になってしまったのです。多くの専門家は、特定の条件下における高用量ビタミンE補給の危険性について警鐘を鳴らしました。

このように聞くと、サプリメントでビタミンEを摂取する事はむしろ危険な行為のように思えますよね。

ですが、日々の食事からビタミンEを豊富に摂取している人たちを調べた数多くの研究では、逆にがんのリスクが低下するという結果が出ています。食事から天然のビタミンEをしっかり摂っている人は健康を維持できているのに、なぜSELECT試験のサプリメントではがんリスクが増加してしまったのでしょうか。

この矛盾を解く最大の鍵は、被験者に投与されていたサプリメントの中身にあります。SELECT試験で使われていたのは、合成型の「dl-α-トコフェロール酢酸エステル」というたった1種類の成分だけだったのです。14

通常、アーモンドや緑黄色野菜などの食品に含まれる天然のビタミンEには、α-トコフェロールだけでなく、強い抗炎症作用や抗がん作用を持つ「γ(ガンマ)-トコフェロール」や「トコトリエノール」など、8種類の同族体がバランスよく含まれています。何か1種類のトコフェロールだけが不自然に大量に含まれているなんてことは、自然界では絶対にありえません。

このような「特定の1種類のビタミンE(α-トコフェロール)」だけを大量に摂取した場合、体内で非常に深刻な問題が起きます。 肝臓にある輸送タンパク質(α-TTP)がα-トコフェロールで占領されてしまうため、がん予防や抗炎症に極めて重要な役割を果たす「γ-トコフェロール」などの他の有益な同族体が体内から追い出され、枯渇してしまうのです。(吸収の阻害)

また、ある種の抗酸化剤が単独で大量に存在し、それを再生させるビタミンC等のネットワークが存在しない場合、条件によっては細胞を守るどころか、逆に「酸化促進剤(プロオキシダント)」として作用し、細胞を傷つけてしまう可能性もあります。

そのため、サプリメントを選ぶ際は、食品由来の原材料を使用した高品質なサプリメントを選ぶことが非常に大切です。特定の成分のみしか含まれていないサプリメントを大量摂取すると、むしろ生体内に分子の乱れを引き起こし、ガンなどのリスクを上昇させてしまう可能性がありますので注意して下さい。

市販されているサプリメントや海外の安価なサプリメントでは、上述したように「dl-α-トコフェロール」という合成型のみや、「d-α-トコフェロール」の単一成分しか含まれていない物が殆どです。(一般的に、ビタミンEと表記されている場合、それはd-α-トコフェロールdl-α-トコフェロールを指すことが一般的です)

このようなサプリメントを安易に大量摂取すると、体内のビタミンEバランスが崩れ、がんなどのリスクを上昇させてしまう恐れがあります。

対して、分子栄養学では、天然由来の食品成分を原材料として使用し、なるべく食品と同じ状態になるよう複数のトコフェロール(α、β、γ、δ)やトコトリエノールなどの栄養成分がフルスペクトラムで含まれている「分子栄養学実践専用サプリメント」が用いられています。分子栄養学を実践する際は、このような設計や製造がされているサプリメントを選ぶことが、安全かつ効果的にアプローチする際の最大のポイントです。

同じ「ビタミンE」という名前のサプリメントでも、含まれている栄養成分や使われている原材料(天然か合成か、単一か複合か)には大きな違いがあります。また、それによって得られる結果も「健康への寄与」から「がんリスクの上昇」へと正反対に変わってくる恐れがありますので、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用サプリメントを使用するようにして下さい。

ナンナン

そういえば・・・ビタミンEを摂るとガンになるってネットの記事で読んだことがあるよ

はる かおる

ビタミンEについては、たびたびガンとの関連性が言われる事があるね。でも、これにはちゃんと裏があって、特定の1種類のビタミンE(α-トコフェロール)」だけを大量に摂取しているケースを誇大に言っているだけなんだ。実際には、ビタミンEが抗がん作用を発揮するのはトコトリエノールの方だよ

ビタミンEの働き

ビタミンEには、非常に強力な抗酸化作用や、血行促進作用、ホルモンの活性化作用、赤血球膜の安定化など多様な働きがあります。これら働きにより、体内では抗血栓作用や抗腫瘍作用、糖尿病による合併症の予防や貧血予防、月経異常の改善や不妊症改善など様々な働きがあります。

他にも、強力な抗酸化作用によって活性酸素のダメージから体を守ったり、血流改善作用から疲れ目改善や腎臓への血流改善に役立つなど、様々な働きが期待されて使用されています。

ビタミンEの主な働き

  • 強力な抗酸化作用を持ち、細胞膜を守る
  • LDLコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化を抑制する
  • 毛細血管を広げ、血流を改善する
  • 抗不妊作用をもち、生殖機能に関わる
  • 腫瘍細胞の増殖を抑制し、免疫や慢性炎症抑制に関わる
  • 赤血球の膜を保護し、貧血を防ぐ
  • 細胞内シグナル伝達と遺伝子発現を調節する
  • 肝臓での過剰なコレステロール合成を安全に抑制し、LDL値を改善する(※特にトコトリエノール)
ビタミンEの生理作用

ビタミンEの働き① 強力な抗酸化作用を持ち、細胞膜を守る

ビタミンEの最も重要かつ代表的な働きは、全身の細胞を包み込む「細胞膜」に常駐し、強力な抗酸化作用によって細胞を酸化(サビ)から守り抜く働きです。

この働きを理解するために、まずは私たちの細胞がどれほどの危険に晒されているかを知っておきましょう。

まず、私たちの体は約37兆個の細胞からできており、その一つ一つは「細胞膜」という油(脂質)の膜でバリアのように守られています。

この細胞膜には、細胞を柔らかく保つために「多価不飽和脂肪酸(PUFA)」という油が多く含まれています。しかし、この油には「活性酸素の攻撃を非常に受けやすく、あっという間に酸化してしまう」という大きな弱点があります。

細胞膜の一部が酸化して「過酸化脂質」というサビに変わると、そのサビが隣の正常な脂質を次々と攻撃し始めます。ドミノ倒しのように酸化の連鎖反応(脂質過酸化反応)が起き、放っておくと細胞膜はボロボロに破壊され、細胞そのものが死んでしまったり、老化や様々な疾患の引き金になったりするのです。

この細胞における恐ろしいサビの連鎖反応を最前線で食い止めるのが、ビタミンE(d-α-トコフェロール)です。ビタミンEは油に溶けやすい「脂溶性」であるため、水溶性の抗酸化物質(ビタミンCなど)が入り込めない、細胞膜の油の層(脂質二重層)の中にすっぽりと入り込んでスタンバイすることができます。

そして、活性酸素が細胞膜を攻撃しようとすると、細胞膜に潜んでいたビタミンEが自らの持つ「水素原子(H)」を素早く差し出します。水素を受け取った活性酸素は無毒化され、細胞膜の酸化連鎖を食い止めることが出来ます。15

特に、脳や神経組織は脂質の割合が非常に高く、酸化ダメージを受けやすい部位です。ビタミンEは神経細胞の膜や髄鞘(ミエリン鞘)を酸化から守り、認知機能の維持や神経疾患の予防に深く関与しています。実際に、ビタミンEが極端に欠乏すると神経障害が起こることが分かっています。

この細胞膜の酸化は、脂質の酸化に限らず、細胞内に過剰な「鉄(遊離鉄)」が存在すると爆発的に加速します。これが、記事の前半で触れた「フェロトーシス(鉄依存性細胞死)」と呼ばれる恐ろしい現象です。

細胞膜に配置されたビタミンEは、この鉄と活性酸素が結びついて引き起こす強烈な酸化ストレスに対しても最強の盾として機能します。このビタミンEが強力な抗酸化力を発揮するのが、「天然型ビタミンEのクロマン環6位にあるヒドロキシ基(-OH)」です。(このヒドロキシ基は、エステル化された合成薬では、水素原子であるHが外れにくくなっているため、酸化防止剤としては働くことが出来ません。)

このように、ビタミンEは細胞膜を酸化から守ったり、フェロトーシスから細胞を守ってくれる働きがあります。肝機能障害や神経変性疾患の引き金にもなるフェロトーシスを未然に防ぐことは、分子栄養学においてビタミンEに期待される極めて重要な役割です。

ビタミンEの働き② LDLコレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化を抑制する

ビタミンEの抗酸化作用は、細胞膜だけでなく、血液中を流れる「脂質」を守るためにも働いています。その中でも、特に重要な働きをしているのが、LDLコレステロールの酸化抑制です。

このLDLコレステロールは、増えすぎるとコレステロールが血管内に溜まって「プラーク」を形成しやすくなります。プラークが形成されると血管が狭くなり、血管が傷ついて血栓が形成されます。これが、動脈硬化が引き起こされる主な原因と考えられています。

動脈硬化のメカニズム

動脈硬化とは、血管が傷ついて硬くなり、柔軟性が無くなってしまった状態の事です。血管の柔軟性が失われると、脳や心臓、腎臓など重要な臓器へ十分な血液を送ることが出来なくなってしまいます。

また、血栓がつまったり血管が切れたりすることで、急に血流が途絶えると、脳梗塞・心筋梗塞などの虚血性疾患を引き起こします。

動脈硬化は、血管が硬くなり、柔軟性がなくなっている状態を指す

そのため、高コレステロール血症と動脈硬化、心筋梗塞などの虚血性疾患は、関わりが深い病気です。この動脈硬化は、高コレステロール血症など脂質異常症や肥満、糖尿病などでリスクが高まると言われています。

このことから、一般的にLDLコレステロールは悪者とされています。ですが、そもそもLDLコレステロール自体は「悪者」ではありません。実は、コレステロールは私達の身体を構成する、無くてはならない構成要素なのです。

コレステロールは私達の身体に不可欠な構成要素

コレステロールは、全身の細胞に存在する「細胞膜」の構成成分として利用されたり、脂質の消化・吸収を助ける「胆汁酸」の材料になったり、性ホルモンの材料になったり、ビタミンDやコエンザイムQ10の材料として使われています。

コレステロールの主な働き

  • 全身の細胞膜の構成成分になる
  • 胆汁酸の材料となり、脂質の消化・吸収を助ける
  • 性ホルモンなど各種ホルモンの合成に関わる
  • ビタミンDやコエンザイムQ10の合成に関わる

もし、コレステロールが足りなかったり、不必要に薬で下げすぎたりしてしまうと、これらの材料として使うためのコレステロールが足りなくなってしまいます。

すると、むしろ認知症の発症リスクが高まってしまったり、更年期障害の症状が重くなったり、骨粗しょう症のリスクや糖尿病のリスクが高まったりなど、病気のリスクを増やしてしまう事にもなりかねないのです。

問題なのは、血液中を移動している最中に、LDLという船の積荷(脂質)が活性酸素の攻撃を受けて「酸化LDL(サビついたコレステロール)」に変わってしまうことです。

LDLコレステロールが酸化すると、血管の内側にある受容体「LOX-1」が酸化LDLを見つけ出して結合します。このLOX-1が酸化LDLを取り込むと細胞内で慢性的な炎症を起こして血管壁にプラークが形成されていき、血管を分厚く硬くして血流を詰まらせる原因となります。これが「動脈硬化」の始まりです。

この恐ろしい動脈硬化の引き金を引かせないために活躍するのが、ビタミンEです。ビタミンEは脂溶性(油に溶ける性質)であるため、肝臓から血液中へ送り出される際、LDLコレステロールという運搬船の「中」に一緒に乗り込んで移動します。

血管内を移動中、活性酸素がLDLを攻撃しようとすると、船の中に同乗していたビタミンEが瞬時に反応します。自らの水素原子を活性酸素に渡して無毒化することで、コレステロールが酸化LDLに変質するのを未然に防ぎます。16

ビタミンEが十分に足りていれば、LDLコレステロールはサビることなく、新鮮なまま全身の細胞へと無事に届けられるのです。

一方で、一般的な西洋医学や健康指導では、健康診断でLDLコレステロールの「数値(量)」が高いと、すぐに薬で数値を下げようとする傾向があります。

しかし、分子栄養学の視点では、コレステロールはホルモンや細胞膜の材料となる必須の栄養素であるため、むやみに数値を下げることは推奨しません。最も重要なのは「量」ではなく「質」であり、LDLをいかに「酸化させないか」ということです。

コレステロール値はLDLコレステロールの量ではなく質で判断する

ビタミンEをしっかりと摂取し、体内の抗酸化ネットワークを強化してLDLの酸化を防ぐことこそが、血管の柔軟性を保ち、心筋梗塞や脳梗塞といった動脈硬化に起因する命に関わる疾患を根本から予防するための、最も理にかなったアプローチと言えます。

ナンナン

なるほど、ビタミンEにはコレステロールを酸化から守って動脈硬化のリスクを減らしてくれる働きがあるのか❗

はる かおる

そうだよ、コレステロールは数値が高いことよりも、酸化することの方がリスクが高いんだ。だからビタミンEを積極的に摂取して、コレステロールを酸化させないことが大切だね。

ナンナン

よし、ちょっとビタミンE摂ってくる❗❗

ビタミンEの働き③ 毛細血管を広げ、血流を改善する

ビタミンEは、活性酸素から血管の壁を「守る」だけでなく、血管そのものの働きをコントロールして「血流を良くする」という、非常に重要な役割も担っています。

特に、体の末端(手足の先や皮膚表面など)に張り巡らされている「毛細血管」の血流改善において、ビタミンEは極めて重要な働きをしています。

例えば、自律神経の乱れやストレス、寒さなどを感じると、私たちの血管はギュッと収縮して細くなります。これが続くと、体の末端まで温かい血液が届かなくなり、深刻な血行不良を引き起こします。

ビタミンEには、自律神経の働きを整え、収縮して細くなってしまった毛細血管をスッと広げる(拡張させる)働きがあります。これにより、滞っていた血流が再開し、手足の指先といった体の隅々にまでしっかりと血液が行き渡るようになります。

さらに、血管の通り道を広げるだけでなく、中を流れる「血液の質」にもアプローチします。

血管に傷がついたり、強いストレスがかかったりすると、血液中の「血小板」という成分が固まりやすくなります。これが過剰になると、血液がドロドロになり、細い毛細血管に詰まりやすくなってしまいます。

ビタミンEには、この血小板が異常に集まって固まるのを防ぐ働き(凝集抑制作用)があります。血管の壁にプラーク(ゴミ)がこびりつくのを防ぐ抗酸化作用と相まって、血液をサラサラな状態でスムーズに流すための完璧なサポート体制を作ってくれるのです。

この血流改善作用により、ビタミンEは冷え性・肩こり・眼精疲労の改善など、私たちが日常的に感じる多くの不調の改善を目的に使用されています。

このように、ビタミンEには血流改善作用があり、末梢血管の血行障害が原因と考えられる腰痛やしもやけなどの症状改善にも役立っています。

ビタミンEの働き④ 抗不妊作用をもち、生殖機能に関わる

ビタミンEは、別名「トコフェロール(Tocopherol)」と呼ばれ、この名前の語源は、ギリシャ語の「トコス(子供を生む)」と「フェロ(力を与える)」に由来しています。

ビタミンEの働きでも解説した様に、元々ビタミンEは抗不妊作用因子として発見されたビタミンです。現代の分子栄養学においても、妊活や生殖機能のサポートにおいてビタミンEは最重要ビタミンの一つとして位置づけられています。男女それぞれの視点から、そのメカニズムを見ていきましょう。

まず、男性の生殖能力においては、ビタミンEが精子を酸化ダメージからから守ることで抗不妊作用に働きます。

具体的には、精子の細胞膜には、動きを滑らかにするためにDHAやEPAなどの「多価不飽和脂肪酸(PUFA)」が非常に多く含まれています。この油は非常に酸化されやすい特徴があり、活性酸素に対して極めて無防備で、すぐにサビてしまいます。 油の酸化によって精子の細胞膜が酸化ストレス(サビの害)を受けると、運動率が著しく低下したり、内部のDNAが傷ついて(DNA断片化)受精能力を失ったりしてしまいます。

ビタミンEは、この精子の細胞膜に入り込み、強力な抗酸化作用で精子を酸化ダメージから守ります。これにより、 正常な精子の形成が促され、精子の運動率や奇形率の改善、ひいては受精能力の向上が期待出来ます。

一方で、女性の妊娠・出産においても、ビタミンEは母体と胎児を守るために重要な働きをしています。

女性の妊娠、出産など生殖機能を正常に働かせるためには、男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)の分泌が欠かせません。

実は、これらの性ホルモンはすべて「コレステロール」を材料にして作られます。ビタミンEはコレステロールが酸化してゴミになることを防いでくれています。つまり、ビタミンEが十分に満たされていることで、良質なホルモンの材料が途切れることなく供給され、結果として生殖機能全体のホルモンバランスが整うのです。

また、ビタミンEには「毛細血管を広げて血流を良くする」働きがあり、子宮や卵巣の毛細血管の血流改善にも役立ちます。血流が改善されることで、受精卵が着床するためのベッドである「子宮内膜」に栄養がたっぷり届き、子宮内膜の発育を促して厚くふかふかな状態を保つサポートをします。

そして、妊娠が成立すると、母体と胎児を繋ぐ「胎盤」が作られます。胎児の成長には莫大なエネルギーと酸素が必要なため、胎盤は体内で最も活性酸素が発生しやすい(サビやすい)場所の一つです。ビタミンEは酸化ストレスから胎盤の細胞膜を守り、流産のリスクを減らして、胎児の健全な発育を支える働きがあります。

これらの働きにより、卵巣重量の増加や排卵の促進、黄体の形成がみられ、不妊の改善に役立ちます。ビタミンEには細胞の酸化を防ぎ、血流を隅々まで届け、ホルモンの材料を守ることで男女ともに抗不妊作用をもつビタミンです。

ビタミンEの働き⑤ 腫瘍細胞の増殖を抑制し、免疫や慢性炎症抑制に関わる

続いて、ビタミンEが腫瘍細胞の増殖を抑制し、免疫や慢性炎症抑制に関わる働きです。ビタミンEには、がんなどの原因とも言える「慢性炎症」を抑え、私たちの体を守る「免疫システム」を正常化し、さらには「腫瘍細胞(がん細胞)」の増殖を抑える働きがあります。

ビタミンE(特にトコトリエノール)には腫瘍抑制作用がある

この働きは、d-α-トコフェロールのみならず、トコトリエノールを含めた「天然型ビタミンEの同族体(フルスペクトラム)」が揃って初めて、100%発揮される領域になります。特に、トコトリエノールにはガン細胞をアポトーシス(自然死)に導く働きがあるとして、スーパービタミンEと言われています。17

例えば、がん、糖尿病、動脈硬化、アルツハイマー病、老化など、あらゆる現代病の根底には、体の中で火事が起き続けているような状態である「慢性炎症」が関わっているとされています。

細胞膜が活性酸素によって酸化されると、細胞内では「炎症のスイッチ(NF-κBなど)」が入り、炎症を引き起こす物質が次々と作られてしまいます。ビタミンEにある強力な抗酸化作用によって細胞膜のサビ(酸化)を未然に防ぐため、この炎症のスイッチ自体がONになるのを根本からブロックしてくれます。

特に、天然型のビタミンEに含まれる「γ(ガンマ)-トコフェロール」や「トコトリエノール」は、痛みや炎症を引き起こす酵素(COX-2)の働きを直接抑える性質を持っています。これは、病院で処方される抗炎症薬(消炎鎮痛剤)に極めて近いメカニズムであり、薬のような副作用を出すことなく、体内の慢性炎症を穏やかに鎮めてくれる働きがあります。18

また、私たちの体内では、健康な人であっても毎日数千個ものがん細胞(異変を起こした腫瘍細胞)が発生しています。それでも多くの人が発がんしないのは、免疫細胞がそれらを発見して速やかに排除しているためです。

しかし、加齢や強いストレス、栄養不良が続くと、免疫の主役である「T細胞」という細胞が酸化ストレスによって弱り、がん細胞を見逃すようになってしまいます。

ビタミンEは、このT細胞の細胞膜を酸化から守り、免疫細胞としての攻撃力や情報伝達能力を正常に保つ(若返らせる)働きがあります。自前の免疫システムがしっかりと機能することで、腫瘍細胞が大きくなる前に「初期の芽」の段階で安全に処理できるようになるのです。

そして、もし腫瘍細胞が免疫の目をかいくぐって増殖し始めたとしても、ビタミンE(特にトコトリエノール)は、がん細胞に対してアポトーシス(細胞の自死)を誘導し、腫瘍細胞の増殖を抑制する働きがあります。

がん細胞は本来、死なずに増殖し続ける異常な細胞ですが、ビタミンEはがん細胞の内部に「自分で死になさい」という命令(アポトーシス信号)を送り、自滅を促す働きがあることが数々の研究で報告されています。

また、がん細胞は、周囲から栄養や酸素を奪い取るために、自分専用の新しい血管(新生血管)を勝手に伸ばして拡大しようとします。ビタミンEは、このがん細胞に栄養が行き渡らないよう、新しい血管が作られるのを邪魔する働き(血管新生阻害作用)も持っています。

このように、腫瘍の増殖を抑えたり、慢性炎症を強力に鎮めたりする主役は、α-トコフェロールではなく、実は「γ-トコフェロール」や「トコトリエノール」です。α単体だけを大量に入れると、これら強力な抗腫瘍・抗炎症作用を持つ仲間たちが体から追い出されて枯渇してしまいます。

過去の大規模研究(SELECT試験など)では、むしろ逆にがんリスクを上げてしまうという結果になってしまいましたが、この理由は腫瘍の増殖を抑えたり、慢性炎症を強力に鎮めたりする働きがあるγ-トコフェロールやトコトリエノールを摂取せず、「合成のα-トコフェロール単体」を大量に摂取してしまったためと考えられます。

だからこそ、分子栄養学では単一の成分ではなく、自然界の食べ物と同じように、α・β・γ・δすべてのトコフェロールとトコトリエノールが揃った「フルスペクトラムの天然ビタミンE」を使用することが大切です。ビタミンEは8種類の同族体がお互い協力しながら働いていますので、分子栄養学の実践では必ず複数の同族体をバランス良く摂取するようにして下さい。

ナンナン

なるほど・・・
ビタミンEに抗がん作用があると言われているのは、トコトリエノールの方だったんだね

はる かおる

そうそう。ビタミンEには強力な抗酸化作用や抗がん作用があると言われているけど、その働きはトコトリエノールがメインで、その他の同族体と協力しながら働くことで初めて力を発揮出来るんだ

ビタミンEの働き⑥ 赤血球の膜を保護し、貧血を防ぐ

続いて、貧血とビタミンEの関係についてです。貧血というと、真っ先に「鉄分不足」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。もちろん鉄は赤血球のヘモグロビンを作る材料として不可欠です。

しかし、実は「ビタミンEが不足することでも貧血が起きる」ことはあまり知られていません。これは、ビタミンEは、酸素を全身に運ぶ主役である「赤血球」の寿命をのばし、質を保つために絶対に必要な栄養素であるためです。

この赤血球は、肺で受け取った「酸素」を全身の細胞へ届ける働きをしています。 赤血球の細胞膜には、狭い毛細血管の中を形を変えながらスムーズに通り抜けるために、柔軟性に富んだ「多価不飽和脂肪酸(PUFA)」という油が大量に含まれています。

そして、赤血球の膜は「酸化しやすい大量の油」と「大量の酸素(サビの元)」が常に隣り合わせになっている、体内でもっとも酸化ストレスを受けやすい過酷な環境になっています。

もし、赤血球の膜にビタミンEが不足してしまうと、膜の油が活性酸素によってあっという間に酸化され、過酸化脂質(サビ)へと変わってしまうのです。

サビた細胞膜は柔軟性を失って脆くなり、狭い毛細血管を無理に通ろうとしたときや、自らの酸化ストレスに耐えきれなくなったときに、パンと風船のように破裂してしまいます。これを医学用語で「溶血(ようけつ)」と呼びます。

赤血球が体内で次々と破れて壊れてしまうと、当然、血液中の赤血球の数は急激に減少します。これが、ビタミンE不足が原因で起こる「溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)」の正体です。どれだけ鉄分を熱心に補給して赤血球を新しく作っても、守る側のビタミンEが足りなければ、作ったそばから壊れていくという不毛なサイクルに陥ってしまうのです。

一般的に、貧血には鉄分補給がいいと言われていますよね。しかし、鉄は赤血球を作るために必須のミネラルであると同時に強力な酸化を促す性質(諸刃の剣)も持っています。そのため、鉄分だけを単独で過剰に摂取すると、その鉄が引き起こす活性酸素(フェントン反応)によって、逆に赤血球の膜の酸化(フェロトーシスや溶血)を加速させてしまう恐れがあります。

これを防ぐためにも、分子栄養学では胃腸に優しい「ヘム鉄」とともに、細胞膜の最強の盾である「天然型ビタミンE」をセットで摂取することを推奨しています。こうすることで、鉄によって赤血球の生産能力を高めつつ、その赤血球をビタミンEが酸化から守るという安全な補給体制が整います。

このように、ビタミンEには赤血球の膜を保護し、貧血を防ぐ働きがあります。貧血に対する分子栄養学的アプローチを行う際は、是非ビタミンEも同時に摂取するようにして下さい。

ビタミンEの働き⑦ 細胞内シグナル伝達と遺伝子発現を調節する

ビタミンEは単なる抗酸化物質としてだけでなく、細胞のシグナル伝達分子としても働きます。それが、細胞の中で「増殖しろ」「炎症を起こせ」といった命令(シグナル)を直接コントロールし、さらには遺伝子のスイッチ(発現)まで切り替えるという「細胞内シグナル伝達と遺伝子発現の調節」という働きです。

このシグナルの調節には、ビタミンEが「プロテインキナーゼC(PKC)」という酵素の働きを阻害(ブロック)する働きが関わっています。19

PKCは、細胞の増殖や炎症を引き起こすための「命令伝達スイッチ」です。酸化ストレスや高血糖によってこのスイッチが異常にONになり続けると、動脈硬化や腫瘍の増殖といった病気の引き金になります。

ビタミンEは、この暴走したPKCに直接働きかけ、物理的にスイッチをOFFにします。これは活性酸素を消去する抗酸化力によるものではなく、ビタミンEの「分子の形そのもの」が鍵穴にピタリとはまって作用するという、非常に精密なコントロール機能です。

PKCの暴走を止める(シグナル伝達を遮断する)と、細胞の奥深くにある「DNA(遺伝子)」の働きにも劇的な変化が起こります。ビタミンEは、細胞の振る舞いを決める遺伝子発現(どの遺伝子をON/OFFにするか)を直接調節しているのです。

例えば、ICAM-1、VCAM-1などの発現を抑え、 血管の壁にゴミ(白血球やマクロファージ)をベタベタとくっつける「接着剤」のようなタンパク質を作る遺伝子のスイッチをOFFにする働きがあります。これにより、血管内がツルツルに保たれ、動脈硬化の初期段階を抑えてくれます。

また、炎症性サイトカインの産生を抑制し、体内で炎症の火種となる物質を作る遺伝子の働きを抑え込んで細胞レベルで慢性炎症を抑えてくれる働きがあります。

この「シグナル伝達と遺伝子発現の調節」という働きにおいて最も重要なのは、天然型の「d-α-トコフェロール」がこの作用を最も強く、正確に発揮するということです。

抗酸化(サビ取り)だけであれば、合成型のビタミンEや他の抗酸化物質でも代用できる部分があります。しかし、細胞のシグナル伝達酵素や遺伝子調節のメカニズムは、極めて厳密な「鍵と鍵穴」の関係で成り立っています。合成された不自然な形(立体異性体)のビタミンEでは、この精巧な鍵穴にうまく入り込むことができず、正しい命令を下すことができません。

そのため、分子栄養学で用いるビタミンEは、合成型ではなく必ず天然型を使用することが大切です。このように、特定のビタミンE(d-α-トコフェロール)は「プロテインキナーゼC(PKC)」の活性化を調節することで、細胞内情報伝達経路の調節や、細胞増殖、神経機能や免疫機能にも関わっています。

ビタミンEの働き⑧ 肝臓での過剰なコレステロール合成を安全に抑制し、LDL値を改善する(※特にトコトリエノール)

最後に、トコトリエノール特有の働きとして、肝臓での過剰なコレステロール合成を安全に抑制してくれる働きです。

健康診断などで「コレステロール値が高いのは、油物や卵の摂りすぎが原因」と言われることがありますが、これは大きな誤解です。実は、体内のコレステロールの約7〜8割は食事からではなく、「肝臓」で合成され、全身に運ばれています。

この肝臓でのコレステロール合成経路において、生産量を決定する最も重要な働きをしているのが「HMG-CoA(エイチエムジー・コーエー)還元酵素」です。

トコトリエノール(特にγ-トコトリエノールやδ-トコトリエノール)は、このHMG-CoA還元酵素に働きかけ、肝臓でのコレステロールの過剰な作られすぎに自然なブレーキをかける性質を持っています。この働きは薬と違って、はるかに安全に合成を抑制することが出来ます。20

例えば、コレステロール値が高かったとき、高コレステロール血症や高LDL値を下げるために最も一般的に処方されるのが「スタチン系薬剤(商品名:リピトール、クレストールなど)」です。スタチンは非常に強力に数値を下げる働きがあり、同じくコレステロール合成経路のHMG-CoA還元酵素の働きを強力にブロックします。

これによりコレステロールの合成が抑制されますが、これと引き換えに同じ合成経路で作られる体内の重要なエネルギー産生栄養素「コエンザイムQ10(CoQ10)」の合成まで一緒に止めてしまうという深刻な問題があります。これが、スタチンの代表的な副作用である「横紋筋融解症(激しい筋肉痛や筋力低下)」や「強い倦怠感」の原因になります。

対して、トコトリエノールのメカニズムは全く異なります。 トコトリエノールは酵素を無理やり遮断するのではなく、「余分に存在するHMG-CoA還元酵素の分解を促進する(ポストトランスレーショナル調節)」という、細胞の自然なフィードバックシステムに則った方法でアプローチします。

そのため、コレステロールの過剰な合成を安全に抑制させつつ、コエンザイムQ10の合成ラインを阻害するような働きは行いません。体に必要な分のコレステロールやCoQ10の生産能力はしっかりと維持しながら、余剰なコレステロール合成分だけを適切に抑制してくれます。

ナンナン

ビタミンEには、過剰なコレステロール値を下げてくれる働きもあるのか❗

はる かおる

そうだね。ビタミンEには、コレステロールの過剰な合成を防いで、さらに酸化を抑制してくれる働きがあるよ。だから、不足すると動脈硬化のリスクが高まってしまうんだ

ビタミンE不足になりやすい人とその原因

ビタミンEの働きでも解説した様に、ビタミンEは生殖機能の正常化や、血流改善、貧血改善、強力な抗酸化作用による細胞膜や神経細胞の保護など様々な代謝に関わっています。そのため、不足すると様々な疾患を引き起こします。

例えば、ビタミンE不足が引き起こす症状と影響としては次のようなものが挙げられます。

ビタミンE不足が引き起こす症状と影響

血液・細胞膜関連の症状と影響

  • 溶血性貧血:
    赤血球の膜(油)が酸化ダメージに耐えきれず破裂(溶血)してしまうため、鉄分を補給しても慢性的な貧血症状(めまい、動悸、息切れ)が改善しない。
  • 細胞のドミノ酸化(フェロトーシス):
    全身の細胞膜が活性酸素の攻撃から守られず、過酸化脂質による細胞死の連鎖が起きてしまう。

血流・血管系の症状と影響

  • 冷え性・肩こりの慢性化:
    毛細血管が収縮したまま広がらなくなり、手足の末端まで温かい血液が届かず、疲労物質も溜まりやすくなる。
  • 血栓(血の塊)ができやすい:
    血管の内壁が傷つきやすくなり、血小板が異常に集まって固まる(凝集する)ことで、血液がドロドロになる。

心血管・脂質代謝への影響

  • 動脈硬化の加速:
    血液中のLDLコレステロールが酸化されて「真の悪玉(酸化LDL)」に変わり、血管の壁にプラーク(ゴミ)として蓄積する。
  • 心筋梗塞・脳梗塞リスクの増大:
    血管壁の平滑筋が分厚くなり、血栓ができやすくなることで、将来的な血管詰まりの致命的なリスクとなる。

生殖機能への影響(抗不妊作用の低下)

  • 精子の質低下(男性):
    精子の細胞膜が酸化し、運動率の低下、奇形率の増加、DNAの損傷(断片化)が起こりやすくなる。
  • 着床・妊娠維持の阻害(女性):
    子宮や卵巣の血流が悪化して子宮内膜が育ちにくくなるほか、胎盤が強い酸化ストレスに晒され、流産リスクが高まる。

脳・神経・筋肉系の症状と影響

  • 神経障害・筋力低下:
    神経細胞や筋肉の細胞膜が酸化ダメージを受け、手足のしびれ、感覚異常、筋力低下、歩行障害などが起こる(※重度欠乏の場合に顕著)。
  • 認知機能の低下:
    脳内の脂質が強力な酸化ストレスに晒され続け、アルツハイマー病など神経変性疾患のリスクが加速する。

肌・老化・免疫への影響

  • 肌の老化(シミ・くすみ):
    血行不良により肌のターンオーバーが滞り、細胞レベルの酸化が進むことで、シミやシワ、くすみが目立ちやすくなる。
  • 免疫力の低下と慢性炎症:
    免疫の主役であるT細胞が酸化ダメージで弱り、腫瘍細胞の増殖を見逃しやすくなる。また、体内の慢性炎症(火事)のスイッチが入りっぱなしになる。

基本的にビタミンEは摂取しやすい栄養素のため、通常の食事をしていて「完全な欠乏症」に陥ることは極めて稀です。しかし、現代人のライフスタイルや特定の体質によって、体内の需要に対して供給が追いつかなくなる「隠れ欠乏(相対的欠乏)」に陥るリスクが潜んでいます。

例えば、消化吸収力が低下している場合や、油物の摂取を控えている場合などは、ビタミンEが不足するリスクがあります。ビタミンEは脂溶性(油に溶ける性質)であるため、食事の油と一緒に腸から吸収されます。そのため、ダイエットなどで極端な油抜き(ノンオイル)生活をしていると、ビタミンEを溶かして運ぶ油が腸内に存在せず、吸収率が絶望的に落ちてしまいます。

また、加齢に伴って胆汁や膵液などの消化液の分泌が低下している高齢者や、クローン病や慢性すい炎といった消化器系疾患、代謝の要である肝臓や胆のうの機能が低下している人も、脂肪の消化吸収能力が落ちるため注意が必要です。さらに、ダイエット目的の脂肪吸収抑制薬や一部のコレステロール薬を服用している場合も、食事の油とともにビタミンEが便として体外へ排泄されてしまいます。

この他、ビタミンEの消費量自体が増加し、不足している場合もあります。例えば、タバコの煙に含まれる大量のフリーラジカルや、マラソンなどの激しいスポーツ、長期間の精神的・肉体的ストレスは、体内に強烈な酸化ストレス(サビ)を生み出し、その消火活動のためにビタミンEが最前線で猛烈に消費され続けます。

また、貧血対策として「鉄剤だけ」を単独で大量に摂取することも危険です。鉄分は強力な酸化作用を持つ諸刃の剣であるため、細胞膜を酸化から守るビタミンEがない状態で鉄だけを入れると、細胞のサビが急加速し、抗酸化剤であるビタミンEが急速に消費されてしまいます。

さらに、一度働いてサビてしまったビタミンEを元の元気な状態に復活(還元)させるにはビタミンCが不可欠であるため、ビタミンC不足もビタミンEの使い捨て(枯渇)を招く大きな要因となります。

ビタミンE不足になりやすい人とその原因

  • 未熟児・低出生体重児 
    胎盤を通じたビタミンEの移行は主に妊娠後期に行われるため、早く生まれた未熟児は体内のビタミンE貯蔵量が極めて少ない状態です。また、呼吸管理による高濃度酸素の強烈な酸化ストレスに晒されるため、赤血球が破壊される「溶血性貧血」のリスクが非常に高くなります。
  • 高齢者 
    加齢に伴う胆汁や膵液など消化液の分泌低下により、脂溶性であるビタミンEを腸から吸収する能力が落ちます。また、長年の蓄積による酸化ダメージを防ぐため、体内の抗酸化ネットワーク全体の需要が高まり、相対的に不足しやすくなります。
  • 喫煙者や、激しい運動・強いストレスに晒されている人(需要の増加) 
    タバコの煙に含まれる大量のフリーラジカル(活性酸素)を無毒化するために、肺や血液中のビタミンEが猛烈な勢いで消費されます。また、激しいスポーツ(マラソンなど)や長期間の精神的・肉体的ストレスも過剰な酸化ストレスを生み出し、ビタミンEの需要を増加させます。
  • ナッツ類や緑黄色野菜を食べない人、極端な脂質制限をしている人 
    ビタミンEを豊富に含むアーモンドなどの種実類、良質な植物油、アボカドなどの摂取不足。また、ビタミンEは脂溶性(油に溶ける)であるため、極端な脂質制限(過度なノンオイル生活)をしていると、食事からの吸収率が極端に落ちてしまいます。
  • 鉄剤を大量に単独で摂取している人 
    鉄分は強力な酸化作用(フェントン反応)を持つため、ビタミンEという酸化防止剤がない状態で鉄だけを大量に補給すると、細胞膜や赤血球の酸化が急激に加速します。その火消しのためにビタミンEが急速に消費され、相対的な欠乏状態に陥ります。
  • 合成型ビタミンEや単一成分のサプリメントを大量摂取している人 
    安価な「合成型(dl-)α-トコフェロール」や単一成分のみのサプリメントを大量に摂取すると、肝臓の輸送タンパク質(α-TTP)が単一成分で占領されてしまいます。結果として、抗炎症作用などに優れた「γ-トコフェロール」など他の有益な同族体が体内から追い出され、細胞レベルでのビタミンEバランスが崩壊(枯渇)します。
  • 消化器系疾患や肝臓・胆のう疾患を持つ人(脂肪吸収障害) 
    クローン病、セリアック病、慢性すい炎などによる「脂肪の吸収障害」がある人。また、脂質の消化に欠かせない胆汁の分泌が悪い人や、代謝の要である肝臓の機能が低下している人は、ビタミンEの吸収と全身への運搬が著しく阻害されます。
  • 特定の薬(脂肪吸収抑制薬など)を服用している人 
    ダイエット目的などで脂肪の吸収を抑える薬(オルリスタットなど)や、コレステロール吸収阻害薬を長期間服用していると、食事に含まれる油と一緒にビタミンEまで体外へ排泄されてしまいます。
  • 遺伝的に輸送タンパク質(α-TTP)に異常がある人 
    極めて稀ですが、肝臓でビタミンEを選別・輸送する「α-TTP」の遺伝子に変異がある場合(AVED:ビタミンE単独欠乏性運動失調症など)、食事から十分な量を吸収できても全身へ運ぶことができず、重篤な神経障害を引き起こします。
  • ビタミンCが不足している人(抗酸化ネットワークの機能不全) 
    活性酸素を無毒化して自らが「サビた状態(ビタミンEラジカル)」になったビタミンEを、元の「元気な状態」にリサイクル(還元)するには【ビタミンC】が必須です。ビタミンCが不足していると、ビタミンEが使い捨てになってしまい、体内で劇的なスピードで消費・枯渇してしまいます。

これ以外にも、健康のために飲んでいるサプリメントが原因で引き起こされる「ビタミンE同族体バランスの乱れ」という落とし穴もあります。安価な合成型(dl-体)や、「α-トコフェロール」単一成分のみのサプリメントを大量に摂取すると、肝臓の輸送タンパク質(α-TTP)がその単一成分だけで占領されてしまいます。その結果、抗炎症作用や抗がん作用に優れた「γ-トコフェロール」など、本来体に必要な他の有益な同族体が体内から追い出されてしまい、生体内のビタミンEバランスが崩壊するという本末転倒な事態に陥ります。

このように、ビタミンE不足は現代のストレス社会や間違ったダイエット、そして単一成分への偏ったサプリメント摂取など、日々の何気ない習慣の積み重ねによって知らず知らずのうちに進行してしまいます。自身のライフスタイルに照らし合わせ、細胞からビタミンEが奪われていないかを見直すことが、分子栄養学を実践する上での重要な第一歩です。

ナンナン

なるほど・・・
ビタミンEを摂っていても、それがきちんと吸収・利用されているとは限らないんだね

はる かおる

そうそう。ビタミンEは脂溶性のビタミンだから、脂質の吸収が低下していると不足しやすくなるよ。他にも、ビタミンEの消費が多くなる生活習慣や病気を抱えていると、不足しやすくなるんだ

ビタミンE不足チェックとビタミンE不足を調べる検査項目

ビタミンE不足を直接チェックする検査項目はありませんが、ビタミンEの不足や需要を調べる方法として体内の栄養状態を知る血液検査があります。これら検査に加えて、ビタミンEが不足すると起こる自覚症状の有無にどれだけ当てはまっているかも参考になります。

まずは、次のビタミンE不足チェックリストの中から当てはまる項目をチェックし、ビタミンE不足のリスクがどれだけ高いかをチェックしてみて下さい。多く当てはまるほど、ビタミンE不足のリスクが考えられます。

ビタミンE不足チェックリスト

血液と血流の症状

  1. 貧血・めまいの慢性化
  • 鉄分を摂っているのに、めまいや動悸、息切れなどの貧血症状が改善しない(溶血性貧血のサイン)。
  • 健康診断で赤血球の数が少ない、または寿命が短いと指摘された。
  1. 血行不良・冷え性
  • 手足の指先など、体の末端が常に冷たい。
  • 慢性的な肩こりや腰痛が治りにくい。
  1. 血管・血液ドロドロのサイン
  • 足に静脈瘤ができやすい、または夕方になると足が異常にむくむ。
  • 健康診断でLDLコレステロールが高い(特に酸化LDLが心配)、または動脈硬化の傾向があると言われた。

身体と肌の症状

  1. 筋肉・神経の異常
  • 手足がしびれることがある、または感覚が鈍いと感じる。
  • 最近、筋力が落ちた、または歩きにくさを感じる(※重度の欠乏サイン)。
  1. 肌の老化サイン
  • 実年齢よりも老けて見られることが多い。
  • 肌のくすみやシミが目立つようになってきた、ターンオーバーが遅いと感じる。

生殖機能とその他の不調

  1. 妊活・生殖機能の悩み
  • 【男性】精液検査で精子の運動率や質が良くないと言われた。
  • 【女性】着床しにくい、流産を繰り返している、または子宮内膜が薄いと指摘された。
  1. 免疫力の低下
  • 風邪をひきやすい、または一度体調を崩すとなかなか治らない。

生活習慣に関する質問

  1. 食生活(食材と油):
  • アーモンドなどのナッツ類や、アボカド、良質な植物油をほとんど摂らない。
  • 極端な油抜きダイエット(ノンオイル生活)をしている。
  1. 酸化ストレス(消耗の激しさ):
  • タバコを吸う、または受動喫煙の環境にいる。
  • マラソンなどの激しいスポーツをしている、または日常的に強いストレスを感じている。
  1. サプリメント・薬の服用:
  • 鉄剤のサプリメントだけを単独で大量に飲んでいる。
  • 「dl-」から始まる合成ビタミンEや、単一成分のみの安価なサプリメントを大量に飲んでいる。
  • ダイエット用の脂肪吸収抑制薬や、コレステロールを下げる薬を長期間服用している。
  1. 健康状態・消化吸収:
  • 油っこいものを食べると胃もたれする、お腹を下しやすい(胆汁・脂肪吸収力の低下)。
  • 肝臓や胆のうの数値が悪い、または消化器系の疾患(クローン病など)を持っている。
  • 日常的にビタミンCを含む食品やサプリメントを摂っていない(リサイクル不足)。

また、先ほど挙げた「ビタミンE不足になりやすい人」に当てはまる方は、ビタミンE不足のリスクが高いので注意が必要です。ビタミンE不足チェックに多く当てはまった方や、ビタミンE不足になりやすい人に当てはまる方は、次の検査も受けてビタミンE不足の状態やリスクを知り、適切な対応を取るようにしましょう。

ビタミンE不足を調べる検査項目

ビタミンE不足かどうかを直接チェック出来る検査はありませんが、主にビタミンEの需要が増大する脂質異常症や糖尿病(インスリン抵抗性)、がんなどの慢性炎症の状態を知ることでおおよそ判断する事が出来ます。

これら状態には慢性炎症や酸化ストレスの増加などが関係しており、積極的な抗酸化アプローチが必要な状態です。慢性的な炎症や疾病を抱えている場合は、ビタミンEの需要増加および不足が疑われます。

例えば、次の血液検査項目などでビタミンEの不足状態や需要を推測することが出来ます。

スクロールできます
検査項目意味 脂質異常症やインスリン抵抗性との関連
TP
総タンパク
血液中のタンパク質の総量。
栄養状態の指標
脂質を運ぶリポタンパクの材料。
低値は代謝機能の低下を反映する。
ALB
アルブミン
血液中に最も多いタンパク質。
長期的な栄養状態を示す
遊離脂肪酸の運搬を担う。
低値は炎症や栄養不足による代謝低下を反映。
TC
総コレステロール
血液中のすべてのコレステロールの合計脂質代謝の基本指標。
高値は脂質異常症のリスク。
HDL-C
HDLコレステロール
いわゆる善玉コレステロール。
余分なコレステロールを回収する
低値はインスリン抵抗性や
中性脂肪高値と密接に関連する。
LDL-C
LDLコレステロール
いわゆる悪玉コレステロール。
全身にコレステロールを運ぶ
高値は動脈硬化の直接的リスク。
酸化されると非常に危険。
TG
中性脂肪
血液中の脂肪の一種。
エネルギー源として貯蔵される
インスリン抵抗性で上昇しやすい。
高値はHDL低下とLDL小型化を招く。
AI
動脈硬化指数
(TC – HDL-C) ÷ HDL-C で算出。
動脈硬化の進みやすさを示す
数値が高いほど、血管壁への
脂質蓄積リスクが高いことを示す。
RBC
赤血球数
酸素を運搬する細胞。
骨髄で産生される
高値(多血)は血液の粘稠度を高め、
脂質異常と相まって血流を悪化させる。
HB
ヘモグロビン
酸素を運搬するタンパク質。低値(貧血)は全身の酸素不足を招き、
脂質燃焼・代謝の効率を著しく低下させる。
HT
ヘマトクリット
血液中に占める赤血球の割合高値はドロドロ血のリスクを示し、
動脈硬化下での血栓リスクを高める。
MCV
平均赤血球容積
赤血球の大きさの平均値高値はVB12・葉酸不足の指標
アルコールの多飲やホモシステイン代謝に関係
RET
網状赤血球
骨髄から出たばかりの若い赤血球。
骨髄の造血機能を反映
造血が活発かを確認する指標。
高値は血流悪化や溶血のリスク
フェリチン体内の貯蔵鉄量。
がんや慢性炎症があると上昇する
高値は脂肪肝やインスリン抵抗性、
脂質異常を伴う慢性炎症を示唆。
低値は鉄不足による代謝悪化
CRE
クレアチニン 
筋肉の代謝産物。
腎機能の指標
低値は筋肉量減少(代謝低下)を示唆。
筋肉量減少はサルコペニア・隠れ肥満のリスク
CPK
クレアチンキナーゼ
筋肉に多く含まれる酵素。
筋肉の損傷などで上昇
低値は筋肉量減少(代謝低下)を示唆。
筋肉量減少はサルコペニア・隠れ肥満のリスク
CHE
コリンエステラーゼ
肝臓で作られる酵素。
アセチルコリンを分解する働きがある
脂肪肝や肥満、飲酒で上昇。
脂質の合成能が高まっている状態を示す。
GOT
(AST)
肝細胞や筋肉に存在する酵素。
細胞の損傷で上昇
脂肪肝等の肝障害を反映。
エネルギー代謝の中枢である肝機能をみる。
GPT
(ALT)
主に肝細胞に存在する酵素。
肝臓特異性が高い
脂肪肝とインスリン抵抗性において
最も感度良く上昇する指標。
γ-GPT
γ-グルタミル
トランスペプチダーゼ
グルタチオンなどのγ-グルタミル基
の反応に関わる酵素。胆汁うっ滞や
飲酒、脂肪肝などで上昇
飲酒や脂肪肝の指標。
インスリン抵抗性があると高値になりやすい。
ALP
アルカリフォスターゼ
亜鉛含有酵素
骨粗しょう症や成長期などで高値
骨代謝と糖代謝・脂質代謝は密接。
高値は骨粗しょう症のリスク高
25-0HビタミンD
血中ビタミンD濃度
体内のビタミンD充足度を示す指標欠乏はインスリン抵抗性の悪化や
脂質異常症、骨粗しょう症のリスクを高める。
CRP
C反応性タンパク
炎症で反応するタンパク質0.06mg/dLをカットオフ値とし、
これを超える場合は慢性炎症の存在、
虚血性疾患リスクを示す
T-B
総ビリルビン
赤血球の壊れたカス(色素)。
肝・胆道系の指標
抗酸化力の指標。
低値は酸化ストレスへの抵抗力低下を示唆。
D-B
直接ビリルビン
肝臓で処理された後のビリルビン胆汁うっ滞の指標。
脂質の消化吸収・排泄に関連する。
UA
尿酸
プリン体の代謝産物高尿酸血症はインスリン抵抗性や肥満、
中性脂肪高値と合併しやすい(メタボ)。
AMY
アミラーゼ
糖分を分解する消化酵素膵臓・唾液機能を反映。
異常値は糖代謝・エネルギー代謝への
影響を示す。糖質の摂りすぎで高値、早食いで低値
唾液中ヘモグロビン唾液中に混じった血液の成分歯周病の指標。
歯周炎はインスリン抵抗性を悪化させる。
唾液中乳酸脱水素酵素歯肉などの細胞損傷で唾液に出る酵素口腔内の炎症指標。
慢性炎症は動脈硬化のリスク因子となる。
MDA-LDL
酸化LDL
悪玉コレステロールが酸化されたもの。
超悪玉コレステロール
最も動脈硬化を引き起こす「真の悪玉」。
血管壁への蓄積の直接要因。
EPA/AA比血液中のEPA(魚の油)とAA(アラキドン酸)の比率低値は血管の炎症を招き、
心血管疾患リスクが上昇することを示す。
Zn
血中亜鉛濃度
血液中の亜鉛濃度
低値は亜鉛不足、皮膚炎など
インスリンの合成・貯蔵に不可欠。
不足は糖代謝の悪化と脂質異常を招く。
Cu
血中銅濃度
血液中の銅濃度
低値はウィルソン病、高値は白血病など
脂質代謝に関わる酵素の構成成分。
亜鉛とのバランスが酸化ストレスに関与。
亜鉛不足で高値となる事がある
Zn/Cu
亜鉛/銅比
亜鉛と銅の比。比率の低下は酸化ストレスを増大させ、
動脈硬化や脂質異常の質を悪化させる。
亜鉛と銅比が1.1以下では亜鉛不足
の可能性
BS
血糖値
血液中のブドウ糖濃度
※空腹時に測定
高値はインスリン抵抗性を示し、
中性脂肪の合成を促進する。
HBA1c
ヘモグロビンエーワンシー
1〜3ヶ月の平均血糖値持続的な高血糖はタンパクの糖化を招き、
酸化LDL増加や血管障害を加速させる。
TSH
甲状腺刺激ホルモン
脳の下垂体から分泌され、T4・T3の
合成・分泌を促す刺激ホルモン
高値(機能低下傾向)では
コレステロールの代謝が遅延し、
LDL-C上昇の直接的な原因となる。
FT4
遊離サイロキシン
甲状腺から分泌される主要なホルモン(前駆体)。
FT4はFT3に変換され活性を持つ
低下すると全身の代謝がスローダウンし、
脂質燃焼効率の悪化や中性脂肪の上昇を招く。
FT3
遊離トリヨードサイロキシン
実際に細胞で働く活性型の甲状腺ホルモン。
TSHとともに甲状腺機能を推定
エネルギー消費のアクセル役。
低下により糖代謝が低下し、インスリン抵抗性を助長する。
低T3症候群
(リバースT3増加など)
FT4は正常でも、末梢でのFT3変換が阻害された状態。「省エネモード」になり、
食事制限をしても
脂質異常が改善しにくい。
慢性炎症や低栄養が背景にある。
PGⅠ
ペプシノーゲンⅠ
胃酸の分泌機能を示す胃酸の分泌機能低下で数値が低下
胃酸抑制剤の服用で擬高値
PGⅡ
ペプシノーゲンⅡ
胃粘膜の炎症の状態を示すアルコールやピロリ菌などの影響
で胃粘膜に炎症が発生すると上昇
PGⅠ/PGⅡ比
ワン・ツー比
PGⅠとPGⅡの比。
低値は胃粘膜の萎縮を示す
アルコールやピロリ菌などの影響
で胃粘膜に萎縮が発生すると低下
HPIGG抗体判定
ピロリ菌抗体
ピロリ菌抗体の有無(+)はピロリ菌感染い。
ピロリ菌の感染は消化能力の低下、インスリン抵抗性のリスク高
脂質異常症・インスリン抵抗性、動脈硬化などと関連のある検査項目(主要なもの一部を掲載)

ビタミンEは、「ビタミンEの働き」でも解説した様に、強力な抗酸化作用によって細胞膜や神経細胞を守ったり、LDLコレステロールの酸化を抑制したり過剰な合成を抑えてくれる働きがあります。また、毛細血管を広げて血流を改善したり、がんなどの腫瘍細胞の増殖を抑制したり、抗不妊作用があったりと様々な代謝に関わっている栄養素です。

そのため、血液検査項目ではこれら糖代謝や脂質代謝、免疫機能や炎症、赤血球やヘモグロビンなど貧血関連項目と、肝臓や腎機能がビタミンE不足と需要のマーカーとして参考になります。

また、ビタミンEの吸収、運搬にはタンパク質も関わっているため、タンパク質の消化・吸収能力を知ることも大切です。タンパク質は主に胃液中の酸やペプシンと呼ばれる酵素によって分解され、最終的にアミノ酸まで分解されてから吸収されています。

この働きが低下していると、タンパク質の消化・吸収能力が低下し、総コレステロール値の低下や栄養の利用効率の低下など、様々な悪影響が起こります。そのため、タンパク質がしっかりと消化・吸収出来ているかも調べて見てください。

血液検査項目としては、PG1やPG2、ピロリ菌感染抗体の有無などで胃腸の状態がおおよそ分かります。PG1は胃酸の分泌量を知る指標となり、PG2は胃粘膜の状態を表します。このPG1とPG2の比を見ることで胃粘膜の萎縮が分かり、胃腸がどれだけダメージを受けているかが分かります。

胃腸粘膜はピロリ菌の感染やアルコールの多飲などでダメージを受けやすく、慢性炎症化したり萎縮したりすることで機能が低下してしまいます。ビタミンEの消化吸収能や需要もこれらによって変動しますので、是非胃腸機能も調べて見てください。

ナンナン

うーん、ビタミンEの不足を直接調べられる血液検査項目ってないの❓❓

はる かおる

ビタミンEの不足状態を直接調べられる検査はないよ。だから、その他の検査項目を参考に、どれだけコレステロールや細胞膜が酸化しているか、抗酸化栄養がどれくらい必要かで、ビタミンEの需要と不足を推測するんだ

ビタミンE不足に対する分子栄養学的アプローチ

ビタミンE不足やビタミンEの需要が高い時に対する分子栄養学的アプローチのご紹介です。ここでは、ビタミンE摂取に対する基本的な考え方やアプローチの仕方と、脂質異常症や高コレステロール対策における分子栄養学的アプローチを解説します。

まず、ビタミンE不足の場合やビタミンEの需要が高いときには、ビタミンEに加えて、タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、コエンザイムQ10などをセットで摂取する事が基本です。

「ビタミンEが不足しているならビタミンEだけを補給すれば良いのでは?」と思うかも知れませんが、ビタミンEだけを摂取してもあまり意味はありません。ビタミンEは、吸収されて肝臓に運ばれた後、ビタミンEを選び出す専用の輸送タンパク質(α-TTP)や、血液中を移動するための運搬船(リポタンパク質)に乗せられて運ばれています。

また、食事からのビタミンEを摂取する場合、ビタミンEは脂溶性のため、水に溶けにくく脂に溶けやすいという特性があります。そのため、体内では脂質や脂溶性ビタミンを水と混ざりやすくするために、肝臓から「胆汁酸」が分泌されています。この胆汁酸は、あぶらと水を混ざりやすくする「乳化」という働きがあり、あぶらやビタミンEなど脂溶性ビタミンの吸収を助けています。この胆汁酸はコレステロールを元に肝臓で合成され、分泌されていることから、ビタミンEの吸収には十分なコレステロールが必要です。

これらはすべてタンパク質から作られているため、ビタミンEを吸収して利用するためには、ビタミンE以外にもタンパク質やビタミンB群など、その他ビタミンEと協力して働く栄養素も同時に摂取することが必要です。

特にタンパク質を利用するためには補酵素としてビタミンB群が必要です。ビタミンBには8種類あり、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチンの8種類を総称してビタミンB群(コンプレックス)と言います。

このビタミンB群が無いとタンパク質が十分に利用出来なくなってしまうことから、タンパク質を摂るときは必ずビタミンB群も摂るようにして下さい。

そして、細胞膜にたどり着いたビタミンEは、活性酸素から身を挺して細胞を守ることで自らが酸化して(サビて)しまいます。この酸化したビタミンEを再生して再度利用出来るようにしてくれるのが、ビタミンCやコエンザイムQ10などの抗酸化ネットワークを形成する栄養素達です。水溶性のビタミンCは、酸化したビタミンEに自身の電子を渡して抗酸化力を復活(再生)させ、脂溶性のコエンザイムQ10は細胞膜の中で直接ビタミンEをサポートします。

ビタミンEを摂取する際は、これらビタミンEの再生を助ける働きのある栄養素も、同時に摂取するようにして下さい。

ビタミンE不足や需要が高い時に対する基本的な分子栄養学的アプローチ(1日あたり)

  • タンパク質
  • ビタミンB群 VB1レベルで100mg〜
  • ビタミンC 3,000mg〜
  • ビタミンE 400IU〜(ミックストコフェロール・トコトリエノール)
  • グルタチオン
  • αリポ酸
  • コエンザイムQ10 300mg〜

【応用編】脂質異常症や高コレステロール対策における分子栄養学的アプローチ

ここからは、応用編として脂質異常症や高コレステロール対策における分子栄養学的アプローチを解説します。まず前提として、脂質異常症やインスリン抵抗性、高コレステロール血症における分子栄養学的アプローチでは、薬のように数値を下げるために行うものではありません。あくまで、身体の機能を正常化するために栄養を補給するものです。

分子栄養学では、薬のように数値を下げるためでは無く、代謝を正常化するために栄養を補給する

例えば、糖代謝・脂質代謝の改善には、運動・筋力アップが不可欠です。運動・筋力アップには栄養が必要で、そのためにサプリメントを摂取していきます。

また、小型化したLDLコレステロールはとても酸化されやすく、血管壁に溜まって動脈硬化のリスクを高めます。この小型化したLDLコレステロールをなるべく酸化させないためにも、積極的に抗酸化栄養を摂取する、食事から摂りにくいオメガ3系脂肪酸などをサプリメントで補うといった感じです。

分子栄養学的アプローチによって直接、中性脂肪値やコレステロール値を下げるわけではありませんので、ご注意ください。

また、妊娠するための能力である妊孕性(にんよせい)を向上させる身体作りにおいても同様です。妊娠が成立しない背景には、貧血状態などの栄養状態の悪化や、お酒、喫煙など生活習慣の問題、極端なダイエット等様々な影響が関わっています。

ビタミンEはもともと、抗不妊作用をもち、生殖機能に関わる栄養素として発見されましたが、ビタミンEを飲めば薬のように妊孕性が向上するわけではありません。妊孕性の向上には栄養状態の改善や、生活習慣の改善なども不可欠です。これら改善には栄養が必要で、そのためにサプリメントを摂取するという感じです。このようなアプローチの基本を意識して、分子栄養学に取り組んでみてください。

今回は、分子栄養学的アプローチで用いる栄養素の種類が多いので、重要な一部を解説します

DHA・EPAとビタミンEの同時摂取でコレステロールの酸化防止と脂肪酸バランスを改善

まず、ビタミンEとDHA・EPAを同時摂取する重要性です。オメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAには、脂質異常症を改善させたり、血圧を安定させて動脈硬化を防いだりする働きがあります。

脂質異常症や高コレステロール値の場合、体内の脂肪酸バランスを整え、積極的な抗酸化アプローチを行うためにも、DHA・EPAとビタミンEを同時摂取するのがオススメです。

EPA・DHAの働き

  • 赤血球の変形能を保つ
  • 脂質異常症を改善させる
  • 痛んだ血管の修復を促す
  • 血圧を安定させ、動脈硬化を防ぐ
  • 不整脈を抑制する
  • 血栓の形成を防ぐ
DHA・EPAの機能

このDHA・EPAは、体内で合成することが出来ないため、必ず食事から摂取する必要があります。DHA・EPAはサンマやイワシ、アジなどの青魚に多く含まれていますが、現代の日本では魚を食べる機会も減ってきたため、不足しがちな栄養素になりました。

特に、現代の食生活では大豆油やコーン油などに含まれるオメガ6系脂肪酸(リノール酸)の摂取量が多くなっています。オメガ6系脂肪酸は、炎症を促進する働きもあることから、摂りすぎると炎症が促進されて動脈硬化のリスクも上昇してしまいます。

油は摂取バランスが重要で、オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸の理想的な摂取比率は1:2〜4(オメガ3:オメガ6)と言われています。このオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸の摂取バランスが崩れると動脈硬化が促進されるため、積極的なオメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)の摂取がオススメです。

ただし、オメガ3系脂肪酸であるDHA・EPAは「熱」や「光」「酸素」にとても弱く、食事から摂取するのはとても難しい油です。例えば、DHA・EPAはサンマやアジなど魚に多く含まれていますが、焼き魚にするとおよそ20%減少、フライや揚げ物にすると50%も減少すると言われています。

また、光や酸素にとても弱く、酸素と反応してすぐに酸化・劣化してしまいます。この酸化・劣化した油を過剰に摂取してしまうと、むしろ健康に悪影響を及ぼすリスクを高めてしまうことがあります。

DHA・EPAは効率よく摂取することと、酸化防止が重要

そのため、DHA・EPAを摂取する際は、「なるべく新鮮な状態」で「効率よく量を摂取すること」を意識することが重要です。

食事からでは新鮮な状態で摂取することが難しく、酸化もされやすいことから、質の良いサプリメントから摂取することがオススメです。質の良いサプリメントなら、新鮮な状態で、活効率よく摂取することが出来ます。

このサプリメントもピンキリで、中には質の悪い腐った油の状態になっているものもありますので、サプリメント選びには注意して下さい。特に、「魚臭さのあるDHA・EPAサプリメント」には要注意です。

DHA・EPAは酸化すると独特の「魚臭さ」が発生する事が知られています。逆に、新鮮な酸化していないDHA・EPAはニオイが少なく、色も透明に近い色をしています。

また、DHA・EPAの精製方法や製造管理体制などによってサプリメントの質も大きく変わります。大量生産・大量保管するものほど安価で販売されていますが、その分酸化・劣化している可能性が高くなります。一方で、少量頻回生産のものは価格が高くなる傾向にありますが、その分新鮮な状態を保つことが出来ます。

DHA・EPAのサプリメントを選ぶ際は、含有量だけに捕らわれず、製法や鮮度など見えない部分に特に気を遣って選ぶようにしましょう。

加えて、DHA・EPAサプリメントを摂取する際は、ビタミンEサプリメントの同時摂取がオススメです。ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、活性酸素などからLDLコレステロールの酸化を抑制する働きがあります。

また、油の酸化を抑制する働きもあるため、DHA・EPAの酸化も抑えてくれます。

ビタミンEとコレステロールの関係

このビタミンEはベニバナ油やナッツ類、緑黄色野菜や大豆などに多く含まれ、食べ物からは比較的摂取しやすい栄養素です。ビタミンEはアーモンドなどにも多く含まれていることから、小腹が空いたときの補食としても人気があります。

しかし、ビタミンEは比較的「酸」や「熱」に強いという特徴があるものの、光や酸素には弱い栄養素です。ベニバナ油や大豆油、ナッツ類などは光が当たる環境で保存していると、ビタミンEが酸化・劣化してこれら食べ物に含まれている油も酸化・劣化しやすくなります。

そのため、保存環境や保存状態が特に重要です。ナッツ類や油などは、光や酸素に触れないよう、アルミなどで密閉されているものを選ぶ必要があります。価格の安いナッツ類などは、保存環境が悪く輸入時の長期輸送で酸化・劣化している可能性があることから、ビタミンEの摂取源としてはオススメできません。

ビタミンEは油の酸化を防ぐためにも重要な栄養素

また、ビタミンEは汗や尿と共に排泄されやすいため、毎日十分な量のビタミンEを補給する必要があります。ビタミンEを新鮮な状態で、かつ十分な量を摂取することはなかなか難しいことから、サプリメントから摂取するのがオススメです。

ビタミンEのサプリメントであれば、ビタミンEを新鮮な状態で、効率よく摂取することが出来ます。このビタミンEサプリメントを選ぶ際は、「サプリメントの質」と「ミックストコフェロール・トコトリエノール」が配合されているものを選びましょう。

ビタミンEには8種類の同族体が存在し、バランス良く摂取することがポイント

繰り返しになりますが、ビタミンEには、大きく分けて「トコフェロール」と「トコトリエノール」の2種類があり、それぞれに「α(アルファ)」「β(ベータ)」「γ(ガンマ)」「δ(デルタ)」の4種類、計8種類の同族体が存在しています。

トコフェロールは、抗酸化作用が強く、ホルモン作用を整える、血流を改善する働きがあり、持続力が高いという特徴があります。一方でトコトリエノールは、炎症を抑える、がんを予防する、神経を守る、情報を伝えるなどの働きがあり、トコフェロールに比べて即効性が高いという特徴があります。

これら8種類のビタミンEはお互い補い合って作用することから、トコフェロール・トコトリエノールはバランス良く摂取するのがポイントです。

ビタミンEのサプリメントの多くは「d-α-トコフェロール」のみや、合成して作られた「dl-α-トコフェロール」しか配合されていないものが多く販売されています。このようなビタミンEサプリでは、本来のビタミンEの働きが期待出来ませんので注意して下さい。

ビタミンEサプリメントを選ぶ際は、これらトコフェロールやトコトリエノールがバランス良く配合されている「ミックストコフェロール」を選ぶのがオススメです。

このビタミンEとDHA・EPAの推奨摂取量としては、ビタミンEがd-αトコフェロールをベースとして一日に400IU以上、DHA・EPAは一日に1,000mg以上が目安になります。

ビタミンEとEPA・DHAの推奨摂取量

もちろん、これはあくまで目安量で、人や状態によって更に多く摂取した方が良い場合があります。ご自身の身体にどれだけ必要かについては、オーソモレキュラー療法を受けて下さい。

積極的な抗酸化アプローチでコレステロールの酸化を抑制

コレステロールに対する分子栄養学的アプローチを行う場合、さらに積極的な抗酸化アプローチを行うためにも、抗酸化作用の相乗効果がある栄養素を同時摂取するのがオススメです。

抗酸化作用を持つ栄養素は、酸化した他の栄養素をもう一度働ける状態に還元することで相乗効果を発揮し、より効率的な抗酸化作用を促すことが出来ます。

抗酸化作用の相乗効果がある栄養素

例えば、ビタミンEは細胞膜に発生した活性酸素を消去することでその抗酸化作用を発揮し、同時にビタミンEとしての抗酸化作用は失われてしまいます。

この抗酸化作用を失ったビタミンEをもう一度働ける状態に還元してくれる栄養素が、「ビタミンC」や「コエンザイム10」などの抗酸化栄養素です。

ビタミンCやコエンザイムQ10は、ビタミンEを還元させることで自身の抗酸化力は失ってしまいますが、今度は「αリポ酸」が抗酸化力を失ったビタミンCやコエンザイムQ10をもう一度働ける状態に還元することで抗酸化力を取り戻すことが出来ます。

このように、抗酸化力を失った抗酸化栄養素をもう一度働ける状態に還元してくれる栄養素のネットワークを、「抗酸化ネットワーク」と言います。酸化LDLコレステロール対策など、積極的な抗酸化対策を行いたい場合は、この抗酸化ネットワークを意識して栄養素を補給することがポイントです。

抗酸化栄養素は細胞膜の酸化を防ぎ、動脈硬化などの予防につながる

特に、抗酸化ネットワークには「ビタミンE」「ビタミンC」「コエンザイムQ10」「αリポ酸」「ナイアシン」が関わっていることから、ビタミンEを摂取する際はこれらの栄養素も同時摂取するようにしてみて下さい。

私達の身体を作っている細胞膜は、酸化されやすいオメガ3系脂肪酸(DHA・EPA)やオメガ6系脂肪酸、コレステロールなどから作られていて、特に酸化されやすい部分です。

抗酸化栄養は、身体の中でも特に酸化されやすい細胞膜に含まれる油を酸化から守ったり還元したりすることで、細胞膜を酸化から守ってくれます。この細胞膜を酸化から守ることが、動脈硬化の予防や改善にも繋がります。

以上の解説から、コレステロール・中性脂肪が高いときに行いたい基本的な分子栄養学的アプローチをまとめます。量が多いですが、オーソモレキュラー療法を受けるなどして必要に応じて行ってみて下さい。

コレステロール・中性脂肪が高い時に行いたい基本的な分子栄養学的アプローチ例(1日あたり)

  • タンパク質(プロテイン)  20g〜40g 消化能力・需要に応じて調節
  • ビタミンB群 VB1レベルで100mg〜
  • ビタミンC 3,000mg〜
  • ビタミンD 4,000IU〜8,000IU
  • ビタミンA 10,000IU〜(マルチカロテノイド含む)
  • ビタミンE 400IU〜(ミックストコフェロール・トコトリエノール)
  • EPA・DHA 1,000mg〜
  • グルタチオン 
  • イノシトール(ナイアシン)
  • レシチン
  • コエンザイムQ10 300mg〜
  • αリポ酸
  • プロバイオティクス(特に重要!)
  • プレバイオティクス(特に重要!)

必要に応じて次も追加

  • ヘム鉄 15mg〜45mg
  • カルシウム 600mg〜
  • マグネシウム 300mg〜600mg
  • 亜鉛 15〜60mg
  • イチョウ葉エキス
  • カテキンエキス

この記事では詳しく解説していませんが、コレステロール・中性脂肪が高いときには腸内環境を整えることも重要です。腸内には「短鎖脂肪酸」を産生してくれる酪酸菌や乳酸菌などの有用菌が存在し、この短鎖脂肪酸には脂肪燃焼効果や基礎代謝を上げてくれる働きがあります。

腸内には「悪玉菌」と「善玉菌」、そしてどっちつかずの「日和見菌」がいます。腸内環境を整える際には、善玉菌を増やして日和見菌を味方につけることがポイントです。

そのためには、有用菌である「酪酸菌」や「乳酸菌」などの「プロバイオティクス」と、有用菌のエサになる「プレバイオティクス(食物繊維)」を同時に摂取するようにしましょう。このプロバイオティクスとプレバイオティクスを同時に摂取することを、「シンバイオティクス」と言います。

特に現代の食生活では食物繊維の摂取量が不足しやすく、納豆など発酵食品の摂取量も減少している傾向にあります。中性脂肪やコレステロールが高いときには、積極的にシンバイオティクスを摂取してお腹の調子を整えることが重要になりますので、積極的に実践していってください。

ナンナン

なるほど、ビタミンEを摂取するときは、DHAやEPA、ビタミンCやコエンザイムQ10なんかの栄養素を同時に摂取していくことが大切なんだね。すごく勉強になったよ❗

はる かおる

ビタミンEはあまり注目されない栄養素だけど、実は体内でもの凄く重要な働きをしているんだ。それだけ重要だからこそ、積極的な摂取が必要だね。ただ、人によって必要量は全く異なるから、自分に合ったアプローチはオーソモレキュラー療法を受けるのが良いよ。

ビタミンEの需要は人それぞれ。栄養状態の改善には必ずオーソモレキュラー療法を受けましょう。

ビタミンEにはコレステロールの酸化を抑えたり、過剰な合成を抑えてくれる働きがあります。しかし、コレステロール値や中性脂肪値が増加する背景には、糖質や脂質の摂り過ぎや、インスリン抵抗性、肥満・隠れ肥満、筋肉量の低下などが関係しています。また、この他にもタンパク質不足や甲状腺機能低下、消化器系疾患、肝臓や腎臓の状態など様々な疾病が複雑に絡み合っていることも多くあります。

そのため、単にサプリメントを補給するのでは無く、これら状態や原因を検査で洗い出し、その人に合ったアプローチを行っていく事が何よりも重要です。その為には、栄養状態や疾病の状態を知ることが出来る「オーソモレキュラー療法」の血液検査を受けてみましょう。

オーソモレキュラー療法では、69項目にも及ぶ血液検査項目に加え、消化吸収能の状態やピロリ菌感染の有無、甲状腺の検査、副腎疲労や鎖脂肪酸検査、リーキーガット症候群検査などを必要に応じて組み合わせて行う事が出来ます。

複数の検査を組み合わせることによってより詳しく状態を知ることができ、あなたの栄養不足の根本原因がどこから来ているのかが分かります。また、検査結果はレポートにまとめられ、どんな栄養素をどれくらい摂ったら良いかの詳しいアドバイスも受けられます。

このような情報を元に、あなたに合わせたアプローチを行っていきましょう。

サプリメントには様々な働きがありますが、あくまで「栄養素」であり、体内で利用されなければ意味がありません。栄養素をしっかりと吸収・利用するためには、肝臓の状態や消化器の状態、甲状腺の状態など様々な臓器の働きが必要です。この臓器の働きや栄養の需要は人それぞれ異なりますので、ご自身に必要なアプローチについては、是非オーソモレキュラー療法の検査を受けてみて下さい。

オーソモレキュラー療法の詳細については、下記ページからご覧頂けます。

また、検査をご希望の方は、上記リンクか記事最後尾のプロフィールに記載されている「オーソモレキュラー療法申し込みページ」からご相談下さい。検査に必要な手続きなどをご案内致します。

分子栄養学の実践は必ず分子栄養学実践専用サプリメントをご使用下さい!

オーソモレキュラー療法では、血液検査や各種検査の結果に応じて分子栄養学実践専用に設計されたサプリメントで栄養アプローチをしていきます。

分子栄養学実践専用サプリメントとは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。また、原材料には天然由来の生体内物質が使用されていたり、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

そのため、分子栄養学実践専用サプリメントは、市販されているサプリメントや海外サプリメントと比べて非常に高価となっています。

しかし中には、「市販されているサプリメントや海外サプリメントを利用して実践したい」と思っている方も多いかもしれません。市販されているサプリメントや海外サプリメントは、分子栄養学実践専用サプリメントと比べて非常に安価です。

ですが、市販されているサプリメント海外サプリメントなどで販売されているサプリメントで分子栄養学を実践をするのはオススメしません。

市販されているサプリメントや海外サプリメントでは、そもそも消化吸収能が低下した方や病態を抱えた方が摂取するようには設計されておらず、胃や腸でも全く溶けない粗悪品も流通しています。

市販されているサプリメントの中には胃や腸で溶けずにそのまま便に排泄される物もある

また、原材料に人工的に加工されたものや合成されたもの、天然界には存在しない化学構造のものなどが使われていることもあり、これらを大量に摂取することはむしろ生体内の分子を乱してしまうことにも繋がります。

加えて、栄養素が酸化・劣化して効力を失っているものや、そもそも有効成分自体が殆ど含まれていないものなどもあります。このことから、市販されているサプリメントや海外サプリメントを使って分子栄養学を実践することはオススメしていません。

分子栄養学を実践する際は、このようなサプリメントの善し悪しを学ぶことも非常に重要です。分子栄養学実践専用サプリメントと海外サプリメントなど一般的なサプリメントの違いについては、下記の記事を参考にして下さい。

そして、分子栄養学・オーソモレキュラー療法を実践する際は必ず「分子栄養学実践専用サプリメント」を使用しましょう。

サプリメントは、きちんと消化吸収・利用されて初めて意味があります。分子栄養学実践専用サプリメントでは、その人それぞれの体質に合わせてアプローチが出来るよう、消化吸収能が考慮された設計や製造が行われていることが特徴です。

また、分子栄養学では一般的な量よりも遙かに多くの栄養素を摂取します。この時、栄養素同士が反応して効力を失ってしまったら意味がありません。分子栄養学実践専用サプリメントでは、成分同士が反応して効力を失わないよう、反応抑制のためのコーティングが行われていたりなど、非常に高品質なサプリメントとなっています。

このことから、分子栄養学を実践する際は、必ず分子栄養学実践専用サプリメントを用いるようにして下さい。

ナンナン

サプリメントは何を選んでもいいわけじゃないのか❗

はる かおる

そうだよ、サプリメントは同じように見えてもその中身や設計や全く異なっているんだ質の悪いサプリメントを使うと逆効果になるから、分子栄養学を実践する際は必ず分子栄養学実践専用に作られた作られたサプリメントでしっかりアプローチしてね

ビタミンEとは? ビタミンEの働きと代謝の基本について分子栄養学的観点から解説まとめ

以上が、ビタミンEの働きと代謝の基本、ビタミンE不足に対する分子栄養学的アプローチについてでした。

ビタミンEには強力な抗酸化作用や抗炎症作用があり、もともとは抗不妊作用のある栄養素として発見されたビタミンです。ビタミンEにはトコフェロールとトコトリエノールの二種類があり、合計で8種類の同族体があります。分子栄養学を実践する際は、これらをバランス良く摂取する事が大切です。

また、40代〜50代になると、健康診断や人間ドックなどでコレステロールの値で引っかかることが多くなります。コレステロール値が高くなると、動脈硬化のリスクがあるとされ、すぐに薬で下げようとしてしまうことがあります。

しかし、コレステロールは私達の身体を作る無くてはならない物質で、ホルモンの材料になったり脂質の吸収を助ける胆汁酸の材料になったり、細胞膜を作る材料になったり、ビタミンDやコエンザイムQ10の合成経路と同じ経路で合成されています。

コレステロールを薬で下げてしまうと、これら働きも十分に行えなくなってしまいます。そのため、安易に薬で下げるのではなく、コレステロールを余分に作らせない事と、余分なコレステロールの排泄を促すこと、そしてコレステロールを酸化させないことが重要です。

食生活に問題がある場合は、糖質や脂質、アルコールの摂り過ぎを改め、食生活と栄養状態の改善、運動習慣を取り入れていきましょう。特に、積極的な抗酸化アプローチを行うためにも、ビタミンEやビタミンC、コエンザイムQ10などお互い協力して働く栄養素も同時に摂取するようにして下さい。

他にも、コレステロール値や中性脂肪が上昇する原因として、脂肪肝やインスリン抵抗性、甲状腺機能低下や栄養不足など様々な原因が関わっていることがあります。人によって原因が異なりますので、ご自身に合った分子栄養学的アプローチを行うようにして下さい。

分子栄養学やオーソモレキュラー療法というと単にサプリメントを飲むだけの療法だと思われがちですが、サプリメントの摂取だけで病気を治す療法ではありません。食生活や栄養状態の改善、運動習慣などを行う事によって、身体の機能を根本から整えていくための療法です。

今回の記事でご紹介した分子栄養学的アプローチは、あくまで目安ですので、ご自身にあった分子栄養学的アプローチについてはオーソモレキュラー療法を受けて下さい。

オーソモレキュラー療法の申し込み方法については、オーソモレキュラー療法・無料栄養相談申し込みページ で詳しくご案内しております。ご興味ある方は是非こちらもご覧下さい。

  1. https://tocotrienol.org/jp/開発の歴史/ ↩︎
  2. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  3. オーソモレキュラー栄養医学研究所 ビタミンE ↩︎
  4. オーソモレキュラー栄養医学研究所 ビタミンE ↩︎
  5. オーソモレキュラー栄養医学研究所 ビタミンE ↩︎
  6. https://tocotrienol.org/jp/tocotrienol/生物活性/ ↩︎
  7. https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4k.pdf ↩︎
  8. オーソモレキュラー栄養医学研究所 ビタミンE ↩︎
  9. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  10. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  11. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  12. https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4k.pdf ↩︎
  13. https://www.carenet.com/news/journal/carenet/24572 ↩︎
  14. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  15. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  16. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  17. https://tocotrienol.org/jp/tocotrienol/生物活性/ ↩︎
  18. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  19. 日本微量栄養素情報センター ビタミンE ↩︎
  20. ビタミンEの一種であるトコトリエノールに抗肥満効果があることを発見 ↩︎

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この記事を書いた人

はる かおるのアバター はる かおる 分子栄養療法ナビゲーター

春木 敏徳(はる かおる)
分子栄養療法ナビ(このサイト)の管理人のはる かおるです。
現在は「字が書けないライター」として、正しい分子栄養学の発信と普及活動を行っています。

僕自身、発達障害の一種である「書字障害」を抱え、幼少の頃から両親からの虐待や学校でのいじめなど、数々の困難や体調不良を経験してきました。
育った環境の悪さから18歳頃からうつ病を発症し、その後10年近く精神薬での治療を行っています。また、他にも小・中・高校生時代は朝起きられず、殆ど学校にも行っていません。

今では「あれは起立性調節障害だったな」と思えるのですが、当時はそのような病気の認識は殆どありませんでした。そのため、非常に風当たりの強い中、幼少時代を過ごしてきています。

また、幼少期から続く極度の栄養失調により、低血糖症や甲状腺機能低下症、SIBO、リーキーガット症候群、副腎疲労、脂肪肝など様々な病気を経験しました。現在では分子栄養学に出会ったことで体調も大きく回復しており、これら病気の改善に必要な知識も豊富です。

インターネットの登場によって間違った分子栄養学も広まってきており、それによって体調を崩してしまう人も多くなってきています。このような中、分子栄養療法ナビ(このサイト)や情報発信を通じて、多くの人に正しい分子栄養学が広められるよう頑張っています。

得意とする分野
うつ病、発達障害、ADHD、起立性調節障害、貧血、不妊症、ガン、甲状腺機能障害、ピロリ菌感染症、SIBO、リーキーガット症候群、低血糖症、副腎疲労、脂肪肝、ダイエット、更年期障害、PMSなど。全般的に幅広い知識を有する。

ほか、文章を書くのが得意で、ライティングやマーケティング、投資などお金に関する知識や生き方に関するアドバイスも得意。

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